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地域生活支援への取り組み - 九州地区救護施設協議会

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地域生活支援への取り組み - 九州地区救護施設協議会
第 34回 九 州 地 区 救 護 施 設 職 員 研 究 大 会 : 第 3 分 科 会
『地域生活支援への取り組み』
参加者
幹
事
コーディネーター
記
録
受
付
18名
後藤
大島
冨永
川口
吉央 (大分県・渓泉寮)
毅 (佐賀県・かんざき日の隈寮)
祐介 (熊本県・真和館)
久美子(長崎県・みどり荘)
意見発表①
「地域生活支援への取り組み」
佐藤
1.意見発表
いずみ(大分県・渓泉寮/支援員)
概要
平 成 14年 4月 、 国 の 救 護 施 設 居 宅 生 活 訓 練 事 業 が 制 度 化 さ れ た 事 に 伴 い 取 り 組 み
を強化し、社会復帰希望者がスムーズに居宅生活へ移行できるように、訓練用住宅(グ
ループホーム)を借り上げ、より居宅生活に近い環境で日常生活や社会生活を行ってい
る。
地域生活援助事業の流れは次の通り。利用者のアンケート調査を基に社会復帰希望
者 を 集 約 し 、 6ヶ 月 間 訓 練 用 ア パ ー ト で 生 活 、 公 共 機 関 の 利 用 、 買 い 物 ・ 炊 事 訓 練 ・ 服
薬等、日常生活に必要な知識、技能の習得を図り、訓練の最終には、職業案内所・職
業訓練所への社会見学を終え、居宅生活の終了式を迎える。
そ の 他 の 事 業 と し て 、 救 護 施 設 居 宅 生 活 訓 練 事 業 ( 半 年 ご と に 3名 ず つ 参 加 ) 、 保 護
施 設 通 所 事 業 ( 訪 問 利 用 者 が 3名 、 通 所 利 用 者 4名 ) 、 ほ ほ え み 事 業 等 が あ る 。
事業の効果として、①社会復帰の自信が持てた ②訓練では成果が出なかった方で
も、積極的に行動するようになった。③社会復帰する仲間を見て「私も」と意欲向上につ
ながっている。④「居宅生活訓練→地域生活→社会復帰」という明確な区別の目標設
定が出来るため、目標が立てやすくマネジメントがしやすくなったというものが挙げられ
る。
2.今後の課題
課題としては、①安定した事業展開をするには一定の利用者数を確保しなくてはなら
ない。②適当なアパートが少ない。③居宅生活へ移行する際、アパート契約で保証人の
問題にぶつかる、などがある。
現在、この施設では、地域生活希望者に対し、日中活動の場として就労継続B型事
業を、夜間の生活の場としては共同生活援助事業(グループホーム)を開設し、安定し
-第3分科 会 1 -
た地域生活が送れるように対応している。これから先は、地域に出た後の支援の充実は
元より、地域移行を希望する方がより多く出る仕組みづくりが重要な視点である。その意
味において居宅訓練事業が利用者にとって身近なものであり、「地域での生活をしたい」
という夢が持てるような事業を展開していきたい。
3.質疑応答
▼グループホームは、どのような物件なのか?
・ グ ル ー プ ホ ー ム は 4か 所 あ り 、 そ の 内 の 一 つ は 車 で 5 分 く ら い の ア パ ー ト 。 そ こ で 生
活されている方は、施設の近くにバス停があるため、バスで通って来ている。
ま た 、 歩 い て 10分 ほ ど の 別 の グ ル ー プ ホ ー ム に は 、 歩 い て 通 っ て 来 る 方 も い る 。
▼ 発 表 の 中 に あ っ た 「 就 労 B型 」 と は ? Aと Bの 違 い は ? ま た 、 園 内 で 作 業 さ れ て い る の か ?
・ 「 就 労 継 続 支 援 A型 」 : 雇 用 型 。 能 力 や 障 害 に よ っ て 作 業 内 容 を 決 め 、 そ れ に よ
っ て 賃 金 を 支 払 う 。 施 設 と 利 用 者 は 「 契 約 関 係 」 を 結 ぶ 。 「 就 労 継 続 支 援 B型 」
:施設に入所している形をとり、日中活動の一つとして作業を行い、出席率によっ
て工賃が出される。作業はすべて園内で行っている。
▼グループホームの職員配置はどうなっているのか?また、仕事内容は?
・遅出の職員が夕方、施設からグループホームへ利用者を連れて帰り、夕食作り
の 支 援 を し て 、 20時 に 服 薬 確 認 を 行 う 。 朝 は 、 早 出 の 職 員 が グ ル ー プ ホ ー ム に
行き、朝食作りの支援をする。夜間帯は職員が一人おり、見守りを行っている。こ
の職員を昔は「世話人」と呼んでいたが、 今年度から「支援員」と呼び方を変え
た。これは、グループホームの利用者が、「『世話人』という呼び名だから俺たち
の身の回りの世話をするのが仕事だろう」と仕事を押し付ける事があったためであ
る 。 ま た 、 こ の 支 援 員 さ ん 以 外 に も 、 施 設 か ら 1か 月 に 1回 職 員 が 訪 問 し て お り 、
そ の 時 に 利 用 者 の 生 活 上 の 悩 み を 聞 い て い る 。 そ の 他 、 年 に 2回 、 支 援 員 と 施 設
職員との意見交換会を開き、情報の共有化を図っている。
▼グループホーム対象者の基準は?
・アンケート調査をし、社会復帰の希望がある方の、服薬管理、金銭管理、身体能
力を見て決める。また、対象者同士の相性、長期か短期か、支援を進めるスピー
ドなども考慮する。
▼グループホームに行く人の割合はどのくらいなのか?
・立ち上げ当初に比べ、高齢化が進んできており、最近はこちらが求める能力値を
持つ希望者が少なくなってきたため、基準値をかなり下げて定員数の6人は確保
するようにしている。
▼「ほほえみ事業」とは?
・施設を退所された方の住まいを月1回訪問し、生活上の悩み相談を受ける。そ
の他、利用者の承諾を得て、職場訪問も行い、仕事上の問題を抱えていないか
などを確認している。
▼ 地 域 移 行 を し 、 施 設 外 に 出 た 場 合 、 保 護 費 の 出 所 の 市 町 村 が 変 わ る が 、 そ の 問 題 は 大 丈 夫 か?
・各福祉事務所には事前に説明して、納得してもらっている。その了承を得た上で
事業を始めた。
▼「福祉農園ハイテク」とは?
・車椅子の方でも農園作業ができるように、プランターが全自動で動く施設。今
は、花の苗、ミツバを作っている。これらは近くのスーパーやJA直売所に卸している。
-第3分科 会 2 -
4.助言の概要
地域生活支援事業は実施されている施設を見学されるのが一番だと思う。そして
職員一人一人が、地域生活移行のための支援を行うという事を念頭に置いて、福祉
事務所の職員と連携を取りながら進めて行く事が大切である。また、今後は刑務所を
出所した方が、救護施設に生活の場を求めて来られるケースが多くなってくると予想
される。そうなると、犯罪者の社会復帰という難題に直面する事が考えられるため、的
確に対処できるよう、より一層、各自の能力向上のため日々の努力をお願いしたい。
懸案事項に対してのグループ討議
◆ Aグ ル ー プ
・地域で就労するために、職業斡旋所へ行くが、「障害者手帳を持っている」と言っ
ただけで、断られるので、福祉関係の職業相談所へ行くようにしている。
・ ア パ ー ト を 探 す 際 に は 、 保 証 人 請 負 会 社 に 頼 む か 、 「 保 証 人 な し で も OK」 と い う 物
件を探している。しかし、なかなか良い物件が見つからない。
・就労先を探して地域生活へという方は滅多におらず、保護継続のまま社会に出て
行く人が多い。その場合、施設で居宅生活の訓練をしっかりと行っている方の方が、
自信が付いている分、地域生活定着率が高いように感じる。グループ討議の中でこ
のような意見がでた。まだ、地域生活事業を行っているところはごく少数なので、施
設での支援形態をステップアップさせていき、ゆくゆくは地域生活事業まで進めてい
きたい。また、地域移行の後も定期的な訪問をし、見守る覚悟で臨まないといけな
い事を学んだ。
◆ Bグ ル ー プ
・実際、生活保護の制度を活用している施設はほとんどない。この原因の一つに「確
実な定員確保が困難」という壁があると思う。
・施設で、地域移行訓練をしていても、地域生活が可能なレベルまで到達する方が
少ない。
・マニュアル化、システム化して職員が安定した支援が行えるようにしなくてはならな
い。
・根本的な問題点として、地域生活ができるような方ほど、貯蓄をしない。また、多重
債務で地域へ出ても借金取りに追われる生活になってしまう、などの金銭的な問題
がある。
◆ Cグ ル ー プ
・ A・ Bグ ル ー プ と ほ と ん ど 同 じ 意 見 だ っ た が 、 そ の 他 に 「 社 会 復 帰 の 足 が か り と し て 、
近くの弁当屋やゴルフ場の除草作業などをボランティアのような金額で請け負って
いる」「グループホームから、施設へ作業に通って来られる方には毎朝、声かけをし
て身だしなみのチェックを行っている」といった意見が出た。
分科会まとめ(コーディネーターより報告)
第 3分 科 会 の 報 告 を さ せ て い た だ き ま す 。 私 は 、 佐 賀 ・ 整 肢 学 園 か ん ざ き 日 の 隈
寮の総務課長と入所サービス課の課長をしております大島と言います。よろしくお願
いします。
第 3分 科 会 に つ き ま し て は 、 渓 泉 寮 の 佐 藤 さ ん の 方 か ら 「 地 域 生 活 支 援 の 取 り 組
み」という事で渓泉寮さんの事業の今までの経過とか内容、課題、今後の方向性等
-第3分科 会 3 -
に つ い て 発 表 し て い た だ き ま し た 。 内 容 に つ い て は 、 レ ジ メ の 51ペ ー ジ か ら の 方 に 載
っておりますのでご参照ください。
その後各施設からの懸案事項について協議を行ないました。懸案事項につきま
しては大きく、地域生活支援事業に関するもの、それと、各施設で独自に取り組ま
れているものについて検討を行なっております。地域生活関係事業については、実
施している施設が少ないという事で渓泉寮さんの方からアドバイス等を頂きながら問
題点等、助言頂いております。
それから各施設で独自に行なっている取り組みにつきましては、各施設さんとも、
社会資源等を活用されながら、独自の移行支援をされたという事です。
でも、最終的なまとめとしましては、施設の取り組み等を今後ますますステップアッ
プさせて、退所後も施設として何らかの支援をして、地域移行に繋げていくという事
でまとまっております。
最後に私の感想ですけれども、地域移行事業をされている所はまだ少ないようで
すけれども、活発な意見等を出されて、大変有意義な会だったのではないかと思い
ま す 。 簡 単 で す け れ ど も 3分 科 会 の 報 告 を 終 わ ら せ て い た だ き ま す 。
-第3分科 会 4 -
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