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CO 分離・回収技術 (固体吸収材、分離膜)の開発動向

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CO 分離・回収技術 (固体吸収材、分離膜)の開発動向
「次世代火力発電の早期実現に向けた協議会(第2回会合)」
次世代火力発電協議会
第2回会合 資料2-3
CO2分離・回収技術
(固体吸収材、分離膜)の開発動向
平成27年6月22日
(公財)地球環境産業技術研究機構
化学研究グループ
(METI直轄事業) 二酸化炭素回収技術実用化研究事業
固体吸収材
先進的二酸化炭素固体吸収材実用化研究開発事業
CO2分離膜
二酸化炭素分離膜モジュール実用化研究開発事業
1
目次
1.CO2分離・回収技術について
2.固体吸収材について
3.CO2分離膜について
2
CO2分離回収フローチャート
CO2/N2分離
高圧CO2/H2分離
脱水
環境省 国内外の技術動向調査より引用
CO2(%)
ガス圧(Mpa)
製鉄所 高炉ガス
20
0.2~0.3
N2、CO
化学吸収
火力発電所
12~14
0.1
N2、O2、SOx、NOx
化学吸収、固体吸収、膜
石炭ガス化ガス発
電(IGCC)
30~50
2~4
H2、CO、H2S
物理吸収、化学吸収、膜
ソース
分離対象
開発技術
3
発生源から見たCO2分離・回収技術
発生源
燃
焼
前
回
収
燃
焼
後
回
収
高圧ガスから
のCO2分離
分離回収法
技術開発の状況
化学吸収法
温度差
EAGLE PJで検証。汎用のアミン溶液では、物理吸収法
の方が効率が良いと報告されている。
物理吸収法
分圧差(濃度差)
温度差
EAGLE PJで検証。高圧条件下では、化学吸収法よりエ
ネルギー的に優位と報告される。OCG実証検討準備中。
分圧差
ガス圧を利用するので、吸収法に比して、省エネ、
低コストが期待される。実用化検討段階。発電で
は、H2圧力を維持する上で、CO2選択透過膜が
望ましく、適用によりプロセス効率が向上する。
化学吸収法
温度差
実証、実用化段階。一部、高炉ガス向け商業運転。エネ
ルギー、コスト等、低減検討中。
固体吸収法
分圧差(濃度差)
温度差
原理は吸収法と同じ。実用化検討段階。
吸収材の開発、プロセスの開発が行われている。
CO2との反応性等の改善により、エネルギー消
費、コスト面で吸収法よりも優位となる見込み。
深冷分離法
温度差(相変化)
混合ガスの冷却液化で蒸留・部分凝縮により分離する。
液化CO2精製技術。酸素燃焼との組合せでは、コスト面
からもO2分離技術開発が必要。
※石炭ガス化
ガス(IGCC)
膜分離法
等
常圧ガスから
のCO2分離
駆動力
※現行火力
発電 等
4
CO2分離・回収 技術ロードマップ
現状
分離コスト
2020年
2030年
4200円台
2000円台 1000円台
[円/t-CO2] (分離膜実用化 1500円台)
分離・回収エネルギー
[GJ/t-CO2]
4.0
1.5
1.0
総合資源エネルギー調査会 基本政策資料
エネルギー関係技術開発ロードマップについて
http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_su
bcommittee/014/pdf/014_008.pdf
5
2.固体吸収材について
6
固体吸収材の概念図
担体
(多孔質材料)
アミン化合物
溶媒
(水)
アミノ基
水酸基
(例. モノエタノールアミン)
化学吸収液
固体吸収材
アミン化合物
+
アミン化合物
40%程度
+
溶媒
(水) 60%程度
担体
(多孔質材料)
1~2mm粒(球)状
固体吸収材:再生時、比熱大きい水の加熱が不要なため、エネルギーの低減が可能
7
RITE固体吸収材の開発経緯
新日鐵住金
エンジニアリング
プロジェクト
(化学吸収法)
高炉ガス
(20%-CO2)
2005
2010
COCS
分離回収コスト
半減を目指した
吸収液法の開発
2020
「ESCAP®」の商業化
COURSE50 step I COURSE50 step2
(固体吸収材)
燃焼排ガス
(12%-CO2)
2015
高炉用の新化学
吸収液の開発
更なる高性能吸収液の開発
二酸化炭素回収技術
高度化事業
米国国立エネルギー
技術研究所(NETL)
と共同研究
(固体吸収材等技術開発)
二酸化炭素回収技術実用
化事業
(固体吸収材実用化研究開発)
電力・セメント用システム開発 電力、セメント系民間企業協力
(川崎重工、J-Power等)
(基盤研究)
ラボ試験機
(~5kg/日)
ベンチ試験機(5t/日)
8
固体吸収材研究開発概要
固体吸収材方式の利点
・現状のアミン液法が120℃に対し、60℃程度の低温再生(廃熱を利用可能)
・再生時に水の蒸発がない、排水が出ない
・設備コストが安い。一般鋼材でプラントを構成
・装置・敷地面積が吸収液法と比較してコンパクトにできる可能性
9
RITE固体吸収材の性能試算
分離回収エネルギー
計算化学に基づく
新規アミン設計
(吸着分離シミュレーション結果に基づく試算)
2.5 GJ/t-CO2
潜熱
RITE固体吸収材のCO2吸収特性
再生率:35%
再生率:97%
顕熱
反応熱
RITE液
*COCS project
再生性能の飛躍的向上に成功
1.5 GJ/t-CO2
供給スチーム
RITE固体吸収材
低温蒸気再生
プロセス
・ RITE固体吸収材:
分離回収エネルギー1.5 GJ/t-CO2を達成。
・ 低温(60˚C)再生が可能:
廃熱利用によりさらに必要エネルギーを
低減できる可能性がある。
10
固体吸収材のエネルギー評価
CO2回収型火力発電所のエネルギー評価(発電効率への影響)
(回収条件: 90%CO2回収)
12
石炭
蒸気タービン
(蒸気)
燃焼排ガス
(電気)
ガス清浄設備
固体吸収材プロセス
発電システムから、CO2分離回収のための
再生用蒸気、機器動力が供給されるため、
発電効率が低下する。
この影響を小さくすることが望まれる。
60C
10
発電効率の低下[%pt.]
ボイラー
抽気蒸気温度
120C
8
高効率
熱利用
130C
130C(従来)
6
低温再生
4
固体吸収材
(RITE)
2
0
1
2
3
CO2分離回収エネルギー [GJ/t-CO2]
4
・低CO2分離回収エネルギーであり、
発電効率の低下を抑制できる。
・低温再生が可能であり、更なる改善が
期待できる。
11
固体吸収材のCO2回収コスト評価
石炭火力発電所100万kWh
RITE固体吸収材は、
低CO2分離回収エネルギー(1.5 GJ/t-CO2)
低CO2回収コストを達成した。
CO2回収量
100 万t/y
(3,000 t/d)
固体吸収材
PEI/Q-30(NETL)
固体吸収材プロセス
CO2回収コスト 固定費+変動費
(¥/t-CO2) = CO2回収量
(固定費) ・回収設備費 ・修繕費
・固体吸収材費 ・メークアップ費
(変動費) ・再生用蒸気 機器動力
CO2回収コスト [円/t-CO2]
3,000
2451
固体吸収材
(RITE)
2,500
吸収液
2413
2118
1909
2,000
1,500
* 国内での実施を想定
* 2005年貯留G報告書参考
1,000
1
1.5
2
2.5
3
CO2分離回収エネルギー [GJ/t-CO2]
12
他機関との性能比較
固体吸収②
METI高度化事業_固体吸収①
研究機関
RITE
CO2吸収材
新規開発アミンを多孔質担
体に担持
研究・技術概要
新規化合物を設計、合成し、
多孔質担体に担持した高性
能固体吸収材を開発
ADA-ES Inc.,
DOE/NETL(米国)
材料開発、プロセス検討は、
ラボレベル評価を終了
固体吸収③
SRI International,
DOE/NETL(米国)
ポリアミン(PEI)をシリカ担体に担持
材料開発からプロセス
検討段階に進み、20tCO2/dayのパイロット
試験を実施
循環流動層を用いたプロ
セス開発、及びスケール
アップ検討
KEPCO(韓国)
炭酸カリウム/多孔質担体
アルカリ金属炭酸塩による
CO2分離回収
循環流動層を用いたプロセ
ス開発、及びスケールアッ
プ検討
60~70℃
120℃
110℃以上
140 ~ 200℃
1.5 GJ/t-CO2
2.8GJ/t-CO2
不明
5 GJ/t-CO2
回収コスト
2,000円台/t-CO2
不明
$39.7/t-CO2
(吸収液:$68/t-CO2)
$30/t-CO2(目標)
開発スケール
ラボ→ベンチ
※石炭火力燃焼排ガス
ベンチ→パイロット
(20t-CO2/日)
ベンチ(200kg-CO2/日)
→ パイロット
パイロット(200 t-CO2/日)
回収エネルギー低く、回
収コスト達成の目処
回収エネルギーは、
高性能化学吸収液と
同程度
実用化研究開発進み、セ
メント工場(ノルウェー)で
パイロットプラント試験進
行中。
回収エネルギー、一般的化
学吸収法よりも大きい
成
果
・
性
能
再生温度
回収エネルギー
技術評価
実用化開発レベル
支援の状況
METI支援事業
出典・事業
成果報告
米国DOE支援事業
NETL CO2 Capture Technology Meeting 2014,
GCCSI News
※石炭火力燃焼排ガス
再生温度高い(140~200℃)
韓国政府支援事業
GHGT-12
13
事業目的達成までのロードマップ
基盤技術研究
フェーズ
(学術研究)
~2014
実用化研究フェーズ
実証・商用化フェーズ
(補助事業)
(先進的二酸化炭素固体吸収材実用化研究開発事業)
(民間企業との事業化研究)
2015
2016
2017
2018
2019
2020~
大規模
CCS
石炭火力プラント
+制度的仕組みの導入
吸収塔
ラボ試験
(~5kg/day)
ベンチ試験
(5t/day)
課題 材料最適化
再生塔
石炭ボイラ
排ガスへ適用
乾燥塔
(3,000t/day)
燃焼排ガス実ガス試験
(数十t/day)
低コスト・大量合成、高耐久化
実用プロセス開発
スケールアップ実排ガス試験
システム開発、プロセス最適化、廃熱利用
経済性評価
装置耐久性
14
3.CO2分離膜について
15
CO2分離膜
< CO2分子ゲート膜 >
< 従来のCO2分離膜 >
CO2
H2
供給側
高圧
圧力
膜断面
CO2
H2
CO2
H2
H O
R N C O
H
N R
HH
HCO3
H
H O
R N C O
N R
HH
HCO3
HCO3
R NH2
H2N R
デ
ン
ド
リ
マ
ー
HCO3
低圧
透過側
H2に対するCO2選択透過性(α)
αCO2/H2 < 1 (分子ふるい性膜)
~10 (溶解選択性膜)
分子サイズ(nm)
H2 < CO2 < N2 < CH4
0.29
0.33
0.36 0.38
H O
R N C O
H
N R
HCO3 H H
CO2
CO2分子を選択的に透過するゲート機能
を有した革新的なCO2分離膜
 高いCO2選択透過性
 低エネルギー
→物理吸収法の1/3~1/4(試算)
 低コスト
→1,500円/t-CO2(目標)
16
CO2分離膜
CO2分離膜(単膜) 外観
5cm
分離機能層
膜断面図
CO2分離膜モジュール
スパイラル分離膜モジュール
(4インチ,20cm プロトタイプ)
17
CO2分離膜モジュールのIGCCへの適用
水性ガスシフト反応
CO + H2O ⇔ H2 + CO2
200 ~ 400 C 2~4 MPa
蒸気
CO2
CCS
回収・貯留
熱交換器
H2
石炭
発電
O2
ガス化炉
水性ガスシフト
反応炉
組成: CO2 /H2
=40/60
50 ~ 150 C
2 ~ 4 MPa
CO2選択透過膜
モジュール
18
CO2分離膜 研究成果概要
分子ゲート膜の分離性能*
単膜(1.2cm2)
300
単膜(1.2cm2)
目標達成領域
単膜
250
(58cm2)
分離係数
α CO2/He [-]
Q [m3(STP)/(m2 s Pa)]
透過速度
1.E-09
大気圧~2.4MPaにて、CO2透過試験を実施
1.E-10
2インチモジュール
目標達成領域
200
150
単膜(58cm2)
100
50
2インチモジュール
1.E-11
0
0
200
400
600
pCO₂ [kPa]
800
1000
0
200
2.4MPa
400
600
pCO₂ [kPa]
800
1000
2.4MPa
目標:CO2回収コスト1500円/t-CO2以下とする。
模擬ガス、ラボレベルで目標性能を達成。
19
CO2分離膜プラントイメージ
【設備能力】 CO2回収量 100万ton/y ← 25万kW発電相当
【回収条件】 CO2濃度 95 vol%,CO2回収率90%
【供給ガス条件】 IGCCガス条件を想定
※CO2 36.4vol%(Dry)、 H2 63.6vol%(Dry)
【必要モジュール数】
モジュール本数1,800本
(20インチ、長さ1.6 m)
13m
24m
*二酸化炭素回収技術高度化事業(二酸化炭素分離膜モジュール研究開発事業)成果
56m
設備イメージ全景図
20
他機関との性能比較
分離膜②
METI高度化事業_分離膜①
研究機関・企業
次世代型膜モジュール技術研究組合
MTR(米国)
膜材料
新規ポリアミドアミンデンドリマー/PVA系共重合体
PolarisTM(詳細非開示、PEG系材料と推定)
用途
CO2/H2分離(IGCC、高圧)
CO2/H2分離(IGCC、深冷分離組合せ)
研究・技術概要
・課題
CO2を選択透過する次世代型CO2分離膜の基盤・基
礎・応用技術開発。模擬ガス、ラボレベルの成果。
今後、実ガス試験などの実用化研究開発を行い、
事業性判断し、事業化に向けた取り組みが必要。
膜モジュールと深冷分離組み合わたCO2回収技術
の開発。
水素分離膜によるシステムへと目標設定が見直さ
れている。
成果・性能
①CO2透過速度
[m3(STP)m-2s-1Pa-1]
②CO2選択透過性
α(CO2/H2)
③回収エネルギー
操作条件:85℃、大気圧~2.4MPa
①1×10-9~1×10-10
操作条件:10℃、圧力不明(3MPa程度)
①7.5×10-9
②700~30
②11.8
③0.5 GJ/t-CO2以下 (Selexolと比べ1/3以下)
③電気代比較 (Selexolと比べ)
CO2分離膜+深冷分離:
2/3
CO2分離膜+深冷分離+H2分離膜: 1/2
④回収コスト
④1,500円/t-CO2 (ラボレベルでの目途)
④$23/t-CO2以上(消費電気代から試算)
開発スケール
ラボ → ベンチ (H27以降、計画中)
ベンチ
技術評価
IGCC適用を模擬した高圧条件で、CO2/H2分離性能
は、世界最高水準である
αが低く、CO2分離膜+液化システム、H2分離膜との
ハイブリッドを提案。
支援の状況
METI支援事業
米国DOE支援事業
出典・事業
成果報告
Journal of Membrane Science389(2012)441-450 /
Science, 311, 639-642 (2006)
21
CO2分離膜実用化に向けたロードマップ
基盤技術研究
2011
H23FY
実用化研究フェーズ
15
20
H26 H27 H28
1)CO2分離膜
モジュール研究
開発事業
H31
H32
実証フェーズ
25
H37
商用化フェーズ
30
H42
35
H47
2)CO2分離膜
モジュール実用化
研究開発事業
研究・開発体制
次世代型膜モジュール
技術研究組合
[ ㈱クラレ、日東電工㈱、
新日鉄住金エンジニアリング㈱、RITE ]
+ IGCC関係企業との連携
(電力会社、エンジニアリング会社等)
2)CO2分離膜モジュール実用化研究開発事業(H27FY~ )
(計画・課題)
• 実ガス等の実用化試験で、技術課題を抽出し解決する。
• 実用化段階の分離・回収コスト1,500円/t- CO2 以下を達成する
• 分離膜技術、実機膜モジュール、膜システムを作り上げる。
実証フェーズ・商用化フェーズにおける課題
• IGCC実ガス、実機での長期試験、大規模な実証試験による実績の蓄積。
• 膜、モジュールの商業生産プロセスの検討、膜大面積化、量産体制の構築。
• CO2分離膜プロセス採用に向けた活動。
22
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