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(2015年3月4日)(PDF/424KB)
みずほインサイト アジア 2015 年 3 月 4 日 原油価格下落の中国経済への影響 アジア調査部中国室エコノミスト 原油安の恩恵を弱める 2 つの要因 03-3591-1367 玉井芳野 [email protected] ○ 原油価格下落は原油純輸入国である中国経済にとってプラスの影響をもたらすと考えられるが、同 時にその恩恵を弱める要因が存在する ○ その要因とは、①エネルギー集約度の高い産業における過剰生産能力、②自動車販売や住宅関連消 費の伸び悩み、の2つ。一方、中国の産油国・資源国向け輸出にも一定の下押し圧力が発生する ○ 原油価格下落を受けたインフレ率の低下に応じて、今後も金融緩和が実施される見通し。ただし、 強い景気浮揚効果は期待できない 1.はじめに 2014年後半以降、原油価格が大幅に下落している(図表1)。その背景には、米国のQE3(量的金融 緩和第3弾)終了を見込んで原油投機のモメンタムが弱含んだことや、2014年11月のOPEC(石油輸出国 機構)総会で原油の減産が見送られたことなどがあると指摘されている。今回の原油価格下落は、2008 年の世界金融危機時、1985年末~1986年の逆オイルショック1時に次いで、過去3番目の下げ幅を記録 した。今後も原油の供給過剰が続くとみられるため、原油価格は2016年末でも60ドル台後半と低水準 で推移すると予想され2、それが実体経済・金融市場に与える影響に注目が集まっている。 本稿では、原油価格下落が中国経済にもたらす影響について考察する。中国は原油純輸入国である ため(図表2)、原油価格が下落した場合は、総じていえば経済にプラスの影響がもたらされるはずだ。 具体的には、「投入コストの低下→企業収益の改善→投資の増加」や、「物価低下→実質可処分所得 図表 1 原油価格(ブレント) 図表 2 (1,000億ドル) 140 (ドル/バレル) 3 中国の原油輸出入額 (%) 輸入に占める原油シェア (右目盛) 15 120 2 10 100 1 5 原油輸出(左目盛) 80 0 60 0 原油輸入(左目盛) ▲1 40 ▲5 ▲2 20 0 2005 06 07 08 09 10 11 12 13 14 ▲ 10 原油の貿易収支(左目盛) ▲3 15 (年) 1994 (資料)Energy Information Administraion 96 98 00 02 04 (資料)中国海関総署 1 06 08 10 12 ▲ 15 14 (年) の改善→個人消費の増加」といったルートで景気が押し上げられると考えられる。 実際に、IMF の Arezki and Blanchard(2014)は、原油価格下落のシミュレーションを行った結果、 日本、米国、ユーロ圏、中国のうち最も大きな恩恵を受けるのは中国で、原油価格下落による 2015 年の GDP の押し上げ幅を 0.4~0.7%Pt としている3。また、World Bank(2015)も 10%の原油価格下 落によって中国の GDP が 0.1~0.2%Pt 押し上げられるとしている。中国国家統計局も、この世界銀行 の推計を引用し、「原油価格の下落は中国経済にとって有利に働く」との見方を示している4。 しかし、現在の中国経済には、原油価格の下落によるプラスの影響を弱める複数の要因が存在する ことを見落としてはならない。本稿では、それらの要因を指摘し、結論として原油価格の下落が中国 経済に与えるプラスの影響は限定的との見方を提示する。 2.原油安の恩恵を弱める 2 つの要因 (1)過剰生産能力を抱える中、投資の加速は期待薄 まず、「輸入原油価格下落→投入コストの低下→企業収益の改善→投資の増加」というルートで実 体経済にプラスの影響が生じうるかどうかを検討する。 中国の輸入原油価格と中国国内の投入価格(ここでは生産者購入価格指数を使用)の関係をみると、 足元の原油輸入価格の下落が投入価格を下押ししていることが分かる(図表3)。 このような原油価格の下落を受けた投入価格下落による恩恵を受けやすいのは、一単位あたりの生 産に対するエネルギー投入量の多い産業、すなわちエネルギー集約度の高い産業である。産業連関表 により、中国の製造業の業種別エネルギー集約度を算出すると、非金属鉱物製品(セメント、ガラス など)や金属冶金・圧延加工(鉄鋼、非鉄金属)、化学工業などの素材業種や、一般機械・産業機械、 電機・電器といった機械業種で比較的高いことが示された(図表4)。 図表 3 図表 4 原油輸入価格と国内投入価格 (前年比、%) (業種別) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 (前年比、%) 100 生産者購入価格(左目盛) 20 輸入原油価格(人民元建て、右目盛) 15 80 60 10 40 5 20 0 0 ▲ 20 ▲5 ▲ 40 ▲ 10 ▲ 60 ▲ 15 ▲ 80 2005 06 07 08 09 10 11 12 13 14 中国製造業のエネルギー集約度 (年) (資料)中国国家統計局、中国海関総署 非金属鉱物製品 金属冶金・圧延加工 化学工業 金属製品 一般機械・産業機械 電機・電器 製紙・文化・体育用品 木造加工・家具 輸送機械 精密機器・計器 工芸品 コンピュータ・通信・その他電子機器 紡織業 アパレル・皮革 食品・たばこ 0.80 0.77 0.75 0.67 0.55 0.52 0.46 0.46 0.46 0.45 0.43 0.40 0.36 0.33 0.25 (注)エネルギー集約度=A÷(中間投入÷総投入) A:各業種への最終需要が 1 単位増加することによっ て誘発されるエネルギー関連産業(石炭採掘業、石 油・天然ガス採掘業、石油・石炭加工業、電力生産・ 供給業、ガス生産・供給業)の生産量の合計(レオン チェフ逆行列を用いて算出)。 (資料) 中国国家統計局「2010 年中国投入産出表」 2 しかし、これらの産業では概して過剰生産能力問題が深刻となっているため、企業収益改善を受け ても新たな投資が増加することは期待しにくいのが現状だ。中国の企業経営者を対象とした生産能力 過剰問題に関するアンケート調査によると、2013年度調査に比べて2014年度調査の方が、生産能力過 剰問題が「非常に深刻」と答える割合が高く、その中でも、非鉄金属、鉄鋼、非金属鉱物製品といっ たエネルギー集約度の高い産業において深刻度が高くなっている(図表5)。このことから、原油価格 下落によって企業収益にプラスの影響があったとしても、新規投資が生まれにくいことが示唆される。 (2)個人消費は、自動車販売や住宅関連消費の伸び悩みが重石に 次に「物価低下→実質可処分所得の改善→個人消費の増加」というルートを通じたプラスの効果に 対する制約について検討する。 現在中国では、国際的な原油価格の変動に応じて、10営業日ごとに国内の石油製品価格を調整して いる5。したがって、輸入原油価格の下落は、ガソリン等の燃料価格の低下につながり、消費者物価指 数(CPI)が「交通・通信」項目(自動車用燃料が含まれる)を中心に押し下げられることとなる(図 表6)。 このような物価低下に伴う家計負担の減少に加え、(1)で述べた企業収益の改善を受け、雇用者報 酬が増加する可能性も高い。特に、求人倍率が1.15(2014年10~12月期)と歴史的な高水準にあり、 労働需給がひっ迫している現状においては、より高い賃金を提示することで雇用を確保しようとする インセンティブが企業に働きやすい。したがって、原油価格の下落は実質可処分所得の改善につなが るだろう。 ただし、実質所得の改善が消費の増加にどの程度つながるかについては、必ずしも楽観はできない。 図表 5 生産能力過剰問題の深刻度 全産業 2013年 鉱 業 製造業 製紙・紙製品 非鉄金属冶金・圧延加工 鉄鋼冶金・圧延加工 非金属鉱物製品 紡織 食品・酒・飲料 電機・電器 アパレル・服飾 一般機械 産業機械 化学原料・同製品 非常に 深刻 15.5 12.8 42.3 16.7 31.3 25.0 24.2 21.4 20.4 20.0 19.8 19.3 19.2 18.1 17.6 やや 深刻 58.5 58.3 42.3 61.5 53.1 50.0 66.7 65.0 72.5 55.0 55.2 56.1 63.4 61.2 64.8 図表 6 (単位:%) 問題 なし 26.0 28.9 15.4 21.8 15.6 25.0 9.1 13.6 7.1 25.0 25.0 24.6 17.4 20.7 17.6 3.5 CPI(費目別寄与度) (前年比、%) 3.0 その他 食品 交通・通信 CPI 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0.0 油価下落による 燃料価格低下が下押し ▲ 0.5 13/01 13/07 14/01 14/07 15/01 (年/月) (注)中国の企業経営者を対象としたアンケート調査(有効 (注)1.その他=酒・たばこ、衣服、住宅関連、家庭用品、 医療・保健、教育・娯楽。 回答数 2,446)。調査期間は 2014 年 8~9 月。製造業平 2. 「交通・通信」には自動車用燃料が含まれる。 均よりも「非常に深刻」の回答率が高い業種のみ表示。 3. CPI のウエイトは未公表。王(2012)により、食品 丸を付けた業種は図表 4 でエネルギー集約度が 0.5 以 31.79%、交通・通信 9.95%、として算出。 上の業種。 (資料)中国国家統計局、王(2012) (資料)中国企业家调查系统(2014) 3 消費の先行きを楽観できない一つ目の理由として、小売総額の約 3 割を占める乗用車販売の減速が 挙げられる。ガソリン価格の下落という好材料はあるものの、所得水準の高い北京、上海など大都市 を含む 8 都市で、環境汚染や交通渋滞の緩和を目的とした乗用車購入制限が導入されている上、他の 都市での導入も検討されている6。中国自動車工業協会は、2015 年の乗用車販売台数の伸びを前年比 +8%程度と、2014 年実績の同+9.9%より小幅に鈍化するとの予測を発表しているが(図表 7)7、上 述の乗用車購入制限の広がり度合いによっては、乗用車販売の伸びが+8%を下回る可能性もある。 第二に、住宅販売の力強い回復が見込みにくく、小売販売の約 1 割を占める家具・家電・建材とい った住宅関連消費が伸び悩む可能性が高い。住宅販売面積の伸びは足元で底打ちの兆しをみせている が(図表 8)、生産年齢人口(15~59 歳)の減少が 2012 年以降続いていること、地方都市の在庫水準 が高いことなどから、住宅販売の回復ペースは緩やかなものにとどまるだろう。さらに、住宅投資の 底打ちは 2015 年後半以降となり、その回復も販売同様遅々としたものになるとみられる8。不動産業 や建設業の就業者が都市部就業者総数の 2 割を占めていることから、住宅市場の調整が上記セクター の雇用・所得環境の悪化をもたらし、消費を下押しする可能性もある。 むろん、住宅関連消費と自動車販売以外に消費が向かう可能性はあるが、合計で小売総額の約 4 割 を占めるこれらの費目の弱含みを補うことは容易ではなく、実質所得の改善ほどには消費が押し上げ られないと考えられる。 (3)産油国・資源国向け輸出にも一定の下押し圧力が発生 ここまで、原油価格下落が中国の国内需要をどれだけ押し上げる効果を持ちうるかを分析してきた。 他方、輸出に関しては、Arezki and Blanchard (2014)が示すように原油価格下落は世界経済全体でみ て成長促進的であることから、中国の輸出にとっても基本的には追い風となるだろう。ただし、中国 の場合、産油国や価格下落の影響を受けているその他の資源の産出国に対する輸出依存度が、米国や EUほどではないものの、韓国や日本、ASEAN諸国などと比べて高いことには留意が必要だ(次頁図表9)。 図表 7 2500 乗用車販売台数 図表 8 (%) (万台) 52.9 (前年比、%) (前年比、%) 60 乗用車販売台数 住宅販売面積・販売価格・開発投資 住宅開発投資(右目盛) 50 前年比伸び率 50 2000 40 25 40 20 30 15 20 10 10 5 33.2 1500 30.0 30 21.7 1000 20 15.7 21.7 500 9.9 5.2 7.1 10 ▲ 10 7.3 0 2005 06 07 08 09 10 11 12 13 14 0 0 7.9 0 15 (年) ▲ 20 12/01 住宅販売価格(右目盛) 住宅販売面積(左目盛) 13/01 14/01 ▲5 ▲ 10 15/01 (年/月) (注)新築商品住宅の指標。販売価格は 70 都市平均値、販売 面積は全国の値(後方 3 カ月移動平均) 。 (資料)中国国家統計局 (注)2015 年は中国自動車工業協会による予測値。 (資料)中国自動車工業協会 4 中国の産油国・資源国(ここでは、CIS、南米、アフリカ、中東)向け輸出が中国の輸出総額に占め る割合は18%と2割近い(2013年時点)。その中でも、ロシア、ブラジル、UAE、メキシコ向けの輸出が が比較的高い割合を示している。これら主要4カ国向けの輸出品目をみると、ロシアやUAE向けはパソ コンや携帯電話、ブラジルやメキシコ向けは電子機器部品の輸出が多いことが分かる(図表10)。 したがって、原油価格下落が産油国・資源国経済を悪化させると、最終消費財の輸出が多いロシア やUAE向けを中心に、中国の当該地域向け輸出にも一定の下押し圧力がかかる可能性がある。 3.原油価格下落による金融緩和余地拡大~ただし強い景気浮揚効果は期待できず~ 原油価格下落を受けて、中国人民銀行は利下げなどの金融緩和をさらに進めていくと予想される。 中国の内需が投資を中心に力強さを欠く状態にある中、原油価格下落がインフレ期待を弱め、実質金 利が上昇する事態となれば、成長に対する下押し圧力をさらに高めてしまうことになるからだ。 実際、中国人民銀行は2014年11月に利下げを実施した際に、インフレ率の低下が続くとの見通しを 前提に「実質金利が合理的な水準に戻るよう促し、企業の資金調達コスト高問題を解消すること」が 必要だったとの認識を示している9。さらに、2015年2月に公表された「2014年第4四半期中国貨幣政策 執行報告」では、中国人民銀行は「原油価格の変動がインフレ期待に大きな変化をもたらし、コアイ ンフレ率にまで影響を与える場合は、マクロ経済政策を適切に調整すべきである」とも述べている10。 その後、2月28日には「国際商品市況の大幅な下落を受けて物価が低下しており、実質金利が押し上げ られている」として、3月1日から貸出・預金基準金利を0.25%Ptずつ引き下げると発表した11。 ただし、米国の利上げが2015年半ば以降にも始まると予想される中、中国が大幅に金利を引き下げ れば、米中金利差の縮小期待が強まり、資金流出が拡大する恐れがあるため、今後の利下げは小幅な ものにとどまるだろう。過剰生産能力を抱える中では、小幅な利下げによって投資が強く押し上げら れる可能性は低い。したがって、金融緩和の効果は、景気の下振れ防止にとどまるとみるべきだろう。 図表 9 各国・地域の輸出総額に占める 図表 10 産油国・資源国向け輸出割合(2013 年) 中国の主要資源国向け輸出の 品目構成(2013 年) (%) 40 輸出品目 35 ロシ ア ① 一般機器・部品(HS 84) (主に、ノートパソコン等) ② 電気機器・部分品(HS 85) (主に、携帯・無線電話等) ③ 衣類・衣類附属品(HS 62) (主に、女性用製品等) 30 25 20 15 10 5 0 米 国 E U 台 中 韓 湾 国 国 タ イ ー 日 ベ シ イ 本 ト ン ン ナ ガ ド ム ポ ネ シ ル ア マ 香 レ 港 ー イ ン ド シ ア フ ィ リ ピ ン (注)IMF の分類を参考に、CIS(独立国家共同体)、南 米、アフリカ、中東向けを合計。 (資料)UN Comtrade、台灣經濟研究院「各國商品進出 口統計資料庫」 UAE ① 一般機器・部品(HS 84) (主に、ノートパソコン等) ② 電気機器・部分品(HS 85) (主に、携帯・無線電話等) ③ 衣類・衣類附属品(HS 61) (主に、ジャケット及びブレザー等) シェア 16% 14% 7% 17% 16% 9% 輸出品目 ブラジル ① 電気機器・部分品(HS 85) (主に、電話機などの部品等) ② 一般機器・部品(HS 84) (主に、パソコンなどの部分品・付属品等) ③ 光学機器・部分品(HS 90) (主に、液晶デバイス・レーザー等) メキシコ ① 電気機器・部分品(HS 85) (主に、電話機などの部品等) ② 一般機器・部品(HS 84) (主に、ノートパソコン等) ③ 光学機器・部分品(HS 90) (主に、液晶デバイス・レーザー等) (注)「シェア」は中国の各国向け輸出総額に占める各品目 のシェア。 (資料)台灣經濟研究院「各國商品進出口統計資料庫」 5 シェア 23% 18% 6% 27% 20% 11% <参考文献> 伊藤信悟・玉井芳野(2014) 「利下げに踏み切った中国~『選択的金融緩和』からの離脱とその背景~」 (みずほ総合研究所『みずほインサイト』2014 年 12 月 2 日) 井上淳(2014)「原油相場の新たな展開~地政学・金融相場から需給相場への転換~」(みずほ総合研 究所『みずほインサイト』2014 年 12 月 9 日) 三浦祐介(2014)「中国不動産の底入れはいつか~住宅市場の循環に基づく考察と今後の展望~」(み ずほ総合研究所『みずほインサイト』2014 年 11 月 24 日) みずほ総合研究所(2015)「2014・15・16 年度 内外経済見通し~世界経済の回復は勢いを欠くも、 日米の成長ペース拡大~」2015 年 2 月 17 日 Arezki, Rabah and Olivier Blanchard (2014),“Seven Questions About The Recent Oil Price Slump,”IMF direct, December 22 IMF(2015), World Economic Outlook Update, January IMF(2014), World Economic Outlook, October World Bank (2015), Global Economic Prospects, January 王峰(2012) 「当前我国经济运行中的通胀压力分析」(『人民论坛网』2012 年 1 月 30 日) 中国企业家调查系统(2014)「企业经营者对宏观形势及企业经营状况的判断,问题和建议――2014 年 中国企业经营者问卷跟踪调查报告」 (『管理世界』2014 年第 12 期) 1 サウジアラビアによる原油の減産放棄をきっかけに、1985 年末から 1986 年にかけて大幅に原油価格が下落した。 原油価格の詳細な見通しについては、みずほ総合研究所(2015)を参照。 3 シミュレーションは 2 種類あり、①供給要因の変化が先物市場での原油価格変動の 60%の原因となる場合、②スタート時点に おいては①と同じく供給変化が価格低下の原因の 60%だが、その後徐々に供給要因による原油価格低下への寄与率がゼロに近 づく場合。IMF(2015)は当シミュレーションの前提となる原油価格について、IMF(2014)で示された見通しからのかい離幅のう ち供給要因で説明できる部分が 2015 年時点で▲22%Pt だと述べている。 このことから、供給要因以外の要因も含めた IMF(2014) の見通しからのかい離幅は、2015 年で▲37%(=22%÷0.6)程度と推測でき、価格水準では 2015 年時点で 1 バレル=63 ドル程 度(2014 年 10 月見通し:99.36 ドル)への下落が想定されていると考えられる。 4 国家统计局国际统计信息中心「2014 年世界经济形势回顾与 2015 年展望」2015 年 2 月 27 日。 5 国家发展和改革委员会「国家发展改革委关于进一步完善成品油价格形成机制的通知」2013 年 3 月 26 日。 6 自動車購入制限が実施されているのは、北京市、上海市、杭州市、天津市、広州市、貴陽市、石家庄市、深圳市。自動車購入 制限の導入が検討されているのは、成都市、重慶市、青島市、武漢市など(「深圳强悍推行汽车限购引不满 下个限购城市会是 谁」(『新华网』2015 年 1 月 4 日))。 7 中国汽车工业协会「中国汽车工业协会 2015 年 1 月信息发布会在京举行」2015 年 1 月 12 日。 8 詳細は、三浦(2014)を参照。 9 中国人民银行「央行有关负责人就下调人民币贷款及存款基准利率并进一步推进利率市场化改革答记者问」2014 年 11 月 21 日。 2014 年 11 月の利下げに関しては、伊藤・玉井(2014)を参照。 10 中国人民銀行货币政策分析小组「中国货币政策执行报告 2014 年第 4 季度」2015 年 2 月 10 日。 11 中国人民銀行「央行有关负责人就下调人民币贷款及存款基准利率并扩大存款利率浮动改革答记者问」2015 年 2 月 28 日。 2 ●当レポートは情報提供のみを目的として作成されたものであり、商品の勧誘を目的としたものではありません。本資料は、当社が信頼できると判断した各種データに 基づき作成されておりますが、その正確性、確実性を保証するものではありません。また、本資料に記載された内容は予告なしに変更されることもあります。 6