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松本 理寿輝議員 提出資料(PDF)
資料2-5 一億総活躍国民会議資料 平成27年11月12日 松本理寿輝 「希望出生率1.8」 ・ 「仕事と育児の両立」支援。家庭(子育て)か仕事の二者択一でなくなる社会。 ・ 「経済的負担」育児・教育にかかる直接費用も大きいが、継続して勤められないことによる 機会費用の方が大きい →重要な施策のひとつ、施設の質・量の拡充 (1)「幼児教育無償化」の拡大 ①こども自身のため ②希望する女性が働き続けられる環境づくり ③生産性増加、経済へ好影響 ④社会的結束、コミュニティの発展 ⑤ソーシャルインクルージョン(誰も排除されない社会) ・ 保育所、幼稚園、認定こども園等、就学前プログラムへの投資は、個人の幸福(well-being) のみでなく、国に対して、経済的、社会的、文化的に与える影響が大きい「公平性」と「効 率性」をともに実現する投資である。 ・ 量の拡充とともに、幼児教育・保育の質について、社会的議論を一層展開して行く必要性。 結果主義からプロセス主義へ。プロセスクオリティをどのように評価するか、各国でも指標 が出てきている。同じくして、保育者、教師の資質についての議論も必要。 (2)待機児童ゼロ 「40万人を50万人に」 「保育士確保プラン」について 『社会から「期待」され、やりがいある職業へ』 ・ 保育者の資質(研修等資質を高める取組み、成長できる職場、学習する組織、やりがい) ・ 職場環境の充実、改善(配置基準の見直し、風通しのよい組織など) ・ 保育の質を落とさずに、保育士が行う業務について、要件を一定程度柔軟化する(保育士等 確保対策検討会 平成27年11月9日 方針) ・ 社会的な地位(高度で専門性の高い、尊厳ある仕事をしている)、 処遇改善(OECD加盟国では小学校教員と同程度の国が多い中、日本は加盟国の中で給与格 差が最も大きい) (3)保育所、幼稚園、認定こども園を地域福祉や文化振興の拠点に(ソーシャルワーカー的な 役割を持つ「地域コーディネーター」の設置等) ・ 保護者が日常的に通う場であるため、直接的な支援をしやすい。地域での「若い世代」をつ なぎ合わせやすい。 ・ 高齢者が地域で活躍する場、健康増進(高齢者福祉) ・ 中高大学生、リタイア男性、育児がひと段落した母親等に保育所でボランティア(若者が子 育てのリアリティを持つ、市民のQOL) ・ 様々な状況にある子育て世帯を支える、育児の負担感、仕事との両立支援(地域の子育て拠 点の役割を一層強化) 1 ・ 町内会や各施設と連携し、スポーツ、文化振興の拠点に ・ 地域で生きた課題に出会う教育機会の創出として(教育的視点) (4)インクルージョン ・ 様々な状況にあるこどもたち(貧困家庭も含む) ・ 様々な個性で生まれてきたこどもたち(スペシャル ライツ 、特別な権利のあるこどもたち) →働きかけと具体的な行動の拠点に 以上 (以下、参考資料) ◼︎ 質の高い就学前プログラムの投資と意味について ・ 米国ペリー就学前プログラムでは、費用便益比率7倍と推計。スイスのチューリッヒ研究で は、年間1800万スイスフランの公的投資は、追加の税収と社会扶助費の減少により少なくと も2900万スイスフランのリターンをもたらす(OECD 2006) ・ こどもが小学校に入学する前に、すでにレースの半分以上を走っているとしたら、乳幼児期 に何が起きているかを明らかにする必要がある。(Esping-Andersen 2005) ・ もっとも重要な心理的・行動的パターンは、一度形成されてしまうと、小学校入学以降にそ のパターンを変えるのは難しくなる。(Heckman & Wax 2004) ◼︎ 保育所、幼稚園、認定こども園等の効果 ・ 北アイルランド追跡調査(EPPNI)。11歳時点の読み書き・数の学習効果と、16歳時点 のものを調査したものによると、11歳時点では、質の高いプリスクールと小学校が影響し、 16歳時点では、効果的なプリスクールの影響は残るが、小学校の影響は薄くなり、中学校 の影響が大きくなる。プリスクールの影響は長きにわたり影響する。質の高いプリスクール に通うと、国語と算数の成績が小学校で向上する。11歳時点の成績が、通わなかったこど も達より、国語2.4倍、算数は3.4倍。 ・ フランス。プリスクールに通うことで、成人後に収入が多く、社会的・経済的な不平等が減 る(特に、困難を抱える家庭のこどもたちほど、効果が大きい) ・ スイス。プリスクール数が増加。教育における世代間の流動性を促進。特に困難を抱えるこ どもたちほど効果が大きい。 ・ ノルウェイ。プリスクールに通うこどもたちは、教育レベル(教育歴)が高く、大人になっ てから、よりよい仕事の成果を出し、収入も多い。 ・ デンマーク。プリスクールのよりよい質が、9年生のよりよい成績と関連。プリスクールの 効果が、小学校入学後10年以上たっても継続してみられるという事実は驚きに値する。 ・ 09年PISAの結果。プリスクールに通園した15歳のこどもたちは、通わなかったこどもたち と比べて、平均して1学年分進んだ成績だった。 ・ 乳幼児期の保育は、人々を最も幸福(well-being)にするインフラとして重要である、とい う共通の観点にたって、エビデンスは多くの国で蓄積されている。 (以上、オックスフォード大学エドワード・メルウィッシュ教授、2015.8、東京大学発達保 育実践政策学センターでのシンポジウム資料より抜粋。) ※ 他、教育の流れの中では、小中学校教職員削減については、一層の議論が必要と考えます。 2