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第4回:教科書・体系書を読む∼課題解答編
第4回:教科書・体系書を読む∼課題解答編 10月28日(火)/11月7日(金) 除斥期間 民法上明示的な規定はない 消滅時効 (例) 条文 民法166条以下 「その期間内に権利行使をしないと、その後 はいっさい権利行使ができなくなる期間」 (四宮=能見356) 「一定の事実状態が永続する場合に、それが 真実の権利状態と一致するか否かを問わず、 その事実状態をそのまま権利関係として認め ようとする制度」(四宮=能見328) 「一定の権利について法律の予定する存続期 間」/「権利の行使に着手されるまでの期間 であり」/「その期間内に訴を提起すればよ い」(我妻437-438) 「一定の事実状態……が永続した場合に、こ の状態が真実の権利関係に合致するものかど うか……を問わずに、その事実状態をそのま ま尊重し、これをもって権利関係と認め…… [る]とする制度」(我妻430) 定義 「純然たる権利行使期間であって、一定の期 間内に権利の行使をしないと権利が消滅す る」(内田329) 「一定の時間の経過によって債権[その他の 権利]が消滅」/「契約の効力が一定の時間 の経過によって消滅する制度……時効は[条 件・期限と異なり]法律上発生する効果」 (内田304) 「この期間内に権利関係を確定すること」 (四宮=能見356) 「長期の権利不行使によって権利の不存在が 推定される」制度/「真実弁済した債務者の 証明困難を救済する」「債務者は10年間弁済 の記録を保存すればよい、という事務の効率 化」(四宮=能見331-332) 「権利関係を速かに確定しようとすること」 「時効制度は、……継続した事実状態を尊重 するという基礎に立つのに反し、除斥期間は そのような状態を顧慮しない」(我妻437) 根本的な存在理由は「社会の法律関係の安 定」(我妻431:傍点省略) /第二次的には「証拠保全の困難を救済する こと」「権利の上に眠っているものを保護し ないということ」(我妻432:傍点省略) 目的・ 存在 理由 長期にわたる事実関係を前提として構築され た社会秩序や法律関係の安定/過去の事実の 立証の困難を救う/「権利の上に眠るものは 保護に値せず」の3つがあげられるが、「一 元的な正当化は困難というほかなく、個々の 時効制度ごとに多元的に存在理由を考えてい く」(内田306-307:傍点省略) 「法律関係の速やかな確定」(内田329) 権利の発生時(四宮=能見356/内田329) 起算点 権利を行使することができる時(166条1項) 無し(四宮=能見356/内田330) 遡及効 の有無 有り(144条) 04 教科書・体系書を読む∼課題解答編 p. 1 除斥期間 消滅時効 不要(四宮=能見356/内田329) 「権利そのものの存続期間だから」(我妻 438) 当事者 の援用 の要否 必要(145条) 不可(四宮=能見356/我妻437/内田329) 中断の 可否 可 ・起草者は不可とする(四宮=能見356(梅を 引用)) ・しかし、認めてよいとする見解が有力(四 宮=能見(我妻を引用))/多数(内田329) ・最高裁平成10年6月12日判決が、除斥期間 について民法158条を類推適用と紹介(四宮= 能見356)/158条の法意に照らし除斥期間の 効果を制限+除斥期間とする判決を変更すべ きとの反対意見を紹介(内田330) ・「期間の満了の当時に天災その他避けるこ とのできない事情があるときは、第161条を類 推適用すべき」「かような場合にも猶予期間 を認めないことは、権利者に酷」「その猶予 期間は限られていて、権利関係を早く確定し ようとする除斥期間の趣旨を乱すことにはな らない」(我妻437) 停止の 可否 158∼161条に規定 補論①・除斥期間か消滅時効か?(四宮=能見356/内田330/我妻438) • 起草者は「時効によって」という文言の有無に求める • その後、「権利の性質」によって判断するべきとして、形成権については除斥期間、請求権については消 滅時効と考えるようになった • しかし、さらに規定の趣旨・目的を考慮して実質的に判断するべき(請求権の期間制限であっても、除斥 期間と考えるのがふさわしい場合がある) 補論②・表の見方:「横の対比」「縦のつながり」 表を完成させるだけではなく、「横の対比」「縦のつながり」を意識すること。教科書・体系書から、一度 細切れに切り出した(1文1情報の原則)情報であるが、今度はバラバラの情報を頭の中でつなぐ作業をして みる。 • 横の対比 • 「定義」欄について、除斥期間に関する「権利行使期間であって、一定の期間内に権利の行使をしな いと権利が消滅する」という定義と、消滅時効に関する「 一定の時間の経過によって債権[その他の 権利]が消滅」という定義とでは、具体的にどのような違いがあるのか。 • 「目的」欄について、除斥期間に関する「権利関係の速やかな確定」という趣旨と、消滅時効に関す る「法律関係の安定」などの趣旨とでは違いがあるのか。 • 「縦のつながり」 • 「権利の行使期限」という定義と、「権利関係の速やかな確定」という趣旨とは、どのようにつなが るのか • さらに、「権利関係の速やかな確定」と援用の要否、中断や停止の有無はどのような関係に立つの か。 04 教科書・体系書を読む∼課題解答編 p. 2