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大腸粘液癌・腹膜転移術後 再発治療後の経過観察に PET/CTが有用で
大腸粘液癌・腹膜転移術後 再発治療後の経過観察に PET/CTが有用であった一例 東京女子医科大学 画像診断・核医学科 木村 健 百瀬 満 近藤 千里 牧 正子 日下部 きよ子 消化器病センター 林 和彦 はじめに 大腸癌の10%前後を占める大腸粘液癌は進行が 早く、また腹膜転移が多いとされ比較的予後不良で あることが知られている。 FDG-PETの大腸粘液癌の感度は58%(vs. 非粘液 癌92%)で、hypocellularity のために鋭敏ではない (Whiteford MH )。 et al. Dis Colon Rectum 2000;43:759–770 はじめに 今回、大腸粘液癌術後の腹膜転移の再発・寛解の 評価にFDG-PETが有用であると考えられた症例を 経験したので報告する。 症例 29歳/男性 2006年1月 下行結腸癌切除 術前CEA 2.4ng/mL CA19-9 4.1U/mL 術式: 左結腸切除術 D3郭清 腹膜合併切除 病理組織診断 進行性下行結腸粘液癌、癌腫は漿膜表面に達する。脈管侵 襲軽度。断端陰性。リンパ節転移n2。腹膜転移あり。肝転移 なし。遠隔転移なし。Stage IV 後化学療法 FOLFIRI 12コース (2006年6月まで) 症例 2006年6月 化学療法終了時 CEA 2.0ng/mL, CA19-9 0.8U/mLであったが、CTで多発肝転移 (S4,6,8)、腹水貯留を認めたため、化学療法を FOLFOX4に変更。丸山ワクチンも追加。 セカンドオピニオン目的で2006年10月当院受診。 2006年11月 当院でPET/CT 施行。 2006.11 PET/CT 2008.07 PET/CT 穿刺試みるが、ゼリー状の粘液 となっており吸引不可。 CEA、CA19-9(−)。 2008年6月 腹部症状出現, CEA 162ng/mL 2007年1月 CRとなりUFT+ユー CA19-9 184U/mL ゼル内服に切り替え。 2007年10月∼08年2月 通院せず、内服不定期 2008年3月 CTで再発所見なし。 2008年7月 化学療法をSOX+ベバシズマブに変 更 2008年10月 CEA 53ng/mLとなり、症状も落ち着 いた。治療効果判定のため造影CTを施行した。 2008.10 造影CT 2008.7 PET/CT 2009.4 PET/CT CEA 204ng/mL CEA 26 ng/mL CA19-9 188U/mL CA19-9 127U/mL maxSUV 3.46 maxSUV 2.19 2009年6月 イレウス出現 CEA 45ng/mL、 CA19-9 168U/mLと上昇。 粘液状腹水によるイレウスと判断。粘液除去 術の方針となるが、ゴム状の硬状粘液が結 節を形成し腸管に癒着。易出血性であり腸管 の同定も困難であったため除去不可能であっ た。 考察 CT所見上、腹膜転移再発後の粘液性病変は大き な変化はなかった。 FDGのuptakeは、CEAの上昇に合わせて増加、 CEAが減少すると低下した。 CTでは判定できない病勢をFDG-PETが反映して いたと考えられる。 まとめ 大腸粘液癌術後の腹膜転移・再発の経過観察を FDG-PETで行った。 大腸粘液癌においてFDG-PETが病勢を反映する 可能性が示唆された。