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多文化共生推進プロジェクト: 保健・医療・福祉における

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多文化共生推進プロジェクト: 保健・医療・福祉における
山梨県立大学地域研究交流センター
2013
年度研究報告書
多文化共生推進プロジェクト
:
保健・医療・福祉における大学・地域・行政の連携に向けて
山梨県立大学地域研究交流センター
地域研究交流センタープロジェクト研究
報告書
多文化共生推進プロジェクト:
保健・医療・福祉における大学・地域・行政の連携に向けて
平成 26 年 3 月
研究者代表:長坂香織 (看護学部外国語領域)
共同研究者:鳥居美佳子 (人間福祉学部人間形成学科)
名取初美
(看護学部母性看護領域)
城戸口親史 (看護学部成人看護領域)
研究協力者(敬称略):
植松清司 (山梨県民医連事務局長)、杉浦春充 (甲府共立病院副事務長)、
多和田眞人 (塩山市民病院副委員長)、永井敬二 (甲府共立病院小児科医師)、
永井ミリアン (アルプス学園校長)、ウエハライリネウ (イノベ学園園長)、
荻野美和子 (南アルプス市立八田小学校)、
早川愛 (本学人間福祉学部人間形成学科)
-目
次-
はじめに
1
2013 年度多文化共生推進プロジェクト研究
3
Ⅰ. 本プロジェクト研究の背景
1. 山梨県の多文化化の背景
2. ブラジル人学校
3. 地域貢献活動と本プロジェクト研究について
1)「地域密着型」「非収奪的」研究: 地域貢献活動と研究の関係
2) 研究者であり、実践者であること
Ⅱ. 本プロジェクト研究の目的
Ⅲ. これまでの経緯: 2011 年から 2012 年
Ⅳ. 2013 年度の計画とその実施状況
1. 2013 年度の計画
2. 計画の実施状況の概要
Ⅴ. 2011 年度から 2013 年度の地域貢献活動(表 2 参照)
Ⅵ. 今後に向けての課題
Ⅶ. おわりに
資料 1~3
ブラジル人学校での保健活動 ~食の視点から~
16
Ⅰ. 昨年度の取り組みの概要(研究背景)と今年度の目的
Ⅱ. 方法
1. ブラジル人学校の生活時間調査
2. 排便・食事調査票の改良および調査の実施
3. 排便・食事調査の分析方法
Ⅲ. 結果
1. ブラジル人学校の生活時間調査
1)昼食について
2)食事(間食を含む)の回数について
3)清涼飲料水などの摂取について
2. 排便・食事調査
1)調査票の改良
2)排便調査
3)食事調査
Ⅳ. 考察
ブラジル人学校の食育に関って
29
懇話会「外国籍住民および外国につながりをもつ子どもたちの保健医療」
30
懇話会逐語録
はじめに
多文化共生推進プロジェクトでは、2011 年度から、山梨県の多文化共生、とりわけ保健・医療・
福祉分野でのそれを推進するために、大学としてどのように地域に関っていけるのか、検討してき
た。とりわけ、「見えない」外国籍住民の保健、医療、福祉面での諸問題を、市民団体、
NPO、医療機関などと協働で行う活動の中から明らかにし、それをいかにして公的サ
ービスにつなげていくかを課題として取組んできた。とりわけ、外国人学校の子ども
たちの保健環境を整えることが主眼であった。
年々、協働・連携先は増え、今年も新たな協働先を開拓することができた。外国人学校での保
健活動の企画・実施では、新たにブラジル総領事館、他県の NPO と協働することができた。逆
に、市民団体および本学学生の保健活動によるブラジル移動領事館への協力も新たな企画であ
った。
共同研究者である人間福祉学部人間形成学科の鳥居美佳子准教授を中心とした栄養学から
のアプローチは、昨年からの継続的取り組みである。これは、2011 年度のブラジル人学校での健
診結果を踏まえたもので、今年は、計画通りの進捗状況とはいえないものの、第一段階の調査を
終えることができた。この調査には、人間形成学科の学生もデータ収集に関り、卒業論文を提出し
ている。
今年度のもう一つの収穫は、関係者が一堂に会する懇話会を平成 26 年 2 月 27 日に開催した
ことである。保健医療分野は非常に専門性の高い分野であるため、外国人学校健診に関る医療
関係者は、自身の専門分野の検診時のみ関わってきたのが実情である。これによって、それぞれ
が横のつながりを強化することができ、今後の継続した懇話会開催の第一歩となったのではない
かと考える。
この報告書では、プロジェクト全体としての報告、次に鳥居による食育に関する取組み、最後に
懇話会の逐語録という順で掲載する。なお、鳥居の食育に関する取り組みには、平成 25 年度の
調査報告に加え、卒業論文として関わった人間福祉学部人間形成学科の学生早川愛の「ブラジ
ル人学校への関わりを通して」を掲載した。
最後に、本プロジェクトでは、行政への提言書作成が本年度の活動計画の一部となっている。
これについては、現在作成中で、先般行われた懇話会を含めた 3 年間のプロジェクトおよび関係
市民団体の活動をもとに、多文化関係の関係者とも十分検討・調整をはかり、正式に行政に提示
するよう準備している。
-1-
多文化共生推進プロジェクト:保健・医療・福祉における大学・値域・行政の連携に向けて
Ⅰ.
本プロジェクト研究の背景
1.山梨県の多文化化の背景
山梨県の在留外国人の人口は、2008 年の 17,281 人(1.98%)をピークに僅かずつ減少してい
る。2013 年 6 月末現在では 14,176 人、本県の人口総数(2013 年 7 月 1 日現在の推計人口)
846,634 人に占める割合は 1.67%である1。法務省の在留外国人統計(前登録外国人統計)は、
在留外国人の出身国を、6地域(アジア、ヨーロッパ、アフリカ、北米、南米、オセアニア)と無国籍
にわけて集計しているが、いずれの地域でも減少傾向か、ほとんど変化がないかである。特筆す
べき点は、このような状況の中で、ベトナム国籍者のみが、2008 年以降、増加の一途をたどり、
2013 年 6 月には、2008 年の 2 倍以上である。もう一つの特徴は、定住者が減少し、永住者が増
加していることである。永住
者の割合は、全国平均
31.23%に対して、山梨県で
は 44.25%にのぼり、山形県
に次いで 2 番目に高い。2
世界的経済危機と東日
本大震災の影響で、在留外
国人数は、全体として、この
3 年間減少傾向にあるもの
の、国籍によっては増加傾
向にあり、その永住化傾向
は年々高まっているといえ
る。
表1 山梨県の在留外国人人口の推移 2008-2013*
中国・台湾
ブラジル
韓国・朝鮮
フィリピン
ペルー
タイ
ベトナム
インド
インドネシア
2008
3,875
5,028
2,608
2,049
1,089
708
155
305
240
2010
4,070
3,693
2,428
1,967
1,011
689
207
312
187
2012
4,107
2,971
2,160
1,814
865
636
300
289
168
2013
3,973
2,884
2,171
1,813
829
638
348
292
159
前年比
96.74%
97.07%
100.51%
99.94%
95.84%
100.31%
116.00%
101.04%
94.64%
2008 年比
102.53%
57.36%
83.24%
88.48%
76.12%
90.11%
224.52%
95.74%
66.25%
総 数
17,281
15,732
14,388
14,176
98.53%
82.03%
*2013 年は 6 月末、それ以外は 12 月末の統計値
(法務省在留外国人統計より著者作成)
1
山梨県の人口については、やまなしの統計>山梨の人口・世帯
http://www.pref.yamanashi.jp/toukei_2/HP/y_pop.html (2014 年 2 月アクセス)を参照.
2 在留外国人登録に関する統計に関しては政府統計の総合窓口>在留外国人統計>2013 年 6 月
末 http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001116310 (2014 年 2 月アクセス)を参照.
-3-
このような永住化傾向の高まりは、地域に根をおろして暮らしていこうとする外国籍住民が増加
していることを意味している。暮らしていく以上、すなわち「生活者」である以上、保健・医療・福祉
は、避けては通ることのできない領域であり、とりわけ子どもの健康は、社会の将来を担う存在とし
て、1994 年に批准・公布された国連・児童の権利に関する条約第 24 条[健康・医療への権利]に
あるとおり、国籍を超えて守っていかなくてはならないものである。同時に、強い永住傾向を考慮
すると、我々は、外国につながりのある子どもを日本の子どもたちと同様に大切に育てるかどうか
は、地域社会、日本社会の将来にも関わることにも注目する必要がある。
2.ブラジル人学校について
本プロジェクトの主たる対象となった、義務教育年齢にあるブラジル(一部ペルー、パラグアイ)
国籍の日系定住外国人の子弟に関して、内閣府は「日系定住外国人施策に関する基本指針お
よび行動計画」1の中で、教育の重要性と、それに関する保護者への意識付けの必要性を述べ、
公教育を受ける機会を保障すると同時に、外国人学校に通わせたいという保護者の意向への配
慮の必要性を示している。日系定住者の子弟は一条校である国公私立の小・中・高等学校に通
っているものもいるが、ブラジル人学校およびペルー人学校に通う子弟も多いのである。しかしな
がら、これらのブラジル人およびペルー人学校は、一条校として認可されていない。すなわち、学
校教育法の適用が全くない。保健という本研究の対象分野においては、学校保健安全法が適用
されないことを意味する。
学校保健安全法第一条によれば、「この法律は、学校における児童生徒等及び職員の健康の
保持増進をはかるため、学校における保健管理に関し必要な事項を定めるとともに、学校におけ
る教育活動が安全な環境において実施され、児童生徒等の安全の確保が図られるよう、学校に
おける安全管理に関し必要な事項を定め、もって学校教育の円滑な実施とその成果の確保に資
することを目的とする。」としている。また、第三条には、「国及び地方公共団体は、相互に連携を
図り、各学校において保健及び安全に関わる取り組みが確実かつ効果的に実施されるようにする
ため、学校における保健及び安全に関する最新の知見および事例を踏まえつつ、財政上の措置
その他の必要な施策を講ずるものとする。」とあり、幼児、児童、生徒の健康とかれらを取り巻く教
育環境の安全性が、法的に、財政措置、最新の知見をもって、どれほど確保されているかが理解
できる。
ところが、外国人学校では、学校保健安全法が適用されない。当然、公費による学校健診の実
施、養護教諭の配置がない。A 学園では、幼児から高校生まで 50 名の児童生徒を 3 名の教員が
受け持ち、その教育上の負担は非常に大きい。同時に、学校の維持にかかるすべて経費が保護
者によって賄われていることから、保護者の経済的負担は大きい。養護教諭を配置する余裕はな
い。児童・生徒等の健康保持増進と教育環境の安全性が、財政的にも公的な施策上も、また最
新の知見という点からも全く確保されていないといえる。
1
定住者として受け容れている日系定住外国人の状況を鑑み、日系定住外国人施策推進会議(内閣府)は、平
成 22 年 8 月 31 日、「日系定住外国人施策に関する基本指針」を、続いて平成 23 年 3 月 31 日日系定住外国人
施策に関する行動計画」を策定した。その後実施状況に関する有識者ヒアリング、また、見直しにむけた地方自治
体、有識者ヒアリングなどを開催(内閣府ホームページ http://www8.cao.go.jp/teiju/contents.html 参
照)
-4-
3.地域貢献活動と本プロジェクト研究について
1)「地域密着型」「非収奪的」研究: 地域貢献活動と研究の関係
本プロジェクトの地域貢献活動については、2012 年度の報告書ですでに述べてあるので重複
するが、再度ここに記すこととする。
本プロジェクトでは、テーマのとおり山梨県の多文化共生を推進するための一助となるよう、保
健・医療・福祉分野を中心として、地域貢献活動と研究を行ってきた。本プロジェクトではこの 3 年
間、市民団体、保健機関、医療機関等と協働して(活動資金はすべて市民団体の取得した助成
金による)、学校保健安全法の下にない外国人学校・託児所の健診の充実をはかってきた。その
結果、日程の選択からくる問題があったものの、健診項目という点からは一条校並の健診が実現
している。また、情報弱者である外国籍住民の健康を守るためのチラシの作成にあたっても、本学
保健センターあるいは看護学部教員の協力を得、市民団体への健康に関する情報提供を行って
きた。さらに、多言語の健康相談会・健康セミナーにも教員が協力し、市民団体と共に活動してき
た。これらの活動は、看護学部で「地域の国際化(多文化共生)」における地域貢献として中期目
標の中に位置づけられてきた経緯がある。地域のニーズがあり、そこに活動が生まれ、その活動を
より意味のあるものにするためにプロジェクト研究が行われてきたのである。活動ありきの研究であ
る。それは、「地域密着型」と言ってよいであろう。
同時に、本研究は、「非収奪型」実践研究1でもある。研究者と実践者が協働して研究を進め、
その成果を現場の実践に還元するということである。本研究では、市民団体による支援活動(健
診、健康相談、健康ミニセミナー)に直接参加・協力する中で、研究のためにではなく活動の一環
として記録されたデータを、倫理的配慮を以て研究に使用する。さらに、その研究結果から、次の
活動を創造する。いかにして活動を創り、充実させていくか、それ自体も研究対象でもある。外国
籍住民の享受できる新しい仕組み作りへの具体的な可能性を模索・検討することで、多文化共生
の推進に寄与することも期待される。まさに「非収奪型」実践研究といえよう。
東日本大震災で、外国につながりをもつ人々が支援される側から、支援する側になり話題にな
った例が散見されたが、彼らの多くは、いまだに見えない存在であり、労働、医療、子育て、教育、
言語、情報など様々な生活の側面で充分なサービスを享受できない状況にある。多文化共生を
現実のものにするためには、まず彼らを地域社会のなかで見える存在にすること、すなわち可視
化が必要である。そのためにも、NPO・市民団体などが外国につながりを持つ人々に寄り添い
細々と行ってきた、現場に密着した支援活動を、大学のもつ「知」と「つながり」により、単なる支援
に終わらない、より公的な性質をもつ継続した活動に、さらには制度へとつなげていく努力が不可
欠なのではないか。
2) 研究者であり、実践者であること
これまでの活動は、その大部分が本研究代表者の長坂が代表を務める市民団体「多文化
社会の保健医療を考える会 JUNTOS」の活動でもある。
研究対象として実践活動を継続して行うことはかなり難しい。学校健診のように毎年ほ
1
東京外国語大学多言語・多文化教育研究センターで取り組んでいる研究では、「『研究』と『実践』を
切り離すことなく、研究者と実践者の共同研究を進めること、研究成果を現場に還元し、多言語・多文化
社会が抱える諸問題の解決に寄与できる『非収奪型』の実践的な研究を目指すことを基本方針としてい
る。」(北脇 2009)
-5-
ぼ同じことをする必要のある活動の場合、人的かつ経済的資本が継続的に必要になる。か
といって活動自体に研究費を使うことはできない。健診結果は、毎年、ほぼ同様の結果で
あるため、研究として成り立ちにくい。では、実践は NPO あるいは任意団体がボランテ
ィア的に行っていればよいものなのか。その実践活動が、大なり小なり社会変革をもたら
そうとする場合、そこに必要なのは、大学が有する「知」と社会関係資本ではないか。
継続的に、そして現場に密接に関われる人的資本を得るためには、研究組織とは別の組
織が必要だと考える。それが、市民団体であったり、NPO であったりする。大学は、市
民団体や NPO に、その「知」と社会関係資本を提供し、それらの団体のエンパワメント
と活動の充実をはかることによって、社会に変革をもたらしていくことができるのではな
いか。プロジェクトとしては 2011 年から、実際には 2009 年から本研究代表者が中心とな
って行ってきた活動は、大学という背景なくしては実施不可能だったと考える。大学とい
う背景をもって様々な機関や個人を巻き込み、活動を成立させてきた。
研究( の部分) と 活動( の部分)
参考
協力
市
保健師
研究
社会の変革
活動
市民
団体
多文化共生
県保健所
出前講座
大学
の
教員
市民
団体
可視化
外国籍
住民
民医連・
共立病院
医師・看護師
養護教
諭
国際
交流
協会
25
図2
Ⅱ.
研究と活動の両者がもたらすもの
は研究代表者
プロジェクト研究の目的
本県の多文化共生の推進に寄与すべく、外国籍住民の保健、医療、福祉面での諸問題を、市
民団体、NPO、医療機関などと協働で行う活動の中から明らかにし、それをいかにして公的サー
ビスにつなげていくか検討する。この 2 年間に引き続き、主に外国人学校の児童生徒の保健に焦
点を絞って、その問題点の解決策を検討し、保健活動の充実を図る。
具体的には、1)外国籍の子どもたちの健康問題を明らかにし、2)それらの問題を現場の健康
教育に還元し、子どもたちの健康増進をはかるとともに、3)外国人学校が自ら子どもたちの健康
を管理できるようなシステムを構築し、さらには4)市民団体の外国人学校での活動を公的サービ
スにつなげていく方法を模索・検討することである。
-6-
Ⅲ.これまでの経緯(2011 年度・2012 年度研究報告書1参照)
学校保健安全法の適用外の外国籍住民の子どもたちの通うブラジル人学校での健診を充実さ
せ、その健診結果から、それらの学校に在籍する子どもたちの健康の実態を把握してきた。また、
実態として捉えられた課題に対処すべく、健康セミナー、健康相談会を、可能な範囲で公的サー
ビスを取り入れ開催してきた。
公的サービスにつなぐという点では、県保健所および市町村の保健師・栄養士等の健診・健康
相談会およびワークショップ/セミナーへの参加・協力を得ている。また、昨年度は、教員の地道な
努力により地域の協力医療機関の数が増えると同時に、市民団体獲得の助成金により健診項目
も日本の学校並みにすることができた。さらに、保健センターおよび教員の協力を得て市民団体
が作成した保健啓発チラシ(p.14 資料 2 参照)の一部は、保健行政および多文化共生全国組織と
の連携により、全国に情報拡散され、内閣府のホームページにリンクが設けられた。
一連の活動・研究には、本学看護学部の教員・学生が協力、平成 24 年度には人間福祉学部
の教員・学生も加わり、地域における国際化への大学としての地域貢献としても、内容をふくらま
せてきた経緯がある。
平成 24 年度は、これまでの活動と研究成果を、県外で同様の研究と活動を行っている実践的
研究者を招待し公開学習会を行った。外国籍住民の子どもたちの保健の実態について、地域間
で相互の情報交換ができたとともに、関心を持つ市民の学習の機会となった。
Ⅳ.
2013 年度の計画とその実施状況
1.2013 年度の計画
2013年度当初の計画は以下のとおりである。
市民団体による外国人学校健診・健康相談会、健康セミナーの活動および外国人学校での保
健システム構築への協力を継続して行う。今年度は、とくに、肥満の問題に対処すべく、食事と排
便に関る調査と介入を重点的に行う。調査は、独自に開発した調査票を用い食生活における課
題を把握し、それに基づく健康教育(介入)を行う。また、この3年間にわたる保健活動全般にお
ける介入の効果について、アンケートによる意識調査により検証する。
また、今年度後半には3年間の活動および研究の集大成として外国籍住民の保健・医療・福祉
に関するさまざまな取組や実態について知ってもらうための公開学習会を兼ねたフォーラムを開
催し、県市町村の保健行政への提言を作成する。
2.計画の実施状況の概要
1) 市民団体による外国人学校健診・健康相談会、健康セミナーの活動および外国人学校での
保健システム構築への協力を継続して行った。
2) 食事と排便に関る調査については、2回の調査を行った。第1回調査で不鮮明な記入が多
く、集計上、またデータの信頼性の点での問題がみられた。そのため、調査票の精度を高める
工夫をし、第2回調査に臨んだ。このような経緯の中で、今年度は介入(健康教育)には至らな
かった。一方で、独自に開発した調査票の精度を高めることができた。(pp.16-28 参照)
3) 3年間の主に健診を始めとした介入の効果であるが、効果の数量的な検証はできなかった。
その主な理由として、今年度の受診状況がよくなかったこと、健診結果の充分な把握ができな
1
参考文献(p.12)を参照.
-7-
かったことなど、思わぬ状況が生じ、すべての結果を保護者に返すことができなかったことがあ
げられる。これについては、後述する。
4) 公開学習会を兼ねたフォーラムについては、これまでブラジル人学校・託児所の保健活動に
協力をしてきてくださった関係者が、一堂に会する機会がなかったため、関係者を集めた懇話
会という形をとって、提言に向けた意見交換をおこなった。これを受けて、提言書は、現在作成
中である。
Ⅴ.2011 年度から 2013 年度の地域貢献活動(表 2 参照)
2011 年度から 2013 年度にわたり取組んだ地域貢献活動ごとに、その内容、教員・学生
の協力者、連携機関・個人を、表2(次頁)にまとめた。やまなし国際保健支援ネットワー
ク(YIHSN)(2011 年度)および多文化社会の保健医療を考える会 JUNTOS(2012 年
度、2013 年度)の活動に協力するという形をとり、コーディネート(企画・調整)は、多
文化社会コーディネーターである本プロジェクト代表者が行った。
「スタッフ」は、YIHSN
または JUNTOS のスタッフを示し、空欄については参加人数不明を意味する。
Ⅵ.今後に向けての課題
活動に協力してきたなかで、現時点で把握している主たる課題を以下に示した。
1
保護者の子どもの健康に対する意識・関心
2011 年の健診は、週末に行われた。親子で参加する形態であったが、約 50%の参加率で
あった。
2012 年は、平日に各学校・託児所で行われたため、当日の欠席者以外は全員受診してい
ることになる。2012 年度は、健診結果票を返し、異常のある子どもには病院を受診するよ
う勧める通知文書を配布、全員に結果を返している。また、受診したら、治療を受けたか
どうか医師の証明をもらうような通知文書にしてある。当然、書類は日本語・ポルトガル
語併記で、通訳と相談してわかりやすく翻訳してある。一部の親は、学園の校長に受診結
果を口頭で伝えているが、その書類は全く返ってこなかった。2012 年に、視力が D だった
生徒が、2013 年の健診時にまだ眼鏡を入手していないケースもあった。
2013 年は、ほとんどの健診項目を各学校・託児所で行った。しかし、ブラジル総領事館
から医師派遣に合わせ、歯科検診と小児科(内科)検診だけは、週末に、中央市の施設で、
親子健康フェスタとして、学校・託児所両方および不就学の子どもたちを対象に実施した。
その際、各学校・託児所で行った項目について記入してある健診結果票を一旦保護者に返し
て、当日、それを持参してもらい、その日の健診結果を書きくわえるような手順を取った。
この健康フェスタへの参加率は、約 35%であった。参加児童生徒の健診結果票は、当日回
収ができた。後日、不参加の者については、学校を通して健診結果票を回収しようとした
が、返ってこなかった。
また 2013 年、山梨民主医療連合会で、ポルトガル語で保険証に関するアンケート調査
を行った。各学校・託児所を介して保護者に配布・回収したが、その回収率は 20%に満たな
い。
日本なら、子どもの健康に対する保護者の意識・関心に疑問を持たざるを得ない。しか
し、ブラジルでは学校健診が無い学校が多い様子なので、学校文化の違いも原因している
可能性も考えられる。今後、保護者の子どもの健康に対する意識・関心についてのインタ
-8-
-9-
表2
2013
2012
2011
年度
10
1
0
5
2
9
1
2
1
2
3
1
3
2
1
3
2
外国人学校・託児所(3 施設)検査
外国人学校・託児所(2 施設)健診・健康相談会
リラクセーションレッスン 5 回シリーズ
健康ミニセミナー:睡眠(保護者向け)
健康ミニセミナー:身体を動かそう(幼児・児童向け)
子育て・健康ワークショップ
ペルー国籍住民のための健康相談会
ブラジル人学校・託児所(3 施設)健診および各種検査
「熱中症対策」多言語資料作成・配布
食育を考えるためのブラジル人学校昼食試食会
ノロウィルス対処法啓発チラシ(5 カ国語)作成・配布・
全国配信(内閣府定住日系人ポータルサイトにアップ)
食育セミナーと調理実習・健康相談会
公開学習会
「手洗いポスター」改訂版
ブラジル人学校・託児所健診および各種検査
ブラジル移動領事館(長野県飯田市)への協力
ブラジル移動領事館(中央市)健康相談および多言語情報
提供
親子健康フェスタ
食の調査に向けた活動
外国籍の子どものための日本語作文コンテスト文集編集
1
懇話会
2
2011 年度から 2013 年度の地域貢献活動 (*本学学生以外を含む
教員
3
7
活動
0
13**
0
40**
1
6
0
4**
5
3
4
3
1
0
1
5
1
0
0
0
0
7
3
6
1
2
0
2
2
4
3
1
4
5
通/翻訳
連携機関・個人
コンテスト審査員 3 名
ブラジル総領事館、中央市国際交流協会、NPO
MAIKEN、山梨まんまくらぶ
山梨健康事業団
ブラジル総領事館、NPO MAIKEN
ブラジル総領事館、山梨まんまくらぶ
中北保健所保健師・管理栄養士、南アルプス市
食生活改善委員会・健康増進課、開業医 1 名、
山梨まんまくらぶ、JUNTOS 所属医師 2 名
(財)日伯経済文化協会 ANBEC 理事、日赤中央
血液研究所シャ―ガス対策担当者
中北保健所保健師
リズムオブラブ
中央市国際交流協会・保健師、甲府市管理栄養
士・保健師、市民団体ハート 51
市民団体パチャママ
開業医 2 名、山梨民医連、山梨健康事業団、
山梨県立大学保健センター情報提供
アルプス学園
八戸保健所、多文化共生リソースセンター東海
山梨健康事業団
南アルプス市保健センター、山梨民医連、甲府
共立病院
**JUNTOS 以外の当日スタッフ含む)
1
2
1
7*
1
4
1
2
4
3
4
8
0
0
0
7
0
4
8
協力者(延べ数)
スタッフ
学生
0
10
ビュー調査を行い、その理由を明らかにし、どのように健診結果を記録し、保護者に返し
ていくのか検討の必要がある。
2
健診結果の管理システムの構築
今年度(2013 年度)の目的として、健診結果の管理システム構築をあげた。これに関し
ては、「学校保健総合管理えがお4」というソフトを購入し、試験的に入出力をした。そ
の結果、少人数の児童生徒の管理には、効率があまりよくないということが分かった。ま
た、操作が複雑なうえに多言語ではないので、外国人学校の教員・スタッフには利用が難
しい。教員数が僅かな外国人学校にも管理できるような、操作し易い管理システムの開発
が望まれる。
3
外国籍児童全般の問題把握
プロジェクトの主な対象は、外国人学校の児童生徒であり、一条校を含めた外国籍児童
生徒全般の保健についての把握はまだ行われていない。また、国籍という点でも、本プロ
ジェクトの対象は偏りがある。外国籍および外国につながりがある子どもたちの健康問題
全般の把握が必要である。
4
行政との連携
プロジェクトの中で、行政との連携は、出前講座、健康セミナーへの講師派遣、保健所
からの情報拡散、市の施設の貸出し費用の免除であった。健診そのものへの費用面での行
政からの助成はない。経費については、市民団体が毎年助成金を獲得して賄ってきた。ま
た、人材についても、個々に市民団体から依頼している。しかし、このような状況の中で、
継続的実施には、明らかに無理がある。
山梨県内の外国人学校の子どもの内、学校教育基本法が適用される一条校の年齢層にあ
たる児童生徒は、50 人から 60 人。各市町村の児童生徒数は、最も多い甲府市、中央市、
南アルプス市でさえ、15 人前後である。愛知、群馬、静岡、岐阜など、外国人学校数も、
また児童生徒数も多い県とは異なり、1 市町村の負担は決して重くない。人口の絶対数が
小さい県だからこそ、できるサービスがあるのではないか。そもそも、地域の子どもの健
康と、それを守る経費とを天秤にかけることはできない。今後、健診にかかる経費負担に
ついて、市町村と検討していく必要がある。
養護教諭からの情報提供や健康教育は、保健所と保健センターの出前講座を利用したり、
近隣の学校と市民団体が連携し、できるだけ既存の制度・人材をいかに利用するかも、検討
する必要があろう。
5
乳幼児健診・母子健康手帳
活動の中で、子どもたちの中に乳幼児健診を受けていない者(特に来日前に生まれてい
る子どもの場合)が多いこと、母子健康手帳が母親が読むことのできない日本語版を持っ
ている人も少なからずいること、市町村によっては多言語母子手帳が無料配布されていな
いところがあることなどがわかった。今後、地域の保健師と連携をとり、互いに把握して
いる問題の共有をはかっていくことが望まれる。
今後も、外国人学校での学校健診を継続していくためには、保健所、市町村の関係部署
との協議・連携・協働が不可欠である。また、研究という点では、外国人学校か一条校かに
- 10 -
関わらず、外国籍児童生徒の保護者および教員等への個人もしくはグループインタビュー
をとおして、保健・医療・子育てに関する諸問題を詳細に把握していく必要がある。同時に、
保健師へのアンケート調査により、外国籍住民の保健に関する地域の課題を抽出すること
が重要である。
Ⅶ.おわりに
多文化化は、現在急速に進行中の社会現象と言える。急速に進行しているからこそ、移民法を
もたない、また単一民族幻想がいまだに強い日本社会では、彼らに対する法整備が追いつかな
い。共生への意識も同様である。
まして、外国籍住民の人口構成と生活環境は、都道府県により大きく異なる。医療通訳一つを
とってみても、病院での通訳業務だけをすればよい交通機関の発達した首都圏と、一方で医療通
訳が場合によっては車による送迎まで含む、公共交通機関の発達していない山梨県のような地域
がある。東南アジア系の技能研修生が大部分を占める県もあれば、在日コリアンが 40%を超えるよ
うな地域もある。他県の例は、参考にはなるが、そのまま適用することは難しい。地域ごとに、多文
化化の状況が異なる。
このような状況にあっては、大学という高みから眺めていても、刻々と移りゆく外国籍住民の状
況は目に入ってこない。当事者に寄り添い、地域のニーズに即して活動している市民団体と連
携・協働するからこそ、現場の声が聞こえてくると考える。
大学がその現場に関る意義は、大きく2つあると考える。一つは、地域の多文化化の課題を的
確に抽出し、そこに大学のもつ「知」をおろす、あるいは還元することである。もう一つは、大学のも
つ「信用」が、多くの連携・協働を生みだし、地域にある課題の可視化をはかり、意義ある活動を、
行政や公的サービスに結びつけることである。
最後に、プロジェクト以前に 2 年間、プロジェクト 3 年間、計 5 年間をとおして、研究者として、市
民団体の代表として、多文化共生に向けての活動と研究には、おそらく他の活動にも言えることだ
と思うが、「つながり(連携・協働)」、「社会の変革をもたらそうとする姿勢」、そして「継続」すること
が必要だということを実感している。今後も、この 3 点を大切にして、外国につながりをもつ人々の
諸問題が、地域の課題として可視化され、もって多文化共生が推進されるよう、研究と活動を続け
る所存である。
謝辞
3年間に亘った本プロジェクト研究は、多くの保健・医療機関、健診機関、開業医等の、多文化社
会の保健医療を考える会JUNTOSの活動への協力があっての研究である。これらすべての連
携・協働先の皆さまの善意の惜しみないご協力に敬意を表するとともに、心から感謝する次第で
ある。以下に、ご協力をいただいた皆さまの名称を記す。
医療法人アウゲン田辺眼科、NPO MAIKEN、共立歯科センター、公益財団法人山梨健康事業
団、甲府共立病院、甲府市保健センター、中央市健康増進課、中央市国際交流協会(政策秘書
課)、露木耳鼻咽喉科医院、南アルプス市健康増進課、南アルプス市食生活改善推進委員会、
ブラジル総領事館、リズムオブラブ、山梨県中北保健福祉事務所、山梨県民主医療機関連合会、
山梨まんまくらぶ
(以上あいうえお順)
- 11 -
【参考文献】
北脇保之(2009).
はじめに―外国人受け入れ施策としての外国人相談の位置づけと連携・協働
の必要性. シリーズ多言語・多文化協働実践研究, 別冊 2. 外国人相談事業.
政府統計の総合窓口>登録外国人統計>2011年
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001089591. (2013.3.30アクセス)
日系定住外国人施策推進会議. 定住外国人受け入れのための基本指針/行動計画 内閣府ホーム
ページ http://www8.cao.go.jp/teiju/contents.html.(2013.3.30 アクセス)
内閣府ホームページhttp://www8.cao.go.jp/teiju/contents.html. (2013.3.30アクセス)
内閣府定住外国人ポータルサイト http://www8.cao.go.jp/teiju-portal/port/index.html /
http://www8.cao.go.jp/teiju-portal/ espa/index.html / http://www8.cao.go.jp/
teiju-portal/jpn/ index.html. (2013.3.30 アクセス)
浪本勝年、伊藤良高、志村欣一他編(2011).『2011年度版ハンディ教育六法』北樹出版.
山梨県立大学地域研究交流センター2011年度研究報告書(2012). 「多文化共生推進プロジェク
ト:保健・医療・福祉における大学・地域・行政の連携に向けて」, 研究代表者 長坂香織.
山梨県立大学地域研究交流センター2012年度研究報告書(2013). 「多文化共生推進プロジェク
ト:保健・医療・福祉における大学・地域・行政の連携に向けて」, 研究代表者 長坂香織.
(文責:看護学部
【資料1:新聞掲載記事】
山梨日日新聞 2013年10月7日
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長坂香織)
山梨日日新聞
2013年5月21日火曜日
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【資料2:多言語保健啓発チラシ】
ノロウィルス1頁(タイ語)八戸保健所情報提供
手洗い(ポルトガル語)イラスト:坂本実紀
ノロウィルス2頁(中国語)八戸保健所情報提供
熱中症対策(スペイン語)本学保健センター情報提供
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【資料 3:活動風景】
2013/7/23 アルプス学園
視力・聴力検査
2013/9/21 ブラジル移動領事館(中央市)
2014/2/27
2013/7/24 アルプス学園
眼科検診
2013/6/11
アルプス学園身長体重測定
2013/10/6
親子健康フェスタ
懇話会
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チラシ
ブラジル人学校での保健活動
~食の視点から~
Ⅰ.昨年度の取り組みの概要(研究背景)と今年度の目的
日本では、「食育基本法(内閣府、2005 年)」の施行以来、食育に対する意識が高まっ
てきている。教育・保育の場における子どもを対象とした食育は、「保育所における食育
に関する指針(厚生労働省、2004 年)」、「楽しく食べる子どもに-食からはじまる健や
かガイド(厚生労働省、2004 年)」、「保育所保育指針(厚生労働省、2008 年)」、「保
育所における食事の提供ガイドライン(厚生労働省、2012 年)」、「幼稚園教育要領(文
部科学省、2008 年)」、「食に関する指導の手引(文部科学省、2010 年改訂)」などによ
って、指針が示された。近年、イベント型や体験型の食育が盛んに行われ、その成果とし
て「食への関心の高まり」や「食生活の変化」が報告されている 1)。
一方、日本で生活をするブラジル人幼児は日本人幼児より肥満が多いと報告されてい
る。その要因の一つとして、糖質の摂取頻度が高いことが指摘されている 2)。しかし、外
国につながりのある子どもの食生活の実態調査や食生活への介入に関する研究はほとんど
ない。外国人学校では、つながりのある国や地域の食文化を背景とした食育がなされてい
るのか、あるいは、日本で示されている食育に関する指針に基づく食育がなされているの
か、不明である。また、外国につながりのある子どもの食習慣に関する研究報告によると、
文化の違いによって様々な場面で援助・対応の問題が生じていることが指摘されている。
とくに、外国につながりのある子どもが日本の学校や保育所で集団生活をする場合、子ど
もは保育施設や学校などで日本的な食生活をある程度経験しながら育つので社会適応が早
いが、親が従来の食文化の中だけに閉じこもっていると親子関係の中でギャップが生じる
ケースが報告されている 3)。日本に存在する外国人学校において、食生活上の問題を解決
するための望ましい食のモデルとして、日本型の食事や食習慣を用いることが適切である
かどうかの検討もなされていない。
前述したように、現在、日本の保育・教育の場で実践されている食育は、「食への関心
の高まり」という成果が認められる一方で、非日常的なイベントに終わることが多い。今
後の課題として、日常的な食育を継続していくこと、また、食育の成果として、関心の高
まりや食生活の変化を評価するにとどまらず、生体への影響を客観的に評価することが必
要であると考える。このようなことから、これまで、著者らは、幼児を対象として「排便
調査」を用いた食育の可能性を検討してきた 4、5)。この方法のねらいは、子どもが日々の
便の状態を観察したり食事内容を記録したりすることにより、子ども自身が自分の便の状
態と食生活との関連性を発見すること、主体的な食行動改善を促すことである。記録を通
して「体調の変化」を把握することにより、食育の成果を客観的に評価することも可能で
ある。また、子どもが望ましい食習慣を確立するためには、保育・教育機関と家庭との連
携が重要である。調査票により、それぞれの立場で情報を把握し、連携の手段として活用
することが期待される。とくに、外国につながりのある子どもと家庭を対象とした場合、
教育・保育機関と家庭が共通理解をもって子どもの食習慣にアプローチする必要性がある
ため、調査票を活用することで、子どもに対する適切な援助ができるのではないかと考え
- 16 -
た。
以上のことから、本プロジェクトでは、山梨県内ブラジル人学校(以下、A 学園)に通
う子どもたちを対象とし、排便調査票および食事調査票を開発し、食生活の実態を把握す
ること、さらに食育を実施し、その成果を評価することを目的として、活動を継続してい
る。昨年度(2012 年度)は、対象校の教員と研究計画の検討を行い、排便・食事調査票の
開発を行ない、予備調査を実施した。その結果、排便調査に空欄(未回答)が非常に多く、
実際に排便がなかったのか、記録を忘れてしまったのかを区別することができなかった。
食事調査も同様に、欠食した場合と記録を忘れた場合を区別することができない回答が多
かった。そのため、排便状況や食事摂取状況の把握をすることが困難であった。そこで、
今年度は、調査票および調査方法を改良し、排便および食事調査を実施した。その結果よ
り明らかになった排便状況や食事摂取状況の現状と食育を進めていくための課題について
報告する。
Ⅱ.方法
1.ブラジル人学校の生活時間調査
調査日時は、2013 年 4 月 2 日(火)9:30~19:00 とした。A 学園は、1 月に新年度を迎
えるため、調査当日は通常授業日であった。子どもたちの学校生活の環境や生活時間、雰
囲気、食事風景などを観察することを目的とした。
2.排便・食事調査票の改良および調査の実施
昨年度の予備調査の結果を踏まえ、その都度調査票を改良しながら、排便・食事調査を
2 回実施した(以下、【調査 1】および【調査 2】と記す)。
【調査 1】では、39 名(未就学児 7 名、小学生 18 名、中学生 7 名、高校生 5 名、不明 2
名)から調査票を回収することができた。調査期間は、2013 年 5 月 21 日~6 月 4 日の休日
を含む 14 日間であった。予備調査と同様に、排便調査は、各自が排泄した便を観察し、調
査票に示した 4 種類の便(以下、「日本語での名称」⇒「ポルトガル語での名称」を示す。
①「バナナうんち」⇒「いい形でバナナのようなうんち」、②「もこもこうんち」⇒「あ
と少しでバナナうんちになるやわらかいうんち」、③「ころころうんち」⇒「かたくて玉
のようなうんち」、④共通「水っぽくて下痢のときのうんち」)のうち、最も近い便の欄
の○に排便の回数だけ色を塗る方法とした。食事調査は、各自が摂取した食品を分類し、
調査票の該当する食品群欄の○に摂取した食品数の数だけ色を塗って記録する方法とし
た。食品群は、吉田 6、7)が考案した「4つのおさら」に基づき、食品の機能による 4 つの
グループ(黄、赤、緑、白)とした。予備調査の段階で、分類の理解を助けるための食品
のイラストをブラジル人が日常よく食べる食品に変更した。排便・食事調査票のいずれも、
ポルトガル語への翻訳を依頼し、ポルトガル語で表記した。誤って色を塗った場合は、色
を塗った○の上から×印を書いて訂正することとした。予備調査からの改良点は、「欠食
欄」および「排便なし欄」を追加した点である。以上の調査方法を A 学園の教員に説明し
た。子どもたちに対する説明は、A 学園の教員が担当した。
【調査 2】では、46 名(未就学児 10 名、小学生 21 名、中学生 5 名、高校生 9 名、不明
1 名)から調査票を回収することができた。調査期間は、2013 年 11 月 13 日~29 日のうち
平日のみ 10 日間とした。【調査 1】からの改良点は、以下の 3 点である。第一に、不鮮明
- 17 -
な色塗りなどによる回答がなくなるようにするため、○に色を塗る方法ではなく、○にシ
ールを貼り付けることで記録する方法とした。第二に、休日に調査票を家庭に持ち帰って
調査をすることにより調査脱落者が生じることを防ぐため、土・日曜日を調査対象外とし、
平日のみ 10 日間を調査対象とした。調査方法を検討している段階で、A 学園を訪問し、ク
ラス1毎に方法の変更を説明し、方法の理解や回答が可能かどうか確認した。その際、食事
調査の回答について、料理単位で回答するのか、料理の材料として使用されている食品単
位で回答するのか混乱している現状が認められたため、具体的な料理と食材の例を挙げて
調査票へのシールの貼り方を示した例を作成し、子どもたちがいつでも見られるように、
ポルトガル語に翻訳したものを教室内に掲示した。調査票の最終版を図 1 に示す。第三に、
一人一人にファイルを用意し、調査票とシールを入れて配付し、調査票を管理しやすいよ
う工夫した。さらに、幼児については、家庭での食事内容を記憶したり、自分だけで料理
に使用された食品のグループを判断して記録したりするのが困難であると、A 学園の教員
に指摘されたため、保護者の協力を得やすいように、食事内容が簡単にメモできる家庭用
食事記録票を作成し、調査票やシールとともにファイルに入れて配付した。小学生以上に
ついては、自分のメモとして自由に使ってもらうために、同様に配付した。
さらに、【調査 2】実施直前には、A 学園の教員と調査方針や調査方法について、共通
の認識を持つためにミーティングを行った。調査方針として、本調査は状況把握が目的で
あり、調査期間中は、教員が子どもに介入(特定の食品を食べるように促すこと、反対に
特定の食品を食べないように促すこと、食べる量が多い、あるいは少ないことを食事中に
注意すること)をしないようにすることを確認した。就学前児については、正確な回答が
困難であると考えられるため、正確性を求めて厳しく記録指導するのではなく、自分の食
生活や体調に興味を持つ機会とすることとした。また、調査票の管理方法については、調
査票は家庭に持ち帰らず A 学園で保管し、家庭での食事内容は家庭用食事記録票にメモし
て、翌日学校で記録することとした。
A 学園のクラスは、幼稚園児から高校生まで 50 名から 60 名を 3~4 クラスに分けてい
る。
1
- 18 -
図 1:排便調査票(上段)および食事調査票(下段)
3.排便・食事調査の分析方法
- 19 -
排便調査の結果は、調査期間の 1 日ごとに、「朝」「昼」「夕」の各時間帯における排
便の回数および便の種類を集計した。次に、調査期間中の総排便回数を調査日数で除して
割合を求め、それを各自の「排便率」とし、46 名の平均値および標準偏差を算出した。ま
た、各時間帯の排便回数の合計を調査期間中の総排便回数で除し、各自の「各時間帯にお
ける排便率」を算出し、46 名の平均値および標準偏差を求めた。さらに、便の種類につい
ては、各種類の排便回数の合計を調査期間中の総排便回数で除し、「各便の種類排泄率」
とした。排便の時間帯と便の種類の関連性(χ2 検定、有意水準 5%)、排便率と各便の種
類排泄率の相関性(有意水準 5%)を検討した。
食事調査の結果は、調査期間の 1 日ごとに、「朝」「昼」「間食」「夕」の時間帯にお
ける食品群別摂取食品数(水は摂取回数)を集計した。次に、摂取食品数を食事回数で除
して平均値を求め、それを各自の各食品群「1 食あたりの摂取食品数」とした。
排便状況におよぼす食習慣の影響を明らかにするため、排便に関する指標と食事に関す
る指標の相関性(有意水準 5%)を検討した。その結果を踏まえ、A 学園の子どもたちを対
象として調査や食育を行うための課題や適切な方法を検討した。
1.
結果
1.ブラジル人学校の生活時間調査
A 学園には 3 歳から高校生まで約 60 名が在籍している。保護者の勤務時間帯に応じて、
早い子どもは 6 時 40 分頃登校し、遅い子どもは 19 時半頃まで学校に残る。A 学園は子ど
もたちが 1 日のほとんどの時間を過ごす生活の場としての機能も持っている。
生活時間や規律に関する特徴としては、日本の学校のように授業時間を知らせるチャイ
ムがなく、活動と活動の区切りがはっきりしていないことが挙げられる。日本の小学校や
中学校では、教員が集団に対して一斉に話を聞くことを促す指導がなされる場面をよく目
にするが、A 学園ではそのような指導はみられず、個別対応が多いように見受けられた。
これらのことから、学校の雰囲気は自由で、時間がゆったりしているように感じられた。
一方、このような雰囲気の中で、子どもたちは指示を受けて行動するのではなく、時計を
見て自分の判断で自主的に責任を持って行動しているように見受けられた。
食生活に関する特徴として、1)昼食が給食と弁当の選択制であること、2)学校にいる間
の食事(間食を含む)回数が多いこと、3)砂糖入りの清涼飲料水をよく飲むこと、以上の
3 点が挙げられる。以下に、特徴の詳細を述べる。
1)昼食について
約 4 割の子どもが給食を選択していた。弁当はブラジル料理店で作られて配送されてき
ていた。図 2-1 は、調査日の弁当給食である。メニューは、ご飯、フェイジョン(いんげ
ん豆に近いでんぷん質の豆を煮込んで塩で味付けした代表的なブラジル料理)、鶏肉を焼
いたもの、肉野菜炒めおよびレタスサラダであった。料理の特徴として、ほとんどの料理
で味付けに塩を用いることが挙げられる。ご飯も塩を加えて炊かれており、それに濃い塩
味のフェイジョンをご飯の上にかけて食べるのが一般的で、子どもたちもそのようにして
食べていた。サラダは教員が醤油とオリーブオイルをかけて配膳していた。野菜だけでは
食べない子どもも、醤油とオリーブオイルをかけると好んで食べると教員が話していた。
醤油は 1 リットルのボトルで用意され、日常的に使用されていた。
- 20 -
一方、自宅から持参した弁当のメニューは様々な内容であった。弁当を持参した子ども
にも給食のサラダが配られていた。図 2-2 は、家庭から持参した弁当にサラダを加えた食
事例である。弁当の内容として、主食はご飯やサンドイッチ、焼きそばのような麺類など
があった。主菜は焼いたり揚げたりした肉料理、ウインナーなどの肉加工品が多く、副菜
(野菜料理)は少ない傾向が認められた。中には、パック入りの納豆を持参する子どもも
いた。教室内に電子レンジが置かれ、子どもたちが弁当を温めるのに使用していた。昼食
は 12 時過ぎに各教室で担当教員と一緒に摂っていた。
図 2-1:調査日の弁当給食
図 2-1:ある子どもが家庭から持参した弁当とサラダ
2)食事(間食を含む)の回数について
子どもたちは、昼食以外にも家庭から間食を持参して食べていた。この特徴の背景には、
学校にいる時間が長いことと、午前も午後も間食を摂るブラジルの食習慣がある。間食は、
- 21 -
遅くまで学校に滞在する子どもで、10 時、15 時、18 時の 3 回分を家庭から持参していた。
早く登校する子どもは、朝食を食べずに登校するため、10 時の間食が朝食の役割も果たし
ていた。間食の内容は、果物や乳製品など間食に適した食品を持参するよう学園側が指導
しているとのことだが、スナック菓子や菓子パン、ビスケットなどの甘い菓子類などを摂
取する子どもも多かった。とくに、中学生以上では、ほとんどの子どもが菓子類を食べて
いた。小学生のクラスでは、すべての間食を完璧に指導することが困難であるため、10 時
の間食だけでも望ましい食品を用意することを促す指導がなされていた。具体的には、10
時の間食で摂取した食品が、望ましい場合は緑色、望ましくない場合は赤色のシールを教
室の掲示板の表に貼る取り組みを実践していて、子どもたちは間食後に各自が判断してシ
ールを貼っていた(図 3)。
図 3:間食のチェックリスト
3)清涼飲料水などの摂取について
子どもたちはペットボトルや水筒などで飲み物も持参していた。水筒の中は、お茶やス
ポーツドリンク、野菜ジュース、フルーツジュース、清涼飲料水など様々な種類の飲料が
みられたが、砂糖入りの清涼飲料水が多くを占めていた。図 4 に示すように、授業中も飲
み物を机に置いている子どもが多かった。1.5 リットルの大きなペットボトル入りの清涼
飲料水や 1 リットルの大きな紙パックのジュースも多く見受けられた。教室には冷蔵庫が
設置されていた。また、学校内にはペットボトルやパック入りの清涼飲料水を購入できる
自動販売機が設置されていた。
- 22 -
図 4:教室に置かれた清涼飲料水
2.排便・食事調査
1)調査票の改良
予備調査の結果を踏まえて改良を加えたにもかかわらず、【調査 1】においても、調査
票の記入に関する課題が多く残った。色塗り法による【調査 1】では、不鮮明な(薄く塗
った色か消した跡か判断できないなど)箇所を全て「不明」として処理した結果、「不明」
が 1 箇所もなかった例は、排便調査で 39 名中 28 人(71.8%)、食事調査で 39 名中 4 人(10.3%)
のみであった。【調査 2】でシールを用いた方法に変更した結果、この問題は解決した。
また、調査票に食品群や便の種類によってシールを色分けして貼るルールにしたため、低
年齢の子どもたちは、様々なシールを使用することに興味を持ち、積極的に調査に取り組
む様子が観察された。
2)排便調査
排便率(調査日数に対する排泄回数の割合)は、68.3±28.7%であった(結果は、対象
者 46 名の平均値±標準偏差として示す。以下同様)。排便率の分布を図 5 に示す。排便率
100%以上、すなわち調査期間中、平均して 1 日に 1 回以上の排便があった者は、46 名中
11 名(24%)存在した。一方、排便率 50%未満、すなわち、平均して排便の頻度が 2 日に
1 回より少なかった者は 46 名中 9 名(20%)認められ、そのうち、7 名(15%)が 3 日に
1 回(排便率 33%)未満であった。
- 23 -
15%
24%
1日1回以上
4%
5日に4回以上
2日に1回以上
3日に1回以上
3日に1回未満
33%
24%
図 5:対象者の排便頻度の分布(n=46)
各時間帯における排便率は、朝 40.8±40.1%、昼 33.9±32.3%、夕 42.1±39.1%であ
った。一般に、朝の排便習慣が望ましいとされている 6、7)が、A 学園の全体平均からは、
昼および夕に多く排便する傾向が認められた。
50%
42.1%
40.8%
40%
33.9%
30%
20%
10%
0%
朝
昼
夕
図 6:各時間帯における排便率
個々人の排便率をみると、5 日に 4 日以上の割合(排便率 80%以上)で特定の時間帯に排
便習慣がある者が、朝 11 名(24%)、昼 5 名(11%)、夕 10 名(22%)存在した。昼に
排便習慣がある者は、朝および夕に比べて少ないことが明らかとなった。一方、特定の時
間帯に排便習慣がなく、排便が 1 日の様々な時間帯に分散している(各時間帯の排便率が
20%以上であった)者が 9 名(20%)存在した。排便の時間帯と便の種類には、関連性は
認められなかった。
便の種類は、「もこもこうんち」が最も高く(68.8±40.6%)、次いで「バナナうんち
(31.0±30.9%)」、「ころころうんち(16.8±29.7%)」であり、「下痢(0.3±2.0%)」
- 24 -
はわずかであった。排便率と「バナナうんち排泄率」および「もこもこうんち排泄率」に
有意な正の相関性が認められた。すなわち、「バナナうんち」と「もこもこうんち」の排
泄率が多い者は、排便率自体が高いことが示された。
80%
68.8%
70%
60%
50%
40%
31.0%
30%
16.8%
20%
10%
0.3%
0%
バナナ
もこもこ
ころころ
下痢
図 7:各便の種類排泄率
3)食事調査
各食事の欠食率は、朝食 3.2%、昼食 6.3%、夕食 5.4%であった。間食の喫食率は、77.6%
であった。
1食あたりの摂取食品数
1.2
1.1
1.0
1.0
0.8
1.1
1.0
0.7
夕食
間食
0.5
0.5
0.4 0.4
0.4
0.3 0.3
0.3
0.3
0.2
0.2
0.2
0.0
0.1
0.1
0.0
0.3
0.3
0.2
0.1
0.0
清涼飲料水
菓子類
0.1
0.0
0.0
0.0
味噌汁
牛乳・乳製品
野菜・
果物
芋類・豆類(
大豆以外)
肉・魚・卵・大豆
穀類
0.0
昼食
0.7
0.6
0.4
朝食
0.9 0.9
図 8:各食事における食品群摂取状況
図 8 は、1 食あたりの摂取食品数を用いて、各食事における食品群の摂取状況を示して
いる。朝食では、穀類(0.7)および牛乳・乳製品(0.7)が最も多く摂取されていた。し
かし、穀類の摂取食品数が 0.7 であることは、主食を含まない食事が 3 割あることを意味
- 25 -
している。主食として穀類を摂取する代わりに、乳製品や菓子類、果物、清涼飲料水を摂
取していることが示された。昼食では、穀類(1.1)、野菜・果物(1.1)および肉・魚・
卵・大豆(0.9)が 1 食品程度摂取されていた。つまり、主食・副菜・主菜を含む食事内容
であることが示された。また、昼食では、芋類・豆類(0.5)が他の食事に比べて多いこと
が特徴である。夕食も昼食と同様に、穀類(1.0)、野菜・果物(1.0)および肉・魚・卵・
大豆(0.9)が 1 食品程度摂取され、主食・副菜・主菜が揃う食品構成であった。間食では、
菓子類(0.5)が最も多く摂取されていたが、穀類やたんぱく質性食品、果物、乳製品など
様々な食品群も摂取されていることが示された。また、すべての食事において、清涼飲料
水の摂取も認められた。
4)排便と食事の関連
排便率については、朝食における牛乳・乳製品の摂取食品数との間に有意の相関性が認
められた。
朝の排便率については、昼食における野菜・果物の摂取食品数との間に有意の相関性が
認められた。
バナナうんち排泄率については、昼食における牛乳・乳製品と間食における芋・豆類の
摂取食品数との間に、それぞれ有意の相関性が認められた。もこもこうんち排泄率と食品
摂取状況においては、相関性は認められなかった。
IV.考察
本研究の調査対象である A 学園は、保護者が仕事で家庭にいない時間帯に子どもを預か
る保育所や学童保育のような機能も持っていた。また、A 学園では、日本の学校に比べ、
集団行動よりも個人を尊重した教育が行われていると感じた。調査を通して、これらの特
徴を知ることができ、子どもたちの生活の場としての食生活上の課題を把握することもで
きた。
今回の調査票および方法の改良は、学園の校風、A 学園の教員(学校長を含め 3 名)の
負担や早朝から夜遅くまで勤務する保護者の負担を考慮しながら、教員と連携して進める
ことができたのではないかと考える。その結果、ブラジルの文化や価値観、生活様式を背
景に日本で生活をしている子どもたちを対象とした調査が可能となり、排便状況および食
事内容について、現状の把握をある程度実現することができたと考えてよいであろう。し
かし、未回答など不備が残る調査票も存在している。今後も、教員および保護者の負担を
最小限にとどめながらも、子どもが自分でより正確な排便・食事内容を記録できる方法を
検討し、支援していく必要があると考えた。
排便調査の結果より、昼や夕の排便が比較的多い傾向にあり、「もこもこうんち」の排
泄率(68.8%)が「バナナうんち」の排泄率(31.0%)よりも多い現状が明らかとなった。
「朝バナナうんち」という理想の排便習慣 6、7)を確立していない子どもが多く存在してい
ると推測した。これまで、日本の幼稚園で 5 歳児を対象に行った同様の調査 4)では、「バ
ナナうんち」が最も多く(86%)、排便時間帯も朝が最も多かった(52%)。対象の年齢構
成が異なるため、単純に比較することはできないが、A 学園の排便状況の特徴は、訪問観
察調査と食事調査の結果および A 学園校長の話しも併せて考えると、朝食を摂取せずに登
校し、10 時の間食の時間に、朝食の代わりのようにして菓子類や軽食などを摂取する習慣
- 26 -
が関係している可能性が推測される。しかし、理想の食生活をあてはめるのではなく、保
護者を含めた対象者の生活の実情に配慮した方法を検討する必要がある。今回は、対象者
の排便率を平均化し、集団として分析したが、今後、個々人の排便状況と食事摂取状況を
詳細に分析し、望ましい排便習慣のための食事の条件を明らかにする必要があると考えた。
さらに、年代別に異なる特徴がある可能性も考えられるため、それぞれの特徴を明らかに
して、その特徴に応じた対応も検討する必要があると考えた。一方、望ましい排便習慣は、
食事以外にも生活リズムや運動量など様々な要因が考えられる。今後は、他の要因に関す
る調査・分析も加えて、対象者の生活の実情に合わせた望ましい排便習慣を確立するため
の教育につなげたい。
食事調査の結果から、主食・主菜・副菜を構成する食品群の摂取は、朝食で不足し、昼
食および夕食に偏る傾向が示唆された。食品群の摂取状況には、個人差が大きく、朝食(午
前の間食含む)および間食で選択する食品によって、影響を受けることが推測された。今
後、個人の食事摂取状況について、詳細な分析を行う予定である。
今回、排便と食事の相関性の分析結果より、牛乳・乳製品や芋・豆類が排泄率を高くす
る可能性が示唆された。また、理想的な朝の排便については、野菜・果物の摂取が有効で
あると推測された。乳製品に含まれる乳酸菌や芋・豆類、野菜・果物に多く含まれる食物
繊維はいずれも腸内環境を改善する効果が期待される成分として知られている。A 学園で
多かった「もこもこうんち」は、緑群(野菜・果物)の不足が一つの原因として考えられ
る。これまでの調査でも緑群の食品数とバナナうんちの排泄率の関連性が明らかになって
いる 4)。本調査の対象者においても、排便を促すために、これら食品の積極的な摂取を推
奨することが望まれる。しかし、本調査は、食品数をカウントする方法であり、定量的な
把握ができないことに調査の限界がある。今後、積極的に摂取したい食品の量の目安など
をどのように提示していくか検討する必要があると考えた。
今年度の研究は、A 学園の実情に合わせて研究を進めたため、調査方法の改良と排便状
況および食事摂取状況の把握までで終了し、結果を踏まえて介入するに至らなかった。今
後、調査結果を A 学園の教員と共有して介入に展開していく予定である。また、肥満度な
ど健康診断の結果と食事摂取状況の関連性も個々に検討し、健康教育に結び付けていくこ
とも試みる必要性があると考えた。さらに、健康教育における本調査(セルフモニタリン
グによる食事や体調の振り返り)の有用性を客観的に評価していく予定である。
謝辞
本研究を進めるにあたり、快くご協力いただいた対象校の学校長をはじめ、教員の皆様、
在校生の皆様、保護者の皆様、通訳の皆様に、心からお礼申し上げます。また、本学人間
福祉学部人間形成学科 4 年生早川愛さんが卒業研究として、調査や結果解析に参加してく
れました。研究に熱心に取り組み、協力してくれたことに心から感謝いたします。今後の
保育者としての活躍に本研究での経験が活かされることを願っています。
引用・参考文献
1) 中村修,宮崎藍,渡邊美穂:食育活動の現状と課題.長崎大学環境研究所 10(1):
11-16,2007
2) 吉岡鮎子,田代麻里江:長野県在住ブラジル人 3 歳児の食生活・肥満・う歯.長野県
- 27 -
看護大学紀要 10:47-56,2008
3) 李節子:在日外国人の母子保健
日本に生きる世界の母と子.医学書院,p.85,2001
4) 長岩春佳:外国につながりのある幼児の日本での食育のあり方.2010 年度山梨県立大
学人間福祉学部卒業研究,2011
5) 高橋真理:外国につながりのある幼児の日本での食事のあり方―家庭での食生活を中
心に―.2011 年度山梨県立大学人間福祉学部卒業研究,2012
6) 吉田隆子編著:“いただきます!”からの子育て革命
ガイド.
だれでもできる「食育」実践
金の星社,1998
7) 吉田隆子著:子どもの心と体を育てる食育ガイドブック.アド・グリーン企画出版,
2006
(文責:人間福祉学部
- 28 -
鳥居美佳子)
ブラジル人学校の食育に関わって
山梨県立大学人間福祉学部人間形成学科
早川 愛
今回の調査を進めていくにあたり、調査対象者につながりのある国(ブラジル)と日本との違いを
改めて感じることとなった。自分たちとは文化や価値観、生活様式が大きく異なる子どもたちを対
象として、どのように調査を進めていくことが望ましいのか試行錯誤を繰り返した。
最も苦労したのは、調査票の記録方法である。以前行った日本の幼稚園での調査と同様に、
始めは鉛筆または色鉛筆による色塗り法を用いた。しかし、筆圧が弱かったり間違えたときに消し
ゴムで消したりという理由で色が薄くなってしまったと考えられる不鮮明な記録が A 学園の多くの
子どもにおいてみられた。そのため、まずは記録方法を検討することとなった。このような結果にな
ることは予想していなかったためにたいへん驚いたが、きちんと記録することができなければ結果
の集計が不可能であるため、当初の予定を大幅に変更して調査票の改良に重点をおいて調査を
進めていくこととした。色塗り法からシール法に変更し、説明方法や記録日に関しても変更した後
半の調査では、不鮮明な記録をゼロにすることができた。
このように、これまで問題ないと判断されてきた調査方法だったが、対象者が変わったことでこ
れまでにはなかった課題がたくさんみえてくる結果となった。今回の改良を重ねた調査を通して、
物事を開発していく過程にはさまざまな課題があり、それらを解決していくには非常に時間がかか
るということを実感した。
また、A 学園は集団行動の指導に重きをおく様子がみられず、全体的に自由でゆったりとした
印象を受けた。そのため、日本の学校のイメージで調査や健康教育を行うのではなく、A 学園に
あったペースで調査を進めていくこととしたため、学園の雰囲気や生活習慣を尊重することができ
たように思う。日本人が考える理想や、良いとされる習慣や方法などは、必ずしもブラジルにつな
がりのある人々の考えるそれらと一致するとは言えない。そのため、日本で行われている方法を、
そのまま学園の子どもたちに当てはめるのは理想的とは言い難い。対象者の実情に合わせつつ、
調査していく方法を検討する必要があることを強く感じている。
この調査では、子どもたちが自分自身の健康や食生活に関心をもち、食生活と健康状態の関
連性に気づけるようにすることが大切な目的のひとつである。その上で、子どもたちが自ら食事内
容の改善の必要性に気づき、行動することを支援する教育をしていくことが望ましいと考えている。
そのためには、教員が一方的に指示するのではなく、現状である調査結果を教員が子どもたちと
共有し、どうすれば彼らの理想に近づけるのか、行動に移せるのかを子どもたちと共に検討してい
く必要があるだろう。そして、今後さらに調査・分析を行っていき、イベントで終わらない継続的な
食育活動となればと考えている。
私は、今後、保育者として多くの子どもたちと関わっていくこととなるだろう。子どもが何か困難な
ことにぶつかったとき、大人がすぐに手助けをして解決へ導くことは容易である。しかし、それは本
質的な解決となるだろうかと私は疑問に思うのである。すぐに手助けをするのではなく、子どもが自
分自身で考えて解決へ近づけるように援助をするほうが、子どもの将来を考えると大切なのではな
いだろうか。このことを、今回の調査で再認識することができた。保育者として子どもたちと関わる
上で、この考え方を大事にしていきたいと考えている。
最後に、今回の研究に快くご協力いただいた皆様、丁寧にご指導してくださった先生方に心か
ら感謝申し上げます。
- 29 -
懇話会「外国籍住民と外国につながる子どもたちの保健医療」
主催: 多文化共生推進プロジェクト、多文化社会の保健医療を考える会 JUNTOS
日時: 2014年2月27日18:30~21:00
場所: 山梨県立図書館 1階 交流ルーム104
参加者: 田辺(譲)、田辺(直)、植松、杉浦、縣、栗田、露木(茂)、露木(里)、加藤、
多和田、永井、佐竹、笠井、小野、佐藤、城戸口、長坂 (計17名)
懇話会の中では、行政にとって耳の痛い話も含まれている。しかし、反面、一方的に行
政に任せるのではなく、行政と民間が互いに歩み寄り、共に考え、協働していくことが何
より重要なことだということも共有している。行政と市民の間にも、「異なる人々が、互い
の文化的違いを認め合い、対等な関係を築こうとしながら、地域社会の構成員として共に
生きていく」1という「多文化共生」が求められている。
発言者の氏名は、一部不明の箇所もあるので、明記しなかった。また、話題が転換する
ところには、小見出しを字体を変えていれてある。
はじめて、プロジェクト代表あるいは JUNTOS を中心に放射線状につながっていた関
係者が一堂に会し、互いに意見を交換し情報を交換できた。貴重な会であった。今後もこ
のような機会を設けていきたいと考える。
懇話会逐語録
実は今、懇話会の趣旨についてお話をしたところなんですけれども。大学のプロジェクト
と JUNTOS の会が重なっているような形で、最終的には、行政とか、大学と行政、そし
て地域、そしてこういった団体の三者を、多文化共生という点で、つないでいく事を目的
にしているプロジェクトです。当然ながら、JUNTOS もそれを目指して、現在、三年間の
プロジェクトのまとめとして提言書を作成しています。それを、行政に向けて、提言して
いきたいと思っています。今、最後にちょっとお話をしていたのは、外国につながりを持
つ子供達のというところを…
【学校・託児所の健診について】
それで、今日の懇話会のテーマを「外国籍住民と外国につながりを持つ子ども達の保健医
療」としたのは、最近、非常にいろんな子ども達、文化的背景が多様な子ども達が出現し
ていて、必ずしも外国籍という言葉に、くくる事ができないので、当初のテーマに「つな
がりをもつ」という文言を加えさせていただきました。ご承知おき下さい。まず、保健医
療に関する課題という事なんですけれども。私達、JUNTOS として、学校健診の中で出て
きた課題というのは、肥満とか、あるいは、視力の問題です。視力に関しては、非常に悪
2006 年 3 月発表の総務省「多文化共生の推進に関する研究会報告書」による「多文化共
生」の定義.
1
- 30 -
くてもメガネを作りに行かない、眼科に行かないという子が、今回(2013 年の健診で)出
てきました。そういう医者にかからない子ども達、あるいは親がいます。そういう子達を、
どういうふうにしていくかなという事は1つの大きな問題だととらえています。肥満に関
しては、実は去年の1月位ぐらいから、排便と食事に関する調査を、プロジェクトの一環
で、山梨県立大学の管理栄養士の教員が中心になってやっています。今年度は、何とか介
入まで持っていきたいなと思ったんですけれども、やはり文化的な背景もあるのか、同じ
ものを日本の保育園でやったのと、そしてその外国籍の子ども達のいる外国人学校でやっ
たのでは、日本の保育園では、うまくいくのに、外国籍の学校にいくと、うまくいかない
ということが起こっています。日本人のように、ああ、日本人のようにっていうのは、あ
んまり良い言葉ではないかもしれませんが、ちゃんと、自分で記録をつけていくという事
が出来ないお子さん達もいます。そういう事に慣れてないという事なんだと思うんですけ
れども、何度か、試行錯誤して、ようやく1回だけデータが、十分なデータがとれたとい
う状況で、介入まで至りませんでした。今回に関しては、その排便と食事に関する介入後
の状況に関しては、ご報告が出来ないのは残念なんですけれども。肥満に関しては、そう
いう形で、JUNTOS としても、そしてプロジェクトとしても、この1年間、関わってきま
した。永井先生の方から課題をもう少し、挙げていただけますか。
数日前に、県立大学の方でお話したように、僕ら医療として、診察室にいると、ほんとの
意味での予防というのが分からないんですよね。大変な事も雰囲気的には分かるんだけど
も、現実的に分かり、無理かなっていう言い方は変なんですけれども。だからやはり、ど
ういうふうに、出ていくか、それが僕、一番重要。待っていても全然、分からないなって
いう事を、ひしひし感じています。やはり、その外国人国籍を持っている方達、子ども、
どんな事に一番、ほんとにニーズっていう言い方、変だけど、あるのかとかね。やはり、
こう、ずれちゃうって言ったら変ですけど、分からないんですよね。だから、そういう意
味では、何らかの会とか何とかっていう事もやりつつ、話を集めていく事が、最初かなっ
て。技術的に、検診が出来てないとかっていうような事はありますんで、そこいらへんも
一緒にやりつつ、ほんとの予防とか何とかっていうのを、聞いていくしかないのかなって
いうふうには、今、思ってますけどね。
ちょっと時間がなくて、途中で抜けるので、ざっと自分の意見を言わせてください。私、
視覚障害者を考える会というのにも参加してまして、甲府のカモ先生がやっているものな
んですけれども、そこで、いつもあがるのは、何か困っている方がいて、起点で始めるん
ですけれども、どれぐらいの人数がいて、どういう状況なのか、全体像が分からないと、
全く動きがとれなくてですね。県の健康増進課の課長さんに、知り合いの人がいて、今、
僕、こういう事例で困っていて、他県だと、こうしているから、山梨で何でこういう事、
出来ないのって聞くと、じゃあ、県内に何人ぐらい、視覚障害者の方がいて、具体的に先
生が考える、その制度を導入したら、何人ぐらいの方にメリットがあって、っていう、そ
ういうデータがありますかって言われて。それを言ってくれるのであれば、費用対効果を
考えて、これは可だってなったら、そういうのを知事とかに言うのが、県の職員の役目な
のでと言うんです。え、そういうのを県が調べてくれるんじゃないのって聞くと、そうい
うのは県はやりませんって言うんです。先生が考えるのであれば、実際に視覚障害者の、
- 31 -
1級、2級、3級の、これぐらい困っている方がいて、現に山梨の制度は、ここが不足し
ているっていう計画書を出してくれると助かりますって言われました。今回のこれも、今、
ざっとこれを読んでみて、何人、何人って書いてあるんですけれども、県内の、この地域
にだいたいどれくらいの外国籍の方がいて、これぐらいの方の全体像が把握出来てて、足
りない検診が分かると、じゃあ、この何月頃に検診が足りないのであれば、この先生が暇
なはずだから頼めるとか。眼科に関しては、日本のシステムというと、4月、学校によっ
ても違うんですけど、春と秋に眼の検診で、子どものスクリーニングをしますし、入学前
は、1カ月の時、眼を見ますし、3カ月でも、半年でも見ます。1歳6カ月で見て、次、
最近は3歳で、保育園で、学校の保育士の先生が視力をはかって。前までは、入学前なん
て、1歳過ぎると5歳までは、あんまりなかったんですけども、最近、アルプス市の方は、
3歳の人で、紙を持ってくる人がいる。市によっても、ちょっと違うんですけども、日本
の子どもの場合、眼の検診システムになってますし、就学している時にも年に1回は必ず、
眼を見るっていうシステムになっていますので、その時期を考えてやっていくっていう、
その検診のシステムが作りやすくなるんじゃないかと思うので、まずは、一体、どれくら
いの人数がいるかの把握を、各医療機関で。
永井先生が言っているのも、僕ら医療機関の人っていうのは、どっちかっていうと受け身
で、来てくれないと出来ないので、じゃあ、こっちから患者を探しにいくと言った時に、
どこに行けば何が出来るのか、全く分からないと動きようがないので、JUNTOS とかで、
その全体像を把握してもらって、医師を配置していくっていう。配置した医師を集めるの
は、各科の医師が、例えばですけども、眼科に顔がきくのであれば、眼科で誰か、そうい
う興味がある人いないかって。ボランティアっていうよりは、先生も、もしかしたらそう
かもしれないですけれども、やはり外国籍の患者さんを初めて目にした時、僕も医師とし
て、戸惑うんですね。あれ、この人、どう、言葉も通じない。でも、それは医師として未
熟で、とても恥ずかしい事なので、出来れば自分のレベルアップというのも含めて、日本
人だけではなくて、外国籍の眼も見て、いったい何が問題なのかっていうのを知っている
と、やはり医師としての技量のレベルアップになりますから、そういう意味でも参加をし
たいですね。そう考えている医者は、少なからずいると思いますし、ボランティアという、
そういう意識じゃなくて、特に若手の医者で、研修医の人とかは、今は、何でも勉強した
いっていう人達は特に、甲府共立病院に来ているような研修医の人とか、何でもやりたい
という人が多いですから、そういう人に声をかけて、一緒に参加してもらったり、研修の
システムの中に組み込めれば、一番いいなと思うんですけども。学生さんも来ていただい
ているんですけれども、医学生の中にも、そういうのを興味があって。例えば、山梨大学
だと、富士登山の山小屋に、出しているんです。あれは富士山に登れるのもあるんですけ
れども、山小屋の救急診療をちょっと経験してみたいという医師が行きますし、学生さん
も。看護師さんと事務の人、4人で、だいたい行くんですね。そういうので、いい流れが
あって、行くと、やはりすごい勉強になると。山小屋には、いろんな人が来るし、救急医
療の勉強になるし、という事で、参加した5年生とかが、いい印象を持っていると、次の
後輩とかにも行ってよかった、勉強になるよと言うと、皆、じゃあ、行ってみようかなっ
ていう事にもなりますし。それでもうずっと、サイクルが山梨医大には出来ていますので。
それと同じような、研修の時に、例えば医師と医学生と看護学生とが、これは勉強になる
- 32 -
んだと、医療従事者として、これはいいんだという事が分かれば、次の学年からも、どん
どん来てもらえると思います。そういうシステムを作る為にも、全体の把握と、どこに医
師を配置すればいいのかっていうのが分かれば、僕らも動きやすいということです。永井
先生が言っておられる、出てみようと思っても、どこへ出ていったらいいのか、ちょっと
分からないっていうのは、そういうことだと思います。
要するに、掴んでいるのは、いわゆるブラジル人学校だけですよね。それ以外との接触っ
ていうのは、ないですものね。
そうですね。現実にそういう外国人学校自体が、ないじゃないですか。ブラジル人学校以
外には、基本的にはないですね。ただ1つ、私が把握しているのは、インド人の学校、イ
ンターナショナルスクール(「アメリカンスクール イン 甲府」)が甲府市の中小河原辺
りにあるという事は聞いているんです。ただ、インターナショナルスクールの場合、かな
りリッチな方達がバックにいて、施設も十分だということを聞いています。ホームページ
を見る限りでは、東京の方にもインターナショナルスクールがあって、そこと多分、一緒
になっているんだと思うんです(?)。それ以外は、基本的には、日本の中には、一条校があ
るだけなんですよね。あとは、フリースクールのようなものが、あるかないかというとこ
ろで。そのフリースクール的な形で、そのブラジル人学校っていうのが、今、山梨にある
ものがあるんですね。これは認可校ではなくて、ブラジルの政府からも山梨のものは、認
可されてないです。日本全国の中の、そのブラジル人学校の中には、政府から、ブラジル
政府から認可されているところもあるんですね。1つだけ、日本政府から、準学校、専門
学校扱いという事で、認められているペルー系の学校が、浜松にあるんですけれども、そ
れ以外は基本的には、どこも日本政府から、一条項として認めれられていないので、助成
は全く受けてないという事で。いわゆる私学だと、私学助成金っていうのがあるんですけ
れども、それも受けてないような状態です。それで、大学とか、医師を中心とした NPO
とかがボランティアのような形で入ったりして、健診をしたり。ブラジル人が10%以上
いるという、群馬の大泉というところでは、群馬大が関わって、やっています。そういう
形で県内には、その1つ大きなブラジル人学校があって、あとは託児所があると。ただそ
れも、じゃあ、何年から何年、例えば小学校1年から高校までっていうのでなくて、ほん
とに幼稚園から、アルプス学園の場合には、幼稚園から、そして、イノヴェ学園の場合に
は、それこそ乳幼児から、中1までいます。不就学の生徒を除けば、ほぼ網羅できている
と思います。
そうなると、例えば連絡網じゃないですけども、僕らは患者さん、来てくれないと分から
ないんですけど。学校検診の時には、1か所に集めてもらって。一気にやってくっていう
感じなんですけれども、日本ではそうしてやっているんですけれども、そういうふうに、
もっていけないかっていうのが一番なんですけども。公民館に今度、やりますよっていう
ふうに。
それをしたいんですけれども、この3年間、実は少しずつ違う形でやってきたんですね。
最初の年は、実はアルプス学園で、さー、来て下さい、っていう形でやったんです。とこ
- 33 -
ろが、全員来ないんですね。土曜日や日曜日、お母さん達のやはり仕事の関係とか、ある
いは平日、非常にハードな仕事をしているので、土日、出てくることができないとか。あ
るいは、もう1つは、教養というか、教育を受けてない方が多いのではないかと思います。
重要性を理解してないっていう事だと思うんですよね。
関心がないという、お母さん達もいたりして、来なかった方が多いかったんです。それで
次の年は、一昨年は、平日にしたんです、学校で、それぞれの学校で。これが、やはり子
どもが全員、受ける為には、そろっているので一番いいと思いました。ただお母さん達の
話とか、何かあった時には、あとあとで相談会とか何かをしなければ、お母さん達との接
触は、できない形ですね。
日本だと紙を持たせて、この紙を持った人はもう絶対、行ってねって言っても行かないと。
そうですね。昨年度、一昨年度、12年にそういう形で、私は田辺先生、露木先生の検診
結果も、実はそういうものを出して、これを持って医師を受診して下さいと伝えたのです
が、おそらく、ほとんど行ってないのではないか。行ったら、その紙をあとでもらって来
て下さいと。医師にハンコを押してもらうところまで作ってあるので、持って帰って来て
下さいっていうふうにお話をしたんですけれども、全く、返ってきてないんです。
分かりました。
それで、プロジェクト 3 年目の昨年度は、ほとんどの項目を、その学校とか託児所でやっ
たんですけれども、一部分だけ、内科検診と歯科検診だけは、親子健康フェスタで、校外
で行いました。たまたまブラジル人の医師が総領事館から派遣されて来て下さるという事
だったので、それがあれば、きっと皆、来るに違いないと思ったんです。ポルトガル語で
医師と直接、話せるっていう事があればきっと来ると思って、やってみたら、結局、全体
では、イノヴェとアルプス学園の約90人の児童生徒の内、30名くらいだったんですね。
イノヴェの方は、やはりお母さん達の足がないっていうのと、もう1つは、やはり関心も
薄いっていうのがあるんだと思うんですけど。アルプス学園でも、やはり関心の薄いお母
さん達とか、忙しいお母さん達とか。
【子どもたちの全数把握と生活実態調査について】
全数把握は出来ているけど、今どうやって、それを網羅するかというところで、試行錯誤
されているという、それがまず1点ですか。
そうですね、全数把握という点ですとね、日本の学校に行っている子ども達と、それから
ブラジルの学校に行っている子達と、両方に行ってない子ども達が、相当いるんではない
かっていう事もあります。その把握が、実際は出来ないので、それを今後、どうやってい
くのかっていうのが、重要だと思いますけどもね。
- 34 -
口コミになると思うんですけど。患者さん同士の横のつながりが大変強いから。
永井先生が少し外へ出て、アクションしてみないと分からないって言った事の半分は、学
校で把握出来ない子ども達が、日常どういうふうに暮らしているのか、健康管理も含めて
ですけど、生活全体はどうしているのかという事の把握がね、やはり必要なんじゃないか
なって。
それはまだ出来ていません。それをどうするか、今から考えるということです。
それはどうしても、我々の力では、及ばないと思うんですよね。是非、行政の力をお借り
したいなというふうに、そういう点では思うんですけどね。
行政は基本的に、住民の情報は出さないですね。
出さないです。頼んでも出してくれませんから、行政は、あてにならないと思います。
非常に難しいですね、頼んでも。しかも担当の人が毎年変わりますし。例えば熱意のある
人がいて、いろいろやってくれても、2年くらいで変わってしまいますから、行政はあん
まり、あてにならないと思います。
それでも例えば、群馬県ですとかね、いくつか、長野県もでしたかね、我々も、勿論、力
を出すという、力をお貸しするという事も前提にあるのかもしれませんけれども、行政の
皆さんと、外国籍の方たちの対面の調査をされているんですよね、群馬県なんかでは。
それ、山梨は、されているんですか?
してないです。
それが把握出来て、行政として関わってきてくれれば、かなり、ブラジル人の子ども達だ
けじゃなくて、他の外国人の方達も含めて、全体把握が出来るんじゃないかと思うんです
けどね。
他県で、こうしているから、こうして下さいっていうのは、実は結構いい攻め方ですよね。
しかも成果が上がっていると、なお、いいですよね。
どんなふうな成果が上がっているか調べて、それを言ってもらうっていうのがいいなって
思うんですけども。ちょっと他のドクターどうかは分からないんですけども、ドクターは、
どちらかというと、そのシステムの末端というか、事務の方が、こうして下さい、ああし
て下さいって言って、現場で動くんで。僕らはどっちかっていうと、歯車的な存在で、行
って下さいって言われれば、はい、分かりましたって言って、その場でベストをつくすん
ですけれども。行って一生懸命やっても、まだ、もれている子がいるとかってなると、や
- 35 -
はりじゃあ、それはどうしようかっていう事になるので、希望としては、県内に、これぐ
らいのベースの人がいて、その人達をどうやって、効率よく診るかっていうのがドクター
サイドで考えるのが、いいかなと思うんです。継続して見ていけるドクターを集めたりと
か、皆に分かりやすいとか、外国籍の人にも、伝わりやすい方法を、各科の先生は考える
というのが、いいかなと思うんですけどもね。
一条校に行っていない子どもたちの把握について、効率がいいのは、やはり外国人学校へ
行くということでしょうか。それが、一番、効率は、いいだろうなと思います。
今、聞いて何となく、そう思いました。
その不就学に関しては、ハート51の加藤さんの方から。実は、外国籍の子ども若者就学
支援連絡協議会の方で、私もその中に入っているんですけれども、不就学の調査を非常に
苦労してやりましたので。ちょっとお話をしていただけますか。
私は市民団体、多文化共生を考える会ハート51の代表をしております加藤順彦と申しま
す。私は甲府に来て、今年で8年目ですけれども、最初から、ちょっとポルトガル語とス
ペイン語の翻訳、通訳をやっておりまして、そういう絡みで、ラテン系の人達と知り合い
になりまして。お父さん、お母さん、子ども達、ほとんど、ずっと今まで関わってきて、
日本語支援、それと生活相談支援、今、やっている状況です。最初は、7年前、我々、外
国人の子どもの実態とか、ダブルリミテッドの子ども達とか、行政の方といろんな話をし
ましたけれども、行政の方は、もう外国人っていうのは、人口比率で2%にも満たないじ
ゃないかと。中には憲法86条とかですね、その自分の公的な権力が及ばないところには、
公的な資金を投入出来ないとか、そういう事まで言われたっていう事もありましたけど。
ずっとその間、今まで、長坂先生とか、いろんな事をやってきました。2、3年前ですね。
外国人の子ども、若者、就学支援というプロジェクトを作りまして。県の教育委員会の社
会教育課を巻きこんで、あと外国人の支援団体、長坂先生のところも含めて4団体、5団
体で連絡協議会を作って、県から2年間、外国人の不就学の実態調査というのを、大きな
約450万ぐらいですかね、予算をつけていただいて。最初は、子ども達の、外国人の不
就学の実態調査を1年やって、2年目には、その子ども達に対して、日本語教室を4ヶ所
で1年、やってきました。それは、まだ連絡協議会は続いていますので、今もそれを継続
しているというところですね。ようやく、県の方も行政の人達も、そういう実態に気づい
てくれて予算づけしてくれていると。そして今年は、その流れだと思うんですけども、今
もちょっと東花輪の方で、日本語教室をやる事になりまして。それも、県の緊急雇用プラ
ンの一環なんですね。国際交流課が初めて、外国人の支援に関する緊急雇用プランという
のを作ってくれて、採択いただいたという事で。そこは一応、大人の人達を対象にした安
定雇用に結び付ける事業なんですけども、当然、子どもさんも、その時間外で何とか対応
出来ないかなと思っています。先ほど、お話されていた、外国人の不就学の実態というの
は、我々やる前は、県内で90何人ていうような数字が出てましたけれども、我々、初め
てそこで、行政の中では、外国人の子どもの数字というのは、3か所で、つかめるんです
ね。まず、市民課、外国人登録しているところですね。それと義務教育課、小学校、中学
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校に何人行っているかという、それはもうすぐに出てくる数字ですね。普通は、そのへん
で、だいたい外国人の不就学の実態調査、そこから、だいたい割り出すんですけれども、
もう1つは、児童手当。それを払っている子育て支援課と。そういうのがね。そこの数字
が私は一番、ぴったりだと思いますね。多分、外国人のお父さん、お母さんで、子どもを
持っている方、日本にいれば、まず児童手当は、間違いなくもらっているだろうと。その
数字、3つの数字を合わせて、だいたいの数字を合わせたんですね。それで、どれぐらい
差がありましたんですかね。今、ちょっと覚えてませんけれども、最終的には、多分20
人ぐらいの子ども達がまだ不就学状態でいるんじゃないかっていうですね。今は、甲府市
とか中央市だと、だいたい、その3つの課の数字をすぐに出してくれるような体制までは
出来てますね。そこ、ほんとは、1年に1回、私、望むのは児童手当の申請に来る時に、
そこで、お子さんが就学されてますかどうかっていう、窓口で聞いてもらえば一番いいん
ですね。そうすると、せめて1年に1回は、不就学の実態が分かるんじゃないかっていう、
そんな、大がかりな、資金投入して、人材も投入してやる必要ないだろうと、そういう話
は窓口の人達とは、してますけども、なかなかそこまで、全てが熱心なとこじゃないです
ね。
しかも窓口の人達も変わりますよね?
はい。1人の課長さんが熱心な方がいれば、他の課長さんに、話をつけて、すぐ数字が出
てくるんですね。甲府市なんて、ほとんど外国人に関する数字っていうのは出てきません。
公表されていませんし、ホームページにもない。そういう実態ですね。
ましてや、個々の調査っていうのは非常に難しくなるんですよね。
そうですね。
不就学に関しては、彼らの日常生活がどんなものかっていうのを調査するとしたら、アル
プス学園とか、イノヴェ学園の子ども達の調査から始めるのかなというふうに思います。
あとは、一条校に通っている外国籍の子ども達の状況はどうかっていう比較もしながら、
やっていく必要があると思います。
【医療通訳について】
ちょっと私、途中退席するので、自分の事ばっかり、しゃべって申しわけありませんが、
外国籍の人がやってきて、一番困るのは、言葉が全くできないことです。うちでは、A さ
んという通訳が、来てくれる時は話が大変スムーズに進むんですけども、友達を連れてき
たような時は、はたして伝わっているのかっていう事があります。今、(加藤さんが)ポ
ルトガル語とスペイン語が出来るってお伺いしたので、困った時に連絡をしていいのかな
って思ったんですけど。医療通訳じゃないですけど、いつもあるのは、困った時に、じゃ
あ、次に誰に相談して、しっかりした通訳をつけてもらうかって。今、A さんに手伝って
もらっているのは、眼が見えなくなる病気、色素変性症っていう病気で。その方は、障害
者手帳も、外国人登録をしているので、障害者手帳も持っているんですけれども。職場の
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人に言うと、クビになるかもしれないから、なかなか言えないけど、そろそろ見づらくて
困るという事で、じゃあ、どうするかと。でも誰に相談すればいいのか分からないという
事で。日本のそういう病気の団体の人に、電話をするんだけど、かたことで、その日本人
の団体の会長さんからも、それらしい人から電話があるんだけども、言葉が通じないから
何を言っているのか分からないと。困った、困ったしか、言わないと連絡がありました。
この前、通訳の人を、はさんで、2人に会ってもらって、ちょっと進展があったんですけ
ども。それを見つけるまでに、半年くらいかかりました。困った時に、どこに(連絡した
らよいかわからない)。外国の人の、仕事の事で。障害者手帳を持っているので、県の障
害者支援センターみたいなところに連絡したんですけれども、そしたら外国人の例も、あ
んまり実は経験した事がないので、よく分かりませんみたいな話になりまして。熱心なの
ですけども、どうすればいいかわからない。僕らも、初めてなので、話が進まないってい
う事があったので。大人でも仕事で困った時は、こういうところへ連絡した方がいいです
よとか、っていうのを、JUNTOS の人に聞けば分かるのでしょうか。あとは実際に通訳で、
手術のそういう説明をする時にも、うまく伝わっているか分からないので、できれば、1
回くらいは、しっかりした通訳さんがいる時に説明をしたい。いったい、誰に。うちの病
院では、いつもとりあえずは、A さんに頼もうって言って、赤池さんに頼むんですけれど
も。というのが現場で困っている、通訳の問題が1つ。
【眼鏡を作らない子ども】
さっき話に出た、メガネを作って下さいって言ったけど、作らない子どもがいる。それは
もう金銭的な問題があるので、私の私見ですけども、じゃあ、そういう時はどうすればい
いかっていう事を、全く活動していないのにアイデアだけっていうのも申しわけないです
が、古いメガネ、いらなくなったメガネを眼鏡屋さんとか、あとはボランティアの人とか
から集めて、度数をはかっておいて、それは大震災の時にそうしたらしいんですけど。ま
るっきり、きっちり合ってないけど、近いメガネでデザインの合っているのを選んでもら
って、とりあえず、かけてもらうという。眼科の場合は、ほんとにメガネかけてないと、
かけるだけで、この子は眼が良くなるなんていう人もいる場合もあるので、そういうメガ
ネのストックを作っておいてもらうということも考えられます。レンズとフレームがあれ
ば、メガネの有志のボランティアさん、眼鏡屋さんとかいれば、合わせる事が出来るはず
なので、1から作るよりかは、安く出来るんじゃないかなと。今、さっき、メガネ作って
ねって言っても作ってくれないっていうのも、だったらもう無料で配れるくらいにしてお
いた方が、いいじゃないかなと。老眼鏡とかも。古いメガネとか、おじいさん、おばあさ
んとか、もう6個も8つも持っているよとかっていう人もいますので、いらないのは、じ
ゃあ、眼鏡屋さんへ行って処分してねって言った時に、眼鏡屋さんとか、みんな捨てちゃ
っている場合は、もうそれをみんな集めておいて、どっかで保管しておいてもらえば、メ
ガネに関しては、何とかなるんじゃないかなと思うんです。というのを、今、ちょっと、
さっき話を聞いていて思いましたので。
そのへんは、作らない子供か、あるいはその親に、どうして作らないかっていう事を、ま
ずは聞いてみないとっていう事ですよね。
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そうですね。値段なんて言われたら、じゃあ、あるよって言えば、それで解決ですから。
というのが、さっきまで、お話を聞いていて思ったことです。1点は、実態を知りたいっ
ていう事が1つですね。それと県ではどうなっているのかっていう。今、聞くと、群馬で
は対面で、しっかりやっているけれど、山梨では全然やってないって。じゃあ、何でやっ
てないのかっていう事になりますし。行政の、今まで聞いても、情報を持ってて出さない
のと、全く知らないというのは、別ですから。知らないっていうのだったら、それはむし
ろ、逆に恥ずかしい事だなと思いますので。よそでは、こうしているのに、何で山梨では、
やってないんですか?というのが一番、行政の人には、分かりやすい事だと思います。
【医療通訳とその養成講座について】
今、通訳の件ですけれども、通訳の件に関しては、1つは県の国際交流協会に電話をする
と、ある程度、医療通訳の出来る人を紹介してくれます。A さんもそこで紹介してくれる
通訳の1人なんですけれども。あと、何人か、手持ちのというか、他の言語の方達で医療
通訳が出来そうな方は、県の国際交流協会で紹介していただけます。
大学病院なんかは、留学生の人、探してきてくれます。そういうのって、どうなんだろう
と思ったんですけど、言葉が通じなくて困るって言ったら、次の時には、横に知らない人
がいて、この人は眼科の留学生の○○さんですとかって言って、宜しくお願いしますって
いう感じです。
アメリカでは、医療職の中に、やはりいろんな外国籍の方を入れるような事も、やってい
る病院があるようです。そうしないと、なかなか素人の人を医療通訳にするのは、すごく
難しいんですね。
難しいと思いますね。
A さんは、よくやっているなって思っているんですけれども、なかなか難しい事で。私も
何人か医療通訳やっているっていう人達を知っているんですけど、この程度の日本語だと、
医療通訳をしても、医療の話しは理解できていないでしょう、日本語さえも理解できてな
いでしょうという人がたくさんいるんです。なので、その通訳を養成していくっていうか、
通訳の基本的な知識をつけていくような、そういう養成講座をしなければ、いけないなと
いうふうに。
現場で困ったら、とりあえずそこに電話してみるのが、1つ方法としてあるのかもしれな
いですね。
そうですね、ありますね。あと、加藤さんの所でも、多少紹介出来ますか?
連絡きますけども、我々は、今、先生が仰った、県の国際交流協会がらみで対応してくれ
っていうんですね。一番良い例は神奈川の MIC なんですね。行政が最初3年ですか、ち
ゃんと講習を受けて、そのあとは、患者さんと病院と、本人ですか、どっかの3者ですか、
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県も入って、そういうシステム、ちゃんと作られていますけれども。これ山梨でやれるの
は、長坂先生しかいないんで、JUNTOS を中心に、行政巻き込んで。ただ非常に通訳って
いうのは、皆さん、ご存知のように、もう自己申告制度ですから、別に国家試験があるわ
けじゃないし。だからそこは、例えば病院の方でほんとは通訳、この人だったら、病院と
して、通訳として OK だと、そういうのを逆にやっていただくと、どんどん、どんどん精
査されて、通訳のレベルも上がるかなと。
山梨は、非常に人材少ないんですよ。人口自体が少ないですから。下から数えて 6,7 番
目。外国人は、去年の6月現在で、1.67%でした。1.67%というのは国の平均よ
りも多少高いのですけれど、総人口が少ないので、1.67%は、非常にわずかなんです
よね。かつその中で、(それも各言語集団で)医療通訳ができる人っていうのは、僅かな
んです。私も実は医療通訳制度を作りたいなって、以前は思っていたんですけど、制度ま
では、ちょっと無理だろうなと思うのです。ただ、現在、医療通訳やっている人達を少し
訓練するのが、一番いいかなって。それでも困るような複雑な手術とかは、それこそ、今、
加藤さんがおっしゃった「MIC かながわ」の方に、お願いするという事がいいのではない
のかなと、思います。
【多言語問診票の利用】
通訳以外で、もう1つ、こういったもの(多言語問診票)があります。これも神奈川で作
っているんですけれども。外国人の為の多言語の医療問診票というのがあって、これがリ
ニューアルされたんです。以前からあるものなんですけれども、今回、18言語になって、
かつ、精神科も加わって、非常に良いものになっています。今皆さんに回しているのは、
日本語のものですけれども、こういったものを、やはり医療機関で少しでも利用していた
だくと、多少は違うのではないかなというふうに思います。そのサイトのアドレスは、今
日の資料に載せてあります。実は多言語医療情報もたくさんあるんです。でもその中で、
多言語問診票は、昔からあって、非常に信用できます。沢田貴志さんっていう方を、皆さ
ん、ご存知でしょうか。タイでも活躍しているし、横浜の港町診療所で、外国籍の方達の
為に、医療をしていて、外国籍の人達の独自のその保険制度を作った方なんですけど、そ
の診療所と神奈川の国際交流財団が一緒になって作ったものなんですね。非常に、良いも
のなので、是非、ネット上でご覧になって(利用して)欲しいなと思っています。
他にも、外国人向けの薬局店頭マニュアルのようなものがあります。これ、私も最近、見
つけて非常に、いいなと思ったんですけども、薬局の方には、こういったものを置いてい
ただくと、最終的にコンピューター上で、日本語でクリックするだけで、その6つの言語
で、どういうふうに薬を飲むかが出てくるので便利です。
【医療通訳の養成】
ただ、やはり、そういうものだけでは、どうにもならないので、この医療通訳の問題は、
私達の業界では、コミュニティー通訳の問題になります。行政と医療と、そして法定通訳、
司法と、あとは学校と、どこも(生活の質に直結する重要な部分で)非常に特殊な所です
よね。こういうところで、通訳出来る人達を育てないと、これからはやはり非常に難しい
だろうといわれています。今回、政府も今、外国籍の方達を研修制ですか、技能研修とか、
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そういう形で、もっともっと入れなきゃならないんじゃないかって言ってますし。
DIGITAL の朝日新聞に、「20万人移民受け入れで人口1億人維持とういう記事が2日
前の 2 月25日出ていたんですけれども、こういうふうに政府も、移民というのを考えて
いる中で、やはりこれから山梨も、いろんな方達が入ってくるのではないかなと思います。
大手ゼネコンでは、すでに技能研修として、ベトナムの方達をたくさん受け入れようとい
う準備もしているようで、これから、そういう方達も山梨にも増えていくのではないでし
ょうか。ですから、山梨なりに、その少ない人的資源の中で、(制度までいかなくても)
いろんな形で、医療通訳もできるような体制がとれるようになればいいなと思っています。
病院の先生方、実は、オリンピックを目指して、「外国人患者、受け入れの為の環境整備」
というのが、今年の1月の終わりに出てきたものなんですけれども、補正予算で出てきた
ことをご存知でしょうか。来年の予算にもついているもので、大手のところでもって、そ
の通訳養成とか多言語資料化っていう事をするんだったら、お金を出しますという、そう
いう政府の方からの助成金です。そういったものを大きな病院がいくつかが、一緒になっ
て取り、その通訳養成に取り組んで欲しいなというふうに、私は思っているんですね。1
つの病院で、やはり、何言語もの通訳を雇うっていうのは、ものすごく大きな出費にもな
るし、大変な事だと思うんです。だから、3つとか4つの病院で、通訳を何人か雇って、
その通訳をうまくまわしながら、使っていくと。その為に、皆でその通訳養成っていう事
をするようなシステムを考えて欲しいなというふうに、思います。今回、このオリンピッ
クの為の、受け入れ環境の整備っていうのは、すごくいい。お金も、使えるのでいいので
はないかなと思っています。そういった事が必要かなと、医療通訳に関しては、思ってい
ます。ただそういうところに、もっていくというか、そこまでが、ちょっと私は医療職で
はないので、全然、そのつながりがないんですね。どういうふうに、そういうところに、
もっていくのかっていう事がとても、難しいなと思っているんですけども。
もっていくっていうのは、各病院に例えばご協力いただいて、そういった通訳を一斉に作
らないかっていうのをご協力という形ですか?
そうですね、そういう事かなって、私は、そういう事が出来ないかなとか思ってはいたん
ですけども。県内で無理ですよね。1つの病院だけで、通訳を抱えるっていうのは、とて
も無理なんですよね。
そうですよね、抱えるっていうのは無理ですよね。今、例えば人材は思いつくんですよ。
看護師で中国人の方、スペイン語がしゃべれる、うちの職員とか。人材的には、ハングル
がしゃべれる子、医療が話せる子とかいるんだけど、その人達を1つの場所で養成してい
くっていう時に、各病院が協力し合えるっていうのは非常に難しいですよね。
何かでも、そういう通訳を置く事で、ある意味、病院でもメリットには、なるんだと思う
んです。患者さんは、そんなに絶対数が多くないので、一気に沢山来るわけではないけれ
ども、多少なりとも、そういうメリットは、あると思うんですけど。(医療過誤の低減と
いう点からも)
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どっかに通訳団体が作れて、そこへ電話をすれば、その人達が来て助けてくれるようなも
のを作る為の、その資金的な協力が出来れば、それが一番いいじゃないですか。
ただ、その通訳団体というのも、非常に県内で、それをしていくのは難しいのかなって。
それは結局、制度を作るっていう事になるじゃないですか。それ自体が私は、非常に難し
いのかなって。実は、その医療通訳は、かなりスキルアップをしていかなければ、無理な
んですよね。そういう中で、かつ、生活もしていかなければならない。医療通訳で生活を
していかなければならないんです。それが県内でできるかっていう事もあるんです。だか
ら医療通訳を、どこでどういうふうにするか、色んな人が入って、それは考えていかなけ
ればいけないんじゃないかなって。県内では、簡単に出来はしないだろうなと思っていま
す。
あと、だから、通訳までいかないまでも、どこの病院に、なに人が、なに語をしゃべれる
職員がいるっていう情報だけでも、使えるんじゃないですかね?
共有を、してっていう事ですね。
いきなり、そうスキルアップしても出来るものじゃないので。少なくとも、その病院へ行
ったら、なに語が通じるよっていう情報があるだけでも、違うから。
そうですね。
山梨県にいるインド人って英語出来るよ、ほとんど。
問題は、ポルトガル語とスペイン語だよ。
ポルトガル語とスペイン語って、スペイン語でしゃべって、ポルトガル語でしゃべってる
人って、お互い通じるんですか?
日常会話だと、ある程度、通じますけど医療じゃあ、全然、使えませんね。
極端に違う言葉ありますからね。だから今、ちょっとお話をお伺いしてて、やはり大事な
のは、何しろ、病院の方と、勿論、その行政。国際交流協会では、医療通訳セミナー、何
年もやっているので、ある程度、そういう通訳人のレベルも分かっている。そこと、あと
民間ですかね。そこを、やはり認識ですよね。何しろ病院サイドでは、正式のそういう通
訳人リストに入っている通訳を連れてこないと難しいですよみたいな、そういう雰囲気を
作っていただくっていうかね。そこが一番大事なところなんですね。誰でもいい、友達も
通訳として連れてきたり、緊急性があれば仕方ないと思いますけど、子どもさん連れてき
たりね、そういうケースがいっぱいあるので。そういう時に病院の方がそれで受けちゃう
と、これはもう正式の医療通訳っていうのは、絶対出てこない。だからそういう、認識を
やはり、共有する、そういう雰囲気をお互いに作り出すっていう事ですかね。
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私達もそういう、実はそこにそういう組織(県国際交流協会)があるっていう事を知りま
せんでした。看護師をやっているような人で、当然、しゃべれるような人はいるんですよ。
そういう方に、そういうとこを紹介して、登録してもらうっていう事が、まず出来ればい
いわけですよね。
そうですね。
スペイン語が出来る、中国語が出来る。でも一番、必要なのは、ラテン系の言葉ですか。
中国、ハングルはあんまり。
大丈夫でしょうね。中国は、だいたい、もう専門の方がいますね。ほとんど病院の医療通
訳やっている方いるし。韓国はどうですかね。専門の方もいますけどもね。やはり問題は
ですね、勿論、ポルトガル語、スペイン語、それから今、国籍から言うと、ベトナム人の
方がペルー人より多いんですよね。山梨にも300人ぐらいのベトナム人がいる。それと
これから、県の観光で中心が、力を入れている、インドネシアとかマレーシアとか、だか
ら、そういう少数言語の対応っていうのは、今からやはり考えていかないとですね。ベト
ナム人が来たらどうするんですかっていうことですよ。
ベトナムの人って頭がよくて、英語しゃべるでしょう?
いや、全てがそうじゃないですよ。
そうですか。何か、すごい良く出来るような人が多いような気がしたけど。
彼ら研修生とか留学生の身分っていうのが多いですけど、それが日本の企業に雇用されて、
定住化に向かっていくのは、まず間違いないので、今から準備すればね。我々、そういう
研修生、留学生を連れてきて、日本人に対してベトナム語を教えたいっていう事も今、考
えているんですけどもね。逆のやはり、そういう事も考えるべきかなと。全てが何も日本
人がやる必要もないんで、優秀な人は、そこでピックアップして。多分、待ってても駄目
なんですね。もう、一本釣りで、あなた、多分、医療通訳とか出来るんじゃないですかみ
たいな感じで、もうそこに、ぶっこんじゃうみたいなね。それと外国人のやはり、ネイテ
ィブのリーダーみたいな、コミュニティーリーダーみたいな、防災の方での絡みですけど、
全てがそこに絡んできて、そういう人達を中心にして、30代、40代だと上にお父さん、
お母さんがいて、下に子どもがいるわけですから、両方みれるんでね、そういう方をピッ
クアップして。多分、医療通訳でも難しい事ではない。そこに入れば病院サイドでは、全
部こういうとこは受け入れてくれるよみたいな、そういうとこでしょうかね。
一番の課題は、やはりちゃんと養成をすることが、すごく大切だと思うんです。それと、
もう1つは、その通訳にかかるお金というのは、病院に行くのに、病院の費用以外にかか
る部分になってくるので、やはりそういう費用をどこかで、ある程度でもいいから、病院
で半分、負担するとか、そういうような制度が必要になるのかなと。もし医療通訳を育て
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ていくんだったら、そうしないと、千円でも行ってくれるような医療通訳、どうでもいい
ような、あまりにもひどい医療通訳でもまかり通ってしまう。そういう状況にもなるので、
そのへんは、やはり気をつけなきゃいけないかなと思います。それで彼らは、分からない
っていう顔をしないので、分かってるっていう顔をして通訳をしている、しているような
ふりをしているので、そこは非常に気をつけなければならないですよね。田辺先生のとこ
ろでは、かなり A さんに来てもらっているのは、困った事があったんだと思うんですけれ
ども。
そう、手術する人とかね、そういう人には、やはりちゃんと伝えなくちゃいけないので。
耳の聞こえない人には手話通訳っていう人がいて、町から派遣されて一緒についてきて、
僕、字を書いて、こうやってやる他に、ちょっと、こういうふうにやって、通ずるんだよ
ね。かえって耳の聞こえない手話の方がいいですね。
手話の方が一緒だからですね。
でも手話は外国語、日本語では違うんですよね。
それは違うんですよね。
医療通訳についても、だから、いろんなところで、皆さんにも少し声を発して、いただき
たいなと。それで皆さんが意識をして、そういうものを作っていくような体制が、だんだ
ん出来ていけばいいのかなというふうに思うのですけれども、よろしくお願いいたします。
【学校健診の検査項目・データ管理】
ちょっと話を、学校健診に戻したいかなと思います。もう1つ、私達がやっていく中で、
問題を感じたのは、どこまでやるかっていう事も、非常に問題を感じて、最終的には行政
につないでいきたいという事で、日本の一条校なみという事で、私達はやってきてはいま
す。ですけれども、例えば、一条校なみといっても、山梨の一条校と、岐阜の美濃加茂で
は検査項目が異なります。岐阜の方では、血液検査をしている所もあるんですよね。それ
でブラジル人は非常に、その血液検査が好きだという話を聞いたんですけれども。して欲
しいと思っているっていう話を、聞いています。そういうところまで、やっていくべきか
なという問題も、今回、学校健診のあり方として、あがりました。
あとはやはり、出たデータをどうやって管理していくかっていうところで、それぞれの外
国人学校の先生方の、努力を求めていく必要があるのではないかっていう事も今回出まし
た。なかなか難しくて、私も実はデータ管理方法を模索する為に管理ソフトを求めました。
もとめたは、いいんですが、複雑すぎて、わずかな人数のデータ管理にはとても使えない
なというものでした。うまくデータ管理ができるような方法を考えてもいかなければなら
ないのかなっていう事も、学校検診の中では、感じています。
学校検診に関して、皆さん、何かご質問とか、何かありますか。こんなふうにしたらとか。
学校検診、いろんな形で関わっていただいているので、露木先生、そして田辺先生、そし
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て共立病院、そして共立の歯科、そしてあと、山梨の山梨県健康事業団も関わっていただ
いています。皆さんに関わっていただいて。非常にそれは、いい事なんですけれども、ち
ょっと、ばらばらにもなってきているかなって、少しずつやっていくような形で、ほんと
は一気にできるといいなという課題も実は持っています。
理想で言えば、通常のあの学校健診のようなスタイルがそのまんま、イノヴェやアルプス
学園で出来れば、全く問題ないと思うんですよね。加藤さんのお話のように、不就学で、
もれる人(不就学児童生)が、20人ほど、まだいるとは思うんですが、
そうすると、それぞれが分担してやっていくようにはなると思うんですけど。その為には
やはり、行政や教育委員会や、そういうところで、今の現状を知っていたりとか。もとも
とがね、90年代、入管法改正して、製造業中心に南米から、どっと寄せてきてね、その
人達が、帰るに帰れなくなって、ずっとそのまま定住化していくっていう、そういう歴史
の中で作られてきた1つですよね。今、混在しているけれども、コロニーの中にはいて、
なかなか見えたり見えなかったりしているという、そういう状況があるわけですから、そ
こはやはり、しっかりと調査して、そして一人一人がどういう要求を持っているのか、そ
ういうものをほんとは行政に把握していただければ、ありがたいと思いますよね。結果的
に、そういう事を進めば、かわりに学校健診も1つのスタイルとしてやっていくかってい
う事も、イメージとしては出来上がっていくとは思うんですけれどもね。ゴールとして。
そこまで、どういう道筋でいくのかという事なんじゃないでしょうかね。
【人材とその育成、学生、保健師】
やはり、成果を上げていかないと、行政に認めてもらうっていうのは、なかなか難しい事
ですかね?だとすると、学校健診の形で続けながら、健診した人達で、メガネが作れない
とか、そこからが、つながらないところについて、教育方法も具体的に考えていかなきゃ
いけないという事ですよね。保健師さん達が、地道に学校に行って、メガネっていうのは
学力に通ずるものがあるんだよ。聞こえないっていう事(聴力の問題)は、これから、あ
なたが稼ぐ生涯年収にこんなに差が出てくる事なんだよっていう事を、多分、保健師達が、
昔の日本でやってきたように、それをつなげていく人材がやはり必要ですかね。
出来れば、そういう事には、やはり学生さん達にお手伝いいただくシステムや。そこ、旗
ふれる看護師、保健師っていうものを有志を集めるっていう事もいいかなと思うんですよ
ね。また、先生方に、どこがポイントで、人に教育していったらいいかっていう事は、特
に小児科では必要でしょうか。私もこの間、メガネで、お金がかかるからだけじゃなくて、
美容上、美しくないっていう理由でかけないお子さんがいて、ああ、と思ったんだけど。
だから何をもってかけないのかは、ばらばらなんですよね。きっと。
そうですね。
そんな美容の事を思うのは、かなり大きくなってから。ほんと必要なら、子供で。この子
供はもう、かけなくちゃ、きっとそのうちに、発達に障害が出てくると。そういう子にか
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けさせてやる。それを声高に言えるのは、理解出来ている人達っていう事ですよね。多分、
学校の先生達の中にもそれが、そんなに入ってない事だからでしょう。学校健診でやった
事は、必ず、この必要性があるよっていう事は、親じゃなくて、先生がまず分かってない。
アルプス学園に関しては、日本語が通じるので私も、よく話すんですけれども、先生方は
分かっていて、親にもかなり話をするらしいんだけども、結局、いい結果は得られないよ
うな形で。だから、もっとその健康教育を、今、おっしゃったように、子供にも先生たち
にも、もっとしていかなければいけないのかなとすごく思います。健診結果を捨ててしま
う事のないような、それがどういう意味なのか、子供の成長をどうやって見ていくのかっ
ていう、そういうところからの、教育も必要なんだろうなって。
【活動資金】
今回、私達3年間、続けてきたんですけれども、これをするのには、そこそこ、やはりお
金もかかるわけですよね。通訳の方を頼むのが一番、やはりお金がかかっているんです。
けれども、それ以外にも、いろいろとかかってくるわけですよね。勿論、検査関係は、お
金がかかっているんですけれども。そういうものは、どこが出すのかって。これ、このま
ま JUNTOS が、やってはいけない、途中でもって、息切れしてしまって、助成金を取る
のに、息切れしてしまって、出来なくなってしまうんではないか。だからやはり、そうい
うところを、公的なところに繋ぎたいなと、非常に思うんですけれども。とりあえず、こ
の3年間は、そうやって健診をやってきて、日本の一条校なみの実施状況なので、それを
やはり、ボランティアでする活動自体の部分はともかく、それ以外の部分で多少なりとも、
健診費用ぐらいは、日本の子と同じように、行政に負担してもらいたい。日本の子達だっ
て、お金がかかっているわけですよね。それを、いくらブラジル人学校が、その義務教育
でないからといって、一条校ではないからといって、ブラジル人学校の子供達には、かけ
ないっていう。そこ自体が私には、やはり最後の最後まで納得のいかないところで。地域
保健っていう事を考えれば、そのブラジル人学校の中で、何かあった時に、感染症がそこ
から始まるっていう事もあるわけですよね、そうした時に、困るのは地域なので、やはり
地域の住民としてのサービスを提供して欲しい。外国人は実は、2年前に住民基本台帳の
中に入っているんです。外国人登録では、もうないんです。私たちと同じ、地域住民なん
です。住民として認められて、義務を果たす。住民としての義務を果たして下さい、でも、
住民としてのサービスも提供しますよという事なんですよね。そういう形にした以上、や
はり地域の子どもとして、住民として、手厚く、日本人の子ども達と同じようにやってい
って欲しいなというふうに、強く思うのですが。そこの部分を私は今回、1つは、もって
いきたいなとは、思ってはいるところです。いくらでも、市民団体として手は貸すんです
けれども、やはり、地域にはそういう子ども達の健康も守っていく義務があるはずですよ
ね。反対にサービスを受ける子どもの権利もあるはずです。それをやはり守って欲しいな
というのが非常に私の中では、大きなところですけれども。「子どもの権利」とかってい
うのを言っても、行政は、そんなもの、というふうに言うかもしれないんですけど。
でも今、そういうチャンスの時だよ。だって日本の人口少なくなるし、外国人の労働者に
頼らなくちゃいけないし、そういう転機の時だから、そうやって外国人の人も、ちゃんと、
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というような健診が必要とか言って、そういうのをやるべきだとか言って、やるべきだと
思うね。
先生が入っているんだから、あれだよね。先生や保健師さんとか、そのへんを巻きこんで
いるけど、なかなか行政が力にならないっていう事ですか。児童育成課とか、当然、そこ
に関わらなきゃいけない保健師さん達でしょう。あんまり、動かない?
そうですね。難しいところです。
はっきり言って、お医者さん達より、そのへん、看護協会って強いじゃないですか。看護
協会に、旗ふってもらえるように、行きますよ。
行ってくださいます?ご一緒に。
それは児童育成課とか、実際のところ、ほんと私達、介護保険でも問題だよね、外国の方
は。
【外国籍住民の介護・健康問題と管轄部署】
そうなんですよね。でもそれも私、県の方にも5年ぐらい前から言ってるんですけど。介
護も、地域の外国籍の方で、今、50代の方がかなり増えてきているはずなんです。この
10年先には60代の方もかなりになるはずなので、そうした時に介護のほうも、ものす
ごく大変なんですよね。大変になっていくと思うんです。ましてや、歳をとると、自分の
母語になっている言葉しか使えなくなるっていう傾向も、実は日本人の海外に行っている
人達の中にも、見られています。それは、とりもなおさず、介護職の中に外国人も入れる
必要があるという事なんですけど、今の内からそういう事を考えていかないと、ちょっと
無理だっていう話も、5年前に県の方が、県立大学の多文化共生のプロジェクトの関係で、
いらっしゃった時、話をしたんですけど、そんなの、まだまだだねって、いうふうに言わ
れて一蹴されてしまいました。まだまだって言ってると、また子ども達の事と同じで、ど
ーんとやってきてから、わー遅かったっていう事になってしまうので、そこも是非、ほん
とに看護協会さんの方にも、お願いにあがりたいなと。
皆、保健師が関わっているのにね。地域住民のところも当然、保健師、児童育成課も当然、
そうだし。そこにやはりアプローチしていくのが大事ですよね。なかなか。あとは変な話、
児童相談所っていうのは、台帳に載っているから児童育成課とか行政に当然、訴えるべき
だと思うけど、児童相談所ってものは、また別になります?
また別の管轄ですかね。
虐待があったり、何か問題があれば、一応、日本人として登録されていればっていう感じ
ですかね。
- 47 -
でも、ほんとのとこ言って、必要な子にメガネを作ってもらえないって、虐待の1つです
よね。
日本人の子どもだって、今、メガネかけさせたくないって言ったら、虐待だぞとかって言
われる。
先ほどちょっと、児童手当の話をさせていただきましたけれども、児童手当の申請書、こ
れは厚生労働省が作ったモデルで、全部の市町村が同じモデル、ホームを使っているんで
すけれどもね、そこへ、児童手当の中で、申請しに来た時に、2つチェックする欄がある
んですね。それが生計の有無。子どもさんと生計を一緒にしてますか。それと、監護の有
無っていう、監護の監ですね、非常に難しい。こんなの外国人分かるかっていう感じで。
監護の有無、それをチェックしているわけですね。日本人のお父さん、お母さんで監護と
いう事は、子どもさんがちゃんと義務教育を受けてるとか、一緒にちゃんと生活している
とか、そういう事だと思うんですけども、別にお子さんがいて、学校へ行ってなくても、
児童手当は出るわけですから、そこでしばれるものじゃないんですけどね。今のお話も、
やはり、ある程度、そのお金がらみのところを利用しないと、お子さんっていうのは、す
べてお父さん、お母さんの認識次第で、ブラジル人学校へ行くのか、日本人学校へ行くの
か決まっちゃうわけです。だからそこでほんとは、市町村の窓口が、私、厚生労働省まで、
かけあった事があるんですけど、そこにどうして、1 つ、就学の有無っていう項目を入れ
てもらえないんですかって、聞いたんですけど。これは厚生労働省のホームなんで、その
文科省の有無を入れるわけにはいかんだろうと。勿論、当然っちゃあ、当然なんですけど
ね。文科省へ行って入れたら駄目ですかって言ったら、やはり駄目って。そういうところ
が、窓口でね、市町村の児童手当を払う窓口で来た時に、ホームとは別に、就学の有無、
健康診断の有無、1年に1回、やってますかっていう、それをやってもらったら、それで
終わりなんですよ。別にそれが児童手当が出る出ないとは関係なくて、そこで聞いてもら
うだけで。お父さん、お母さんの責任感が増すと私は思うんですね。それが何で出来ない
のかっていう。多分、不可能じゃないですね。
だからそのへんの議論を、もっていく為の市町村のそういう窓口の関係者集めてとか、学
校関係者とか集めて。できれば、こういうところから提言書みたいのを県に出すと。その
窓口が、どこになるのか、いつも問題なんですけれども。外国人のその対応窓口は県の中
で、どこなんだっていうのはね、いつも我々の疑問なんです。国際交流課なのか、仕事の
問題だと、いやそれは労政雇用課でしょうとかね。教育の問題だったら、それは義務教育
課、そういう流れに、なっちゃうんですね。だからそれをどこへ出すか。全部に出しても
いいんでしょうけどね。そういう新たな動きっていうのをしていかないと、これはもう全
然変わらないと思いますね。
皆さん、ご存知のように外国人の子ども達の高校進学率っていうのは、平均でも50%。
いいとこだと、80%いってるとこもありますけども、山梨は多分、それ以下ですね。そ
ういう実態が10何年、変わってないんですよ。我々、ほんとに今回、2、3年前からや
っているのは、やはりその保育園児ですね。先生からご説明あったと思いますけども、ブ
ラジル人学校で、保育園まで一緒にやっているんですね。託児所みたいなものですけども。
全然、管轄が違う、1つは文科省、こっちは厚生労働の事業をブラジル学校でやっている。
- 48 -
それは単なる数合わせでやってるだけの話なんですけどもね。だからそこは保育士さんも
いないし、プレスクール的な日本語の環境も全然ないですしね。そういう子達が小学校1
年生に入ってくるわけですから。だからそういうところも全て、ひっくるめて、医療とい
うのも、その中で考えていかないと。だから1つの大きな流れをやはり作らないと、医療
の問題も解決しないと思いますね。
【提言書】
そうですね。本日の資料の3ページ目に提言書(案)というのがあるんですけど、私もまだ
文章を書いている途中なので、1~3には何も書いてないてないんですけれども。6まで
の一応、項目を設けて、最初に外国籍住民と外国につながりをもつ子どもたちに関する統
計について述べたあと、2番目に国際条約とか或いは、保健医療に関する法とかを述べて、
そして3番目に保健医療体制、現在の外国籍住民の保健医療体制がどのようなものかとい
う。これは先ほどの通訳の事も入るんですけれども。あと、保健で例えば健診を受けても
健診自体が多言語で、通訳がついていないと健診を受けられないんですよね。或いは、受
けても検診結果が分からないっていう状態も非常にあるので、そういう事も含めて、保健
医療体制の事を述べて。あとは外国人学校と託児所のその現状ですね。勿論、運動施設が
無いというような事から始まって、具体的な事から、そしてそういう養護教諭とかそうい
うものがいない為に、健康教育が行われていないという、そういった事、健診も行われて
いないという、そういう現状を述べたあと、母語教育も非常に今、大切なもので。母語教
育って日本人は、今までずっと単一民族国家の幻想がある為に、私達にとっては母語教育
っていうのは当たり前の事で、すまされてきたんですけれども。外国籍の方達が来たって
いう事は、そこに母語教育という問題が発生するわけで。その母語教育がちゃんと出来て
ないと、日本語をただ、保育士さんとか保健師さんもそうなんですけれども、日本語を家
でなるべく使いなさいと。子どもが日本に慣れるように、というふうに言うんですけれど
も、それをしたらとても困る事になるんですね。母語が4、5歳までに育たない子は、そ
の後の言語発達に非常に遅れをきたすという、そういう例も実際にあるし、研究としても
そういうふうに今、言われている事で。そういう部分の保健師さんや保育士さん達の教育
も必要なんだろうなという事も書いた上で、最後に、その外国籍住民及び外国につながり
のある子どもたちの全人的健康に向けた提言という事で、書こうかなというふうに私の中
では考えたんですけれども、1から4のような形で、外国籍住民の保健医療に関して、外
国人学校の保健に関して、外国につながりをもつ子どもたちの全人的健康に向けて、とい
う子ども達の将来を考えるという。そして最後は、実は県は「多文化共生指針」というの
を持っているんです、そしてやまなし多文化推進協議会というのを。
あるんですよね。
はい、あります。10年前から実はあるという。毎年、2回開かれて、そこに参加する人
達は、一回行けば相当な謝礼をいただくことができると聞いています。それで、この会議
で、実際に何かできたのかというと、議事録は2回目までしか残ってないので、わからな
い。何もできてないのではないかという。ただ県立大も少し関わっているので、そこで、
こういう事をやったよっていうのはあるかもしれないけど、では、それが県としてホーム
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ページに載せられたのかっていうと、載せてないわけで、やはり評価をちゃんとしていっ
て欲しいという事があります。それも含めて今回の提言を出したいと思います。1、2、
3に関して。1は、外国籍住民の保健医療に関して、医療通訳の養成が必要だという事と、
先ほど皆さんから、いろいろ伺った意見の中から、意見をまとめて、そこに入れていきた
いなと思います。保健の場面でも、健診通訳とか、そして多言語による健診結果説明も、
必要なんだと。これは実は、他の他県で、いわゆる地域でする検診に通訳をつける事で、
今まで、ほんとに、わずかしか、約50%(52.9%)だった検診率が80%(85.
4%)(小牧市)に上がったという例があるんですけれども、そういった例もつけて出し
たいと思っています。多言語情報も、こういったものもあるので、やはりもっと活用して
いただきたいし、あと、先ほども県の国際交流協会で、通訳を紹介しているっていう事を
ご存知なかったので、やはりそういう事も、多くの方が知らないのではないかなと思いま
す。そういった情報も含めてやはり情報発信を県として、ちゃんとして欲しいなと。実際
にそれが使えるような情報発信をして欲しいなと。単に「ホームページに載せました」で
はなくて、それぞれのところに、通達というか、何か手紙のような形で、お知らせのよう
な形で出すとか、医療機関に出すとか、そういった形で出して欲しいなという事を提言書
に書こうかなというふうに思っています。
これに関して何か、付け加える事とか何かありますでしょうか。
先ほど先生からお話があったみたいに、ただ新たに何かをやってくれというのは多分、難
しいと思うので、やはり他のその地域とか、他県でやっている、こういう事例っていうの
を、他ではこういう事をやっているので、こっちでもやって欲しいというような形で。先
ほど先生が、いろいろおっしゃっていた、地域のプログラムとかっていうのを、引き合い
に出した方が、何か進めやすいのかなっていうようなのを感じました。
はい、分かりました。
1番の項目のところで、外国につながる子ども達に関する統計っていうのは、我々が提言
書に載せるのではなくてね、むしろ県で積極的に作ってもらいたいというか、そういう趣
旨の提言の中身がやはりいいんじゃないかなと思うんですよね。今のお話と合わせてです
けれども。特に例えば先ほどの、群馬の例がでましたけどね、ブラジルの方の、現在の場
所にそのまま住み続けていたいという対面調査でのアンケートの結果が80%を超えてい
る。他の国の方より、ブラジルの方の方が、圧倒的に高い、20%ぐらい高いと言ってま
したね。一人一人の例えば、要求が、どういう情報が欲しいのか、言葉で言えばどんなな
のか、という事まで全部、対面調査で聞いているんですよね。そういう事を、むしろ我々
が提案、調べて出すのではなくて、やはり県でもう少し積極的に調査してもらえないかと
いう趣旨の提案、例えば群馬でやっているような事を、山梨でもやってみたらどうかとい
うように提案してみたらどうしょう。
はい。そうですね。
資料の一番最後にね、先生が書かれてます、多文化共生指針っていう、山梨県が平成17
- 50 -
年の4月に作った指針、そこがやはり出発点だと思いますね。群馬県の場合は、そういう
のがやはり、ぱちっとあって、そこに書いてあるものをただ下へ流してやっているんだと
思うんですね。だから行政はそういうのがなければ、まず動きませんので、そこは、私も
県のその委員をやっていた時に、何回も、その見直しをしないと駄目でしょうと。ほんと
に県立大学の先生が関わって、例えば多文化共生キーパーソンの養成をやりますと書いて
あるんですね。それ未だに、出来てないんですよ。養成講座やりました。私も参加しまし
た。最初、15人ぐらい。それがもう3回だけで終わっちゃったみたいな。担当の先生と
も、だいぶ、やり合いしましたけど。こんなんで多文化共生の養成やっているんですかっ
て。もうそれで終わりですね。
何が書いてあるのか、それを検証、10何年近くも経ちますけどもね、それを1つ1つ、
しらみつぶしに議論して、これは出来てない、じゃあ、やりましょう、ね。そういう事を
やっていかないと、大きな流れっていうのは、多分作れないと思いますね。
我々、その中で例えば、保育園の子ども達に関しては、行政、これは出来ない事ですから、
小学校、中学校へ入ってきたら、何とかする、それでも出来てないんですけどね。2、3
割の子ども達は授業についていけないという実態ですから。そこを我々、民間としては出
来ないところを、やっているつもりなんですけどもね。そこを皆さんで、こういうとこで、
多文化共生の推進の指針ですね、皆さん、ご存知ないかもしれませんけども、そこを1つ
1つ見直す、どれぐらい出来ているのか、私にも分かりませんけども。あんまり興味もな
いんですけども。そこをやはり行政のトップが、あれは国際交流課ですかね、今、観光部
の下へ入っちゃってますんでね。前は独立してたんです、あれはね。今、観光、一本槍で
すから、県は。国際交流課の課長はいますけども。そういう方を招いて、そういうディス
カッションをする、それが一番、やはり根本じゃないですかね。そこがしっかりしてない
と、底辺でいろんなディスカッションしても、多分、進まないと思うんですよね。だから
私はちょっと申し訳ないけども、そういう実態をずっと見てきているもんで、自分が今、
できる事を、どんどん、やっているだけの話なんですけども。だからほんとに長坂先生も、
ほんとに助成金とか補助金とか、結局、そういう方向でもっていかないと、こういう事は
できなくなっちゃうんで、そこは何とか、こう、やはり、私はそこだと思いますけどもね。
未だに、何回も課長とも会って、口酸っぱく言ってますけども、結局、もう、また課長が
変わったりして、もう忘れられちゃうというね、実態ですよね。だから、もっと大きな輪
で、そこをやれば多分、動かせない事じゃないと思いますね。とりあえず、その多文化共
生キーパーソンは作ろうじゃないかっていうのを。だからキーパーソンがこういう事に、
全部絡んでくればいいんですよ。当然、外国人の人も入ってね。だからそれで議論を広げ
ていくっていうね。そこが一番、大事なんじゃないかと思いますね。
その多文化共生指針とか山梨多文化共生推進協議会の資料っていうのは、すぐ手に入るん
ですか。
入ります。ホームページですぐ出てきます。
そうですか。結局、今、加藤さんがおっしゃったように、その今、我々が提言しようと、
先生がありましたよね、我々が今、話をしたんですけど、じゃあ、この多文化共生指針っ
- 51 -
ていうのは、10年前にできていると。じゃあ、これが今、どこまで、ちゃんとできてい
るのか、できていないのか。問題点、1つ1つ、そうやって我々の要求っていうか、そう
いうのを、追加していくという。具体的には、そういうふうにするしかないんでしょうか
ね。漠然ともっていくんじゃなくて。ここに、先生、一応、県が出しているのがあるんで
しょう。じゃあ、それを土台にしましょうよと。それでその我々がその目指す方向、或い
は、今、オリンピックも来るわけですし、オリンピックで、その何ですか、外国の患者さ
んを受け入れるという話もありますし、通訳も養成出来ると。そういう事があれば、それ
から日本は、どんどん、どんどん人口減少になっています。という事は20万人の移民を
受け入れるかどうか分かりませんけども、日本もその多文化の共生状態じゃないと、生き
ていけませんよと。うちら、先どりしませんかと。まだまだっていうふうに、今まで言っ
てたわけだけれども、気がついたら、もう遅いっていう事になっちゃうわけですよね。そ
うならないように、提言するっていう事ですから、まず、あるものを、あるものを引っ張
ってきて、これまだ出来てないじゃないですか。これ出来てないじゃないですかって、1
つ1つ。
検証して、それで問題を提起すると。ですから是非このその多文化共生指針の一応、何か
役を持っている方がいらっしゃるわけでしょう、県に。
作ったのは国際交流課ですよね。
その人達も、この中に入ってもらって。
当然そうですね。
この次からは。毎回話していて、だから顔が見れるような形で、話をすれば、その動いて
くれるんじゃないかっていう気がするんですけどね。巻き込んで。
皆さんから、巻き込んで。皆さんの署名を持って、この会に出て下さいと、お願いしてい
くということですね。
人脈も使いながら。
はい。じゃあ、年に2回ぐらい、この会をもつような形にして、少しずつ、その外国籍の
方達の、或いは外国につながりのある子ども達の健康というものを考えていけるように、
出来たらという事でしょうかね。それで、ちょっと私も先ほど、言っていた中で、実は私
も、県の方にはデータの開示をして欲しいなと、データの開示っていうか、外国籍のその
子ども達、その不就学の子ども達の事に関しても、なかなか、加藤さんが、ああいう形で、
どのぐらいいるかっていうのを推定出来るような形をとったから、分かってきたんですけ
れども、そうでなければ、分からなかったわけなんですよね。それで、外国籍小学校の就
学予定児童数、実際に就学した児童数はどのぐらいなのか。そして、それと外国人学校に
行っている子ども達のその児童数とか、そういうものを、ぶつける事でも、そこにどこの
- 52 -
町にどのくらいのその不就学の子ども達がいるかっていう事も分かるんですよね。だから、
そういった事も、開示をして欲しいと。あと外国籍の高校進学率っていうのも、先ほども、
これも加藤さんがおっしゃっていた、山梨は50%ぐらいだと思うんですけれども、おそ
らく。これに関しても、ちゃんと調べて結果を出して欲しいなというふうに思うんですね。
外国人の方達、実はこの間、健康フェスタの時に、お母さん達に聞きました。日本の高校
進学率は、どのくらいだと思いますかって聞いたら、何%って言ったと思いますか。40%
って言ったんです。ああ、と思って。ええ、そんなに少なくはないわよって言ったら、5
0%?って言うから、いえいえ、60%?、いえいえ、もう、ほとんど100%ですって
いう話をしました。実はそういう状況で。お母さん達も、知らないんですね。日本の子ど
も達とは、100%高校へ行っている。自分達の子どもは、高校に行かせないで働かせた
りする。そういうのが当たり前のように、なっているので、そのあたりの、それは文化的
なものも1つはあるのかもしれないし、そのブラジルの方達が、ブラジルの中でも、そう
いう層であるという事もあるのかもしれないけれども、日本に来てそれだと子ども達も、
おいおい、お母さん達と同じように、それこそ工場勤務しかないと。工場で流れ作業しか
ありませんっていう、そういう事を。
再生産か。
そうなんです、再生産なんですよね、それこそ。そういう事を十分、お母さん達に、知ら
せていくっていう、それはもう生まれた時、子どもが生まれた時から、やはり保健師さん
達に取り組んで欲しい事なんですね。そこの部分も、私達も手伝うんで、やはりやってい
って欲しいなっていうところがありますね。それは私も活動の中に含めていきたかったな
というところです。ほんとに高校進学率、低いんですよね。恐ろしいですね。
中学校卒業の資格がないわけでしょう?
場合によっては。はい。
そうなると、高校、当然、行けないわけですよね。
はい。ブラジル人学校の子ども達は、日本の中学校の卒業の資格がないので、日本の高校
には行けないんです。だからアルプス学園の中は一応、高校生までは、ある事はあるんで
すけど、じゃあ、そのあとはどうするの?っていうところが、さらに。
大検も受けられないわけですからね、そうなると。
そうなんですよね。何か難しいところです。大検自体は、多分、受けられるんじゃないで
すか。受けられると思います。受けて、それで、あれは成績さえ良ければいいので。それ
よりも、もう1つ、私が今回、一昨年、あの子に会ったのは。出会った子は、中学を途中
で除籍処分になっていました。本人が、途中から中学に行かなかったんだけども、日本の
子どもの場合は、行かなくても最終的に中学卒業の資格をもらえるんです。卒業証書もら
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えるんです。でも、中学校の先生が実は、除籍してしまったんですね。だから中学の卒業
の資格がなくて、高校に行きたいんだけれども、どうしたらいいのかなっていう事で来た
のです。その子は、たまたまその地域の教育委員会と私もお話をして、中学に籍を置き、
出席しなかった中学の最後の半年分の学習する一方、私達の子ども若者就学支援の方でも
面倒をみる事で、その中学の3年の後半の部分を無事終え、卒業の資格をもらい、それで
高校受験をしました。高校受験は、中学で推薦状も書いて下さって、無事に合格して、今、
高校に通っています。ほんとにそれは、氷山の一角も一角。ほんとに、1つの例だけなん
ですね。実は、もっともっとたくさん、その中学を途中で除籍された子がいる。でも山梨
の場合には、夜間中学がない。東京に行くと夜間中学があるんですけれども、山梨にはな
い。この間も、東京で私のような事をやっている方に、ちょっと話をしたら、山梨にない
んだったら、東京に来るしかないね。東京の知ってる方のところにでも泊まって、東京の
夜間中学、出るしかないよね、なんていう話をしていたんですけれども。それが現状なん
ですね。ほんとに教育っていう面でも。教育が、そういうふうに、十分でないと、最終的
にはその子の将来的な健康、全人的な健康っていうのが望めない、あるいは非常に望みが
わずかになっていくので、何とかできないかと感じています。
初めての会で、短い時間でしたので、皆さんから全部、ご意見を伺う事も出来なかったか
と思うんですけれども、是非、メールの方にこんなふうに載せたい、こんな事を載せたい
っていう事があったら。そして、こんなふうに書いたらいいんじゃないかっていう事があ
ったら、是非、どんどんメールの方に入れて下さい。お願いします。そしたらそれを、盛
り込みながら、最終的なものを皆さんにまた、一回メール配信をして、それでいいものを
作りたいなと。ただ、出来れば、この1週間から2週間の間に、作り上げたいと思ってい
るので、是非、ご協力をお願いしたいなというふうに思っています。他に何かございます
でしょうか。
いいですか?私、難しい事はよく分からないんですけども、現場に、最先端で働く者とし
て、やはり、私達がどんな知識を持っていようと、どんな技術を持っていようと、相手の
方が私達を信用して、私達が相手の方に役に立つ存在だっていう事を理解してもらえなけ
れば、私達は何の役にも立たないですよね。まずは、相手、さっき検診の意味がお母さん
達に伝わらないとか、その結果が分からないとかっていうお話があったんですけども、健
康の問題に関心が薄かったとしても、さっきも高校に行けないとか、そういう困っている
ケースに1つ1つ、やはり対応、丁寧に対応していく事で、信頼は勝ち取れると思って。
そして初めて私達が、やはり検診も大事だし、保健活動も大事だしっていう事を理解して
もらえるような気がするんです。それは、行政も同じだと思って。さっき、やはりどれだ
け、何て言うんですか、どれだけ、その利益を得る人達がいるのかっていう数、先ずどれ
だけのたくさんの人に力を及ぼせるかっていう事よりも、まずやはり、一人一人の困った
事例とか、1つ1つの小さなケースにきちんと対応していく事が、やはり結果として、そ
の周りの人達の信頼を勝ち取る事であり、お互いの協力体制を作れるというか。こちらか
ら、一方的に、こういうものがあります、こういうサービスがあります、これをやって下
さい。でも、誰も、のってくれませんでしたっていうのは、やはり努力が足りないという
か、あまりにも一方的、それこそ共生の姿勢ではないなあっていうふうに思って。すみま
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せん、何か話がもしかして、ちょっと違うのかもしれないんですけど、っていうふうに私
は感じていて。行政の立場であっても民間の立場であっても、最初のスタートというとこ
ろは、やはり1つ1つのケースを大事にしていく事なんじゃないのかなあって思っていま
す。何か見当違いな事を言っていたら申し訳ありません。
いえいえ、それは、やはり非常に重要な事で。前からそうなんですよ。というのは、我々
が最初にこれをやった時に、ほとんど来ないんですよね。何故、来ないかっていったら、
結局、我々の存在をまだ認知してもらっていないっていう事ですね。だから、やはりこう
いう提言も確かに大切なんですけれども、我々がほんとに、皆さんの役に立ちますよと。
そういうつもりで、やってますよと、だから来て下さいっていうふうに、我々がアピール
しなきゃいけないんですよね。皆に、認知してもらう。つまり特に、外国籍の人達の社会
に。多分、そういう人達っていうのは、何かこう、つながりがあるわけでしょう。そうい
うところに、この布石を置いて、こういう事をやってますよと。だから、地道にやるしか
ないですよね。我々が、こうやっているっていう事を認知してもらえなければ、或いは我々
が信用してもらわなければ、来ないんですよ。カラ振りが何度もありましたからね、今ま
でだって。でもこれは、もうしょうがない。これは、我々がまだ認知されてないから、し
ょうがないんだと。だけど我々、それでもやりますよと。そういう事をやっていくしかな
いかもしれません。だから、提言は提言。でもやはり地道な活動は、地道な活動という事
で、ずっと続けていくしかないんじゃないかと思いますね。
そうですね。
これは最初から、いつも反省点で。誰も来ないという時が何度かあって。反省点の時に、
そういうふうな話が出てましたからね。これはやはり我々、地固めしなければいけません。
ここを、こういう事をやってますよっていう事を、特に外国籍の人達に、アピールしない
といけないですね。
はい、そうですね。この活動自体は、ずっと私も続けていくつもりなので、ただそこで、
やはり行政との連携をうまくしていけたらいいなとすごく感じるんですよね。
僕は時々、イオンモールへ行って、ちょっとスペイン語を話している人達のところへ行っ
て、スペイン語で話して、JUNTOS だって言ってるんですけど。JUNTOS 知ってる?知
らないって。知ってる人いないんですよ。
JUNTOS っていうのは、フントスだよって言って。だから共生する、together という意
味ですから、話をするんですけど、知らないんですよね。だからね、まだ、全然、認知さ
れてないっていう事です。結構いますからね、あそこへ行くと。いろんな言語が飛びかっ
てますから。やはり、そういう事は、地道な活動が必要でしょうね。
はい。その為には、何かもう1つ、ほんとにこの3年間、すごく思っていたのは、一緒に
活動する方をやはり増やしていかなければいけないなという事なんです。それはやはり、
- 55 -
私にとってもすごく大きな課題で、あるのですけれども、なかなかこれが、難しいなあと。
実は、助けて、みなさん、みたいな部分が私としては、あるんですけれども。
あれですね。行政にとっては、まだ外国人問題っていうのは、やはりこうネイティブの、
マイナス要因ととらえる人達が非常に多いんですね。勿論、理由はあるんですね。例えば、
住民税の収納率、今、日本人と外国人、一緒になっていますけれども、外国人だけみると、
極端に低いんですね。だから中央市なんかでも、外国人の滞納が、やはり多いんですよ。
そこは、ずっと同じように、くっついてきているんですね。突然、そのまま帰っちゃうと
かね。だから、外国人のための活動をして、じゃあ、収納率が良くなるんですかって、ひ
ょっとしたら言われるかもしれない。だからそういう啓蒙活動も一緒にやらないと、行政
は、なかなかこっちを向いてくれない。
そうですね。
だから、さっきも申しあげた、全体の動きでね、多和田先生、さっき仰った、外国人って
いうのは、稼ぎ手、労働人口なわけですよ。山梨も、これから5、60万人になろうとし
たらね、数字だけは出てるんだけど、外国人に優しい町づくり、ここは空き家も一番じゃ
ないですか。日本一ですよ。そういうとこで、その住宅問題を考えてくれるとかね。そう
いう優しい町づくりをすれば、外国人来てくれるわけですよ、仕事があって、家があった
らね。そういう全体がやはり、大きな枠の中で、こういう事をやっていって、外国人のお
父さん、お母さんの認知が一番、その理解が一番、問題なんですけど、全ての面でね。そ
ういう事もやらないといけないんで、さっき申しあげた、やはり多文化共生推進指針とい
うのを見直し、検証。だから日本はね、何しろ、検証しない社会ですから。行政、特に行
政は。今まで、やってきた事なんか、絶対、検証しない。教育委員会とか行って、今まで、
こういう体制でやってきて、高校進学率がこれだけアップしましたっていうね、そういう
検証みたいのを全然、見た事もありません。我々、中身、全然、分かりません。ただ高校
進学率は、50%、ずっと同じ。15年ぐらい続いてきている。だから通訳入れたってい
う問題じゃないでしょうという事なんですよね。やはり検証は、まずね、大事だと思いま
す。そこが出発点っていうかね。多文化共生活動も、第一ステージが終わったと思ってい
ます。今、第二ステージに入りかけている、入口の方ですね。そこはだから、第一ステー
ジで何ができて、何ができなかったのか。それを検証して、新しい方向性をもって皆で同
じ方向性で走っていくみたいなね。だから、そういう事をやっていると、多分、行政もこ
っちを向いてくれるのかな。やはり、住民税、収納率、これはきついですね。ほんとに。
一度、我々は、これをまた市民団体、こういう事をやったんですけど、2年続けて、国際
交流協会で、収納課の課長を集めて。というのは、いろんな問題があって。突然、外国人
が来て、100万の滞納があるって言われたとか。もう、ざらだったですね、あの頃は。
だからそれは何で問題かっていうと、いや、それは派遣会社の問題だとか。だからそこを
管理しているのが、市でしょうっていう話なんだけど、全然、かみ合わない。じゃあ、面
倒くさいから、課長集めて、人材会社の社長を集めてね、2年続けてやりましたけどもね。
中には、社会保険入ってませんとかね。もう、堂々と言う人いますから。だからそこが、
先生が仰ってた、これからですね、高齢化が進んでますので、外国人も。65になって定
- 56 -
年。じゃあ、年金いくらもらえるんですかっていう事です。5年ぐらいしか、かけてなか
ったら、2万とか、そんな程度ですよ。そういう人達に対して、どういう手当をするんで
すかって。皆、生活保護あげるんですかっていう事ですよね。そういう先をね、もうちょ
っと見すえたね、いろんな事やっていかないと。誰がそれを負担するかって言ったら、日
本人市民ですね。当然。それがもう目に見えているわけですね。そういう事に対して、行
政は今、ほんとに火の車ですからね、日本全体を見ればね、そこまで手がまわらないって
いうのは、2%以下でしょう、みたいなね。まあ、当然の議論だと思いますよ、私はね。
でも手がまわらないからこそ、いろんな団体と協働して、いろんな事をやって欲しいんで
すけれども、そのへんが、いろんな事を開示して、市民団体や NPO と共に何かしようと
いうスタンスがまだまだ足りないかなって。山梨の場合は、特にそれが非常に足りないか
なというふうに感じています。統計の話なんですけれども、実は山梨の外国人の中の永住
化率っていうのは、山梨は全国で2位ぐらいなんです。国の平均が確か約31%なんです。
山梨は44%を超えている。非常に高いんです。それだけ、永住化する人は増えていると
いう事だと思うんです。だからある意味では、非常に住みやすい所でもあるのではないか
なあというふうに私は思っています。ただやはり、多文化に関するいろんな活動自体は他
の県よりも、少ないですね。多文化の分野では、山梨は、まだまだ遅れているのが現状だ
なあというふうに、すごく感じています。
今日、お話をお伺いしての感想ですけども。やはり、提言とかやはり理想というものがな
いと、そこに向かって進んでいけないと思うので、それはしっかりこれから作っていかな
いといけないと思うんですけれども。あとはそれをもう少し精査して、行政とか、どこに
何を伝えていったら、いいのかっていうかという、そういうシステム、グループ、どんな
グループがあるのかっていうのも、しっかり把握していかなくちゃいけないのかなと思う
のと。そのあと、行政もやはり、さっきお話があったように、なかなか難しいところが、
いっぱいあると思うので、まずはどこから、行政とやり取りをして実現可能なのかってい
うのも、もう少し精査して、そのレベルというか、段階っていうのも、こちらの。やはり、
行政なんかは、知識とかそういうものが、ゼロぐらいに考えといた方がいいのかなと思う
ので、やはりここはとても、多分いろんな方達がいらして知識がとても多いと思うので、
どこまでなら交渉可能で、どこまでなら実現可能で、じゃあ、これがクリアしたら、今度
は、ここのステップというように、何かやっていったらいいのかなって、話を聞いていて、
ちょっと感じました。
大切な事ですね。段階的に。
そうですね。やはり、いきなり、全部をお願いしようと思っても多分、行政は、一気にそ
んなのは、ちょっと無理ってなっちゃうと思うので。どこまで実現可能なのかっていうの
を、もう少し精査して交渉していったらいいのかなと感じました。
何か皆さん、ありますか。外国籍の人達って、私達と同じように、人間なので医療だけと
か、教育だけとか、そういうふうには、とらえられないんですよね。なので行政もほんと
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は、全部の課が関わるような、そういう形でなければ、外国籍住民の事っていうのは、「ち
ゃんと」は、捉えていけないのではないかなと日々実感してます。国際課だけで、何とか
できるっていうものでは、私は全くない。今回も、その子ども達の健康というところに、
まずは焦点をしぼったけれども、結局、子ども達の健康というのは、教育にも関係してく
るし、親の労働とも関係している。そういう点から先日も JUNTOS の会の中では、事業
を拡大する話をしました。これからも是非、皆さん、ご協力を下さい。宜しくお願いいた
します。今日は、本当にありがとうございました。
お疲れ様でした。
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山梨県立大学地域研究交流センター2013 年度研究報告書
多文化共生推進プロジェクト:保健・医療・福祉における大学・地域・行政の連携に向けて
2014 年 3 月 31 日
発行
編集 「多文化共生推進プロジェクト」研究グループ
発行
山梨県立大学地域研究交流センター
〒400-0035 山梨県甲府市飯田 5-11-1
電話 055-224-5261(代表)
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株式会社
三縁
University Center for Research and Exchange
山梨県立大学地域研究交流センター
〒400-0035 甲 府 市 飯 田5−1 1−1
TEL 055-224-5260 FAX 055-224-5386
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