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ゴッホの自殺会社
ゴッホ通信 No.1 府立南寝屋川高等学校美術科 平成 18 年4月 14 日 「ひまわり」1988 ロンドン 91×72 ナショナル・ギャラリー蔵 ◆ ゴッホってどこのどなた? ◆ 美術にちょっと興味のある人は、「ゴッホ」の名は知っているだろうが、「ひまわり」、「日本の浮世 絵に興味をもった外国人」、「独特なタッチと色彩」、「耳切り事件」などで有名なオランダの画家であ る。 10 年間に 1600 枚もの絵を残し、37 歳の若さでこの世を去ってしまった。フィンセント・ (ヴィレム) ファン・ゴッホ(Vincent Willem van Gogh)が画家を志したのが 27 歳、そ してピストル自殺を遂げるまでのわずか 10 年間、実に短い画業期間である。しかも、代表作を含む 500 点の大半は、晩年の3年間で描かれているのである。生きている間に売れた絵は、わずかに 1 枚。 今や億単位で売買されている作品が、生前は全く認められなかった。なぜその作品にそれだけの魅力 があるのか?今回の「模写」を通して感じ取ってもらいたい。 ◆ ゴッホのひまわり ◆ 日本にある『ひまわり』の落札価格は 58 億円。1987 年に史上最高値で安田火災海上株式会社が落 札した。太陽の輝き、みなぎる生命力、エネルギーあふれる力強い色彩とタッチ、いずれもゴッホの 作品の魅力である。ひまわりも黄色、背景も黄色、テーブルの色も黄色。すべてに黄色を使っている。 これだけたくさんの黄色を使うと、普通の絵画では画面がまとまらず、たいへんな不協和音を奏でる のだが、ゴッホのひまわりを見ているとたいへん心地よい。それは、黄色の原色ではなく、 「白」を多 く混ぜて使っているからである。また、+「バーミリオン」他、「イエローオーカー」「バーントアン バー」 「ライトグリーン」 「パーマネントレッド」 「ミドルグリーン」など様々な色を混色し、バラエテ ィあふれる黄色を演出しているからである。黄色の魔術師になるためには、チューブから出した「黄 色」だけで塗るのではなく、下の公式にしたがって色づくりをして欲しい。 ゴッホの黄色 = 黄色 + 白色 + バーミリオン A + イエローオーカー B + バーントアンバー C + ライトグリーン D + パーマネントレッド E + ミドルグリーン F + バイオレット G ゴッホは、ひまわりの絵描きとして有名であるが、実際にひまわりを描いたのは 1887 年から 1889 年 までのわずか2年間の間だけである。しかも主なものは、1888 年夏と 1889 年1月頃に描かれている。 この時期は、ゴッホが南フランスに芸術家のユートピアを夢見ていた時期と重なっている。常に太陽 に顔を向けるという向日性のひまわりは、17 世紀以来、信仰心や愛の象徴として使われてきた。南フ ワーク1 A∼Gの色をつくり、それがどこで使われているか探ってみよう! ランスの太陽を崇めて集まり、兄弟愛に満ちた生活を営むゴッホのユートピアの象徴として、ひまわり ほどふさわしい花はない。だからこそゴッホは、共同生活の場となる黄色い家をひまわりで装飾しよう としたのではないだろうか。実際、ゴーギャンとの生活破綻後、この主題を取り上げることはなかった。 エラー!