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サクセスストーリー:ネオフォトニクス日本合同会社

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サクセスストーリー:ネオフォトニクス日本合同会社
Success StoriesーManufacturing
ネオフォトニクス日本合同会社
光伝送用高速デバイスの製造・販売、研究開発を行う米国の NeoPhotonics Corporation の日
本法人であるネオフォトニクス日本合同会社が研究開発拠点を東京都八王子市に設立した。政府のイ
ンセンティブプログラム(補助金制度)を活用し、日本でのハイエンド製品開発に取り組む。
2012 年 11 月、米国の NeoPhotonics Corporation
い状況となった。これを機に、多くの光技術分野の技
の日本法人であるネオフォトニクス日本合同会社(ネ
オフォトニクス社)が、東京都八王子市に既存の拠点
に隣接する形で研究開発拠点を設立した。同社は
術者が社内の他部門に移籍するなどの事態が起こっ
た。そこで木村氏は日本における採用活動を始めるに
あたり、高い技術力を持ちながら、現場を離れてしまっ
研究開発拠点設立に際し、政府の補助金制度であ
るアジア拠点化立地推進事業費補助金を活用する
ことで日本市場における投資額のトータルコストを抑え
た優秀な技術者に目をつけた。しかし、人材募集をか
けた時点では光産業バブルがはじけてから 10 年余りが
経過しており、旧知の技術者には日系企業の中で役
ることに成功した。
職を得ている者も多かった。木村氏からの新たなキャリ
アを始める提案に対して難色を示す技術者も多かっ
たが、同社は結果として数名の技術者を採用すること
に成功した。
また、日本における離職率の低さも大きな魅力だっ
た。優秀な人材を確保することは確かに難しいが、一
般的に日本における離職率は他国と比較しても低い
水準にあり、企業にとって日本の技術者は長期スパン
の研究開発に適した人材リソースである。
同社の製品
さらに木村氏は、部品と部品の最適な相性(マッチ
日本に製造拠点を設ける理由
NeoPhotonics Corporation は、光集積回路(PIC)
をベースとした高速光通信ネットワーク用モジュールや
サブシステムを提供する業界大手である。シリコンバレ
ーの中心地サンノゼに本社を置き、1996 年の設立以
来、急速にグローバル化を進めてきた。同社は現在米
国、中国、日本の 3 ヵ所に製造拠点を有しており、そ
れぞれの特性や利点を最大限に活かすことを重要視
している。日本の支社長である木村 有氏は、ハイエ
ンド部品の開発拠点としては日本が最適であると考え
ている。
ハイエンド部品の開発を日本で行う理由について、
木村氏はまず日本に優秀な技術者が多く存在する
点を挙げている。日本と米国が光技術を牽引していた
2000 年頃には、主要な日本メーカーが光技術分野
の研究開発に積極的な投資を行っていたことから、日
本国内では優秀な技術者が多数活躍していた。しか
し、テレコムバブルがはじけると投資に見合うアウトプッ
トを出すことが難しい状況になったことから、多くの企業
が光部門の売却や縮小、廃止の決断をせざるを得な
ング)を求める日本人技術者のものづくりスキルがハイ
エンド部品の開発に大きなアドバンテージを生むと考え
ている。同氏によれば、仕事の役割(ジョブディスクリプ
ション)が明確に分かれている米国と比較すると、日本
人技術者は問題解決に向けて、それぞれの守備範
囲を超えて仕事を行なう傾向が強いという。「優れた
部品を作るだけでなく、他の部品とどう組み合わせたら
いいかまで考えて、全体の設計をする必要があります。
日本の技術者は、そこに大きな強みを持っているので
す」と指摘する。
八王子市に拠点を設立
ネオフォトニクス社が、日本に初めて拠点を設立し
たのは 2011 年 10 月である。立ち上げに際し、同社は
八王子市に拠点を設立することを決断する。
八王子市を選んだ理由のひとつがコストの低さであ
る。営業主体の会社と違い、研究開発拠点では、交
通アクセスはそれほど重要ではない。従って都心と比
較して、安価に土地を取得できる八王子市は、同社
にとって理想的な立地であった。
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また、八王子市がテクノロジー関連企業に魅力的
度公募事業まで補助金事務局の運営業務を受託し
な地域作りを目指し、産業都市化を進めていたことも、 た。採択を受けた企業は、同制度を活用することで、
同社の立地を後押しした。八王子市役所と商工会
10 億円(平成 23 年度公募の場合)を上限とする補
議所が中心となって「サイバーシルクロード八王子」と
助金を受けることができる。同社は、この制度を活用
呼ばれる組織を結成し、同地域に進出する企業に対
して行政サービスを行っていた。その結果、現在同地
域はナノテクノロジーやバイオテクノロジー、IT といったハ
することによって、日本市場における投資額のトータル
コストを抑えることに成功した。木村氏は、「補助金制
度が日本に投資する後押しになりました。会社の中で
イテク産業の集積地となっている。
さらに、八王子市近辺に大学等教育機関が多く集
まっている点も見逃せない。都心の土地価格上昇に
日本市場に対する期待感が非常に大きくなりました」
と語った。
伴い、都心の主要大学はキャンパスを八王子市近辺
に移転したり、新設したりしてきた。同社は八王子市
ジェトロのサポート
ジェトロ対日投資・ビジネスサポートセンター(IBSC)
は NeoPhotonics Corporation の日本進出に際し、テン
ポラリーオフィスを貸与し、税務、労務などの会社設立
に関するコンサルテーションを行ったほか、銀行や PR 会
社等の各種サービスプロバイダの紹介、補助金などの情
報を提供した。
さらに、同社の日本法人による研究開発拠点の設
立に際しては、ジェトロは平成 23 年度のアジア立地推
進事業費補助金をはじめ、各種インセンティブ情報等
の提供を行った。
に拠点を設立することで優秀な学生を採用しやすくな
るだけでなく、大学との共同開発といったプロジェクトも
進めやすくなると判断した。
研究開発拠点設立に日本の補助金制度の活用
ネオフォトニクス社は拠点設立以来、技術力や市
場、部材メーカー、さらには人材の面で日本を高く評
価しており、日本における研究開発能力の強化を検
討していた。こうした背景から、同社は経済産業省
(METI)が公募した「平成 23 年度アジア拠点化立地
推進事業費補助金」に申請した。その結果、採択を
受け、既存の拠点に隣接した形で研究開発拠点で
ある「光通信用高速デバイス開発センター」を設立す
るに至った。
「アジア拠点化立地推進事業費補助金」事業は、
国際的に広く事業展開を行うグローバル企業による統
括拠点や研究開発拠点などの高付加価値拠点の
国内立地を支援すべく、METI が平成 22 年度から実
施している補助事業であり、ジェトロは平成 24 年
ネオフォトニクス日本合同会社支社長 木村氏(右)
(2013 年 9 月)
同社沿革
1996 年 10 月
NeoPhotonics Corporation 設立
2011 年 10 月
2012 年 11 月
東京都八王子市に製品開発拠点を設立
「平成 23 年度アジア拠点化立地推進事業費補助金」を活用し、研究開発拠点を設立
ネオフォトニクス日本合同会社 (NeoPhotonics Semiconductor GK)
設立 :
事業概要 :
親会社:
2011 年
光伝送用高速デバイスの製造・販売、研究開発等
NeoPhotonics Corporation(米国)
URL :
http://www.NeoPhotonics .com/
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