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成形加工②
▼ 成形加工② A−5 熱可塑性炭素繊維シートのプレス成形 Press Forming of Carbon Fiber Reinforced Thermoplastic Sheet 増 米 伊 西 〔Komatsu Industries Corp. 〕コマツ産機㈱ 長 岡 〔Kanazawa University〕金沢大学 健 太* 猛** 拓 実*** 嘉 隆**** 重 憲***** 雅 之****** 澤 山 藤 原 島 本 1.はじめに プレシートは平織の炭素繊維 4 層からなり、板厚は 炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は軽量で強度 1. 05 mm から 1. 11 mm である。 が高いことから、航空機部材やスポーツ用品などに幅 炭素繊維方向に沿った縦横長さ 120 mm の正方形 広く使用され、最近では環境負荷の低減のため自動車 プレシートから、対角長さを 110 mm に切断した八 への応用が注目されている。自動車向けではハイサイ 角形のシートをプレス成形の供試材とした(図 1) 。 クル成形が求められるため、従来の熱硬化性樹脂を用 いた CFRP よりも短時間で成形が可能な熱可塑性樹 脂を用いた CFRP の開発が進んでいる。 (2) 成形装置 プレスに用いた金型を図 2 に示す。球面と円錐面 およびフランジ面からなるカップ形状の成形品(図 3) 自動車用板金部品の多くがプレスを用いて生産され となるように金型を作製した。上型は半径 64 mm の ていることを踏まえ、本研究では炭素繊維強化熱可塑 球面と 60°の円錐面およびフランジ面からなり、下 性プラスチック(CFRTP)のプレス成形方法の開発 型は半径 63 mm の球面と円錐面およびフランジ面か を進めている1)、2)。本稿では、CFRTP の織物シート らなる。上下のフランジ面での間隔を 1 mm とした をプレス成形し、成形品形状の評価を行い、考察を行 ときに、上型と下型のクリアランスが 1 mm となる う。 ようにした。フランジ面から球面の頂点までの高さは 2.実 験 25 mm である。下型フランジ面の外径は 90 mm と (1) プレシート し、上型と下型で直接挟み込む外径 90 mm のフラン 本研究では、平織の炭素繊維(連続繊維)に熱可塑 ジ部までを成形部分と考える。上型が板抑えと当たる 性樹脂を含浸させたシートを作製し、これをプレスに 面は深さ 1 mm にくぼませ、厚さ 1 mm のシリコー よって成形した。この基材をプレシートと呼ぶ。 ンゴムシートが収まるようにした。金型にはヒータは プレシートは一村産業㈱により製作された。炭素繊 組み込まず室温で成形する。プレス装置には 450 kN 維には T 300−3 K(東レ)を使用し、樹脂には PA 6 のサーボプレスと空気圧制御のダイクッションを使用 を使用した。炭素繊維の体積割合 Vf は 50% である。 した。 中心にφ92 mmの穴をあけた厚さ 1 mm のドーナツ * Kenta Masuzawa、***Takumi Itou:大学院自然科学研究科人間・機械 科学専攻 ** Takeshi Yoneyama:理工研究域機械工学系 〒920−1167 石川県金沢市角間町 **** Yoshitaka Nishihara:開発本部開発部 部長 ***** Shigenori Nagashima:同副部長 ****** Masayuki Okamoto:同周辺機開発グループ 〒920−0225 石川県金沢市大野町新町 1−1 状のシリコーンゴムシートを上型フランジ面と板抑え 面の間に入れた。シリコーンゴムを介して板抑えした 状態で、上型と板抑えを下降させて成形を行う。シリ コーンゴムを介して板抑えを行うのは、金型内に試料 が絞り込まれる前に試料が冷えないようにするためで プレシート 上型 ° 60 R63 11 下型 R64 ゴムシート 25 0 120 φ78.85 φ90 板抑え (単位:mm) 図 1 プレシート 018 図 2 成形金型