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第2回報告 - 東京外国語大学

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第2回報告 - 東京外国語大学
第2回インターンシップ報告書
2014 年 11 月 1 日
International Organization for Migration
the migration agency
Sudan
国際移住機関
スーダン共和国
目次
1. インターンシップ概要
2. 業務内容
3. 今後の目標
4. その他
東京外国語大学
大学院総合国際学研究科
国際協力専攻
平和構築・紛争予防専修(PCS)
博士前期課程
東山慎太郎
1
1. インターンシップ概要
1.1. 派遣先機関
International Organization for Migration (IOM); Sudan
(国際移住機関 スーダン共和国)
1.2. 派遣先部署
ハルツーム(首都)事務所
Peace Building and Community Social Cohesion Unit
Cross Border Peace and Cooperation (CBPC) Program 担当
1.3. 派遣期間
2014 年 9 月 28 日〜2015 年 3 月 27 日
2. 業務内容
2.1. 一日の流れ
08:30
12:30
13:30
17:30
出勤
上司と当日の業務内容について確認
メールのチェック
国内外のメディア、および国連機関・国際機関のサイトをすべてチェック
し、直近の情勢を確認する
昼食
午前業務の続きおよび関連文献の検索、読み込みを行う。また関係各位と
適宜ミーティングを行い、情報の共有および整理を行う
退勤
2.2. 業務詳細(10 月 3 日〜10 月 31 日)
10 月は「犠牲祭(供犠)」および「国連の日」(祝日)があり、連休が続いたため、出
勤したのは月の約半分であった。
2.2.1. 情報収集および文献の読み込み
所属しているプログラム・ユニットでは、紛争予防を主目的とした、社会・経済開
発事業、CBPC を推進しており、国内情勢、特にプログラム実地予定地であるダルフ
ール情勢を把握するため、国内外のメディア、スーダン国内で活動している国連機
関・国際機関、およびインターナショナル NGO などのウェブサイトを常にチェック
し、直近の情報を把握している。また、ナショナルスタッフと情報を共有し、適宜
ミーティングを行っている。
2.2.2. アセスメントの作成
CBPC を推進するにあたって必要な、アセスメントの作成を行っている。事業に関連
するアクター(遊牧牧畜民、定住農耕民、政府関係者など)が多岐にわたっている
他、プロジェクトの選定及び優先順位の決定には水資源の有無、民族間の関係性お
よびダルフール情勢などが大きく関ってくるため、アセスメントの仔細を詰める作
業にはかなり時間を要している。ただ、本件を実施する事が新たな紛争要因となら
ない様に、現地の情勢や利害関係等を慎重に考察し、準備を進める必要がある。
2.2.3. 選挙関連事業
直属の上司は選挙関連の事業も兼任しており、こちらの手伝いも行っている。スー
ダンでは来年 4 月に総選挙が実施される予定で(大統領も選任予定)、それに向け、
NGO や CSO(市民社会団体)の能力強化が求められている。また、女性や青少年およ
び遊牧牧畜民に対して選挙の知識(選挙登録の仕方や、投票の仕方等)を紹介し、
彼らの声を選挙に反映させる必要がある。
2.3. 担当プログラムの概要
2011 年の南スーダン独立後、新たな「国境線」がスーダン-南スーダン間に発生した為、
それまで両国を自由に行き来していた遊牧牧畜民が新たな問題(国境移動にかかる税金、
所属国の問題など)に接しているほか、遊牧牧畜民と貿易をしていた定住農耕民族への物
資供給が途絶え、彼らの生活も圧迫している(生活物資のインフレなど)。現状の大きな
問題として以下の 3 点が挙げられる;
1)スーダン-南スーダン間の紛争および難民問題
2
2)気候変動による水資源の枯渇および定住農耕民族の農地開拓による土地問題
3)定住農耕民族-遊牧牧畜民間による争いの増加および深刻化
2.4. 上記 3 点の問題を打破し、民族間のバランスを保ち、紛争予防に繋げるのが本プロジェク
トの主目的である。お互いの民族が平和に共存し合える環境を構築するため、以下の 4 点
を本プログラムで推進する予定である;
イ) 水資源の有効活用
既存する井戸の修繕・改修および新たな井戸の設置などを行い、水資源を利用する
人と家畜のデマケを行うと共に、衛生管理を実施する
ロ) 経済開発
地域・村落にマーケットを設置し、両民族が交易できる場所を提供する
ハ) 安全性の強化
UNAMID(国連平和維持軍)と連携し、警察機関の能力向上および安全・安定した地
域社会の構築を行う
ニ) 教育現場や社会団体の能力向上を推進し、女性・青少年へのサポートを行う
3. 今後の目標
3.1. 担当プログラムへの知識および理解を深め、実施を行うための準備を整える:直近の情報
収集は毎日行っており、かなり理解できていると思う。ただ、どの様な経路で今に至って
いるのか、原因をはっきりと理解できるまでには至っておらず、掘り下げていく必要があ
る。実施に関して、アセスメントの作成を行っており、徐々に推進が出来ていると思う。
(2/10)
3.2. アラビア語の基礎知識を取得する:家庭教師を雇い、週 2 日のペースで勉強をしているが、
まだ理解できる単語数が少なく、時間がかかりそうである。(2/10)
3.3. 本インターンシップを修士論文に反映させるため、情報収集および経験を得る:着任して
からかなりの文献を読み込んできたが、その中で、自身が考えていた論文内容と同じもの
が数年前に既に発表されているのを発見した。自身の方向性、アプローチの仕方が間違っ
ていなかったと認識する事は出来たが、論文内容を一から考え直す必要がある。(0/10)
3.4. 大学院卒業後は国連機関または国際機関で職を得る事を目標にしており、本インターンシ
ップを通じて、各機関への知識および理解を深め、自身のキャリア形成を行う:本事務所
では様々な経歴を持った職員が働いており、彼らから情報収集を行っている。ただ、他の
国連・国際機関職員とはまだ交流が少なく、情報を得る必要が有る。(1/10)
(10 点満点で達成度を評価し、自身の指標とする)
4. その他
4.1. スーダン国の現状
4.1.1. 政治
 反政府組織がダルフール、南コルドファンおよびブルーナイル州(いずれも南スーダ
ンと国境を接している州)にて活発に活動しており、政府との衝突も日々エスカレー
トとしている
 反政府政治団体に対して圧力が強まっており(来年 4 月の選挙が関連していると思わ
れる)、何人もの逮捕者が出ている
 政府は反政府組織に対して、攻勢を強めており、連日の様に空爆が行われている。そ
れに伴い、一般市民への被害も拡大しており、多くの死傷者がでている。また同時に、
一般市民に対する反政府組織による被害も拡大しており、多くの国内避難民(IDPs)
を出している
 UNAMID(国連平和維持軍)に対して攻撃があり、3 名の殉職者を出している。なお、
首謀者は分かっていない
4.1.2. 人道支援
 スーダン国民の約 20%、690 万人が人道支援を必要としている(内 350 万人はダルフ
ール、120 万人は南コルドファンおよびブルーナイル州)
 ダルフールの国内避難民約 240 万人の内、40 万人が 2014 年以降、新たに発生してい
る。これは 2004 年以来の急激な増加であり、国際社会の支援が切に求められている
3

昨年 12 月の南スーダンでの国内政治衝突により、約 10 万人の南スーダン国民がスー
ダンに逃れてきている
4.1.3. 食料&医療/衛生
 ダルフールの約 350 万人は食料危機に瀕している(内 80%は国内避難民である)
 5 歳以下の 200 万人以上の子供たちは、栄養失調に瀕している
 ビルハルツ住血吸虫の発生がダルフールで前年比 70%増加している他、リーシュマニ
ア、疥癬(かいせん)、白癬(はくせん)などの病気の増加も報告されている
 医療品や医療従事者の不足により、多くの人々が基礎医療すら受けられない
 多くの国内避難民キャンプでは極度な水不足に瀕しており、あるキャンプでは一日
2.5 リットルの水しか利用できない
4.2. 安全対策
4.2.1. 邦人安全対策連絡協議会
在スーダン日本国大使館にて協議会が開催され、スーダンの情勢(内政、経済およ
び外交について)、医務官からは「エボラ熱の流行状況ならびに感染予防対策」、
そして領事からは安全対策や連絡事項等を紹介して頂いた。また、多くの日本人の
方々も参加しておられ、情報を共有し、自身の安全対策に役立てたいと思う。
4.2.2. Security Briefing
UNDSS(国連警備部)にてスーダンの情勢および国連職員として安全対策をどの様に
行うか等のブリーフィングを受けた。
4.3. 1 ヶ月を終えて
スーダンに赴任してから早くも 1 ヶ月が過ぎ、職場環境や生活習慣などに少しずつ慣れ
るに連れ、赴任前に気負っていた不必要なプレッシャーもかなり取り除かれたかと思う。
予想外の休日の多さと、上司の多忙さ(選挙関連のプログラムを兼任している)により、
仕事量はかなり少なかった様に思われる。ただ、赴任して間もない私にとっては、時間を
有効に使う事が出来、良かったと思う。
また現在、プログラムのアセスメントを任されているが、知識を得、理解を深める度に、
現状の困難さに直面し、壁にぶつかっている毎日である。「平和とは?」、「人間の価値
とは?」など、学問として議論してきた議題が面前にあり、自身の出来不出来に左右され
る(微々たる物だと思うが)と考えると、今まで対岸から無責任に議論し物事を決めつけ
ていた自身を恥ずかしく思うと同時に、プログラムを推進するにあたって、かなりのプレ
ッシャーを感じている。
生活面では特に問題なく、順調に適応できつつあると思う。週 2 回アラビア語の個人レ
ッスンを受けており、少しずつでは有るが、単語も増え聞き取れる様になった。ただ、挨
拶や自己紹介程度は出来るが、それ以上はまだまだである。
物価は思っていた以上に高く、節約を心がけているが、やはりエアコンなどで電気代が
高くなってしまう。昼食は主に事務所近くのケバブ店でサンドウィッチ(約 USD$2.00)
を購入している(週 3-4 日)。お店の人とも仲良くなり、片言のアラビア語で交流してい
る(ただ、なぜか格闘家と間違われ、お店に立ち寄るといつもファイティングポーズを取
られるが、否定できるだけのアラビア語が無いため、そのままである)。
4
4.4.
(アラビア語の先生)
(ケバブ店)
(オフィスにて)
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