...

東・東南アジアの越境する子どもたち

by user

on
Category: Documents
24

views

Report

Comments

Transcript

東・東南アジアの越境する子どもたち
申請者
(研究代表者)
副代表者
石井 香世子
床呂 郁哉
(和文)
東・東南アジアの越境する子どもたち--トランスナショナル家族の
子どもをめぐる文化・アイデンティティとローカル社会--
(英文)
Child Migration in East/Southeast Asia: Culture and Identity of
Children Raised in Transnational Household
共同利用・共同
研究課題名
研究期間
共同研究員
本研究所
専任教員(氏名)
共同利用・共同
研究課題の概要
研究の背景
2016
年度 ~
2018
年度 (
3
年間計画)
8名
床呂郁哉 ・ 錦田愛子
本共同研究の目的は、東・東南アジア地域を中心とした「越境する
子ども」たちの事例から、グローバル化と人の移動の増加がトランス
ナショナルな階層の出現をもたらしているのではないかという点を検
証することにある。具体的には、日本・韓国・中国・台湾・フィリピ
ン・インドネシア・マレーシア・タイ・ミャンマー・ベトナム各国を
中心としたトランスナショナル家族と「移動する子ども」の事例を
フィールド調査に基づいて分析する。
応募者らは2010-12年AA研共同研究課題で結婚移住について研究し、
結婚移住を「比較的貧しい“南”の国々から、比較的豊かな“北”の
国々への女性(花嫁)の移住」というだけでなく、トランスナショナル
世帯において長期的なライフステージの変化に伴って繰り返される、
反復・循環する多様な移住現象として描き直す意義を提唱するに至っ
た。その過程で、移住現象のなかに立ち現われつつあるトランスナ
ショナルな階層社会の出現が、次の分析課題として浮上した。この現
象は結婚移住第一世代よりも、生まれながらの「ディアスポラ」であ
るその子供たちの人生に、より大きな影響を与えていると考えられ
た。そこで次のステップとして、近年注目されている「越境する子ど
もたち(単に身体的な越境移動のみでなく、言語・文化やアイデン
ティティを“行き来”する日常を送る子どもたち)」に焦点を絞り、
研究をより深めるべく、応募した次第である。
これまで人身売買や強制労働の文脈で議論されることの多かった子ど
期待される
研究成果
もの越境移住について、①家族のライフステージの変化に伴い越境移
住する子ども、②親の離婚に伴い親の母国へ「戻る」子ども、③親の
滞在ビザを保証するため国籍保有国に「帰る」子ども、④親の再婚に
伴い海外養子縁組をして移住する子ども等に関し、言語・文化・社
会・経済・法的な立場と、それが成人後の彼らの生活に及ぼす影響に
関する、研究事例が提供されることが期待される。
研究の実施計画
研究方法としては、基本的にすべてのメンバーが担当地域において
フィールド調査を実施する。その結果を共通の理論的枠組みによって
分析し、全体としてひとつの結論を導くことを目指す。また研究成果
は国際会議を開催し、その発表ペーパーを修正して英語書籍として出
版したい。成果は、研究プロジェクトのホームページを通じてweb上か
らも積極的に発信し、双方向的なコメントを受付けさらなる発展を目
指す。
実施計画としては、2016年度は3回の研究会を実施し、①Brenda
Yeohの"Child Migration (2012)" ②Veal e& DonàのChild and Youth
Migration: Mobility-in-Migration in an Era of
Globalization(2014)等を中心とした先行研究をレビューし、メンバー
間の理論的視座の共有を図る。また各メンバーのフィールド事例を報
告しあい、用語定義と理論枠組みの統一を、できる限り試みる。
2017年度は前半に2回研究会を実施して各メンバーの研究内容を精
査・発展させ、11月を目途に国際会議(Child Migration in Asia)を
実施する。国際会議では共同研究の国内メンバーと海外メンバーに加
えて公募によって海外から発表者を招聘し、20名程度の発表者による
発表を実施する。
2018年度は4月に実施する研究会を締切りとして、前年度11月の国
際会議発表ペーパーの修正稿を提出してもらい、7月を目途にその中
から10名分を選んで最終成果物Aとして出版社に持ち込み、英語圏の出
版社から出版する。また残る論文は成果物Bとして査読なしのAA研出版
物へ応募する。成果物Bはこの年度中に出版したい。2019年度に、AA
研共同研究期間は終了しているが、科研費最終年度であるこの年に、
成果物Aの出版を実現したい。なお必要に応じて科研費等との併用も検
討する
問い合わせ先:[email protected] (床呂郁哉)
Fly UP