Comments
Description
Transcript
香川県シェイクアウト(県民いっせい地震防災行動訓練) 実施報告書
香川県シェイクアウト(県民いっせい地震防災行動訓練) 実施報告書 平成28年12月 危機管理総局危機管理課 ●シェイクアウト訓練について 平成20年にアメリカで始まったシェイクアウトは、地震を想定して参加者が一斉に身を守 る安全行動を行うという新しい形の訓練であり、 「場所を問わない」 「時間がかからない」 「それ ぞれの場所に応じた実施ができる」といった特徴があり、他の訓練よりもはるかに多くの方に 参加していただくことができる点が、これまでの訓練との違いである。 日本では平成24年3月に東京都千代田区で初めて実施されて以来、都道府県や市町村の自 治体単位のみならず、自治体などのコミュニティ単位で実施されるなど、全国的に広がりをみ せている。 本県においても、平成25年度から11月5日の「津波防災の日」に、「香川県シェイクアウト (県民いっせい地震防災行動訓練) 」という名で実施しており、今年度も昨年度に引き続き、家 庭・学校・職場など、それぞれ普段の生活場所での訓練への参加を幅広く呼びかけた結果、 996団体、236,634名に参加登録をしていただいた。 (昨年度実績:1,048団体、233,099名) ●訓練の目的 東日本大震災では、地震や津波により甚大な被害が発生し、 「自助」の重要性が再認識された ところである。 また、今後30年以内の南海トラフを震源とする地震の発生確率が70パーセント程度と高 まっている中、今年4月に発生した熊本地震で大きな被害が発生し、続いて10月には、鳥取県 中部を震源とする地震が起きたところである。県民一斉に訓練を実施する本訓練は、次の目的 で実施した。 ①県民の防災意識の向上 広く県民に地震から身を守る行動を一斉に実施することを呼びかけ、自らの身の安全を 図る行動をとることによって、県民の防災意識を高める。 ②地域防災力の向上 訓練を通じて培った知識や経験を活用するという県民の防災リテラシー(防災に関する 知識や技術を自ら学び活用する能力)の向上を図り、 「自分の安全は自分で守る」という意 -1- 識を身につけ、災害に遭っても「ケガ」をして助けられる人ではなく、身近な人を助けら れ人になるなど地域防災力の向上に貢献できる人を育成する。 ③普段の生活場所での防災対策の確認 安全行動を行うシェイクアウト訓練に併せて、備蓄品の確認、家具の転倒防止、危険箇 所の確認など、自主的な訓練を実施することにより、地震防災の必要性と、家庭・学校・ 職場など普段の生活場所での防災対策を改めて認識する機会とする。 ●訓練の日時等 1.訓練日時 平成28年11月4日(金)14時 訓練実施 ※それぞれ参加者の都合により実施できない場合は、日時を変更して実施 ※昨年度は、 「津波防災の日」である11月5日(木)午前10時に実施したが、今年度は、 11月5日が土曜日になるため、多くの県民が参加できるように、学校、企業、自治体 等参加団体の休業日を避け、11月4日(金)に実施した。 2.訓練場所 家庭・学校・職場など、普段の生活場所で実施した。 3.対象者 個人、団体(保育所・幼稚園、学校、企業、医療・福祉機関、自主防災組織)など、広く県 民を対象にした。 4.想定 南海トラフを震源域とする大規模な地震が発生したことを想定した。 5.訓練の内容 訓練日時になったら、まず姿勢を低くし、頭を守って、その状態で揺れが収まるまで約1 分間動かないという「安全行動1-2-3」(下図、参照)を実施した。 なお、周りに机やテーブルがあれば、その下に隠れ、周りに体を隠すものが無い場合は、 倒れそうな棚や落下しそうな照明器具等から離れ、安全な場所を確認した上で、安全行動を 実施した。 【安全行動1-2-3】 ①DROP!=まず低く! ②COVER!=頭を守り! 6.プラスワン訓練 ③HOLD ON!=動かない! -2- シェイクアウト訓練は約1分間で終了するが、より一層の防災対策の向上に役立てるため、 安全行動以外にも、備蓄品の確認や家具の転倒防止、危険箇所の確認など身の回りの防災対 策の確認、シェイクアウト訓練後の避難訓練、家庭や組織内における避難場所、連絡体制な どの防災に関する話し合い等、プラスワン訓練を実施するよう呼びかけた。 7.訓練開始の合図 スマートフォンやiPhoneを持っている場合は、NTTドコモが開発した、訓練日時 に専用ブザーが流れ、さらに訓練メッセージが表示されるという「地震防災訓練アプリ」を 利用し、訓練開始の合図としたほか、訓練の開始時間に合図を放送したラジオ局もあった。 また、他にも、各自で声かけや施設内放送等の合図により、地震が発生したことを想定し、 訓練を実施した。 8.参加方法 参加登録は、専用の参加登録用WEBサイトにより行った。 なお、本WEBサイトは、シェイクアウト訓練の全国的な普及・啓発を行っている日本シ ェイクアウト提唱会議に作成を委託した。 -3- ●訓練実施に向けての周知 訓練実施にあたり、多くの県民に参加いただくために、下記のような周知を行った。 1.広報活動 県・市町・商工会議所等の広報誌や新聞に記事を掲載するとともに、チラシ40,000 枚、ポスター1,000枚(下図、参照)を作成し、市町、学校、企業、スーパーマーケッ ト・コンビニエンスストア、各種団体等に配布した。 また、各種団体の会合等に出席し、訓練の周知を行ったり、テレビ、ラジオ、ホームペー ジ、メールマガジン等のメディアを活用し周知を行った。 チラシ(表) チラシ(裏) -4- ポスター ○訓練の参加登録実績 1.参加者数 996団体 236,634人 2.参加形態 参加形態 団体数 参加人数 個人・家族 22 57 自主防災組織 33 30,438 保育所・幼稚園 115 11,901 小学校・中学校 206 80,505 58 42,910 7 3,132 国の機関・公的機関 43 4,547 地方自治体 93 15,075 4 4,109 医療・福祉関係機関 149 8,895 企業 229 17,967 37 17,098 996 236,634 高校・大学 専修・各種学校 協同組合 その他の団体 合計 3.市町別参加人数 市町名 参加人数 高松市 136,860 丸亀市 市町名 参加人数 土庄町 1,960 19,883 小豆島町 1,874 坂出市 10,489 三木町 3,465 善通寺市 10,717 直島町 193 観音寺市 10,078 宇多津町 2,862 さぬき市 9,663 綾川町 2,119 東かがわ市 8,465 琴平町 1,396 多度津町 3,237 まんのう町 2,275 三豊市 11,098 -5- 4.プラスワン訓練の申込み状況 プラスワン訓練 団体数 備蓄品の確認 257 家具の転倒防止 110 危険箇所の確認 164 避難訓練 154 防災に関する話し合い 229 消火器の位置の確認 172 小・中・高等学校との合同訓練 13 自主防災組織との合同訓練 25 医療・福祉機関との合同訓練 14 その他 54 ○訓練の実施 1.各実施場所での訓練の様子 【香川県立高松北中学校・高等学校】 シェイクアウト訓練(勉強机の下に隠れる) 避難訓練 【四国学院大学】 負傷者を想定した搬送訓練 救急救命(AED)措置訓練 -6- 【四国医療福祉専門学校】 シェイクアウト訓練 シェイクアウト訓練(仕事机の下に隠れる) (机などがなければ近くにある物で頭を守る) 【タチバナ工業株式会社】 災害対策本部立上げ訓練 海上防災資機材の積込訓練 【香川県庁】 消火訓練 消火栓の設置場所確認 -7- 2.「かがわ自主ぼう連絡協議会」のスタッフとの訓練 今年度は、新たに特別養護老人ホーム等の施設における災害対応能力を高めるため、シェ イクアウト訓練に合わせて、 「かがわ自主ぼう連絡協議会」のスタッフが県内5施設(特別養 護老人ホーム紅山荘、特別養護老人ホーム珠光園、特別養護老人ホームたるみ荘、救護施設 萬象園、特別養護老人ホーム竜雲舜虹苑)を訪問し、消火訓練や避難経路の確認等の助言・ 指導を行った。 【社会福祉法人祷友会紅山荘】 シェイクアウト訓練 消火訓練 車椅子を使用し、机の下に潜ることが 困難な場合は座布団などで頭を守る 避難訓練 応急救護所の設置 -8- ○訓練後のアンケート調査 今後の防災訓練の参考とするために、参加者を対象にアンケート調査を行った。 ・アンケートの調査方法 訓練日からの1ヶ月間、専用ウェブサイトからアンケート調査を実施 ・アンケート調査期間 11月4日(金)~12月5日(月) ・アンケート調査項目 Q1. 参加種別について Q2. 訓練はどこで行いましたか? Q3. この訓練をどこでお知りになりましたか? Q4. 今回の訓練でどのようなことに取り組まれましたか? Q5. 次回のシェイクアウト訓練を実施する場合、参加したいですか? Q6. 今回の訓練で防災について改めて気づいたことはありますか? Q7. 今回の訓練に関するご意見があればお聞かせください。 ・回答数 331件 -9- <アンケート結果> Q1. 参加形態について 参加形態 地方自治体 112 企業 50 小学校・中学校 46 高校・大学 35 保育所・幼稚園 26 国の機関・公的機関 21 医療・福祉関係機関 14 その他の団体 11 専修・各種学校 6 協同組合 4 個人・家族 3 自主防災組織 3 計 331 - 10 - Q2. 訓練はどこで行いましたか? 訓練場所 職場 180 学校 96 保育所・幼稚園 25 公共施設 12 病院・福祉施設 10 家庭 4 その他 3 屋外 1 計 331 - 11 - Q3. この訓練を何でお知りになりましたか? 訓練を知ったきっかけ 職場での案内 242 インターネット 20 回覧板 14 ポスター 8 テレビ・ラジオ 5 口コミ・人から聞いた 3 新聞 1 知らなかった 0 その他 計 38 331 - 12 - Q4. 今回の訓練でどのようなことに取り組まれましたか? 取り組んだ訓練(複数回答) 地震時の安全行動(シェイクアウト訓練)を行った 327 避難訓練や消火訓練等を行った 115 災害時の連絡方法を確認した 73 家庭・職場の環境を見直した(家具固定、整理整頓等) 72 非常持出品や備蓄品の点検を行った 71 その他の防災の取組を行った 51 - 13 - Q5. 次回シェイクアウト訓練を実施する場合、参加したいですか? 次回参加について はい 320 いいえ 1 無回答 10 Q5. 今回の訓練で防災について改めて気付いたことはありましたか?(自由回答) ※寄せられたご意見のうち、代表的なものを掲載しています。 【①病院・福祉施設】 (防災訓練を考えるきっかけになった) - 14 - Q6. 今回の訓練に関するご意見があればお聞かせください。(自由回答) ※寄せられたご意見のうち、代表的なものを掲載しています。 【①個人・家族】 ・発災時に避難するタイミング、避難経路、避難場所についてもっと確認しておく必要がある と気づいた。 【②自主防災組織】 ・自主防災会(自治会)として「シェイクアウト」は初めての参加だった。訓練時間帯にメンバ ー25名をぶっつけ本番で実施した。参加メンバーは町広報により既に「シェイクアウト」 のことを知っていたため、スムーズに実施できた。 ・参加者をもっと増やさなければいけないと感じた。 ・トランシーバーの使用に関する訓練を行った。やり取りが不慣れであったため繰り返し練習 が必要であると感じた。 【③保育所・幼稚園】 ・地区コミュニティからの訓練の放送があったことから、戸外で活動していても緊急放送が分 かりよかった。 ・子どもたちだけでなく、保護者も一緒に安全行動をとる取組みを行ったが、ほとんどの保護 者が初めての経験だった。より多くの方が知り、行動できるようにすることで、災害時での 素早い行動につながる。 ・まず一番に子どもの生命を守ることが大事だが、朝早い段階では全員が登所してきておらず 現在何人いるかということが大変不安。連絡確認手段をきちんとしておきたいと思った。 【④小学校・中学校】 ・先日の鳥取地震の際に、緊急地震速報後に地震があったため、速報後の行動の仕方を中心に 訓練を行った。 ・先日の地震の際にも、これまでの訓練の成果が見られ、素早く身をかがめて、安全確保がで き、訓練の大切さを痛感している。避難場所は、地震のみの場合、地震後に火災が発生した 場合とその時の状況により判断することが大切であると反省した。 ・教員が常に横にいるとは限らないときが多少有り、そのときの対応訓練に取り組んだ。休み 時間等は、放送を聞き逃している生徒がいたため、放送を聴く訓練が必要と考える。 - 15 - ・いつ災害が起こるか分からないことを考えると、マニュアルも大切だが、最後は自分の判断 で行動できる力が必要である。 ・校内の放送を利用して訓練を実施したが、校内放送が使えない場合の情報伝達体制について 確認しておかなければならないと思った。 【⑤高校・大学】 ・本校では今年度2回目の防災訓練を実施したが、その2回とも地震発生後の火災発生を設定 して実施した。数日前に起こった鳥取での地震や、その際の学校でのシェイクアウトの実施 状況の振り返りも行ったので、生徒達も経験を踏まえてより認識が深まったのではないかと 思う。 ・旧校舎と新校舎があり、大きな地震が発生した場合、旧校舎の方が危険度が高いことが予想 されることから、校舎の耐震性に応じて避難行動を変えていく必要性があるのでは、という 意見があった。 ・時間と場所を事前に周知しなかったので、避難経路や本部への訓練方法など様々な課題を洗 い出すことができ、訓練の実効が高まった。 ・食堂や図書館にいる生徒に係職員が指導できる体制を構築する必要性を感じた。 【⑥専修・各種学校】 ・正確な情報と、適切な判断が重要であると思う。 ・訓練を繰り返して行うことの重要性を改めて認識した。 【⑦国の機関・公的機関】 ・災害発生時の初動対応と各対応班の役割について確認と見直しを行った。本部構成員や各対 応班員が不在の場合の代理指定が不十分であり、今後、災害対応マニュアルの見直し及び改 訂を行う。 ・実際に災害が起こった際には、当庁のみでは対応が困難であると思われるので、香川県や高 松市と連携を行っていきたい。 ・実際に体を動かすことで地震に対する意識が高まった。地震における初動行動は大変重要で あり、自分の体は自分で守ることは大切であると再認識できた。 - 16 - 【⑧地方自治体】 ・災害発生時に県民として防災行動を行うことも大事だが、私たちは消防職員として、地震発 生時の行動を再確認し災害現場へ早期に出動できるように各個人が行動を把握することの重 要性に気づかされた。 ・窓口がある職場は、あらかじめ周知等が必要だが、これが意外と難しいことに気付いた。 ・「シェイクアウト」という言葉が浸透してきて、管内の自主防災会や教育機関など、実施す る団体が増えているように思う。将来的には、安全行動をとるだけでなく、災害時職員マニ ュアル、BCPを利用したプラスワン訓練を実施できればと考える。 ・鳥取地震が発生したこともあり、防災行動が重要であることを実感した。このシェイクアウ ト訓練を実施することは非常に有意義で防災意識の向上に大きく寄与した物と思う。 【⑨協同組合】 ・年に1回は訓練を実施することが必要と感じた。 【⑩医療・福祉関係機関】 ・入居者の安全確保に努め地震後の安全確認をしっかりと行い、体調など小さい異常も見逃さ ないようにすることを、職員間で徹底できるように確認した。 ・自分で危険回避できない利用者とともに職員がいかに安全行動をとるべきか、医療ケアが必 要な利用者もおり、持ち出し物や持ち出し方法についての確認も再度必要だと感じた。 また、地震が起きた時に物が倒れてくることだけでなく、電灯や屋根の落下等も想定して、 寝たきりの利用者の配置も考えなければならないと感じた。 ・少し前の鳥取地震の際に、職員の中に「さほど揺れなかったので」という理由で利用者の避 難誘導をしない者がいた。はじめ揺れが小さくてもだんだん大きくなる場合もあるので、小 さな揺れでも何が起こるかわからないため自己判断せず避難誘導は必ず行うよう職員間で話 し合いを行った。 その話合いの後の訓練であったので、職員間で話合った内容が徹底されているか利用者へ の対応をどう行うか等の確認を行うことができた。また、シェイクアウトなどの訓練を何度 か経験している利用者は自分から揺れを感じたり携帯電話の警報が鳴ったりすると避難行動 を取る者がおり、日頃の訓練がとても大事だ実感した。 ・今回はプラスワン訓練として自主防災組織や地元消防団と一緒に土のう作りを実施した。職 員は土のう作りの大変さを実感していた。 - 17 - 【⑪企業】 ・緊急地震速報が流れたら、戸惑ってしまい避難行動が遅れてしまった。分かっていても避難 行動が遅れてしまうということは、実際に災害が起きたときは、戸惑いだけではなく、パニ ックを起こしてしまうかしれないので、日頃の訓練は、本当に大事だと感じた。 ・社員の安否確認ツールを増やすことや、安否確認メールの送信者も被災者である可能性が高 いことを考慮した自動配信システムの必要性などを、今回の防災訓練の反省会で出ててき た。 ・訓練を行うごとに、会社としての役割、個人の防災意識の向上が上がっていくことに気づい た。 ・訓練と言う意識があるため、緊張感が感じられない場面もあり訓練の必要性を理解させるこ とが重要であると感じた。 【⑫その他の団体】 ・鳥取地震の際に、とっさに机の下に潜ることができたのは年一回の訓練の成果だと思う。や はり定期的に意識させるのは大切である。 ・災害の少ない県なので、いまいち真剣みが無かったように感じた。危機感ばかりではいけな いが、準備の必要性をもっと知っておく必要があると思った。 - 18 - Q7. 今回の訓練に関するご意見があればお聞かせください。(自由回答) ※寄せられたご意見のうち、代表的なものを掲載しています。 【①個人・家族】 ・災害について危機感のうすい県民が多いと思う。シェイクアウトを何故行うかを繰り返し伝 えてほしいと思った。 ・各種の報道機関でPRされていたが、まだ県民への伝わりが少なく意識が低いように思え た。 【②自主防災組織】 ・今回の訓練では安全確保行動のみであったが、次回の参加では「プラスワン」を実施した い。 【③保育所・幼稚園】 ・実際の災害について想定した場合、警報装置や防災無線の設置場所が、把握しにくい状 況にある。ハード面での整備が急務であり、整備を行った上での訓練が必要であると感 じている。 ・県下一斉に実施することが意義がある。そうすることで、近隣方にも手をさしのべたり、一 緒に避難してくれたりすると思う。より一層今回の訓練が広がっていくことを希望する。 【④小学校・中学校】 ・訓練実施日の午前中に、全国の緊急地震速報訓練もあり、一日に二つの訓練の機会があった が、日をずらすなどして、それぞれの訓練の趣旨をはっきりさせると良いと思う。 ・香川県下一斉に行うことで、防災意識を高揚させることができたと感じた。また、先日発生 した鳥取沖地震のこともあり、いつ・どこで起こるかわからない災害に対して危機感をもっ て臨むことができた。 ・学校独自で訓練を行うために、緊急地震速報の訓練用音声データが入手できればありがた い。 【⑤高校・大学】 ・防災訓練を実施することで気付いていなかった問題点を発見して改善することができた。今 回は放送機器の不備を改善することができた。 - 19 - ・シェイクアウトという用語に違和感を覚える職員もいたので、さらなる広報が必要であると 考える。 ・教員による児童・生徒への啓発活動を行っているが「香川県みんなでしているよ!」は、意 識が高まりやすい。 ・災害が発生したとき、まず自分の命を守り、次に地域の人々の力になれる人間を育てる教育 を行いたい。 【⑥専修・各種学校】 ・学校単位では行えていても、施設や企業では実施していないところが多いと思う。 ・防災訓練は万が一に備えて大切なことでシェイクアウト訓練の機会を作っていただいたこと に感謝している。 【⑦国の機関・公的機関】 ・地震が発生すれば、自然に体が動くように、こういったシェイクアウト訓練は続けていく必 要があるので年に何回か実施していただきたい。 ・県民一人一人が自分の身は自分で守るという意識を持つことが重要であるので継続的な訓練 が必要であると感じた。 ・国の行っている緊急地震速報訓練と同じ時間に行っていただきたい。 【⑧地方自治体】 ・国の情報伝達訓練が10時からで、シェイクアウト訓練が14時からで時間がずれていたの で同時刻に合わせたほうが良いのではないかと思った。 ・シェイクアウトは机の下で身を守る安全確保行動を行うが、机の下の空間を物置として使っ ている人も多いため、日頃から机の下の空間確保についての広報を行う必要がある。 ・訓練で使用する音声を事前にテープでいただきたい。 【⑨医療・福祉関係機関】 ・シェイクアウトへの取り組みが職員の災害対策に関する意識向上につながっている。 ・近い将来に起きるであろうと言われている南海トラフ地震について、いつも頭の片隅に留め ておき、いざというときに対応出来るよう一人ひとりが考える良いきっかけになった。 - 20 - 【⑪企業】 ・「県民いっせい」とするなら、参加しなきゃいけないという意識付けを県民に向け十分に行 なって欲しい。参加している方が珍しいという雰囲気を感じたので、訓練の形骸化につなが らないようにしてほしい。 ・どの程度の規模の地震と、どの程度の被災状況を県として想定して実施しているかを示して いただければ、想定内容に合わせた行動訓練も追加できる。 ・地震発生時には、気が動転し何をしたらよいのか分からなくなるが、今回の訓練のように繰 り返し実施することで、いざという時の行動を自然と身につけることができ非常に有効であ ると感じている。 【⑫その他の団体】 ・初めての訓練だったので、シェイクアウト後の訓練や点検など、プラスワン訓練の具体的な 実例を知っておく必要を感じた。ホームページに紹介いただければありがたいと思った。 ・訓練開始の合図をアプリ以外の媒体からも発信できれば更に多くの人が参加しやすいと思 う。 ・地域の放送設備から、同日午前中の全国シェイクアウト訓練に対応した訓練放送があり、少 し混乱があった。 - 21 - ●課題と改善点 1.参加人数について 今年度の訓練への参加人数は、昨年度と比較すると、約3,500人の増加となった。参 加形態ごとに比較すると、自主防災組織、医療・福祉関係機関、小学校・中学校、高校・大 学を中心として、昨年度よりも増加したが、保育所・幼稚園などでは減少した。 自主防災組織、医療・福祉関係機関については、今年度は、新たに特別養護老人ホーム等 の施設における災害対応能力を高めるため、シェイクアウト訓練に合わせて、「かがわ自主 ぼう連絡協議会」のスタッフが施設を訪問し、危険箇所や避難経路の確認等の助言・指導を 行うこととしたことに加え、自主防災組織と福祉施設などで合同訓練を実施するなど、地域 の防災力向上につながる訓練を行っていただくよう働きかけたことなどから増加し、小学 校・中学校、高校については、県教育委員会を通じて学校行事との日程調整を行ったことか ら増加したものと思われる。 一方、保育所・幼稚園などは、開始時間が14時という設定であったことから減少したの ではないかと考えている。今回の参加登録状況等を踏まえ、来年度に向けて周知方法等をよ り工夫できないか検討していきたい。 2.実施日時について アンケートによれば、地方自治体及び学校関係者や国の機関・公的機関等から、「国の情 報伝達訓練が10時からで、シェイクアウト訓練が14時からで時間がずれていたので同時 刻に合わせたほうが良いのではないかと思った」、「国の行っている緊急地震速報訓練と同じ 時間に行っていただきたい」などの意見があった。今後は、早期に実施日時を周知すること や、実施団体の事情に応じて、訓練日時の変更が可能であることを重点的に周知することが 必要である。また、国の緊急地震速報訓練の情報を早めに収集し、実施日時の検討を行いた い。 3.訓練内容について 「初めての訓練だったので、シェイクアウト後の訓練や点検など、プラスワン訓練の具体 的な実例を知っておく必要を感じた。ホームページに紹介いただければありがたいと思っ た。」などの事例紹介を求める意見があったので、来年度は、県ホームぺージにおいて、新 たに、学校や福祉関係機関などの避難訓練や消火訓練などの、プラスワン訓練の実施例の紹 介を行いたいと考える。今後、より一層多くの方に参加いただけるよう、来年度に向けて、 周知等の工夫を図るようにする。 - 22 - 4.訓練開始の合図について 訓練開始の合図として、NTTドコモが開発した“地震防災訓練アプリ”を広く紹介した が、音のボリュームや使用方法について改善を求める声があった。また他にも、 「訓練開始の 合図をアプリ以外の媒体からも発信できれば更に多くの人が参加しやすいと思う」や「学校 独自で訓練を行うために、緊急地震速報の訓練用音声データが入手できればありがたい」等 の意見が寄せられたため、今後は、合図についても、シェイクアウト提唱会議ホームページ から訓練用音声がダウンロード可能である旨を周知することや、より利用しやすい音源や方 法を検討する必要がある。 5.周知・広報について 今年度で4回目の実施となったことから、「「シェイクアウト」という言葉が浸透してき て、管内の自主防災会や教育機関など、実施する団体が増えているように思う」という意見 があった一方で、「各種の報道機関でPRされていたが、まだ県民への伝わりが少なく意識 が低いように思えた。」や「学校単位では行えていても,施設や企業では実施していないと ころが多い。 」との意見もあった。 今年度は、新たに長寿社会対策課が所管する「介護保険電子メール同報配信システム」を 用い福祉施設等に対して広報を行ったことや、香川県中讃地域を対象としたコミュニティラ ジオ放送局との連携により広報を行った。 来年度は、5回目の「香川県シェイクアウト」にあたるため、更にメディアと連携した周 知を検討していくとともに、県ホームページの内容の改善等によって、より効果的な周知方 法についても検討していく必要がある。 - 23 - ●おわりに 南海トラフ地震の発生が懸念される中、地震による被害をできる限り軽減し、県民の安全 を確保するためには、まずは、自らで「命を守る」ことが重要であり、こうした訓練を県内 一斉に実施することにより、各団体等において、避難訓練などのプラスワンの取組みも浸透 してきており、県民の防災意識も年々向上してきていると考える。 今年度の訓練参加者からは、「防災に関して考え直すきっかけになった」、「今後もシェイ クアウト訓練を続けていきたい」、 「繰り返し訓練を実施する必要がある」など、訓練が有意 義であったと感じた意見が多く寄せられたことから、シェイクアウト訓練を通じて、身の回 りの防災対策をはじめ、一人ひとりが防災・減災の基本である「自助」を認識していただく 効果的な訓練となったと考えられる。今後は、シェイクアウト訓練をきっかけとして、地域 と連携した訓練や、施設の特徴に合わせた様々な想定の訓練等が実施されるよう、周知方法 の検証等を行い、訓練内容がより実践的で充実したものになるよう改善していく必要があ る。 また、香川県シェイクアウトは今年度で4回目の実施となり、昨年度より3,500人多 い県民の方々に参加していただいたが、来年度はより多くの方々に参加していただくよう努 めるとともに、大規模地震が発生した際の安全行動を行うことの重要性や住宅の耐震化や避 難経路の確認、危険箇所の確認など様々なバリエーションのプラスワン訓練を周知・提案す るとともに、多くの方々にプラスワン訓練に取り組んでいただくため、具体的な実施例を紹 介するなど、シェイクアウト訓練を、より効果的なものとなるよう充実させていく必要があ る。 - 24 -