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中国人野球選手の形態,身 体組成及び握力

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中国人野球選手の形態,身 体組成及び握力
岡山 医誌
(1999)
111,
1∼9
中国人 野球選 手の形態,身 体 組成及 び握 力
1)姫路工 業 大学 環境 人 間学部 環境 人 間学科
生 活環 境学 大講座
2)日本体 育 大学女 子 短期大 学運 動 方法 学研 究室
3)日本体 育大 学健康 教育 学研 究 室
4)岡山大学 医学部 衛生 学 講座
内田
勇 人1),大
貫
克 英2),諸
冨
嘉 男3),青
山
英 康4)
(平成10年10月5日 受 理)
Key words:
Chinese,
目
野 球 は 米 国,キ
baseball
players,
height,
weight,
body
composition
つ い て は不 明 な 点 が 多 い.中
的
ュ ー バ,ニ
body
国 人選 手の 技能 及
び チ ー ム 競 技 力 の 変 化 は 注 目 さ れ,歴
カ ラ グ ア,日 本 を
史 的経過
の 基 礎 資 料 と して 身 体 的 特 徴 を得 て お く こ とは
中 心 と し て発 達 し て き た ス ポ ー ツ で あ るが,世
今 日的 意 義 が あ る と考 え ら れ る.
界 的 な 普 及 度 と し て は 必 ず し も十 分 で は な く,
本 研 究 は,中
国 人 選 手 の 形 態,身
体 組 成並 び
1984年 の 第23回 ロサ ンゼ ル ス ・オ リン ピ ッ ク大
に 握 力 の 現 状 の 特 徴 に つ い て 明 らか に し,今 後
会 に 公 開 競 技 と し て参 加 し た 後,1992年
の 長 期 に わ た る追 跡 調 査 の 基 礎 資 料 を得 る 目的
の 第25
回 バ ル セ ロ ナ ・オ リン ピ ッ ク大 会 に お い て初 め
で デ ザ イ ン さ れ た.さ
て 正 式 種 目 と して 採 用 さ れ た.1978年
手 とい っ た ポ ジ シ ョ ン別 に解 析 し,ポ
ア マ チ ュ ア 野 球 連 盟(現
身)へ
時,国
際
在 の 国際 野球連 盟 の前
の 加 盟 国 は38カ 国 で あ っ た が,オ
リン ピ
対 象
め る 国 々 が 増 加 し,1997年 に は世 界105の 国 と地
ジ シ ョン
表 性 の点 か ら
競 技 レベ ル の 高 い 集 団 の 選 手 が 望 ま し い と考 え,
1996年 度 全 国 甲級 連 賽 野 球 大 会 成 年 組(中
球 とい
っ た 競 技 は世 界 的 に 高 い水 準 に あ る も の の 野 球
最 も レベ ル の 高 い 大 会)で
に 関 して は ま だ世 界 レ ベ ル の 大 会 で 好 成 績 が 挙
学 校 の 選 手14名,同
げ られ て お らず,近
年 は 海 外 か ら コー チ を招 へ
15名,同
い す る な ど して,競
技 力 向 上 へ の 積 極 的 な動 き
計35名 の 中 国 人 選 手 を選 ん だ.こ
を み せ て い る.
優 勝 し たP運
大 会2位T体
大 会5位T運
国で
動 技術
育 学 院 の選 手
動 技 術 学 校 の 選 手6名,
れ らの 選 手 は
現 状 の 中 国 の 野 球 選 手 と し て 技 術 レベ ル の 高 い
こ う し た状 況 下 の 中 国 人 野 球 選 手(以
国 人 選 手)が,身
野
と 方 法
対 象 者 の 選 択 に あ た っ て は,代
域 が 国 際 野 球 連 盟 へ 加 盟 す る に 至 っ て い る.
械 体 操,卓
野 手,外
に よ る特 徴 を検 討 し た い と考 え た.
ッ ク大 会 へ の 参 加 を 契 機 に 競 技 力 向 上 に 努 め 始
ア ジ ア 地 域 で は 中 国 が,器
ら に 投 手,内
選 手 を網 羅 的 に代 表 し て い る と考 え られ る.
下,中
ポ ジ シ ョ ン別 に み た 人 数 は 投 手10名,内
体 的 に い か な る 特 徴 を有 し て
い る か に つ い て は,ス
ポ ー ツ を行 う上 で の 身 体
資 源 の 重 要 性 を考 え た際,興
(捕 手 を含 む)17名,外
野 手8名
球 で は ポ ジ シ ョ ンが 投 手,捕
味 あ る ところ であ
撃 手,左
で あ っ た.野
手,一
翼 手,中
野手
塁 手,二
る.し か し なが ら,こ れ ま で に 中 国 人 青 少 年1)や
手,三
塁 手,遊
中 国 人 成 人2∼4)の形 態,身 体 組 成 に つ い て は 報 告
の9つ
存 在 す るが,先 行 研 究5∼7)に基 づ い て ポ ジ
が み られ る も の の,野 球 選 手 の 形 態 や 身体 組 成,
シ ョ ン と体 格 に つ い て は,投
運 動 能 力 に 関 す る研 究 は み ら れ ず,現
手 の3つ
状 の 中国
人選 手が いか なる 身体 的特徴 を有 してい るか に
堅 手,右
塁
手,内
翼手
野 手,外
野
に 区 分 し て 分 析 す る こ と に し た.そ
の
際,捕 手 は 先 行 研 究5∼7)と同様 に 内 野 手へ 含 め た.
1
2 内田
調 査 は1996年7月
行 い,中
勇 人 ・大 貫
下 旬 か ら8月 上 旬 に か け て
国 河 北 省 天 津 市 内 に あ るT体 育 学 院 野
球 場 に お い て 実 施 した.検
討 項 目 と して は,選
手 の 身 体 的 特 徴 を明 らか に す る た め,年
長,体
克 英 ・諸 冨
重,皮
下 脂 肪 厚(上 腕 背 部,肩
腹 部,大
腿 前 部)を
た め,右
手,左
力 を把 握 す る
球 選 手 と して の 活 動 期 間 を確
球 の 開 始 年 齢,野
球 の経 験年 数
に つ い て 質 問 形 式 で 回 答 を 求 め た.
手 の 方 が 日本 人 某 大 学 選 手 よ り,有 意 に 遅 く野
球 を始 め て い た(x2=29.2,
df=10,
ポ ジ シ ョ ン別 に み る と,内
野手 にお い て中 国人
始 年 齢 は 遅 く(x2=16.7,
野 球 経 験 年 数 は,中
囲2-13年),日
P<0.01).
じ
df=7,
P<0.05),
国 人 選 手 が8.1±2.6年(範
本 人 某 大 学 選 手 は12.2±1.9年
(範囲7-15年)で
あ り,中
国人選 手 の方が 有
意 に 短 か っ た(P<0.01).ポ
内 野 手,外
中 国 人 選 手 の 特 徴 を明 ちか に す る た め,同
英康
選 手 の 方 が 日本 人 某 大 学 選 手 よ り有 意 に 野 球 開
甲 骨 下 部,
手 の 握 力 を計 測 し,右 左 の 平 均
値 を算 出 し た.野
認 す る た め,野
採 用 し た.筋
齢,身
嘉 男 ・青 山
ジ シ ョ ン別 で は,
野 手 に お い て 中 国 人 選 手 の 方 が 日本
人 某 大 学 選 手 よ り有 意 に 短 か っ た もの の(P<
年 齢 階 層 で あ り1996年 の 全 日本 大 学 野 球 選 手 権
0.01),投 手 で は 両 群 間 に 有 意 な差 は 認 め られ な
大 会 に 出 場 し た 日本 人 某 大 学 野 球 部 の1軍
か っ た.
37名(20.7±1.2歳,範
人 某 大 学 選 手)に
厚,野
囲19-23歳;以
も,身
球 の 開 始 年 齢,野
長,体
選手
下,日
重,各
本
皮 下脂 肪
球 の経 験年 数 に関す る
同 様 の 調 査 を 実 施 した.
中 国 人 選 手 の ポ ジ シ ョ ン別 に み た年 齢,形
及 び 身 体 組 成 の平 均 値,標
方 法 に準 拠 し,
て,3群
脂 肪 率,体
脂 肪 量, LBWに
多 重 比 較 を行 っ た 結 果,投
キ ャ リパ ー を用 い て 計 測 し た.測 定 部 位 は,全
に 身 長,体
て 右 側 と し た.日
LBW(各P<0.01)が
肪 厚(P<0.05),体
と 同様 に,上
身 体 密 度(P<0.05)が
腕 背 部,肩
甲骨下部 の皮下 脂肪 厚
式 に代入 し
て,身
体 密 度 を推 定 した.身
体 密 度 を計 算 し た
後,身
体 密 度 をBrozekら10)の
体 脂 肪率 算 出式
に 代 入 して,体
脂 肪 率 を求 め た.体
脂肪 率 に体
重 を掛 け て 体 脂 肪 量 を 算 出 し,除 脂 肪 体 重(lean
body
weight,
LBW)を
に よ り求 め た.ま
body
mass
index
体 重 ×(1-体
た,体
重kg/身
(BMI)を
脂 肪 率)
長cmに
算 出 した.握
よ り,
手 が 内 野 手 よ り有 意
脂 肪 率 は 高 く(各P<0.05),体
会 に よ る「青 少 年 の 体 力 に 関 す る 日中 共 同 研 究 」1)
の 総 和 をNagamineとSuzuki9)の
おい
間 に 有 意 差 が 認 め られ た(各P<0.05).
充 分 な経 験 を有 す る 同 一 検 者 が ハ ー ペ ン デ ン ・
本 体 育 協 会 と中 華 全 国 体 育 総
囲 は 表1
に 示 す 如 く,身 長,体 重,上 腕 背 部 皮 下 脂 肪 厚,
身 体 密 度,体
皮 下 脂 肪 厚 は, Pollockら8)の
準 偏 差,範
態
重,
重 く,上 腕 背 部 の 皮 下 脂
脂 肪 量(P<0.01)は
多 く,
低 か っ た.投
手 の方が
外 野 手 よ り,身 長,体 脂 肪 率 は 高 く,体 重, LBW
が 重 か っ た も の の,両 群 間 に有 意 差 は な か っ た.
ま た,外
野 手 の 方 が 内 野 手 よ り,身 長,体
率 は 高 く,体 重, LBWが
脂肪
重 か っ た が,両 群 間
に 有 意 な 差 は み ら れ な か っ た.
日本 人 某 大 学 選 手 の ポ ジ シ ョン 別 にみ た 年 齢,
形 態 及 び 身 体 組 成 の 平 均 値,標
準 偏 差,範
囲は
力の
測 定 は,竹 井 機 器 社 製 握 力 計 を用 い,日 丸 ら11)の
方 法 に 準 拠 し て 実 施 した.
統 計 的 解 析 を行 うに あ た り,度 数 の 差 の 有 意
性 はx2検
studentの
定,平
均 値 の 差 の 有 意 性 が2群
対 応 な しのt検
間は
定,多 群 間 が 一 元 配 置
分 散 分 析 法 及 びBonferroniの
検 定 に よ りそ れ
ぞ れ 検 討 し,統 計 処 理 の有 意 水 準 は 危 険 率5%,
1%と
し た.分 析 に は,パ
ー ジHALBAU-412)を
ソ コ ン版 統 計 パ ッケ
用いた
Fig. 1
結
野 球 の 開 始 年 齢 は 図1に
果
示 す 如 く,中 国 人 選
The frequency distributions of age start
ing regular participation
in baseball
among Chinese baseball players and
Japanese collegiate baseball players
中国 人野 球選 手 の形 態及 び身体 組成 Table
1
Age, physique
baseball
•õ
and body
composition
of pitchers,
infielders
3
and outfielders
among
Chinese
players
P<0.05, •öP<0.01.
Table
2
Age, physique
collegiate
*
P<0.05, **
表2に
P<0.01
compared
and body
baseball
with
Chinese
baseball
示 す 如 く,身 長 に お い て3群
が 認 め られ た(P<0.05).多
果,投
composition
of pitchers,
players. •õ
and outfielders
among
Japanese
P<0.05.
間 に有意 差
重 比 較 を行 っ た 結
手 が 外 野 手 よ り有 意 に 高 か っ た(P<
0.05).中
infielders
players
国 人選 手 と の 比 較 で は,日 本 人 某 大 学
(各P<0.05).ポ
ジ シ ョ ン 間 で は 日本 人 某 大 学
投 手 の 方 が 中 国 人 選 手 よ り,有 意 に 体 重 が 軽 く,
BMIは
肪 厚,体
低 く(各P<0.01),肩
甲骨 下部 皮下 脂
脂 肪 量 が 少 な く(各P<0.05),
LBW
全 選 手 の 方 が 中 国 人 全 選 手 よ り,上 腕 背 部 皮 下
は 軽 か っ た(P<0.01).内
脂 肪 厚 は 有 意 に 多 く, LBWが
学 内 野 手 の 方 が 中 国 人 内 野 手 よ り,有 意 に 年 齢
有 意 に軽 か っ た
野 手 で は 日本 人 某 大
4 内田
が 高 く(P<0.05),上
甲骨 下 部,大
勇 人 ・大 貫
腕 背 部(P<0.01),肩
腿 前 部 の 各 皮 下 脂 肪 厚,体
(各P<0.05)は
克英 ・諸 冨
ッ カ ー,バ
日本 人 男 子 で は サ ッ カ ー の 実 施 者 が 多 い の は 中
中 国人外 野手 よ
り,有 意 に 軽 か っ た(P<0.05).
握 力,右
左 平 均 握 力 の 平 均 値,標
は 表3に
示 す 如 く,外 野 手 が 投 手,内 野 手 よ り,
っ た が,そ
準 偏 差,範
囲
左 平均 握力 は それ ぞれ上 回
意 な差 で は な か っ た.投
握 力,右
国 と同 様 の 傾 向 で あ るが,野
の 実 施 者 が 多 か っ た.す
て,中
中 国 人選 手 の ポ ジ シ ョン 別 に み た右 握 力,左
野 手 よ り右 握 力,左
術 で あ り,野 球
は ほ とん ど行 わ れ て い な か っ た.そ れ に 対 して,
日本 人 某 大 学 外 野 手 のLBWは
握 力,右
ス ケ ッ トボ ー ル,武
脂肪 量
野 手 を み る と,
っ て い た が,有
英康
多 く,身 体 密 度 が低 く,体 脂
肪 率 は 高 か っ た(各P<0.01).外
右 握 力,左
嘉 男 ・青 山
手が 内
左平 均握 力 は強 か
れ ぞ れ 有 意 差 は み ら れ な か っ た.日
本 人 某 大 学 選 手 との 比 較 で は,全
て の握 力で 中
国 人全 選 手 が 有 意 に 強 く,ポ ジ シ ョン 別 で は,
球,水
な わ ち,日
泳,テ
ニス
本 と比 較 し
国 で は 野 球 が 子 ど も た ち へ い まだ 浸 透 し
て お ら ず,本
研究 で認め られた野 球 の開始 年齢
の 遅 れ 及 び そ れ に 伴 う経 験 年 数 の 短 さ は こ れ ら
の 実 情 を 反 映 し て い る と考 え られ る.
日本 体 育 協 会 と 中華 全 国 体 育 総 会 に よ る 共 同
調 査1)に よ れ ば,中
の 形 態,身
国 人 青 少 年(7歳
か ら20歳)
体 組 成 と 同 年 齢 層 の 日本 人 の そ れ ら
と を 比 較 し た と こ ろ,身 長,座
高,下
っ た長 育 値 は 中 国 が,体
腕 囲,大
重,上
肢 長 とい
腿囲と
い った量育 ・
幅 育 値 は 日本 が 有 意 に優 れ て お り,
中 国 人 投 手 の 左 握 力 が 日本 人 某 大 学 投 手 よ り有
日本 人 青 少 年 と 中 国 人 青 少 年 の 形 態 的 特 徴 は 異
意 に 強 か っ た(P<0.05).
な る こ とが 報 告 さ れ て い る.
この共 同調 査1)で 報 告 され た北 京 市 在 住 の一 般
考
察
20歳 男 性 の 身 長,体
中国人選 手 の野球 活動 の 開始年 齢及 び経 験年
重,体
脂 肪 率, LBW各
平
均 値 と中 国 人 全 選 手 の そ れ ら を 比 較 した と ころ,
数 は 日本 人 某 大 学 選 手 が12歳 ま で に 全 員 野 球 を
体 脂 肪 率 は 両 群 間 で 有 意 差 が な か っ た もの の,
始 め て い たの に 対 して,中 国 人 選 手 は 全 体 の68.6
中 国 人 全 選 手 の 方 が 有 意 に 身 長 は6.9cm高
%が 始 め て い た に と ど ま り,25.2%の
体 重 が18.7kg,
選 手 は15
歳 よ り上 の 年 齢 か ら野 球 を始 め て い た.ま
た,
LBWは16.1kg重
く,
か っ た.同
様 に,日 本 人 某 大 学 選 手 と この 調 査1)で 報 告 さ れ
野 球 経 験 年 数 は 中 国 人 選 手 が 平 均 で4.1年 短 か っ
た 東 京 都 在 住 一 般20歳 男 性 と を 比 較 す る と,日
た.日 本 体 育 協 会 の 報 告1)に よ れ ば,小
本 人 某 大 学 選 手 の 方 が 有 意 に 身 長 は7.5cm高
・中 ・高
校 生 が 授 業 以 外 で 運 動 や ス ポ ー ツ を定 期 的 に 行
く,体 重 が12.9kg,
っ て い る比 率 は,男 女 と も 中 国 の 方 が 低 く,日
脂 肪 率 は 中 国 人選 手 の 場 合 と同 様 に両 群 間 に 有
本 人 男 子 の13∼15歳
意 な 差 が み ら れ な か っ た.こ
が そ れ ぞ れ80%以
率 を 示 して い る の に 対 し て,中
上 の実 施
国 人 男 子 は20%
前 後 で あ っ た.定 期 的 に 多 く実 施 して い る ス ポ
ー ツ種 目 をみ る と 中 国 人 男 子 は 陸 上 競 技 サ
Table 3
* P<0.05.
Grip strength of pitchers, infielders
Japanese collegiate baseball players
中 国 人,日
LBWは11,6kg重
く,体
れ らの 比 較 か ら,
本 人 と もに 野 球 選 手 の 体 格 は 一 般 人
と比 較 し て 大 型 で あ る が,中
国 人選手 は特 に体
重 が 重 く,か つ 筋 量 が 多 い 実 態 を 認 め る こ とが
and outfielders
among Chinese baseball players
and
中国人 野球選 手 の形 態及 び 身体 組 成 で き た.北
川13)は,
LBWと
を減 じ た もの で,多
は 体 重 か ら脂 肪 量
5
時 差 の 調 整 と い っ た 身体 負 担 度 の 相 違 及 び ゲ ー
ム 数 の 多 さが,中
くの 部 分 が 筋 と骨 か ら構 成
国 人選 手 と の 体 脂 肪 率 の 差 と
さ れ て お り,骨 格 筋 量 を あ ら わ す 信 頼 し う る 指
な っ て あ ら わ れ て い る と考 え られ る.こ
標 で あ る と述 べ て い る. ForbesとLewis14)に
は, Gurryら15)が
よ れ ば,骨
格 筋 がLBWの48.2∼54.4%を
て い る.中
国 人 全 選 手 は 同 じ年 齢 階 層 の 一 般 中
国 人 と 比 べ て,筋
占め
肉 の 発 達 が 顕 著 で あ る こ とが
で16.2%で
あ り,中 国 人 全 選 手 の 値 よ り有 意 に
高 い こ とか ら も説 明 が で き る.
日本 プ ロ選 手 との 比 較 で は,中
中 国 人全 選 手 は 日本 人 某 大 学 全 選 手 よ り
手,外
シー ズ ン 前 の 春 季 キ ャ ン プ 時
に 米 国 プ ロ選 手 を 調 査 し た 際 の体 脂 肪 率 が 平 均
認 め ら れ た.
LBWが
有 意 に重 く,ポ
ジ シ ョ ン別 に み て も投
平 均 身 長 が179.7cmと
は2.3kg,
野 手 は 中 国 人 選 手 の 方 が 日本 人 某 大 学 選
手 よ り有 意 にLBWは
重 か っ た.こ
LBWが1.4kg軽
く,体 脂 肪 率 は0.7
%低 か っ た が,そ れ ぞ れ 有 意 な差 で は な か っ た.
れ まで に 報
そ の 一 方 で,投
手 間 の比較 で は中 国人投 手 の方
が 日本 プ ロ投 手 よ りLBWは
日本 プ ロ野 球(以 下 日本 プ ロ)16),米 国 大 学 野 球
ら,中
(以下 米 国大 学)7)の 各 選 手 との 比 較 は 表4に
示
が75.3∼75.4kgで
重 は84.6∼87.4kg,
kg,8.3∼8.4kg軽
LBW
特 徴 は 似 通 っ て い た.ポ
く,7.3∼10.1
か っ た.米
あ り,中 国 人
全 選 手 の 方 が 有 意 に 高 く,ポ
ジ シ ョ ン別 に み て
体組
群 の身体 的
ジ シ ョ ン別 に み る と,
米 国 大 学 内 野 手 よ り,中 国 人 内 野 手 は 有 意 に 体
重, LBWが
国 プ ロ選 手 の 体
脂 肪 率 は 平 均 で11.0%,12.6%で
形 態,身
成 項 目 と も有 意 差 が 認 め られ ず,両
あ り,中 国 人 全 選 手 の そ れ ら
は 有 意 に 平 均 で5.4∼6.1cm低
有 意 に 重 い こ とか
国 人 投 手 の 筋 量 の 多 さ が 推 察 さ れ る.
米 国 大 学 選 手 との 比 較 で は,各
国 プ ロ 選 手 は 平 均 で 身 長 が
185.1∼185.8cm,体
国人全 選手 は
同 値 で あ り,平 均 で 体 重
告 され て い る米 国 プ ロ 野 球(以 下 米 国 プ ロ)5,6,),
す 如 く,米
のこ と
軽 か っ た も の の,中
長, LBWは,米
国人投 手 の 身
国 大 学 投 手 とほ ぼ 同 値 で あ っ
た.
こ れ らの こ とか ら,中
国人投 手 は体格 的 に大
も,中 国 人 外 野 手 が 米 国 プ ロ選 手 よ り有 意 に 高
型 の 選 手 で あ り,世 界 で も レベ ル が 高 い 米 国 の
か っ た. Gurryら15)が
プ ロ 野 球 選 手 に 劣 っ て い るが,同
指 摘 す る よ う に,米
国プ
ロ選 手 に み られ る次 の 試 合 場 まで の 長 距 離 移 動,
Table
4
Comparison
of age, physique
SF: Skinfold Fat method, UW: Underwater Weighing method.
* P<0.05, **P<0.01
compared with Chinese baseball players.
and body
じ学 生 野 球 選
手 と比 較 す れ ば 現 状 で 中 国 の 野 球 選 手 は 体 格 的
composition
with
those
of other
reports
6 内田
勇 人 ・大 貫
克 英 ・諸 冨
に 劣 っ て い な い こ とが 指 摘 で き る.
中 国 人 選 手 の 形 態,身 体 組 成 を ポ ジ シ ョ ン 間
で 比 較 し た と こ ろ,投
手 は 内 ・外 野 手 よ り体 格
が 大 き く,こ れ はCardaとLooney7)に
よ る米
嘉 男 ・青 山
英康
左 握 力 は57.9kgと
あ る17).1956,1957年
の 日本
プ ロ 選 手140名(平
均 身 長173,2cm,平
均体重
71.2kg)は,平
51.Okgで
均 で 右 握 力 が54.8kg,左
握力は
あ っ た17).現在 の 米 国 プ ロ選 手 の 握 力
国 大 学 選 手 を対 象 に し た 報 告 と 同様 で あ っ た.
値 は こ の 当 時 よ り向 上 して い る と思 わ れ る が,
CardaとLooney7)は,身
中 国 人 選 手 は 野 球 選 手 と して 優 れ た 筋 力 を有 し
向上 させ,体
長 の高 さは投球 角 度 を
重 が 重 い こ と は よ り 多 くの 力 を生
み 出 す こ とに 繋 が り,か つ 身 長 の 高 い 者 は 上 肢
て い る こ とが 推 察 され る.
平 野18)は,野
球選 手 の体 力 に関す るこれ まで
も長 い こ とが 推 測 さ れ る こ とか ら,投 手 に と っ
の 研 究 を総 括 し,体 格 や 単 純 な最 大 筋 力 を測 る
て 有 益 な 身体 的特 徴 で あ る と述 べ て い る.野 球
だ け で 野 球 の 競 技 力 を推 定 す る こ とに は 無 理 が
競 技 にお いて 未だ発 展途 上 に ある中 国人選 手 に
あ り,た
と え動 作 に 係 わ る動 的 な 筋 力 で あ っ て
お い て も,投 手 と して 成 功 して い る選 手 に こ う
も,一 つ の 筋 力値 とパ フ ォ ー マ ン ス と を 関 連 づ
した 特 徴 を 有 す る者 が 多 か っ た.内 野 手 と外 野
け る こ と に は 短 絡 性 を感 じ る と述 べ て い る.す
手 の 間 の 比 較 で は,米 国 プ ロ選 手 の 場 合6),外 野
な わ ち,野
手 は 内 野 手 よ り平 均 で体 重 が2.6kg,
貢 献 す る もの の,そ
kg重
LBWは4.2
く,中 国 人選 手 も こ れ ら と 同様 の 傾 向 を示
して い た.そ
の 一 方 で,米
国 プ ロ選 手 の 外 野 手
の 体 脂 肪 率 が 内 野 手 の そ れ よ り2.2%低
に 対 して,本 研 究 で は 反 対 に1.9%高
国 プ ロ の 選 手 は職 業 と して4月
かったの
か っ た.米
∼10月 ま で の7
ヶ 月 間 に わ た っ て ゲ ー ム を行 って お り,外 野 手
球 にお いて体 力 はパ フ ォーマ ンスに
の結 びつ きは直接 的 で はな
い と考 え られ る .し か し,ス
ポー ツ の 種 類 に よ
っ て は 明 ら か に 身 体 的 特 長 が 認 め られ る 中 で,
現 在 の 中 国 野 球 界 の レベ ル で は 野 球 が 普 及 して
い な い こ とか ら ス キ ル で は選 択 で きず,体
格,
体 力 を重 視 して選 手 を選 ん で い る と推 測 さ れ る.
しか し な が ら,技 術 レベ ル が 同 等 で あ れ ば,
の 守 備 領 域 は 内 野 手 よ り広 い こ とか ら,試 合 時,
米 国 プ ロ選 手 の例 を見 る ま で も な く,体 格 ・体
練 習 時 に お け る 外 野 手 と内 野 手 間 の 運 動 量 の 相
力 面 の優 位 は 野 球 の 競 技 力 に プ ラ ス の 影 響 を 与
違,す
え る こ と は 明 らか で あ る.本 研 究 で 明 らか に さ
な わ ち走 運 動 量 の 多 さ が 体 脂 肪 率 の低 さ
とな っ て あ ら わ れ て い る と考 え ら れ る が,本
研
れ た現 在 の 中 国 人 選 手,特
に 投 手 の体 格,体
究 の 対 象 者 の よ う な アマ チ ュ ア の 選 手 の 場 合 は,
を 背 景 に 野 球 技 術 の 向上 が 進 め ば,世
プ ロ の 選 手 ほ ど の 長 期 間 に わ た る 運 動 量 の相 違
い 位 置 に 間 もな く達 す る こ とが 予 測 され,今
が 内 野 手,外
の 中 国 野 球 の 動 向 が 注 目 さ れ る.
野 手 間 に は な く,内 野 手,外
特 有 の 形 態,身
野手
体 組 成 を有 す る ま で に は 至 っ て
結
い な い と推 察 さ れ る.
中 国 人 選 手 の 握 力 を ポ ジ シ ョ ン別 に 比 較 し た
と こ ろ,外
本 研 究 は,中
力
界 的 に高
後
論
国 に お け る 野 球 選 手 の 形 態,身
野 手 が 強 い傾 向 に あ っ た もの の他 の
体 組成 並 び に握力 の特徴 を我 が国や 米 国の野球
ポ ジ シ ョン との 間 に 有 意 な 差 は 認 め ら れ な か っ
選 手 と比 較 す る こ と に よ っ て 明 ら か に し,急 速
た.と
こ ろ で,中
国 人 全 選 手 の 握 力 は 日本 人 某
に 国 際 レベ ル に 達 す る 中 国 の 今 後 の 経 過 を観 察
大 学 全 選 手 の そ れ よ り有 意 に 強 く,他 の 野 球 選
す るため の基礎 資 料 を得 る 目的で デザ イ ンされ
手 群 との 比 較 で は 平 野16)の 報 告 に あ る 日本 プ ロ
た.対
選 手 の 右 左 平 均 値 は54.0±6.0kg
あ
で 優 勝,準 優 勝 及 び5位
国
35名(19.8±2.3歳)で
(n=50)で
り,中 国 人 全 選 手 の 方 が 有 意 に 強 か っ た.米
象 者 は 中 国 で最 も レベ ル の 高 い 野 球 大 会
プ ロ選 手 の 握 力 値 に つ い て は 近 年 報 告 が み ら れ
月 と8月
な い た め,古
果,以
い 記 録 で は あ る が1958年
と1962年
に 日本 プ ロ 野 球 チ ー ム と の 親 善 試 合 の た め に 来
日 し た 米 国 プ ロ選 手30名(平
平 均 体 重86.2kg)の
均 身 長183.5cm,
平 均 値 が,右
握 力59.2kg,
に 中 国,天
に な っ た チ ー ム の 選 手,
あ り,調 査 は1996年 の7
津 市 で 行 わ れ た.分
析 の結
下 の 知 見 が 得 られ た.
1. 中 国 人 全 選 手 の 身 長 は179.7±4.7cm,体
重77.3±8.6kg,除
kgで
脂 肪 体 重(LBW)67.0±6.5
あ り,北 京 市 在 住 一 般20歳 男 性 の そ れ ら平
中国 人野球 選手 の形 態及 び 身体 組 成 均 値 と比 較 し て,有 意 に 身 長 は6.9cm高
重 が18.7kg,
LBWは16.1kg重
く,体
人 よ り体 格 が 大 き く,特 に 筋 量 の 多 い選 手 で あ
か っ た(各P<
り,中 で も投 手 は体 格 的 に 大 型 の 選 手 で あ っ た.
0.01).
世 界 で も レベ ル が 高 い 我 が 国 や 米 国 の 選 手 と比
2. 中 国 人 投 手 は他 の ポ ジ シ ョ ン の 中 国 人 選
較 して も,米 国 の プ ロ 野 球 選 手 に は 劣 っ て い る
が,同
手 よ り,身 長 は 高 く,体 重 は 重 か っ た.
3. 中 国 人 の 投 手,内
LBWは,米
野 手,外
野 手 の 身 長,
か に な っ た.
れ ぞ れ 有 意 に 低 く(P<0.01),
稿 を終 え るに あ た り,本 研 究 の遂 行 に対 して 種 々
軽 か っ た(P<0.05).
ご高 配,ご 協 力 を賜 りま した 天津 体 育 学 院院 長 李 〓
4. 中 国 人 投 手 と米 国 大 学 投 手 の 間 で 身 長,
比 較 し た結 果,両
め られ な か っ た が,中
群 間 に 有 意 な差 は 認
教 授,並 びに デ ー タ収 集 に ご協 力 頂 いた 同学 院 漆 平,
国 人投 手 は 日本 人 某 大 学
郭 洪鋒,郭 壽 恒,菅 哲 也 の 各先 生 方 に心 よ り感 謝 の
投 手 及 び 日本 プ ロ 投 手 よ りLBWが
意 を表 します.ま た,常 日頃 よ りご指 導頂 いて い る
有意 に重 か
日本体 育 大 学 上平 雅 史教 授 に対 し,深 甚 な る謝 意 を
っ た(各P<0.05).
以 上 の 結 果 か ら,中
捧 げ ます.
国 の野球選 手 は一般 中 国
文
1)
じ学 生 野 球 選 手 と 比較 す れ ば 現 状 で 中 国
の 野 球 選 手 は 体 格 的 に 劣 っ て い な い こ とが 明 ら
国 プ ロ 野 球 の 各 ポ ジ シ ョ ン の選 手
と比 較 し て,そ
LBWを
7
献
日本 体 育協 会 スポ ー ツ科 学 委 員会:昭 和61年 度 日本 体 育協 会 ス ポー ツ医 ・科 学研 究 報 告No.
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Department
Department
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Himeji 671-2201, Japan
of Sport Methodology,
College, Nippon Sport
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Okayama
MOROTOMI3)
for Life and Living,
for Environment
of Health
of
AOYAMA4)
of Technology,
Junior
strength
OHNUKIZ2),Yoshio
Hideyasu
Department
grip
players
of Environment
School of Humanity
Women's
and
9
Nippon
Sport Science
and Preventive
University
Okayama
Science University
University
Medicine,
Medical School
700-8558, Japan
This study was designed to clarify the characteristics
of height, body weight, body composi
tion and grip strength in Chinese baseball players, and also to examine whether the differences
in physical profiles existed by position as the basic data in the country developing a baseball.
The subjects were 35 baseball players (19.8 2.3 years) consisting of the champion and the
upper distinguished teams in the highest level of baseball tournament
in China. The survey was
carried out in July and August of 1996 in Tianjin City, China. The mean values of height, body
weight and lean body weight (LBW) of Chinese baseball players were 179.7 4.7cm, 77.3 8.6
kg and 67.0 6.5kg. Those values were significantly taller and heavier than the average of 20
year-old male persons which lived in Beijing City, China; that is 6.9cm, 18.7kg and 16.1kg,
respectively (P<0.01). Chinese pitchers were taller and heavier than Chinese players of other
positions. The mean values of height and LBW of Chinese pitchers, infielders and outfielders
were significantly smaller (P<0.01) and lighter (P<0.05) than those of professional players in
the United States, respectively. Although no significant differences were observed in the mean
height and LBW between Chinese pitchers
and those of collegiate pitchers in the United
States, the mean value of LBW of Chinese pitchers were significantly
Japanese collegiate and professional
heavier than those of
pitchers (P<0.05, respectively).
These results are as follows:
1. Baseball players in China are selected based on body muscle mass.
2. Pitchers
are selected especially than the players of other positions.
3. As for body muscle mass, there is no difference
of body muscle mass between China of
developing country and Japan and the states of most developed countries.
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