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滋賀医科大学雑誌ワードテンプレート

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滋賀医科大学雑誌ワードテンプレート
滋賀医大誌
29(1), 21-26, 2016
分娩間近に診断され,分娩時大量出血を来した
急性前骨髄球性白血病(APL)合併妊娠
久保卓郎 1) ,井上貴至 2) ,小野哲男 1) ,四方寛子 3) ,喜多伸幸 3) ,三ツ浪真紀子 4) ,林
天野
香里 1) ,桂
大輔 1),
創 1),辻俊一郎 1) ,脇ノ上史朗 1) ,中川哲也 1) ,石河顕子 1) ,木村文則 1) ,髙橋健太郎 5) ,村上
節 1),
浅井 愛 6) 南口仁志 7) 木藤克之 7)
1) 滋賀医科大学
産科学婦人科学講座,2) 国立病院機構東近江医療センター
4) 山王病院 産婦人科,5) 滋賀医科大学
産婦人科,3) 済生会滋賀県病院
地域周産期医療学講座,6) 彦根市立病院
7) 滋賀医科大学
内科学講座
産婦人科,
血液内科,
血液内科
Massive postpartum hemorrhage in a patient with
acute promyelocytic leukemia diagnosed directly before delivery
Takuro Kubo1), Takashi Inoue2), Tetsuo Ono1), Hiroko Yomo3), Nobuyuki Kita3), Makiko Mitsunami4),
Kaori Hayashi1),Daisuke Katsura1), Syunichiro Tsuji1), Tsukuru Amano1),Shiro Wakinoue1), Tetsuya Nakagawa1), Akiko Ishiko1),
Fuminori Kimura,1)Kentaro Takahashi5), Takashi Murakami1), Ai Asai6), Hitoshi Minamiguchi7), Katsuyuki Kito7)
1)Department of Obstetrics and Gynecology, Shiga University of Medical Science,
2)Department of Obstetrics and Gynecology, Natioal Hospital Organization Higashi-Ohmi General Medical Center,
3)Department of Obstetrics and Gynecology, Saiseikai Shigaken hospital, 4)Department of Obstetrics and Gynecology, Sanno hospital,
5)Department of Community Perinatal Medical Systems, Shiga University of Medical Science,
6)Department of Hematology, Hikone Municipal Hospital, 7)Departmnt of Hematology, Shiga University of Medical Science
Abstract Acute promyelocytic leukemia(APL)occupies approximately about 10~15% of acute myeloblastic leukemia.
After the introduction of all-trans retinoic acid(ATRA)therapy, the prognosis of APL has been dramatically improved.
However, APL still remains life-threatening, because disseminated intravascular coagulation(DIC)occurs in large portions
of patients with this disease. Here we report a case of the pregnant woman who was diagnosed with APL in the third
trimester, and had no time to receive ATRA therapy before delivery. We managed this patient, although she suffered from
massive post-partum hemorrhage due to severe hypo-fibrinogenaemia.
A pregnant woman noticed purpuras on the trunk and upper extremities after the gestational age of 30 weeks. At the
gestational age of 37 weeks, she had severe nasal bleeding continuing for an hour, and the blood test revealed pancytopenia.
When she was referred to our hospital, DIC was accompanied with pancytopenia. Bone marrow aspiration was performed to
obtain diagnosis, and the result showed 88% abnormal promyelocytes with fine heavy granules and fagotts. The findings
were compatible with APL. Immediately after the admission, spontaneous labor began and she delivered 2978 g of a male
infant. After the delivery of the placenta and the suture of the vaginal laceration, massive post-partum hemorrhage continued
and the vaginal wall hematoma developed. Severe hypo-fibrinogenaemia persisted despite FFP replacement. Two hours after
the delivery, the amounts of bleeding reached to 3,200 g. With the use of 2 g of fibrinogen concentrate, we conducted suture
under general anesthesia, and finally the bleeding decreased. Then, the patient was treated by ATRA therapy and
chemo-therapy. Three months later she had gained complete remission from APL.
This case shows that fibrinogen concentrate is useful to control huge postpartum hemorrhage in APL patients with
hypo-fibrinogenaemia due to DIC.
Keyword Acute promyelocytic leukemia, disseminated intravascular coagulation, Post-partum hemorrhage,
fibrinogen concentrate, bone marrow aspiration
Received: January 4, 2016.
Accepted: February 5, 2016.
久
保
卓
郎
ほか
超音波断層法や胎児心拍モニタリングで胎児の発育と
はじ め に
状 態 は 良 好 で あ っ た .Bishop score 2 点 と 子 宮 頸 管 熟 化
急 性 前 骨 髄 球 性 白 血 病( 以 下 APL と す る )は ,高 率
は未だ進んでいなかったが,痛みを伴わないものの子
に 播 種 性 血 管 内 凝 固 症 候 群 ( 以 下 DIC と す る )を 併 発
宮 収 縮 を 10 分 周 期 で 認 め ,分 娩 の 時 期 が 近 づ い て い る
す る 重 篤 な 疾 患 で あ る .APL の DIC で は 線 溶 系 が 亢 進
ことが予想されたので,赤血球,血小板と凝固因子の
し、出血性の合併症は未だに死亡の最も頻度の高い原
回復を図った後で分娩を試み,分娩後に血液内科で原
〔 1〕
因となっている
.APL の 凝 固 障 害 を 改 善 す る 効 果 を
疾患の治療に専念する方針とした.
有 す る 全 ト ラ ン ス 型 レ チ ノ イ ン 酸( 以 下 ATRA と す る )
抗 DIC 療 法 と し て メ シ ル 酸 フ ァ モ ス タ ッ ト を 開 始 し ,
が 治 療 と し て 導 入 さ れ て 以 来 ,APL 患 者 の 予 後 は 劇 的
に改善しているが
血 小 板 濃 厚 液 Platelet Concentrate; PC( 以 下 PC と す
〔 2〕
,ATRA に よ り 寛 解 に 到 達 す る に
る ) と 新 鮮 凍 結 血 漿 Fresh Frozen Plasma; FFP ( 以 下
は ,少 な く と も 1 週 間 以 上 を 要 す る た め 〔 3 〕,妊 娠 後 期
FFP と す る ) 赤 血 球 濃 厚 液 Red Cell Concentrate; RCC
に APL と 診 断 さ れ ,ATRA に よ る 治 療 を 施 行 す る だ け
( 以 下 RCC と す る )な ど の 輸 血 療 法 も 併 用 し ,分 娩 待
の 時 間 的 余 裕 が 無 い 場 合 に は , 併 発 し た DIC の た め ,
機した.
〔 4-13〕
分娩時の出血の対応に難渋することが少なくない
.
入 院 2 日 (妊 娠 38 週 0 日 )FFP 10 単 位 と PC 20 単 位 を 投
今 回 ,分 娩 間 近 に 初 め て APL と 診 断 さ れ ,分 娩 時 の
与 後 , WBC 2200/ μ l, HB 7.9g/dl , PLT 5.6 万 /μ l,
大量出血と低フィブリノゲン血症に対し濃縮フィブリ
Fibrinogen 75mg/dl で あ り ,FFP 大 量 投 与 に も か か わ ら
ノゲン製剤の投与により母児の生存を得た症例を経験
ず ,フ ィ ブ リ ノ ゲ ン の 回 復 効 果 は 不 十 分 で あ っ た .FFP
したので報告する.
と PC 、 ま た RCC を 追 加 し た が , 同 日 の 再 検 査 で
Fibrinogen 43mg/dl と さ ら に 減 少 を 認 め た .そ の 後 に 自
症例
然 陣 痛 が 発 来 し ,Oxytocin 点 滴 で 陣 痛 促 進 し た と こ ろ ,
症 例 : 34 歳 , 1 経 妊 1 経 産
入 院 3 日 (妊 娠 38 週 1 日 ) 経 腟 分 娩 に 至 り ,2978g の 男
現 病 歴 : 近 医 で 妊 婦 健 診 を 受 け て い た が , 妊 娠 30
児 を 得 て ,Apgar 8/9,UmApH 7.237 で あ っ た .母 体 は ,
週 頃 か ら 体 幹 と 四 肢 に 紫 斑 に 気 づ き ,妊 娠 37 週 に 鼻 出
第 Ⅱ 度 の 会 陰 裂 傷 の 縫 合 修 復 後 , 腟 壁 に φ 5cm 大 の 血
血が 1 時間止まらないエピソードがあり,前医の健診
腫を認め,腟内にガーゼを充填して圧迫を試みたが,
時 HB 9.0 g/dl,WBC 2,800 /μ l,PLT 2.6 万 /μ l の 汎 血
その後も非凝固性の出血が持続したため,大量輸液と
球 減 少 を 認 め た た め ,妊 娠 37 週 6 日 に 精 査 加 療 目 的 で
FFP,PC,及 び RCC の 輸 血 を 追 加 し た .し か し な が ら ,
当院紹介受診した.
分 娩 後 40 分 で 血 圧 71/31mmHg,脈 拍 140bpm と シ ョ ッ
既往歴:特記事項なし.
ク 状 態 と な り , 分 娩 後 1 時 間 で WBC 3000/ μ l, Hb
家族歴:特記事項なし.
7.3g/dl,HT 21.1%,PLT 8.2 万 /μ l,Fibrinogen 30mg/dl
入 院 時 現 症 : 身 長 156.0cm , 体 重 66.0kg , 体 温
と 血 液 所 見 は 改 善 せ ず ,分 娩 後 2 時 間 の 総 出 血 は 3200g
36.9 ℃ , 血 圧 122/74 mmHg, 脈 拍 70 bpm, 左 上 腕 内
に達し,その後も出血が止まらなかった. 濃縮フィブ
側などの四肢に出血斑を認めた.
リ ノ ゲ ン 製 剤 2g 投 与 し た と こ ろ , よ う や く 血 餅 形 成
入院後経過:末梢血で汎血球減少に加え,白血球分
画 で は 病 的 細 胞 が 25.5%を 占 め た (表 1).直 ち に 血 液 内
を認め,手術室で全身麻酔下に血腫除去術と止血結紮
を 施 行 し た う え で ,腟 内 に ガ ー ゼ を 徹 底 的 に 充 填 し た .
科 で 骨 髄 穿 刺 が 施 行 さ れ ,peroxidase 2+ ,胞 体 に 豊 富
な 顆 粒 ま た は fagotts を 含 有 す る 異 常 な 前 骨 髄 球
promyelocyte 88.4%を 占 め , APL と 診 断 さ れ た (図 1).
ま た ,Fibrinogen 61mg/dl な ど 凝 固 異 常 が あ り ,厚 生 労
働 省 の DIC 診 断 基 準 で 13 点 と ,DIC も 認 め た( 表 1).
表 1. 入 院 時 の 末 梢 血 液 検 査
血算および白血球分画
凝固系
HT
28.9 %
HB
9.6g/dl
PLTS
1.7 万 /μ l
WBC
3,000/μ l
SEG/NEUT 45.5 %
BAND
3.5 %
EOSIN
0.5 %
LYMPH
21.0 %
MONO
0.5 %
IMM-GR
2.5 %
BLAST
1.0%
PATH
25.5 %
NRBC
7.5 %
FIBG
61 mg/dl
FDP
138.4 μ g/ml
PT-INR
1.39
APTP
28.0 秒
AT3
97 %
TAT
27.9 μ g/l
D-dimer
67.2 μ g/ml
SF
33.3 μ g/ml
PIC
9.2 μ g/ml
図 1. 骨 髄 標 本 ( May-Giemsa 染 色 )
細胞質に顆粒球が豊富な異常な前骨髄球が増殖.
一 部 の 細 胞 は Auer 小 体 が 薪 状 の 束 に な っ た fagotts を
形成している.
- 22 -
分娩間近に診断され,分娩時大量出血を来した急性前骨髄球性白血病(APL)合併妊娠
術 中 出 血 量 1530g で あ り , 術 中 も FFP, PC と RCC を
イ ン で は , FFP 補 充 に も か か わ ら ず , < 1 g/l( < 100
追 加 し ,術 後 の 血 液 検 査 で WBC 1700/μ l,HB 7.1g/dl,
mg/dl)の 重 度 の 低 フ ィ ブ リ ノ ゲ ン 血 症 が 持 続 す る 場 合 ,
PLT 8.0 万 /μ l, Fibrinogen 104mg/dl と Fibrinogen 濃 度
濃縮フィブリノゲン製剤またはクリオプレシピテート
の 回 復 を 確 認 し , 集 中 治 療 室 Intensive Care Unit; ICU
を 使 用 す る こ と が 推 奨 さ れ て い る 〔 1 5 〕. 同 様 に 米 国 に
( 以 下 ICU と す る )に 入 っ た 。ICU 入 室 2 時 間 で 出 血
お い て も , 臨 床 的 に 重 篤 な 出 血 が あ り , Fibrinogen 濃
量 95g で あ り 、漸 く 出 血 の 減 少 を 認 め ,入 室 10 時 間 後
度 < 1.5~ 2 g/dl( < 150~ 200 mg/dl)の 場 合 ,濃 縮 フ ィ
の WBC 3200/μ l,HB 8.7g/dl,PLT 5.2 万 /μ l,Fibrinogen
ブリノゲン製剤またはクリオプレシピテートを使用す
125mg/dl で あ り 、 Fibrinogen 濃 度 も 維 持 さ れ て い る こ
るというフィブリノゲン補充法のアルゴリズムが提唱
と を 確 認 後 、 血 液 内 科 に 転 科 し た . ICU で の 総 出 血 量
さ れ て い る 〔 1 6 〕. ま た , 露 国 の 報 告 に よ る と , 濃 縮 フ
は 855g で あ っ た .
ィブリノゲン製剤はクリオプレシピテートと同等の効
結局,分娩後から血液内科へ転科まで総出血量
5585g で あ り ,入 院 後 の 総 輸 血 量 は FFP 24 単 位 ,PC 60
果を有しており,濃縮フィブリノゲン製剤に因る合併
症 の 頻 度 は 低 い と さ れ て い る 〔 1 7 〕.
単 位 , RCC 26 単 位 で あ っ た .
本邦においても以前は産科出血などに対して,止血
そ の 後 は , ATRA 内 服 と 抗 癌 剤 DNR と Ara-C 点 滴
剤としてフィブリノゲン製剤は汎用されていた.しか
による寛解導入化学療法が開始された.また,染色体
し ,非 加 熱 の フ ィ ブ リ ノ ゲ ン 製 剤 の 使 用 で C 型 肝 炎 が
及 び 遺 伝 子 の 検 査 で は ,核 型 46, XX, t(15;17)(q22;q21),
集団発生して以来,使用の見直しが行われたことは周
FISH で PML/RARα 陽 性 細 胞 97.3%と 判 明 し ,15:17 転
知の事実である.現在ではフィブリノゲン製剤の適応
座 を 伴 う 急 性 前 骨 髄 球 性 白 血 病 (M3) , APL ,
は,先天性無フィブリノゲン血症の出血傾向に限定さ
t(15;17)(q22;q21) PML/RARA が 証 明 さ れ た . 完 全 寛 解
れ て い る 〔 1 4 〕. 本 邦 で フ ィ ブ リ ノ ゲ ン 製 剤 の 供 給 が 十
に達した後,地固め化学療法も行われたうえで,退院
分でないのは,こうした歴史的,社会的な背景もある
と な っ た .現 在 ,発 症 か ら 5 年 が 経 過 す る が , APL の
と察せられる.また,我が国ではクリオプレシピテー
再発はなく,児も健常に発育している .
ト製剤も供給されていないため,厚生労働省の「血液
考察
本 症 例 で み ら れ た 未 治 療 の APL 合 併 妊 娠 の DIC,低
製 剤 の 使 用 指 針 」 で は , DIC な ど に 伴 う 低 フ ィ ブ リ ノ
ゲ ン 血 症 (100mg/dl 未 満 )に 対 し て は , フ ィ ブ リ ノ ゲ ン
補 充 に は FFP が 用 い ら れ る と さ れ て い る 〔 1 4 〕.
フィブリノゲン血症による制御不能の分娩時大 量出血
本 症 例 で は 入 院 時 点 で 血 液 の Fibrinogen 濃 度 は
に対し,濃縮フィブリノゲン製剤が著明に有用であっ
61mg/dl で あ っ た が , こ れ を 100mg/dl に す る た め に 必
た .本 症 例 で は 濃 縮 フ ィ ブ リ ノ ゲ ン 製 剤 の 投 与 に よ り ,
要 で あ っ た FFP の 量 を 理 論 的 に 計 算 す る と ,入 院 時 の
ようやく出血をコントロールして母体を救命すること
体 重 66kg,HT 28.9%で あ り ,ま ず 循 環 血 漿 量 F(ml)は ,
が出来たと考えられる.
厚生労働省の「血液製剤の使用指針」によると,止
F(ml) ≂ 70ml/kg×体 重 (kg)×(1- HT/100)
の式を用いて
(1)
〔 14〕
,約 3284ml で あ っ た 。従 っ て ,血 中
血 に 必 要 な Fibrinogen 濃 度 は 75~ 100mg/dl と さ れ て い
Fibrinogen 濃 度 を 40mg/dl( 40mg/100ml)上 昇 さ せ る た
る 〔 1 4 〕.表 2 に 妊 娠 後 期 の 36 週 以 降 、分 娩 前 ま た は 分
めには,
娩 後 に APL と 診 断 さ れ た 報 告 例 を ま と め た が 〔 4 - 1 3 〕,
3284(ml)×40(mg)/100(ml) ≒ 1313(mg )
(2)
分娩時または分娩後に大量出血を呈したという報告は
の 計 算 に よ り ,Fibrinogen を 1313mg 投 与 す る 必 要 が あ
症 例 10 を 除 く 10 例 で あ り , そ の う ち 6 例 は 母 体 死 亡
っ た .こ こ で ,本 邦 に お け る FFP の Fibrinogen 濃 度 は
に至っている.生存した 4 例についてみると,入院時
約 1g/600ml で あ り ,FFP 1 単 位 120ml に は 約 0.2g す な
の Fibrinogen 濃 度 が 分 か っ て い る も の は い ず れ も
わ ち 200mg の Fibrinogen を 含 有 し て い る こ と , ま た ,
75mg/dl を 下 回 る も の は 無 く , FFP に よ る 治 療 が 奏 功
FFP 中 の Fibrinogen の 生 体 回 収 率 は 50%で あ る こ と を
し ,症 例 7 の み FFP に 加 え て ク リ オ プ レ シ ピ テ ー ト が
踏 ま え る と 〔 1 4 〕, 理 論 的 に は ,
投与されていた.
1313(mg)÷200(mg)×100/50 ≒ 13.13
(3)
本 邦 で は フ ィ ブ リ ノ ゲ ン 補 充 に は FFP が 用 い ら れ る
の 計 算 に よ り , 約 13 単 位 の FFP を 投 与 す る 必 要 が あ
の が 一 般 的 で あ り , 我 々 の 症 例 で も APL 診 断 時 の
っ た と 考 え ら れ る .実 際 に は ,分 娩 ま で の 間 に FFP は
Fibrinogen 濃 度 61mg/dl の た め , そ の 後 に FFP を 大 量
16 単 位 投 与 さ れ て い た が ,多 量 の FFP 投 与 は 時 間 を 要
投 与 し た .し か し な が ら ,分 娩 1 日 前 43mg/dl で あ り ,
す る た め , DIC に よ り Fibrinogen が 常 に 消 費 さ れ て い
さ ら に 分 娩 後 1 時 間 30mg/dl と FFP を 合 計 16 単 位 投
る状態では,補充が追いつかず,さらに低下する事態
与 後 も 止 血 に 必 要 な Fibrinogen 濃 度 に 達 せ ず 進 行 性 に
となっていた.
低値を示し,強い出血が続いたため,濃縮フィブリノ
一 方 , 本 邦 の 濃 縮 フ ィ ブ リ ノ ゲ ン 製 剤 2g(100ml)は
ゲン製剤を使用したことでようやく出血を制御するこ
FFP10 単 位 (1200ml)に 相 当 す る の で , 短 時 間 で 一 気 に
とができた.
Fibrinogen 濃 度 を 上 昇 さ せ る こ と が 可 能 で あ る . 本 症
諸外国に目を転ずれば,主にクリオプレシピテート
例 で 最 も Fibrinogen 濃 度 が 低 下 し た 分 娩 後 1 時 間 で は
と FFP が 用 い ら れ る 英 国 の DIC に 対 す る 治 療 ガ イ ド ラ
Fibrinogen 30mg/dl,HT 21.1%で あ り ,体 重 は 入 院 時 と
- 23 -
久
表 2.
保
卓
郎
ほか
妊 娠 36 週 以 降 , 分 娩 前 ま た は 分 娩 後 に APL と 診 断 さ れ た 報 告 例
分娩
時期
妊娠
37 週
分娩
方法
経腟
分娩
分娩時
出血量
2500 g
Fibrinogen
濃 度 (入 院 時 )
Fibrinogen
補充方法
母体の経過
Ewing
(1973) 〔 4 〕
診断
時期
妊娠
37 週
75mg %
不詳
化学療法.
大量出血、肺炎を併発,
産 後 33 日 死 亡 .
2
Ewing
(1973) 〔 4 〕
分娩
直後
妊娠
37 週
経腟
分娩
不詳
205mg %
不詳
化学療法.
大量出血,
多臓器不全の診断で
産 後 30 日 死 亡 .
健常
3
田中
(1986) 〔 5 〕
産後
6日
妊娠
満期
経腟
分娩
200g
88mg/dl
不詳
化学療法.
DIC 増 悪 ,
産 後 76 日 死 亡 .
健常
4
Atkins
(1989) 〔 6 〕
産後
1日
妊娠
38 週
経腟
分娩
不詳
不詳
クリオプレ
シピテート
化学療法.
ムコール感染を併発,
産後 7 ヶ月 死亡.
健常
5
青木
(1993) 〔 7 〕
産後
2日
妊娠
37 週
帝王
切開
2262 g
89mg/dl
FFP
ATRA と 化 学 療 法 .
寛解.
健常
6
島津
(2001) 〔 8 〕
Murrin
(2004) 〔 9 〕
妊娠
36 週
産後
2日
妊娠
38 週
妊娠
39 週
帝王
切開
経腟
分娩
2099 g
98mg/dl
FFP
健常
1500 g
105mg/dl
FFP,
クリオプレ
シピテート
ATRA と 化 学 療 法 .
寛解.
ATRA と 化 学 療 法 .
寛解.
JB.Sharm
a
(2006) 〔 1 0 〕
後藤
(2007) 〔 11 〕
産後
8日
不詳
経腟
分娩
不詳
不詳
FFP
大量出血が持続.
産 後 10 日 死 亡 .
健常
妊娠
37 週
妊娠
37 週
経腟
分娩
168 g
308mg/dl
FFP
ATRA と 化 学 療 法 .
寛解.
健常
10
Aoki
(2011) 〔 1 2 〕
妊娠
38 週
妊娠
38 週
経腟
分娩
780 g
192mg/dl
FFP
ATRA と 化 学 療 法 .
寛解.
健常
11
S.Sharma
(2013) 〔 1 3 〕
産後
9日
不詳
経腟
分娩
不詳
110mg/dl
全血輸血
大量出血が持続.
産後 9 日 死亡.
健常
症例
報告者
1
7
8
9
児の
予後
健常
健常
DIC, disseminated intravascular coagulation ; FFP, fresh frozen plasma; ATRA, all-trans retinoic acid .
同 じ 66kg と し て , 上 記 (1)式 を 用 い る と , 同 時 点 で の
PML/RAR α 融 合 遺 伝 子 が 検 出 さ れ る 【 2 】. こ の 遺 伝 子
有 効 循 環 血 漿 量 は 約 3645ml す な わ ち 36.45dl で あ っ た .
が顆粒球系の分化をブロックすることにより,好中球
投 与 し た 濃 縮 フ ィ ブ リ ノ ゲ ン 製 剤 2g す な わ ち 2000mg
分化の過程において前骨髄球の段階で分化が停止し,
が 100%生 体 内 に 回 収 さ れ た と す る と , 理 論 的 に は
異 常 な 前 骨 髄 球 で あ る 腫 瘍 細 胞 が 増 殖 す る 【 2,
2000(mg)÷36.45(dl) ≒ 54.9(mg/dl)
3, 11 】.腫
瘍細胞は多数の粗大顆粒と異型性の核を有す るが,こ
(4)
の 計 算 に よ り , 約 54.9mg/dl の Fibrinogen 濃 度 の 上 昇
の粗大顆粒に由来する組織トロンボプラスチンにより
が 得 ら れ た こ と に な る . こ れ に 30mg/dl を 加 え る と ,
DIC が 発 生 し て 消 耗 性 凝 固 障 害 が 起 こ る と と も に , 腫
Fibrinogen 濃 度 の 理 論 値 84.9mg/dl で あ り ,短 時 間 で 止
瘍 細 胞 よ り 放 出 さ れ る plasminogen activator や elastase
血 に 必 要 な Fibrinogen 濃 度 75~ 100mg/dl に 達 し た こ と
などの線溶活性物質により強い線溶亢進を伴い,重症
になる.本症例では濃縮フィブリノゲン製剤の投与後
の 出 血 症 状 を 呈 す る 【 3 】.APL 患 者 の 治 療 に お い て ,従
に 血 餅 形 成 を 認 め , ま た 手 術 後 の Fibrinogen 104mg/dl
来の抗腫瘍薬による化学療法が腫瘍細胞の崩壊に伴い,
で あ っ た た め , 同 製 剤 を 投 与 直 後 の Fibrinogen 濃 度 の
し ば し ば DIC 症 状 を 悪 化 さ せ た の に 対 し , ATRA は
実際値は上記の理論値と大差はなかった と推察される。
PML/RARα を 分 解 す る 作 用 な ど を 有 し ,腫 瘍 細 胞 の 分
本症例で見られたように低フィブリノゲン血症 に
化を促して好中球まで成熟させることで,骨髄には次
おける濃縮フィブリノゲン製剤の効果は確実かつ劇的
第 に 正 常 細 胞 が 回 復 し , DIC を 悪 化 さ せ る こ と な く ,
であり,適応外使用に関しては十分な慎重を要するも
完 全 寛 解 に 至 ら し め る 【 2,
のの,使用すべき状況では躊躇せず使用すべきである
治 療 に ATRA 療 法 が 導 入 さ れ て 以 来 〔 18, 19 〕, そ の 予 後
と考えられる.
は 改 善 さ れ ,完 全 寛 解 率 は 文 献 に よ っ て 異 な る が 60~
APL は 急 性 前 骨 髄 性 白 血 病 ;acute myeloblastic
90%と 報 告 さ れ て い る 〔 1,
3 】. 1980
年 代 後 半 に APL の
2, 9, 11 〕. し か し な が ら , 現 在
leukemia(AML)の 10~ 15%を 占 め , APL 症 例 の 95%以
で も APL 症 例 の 約 10 分 の 1 は , DIC に よ る 出 血 性 素
上 に 染 色 体 の 転 座 t(15;17)(q22;q21) に よ っ て 生 じ る
因 の た め 致 命 的 な 結 果 と な る と さ れ て い る 〔 9 〕.
- 24 -
分娩間近に診断され,分娩時大量出血を来した急性前骨髄球性白血病(APL)合併妊娠
急性白血病は進行が早く,無治療での生存期間は約
工 妊 娠 中 絶 を 行 っ て か ら の ATRA お よ び 化 学 療 法 の 施
2 ヶ月程度とされており,救命のためには遅滞なく,
行が推奨され,妊娠中期から後 期の発症例では胎児の
積極的な治療を開始する必要がある
【 20 】
.その中でも
状 態 を 慎 重 に 観 察 し な が ら の ATRA お よ び 化 学 療 法 が
APL は DIC を 高 頻 度 に 合 併 す る た め , 緊 急 性 が 高 く ,
行 わ れ て い る【 8, 11,20, 21 】.Consoli【 23 】ら の 報 告 に よ る と ,
早期に診断し、速やかに治療を開始することが極めて
妊 娠 中 に ATRA 単 独 療 法 ま た は ATRA・ 化 学 療 法 併 用
重 要 で あ る 【 20, 21 】. 本 症 例 の よ う な 入 院 時 に DIC を 随
療 法 が 行 わ れ た APL 合 併 妊 婦 20 例 の う ち ,19 例 は 完
伴していたうえに分娩が間近に迫っていた 状況では,
全 寛 解 を 得 て ,残 る 1 例 は 分 娩 後 に ATRA の 副 作 用 で
特 に 母 体 が 危 険 で あ っ た た め , APL の 迅 速 な 診 断 が
あ る ATRA 症 候 群 で 死 亡 し た が , ATRA に 因 る と 考 え
求められた.白血病の初発症状は,妊娠に伴う悪阻,
られる出生児の先天奇形は認められなかった.また,
生理的貧血,妊娠中毒症などと症状が似ていることも
Sanz 【 2 4 】 ら の 報 告 で は , APL 合 併 妊 娠 14 例 の う ち ,
あり,妊娠中に白血病と診断することは比較的難しい
第 1 三 半 期 に APL と 診 断 さ れ た 5 例 は ,い ず れ も 流 産
が
【 21 】
,出血斑などの出血傾向や汎血球減少などの異
後( 4 例 は 人 工 妊 娠 中 絶 ,1 例 は 自 然 流 産 )ATRA と 抗
常を認める場合は血液疾患を疑い,早期診断のため に
腫 瘍 剤 Idarubicin( IDR) が 投 与 さ れ た が , そ の う ち 4
積極的に骨髄穿刺を行うことが重要である
〔 11 , 2 0 , 2 1 〕
.
例 は 完 全 寛 解 に 至 り ,残 る 1 例 は ATRA 症 候 群 で 死 亡
造血器腫瘍の診断は,末梢血および骨髄の細胞およ
し た .一 方 ,第 2 三 半 期 と 第 3 三 半 期 で APL と 診 断 さ
び組織形態学によって来た長い歴史があり,その主格
れ た 9 例 の う ち 2 例 は ,APL の 診 断 前 か ら 各 々 脳 出 血
た る も の は 白 血 病 の FAB(French-American-British)分 類
と肺出血を合併しており,分娩後に死亡したが,いず
で あ る 〔 2, 22 〕.そ の 後 ,白 血 病 の 研 究 が 染 色 体 お よ び 遺
れも児は健常であった.残る 7 例は妊娠継続しながら
伝子レベルで急速に進展するにつれ,特異的染色体、
ATRA と IDR の 投 与 が 行 わ れ た 後 ,完 全 寛 解 に 至 っ た .
遺伝子変異を有した病型が存在することが明らかにな
そ の う ち 1 例 は 妊 娠 26 週 で 死 産 と な っ た が , 残 る 6
り,形態診断に加えて染色体異常や遺伝子変異などを
例は経腟分娩または帝王切開で健児が得られた .
組 み 合 わ せ て 包 括 診 断 を 行 う WHO 新 分 類 が 登 場 し た
本 症 例 で も ,も っ と 早 期 に APL の 診 断 が 得 ら れ た な
〔 2, 22 〕
ら ば , 分 娩 前 か ら ATRA 療 法 を 実 施 し , 危 機 的 な 産 後
光 学 顕 微 鏡 に よ る 形 態 診 断 に 加 え て ,PML/RARα 等 の
出 血 を 避 け ら れ た 可 能 性 が あ る .し か し ,実 際 に は APL
融 合 遺 伝 子 の 有 無 の 確 認 が 必 要 で あ る が ,APL は 白 血
の診断直後に自然陣痛が発来して分娩が開始したため,
病の中でも最も早期治療を必要とする緊急疾患の 1 つ
ATRA を 投 与 し て DIC の 改 善 を 図 る だ け の 時 間 的 余 裕
で あ り ,形 態 診 断 で APL が 疑 わ れ る 場 合 ,遺 伝 子 検 査
がなかった.
.APL の 最 終 診 断 に お い て も WHO 分 類 に 基 づ き ,
の 結 果 を 待 つ こ と な く , ATRA の 投 与 な ど の 治 療 介 入
以 上 ,APL 合 併 妊 娠 の DIC に よ る 分 娩 時 大 量 出 血 で
をすべきとされている.本症例においても,入院時の
は , FFP に よ る フ ィ ブ リ ノ ゲ ン 補 充 だ け で は 対 応 困 難
骨髄標本の細胞診で細胞質の顆粒が豊富な異常前骨髄
な DIC が 起 こ り う る .そ の よ う な 場 合 に は 濃 縮 フ ィ ブ
球 が 増 加 し , 一 部 に は Auer 小 体 が 放 射 状 の 束 を し た
リノゲン製剤の使用も考慮すべきである.また,迅速
faggot 細 胞 を 認 め る 等 , 典 型 的 な APL の 所 見 を 認 め ,
に 治 療 介 入 す る 必 要 に 迫 ら れ る APL 合 併 妊 娠 で は ,妊
分娩後は染色体と遺伝子の検査結果を待たず,直ちに
娠週数にかかわらず,骨髄穿刺などを行って早期に診
ATRA と 化 学 療 法 が 開 始 さ れ た .
断 す る と と も に ,早 期 に ATRA に よ る 治 療 を 開 始 す る
前 出 の 表 2 に お い て ,産 後 に ATRA が 用 い ら れ て い
ことが重要であると考えられる.
な い 症 例 1,2,3,4 は い ず れ も 産 後 に 母 体 は 死 亡 し て
い る .ATRA 療 法 が 確 立 さ れ た 1990 年 代 以 降 で あ っ て
も , 症 例 8, 11 は 大 量 出 血 に よ り 死 亡 に 至 っ て い る .
分 娩 前 か ら ATRA を 使 用 さ れ た 症 例 6 と 9 の う ち ,症
例 6 は 約 2 週 間 の ATRA 投 与 で 分 娩 時 に は DIC が 改 善
し て い た と 報 告 さ れ て い る 〔 8 〕.
従 っ て ,妊 娠 中 で あ っ て も 早 期 に APL と 診 断 し ,早
期 に ATRA を 含 め た 治 療 を 開 始 す る こ と が ,そ の 生 命
予 後 の 鍵 を 握 る と 考 え ら れ る 〔 20 ,
21 〕. 一 般 的 に 妊 娠 中
における急性白血病の治療は非妊娠時と同様に行う
【 20, 21 】
.化学療法による児の先天奇形の発症率は,器
官形成期に抗腫瘍薬が投与された場合に高く,妊娠中
期以降には正常妊娠例と比較して増加しないと報告さ
れ て い る 【 20 , 21 】. ま た , ATRA の 妊 娠 第 1 三 半 期 に お
ける使用は,神経系,心臓血管系の異常を含む再奇形
性 の リ ス ク が 非 常 に 高 い と さ れ て い る 【 20 】. 以 上 の こ
と か ら ,APL 合 併 妊 娠 で は ,妊 娠 初 期 の 発 症 例 で は 人
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郎
ほか
和文抄録
急 性 前 骨 髄 球 性 白 血 病 (APL) は 急 性 骨 髄 性 白 血 病 全
体 の 10~ 15%を 占 め ,治 療 に 全 ト ラ ン ス 酸 レ チ ノ イ ン
酸 (ATRA)療 法 が 導 入 さ れ て 以 来 ,そ の 予 後 は 改 善 さ れ
て い る が ,早 期 に 播 種 性 血 管 内 凝 固 症 候 群 (DIC)を 併 発
し や す い 重 篤 な 疾 患 で あ る .妊 娠 後 期 に APL と 診 断 さ
れ ,分 娩 ま で に ATRA 療 法 に よ っ て DIC の 改 善 を 図 る
時間がなく,低フィブリノゲン血症による分娩時大量
出 血 を 来 た し た 症 例 を 経 験 し た .症 例 は 34 歳 ,1 経 妊
1 経 産 ,近 医 で 妊 婦 健 診 を 受 け て い た が ,妊 娠 30 週 頃
か ら 体 幹 と 四 肢 に 紫 斑 が 出 現 し ,妊 娠 37 週 に 鼻 出 血 が
1 時 間 止 ま ら ず , 健 診 時 に 汎 血 球 減 少 を 認 め , 妊 娠 37
週 6 日に当院紹介受診.末梢血液検査で病的白血球の
出 現 と DIC を 認 め , 骨 髄 穿 刺 で APL と 診 断 さ れ た .
妊 娠 38 週 0 日 に 自 然 陣 痛 発 来 し , 妊 娠 38 週 1 日 に
2978g の 男 児 を 経 腟 分 娩 し た が , 胎 盤 娩 出 し て 腟 壁 裂
傷を縫合後,膣壁血腫による大量出血が持続した. ガ
ーゼ圧迫で止血が得られず,分娩後 2 時間で出血量は
3200g に 達 し た . FFP を 16 単 位 投 与 し て も Fibrinogen
値 は 30mg/dl と 上 昇 せ ず ,濃 縮 フ ィ ブ リ ノ ゲ ン 製 剤 2 g
投与後,手術室で全身麻酔下に再縫合とガーゼ圧迫を
行い,最終的に出血が減少した.分娩後早期より血液
内 科 で ATRA お よ び 抗 癌 剤 に よ る 治 療 が 開 始 さ れ ,そ
の後に完全寛解が得られた.産後 5 年以上が経過する
が,現在のところ再発を認めていない.
キーワード
急性前骨髄球性白血病,播種性血管内凝固症候群,
産後出血,濃縮フィブリノゲン製剤,骨髄穿刺
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