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欧州環境情報

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欧州環境情報
情報報告
ウィーン
●欧州環境情報
ドイツ企業、GE 社との協力でタイで初となる風力発電施設建設
ドイツの Pro Ventum International 社が、アメリカ GE Energy 社を提携先として,
タイ北東部に 90MW の風力発電施設(Thepsathit 風力発電施設)を建設する計画を発表した。
本計画に対して Pro Ventum International 社は、GE 社からの風力発電タービンの供給に関
する合意に調印した。また総工費として、58 億タイバーツ(1 億 7,850 万米ドル)の投資が
必要とされている。
同施設は 2011 年の第二四半期に建設開始予定で、GE 製 2.5MW タービン 36 基を有する発電
容量 90MW を有し、タイおよび ASEAN 地域において最大規模の施設となる。また同施設は、
Chaiyaphum 州に位置し、首都バンコクから 250km 離れている。電力は国営のタイ電力発電協
会に販売される予定である。
GE 社と Pro Ventum 社は、ドイツの風力発電開発部門で 19 年間携わってきたが、このジョ
イントヴェンチャー企業は 50%の株式を保有し、残りはタイ銀行とアジア開発銀行からの融
資を求めている最中である。
タイはアジアにおける代替エネルギー促進の急先鋒となってきた。
タイ政府は 2020 年まで
に発電の 20%を再生可能エネルギー源とする計画であり、そのために市場価格よりも高い価
格での電力購入を提案し、風力および太陽光エネルギーへの私的投資を促進してきた。
モスクワの大気汚染、過去 8 年間で最悪
モスクワの大気質レベルが 8 月 4 日に最近 8 年間で最悪となったことを、モスクワの大気汚
染監視の国家機関が述べている。原因はモスクワ市内が森林および泥炭燃焼からの厚い煙に覆
われたことによるものである。ロシアの欧州側では 6 月中旬から熱波に巻き込まれ、観測史上
最高気温も記録し、少なくとも 48 人が犠牲となった森林火災を引き起こす原因となった。
また大気汚染は、早朝の数時間に最大安全レベルの 4~10 倍に跳ね上がってたが、これは
過去最大であったことを、モスクワの大気汚染監視の国家機関の専門家は述べている。モス
クワ市内では、一酸化炭素濃度が夜間の安全レベルの約 5.7 倍にまで、浮遊粒子状物質濃度
が約 3 倍に、それぞれ跳ね上がっている。
モスクワは、周辺地域での泥炭燃焼による大気汚染レベルが跳ね上がった 2002 年以来で、
最悪の煙に覆われてしまったことになる。
ドイツ、発電用石炭への課税検討
ドイツは、大口エネルギー消費者に対する税制優遇策が維持されることで失われる歳入を
補填するために、発電用石炭への新課税を検討中である。
この新税はエネルギー企業によって支払われることになるが、来年には 4 億 1,000 万ユー
ロ、また 2012 年には 7 億 1,000 万ユーロのそれぞれ歳入増となる見込みであることが、
Handelsblatt 紙が 8 月 11 日に報道した。新税は最初は 2 年間限定になると、草稿案には示
されているが、金融大臣は本件に関するコメントは差し控えている。
7 月にドイツ政府は、大口エネルギー消費者に対する税制優遇の見直しによって、来年は 10
億ユーロ、2012 年には 15 億ユーロの歳入増を見込んでいることが、草稿案にも示されている
が、本件に対しては産業界だけでなく、政府与党内からも激しい批判の声が上がっている。
さらにドイツ政府は、原子力発電施設操業者に対する新税制を提案しているが、それに対
しても E.ON 社は、ドイツ原子力発電の優位性に打撃を与え、信用格付けを押し下げ、投資を
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削減させる原因になるとして、反対の意を示している。
イギリス、新エネルギー政策にクリーン石炭を必要
イギリスの新しい石炭火力発電所が、新しい排出性能基準(EPS)に適合する炭素除去技術
の適用を必要としていることが、
エネルギー気候変動事務局長の Huhne 氏が 8 月 16 日に述べ
ている。
イギリス政府は、排出性能基準を秋に意見を求める予定であり、その目的は発電所からの
炭素排出制限であり、電力会社が石炭または天然ガス火力発電所を建設するかどうかに影響
を与えることが期待されている。新規石炭発電所は炭素回収貯蔵(CCS)設備なしで建設する
ことができなくなるだろうと、前述 Huhne 氏は声明を発表している。
6 月 27 日に発行された年次エネルギー報告書では、政府は排出性能基準が 2011 年春に出
版される白書とともに、秋に電力市場改造に関する提言の一部となると述べている。また 8
月 16 日にコンサルタント企業から出版された報告書でも、政府の年次エネルギー報告書が
2020 年までに炭素排出を 34%削減目標を、2023 年にクリーンエネルギー政策を計画するの
に十分な時間があることを確約するよう推し進めるべきであるという提案が、達成可能かど
うか疑問視している。
6 月の年次エネルギー報告書では、Huhne 氏は安価なエネルギーの時代は終わったと述べ、
さらに消費者は電力会社が高価な再生可能エネルギー発電所や新しい化石燃料発電所を建設
することでより高い電力料金を支払わなければならないと付け加えている。
ドイツからの違法な廃棄物輸送、ブラジルで検挙される
ブラジルのリオグランデ港で、ドイツからの廃棄物の違法輸送が検挙されたと、ブラジル
が公式に声明を発表した。
輸送物にはハンブルク港で荷詰めされた 22 トンの家庭ごみが梱包
されており、ブラジルでリサイクルおよび販売されるプラスチックであると偽装されていた
ことが、8 月 17 日にブラジルの環境および再生可能エネルギー源協会(Ibama)が発表した。
本違法輸送に関しては、ブラジルへの輸出を香港企業の Dashan 社が手配し、また韓国の
Hanjin 輸送がリオグランデ・ド・スル州に 8 月第 2 週に荷物を輸送していた。不正な伝票に
は、荷物がチェコで発生し、ブラジル企業の Recoplast 社宛であると、記載されていた。
Ibama 代表の Bayma 氏は、廃棄物輸送は、国家間の有害廃棄物の輸送、特に先進国から発
展途上国への輸送を削減する意図の 1988 年のバーゼル条約に違反しており、
また国際条約の
違反は調印国を不快にさせ、特にブラジルとブラジル国民を軽蔑するものである、と非難し
ている。
Vestas 社、突然の損失と収益減少の見通しを示す
世界最大の風力発電用タービン製造企業 Vestas 社が、突然の第二四半期の損失と 2010 年
の予測外の収益の下方修正を発表した。
原因は信用危機に直面した特にアメリカ、
スペイン、
ドイツの顧客との注文の契約調印が遅れており、今年の収入として見込めないことである。
ただし同社幹部の Engel 氏は、遅延は上記 3 ヶ国での承認や規制上の問題による部分もある
と述べており、受注獲得自体には問題ないと付け加えている。
Vestas 社は、今年初めに 7,800 万ユーロの操業利益を予測していたが、1 億 4,800 万ユー
ロの損失に陥り、ロイター予測の 810 万ユーロの黒字を大きく下回った。売上も 17%ダウン
の 10 億 1,000 万ユーロとなった。
信用危機は、2009 年の世界中のエネルギーインフラプロジェクトを直撃し、融資は枯渇し、
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風力発電タービン産業も打撃を受けた。また収益報告書では、予測していた以上にこの四半
期でメガワット当たりの単価が大きく落ち込んだことも示している。
分析家の予測によると、昨年市場シェア 12%を持つ Vestas 社が、今年は競合相手である
GE 社、Siemens 社、中国の Goldwind 社に追い付かれるが、2011 年には再びトップの座を奪
い返すとしている。GE 社はすでに、昨年に Vestas 社からトップの座を奪おうとするところ
まで来ており、中国企業も急速に Vestas 社を追い上げているところである。
ドイツ、原子力税の決定先送り
ドイツ連邦政府は異論の多い原子力発電への課税の決定を 9 月末まで延期する見込みであ
ることを、ドイツ環境大臣レットゲン氏は 8 月 18 日に述べている。9 月末には、ドイツ政府
は今後数十年にわたるエネルギー政策を合わせて発表する予定で、原子力発電への課税の決
定についても、同時期に合わせられるものと見られている。
メルケル首相率いる与党は 8 月初めに決定を発表する計画であったが、
税制決定の延期は、
電力会社の E.ON 社、RWE 社、EnBW 社、Vattenfall 社との膠着状態を埋め合わせるために、
ドイツ議会に対してより多くの時間が与えられたものであるが、電力会社側は新税に対して
激しい怒りを示している。
ロシア貯蓄銀行(Sberbank)、炭素最低価格を 10 ユーロに設定
ロシアは京都議定書に基づく国内で発生した炭素オフセットを1トン当たり10ユーロの最
低価格を設定することが、ロシア貯蓄銀行(Sberbank)からの書簡で明らかになった。その
書簡は 3,000 万トン分の炭素オフセットを持つクリーンエネルギープロジェクトの提案に関
するものであるが、その中で、承認されたプロジェクトからのいかなるクレジット販売も、
もしこの最低価格以上である場合にのみ許可されるものであることが明記されている。
京都議定書の共同実施(JI)の下で、企業は京都議定書に調印した国で炭素削減プロジェ
クトに投資することが可能となり、見返りとして排出削減ユニット(ERUs)を受け取ること
ができ、排出削減目標に利用したり、収入を得るために売却することも可能である。先月末
に、政府支援によるロシアの JI プログラムを管理するロシア貯蓄銀行(Sberbank)は、今年
の早い時期に 15 のプロジェクトに入札の開始に許可を与えている。
IDEAcarbon 社(炭素市場のコンサルタント企業)の市場分析者は、
「オフセットの最低価
格設定は、変動し易い市場価格からプロジェクト開発者を保護する効果的な方法である。し
かし ERU 価格決定は不安定さが比較的残っており、関連するリスクは開発者が望む形よりも
大きいだろう。
」と述べている。ERUs は主に店頭市場で取引されるが、8 月第 3 週は CO2 1 ト
ン当たり約 13 ユーロの値を付けている。
ロシアと並んで京都議定書に基づく炭素オフセットの大規模供給国である中国は、国内で
発生した CO2 1 トン当たりの最低価格を 8 ユーロと設定している。
ロシアは ERUs の最大の販売国となり得るが、
これまでに少なくとも 2 度の承認プロジェク
トの規則を変更しており、プロジェクト開発者のストレスが溜まっている。投資家らは、ロ
シアが JI 制度の進展を待ち続けていた。
これまでは 100 以上のロシアのプロジェクトが官僚
的手続が原因で中断させられていたが、今回の設定により、炭素ファイナンス約 27 億ユーロ
分のプロジェクトが解禁されることになる。
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「野蛮な資本主義」がブルガリアの自然を破壊する
ブルガリアにおける旅行者用リゾート地、ゴルフ場、スキー場の建設が原因で、広範囲の
天然生物生息地が破壊されていることに対して行動を起こすよう、
環境運動家らは EU に対し
て呼び掛けを行っている。そこでは砂や砂利が採取され、木材生産も集中している場所であ
る。行動を起こさなければ、同様の状況がルーマニアや他の将来の EU 加盟国候補で繰り返さ
れると、環境運動家らは警告している。
ブルガリア鳥類保護協会(BSPB)は、ブルガリアにおける Natura 2000 の「破壊」の 16
のケースを報告した嘆願書を送付した。
例を挙げると、黒海の Kaliakra 岬(欧州から中東への渡り鳥が立ち寄る場所)であるが、
行政側が風力発電施設開発と旅行者増加のために Natura 2000 で保護される地域の面積を減
少させてきた。
Rila 公園はバルカン半島における唯一のアルプス山脈であるが、Natura 2000 の承認を受
けていない地域で 8 ヶ所の大規模スキー場の建設が進められており、保護地域の破壊が進ん
でいるところであると、BSPB は警告している。
Pirin 国立公園は他の山岳地域であるが、その中にある Bansko スキーリゾートが、承認を
前提として拡張され続けてきたと、環境運動家らは警告している。最近では前例のない洪水
が Bansko 地域で発生しており、大規模な森林破壊の原因にもなっている。
ブルガリア沿岸の他のユニークなスポットである Irakli 地域は、
夏の保養地建設の脅威に
さらされている。これには著名なビジネスマンの未亡人や、有名建築家らが出資している。
ブルガリア南東部の Rhodope 山や、ドナウ川に近い天然生物の生息地の北部にある Lomovete
もまた、資源採掘産業プロジェクトの開始を含む脅威にさらされているところである。
EU 政策を BSPB と共同で担当する Irina Mateeva 氏は、ブルガリアの自然に損害を与える
プロジェクトの進捗を陳情する旧来の EU 加盟国の大使や政府も非難されるべきであると述
べている。またこうした「破壊」に対して、欧州委員会が沈黙していることも非難している。
地元環境情報誌の Dnevnik は最近になって、自然保護にブルガリアが失敗した原因の 1 つと
して、議会に環境政策を訴える政党の不在を挙げている。
ロシア、ドイツから輸送される核廃棄物に対する抗議行動
ロシア野党のヤブロコ党(リベラル系の政党)の数十人が、モスクワ中心部 8 月 24 日に集
結し、ドイツからの核廃棄物輸送計画に反対するデモ行動を実施した。抗議人らは「核廃棄
物?要らない!」というスローガンが書かれた旗を、モスクワ市内にあるドイツ大使館前で
広げた。
合計 951 本の核燃料棒が、ロシアで処理されるために東ドイツから輸送されることになっ
ていると、ドイツ・ザクセン州政府が述べている。
ガスマスクを着用した抗議人らは、ドイツ政府に対する書簡を大使館に手渡した。ヤブロ
コ党党首ミトロヒン氏によると、現在はドイツ国内に一時的に貯蔵されている廃棄物は 2011
年までウラル山脈の閉鎖された都市に送られる計画である。ドイツは恒久的な核廃棄物貯蔵
施設を保有していないのが現状である。
ポーランドの発電所、環境運動家が不安訴える
新発電所に 1,000 万トン分の炭素排出権を与えるというポーランドの計画が、環境運動家
からの批判を受けているが、しかし EU の環境担当者は心配していないと述べている。この意
見の相違は、
発電所や重工業産業からの二酸化炭素排出削減に関する EU の野心的戦略ととも
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に、一連の炭素集中型経済を抱えるポーランドの問題を映し出している。
環境運動団体の WWF は、ポーランドの発電所が毎年平均して 3,360 万トン分の炭素排出権
の無償割当を得ていると見積もっており、これはノルウェーやスロヴァキアのような国家の
年間排出量に相当するものであると述べている。このポーランドの計画が実現すれば、新発
電所に補助金として数十億ユーロが入ることになり、今後数十年にわたりポーランドのエネ
ルギーバランスにより多くの石炭が利用されることになると、WWF の運動家は警戒している。
さらにもしこの取引が成立すれば、欧州の環境政策の一貫性に矛盾が生じることになると付
け加えている。
EU 気候変動委員の Hedegaard 氏は、現在進行中の状況については心配していないが、決定
は他の EU26 ヶ国からの監視を受けているところであると、
8 月 24 日に述べている。
また 2008
年 12 月には、2013 年以降にすべての EU 内電力生産者が二酸化炭素 1 トンずつの排出に対し
て支払い義務を持つことに合意がなされている。
ポーランドと東欧数ヶ国は協力してこうした動きに反発し、これらの国の炭素集中型およ
び石炭火力経済に対してあまりにも不経済となると述べている。こうした反対意見を和らげ
るために、これらの国々には 2013 年に排出権の 70%を無償で補助されることが認可される
予定であるが、これは 2020 年までにゼロに漸減されていくことになっている。
この妥協案はまた、2008 年末までに「物理的に開始された」施設にも適用される。これは、
大半の人々が「すでに建設中」であるという意味とみなしている。現在ポーランドは、準備
中の土地や新容量 15,000MW 以上の建設を許可する動きを含む「物理的に開始された」の意味
の定義を世界的に再解釈することを模索している。この新容量 15,000MW は、平均的な規模の
原子力発電所 10 施設分、およびポーランドのピーク時の発電需要の半分にも相当する。
ドイツ首相、再生可能エネルギー発電施設の増加を要求
ドイツの電力企業は、計画中の原子力燃料税の追加に合わせて、再生可能エネルギーの開発
促進により積極的な貢献をすべきであると、ドイツ・メルケル首相は 8 月 26 日に述べている。
メルケル首相はリンゲン市(オランダとの国境近く)の西部にある Emsland 原子力発電所
を訪問し、
「こうした貢献が原子力発電所の寿命延長の背景として必要とされる」
と述べたが、
それに何を指すのが詳細については言及しなかった。
シュレーダー前首相率いる中道左派政権によって合意された条件下では、すべてのドイツの
原子力発電施設は 2021 年までに閉鎖されることになっていた。しかしメルケル首相は、原子
力発電施設の長所をより活かすように電力会社に寿命延長を働きかけている。メルケル首相率
いる中道右派連立与党は、支持率を落としているところであるが、電力会社に核燃料棒に課税
する首相案を採用する考えであり、政府与党も年間 23 億ユーロの歳入を見込んでいる。
電力会社大手の E.ON 社、RWE 社、EnBW 社、Vattenfall 社は、新税に反対する運動を展開
し、その代わりに税控除の固定価格を支払う契約を推し進めるべきであると主張している。
新税は今後数十年にわたるエネルギー計画の一部であり、9 月末までに発表される計画であ
る。
これにはドイツに存在する原子力発電所 17 施設の寿命延長も含まれている。
新税はまた、
今後 4 年間にわたる 800 億ユーロの国家予算を強固にするものの一部としての役割も持つ。
8 月第 3 週にはドイツ産業界の首脳十数人が、原子力税に反対する書簡の中で、国家の将
来のエネルギー供給を危機に陥れるものだとして、メルケル首相を批判した。メルケル首相
はそのような圧力にも動じず、さらなる資金が再生可能エネルギープロジェクトに必要であ
ることを過去にも主張している。
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EU、CO2 制度内での産業プロジェクトに制限設定計画
EU の Hedegaard 気候変動委員が、環境団体から批判を浴びている産業ガスプロジェクトか
らの炭素オフセット利用に関する新たな制限を、2012 年以降の EU-ETS において設けること
を、8 月 25 日に提案した。Hedegaard 氏は、
「CDM はある面では成功してきたが、批判も高ま
っている。例えば環境規範に関することなどである。さらに進んだ炭素市場を目指す第一歩
として、CDM は大掛かりな総点検が必要である。
」との声明を発表している。
EU 加盟 27 ヶ国圏での 1,000 億ドルの排出権制度の下で、参加者は排出目標に向けた国連
の CDM の下で承認された共同国との炭素削減プロジェクトから、より安価なオフセットを利
用することが可能である。しかし HFC-23(トリフルオロメタン)と呼ばれる強力な温室効果
ガスを安価に破壊する CDM プロジェクトは、環境団体にシステムの投機化であると批判され
ており、
さらなるオフセットを要求するために故意に HFC-23 が生産されていることも報告さ
れている。HFC-23 の地球温暖化係数は 11,700 で、すなわち二酸化炭素の 11,700 倍の温室効
果を持つガスである。
中国やインドでの 6 つのプロジェクトからのオフセット要求は、現在国連パネルによって
調査が実施されているところであり、プロジェクト管理者から生産や需要の状況について報
告を求めているところである。
オーストリア緑の党、ドイツの原子力政策を批判
チェコや中東欧諸国の原子力反応器に目を奪われがちであるが、オーストリアの野党緑の
党は、西隣の国ドイツの原子力政策を批判する声明を 8 月 11 日に発表した。
緑の党代表 Glawischnig 氏はオーストリア政府に対して、すべての外交手段を用いてドイ
ツの原子力発電所数ヶ所の稼働期間の延長計画を断念させるように要求した。オーストリア
自身は、
原子力エネルギーは利用しておらず、
安全性をベースとした反対声明を挙げている。
Glawischnig 氏は、すでに 30 年稼働した国境近くの Isar 1 施設が、オーストリア国民を
も危険にさらされていると指摘している。ドイツの計画に対して、オーストリア国民が何も
行動を起こさなければ、オーストリア政府はメルケル首相に対して何も言えない「小心者」
と非難されるだろうと述べている。同氏の声明は、オーバーエスタライヒ州の同党リーダー
Anschober 氏によって支持されている。このオーバーエスタライヒ州は、北部はチェコと、
西部はドイツと、それぞれ国境を接している。
チェコの Temelin 原子力発電所に対する反対運動の急先鋒がしばしば見られてきたが、今
回は Anschober 氏はドイツにも目を向けた形となった。Anschober 氏は、オーストリア首相
と副首相そして外務大臣が、
「チェコの原子力発電所に対するものと同様に、オーストリアの
安全のためには、行動を起こし、ドイツ政府と対話することが必要である」と主張している。
Isal 1 施設は 2025 年まで稼働が継続されることになっている。しかし本施設は 1977 年に
稼働を開始しており、約半世紀にわたって稼働することになる。
オーストリアのガソリンスタンド、異常に低い利幅で営業
オーストリアのガソリンスタンドの利幅は、他の欧州諸国と比べて異常に低いことが、ド
イツの“Energy Information Service”の調査で明らかになった。原因として、激しい競争
があると見られている。
同社によると、2010 年第 1 四半期におけるオーストリアのガソリンスタンドの利幅は、ハ
イオクガソリンで 7.88 セント/リットル、軽油で 5.4 セント/リットルであった。一方で、
ドイツのガソリンスタンドではハイオクガソリンに対して 10.5 セント/リットル、
軽油に対
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して 10.28 セント/リットルの利幅を稼いでいた。
オーストリアでの利はこの 7 年で落ち込み傾向を示しており、またドイツでは、軽油の利幅
が上昇、ガソリンの利幅が減少する傾向を示していることが、同社の調査で報告されている。
スロヴァキア、原子力発電所に自信を見せる
スロヴァキアの Dzurinda 外務大臣は 8 月 23 日にウィーンを訪問し、オーストリア側に対
して、Mochovce 原子力発電所の拡張に関する「最大限の透明性」を示すことを約束し、その
安全性を主張した。
Dzurinda 大臣は、Mochovce 原子力発電所の反応器第 3 ブロックが、2 年以内に稼働予定で
あると述べている。第 4 ブロックも、ウィーンからちょうど 160km 離れた原子力発電施設で
稼働が計画されている。
オーストリアは原子力エネルギーを利用しないが、安全性を基にした中東欧の原子力発電
に対して批判をしばしば行っている。8 月 23 日に Spindelegger オーストリア外務大臣が
「我々にとって、すべての歩みが知らされることが絶対的条件である。
」と述べている。
今年 5 月には、スロヴァキアの権威機関が、第 3 および第 4 ブロックに対する「環境適合
性試験」を完了させた。オーストリア側は、安全に対する恐怖への反応に法的に不十分であ
り、
「これまで築いてきた良好な隣国関係を強力に破壊するものである」という声明を発表し
た。しかし 8 月 23 日に Dzurinda 大臣は、
「信頼関係が壊されたとは信じていない。
」と述べ
ている。
ウィーン市、天然ガス自動車登録でトップランキング
オーストリアでは天然ガス自動車の台数が増加し、新記録を見せている。オーストリア統
計局によると、オーストリア国内で 5,000 台以上の天然自動車ガスが存在していることが 9
月 6 日に発表された。同協会は、320 台の天然ガス自動車が今年上半期に登録されたと述べ
ている。
ウィーン市のエネルギー供給企業である Wien Energie 社は、2010 年前半に他の 8 州の合
計 142 台の天然ガス自動車登録台数と比較すると、圧倒的にトップであることを強調した。
公式データによると、オーバーエスタライヒ州が 2 位の 44 台、次いでニーダーエスタライヒ
州の 38 台が続く。ケルンテン州は最下位でわずか 1 台のみの登録に終わった。
ニーダーエスタライヒ州とケルンテン州以外の 7 州は、ガソリン車から天然ガス自動車へ
の転換に補助金を支払うことを決定している。2009 年には約 440 万台の自動車がオーストリ
ア国内で登録され、前年比で 2%の増加を示している。
オーストリア、水温上昇が魚を脅かす
オーストリアの湖や河川の魚が、地球温暖化が主要原因の水温の急上昇により危機にさら
されていると、生態系学者が警告している。
連邦水質管理部は、過去 30 年にわたって、国の水の状況と温度を計測し続けてきた。同部
は 9 月 6 日に、過去 30 年の間に水温が 2℃上昇しており、魚が現在の生息地で生活できなく
なる危険性があると懸念を示している。また同部は、今後数十年の間にどれだけの温度上昇
が出てくるか予測は困難ではあるが、湖沼や河川は継続的に暖かくなり続けていることが確
実である限り、研究は継続していくと主張している。
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ナブコ、40 億ユーロの融資を得る
ロシアを迂回してカスピ海から天然ガスを欧州まで導く、オーストリア主導のナブコ天然
ガスパイプラインプロジェクトが、9 月 6 日の合意の下に、40 億ユーロの融資を受け取るこ
とが可能となった。融資元は、欧州投資銀行(EIB)
、欧州復興開発銀行(EBRD)
、世界銀行グ
ループの国際金融公社(IFC)である。これはプロジェクト全体の投資コスト 79 億ユーロの
約半分を占めるものである。
ナブコパイプラインインターナショナルの Mitschek 部長は、
天然ガス輸送量に関する交渉
は、今年末または 2011 年第 1 四半期に開始される見込みであると述べているが、ナブコがア
ゼルバイジャン(80 億 m3)
、トルクメニスタンとイラク(100 億 m3)の天然ガスを受け取る
ことに対しては、楽観的な見方を示している。この初年度の 180 億 m3 の年間輸送容量は、次
年度には 310 億 m3 に増量される見込みである。
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