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近赤外レーザ血流ドプラ法の in-vivo血管血流画像情報計測技術

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近赤外レーザ血流ドプラ法の in-vivo血管血流画像情報計測技術
近赤外レーザ血流ドプラ法の
in-vivo血管血流画像情報計測技術
血管血流画像情報計測技術
富山高等専門学校 商船学科
教授
八賀 正司
機械システム
教授
寺西 恒宣
機械システム工学科
システム工学科
電子情報工学科
准教授 石田 弘樹
電子情報工学科
准教授 秋口 俊輔
富山大学 大学院 医学薬学研究部(
医学薬学研究部(薬学)
薬学)准教授 安東 嗣修
大阪市立大学 大学院 工学研究科機械物理系専攻(
工学研究科機械物理系専攻(機械工学)
機械工学)
准教授 高田 洋吾
1
技術の概要
本技術は、生体内の血流状態を非接触で2次元もしくは3次元の画像として計測
可能な装置に関するものである。測定の基本原理は、従来のレーザードップラー
血流計と同様である。新たな光学システムの考案(線計測MLDV法・面計測MLD
V法)により性能が飛躍的に向上した。応用としては、皮膚癌や乳癌の病巣の可視
化、血液の粘性計測、血管の狭窄部に生じる応力の解析などが考えられる。
Linear Measurement Region
Scattered Light Signal
Achromatic Lens
1st
2nd
Double-convex Lens
Slit
Polarizing Plate
Mirror
干渉縞の拡大写真(×1000)
Fiber array
Cube Beam Splitter
Laser
APD-1
APD-2
APD-3
APD-4
Rod Lens
Cylindrical Lens
Plastic fiber with an optical
plug installed
APD-31
APD-32
APD with an optical
receptacle installed
2つのシート状のレーザー交差領域には、数ミクロン感覚の干渉縞が作られる。
ここへ赤血球が通過すると移動速度に比例した周波数をもつドプラ―信号が発生
する。よって、この光信号を高速フーリエ変換した周波数スペクトラムには、速度に
比例した位置にピークが現れる。
2
線計測MLDV法(in-vivo 計測)
3
面計測MLDV法(in-vitro 計測)
2次元光ファイバーアレイ
4
実施形態
レーザドップラー血流測定方法の処理を示すフローチャート
(a)アバランシェダイオード出力
(b)ドップラー周波数
アバランシェフォトダイ
アバランシェフォトダイ
オードにより得られた入
オードにより得られた入
力信号は、図(a)のよ
力信号は、図(a)のよ
うなデータであり、この
うなデータであり、この
データがA/D変換され
データがA/D変換され
てコンピュータ入力され、
てコンピュータ入力され、
そのデジタル信号を高速
そのデジタル信号を高速
フーリエ変換し、さらに
フーリエ変換し、さらに
ノイズ除去処理等を施し
ノイズ除去処理等を施し
て、ドップラー周波数を
て、ドップラー周波数を
算出する。
算出する。
ドップラー周波数は、
ドップラー周波数は、
図(b)に示すように、
図(b)に示すように、
検出した信号のスペクト
検出した信号のスペクト
ルにおいて、ドップラー
ルにおいて、ドップラー
周波数でのピークが表れ
周波数でのピークが表れ
ることにより求まる。
ることにより求まる。
ドップラー周波数が求ま
ドップラー周波数が求ま
ると、その周波数から血
ると、その周波数から血
球の速度が算出され、血
球の速度が算出され、血
球の速度は血流の流速で
球の速度は血流の流速で
あることから血流速が算
あることから血流速が算
出される。
出される。
5
新技術の特徴・従来技術との比較
従来の課題
従来のレーザードップラー血流計(LDV)では,深さ(Z軸)
方向の詳細な情報が得られないため三次元測定はできない。
本開発では・・・
流速情報を持った新たな血管血流の三次元測定を行う
ことを目的とした多点同時計測LDV装置を利用した
in-vivo 血管血流三次元イメージング装置の開発を行った。
6
従来のマイクロスケールの
断層イメージング技術とその問題点
○近赤外光を用いた、低侵襲かつ高空間分解能を有するコヒー
レンス光断層法(OCT:血管壁組織の形態断層分布をIn-vivo計
測可)が開発され、実用化されている。
○OCT法は、皮膚癌と黒子を識別するための腫瘍血管内の血
流速の評価に利用することは困難。
○マイクロPIVや共焦点マイクロPIVは血流速を評価することは
出来るが、In-vivoかつ非侵襲的に皮膚癌の腫瘍血管内の血流
速を評価することは困難。
7
超音波法のマイクロスケールの
断層イメージング技術とその問題点
○超音波法を用いて、高時空間分解能を持った血管血流速度情報
(血管3D画像、動脈の拍動血流と血流量の時間変化、拍動に合わせ
た血管径の時間変化(膨張⇔収縮) )を持った三次元血管血流画像を
取得することは不可能。
○不可能な理由
安全が保障されている2MHz~10MHz超音波画像診断装置の1パル
スあたりの空間分解能は数ミリ程度、時間分解能は数kHzである。
○本研究
近赤外レーザを用いた本研究の空間分解能100μm、奥行き方向の
分解能0.7mm、時間分解能は数MHz。さらに向上も可能。測定可能な
生体内の深さ方向は、レーザの波長で決まる。
8
本研究
MLDVのマイクロスケールの
断層イメージング技術
本研究:多点同時レーザードップラー流速測定装置
(MLDV)
MLDV)
血流速度を絶対値としてIn-vivo 非侵襲計測し、その情報を
もとに3 次元の血管イメージングを行うことのできる装置。
①実験動物の皮下の末梢血管のイメージングに成功。
②この装置は生体内の血流速度を非侵襲的に測定する
ことが可能。
9
3次元イメージング測定方法
<想い>皮膚移植における
皮膚移植における「
における「移植皮膚の
移植皮膚の定着度」
定着度」を見積もる
見積もる
<実験中>
実験中>
ニ方向の流速情報を持った三次元イメージン
グの測定。二方向の流速情報を持った三次
元測定が可能となれば、単に移植による新し
い血管の血液のフローの有無を確認するだけ
でなく、皮膚移植の定着度を見積もる付加的
情報も得られる。
<現状>
現状>
1)皮膚が定着したかどうかを従来の血
流測定器では二次元的でしかも定量性
が低いので、流速情報を持った血管血
流の三次元測定の報告例が少ない。
2)従来の血流計は
①血流速は相対的な値
→
→ ○○.○
○○.○ [mm/s]
[mm/s] 単位が付けられない。
単位が付けられない。
②深さ方向の詳細な情報が少ない。
多点同時計測LDV装置を利用した流速情報を持ったinin-vivo 皮膚移植
の定着度を見積もる血流三次元イメージング測定の実現
体内
10
流速情報を持ったin-vivo血流三次元イメージング測定結果
(a) 健常マウス腸間膜血管
の計測範囲の写真
三次元イメージング結果
(b)回転前
(b)回転前 (c)回転後
(c)回転後
※血管血流 inin-vivo 3D画像、
3D画像、In
画像、InIn-vivo 2D画像
2D画像
を深さ方向に5枚取得している
11
想定される用途1
• レーザを利用した血管内の隆起物(プラーク、アテローム)
の形成および早期の動脈硬化を検査する非侵襲な簡易
検査装置の開発
• 再生医療とくに皮膚移植における「移植皮膚の定着度」を
見積もる血流情報装置の開発と応用
• 血管吻合の評価装置の開発
• 緊急手術下でも使用できる、冠状動脈の探索装置の開発
12
想定される用途2
レーザを応用した動脈硬化
診断・予知 システム
(1)動脈血管情報及び血流情報は、血圧測定に現れない非常に有用
な診断情報となる。血圧測定のように、非侵襲・簡易に動脈硬化を診
断・予測する検査システムを開発。
(2) In-vivo完全非侵襲生体計測による血管内の血液粘性率センシン
グ法の確立。
(3)健常マウスと高脂血症マウスの血管情報、血流情報、拍動におけ
る血管径の時間変化(収縮⇔膨張)及び血液粘性の情報を通して、動
脈硬化の診断評価を行い、心筋梗塞や脳梗塞などを予測。動脈瘤
の破裂危険予測システムの開発。
(4)高脂血症マウスを用いて本装置の有用性 (血管血流情報と高脂
血症治療薬の効果)を検証可能。
13
健常マウス頸動脈 inin-vivo 2D画像
2D画像(
画像(上右図)と
拍動の血流速の時間変化(
拍動の血流速の時間変化(下図)
下図)
14
突起物の影響 実験結果と数値計算結果
流速[mm/s]
時間[s]
時間[s]
15
実用化の目標1(完全非侵撃in-vivo生体内計測による)
・腫瘍血管の成長過程における微細な形態学的な
評価による新規癌診断装置の開発と改良
<実験中>
<想い>
腫瘍内血管とは、癌細胞へ酸素や栄
養を供給するための血管であり、癌の
成長促進、転移などの原因となる。
進行癌
腫瘍内血管(癌)を
早期に非侵襲的に診断
mm
7
m m /s
4.0
6
転移
Tum or
5
4
3.5
#2
#3
3.0
3
微小癌
血管新生
#1
2
2.0
1
原発癌の発育
0
1.5
0
1
2
3
4
5
6 mm
16
想定される用途3
皮膚癌と黒子の識別とレーザ加熱治療
本研究はこれまで出来なかった微細血管血流情報の取得が出来ること
から皮膚癌と黒子(ホクロ)の早期診断・治療評価・浸潤評価に対して臨
床的にも貢献すると考えている。
●モデル動物の耳部に移植した皮膚癌部位の血管の流速情報を
持った2次元画像を取得し,癌細胞の増殖に伴い血流速が増加す
ることを後方散乱型MLDVによって確認できた。また、血液流れの
ない血管の流速情報は流速の値がゼロに近いことから、血管の流
速情報を持った2次元及び3次元画像は皮膚癌と黒子(ホクロ)の診
断に有効である。
●近赤外レーザ照射による皮膚癌の加熱温熱治療の効果につい
て実験的に検証ができた。臨床的にも貢献すると考えている。レー
ザーの交差線上に黒い色素の皮膚癌があれば、近赤外光は皮膚
癌の黒い色素に吸収され、皮膚癌は加熱され、癌細胞のみを破壊
することができた。
17
実用化に向けた課題
皮膚癌(腫瘍血管に血流)と黒子の違い
血液流れのある血管とない血管の流速情報
18
応用
血流速イメージングで見た癌-皮膚癌の成長と血流速の変化
19
レーザースペックル装置で観たメラノーマ
移植前
12日後
マイクロ-MLDV装置で観たメラノーマ
移植前
12日後
20
乳癌の早期診断の研究背景
○従来の研究
従来のレーザを使った診断技術では、In-vivoかつ非侵襲的に乳癌
などの腫瘍血管内の血流速を評価することは困難である。
○本研究で開発した装置では、乳癌の腫瘍魂へ伸張する新生血管
並びに腫瘍付近の血流速の増加が確認できる(取得結果は講演時
に説明予定)。測定可能な深さはレーザ波長によって決まる。
想定される用途3 乳癌の早期診断 等
○マンモグラフィはしこりの影や白い粒(石灰化)を検出している。
エコー検査もしこりの硬さ情報を検出している。従来の検査方法に、
血流情報の診断方法が加わって、より正確な乳癌の早期診断が可
能となる。
21
実用化に向けた課題
○本技術シーズは実験室レベルである。実用化するには、測
定深度をもっと大きくする必要がある。そのためには、血圧
計・超音波診断装置のように部位に直接当てるプロトタイプ
器の製作技術が必要である。
予想される結果と意義
○本研究はこれまで出来なかった微細血管血流情報の取得が
出来ることから「管腔組織のメカニズム」と「癌の浸潤や転
移のメカニズム」を解明するための新たな評価技術の一つに
なるものと期待できる。
○分子標的治療薬の効果を腫瘍内血流測定により検証可能。
○早期診断・治療評価に対して臨床的にも経済的にも貢献。
22
本技術に関する知的財産権(1)
本技術に関する知的財産権( )
• 発明の名称 :レーザドップラー流速測定方法及び装置
• 出願番号 :特願2013-194241
• 出願人 :独立行政法人国立高等専門学校機構
国立大学法人富山大学
公立大学法人大阪市立大学
• 発明者 :八賀正司、寺西恒宣、石田弘樹、秋口俊輔、
安東嗣修、高田洋吾
23
本技術に関する知的財産権(2)
本技術に関する知的財産権( )
• 発明の名称 :レーザドップラー血流測定方法及び装置
• 特許番号 :第5234470
• 出願人 :独立行政法人国立高等専門学校機構
国立大学法人富山大学
・ 発明者 :八賀正司、石田弘樹、秋口俊輔、白川博樹
安東嗣修、倉石泰
24
お問い合わせ先
富山高等専門学校
コーディネーター 浜下 朝夫
TEL 076-493 - 5814
FAX 076-492 - 3859
e-mail [email protected]
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