...

自然災害対策関連技術(PDF:680KB)

by user

on
Category: Documents
2

views

Report

Comments

Transcript

自然災害対策関連技術(PDF:680KB)
平成16年度
特許出願技術動向調査報告書
自然災害対策関連技術
(要約版)
<目次>
第1章
第2章
第3章
第4章
第5章
第6章
概要 ................................. 1
特許動向分析 ......................... 6
研究開発動向分析 ..................... 18
政策動向及び市場環境動向分析 ......... 24
総合分析 ............................. 30
今後、日本が目指すべき研究開発/
技術開発の方向性...................... 39
平成17年3月
特
許
庁
問い合わせ先
特許庁総務部技術調査課 技術動向班
電話:03−3581−1101(内線2155)
第1章
第1節
概要
目的
1.背景
我が国では国土の特質上、地震・火山噴火、大雨等が引き起こす自然災害への対策が危機
管理という観点から非常に重要であり、災害をもたらす現象の予測及び対応が研究開発テー
マとして重視されている。例えば、政府の中央防災会議においても、東海地震対策をはじめ
とした専門調査会が設置され、各種自然災害に関する予知や警報等、対策技術の検討が行わ
れている。
一方、電磁波攪乱の観測等を利用した地震予知、局所領域を対象とした集中豪雨予測等、
各種の自然災害に関する新しい予知技術の研究が各機関で開始されており、技術の発展に伴
い特許出願の増加が見られる。
以上のように、地震、火山噴火、集中豪雨等の自然由来の災害の対策技術は、我が国の危
機管理という観点から重要なテーマであるとともに、その対象が広範囲であるため、特許を
中心としつつ関連技術についての技術動向を調査・分析し、整理していくことが重要である。
2.目的
本調査においては、背景で示した自然災害対策関連技術の重要性を考慮し、技術動向調査
として、特許のみならず技術文献等の広汎を調査対象として、当該分野の研究開発動向や技
術開発の方向性を明らかにするとともに、技術発展と政策の相関性等を示すことにより、国
や地方自治体、各種の研究機関、さらには民間企業における研究開発テーマ等の決定の際に
有益となる情報を提示すること目的とする。
第2節
調査対象自然災害の概要
1.対象災害の範囲と分類
本調査における「自然災害」とは、地震から気象に至るまでの自然現象が原因で発生する
災害全般とする。
調査対象とするこのような自然災害には地震動から大気現象まで様々なものがあり、その
対策関連技術の内容は異なると考えられる。そこで、本調査では、調査対象とする自然災害
を対策技術が共通すると考えられる「地震・火山」分野及び「大気・海洋」分野に分類し、
それぞれの対策技術の調査を実施した。
第 1-1 表に、対象災害の分類を示す。また、第 1-2 表に、具体的な調査対象災害を示す。
第 1-1 表
調査対象災害の分類
分類
概要
地震・火山分野
地震、火山噴火、津波、その他地盤災害
大気・海洋分野
気象関連、大気質、海洋関連(津波以外)、宇宙関連
− 1 −
第 1-2 表
大分類
中分類
調査対象災害の種類
小分類
具体的な災害の種類
地震、津波、火山噴火、土砂崩れ/地すべり (注 1)
地震・火山分野
宇宙関連
自然起源の宇宙災害
磁気嵐/太陽風、隕石落下/小惑星の衝突等
海洋関連
自然起源の海洋災害
異常潮位、海流変動(黒潮蛇行)、赤潮等
低気圧、前線、大雨、集中豪雨、大雪、台風、ハ
リケーン、サイクロン、洪水、竜巻、ダウンバー
スト、雷、霜、霧、雹、霰等
大気・海洋
分野
自然起源の気象災害
気象関連
大気/気象現象に密接
黄砂、塩害、大気汚染(光化学スモッグを含む)。
に係る大気汚染 (注 2)
(注 1)地震等によるものだけではなく、大雨等による土砂崩れ/地すべりも含む
(注 2)特定の気象条件下で発生する、その原因の一部が自然起源と考えられる大気汚染
2.対策技術の範囲と分類
(1)
対策技術の範囲
一般に自然災害対策関連技術としては、現象を解明するための「観測/測定」及び「解析」
に係る技術、
「予知/予報/警報」に関連する技術及び「震災対策」、
「風水害対策」等の防災
関連技術が考えられる。
本調査で対象とする自然災害対策関連技術は、自然災害の発生メカニズム解明のための技
術から災害発生時の警報技術までとし、災害発生後のいわゆる防災対策技術は調査の範囲外
とした。すなわち、上記した自然災害対策関連技術のうちで、
「観測/測定」、
「解析」及び「予
知/予報/警報」に関連する技術を対象とする。
(2)
①
技術俯瞰図
地震・火山分野
地震・火山分野の自然災害は、地震はプレート境界面の近傍や活断層、火山噴火は活火
山というように、その発生箇所はある程度限定されている。しかし、発生の時間的な側面
からは、災害事象の発生前後で、その対策技術の内容は大きく異なると考えられる。この
ため、地震・火山分野の対策技術の調査においては、事象発生前後で対策技術を分類し、
対応する技術を整理していくことが重要であると考えられる。
本調査では、自然災害対策関連技術を「観測」、「解析」及び「予知/予報/警報」技術
に分類して調査する。地震・火山分野では、これらの技術のうち「予知」技術は事象発生
前の対策技術、「観測」技術は事象発生後の対策技術として捉えることができる。「予報/
警報」技術については、地震と火山では異なり、それぞれ事象発生後の技術(地震)、事象
発生前の技術(火山)に分類される。これは、地震はその発生メカニズムに未解明な部分
が多く、「予知」技術が研究段階であるため、「予報/警報」が地震発生直後の対策技術と
して開発されつつあることに対して、火山噴火は前兆事象が明確であり「予知」技術があ
る程度の実用段階まで開発され、その結果に基づいた「予報/警報」を発することが可能
であることによる。さらに、「解析」技術の要素技術は、「予知」及び「観測」技術を構成
する要素技術に含まれると考えられる。
「予知」技術と「観測」技術は、それぞれの目的に応じて測定すべき物理量の「測定」
技術と測定した物理量の「解析」技術、さらに解析したデータを評価目的用に加工するた
めの「評価」技術等の要素技術から構成される。また、
「予報・警報」技術については、
「予
− 2 −
知」及び「観測」技術を構成する要素技術に加えて、データ収集や情報伝達に関する情報
システム技術が重要な要素技術である。
以上を踏まえた地震・火山分野の自然災害対策関連技術の技術俯瞰図を第 1-1 図及び第
1-2 図に示す。
第 1-1 図
地震・火山分野の技術俯瞰図(地震)
対策技術を構成する要素技術
測定技術
地震発生前の対策技術
・地殻構造解明
による予測
・人工地震調査
・地震波分析
・空中磁気測量
・活断層データ
による予測
・トレンチ
・航空写真
・地殻変動データ
による予測
・精密測量
・GPSによる測量
・重力異常測定
・地下水位測定
・地下水成分分析
・電磁気学的手法
による予知
・地中電流測定
・大気イオン分析
・大気電磁気分析
・地震現象の観測
・高精度地震計
対策技術の目標
解析技術
測定データ解析
予知・予測のための解析
・地殻構造解析
・地震波解析
・過去地震データ解析
・震度予測
・ハザードマップの作成
(確率論的震度予想図)
・活断層分析
・航空写真による
解析
・収集データ解析
/分析技術
・収集データの解析
/分析結果に基づく
地震予知
・収集データ解析
/分析技術
・ノイズ除去
・長期的な予知
・短期的な予知
地震発生後の対策技術
地震
発生
・観測網
・データ収集システム
・震源/震央解析
・津波予測
・余震警報システム
・リアルタイム警報システム
・津波予測情報提供システム
・震源情報
提供システム
・警報システム
本調査における具体的な調査対象技術を示す
第 1-2 図
・余震予測解析
地震・火山分野の技術俯瞰図(火山噴火)
測定技術
火山噴火前の対策技術
・常時観測による
火山噴火予測
・人工地震調査
・地震波分析
・精密測量
・GPSによる測量
・地熱測定
・重力異常測定
・地下水位測定
・噴出ガス測定/
成分分析
・地磁気観測
・地中磁気測量
対策技術の目標
解析技術
測定データ解析
・地殻変動測定
によるマグマ
溜まりの推定
・地震被害の
軽減
下線付(○○○○)は、火山噴火対策技術と同様の技術
対策技術を構成する要素技術
・火山の内部構造
解明による予測
・地震現象の
把握/解明
・地震DBの
充実
予知・予測のための解析
・火山内部構造解析
・収集データ解析
/分析技術
・警報システム
・長期的な予知
・マグマ溜まりの推定
・収集データの解析/分析
結果に基づく火山噴火
予知
・短期的な予知
・火山情報提供システム
・火山噴火
被害の軽減
火山噴火発生後の対策技術
火山
噴火
発生
・火山噴火の観測
・高精度地震計
・固体噴火物の
収集/分析
・噴出ガスの
収集/分析
・観測網
・データ収集システム
・噴火状況の監視
本調査における具体的な調査対象技術を示す
− 3 −
・火山噴火終息評価/判定
・火山噴火現象の
把握/解明
・火山噴火データ
の充実
下線付(○○○○)は、地震対策技術と同様の技術
②
大気・海洋分野
大気・海洋分野の自然災害の発生メカニズムは、地震・火山噴火と比較すると明らかに
されている物理現象が多く、観測網の整備を合わせて一定レベルの予報、予測が実施され
ている。しかし、災害の種類によっては、詳細なメカニズムがはっきりとしていない現象
がある等、対策技術の確立のために観測、解析、予知・予報等の技術基盤の研究開発が重
要な課題になっている。
大気・海洋分野の自然災害の発生要因は大気、海洋等の空間的な広がりにより被害の発
生状況や予報のための観測手法等が異なってくる。このため、これらの災害に関しては、
地震・火山分野とは異なり、発生する現象の空間的なスケールに基づいて分類し、対応す
る観測技術や予知・予報モデルを整理していくことが適切であると考える。
以下に、空間的なスケールの分類に対応する大気・海洋分野の自然災害の種類とその対
策技術の概要を示す。
・大規模スケール
宇宙災害から低気圧等の数 100km 以上の規模の現象が該当する。観測技術として面的
な把握が可能な衛星センサーによる測定技術、測定されたスペクトルデータの受信解析
技術等を用いて、広域での水蒸気量、温度、風速等を解析する。これらの物理量は時空
間的に合成され、予報システムに用いられる。
・中規模スケール
数 10∼100km 程度の規模の現象で、集中豪雨、豪雪、台風、洪水が該当する。上述の
衛星データによる観測に加えて、レーダーによる観測が測定技術として特徴的である。
このスケールの現象は大規模スケールの現象と比較して、現象の推移する時間進行が早
く、予報や警報に緊急を要する。レーダーでは雨量と風速を測定し、その結果がそのま
ま予報や警報となる可能性もあり、予報モデルの入力としても用いられる。
・小規模スケール
数 km∼数 10km 程度までの規模の現象で、竜巻、ダウンバースト、雷、霜、雹、霧が
該当する。これらの現象は、時空間的に小さな現象であり、観測ではレーダー等のみに
よって捉えることができる。これらのデータは予報や警報の解析用のデータとして用い
られる。
なお、広域観測網(日本の場合アメダス)より得られた観測データは、すべてのスケー
ルの予報等で用いるデータとして利用される。
以上を踏まえ、第 1-3 図に、大気・海洋分野の自然災害対策関連技術の技術俯瞰図を示
す。
− 4 −
第 1-3 図
大気・海洋分野の技術俯瞰図
対策技術を構成する要素技術
対象災害
観測/測定技術
スケール
種類
大規模
・低気圧/台風
・黄砂
・海流変動
・磁気嵐/太陽風
・隕石落下
/小惑星衝突
中規模
・集中豪雨
・豪雪
・台風
・洪水
・光化学スモッグ
・異常潮位
小規模
・竜巻
・ダウンバースト
・雷
・霧/霜
・雹/霰
・光化学スモッグ
・赤潮
・塩害
解析技術
予知/予報/警報
広域観測網
(アメダス/ウィンダス等)
・センサー解析
-水蒸気/湿度/温度
/風速 /風向/シアー
/雨量/雲分布
/雲構造/降水強度
/大気組成
-磁場/電場/電流
/電子密度
・地表観測データ解析
-気温/風/気圧/湿度
/視呈 /雲量/雲形
/放射量
・能動型(active)センサー
-サウンダー/レーダー
/衛星
・受動型(passive)センサー
-イメージャー/衛星
・地表/海上観測
・センサー解析
-水蒸気/湿度/温度
/風速 /風向/シアー
/雨量/雲分布
/雲構造/降水強度
/大気組成
・地表観測データ解析
-気温/風/気圧/湿度
/視呈/雲量/雲形
/放射量
・能動型(active)センサー
-サウンダー/レーダー
/雲レーダー/ライダー
/ウィンドプロファイラー
/ゾンデ/ソーダー
・受動型(passive)センサー
-イメージャー
・地表/海上観測
・客観解析
-データ同化
(最適内挿入法
/変分法)
・バックワード
トラジェクトリ
・週間天気予報
・天気予報
・黄砂予測モデル
・宇宙天気予報
・隕石軌道計算システム
・全般海上予報
・海面水温予報
・客観解析
-データ同化
(最適内挿入法
/変分法)
・パターン解析
・バックワード
トラジェクトリ
・メソ数値予報
・台風進路予測システム
・洪水予測システム
・大気汚染気象予報
・高潮数値予測システム
・地方海上予報
・時間外挿短時間予測
・パターン解析
・統計解析
・マイクロスケールモデル
・竜巻予測システム
・落雷予測システム
・霧予測システム
・大気汚染気象予報
・赤潮発生予測モデル
・時間外挿短時間予測
:本調査における具体的な調査対象技術を示す
(3)
技術要素の分類
(2)で示したように、調査対象とする対策技術は、地震・火山分野及び大気・海洋分野とも
に、多岐の分野に渡る。このため、後述する特許出願動向分析及び研究開発動向分析では、
当該特許及び技術文献に対して、(2)の技術俯瞰図の作成時に検討した自然災害対策関連技術
の要素技術に分類して、分析を実施した。
以下に、本調査における自然災害対策関連技術の要素技術の分類項目を示す。
・対象災害(地震・火山分野 5 項目、大気・海洋分野 18 項目)
・災害発生要因(14 項目)
・観測物理量(15 項目)
・解析技術(7 項目)
・技術段階(4 項目)
・技術目的(7 項目)
・災害スケール(4 項目)
・適用時期(3 項目)
なお、各特許文献及び技術文献の分析においては、1 文献に対して、上記分類項目内の複
数の項目が対応する場合があり、その場合には、複数項目に対応するものとして、文献を分
類した。
− 5 −
第2章
第1節
特許動向分析
特許文献の収集
1.国内特許及び海外特許
国内特許文献は、特許データベースパトリス(Patent On-line Information System:PATOLIS、
以下、「パトリス」という)を用いて検索した。検索対象期間は、1971 年 7 月 1 日∼2003 年
12 月 31 日の間に出願された特許のうち、出願公開されたものとし、特許出願日によって分
類した。
海外特許文献は、特許データベース DWPI(Derwent World Patents Index、以下、「WPI」
という)を用いて検索した。WPI に収録されている特許情報は、国ごとにその収録開始期間
が異なる。このため、海外特許の検索においては、WPI で遡れる可能な範囲から 2003 年 12
月 31 日を検索対象期間とした(検索開始日を設定せず検索)。
特許データベースの検索結果には、直接調査対象とはならない(当該技術分野ではない)
特許文献も含まれることが予想されるため、データベースから抽出した特許文献に対して、
タイトル目視及び抄録目視のスクリーニングを実施し、詳細解析対象とする特許文献を抽出
した。
第 2-1 表に、国内外の特許の検索及びスクリーニング結果を示す。
第 2-1 表
国内外の特許検索結果及びスクリーニング結果
対象災害
DB検索結果
地震・火山分野
大気・海洋分野
目視スクリーニング 抄録スクリーニング
結果
結果
3,781
2,491
641
2,358
1,339
287
9,307
2,202
956
3,278
669
501
※上段:国内特許、下段:海外特許
2.パテントファミリー
国内外の詳細解析対象特許に対してパテントファミリー分析を実施し、最終的な特許出願
動向分析で分析対象とする特許を抽出した。
第 2-2 表に、パテントファミリーの分析結果を示す。
− 6 −
第 2-2 表
自然災害対策関連技術の特許出願件数(パテントファミリー分析結果)
出願件数(パテントファミリー数)
国籍(優先権主張国)
地震・火山分野
第2節
合計
日本
574
903
1,477
米国
82
123
205
欧州
110
188
298
ロシア
125
220
345
中・韓・台
31
17
48
その他
12
6
18
合計
934
1,457
2,391
地震・火山分野
1.
特許出願動向
(1)
全体動向分析
①
大気・海洋分野
全体出願動向
第 2-3 表に、地震・火山分野の国籍別・出願先別の特許出願件数を示す。
地震・火山分野の出願件数は、国籍別に見た場合には日本が最も多く、次いで、ロシア、
欧州、米国の順となっている(第 2-2 表を参照)。国籍別の出願先の傾向を見ると、日米欧
については相互の出願が見られるが、ロシアについては基本的に自国のみの出願となって
いる。また、米欧については、その他国(カナダ、オーストラリア等)に積極的に出願を
行っている。
第 2-3 表
地震・火山分野の国籍別・出願先別特許出願件数
出願先(複数国・地域への出願は重複してカウント)
国籍(優先権主張国)
日本
米国
欧州
ロシア
中韓台
その他
WO
日本
569
20
21
0
9
7
2
米国
19
64
34
0
1
45
25
欧州
38
23
107
0
10
48
20
ロシア(旧ソ連を含む)
0
0
0
125
0
0
1
中・韓・台
2
1
0
0
31
0
0
その他
1
1
2
0
0
12
4
②
三極間での出願動向
第 2-1 図に、地震・火山分野の日米欧の三極間の特許出願動向を示す。また、第 2-2 図
に、全分野の日米欧の三極間の特許出願動向を示す。地震・火山分野の日米欧の三極それ
ぞれの特許出願の割合は、全分野の動向とほぼ同様の傾向を示している。
− 7 −
第 2-1 図
地震・火山分野の日米欧三極出願動向
38
6%
19
3%
日本
626件
569
91%
米→日
19件
欧→日
38件
日→欧
21件
日→米
20件
23
21%
20
19%
米→欧
34件
米国
107件
欧州
162件
欧→米
23件
64
60%
第 2-2 図
21
13%
34
21%
107
66%
全分野の特許の日米欧三極出願動向
(特許行政年次報告書 2004 年版、諸外国における 2001 年の国籍別出願件数表より作成)
40,504
8%
47,750
10%
388,390
82%
日本
476,644件
米→日
47,750件
欧→日
40,504件
日→米
66,578件
66,578
21%
米国
327,199件
66,578
20 %
19,0907
59%
③
日→欧
24,633件
米→欧
50,077件
欧→米
69,714件
24,633
10%
欧州
252,279件
50,077
20%
177,569
70%
出願件数の推移
第 2-3 図に、出願人国籍別の特許出願件数の推移を示す。
地震・火山分野の出願件数は、1970 年代から 1990 年代にかけて増加傾向を示し、1995
年をピークに 1990 年代の出願件数が多いことがわかる。1995 年のピークは、日本の阪神・
淡路大震災に対応しており、この地震の影響で出願件数が増加したことが伺える。
一方、日本以外の各国の出願件数を見ると、1980 年代半ば頃から出願件数が増え、2000
− 8 −
年にピークが見られる。2000 年には台湾、トルコ等で大地震が発生しており、この影響が
推測される。
なお、2003 年等の直近の特許については公開前もしくはデータベース未収録等のものが
想定され、件数が実際よりも少なくなっている可能性がある。
第 2-3 図
地震・火山分野の出願人国籍別出願件数推移(世界)
90
80
70
60
その他
中・韓・台
ロシア
欧州
米国
日本
50
40
30
20
10
1971
1972
1973
1974
1975
1976
1977
1978
1979
1980
1981
1982
1983
1984
1985
1986
1987
1988
1989
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
0
(2)
①
技術区分別動向分析
対象災害
第 2-4 図に、国籍ごとの対象災害別の出願件数を示す。
対象災害別では、圧倒的に地震に関する出願が多く、津波については日本とロシアの出
願があり、火山及び地すべりに関しては日本と欧州の出願がある。
第 2-4 図
地震・火山分野の国籍別対象災害別出願件数
500
400
300
200
100
国
シ
ア
台
他
・
韓
の
− 9 −
本
日
米
州
欧
ロ
・
中
そ
地
地震
津波
火山
れ
砂崩
土
り/
すべ
0
②
観測物理量
第 2-5 図に、国籍ごとの観測物理量別の出願件数を示す。
地震・火山分野の観測物理量としては圧倒的に振動(地震波)が多く、日本及び欧州に
おいては、電磁波や電位等の電磁気的な物理量が観測物理量となっている。
なお、測定物理量がその他のものは、当該特許が過去の地震記録データの分析やシミュ
レーション技術等を対象とした測定物理量が存在しないもの、岩盤崩壊時や海中の音波測
定に係るもの等が含まれている。
第 2-5 図
地震・火山分野の国籍別観測物理量別出願件数
350
300
250
200
150
100
日本
米国
50
欧州
0
振動
③
ロシア
電磁
波
地殻
変
中・韓・台
位
力
/圧
位体
位
位体
気圧 分/同
場
/温
刻
射同
/磁
成
他
放
温度
/時
学
電場
化
/
その
時間
流
電
/
位
電
その他
解析技術
第 2-6 図に、国籍ごとの解析技術別の出願件数の推移を示す。
地震・火山分野の解析技術別の出願傾向としては、ロシアが直接物理量測定の割合が高
い点、米国で IT 関連技術、応用/実用化技術の割合が高い点が特徴として挙げられる。
日本は、各技術とも満遍なく出願される傾向があり、予知/予測の割合が高い点が特徴
となっている。
− 10 −
第 2-6 図
地震・火山分野の国籍別解析技術別出願件数
200
150
100
50
0
国
米
本
日
州
欧
ア
台
シ
・
ロ
韓
・
中
他
の
そ
定
量測
物理
断
直接
的診
間接
解析
現象
/ 予測
予知
化
/ 実用
応用
技術
連
I T関
他
その
2.出願人別動向
(1)
出願人の属性
第 2-7 図に、地震・火山分野の国籍別の出願人属性別の出願件数を示す。
地震・火山分野全体の出願人属性別の出願傾向は、民間企業が最も多く(約 63%)、つい
で個人(約 23%)、研究機関(政府及び大学を含む)(約 14%)の順となっている。
国籍別の特徴としては、日米欧ともに研究機関の割合は同程度であるが(約 10%)、民間
企業の占める割合は日本、米国、欧州の順で低くなっている。また、ロシアは研究機関の割
合が高い。
第 2-7 図
地震・火山分野の国籍別出願人属性別の出願件数
500
400
300
200
100
0
機関
研究
企業
学)
・大
府
む政
個人
(含
そ
の
中
・
他
− 11 −
ロ
シ
ア
韓
・
台
欧
州
米
国
日
本
(2)
出願人ランキング
第 2-4 表に、地震・火山分野の出願人別の出願件数のランキングを示す。出願件数の上位
は、富士通、沖電気、オムロン等の通信・測定機器関連の企業となっている。
第 2-4 表
地震・火山分野の出願人ランキング
出願
family
出願人
富士通(株)
沖電気工業(株)
オムロン(株)
アカシ(株)
INST FRANCAIS DU PETROLE (INSF)
鉄道総合技術研究所(財)
東京ガス(株)
EARTH PHYSICS INST CONS (EART-R)
生方製作所(株)
第3節
27
27
26
24
22
18
16
16
16
日本
米国
欧州
27
27
26
24
14
18
16
0
16
0
0
0
0
3
0
1
0
0
0
0
1
0
21
0
0
0
5
ロシア 中韓台 その他
0
0
0
0
0
0
0
16
0
0
0
1
0
7
0
0
0
5
WO
0
0
0
0
21
0
0
0
5
0
0
0
0
0
0
0
0
0
大気・海洋分野
1.特許出願
(1)
①
全体動向分析
全体出願動向
第 2-5 表に、大気・海洋分野の国籍別・出願先別の出願件数を示す。
大気・海洋分野の出願件数は、地震・火山分野と同様に国籍別に見ると日本が最も多く、
次いでロシア、欧州、米国の順となっている(第 2-2 表参照)。国籍別の出願先の傾向を見
ると、日米欧については相互の出願が見られるが、ロシアについては基本的に自国のみの
出願となっている。また、米欧については、その他国(カナダ、オーストラリア等)に積
極的に出願を行っている。
第 2-5 表
大気・海洋分野の国籍別・出願先別特許出願件数
出願先(複数国・地域への出願は重複してカウント)
国籍(優先権主張国)
日本
米国
欧州
ロシア
中韓台
その他
WO
日本
903
54
36
1
4
6
2
米国
32
123
48
0
4
25
31
欧州
28
59
187
1
3
42
17
ロシア(旧ソ連を含む)
0
1
0
220
0
0
1
中・韓・台
1
1
1
1
17
1
0
その他
3
5
3
0
0
6
2
②
三極間での出願動向
第 2-8 図に、大気・海洋分野の日米欧の三極間の特許出願動向を示す。地震・火山分野
− 12 −
と同様に、大気・海洋分野の日米欧の三極それぞれの特許出願の割合は、全分野の動向と
ほぼ同様の傾向を示している(全分野の動向は第 2-2 図参照)。
第 2-8 図
大気・海洋分野の日米欧三極出願動向
32
3%
28
3%
日本
963件
908
94%
米→日
32件
日→米
54件
59
25%
54
23%
米国
236件
123
52%
日→欧
36件
36
13%
米→欧
48件
欧→米
59件
欧州
271件
48
18%
187
69%
出願件数の推移
第 2-9 図に、出願人国籍別の特許出願件数の推移を示す。
大気・海洋分野の出願件数は、1970 年代から 2000 年にかけて増加傾向を示し、2001 年
にピークが見られる。日本の出願件数の割合が多いため、日本の傾向は、世界の傾向と概
ね一致する。特に日本においては 1995 年以降の出願が多い点が特徴として挙げられる。な
お、2003 年等の直近の特許については公開前もしくはデータベース未収録等のものが想定
され、件数が実際よりも少なくなっている可能性がある。
第 2-9 図
大気・海洋分野の出願人国籍別出願件数推移(世界)
120
100
80
その他
中・韓・台
ロシア
欧州
米国
日本
60
40
20
0
1969
1970
1971
1972
1973
1974
1975
1976
1977
1978
1979
1980
1981
1982
1983
1984
1985
1986
1987
1988
1989
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
③
欧→日
28件
− 13 −
(2)
①
技術区分別動向分析
対象災害
第 2-10 図に、国籍ごとの対象災害別の出願件数を示す。
圧倒的に大雨/集中豪雨、台風/ハリケーン/サイクロン、大雪に関する出願が多い。
米国では竜巻/ダウンバースト、日本では雷に関する出願多い点が特徴として挙げられる。
第 2-10 図
大気・海洋分野の国籍別対象災害別出願件数
大雨/集中豪雨
台風/ ハリケーン/サイクロン
大雪
洪水
竜巻/ダウンバ ースト
500
450
400
雷
350
霜
霧
雹/霰(あられ)
強風
黄砂
塩害
300
250
200
150
光化学スモッグ/大気汚染
海流変動/異常潮位
赤潮
100
50
0
磁気嵐/太陽風
本
日
国
米
他
②
台
・
の
そ
韓
・
中
大気海洋関連 その他
ア
シ
ロ
州
欧
隕石落下/小惑星衝突
一般
対象現象
第 2-11 図に、国籍ごとの対象災害の発生要因別の出願件数を示す。
災害を引き起こす対象現象別に見た出願動向としては、低気圧/前線、台風/ハリケー
ン/サイクロン、対流/上昇流、積雲に関するものが多く、各国とも類似した傾向を示し
ている。
− 14 −
第 2-11 図
大気・海洋分野の国籍別対象現象別出願件数
700
600
低気圧/前線
500
台風/ハリケーン/サイクロン
400
対流/上昇流
300
強風
積雲
200
高温/湿度
100
高潮
0
日
大気化学
本
米
国
シ
ロ
・
ア
中
台
他
・
の
韓
そ
③
州
欧
太陽活動
その他(気象関連)
観測物理量
第 2-12 図に、国籍ごとの観測物理量別の出願件数を示す。
大気・海洋分野の観測物理量としては降雨量/降雪量/降雪強度が多く、続いて雲量/
雲分布/雲構造、風速/風向/シアーに関するものが多い。
− 15 −
第 2-12 図
大気・海洋分野の国籍別観測物理量別出願件数
400
350
300
250
200
150
100
50
日本
米国
欧州
ロシア
中・韓・台
その他
電
磁
波
(
FM
,V
H F 振動
以
化
外
学
)
成
分
F
M波
/同
位
VH
体
地 F波
殻
(
変
気
大
気 圧 位
、 /圧
PM
力
以
外
大
)
気
組
成
放
射
P
性
湿
同 M
度
/ 水 温度 位体
蒸
/温
降
風
雨
速 気量 位
量
/風
/
/降
向 比湿
雪
/
量 シア
電
/
降
位
ー
/電 雲
水
流 量/
潜 強度
雲
/電
熱
場 分布 /顕
/磁
/雲 熱
場
/電 構造
子
時 密度
間
/時
刻
日
射
量
そ
の
他
0
④
解析技術
第 2-13 図に、国籍ごとの解析技術別の出願件数の推移を示す。
大気・海洋分野の解析技術別の出願傾向としては、全体的に間接的診断の割合が高い点
が特徴として挙げられる。地域的には、日本では予知/予測の割合が高い傾向にあり、欧
米では応用/実用化の割合が高くなっている。ロシアは間接的診断以外の割合が低い特徴
がある。
第 2-13 図
大気・海洋分野の国籍別解析技術別出願件数
600
500
400
300
日本
200
米国
100
欧州
0
析
解
象
知
予
現
/予
応
用
測
/実
用
IT
化
関
連
技
術
そ
の
他
的
接
間
直
接
物
理
量
診
断
測
定
ロシ
ア
− 16 −
中・
韓・
台
その
他
2.
出願人別動向
(1)
出願人の属性
第 2-14 図に、大気・海洋分野の国籍別の出願人属性別の出願件数を示す。
大気・海洋分野全体の出願人属性別の出願傾向は、民間企業が最も多く(約 78%と)、つい
で個人(約 12%)、研究機関(政府及び大学を含む)(約 10%)の順となっている。
国籍別の特徴としては、日本で民間企業の占める割合が高く(約 88%)、欧州(76%)、米国
(65%)となっている。一方、研究機関の割合は米国で高く(17%)、日本(6%)、欧州(3%)となっ
ている。
第 2-14 図
大気・海洋分野の国籍別出願人属性別出願件数
800
700
600
500
400
300
200
100
0
日
国
・
韓
・
他
台
の
(2)
本
米
州
欧
中
そ
研究
)
・大学
む 政府
含
個人
機関(
ア
シ
ロ
企業
出願人ランキング
第 2-6 表に、大気・海洋分野の出願人別の出願件数のランキングを示す。大気・海洋分野
の出願件数の上位は、三菱電機、東芝、日本電信電話等の総合電機メーカー等となっている。
第 2-6 表
出願人
三菱電機(株)
東芝(株)
日本電信電話(株)
日本無線(株)
日本電気(株)
日立電線(株)
日立製作所(株)
明星電気(株)
大気・海洋分野の出願人ランキング
出願
日本
family
130
130
74
74
53
53
31
31
28
28
28
28
23
23
21
21
− 17 −
米国
10
2
13
3
2
0
0
0
欧州 ロシア 中韓台 その他
8
1
10
0
1
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
1
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
WO
0
0
0
0
0
0
0
0
第3章
第1節
研究開発動向分析
技術文献の収集
研究開発動向分析は、当該分野の技術文献を収集、分析することによって実施した。
調査対象とする技術文献は、JST Online Information System(以下「JOIS」という)を用
いて検索した。
さらに、データベースの検索結果に対して、特許文献と同様にタイトル目視スクリーニン
グ及び抄録スクリーニングを実施し、詳細解析の対象とする技術文献を抽出した。第 3-1 表
に、スクリーニング結果を示す。
第 3-1 表
JOIS 検索結果及びスクリーニング結果
対象災害
第2節
DB検索結果
目視スクリーニング 抄録スクリーニング
結果
結果
地震・火山分野
19,303
4,542
816
大気・海洋分野
25,905
7,065
5,348
地震・火山分野
1.全体動向
(1)
文献数の推移と著者の国籍
第 3-2 表に、文献著者の国籍別の文献数を示す。第 3-1 図に、年次別の文献数の推移を示
す。
文献数の推移からは、特許出願件数と同様に 1995 年にピークが見られ、2000 年以降文献
数が増加している。1995 年は、阪神・淡路大震災の影響と考えられる。
文献著者を国籍別に見ると、日本が圧倒的に多く、次いで米国と欧州が同程度でロシアが
続いている。
第 3-2 表
地震・火山分野の著者の国籍別の技術文献数
文献著者の国籍
文献数
日本
米国
欧州
ロシア
中・韓・台
その他
533
87
79
59
34
24
総計
816
− 18 −
第 3-1 図
地震・火山分野の技術文献数の推移(世界)
120
100
80
その他
中・韓・台
ロシア
欧州
米国
日本
60
40
20
1974
1975
1976
1977
1978
1979
1980
1981
1982
1983
1984
1985
1986
1987
1988
1989
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
0
(2)
①
技術区分別動向分析
対象災害
第 3-2 図に、国籍ごとの対象災害別の文献数を示す。
対象災害別では、特許と同様に圧倒的に地震に関する文献が多く、火山に関して日本及
び欧州の文献がある。
第 3-2 図
地震・火山分野の国籍別災害別技術文献数
400
350
300
250
200
150
100
50
0
地
日本
米国
欧州
ロシア
中・韓・台
震
津
波
火
地
②
す
べ
その他
山
り
/土
砂
崩
れ
観測物理量
第 3-3 図に、国籍ごとの観測物理量別の文献数を示す。
技術文献が対象としている地震・火山分野の観測物理量としては、
「振動(地震波)」、
「そ
の他」及び「観測物理量なし」が多い。
− 19 −
「その他」に含まれる観測物理量は、主として地下水位及び地すべりに関する地盤の変
位(地殻変位は地震を対象として分類)である。また、観測物理量がない技術文献は、主と
してシミュレーション技術及び過去の地震データ(発生回数等)の解析による地震予知に
関するものが多い。
第 3-3 図
地震・火山分野の国籍別観測物理量別技術文献数
160
140
120
100
80
60
40
20
0
振
③
動
波
磁
位
電
変
力
殻
圧
体
地 圧/
位
位
/ 同 / 温 水量
気
場
分
度
降
磁
間
成
温
学
/電
/時 の他 し
化
場
刻
そ
な
電
時
/
流
/電
位
電
日本
米国
欧州
ロシア
中・韓・台
その他
解析技術
第 3-4 図に、国籍ごとの解析技術別の文献数を示す。
技術文献が対象としている地震・火山分野の解析技術としては、予知/予測に関するも
のが非常に多い。
第 3-4 図
地震・火山分野の国籍別解析技術別技術文献数
400
350
300
250
200
150
100
50
0
測定
断
量
的診
解析 予測
物理
接
間接
/
現象
直
用化
術
予知
/実
他
連技
応用
その
I T関
− 20 −
日
本
米
国
欧
州
ロ
シ
ア
中
・
韓
・
そ
の
台
他
第3節
1.
大気・海洋分野
全体動向
(1)
文献数の推移と著者の国籍
第 3-3 表に、文献著者の国籍別の文献数を示す。第 3-5 図に、年次別の文献数の推移を示
す。
大気・海洋分野の文献数は、年ごとに増減が見られるが、1970 年代から 2000 年にかけて
増加傾向を示し、2000 年にピークが見られる。
文献著者を国籍別に見ると、日本と米国が同程度で、次いで欧州、中・韓・台、ロシアの
順となっている。
第 3-3 表
大気・海洋分野の著者の国籍別の技術文献数
文献著者の国籍
第 3-5 図
文献数
日本
米国
欧州
ロシア
中・韓・台
その他
1,985
2,002
733
99
124
405
総計
5,348
大気・海洋分野の技術文献数の推移(世界)
350
300
250
その他
中・韓・台
ロシア
欧州
米国
日本
200
150
100
50
1972
1973
1974
1975
1976
1977
1978
1979
1980
1981
1982
1983
1984
1985
1986
1987
1988
1989
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
0
(2)
①
技術区分別動向分析
対象災害
第 3-6 図に、国籍ごとの対象災害別の文献数を示す。
対象災害別では、全体として、大雨/集中豪雨、台風/ハリケーン/サイクロン、大雪
に関する文献が多い。日本では雷、米国では竜巻/ダウンバースト、欧州では洪水に関す
る文献が多いことが特徴として挙げられる。
− 21 −
第 3-6 図
大気・海洋分野の国籍別災害別技術文献数
1200
②
800
600
400
200
0
本
日 国
米 州
台
欧 シア ・
ロ ・韓
中 の他
そ
雨
中豪 ン
/ 集イクロ大雪水
雨
洪 ト
大 /サ
ース 雷霜
ーン
ンバ
霧
リケ
ウ
)
ハ
ダ
/
/
られ 風
台風
竜巻
(あ 強黄砂
/霰
塩害 染
雹
汚 位
大気 潮 潮
グ/ / 異常 赤 風
ッ
陽
動
/ 太 衝突般
スモ 変
星 一
嵐
学 海流
他
磁気 /小惑
光化
その
下
石落
連
関
隕
海洋
大気
1000
観測物理量
第 3-7 図に、国籍ごとの観測物理量別の文献数を示す。
大気・海洋分野の観測物理量としては降雨/降雪等、大気・海洋分野の基本的物理量に
関するものが多い。地域的な特徴としては、日本及び欧州は降雨/降雪の割合が大きい。
米国、ロシア、中・韓・台では気圧の割合が大きい。
第 3-7 図
大気・海洋分野の国籍別観測物理量別技術文献数
800
700
600
500
400
300
200
100
0
動
振 )
外 M波
F以 F HF波 位
H
V 変 力
,V
FM
殻 圧
(
地 / 外) 成
圧
気 PM 以 気組 PM
波
磁
体
、 大
電
位 位
気
同 温
大
性 度/ 比湿
(
ー
/
射
ア
放 温 量
体
シ 強度
気
位
蒸 向/ 水 顕熱
同
/
/水 /風 /降 熱/ 構造 度
分
度
量 潜 /雲 密
成
刻
湿 風速 雪
学
布
子 時 量
/
化
/降
分 /電
射
間
量
/雲 場 時
日 の他
雨
量 /磁
降
そ
雲 場
/電
流
/電
位
電
− 22 −
日
米 本
欧 国
州
ロ
中 シア
そ ・韓
の
他 ・台
③
解析技術
第 3-8 図に、国籍ごとの解析技術別の文献数を示す。
大気・海洋分野の解析技術として、予知/予測の割合が大きいことが特徴として挙げら
れる。また間接的診断も大きな割合を占める。さらに現象解析に関する文献が多いことも
特徴として挙げられる。
第 3-8 図
大気・海洋分野の国籍別解析技術別技術文献数
2000
1800
1600
1400
1200
1000
800
600
400
200
0
日本
米国
欧州
応
予
知
/予
測
用
/実
用
IT
化
関
連
技
術
析
断
象
解
的
診
接
理
間
接
物
直
中・韓・
台
現
量
測
定
ロシア
− 23 −
その他
第4章
第1節
政策動向及び市場環境動向分析
政策動向
国内外ともに、自然災害対策関連技術に関する研究開発は、国家プロジェクト(欧州では
EU のプロジェクト)として進められ、その下で研究機関及び大学が中心となって推進されて
いる。第 4-1 表に、国内外の主要なプロジェクトをまとめる。
我が国では、地震・火山分野では、特に地震に関しての予知を目的とした現象解明のため
の研究プロジェクトが多い。大気・海洋分野に関しては、独自の大規模な研究プロジェクト
はなく、WMO(世界気象機関)の WWRP(世界天気研究計画)等のプロジェクトに、東アジア地区
の中核的なセンターとして参加している。地震・火山分野及び大気・海洋分野ともに気象庁
を中心とした観測網(地震観測網及びアメダス等の気象観測網)の整備が進んでいる。
米国では必ずしも予知を目的としない地震現象のメカニズム解明を目的としたプロジェク
ト及び地震発生後の被害軽減を目的とした防災分野に踏み込んだプロジェクトが多い。これ
は、主として、防災対策を含めた自然災害の被害軽減を目的としたプロジェクトの一部とし
て、自然災害対策関連技術の研究開発のプロジェクトが推進されていることによる。また、
大気・海洋分野に関しては、WMO と連携し、米国自らが国際的なプロジェクトの中心となっ
て、特にハリケーンの予測に関する研究を行っている。
欧州では大規模な地震が発生する地域が限られており、地震・火山分野の研究開発プロジ
ェクトは特に地震活動が活発なギリシャを対象としたものが多いことが特徴となっている。
また、大気・海洋分野では、イギリスを中心として各国の密な協力体制のもと特に洪水予測
に関する研究プロジェクトを行っている。
− 24 −
第 4-1 表
国内
/海外
分野
地震
国内外の自然対策関連技術の研究開発に関する主要プロジェクト
プロジェクト/計画名
実施機関/参加機関
主要な目的
実施期間
地震予知計画(第1次∼第7次)
文部科学省 科学技術・学術審議会測地学分科会
・大学(東大、京大、その他)
・研究機関(産総研、防災科研、その他)
・政府機関(国土地理院、気象庁、その他)
地震予知のための総合的
なプロジェクト(地震予知
/現象解明/総合的な観
測等)
大都市圏の地震被害軽減
のための地殻構造調査及
び断層モデル構築等
火山噴火予知のための総
合的なプロジェクト(観測
網の高度化、噴火予知の高
度化等)
社会的インパクトの大き
い現象(熱帯サイクロン/
洪水)の予報技術の開発
地震被害軽減のための国
家プロジェクト
南カリフォルニアにおけ
る早期地震警報システム
の開発
火山予知のための総合的
なプロジェクト
1965∼1998 年度
地震予知のための新たな観測
研究計画(第1次、第2次)
「大都市大震災軽減化特別プロジェク ・東京大学地震研究所、京都大学防災研究所、
ト」の「大都市圏地殻構造調査研究計画」
独立行政法人防災科学技術研究所
国内
火山噴火
火山噴火予知計画(第1次∼第7次)
熱帯サイク
ロン、洪水等
の気象災害
World Weather Research Program (WWRP)
− 25 −
National Earthquake Hazards
Reduction Program (NEHRP)
文部科学省 科学技術・学術審議会測地学分科会
・大学(東大、京大、その他)
・研究機関(産総研、防災科研、その他)
・政府機関(国土地理院、気象庁、その他)
・WMO加盟国より共同研究を実施
・政府機関(USGS、NIST、NSF、FEMA)
地震
米国
欧州
火山噴火
TriNet
・USGS、大学等
Volcano Hazards Program
・USGS、その他
ハリケーン、
サイクロン、
U.S. Weather Research Program (USWRP)
豪雨等の気
象災害
An integrated study of seismic hazard
assessment in the area of Aigion, gulf
地震
of Corinth, Greece
e-Ruption: A satellite
telecommunication and internet-based
火山噴火
seismic monitoring system for
volcanic eruption forecasting and
risk management
European River Flood Occurrence and
洪水
Total Risk Assessment System
(EUROTAS)
1999∼2003年度
2004∼2008 年度
2003∼2007 年度
1973∼2008年度
1999年∼
1977年∼
1997∼2002年
1980年代前半∼
1994年∼(現在
2000∼2006年度
計画により実施
中)
・NSF、NOAA、DOT、NASA、DOD、DOE、その他パブ
リックセクター 等
総合的な気象関連予報
/予測技術の開発等
・フランス、イタリア、英国、ギリシャの研究機
関、大学等(EUプロジェクト)
統合的地震ハザード評価
手法及び地震観測機器の
開発等
2000∼2002年
・フランス、オーストリア、英国、イタリア、ス
ペイン、ポルトガル、ギリシャ等の研究機関及
び大学(EUプロジェクト)
欧州の火山噴火予知のた
めの早期警報ネットワー
クシステム開発
2002年∼
・英国、フランス、ギリシャ、ドイツ、デンマー
ク、オランダ、イタリア、スペイン等の研究機
関及び大学(EUプロジェクト)
洪水リスクの評価と緩和
のための降雨集水モデリ
ングの開発等
1998∼2000年
第2節
市場環境動向
自然災害対策関連技術は公共性の高い分野であり、その研究開発は、そのほとんどが国や
公的研究機関、大学で実施されている。また、自然災害対策関連技術の研究開発は現象メカ
ニズムの解明を目的とした学術的な基礎研究的な側面が高い。このため、研究開発の成果に
よる商品やサービスの開発が困難であることが多く、これらのことから、自然災害対策関連
技術は市場性に乏しい分野であると言える。
このような状況の中で、自然災害対策関連技術に係る市場としては、観測/計測機器関連
の市場、気象ビジネス市場(気象予報に関するビジネス)及び警報機器関連の市場が考えら
れる。
(1)
観測/計測機器関連市場
自然災害対策の研究開発の第一歩である自然現象の観測/計測においては観測/計測機器
が必要である。このため、観測/計測機器は、研究開発に必要な機材としてのニーズが存在
し、研究開発成果が商品開発に結びつく分野であり、民間企業においても技術開発や商品開
発が行われている。第 2 章に示した当該分野の特許出願動向においても、特許出願の上位に
は、観測/計測機器メーカーがランキングされている。
株式会社日本エレクトリック・インスルメントが発行する WIND PRESS 1999 年 2 月号によ
る と 、 気 象 観 測 / 計 測 機 器 関 連 の 市 場 は 、 国 内 で は 年 間 300 億 円 程 度 と 言 わ れ て い る
(http://www.nei.co.jp/windpress/pdfs/vol_1.pdf)。観測/計測機器の納入先は、ほとんど
が官公庁等の行政機関であり、かつ、専門的な機器が多く、メーカーは、多品種少量生産の
個別注文に応じている状況である。また、地震・火山分野及び大気・海洋分野ともに、国内
では観測網の整備が進んでおり、現状の市場は観測網の代替機器を中心に比較的安定してお
り、成熟化している状態にあるといえる。
(2)
①
気象ビジネス市場
気象ビジネス市場の状況
気象ビジネスは、国ごとの規制状況、公的な気象機関の体制やデータ提供方法によって、
民間企業の参入の容易さが異なる。公的気象機関の体制が民間企業へ与える影響は第 4-2
表のように分類される (1) 。
(1)
参考:「ビジネスと気象情報」、2004 年 4 月 10 日発行、株式会社東京堂出版
− 26 −
第 4-2 表
公的気象機関の体制
公的気象機関の体制の民間企業への影響
民間企業への影響
該当国
民営化
旧公的気象機関と民間企業の競争
の可能性
南アフリカ、ニュージーラ
ンド等
業務範囲を限定
民間企業の参入が比較的容易
米国、オランダ
限定した情報を提供
民間企業の参入が可能
日本、カナダ
企業 や 個 人向 けの サ ー ビス を実
施
旧公的気象機関と民間企業の競争
の可能性
ドイツ、フランス、オース
トラリア、イギリス等
この視点からは米国及びオランダは民間企業が気象ビジネスに参入しやすい環境にある
と考えられる。また、オランダ以外の欧州では参入が困難な状況が想定される。一方、日
本やカナダはその中間に位置していることがわかる。
また、民間気象ビジネスの事業規模は、以下の 3 つに分類される (1) 。
・大規模:米国(600∼840 億円)、日本(300 億円)
・中規模:カナダ(70 億円)、欧州(50 億円)
・小規模:その他の国
前述したように、米国は民間企業が気象ビジネスに参入しやすい国であり、市場規模も
世界最大であるが、それでも日本の 2∼3 倍程度である。一方、欧州のマーケットは小さい
が、これは民間企業が気象ビジネスに参入しやすい体制が整っていないことが要因として
考えられる。
②
国内の気象ビジネス市場
第 4-1 図に、気象ビジネス市場の推移を示す。国内の民間の気象ビジネスの市場規模は、
2000 年前後から現在にかけて約 300 億円程度でほぼ横ばい状態となっている。我が国では
1994 年に気象業務法の大幅な改正によって規制緩和が行われたが、市場規模の大幅な増加
は見られなかった。これに対して、第 4-2 図に示すように国内の予報業務許可事業者は年々
緩やかな増加傾向にある。
その中で国内のウェザーニューズ(株)は世界最大規模の気象ビジネス会社であり、売
上高は日本の民間気象ビジネス市場の約 1/3 を占めている(約 111 億円 2004 年実績)。
市場規模が約 300 億円で横ばい状態にあることに対して、事業者数は増加傾向にあるが、
ウェザーニューズ等の一部の大手企業の売上が市場に占める割合が比較的大きく、このこ
とは、民間の気象予測会社がより大規模な企業と地域限定の小規模な企業に二極化されつ
つある状況を示している。
(1)
参考:「ビジネスと気象情報」、2004 年 4 月 10 日発行、株式会社東京堂出版
− 27 −
第 4-1 図
気象ビジネス市場規模の推移
350
300
250
億円
200
150
100
50
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
1990
1989
1988
1987
1986
0
(気象庁、「気象業務はいま 2004」等より作成)
第 4-2 図
国内の予報業務許可事業者数の推移
60
50
事業者数
40
30
20
10
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
1990
1989
1988
1987
1986
0
(気象庁、「気象業務はいま 2004」等より作成)
(3)
警報システム関連市場
近年の IT 技術の急速な進歩及び観測制度の向上によって、地震時の警報システムが実用化
されてきている。
地震時の警報システムには、初期微動等を検知し大きく揺れる前に警報を発信し、列車を
止めるあるいは避難のための警報を発する等の早期警報システムと揺れが終息した後に揺れ
− 28 −
の全容を把握し、二次災害の防止や適切な復旧対策のための情報を提供するためのシステム
に分類される。
地震時の早期警報システムは、ここ 10 年で実用化が急速に進んだ分野であり、システムが
市販されている。現在は、このようなシステムは、鉄道/ガス等のインフラ関連企業が自社
で開発若しくは導入を始めたところであり、市場規模も小さなものである。今後は、企業の
リスク削減対策が強化されるに従い、市場が拡大していく可能性がある。
また、後者は主として防災対策技術として研究開発が進められているものである。
− 29 −
第5章
第1節
総合分析
特許出願動向と研究開発動向の関連性
1.自然災害発生と特許出願及び技術文献の状況
近年、世界的に見て自然災害の発生件数は大幅に増加している。第 5-1 図に、世界の自然
災害の発生件数の推移を示す。
第 2 章に示したように、地震・火山分野及び大気・海洋分野ともに、出願人が日本国籍の
ものは増加傾向にあるが、外国籍のものは顕著な増加傾向は見られない。これに対して、技
術文献数は、国内外共に増加傾向にある。このことは、近年の自然災害の発生件数の増加の
特許出願動向に対する影響は比較的小さく、技術文献に対する影響は比較的大きいことを示
している。ただし、地震・火山分野では、災害発生時に大規模な被害を伴うことがあり、特
定の大規模地震(1995 年の阪神・淡路大震災等)等が特許出願件数及び技術文献数に顕著な
影響を及ぼしている。
第 5-1 図
世界の自然災害発生件数の推移
600
500
発生件数
400
300
200
100
1970
1971
1972
1973
1974
1975
1976
1977
1978
1979
1980
1981
1982
1983
1984
1985
1986
1987
1988
1989
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
0
( EM-DAT: The OFDA/CRED International Disaster Database - www.em-dat.net Université Catholique de Louvain - Brussels - Belgium
データより作成)
2.特許出願と技術文献の関係
第 5-2 図に、地震・火山分野及び大気・海洋分野の特許出願及び技術文献の解析技術の割
合を示す。解析技術別に見た場合には、特許出願では地震・火山分野及び大気・海洋分野と
もに、観測/計測関係の技術(直接物理量を測定するための技術及び間接的に診断するため
の技術)が多く、地震・火山分野では約 42%、大気・海洋分野では約 60%を占めている。一
方、技術文献では、地震・火山分野及び大気・海洋分野ともに、予知/予測関係の技術が最
も多く、地震・火山分野では約 50%、大気・海洋分野では約 40%を占めている。
自然災害対策関連技術の技術要素は、① 自然災害の観測/測定 → ② 観測した物理量の
− 30 −
解析 → ③ 観測物理量の解析による現象メカニズムの解明 → ④ 予知・予測 → ⑤ 警報、
という流れで構成されている。第 5-3 図に、この自然災害対策関連技術の技術要素の構成と
流れの関連性を模式図として示す。この流れの中で、②から④の部分は特に学術的な基礎研
究的な側面が高い分野であり、①及び⑤は基礎研究的だけではなく特許出願されやすい技術
開発的な側面が高い分野である。
一般に特許は特定の技術に関する新しい技術開発を対象としており、当該分野の対象とす
る自然災害の発生メカニズム等、学術的な基礎研究の成果とは必ずしも馴染まない側面を有
している。このことからは、個別の技術開発に関しては特許出願が多く、学術的な基礎研究
の分野では特許出願よりも技術文献が多くなっていると想定される。
解析技術別に見た場合に直接観測及び間接的診断の特許出願件数の割合が高いことは、こ
れらの技術分野が個別技術の開発の側面が高いことを示しており、逆に、技術文献において
予知/予測の割合が高いことは、これらの技術分野が学術的な基礎研究の側面が高いことを
示していると考えられる。これらのことは、上記した自然災害対策関連技術の技術要素の構
成と一致している。
第 5-2 図
特許出願と技術文献の解析技術の割合
地
震 技術文献技術別
・
火
山
分
野
特許技術別
大
技術文献技術別
気
・
海
洋
分
野
特許技術別
0%
直接物理量測定
第 5-3 図
自然災害
20%
間接的診断
40%
現象解析
60%
予知/予測
応用/実用化
80%
IT関連技術
100%
その他
自然災害対策関連技術の技術要素の構成と流れのイメージ
① 観測/計測に
係る技術
現象に係る物理量の測
定
計測測定器等の
技術開発的な側
面が高い分野
② 観測物理量の
解析に係る技術
観測した物理量を解析
③ 現象メカニズム
解明に係る技術
観測物理量の解析結果
による自然現象の解明
④ 予知/予測に係る
技術
解明された現象メカニ
ズムからの自然災害発
生の予知/予測
学術的な基礎研究の側面が高い分野
− 31 −
⑤ 警報に係る技術
災害発生の警報
計測測定器等の
技術開発的な側
面が高い分野
第2節
関連分野の研究開発リーダー
1.研究開発の牽引役
図 5-6 図に、地震・火山分野及び大気・海洋分野のそれぞれにおける特許出願人及び技術
文献著者の属性別の割合を示す。
地震・火山分野及び大気・海洋分野ともに、特許出願人は民間企業が圧倒的に多く、逆に
技術文献は研究機関(国、大学を含む)が圧倒的に多くなっている。
第 1 節で説明したように、自然災害対策関連技術の技術要素は学術的な基礎研究的な分野
と技術開発的な部分に分類することが可能であり、学術的な基礎研究分野は学術文献数が、
また、技術開発的な部分は特許の出願件数がその状況を反映していると考えられる。すなわ
ち、第 5-4 図の特許出願人及び技術文献著者の所属割合は、自然災害対策関連技術の研究開
発において、学術的な基礎研究の分野は国や大学等を含む研究機関が主たる役割を担い、個
別の技術開発的な部分は民間企業が主たる役割を担っていることを示している。
このことからは、自然災害対策関連技術の研究開発の牽引役は、基本的には国若しくは国
家プロジェクトを推進する公的研究機関、大学等であると言える。ただし、公的研究機関や
大学等が実施する研究開発や国家プロジェクトにおいて、課題解決に不可欠な観測装置を提
供できる技術を有する企業は、共同して研究開発の牽引役になる可能性がある。
第 5-4 図
地
震
・
火
山
分
野
各分野の特許出願人及び技術文献著者の属性割合
技術文献
特許出願
大
気
・
海
洋
分
野
技術文献
特許出願
0%
10%
20%
30%
企業
40%
50%
60%
研究機関(含む政府・大学)
70%
80%
90%
100%
個人/不明
2.技術競争力
(1)
技術競争力の指標
「1.」に示したように、自然災害対策関連技術の全体的な研究開発の牽引役は、主として国
家プロジェクト及びそれらを実施する公的研究機関や大学であった。これらの技術競争力を
測る上では、技術文献数が大きな判断材料になると考えられる。
− 32 −
一方、自然災害対策関連技術の技術要素のうちで観測/測定に関する技術については、公
的研究機関や大学に加えて、民間企業も研究開発の牽引役である場合が考えられた。このた
め、観測/測定装置の技術競争力は、特許出願動向が大きな判断材料になると考えられる。
以下、上記した技術競争力の判断材料に基づいて、地震・火山分野及び大気・海洋分野の
技術競争力を検討する。
(2)
①
地震・火山分野
技術文献数から見た技術競争力
・国際間での技術競争力
第 5-5 図に、地震・火山分野の技術文献の著者の国籍別の割合を示す。
技術文献数からは、日本の文献が圧倒的に多く(約 65%)、次いで米国及び欧州がほ
ぼ同等(約 10%)であり、さらに旧ソ連も含めたロシアが続く(約 7%)。技術文献の検
索対象データベース JOIS の検索では日本の文献数が過大に評価される傾向があるとし
ても、地震・火山分野の技術競争力は日本が優位にあると言える。
ただし、地震・火山分野の災害発生には地域的な偏りがあり、世界的に見ても日本で
の発生は特に多い。このため日本では地震・火山分野の対策技術に対する社会的なニー
ズが大きく、研究開発が活発に実施されている。このため、当該分野の研究開発が進み、
技術競争力で優位な状況を作り出していると考えられる。
・研究開発リーダー
国内外ともに、国(欧州の場合は EU)が主体となってプロジェクトを実施し、その中
で大学及び研究機関が研究開発を行う、という体制が多い。このため、プロジェクトに
参加している公的研究機関、大学等が研究開発リーダーであると言える。
第 5-5 図
地震・火山分野の技術文献著者の国籍別割合
中・韓・台
4%
その他
3%
ロシア
7%
欧州
10%
米国
11%
②
日本
65%
特許出願動向から見た技術競争力
第 5-6 図に、地震・火山分野の国籍別の出願件数の割合を示す。
− 33 −
第 5-6 図から、日本の出願件数が約 63%と最も多く、全体的な対策技術と同様に日本が
技術競争力で優位にあることが分かる。
第 5-6 図
地震・火山分野の国籍別の出願件数割合
ロシア
15%
中・韓・台
1%
その他
0%
欧州
13%
日本
63%
米国
8%
(3)大気・海洋分野
①
技術文献数からみた技術競争力
・国際間での技術競争力
第 5-7 図に、大気・海洋分野の技術文献の著者の国籍別の割合を示す。
技術文献数は、日本及び米国の文献数が同等(約 37%ずつ)で、欧州は日米の 1/3 程
度(約 13%)であり、それ以外の国や地域(旧ソ連を含むロシア、オーストラリア等)
が欧州と同程度(約 12%)である。ただし、JOIS の検索では日本の文献数が過大に評価
される傾向にあるために、実質的な技術競争力は、米国、日本、欧州の順であると言え
る。
米国や日本は欧州と比較してシビアな現象(台風、ハリケーン、トルネード)の発生が
多い。このため、日本及び米国では、当該分野の対策技術に対する社会的なニーズが大
きく、研究開発が活発に実施されている。このため、当該分野の研究開発が進み、技術
競争力の差が生じていると考えられる。
・研究開発リーダー
地震・火山分野と同様に、国内外ともに、国(欧州の場合は EU)が主体となりプロジ
ェクトを実施し、その中で大学及び研究機関が研究開発を行う、という体制が多い。こ
のため、プロジェクトに参加している公的研究機関、大学等が研究開発リーダーである
と言える。
− 34 −
第 5-7 図
大気・海洋分野の技術文献著者の国籍別割合
中・韓・台
2%
その他
8%
ロシア
2%
日本
37%
欧州
14%
米国
37%
②
特許出願動向から見た技術競争力
第 5-8 図に、大気・海洋分野の国籍別の出願件数の割合を示す。また、第 5-9 図に、日
米欧の三極間での出願動向を示す。
第 5-8 図から、日本の出願件数が約 63%と最も多い。しかしながら、大気・海洋分野に
おける日米欧三極間の相互出願は、お互いに同程度の出願件数である(第 2-8 図)。ここで、
米国及び欧州への出願人のランキングを見ると、その上位には日本の企業が存在する。第
5-1 表に、大気・海洋分野の米国への出願人ランキングを、第 5-2 表に、欧州への出願人
ランキングを示す。
このことは、一部の日本企業は、当該分野において米国及び欧州をマーケットとして捉
えており、出願件数から見るとこれらの企業は国際的な競争力を有していることが伺える。
第 5-8 図
大気・海洋分野の国籍別の出願件数割合
ロシア
15%
中・韓・台
1%
その他
0%
欧州
13%
日本
63%
米国
8%
− 35 −
第 5-1 表
大気・海洋分野の米国への出願人ランキング
出願人
米国出願件数
日本電信電話(株)
13
三菱電機(株)
10
VAISALA OY (VAIS-N)
7
THOMSON CSF (CSFC)
7
US SEC OF NAVY(USNA )
6
DFVLR DEUT FORSCH LUFT RAUMFAHRT (DELF)
4
UNIV CORP ATMOSPHERIC RES (UYAT-N)
4
ZEISS STIFTUNG CARL (ZEIS )
4
第 5-2 表
大気・海洋分野の欧州への出願人ランキング
出願人
欧州出願件数
日本電信電話(株)
第3節
10
VAISALA OY (VAIS-N)
9
三菱電機(株)
8
THOMSON CSF (CSFC)
8
DFVLR DEUT FORSCH LUFT RAUMFAHRT (DELF)
5
ZEISS STIFTUNG CARL (ZEIS )
4
METEO FRANCE ETAB PUBLIC LETAT A CARACTE (METE-N)
4
MESSERSCHMITT-BOLKOW-BLO (MESR )
3
関連分野のビジネスリーダー
自然災害対策関連技術は、学術的な基礎研究分野が多く、市場として成立している分野が
少ないことが特徴である。この中で、自然災害対策関連技術の主要な市場は、第 4 章に示し
たように、計測機器関連、気象ビジネス関連及び警報システム関連の 3 種類であった。
ここでは、それぞれの市場のビジネスリーダーについて説明する。
1.観測機器関連市場
(1)
ビジネスリーダー
観測機器関連市場のビジネスリーダーは、特許出願人ランキングの結果より、総合電機メ
ーカーやインフラ企業である。但し、この分野の観測機器は特注品や細かな装置が多く、こ
れらニーズへの対応が求められる。従って機動性のある専門的な観測機器メーカーもビジネ
スにおいて重要な役割を果たしている。市場規模が比較的小さく(年間約 300 億円程度)、総
合電機メーカーの参入のない専門的な観測機器分野においては、専門的な観測機器メーカー
(明星電気等)がビジネスリーダーとなっている。
(2)
観測機器関連市場の特許との関連
総合電機メーカー及び専門的な観測機器メーカーが、多くの観測機器に関する発明につい
ての特許出願を行っている。日米欧三極での関連では、一部の日本企業(三菱電機等の総合
− 36 −
電気メーカー及び日本電信電話)が米国及び欧州における特許の出願の上位にランキングし
ている。このことは、これらの企業は、欧米の特許権を取得することが将来重要であると認
識していることを示しているものと考えられる。
2.気象ビジネス
(1)
ビジネスリーダー
現状の民間気象ビジネスの主な業務は、マスコミや企業への情報提供である。さらに、市
場拡大のために、天候デリバティブ等の高付加価値情報の提供、携帯電話やインターネット
を用いたきめ細かい情報提供サービスを拡大している最中である。これらは、比較的規模の
大きな気象ビジネス関連企業が実施しつつある。
一方、局所的な気象予測技術の進展に伴い、例えば行楽地における人出の予想のため等の
地域を限定した気象情報の提供サービスが行われつつあり、これらは比較的規模の小さい地
域に密着したタイプの企業も参入している。
このような状況の中で、第 4 章に示したように、日本国内の民間気象ビジネスの市場規模
は年間 300 億円と 1997 年以降横ばい状態にあり、これに対して、国内の予報業務許可事業者
は年々緩やかに増加傾向にある。
その中でウェザーニューズ(株)は世界最大規模の気象ビジネス会社(722 名)であり、売
上高は日本の民間気象ビジネス市場の約 1/3 を占めている(約 111 億円 2004 年実績)。また、
全職員 722 名中 273 名が海外勤務となっており、海外市場で個人への気象情報提供サービス
を積極的に展開している。
以上を踏まえると、気象ビジネスの分野では、限定的な地域の気象情報の提供を専門とす
る規模の小さい企業と大手企業の二極化が進み、大手企業がビジネスリーダーとして明確に
なってきている状況にあると考えられる。
(2)
気象予報ビジネス関連市場と特許
第 5-3 表に示すように、民間気象ビジネス関連企業の特許出願は非常に少ない。従って、
気象ビジネス市場では、関連企業の特許権による市場の囲い込みは発生していない。
これは、民間気象ビジネス分野の研究開発は、気象モデルの開発及び既存の情報通信網を
使った情報提供の商品開発が中心であり、特許化には馴染まない側面を有しているためであ
ると考えられる。
第 5-3 表
民間気象予報会社による特許出願件数
出願人(民間気象ビジネス会社)
出願件数
アースウェザー(株)
4
気象情報システム(株)
2
3.警報システム関連
近年の急速な IT 技術の進歩により、特に地震に対する早期警報システムの研究開発が盛ん
になってきている。
システムを構成する個別の計測機器や IT 関連の情報伝達技術には、それぞれのビジネスリ
− 37 −
ーダーが存在すると考えられるが、自然災害を含めたいわゆる防災警報システムに関しては、
現状では、ビジネスリーダーは明確ではないと考えられる。ただし、産業競争力の観点から
は、日本はこの分野の国内のニーズが大きいこともあり、世界的にもトップクラスの競争力
を保持していると言える。このことは、世界で唯一市販されている早期地震警報システム「ユ
レダス」が、日本国内の企業で開発/市販されていることからも言える(基礎的な研究開発
は JR(旧国鉄)で行われ、現在、(株)システムアンドデータリサーチが販売している)。
この分野の市場は、個々の企業レベルの災害対策のニーズの拡大等もあり、規模が大幅に
拡大する可能性がある。この分野の現在の主要なニーズは、運輸、電気、ガス等のインフラ
部門の企業からのものであるが、近年あらゆる産業分野においてリスク管理の観点からの災
害対策の充実が求められており、インフラ部門以外の企業からのニーズが拡大していくと考
えられる。
− 38 −
第6章
今後、日本が目指すべき研究開発/技術開発の方向性
古くから人間はさまざまな自然災害と向かい合い、その被害を防ぐために多くの知恵を出
してきた。自然災害対策関連技術は、このような自然災害との戦いの中で培われてきた技術
と考えることができる。
このような歴史の中で、自然災害対策関連技術の研究開発は、やはり、その被害を軽減し、
より安心で安全な社会を構築すること及び国民の生命や財産及び国土を保全することを大き
な目的として実施されていくことは、今後も変わらず重要なことである。
自然災害の被害を軽減するためには、まず対象とする自然災害の中の未解明な部分を克服
し、どのように災害が起こっているのかという自然災害現象の把握と、今後災害がどのよう
に推移するのかという予測、そして、どのような災害が発生するかという予知/予報が必要
とされている。これに加えて、現代社会では観測・予測された自然災害の情報を、いかに活
用して被害軽減につなげるかということも大きな課題となっている。
なお、最終的な被害軽減のためには各種の防災技術も重要となるが、ここでは本調査の対
象範囲に限定して、今後の方向性を検討した。
(1)
自然災害対策関連技術の方向性
自然災害対策関連技術の中では、先に示した被害軽減に役立つ研究開発として
・自然災害のメカニズムを理解すること
・自然災害の実態を把握すること
・自然災害の実態を適切に伝達すること
・自然災害の発生を事前に予知(予測)すること
が普遍的な研究課題として挙げられる。これらの課題を解決するための技術開発課題とし
ては
・自然現象の観測技術
・観測結果の情報伝達技術
・予知/予測のモデル開発
という課題として捉えることができる。また、このような技術課題には、連続的な観測や
観測点の高密度化(観測網化)、情報伝達や解析モデルの高速化ということも含まれてくる。
自然災害の発生は、人間生活の時間尺度・空間尺度を考えると、決して頻発するという状況
でないために、実際に観測を高密度で行うことや高速化を図ることは容易ではない。
従って、第 4 章で示したように自然災害対策関連技術の研究開発/技術開発は国家プロジ
ェクトを中心に実施されているが、このような国等の公的な支援のもと研究開発を進めてい
くことの必要性は今後も変らない。
今後も国家プロジェクトを中心に、自然災害の現象メカニズムの解明に代表される学術的
な基礎研究を更に推進すること、合わせて現象の観測のための各種機器及び観測網の充実を
図っていくことが求められる。第 5 章の総合分析で示したように、我が国は自然対策関連技
− 39 −
術の研究開発では世界でもトップクラスのレベルにあり、スマトラ沖地震等の教訓を踏まえ
ると、国際的な観測網の整備や研究開発成果を還元し、積極的に国際貢献を進めていくこと
も我が国の重要な役割であると言える。
一方で、想定することが難しかった自然災害対策関連技術を活かした市場の開拓という点
では、国や市民のレベルでの被害軽減だけでなく、企業レベルでの被害軽減が経営上の重要
な要因となってきたこともあり、自然災害対策関連技術は潜在的なビジネス展開の可能性を
持っていると考えられる。従って、自然災害のリスク低減という潜在的な市場のニーズを掘
り起こすための技術開発や技術の利用方法を開拓することで、今以上に自然災害対策関連の
市場拡大を目指すことが求められる。この場合には、すでに自然災害のリスク低減に取り組
んでいる企業が応用技術を開発することや、基礎的な学術研究の成果を応用し大学等をベー
スとしたベンチャー的な取り組みといった方法が想定される。
自然災害対策関連のビジネス化には、そもそもの被害軽減という公共性の観点から、一定
の制限が設けられているが、公共性とビジネス性を両立する形での事業化を進めることによ
り、その可能性を広げていくことが今後の方向性と考えられる。
以上の全体的な方向性を踏まえ、地震・火山分野と大気・海洋分野のそれぞれについて、
今後伸ばしていくべきであると考えられる技術分野を以下に示す。
(2)
地震・火山分野の方向性
地震・火山分野、特に地震に関しては、その発生メカニズムに未解明な部分が多く、短期
的な予知が困難な現状にあるため、当面の技術開発として、被害軽減効果の期待できる警報
システム関連分野を充実させることが重要である。
地震警報システムについては、防災対策と連動した取り組みを行うことで効果が発揮され
るため、国や地方自治体等の公共的な組織で整備を進めていくべき分野であると考えられる。
ただし、地震時の初期微動等の前兆事象に基づく早期警報システムは、世界的にも我が国
が最も進んでいる分野であり、関連特許も出願されて民間企業等で実用化が進んでいるため、
企業レベルの災害対策のニーズの拡大を背景として、今後、ビジネス展開を意識した技術開
発も重要である。
上記の警報システムが機能するためには適切な観測網が整備されていることが必要である。
先に示した国際貢献等も考慮して、安価で高密度な観測網の構築に関する技術開発も推進す
べき項目と考える。
(3)
大気・海洋分野の方向性
大気・海洋分野においては、現状未解明・対応不十分な現象として集中豪雨を引き起こす
メソスケール現象が挙げられる。メソスケール現象は小規模で短時間に発生する現象である
ために、広域的な観測網ではカバーすることが困難であり、かつ短時間の現象のため予報を
行うことも困難である。都市域等では局所的な集中豪雨により被害が発生するケースが増え
ており、今後は、このような現象に対しても観測及び予測のための技術開発の必要性が高ま
っている。
メソスケール現象を予測するためには、まず観測による詳細なメカニズムの把握が必要で
− 40 −
あり、これには従来のレーダーよりも解像度が高いミリ波・マイクロ波レーダーや現象の詳
細構造を捉えるための二重偏波レーダー等の技術開発が必要である。これらの観測結果をも
とに、高速コンピュータ等を用いた予測モデルの開発により、被害軽減に効果的な予報体制
が構築されると考える。
なお、気象分野を対象としたミリ波・マイクロ波レーダーや二重偏波レーダーに関する特
許は日本企業を始め海外企業からも出願されている。このため、当該分野での競争力を得る
ためには積極的な研究開発を進めるとともに、海外市場を視野に入れた海外特許取得も重要
となる。
また、大気・海洋分野、特に気象分野に関しては、予報・警報等の情報を的確に市民等に
伝達することが重要となる。最近の急速な IT 技術及びネットワーク等のインフラの整備によ
り、IT 技術を用いて気象情報を提供する仕組みや方法についての研究開発が活発化している。
自然災害対策関連の市場としては気象ビジネスが大きな市場となっているが、この市場を拡
大していくためには、観測や予報に関する技術開発だけでなく、このような IT 技術等を組合
せた情報提供システムとして技術開発を進めていくことが求められる。
− 41 −
Fly UP