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“固有の領土”を考える

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“固有の領土”を考える
平成24年11月20日号
「“固有の領土”を考える」
外務省 国際法局
参事官 山上 信吾 氏
(平成 24 年 10 月 29 日 於日本記者クラブ)
の領土になったことはない」という意味において使
っております。したがって択捉・国後・色丹・歯舞
の北方四島についても固有の領土といっていますし、
竹島についても、尖閣諸島についても同様です。
ひとつご参考で申しますが、北方領土に関連して
択捉島の北にあるウルップ島以北のいわゆる千島十
八島については位置づけが違います。
1855 年の日露
通商友好条約締結の際、日露の国境はウルップ島と
択捉島の間に引かれましたが、20 年後の 1875 年に
は樺太千島交換条約によって千島十八島は平和裏に
日本の領土になりました。それが第二次大戦後のサ
ンフランシスコ平和条約によって我が国はこの千島
列島を放棄したわけですから、日本の領土になった
日本外交協会の皆さんのご関心をふまえ、次のよ
うな課題に分けて進めたいと思います。
よく使われる「固有の領土」とは一体どういう状
態を指すのか、第二に尖閣諸島について領土問題の
存在を認めるべきか否かという問題。さらにICJ
(国際司法裁判所)
への提訴に関する問題などです。
お断りしておきますが、今日の話は多分に私の個人
的な見解が含まれておりますのでご了承ください。
第一の
「固有の領土」
という表現についてですが、
これは法律的な概念ではありません。英語に訳せば
inherent part of the territory of Japan となります
が、この inherent が国際法上確定した意味を持って
いるわけではありません。日本政府は、
「一度も他国
資料 日本国との平和条約(サンフランシスコ平和条約)から抜粋
第2条
(a)日本国は、朝鮮半島の独立を承認して、済州島、巨文島及び鬱陵島を含む朝鮮に対するすべての権利、
権原及び請求権を放棄する。
(b)日本国は、台湾及び膨湖諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。
(c)日本国は、千島列島並びに日本国が 1905 年 9 月 5 日のポーツマス条約の結果として主権を獲得した樺太
の一部及びこれに近接する諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。
(d)以下省略。
第 3 条 日本国は、北緯 29 度以南の南西諸島(琉球諸島及び大東諸島を含む。
)
、孀婦の南の南方諸島(小笠原
群島、西之島及び火山列島を含む。
)並びに沖の鳥島及び南鳥島を合衆国を唯一の施政権者とする信託統治制
度の下におくこととする国際連合に対する合衆国のいかなる提案にも同意する。このような提案が行われ且
つ可決されるまで、合衆国は、領水を含むこれらの諸島の領域及び住民に対して、行政、立法及び司法上の
権力の全部及び一部を行使する権利を有するものとする。
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http://www.spjd.or.jp
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