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「オーダーメイド検査」 という考え方

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「オーダーメイド検査」 という考え方
「オーダーメイド検査」
という考え方
~技術は患者さんのためにある~
千葉核医学技術研究会
千葉療護センター 小野寺 晋志
DNA・血清試料・臨床情報 のデータベース作成
今CRTFの趣旨
ともすれば画像を出すことに傾聴しすぎ、
その先にいる「患っている者」に意識が及ばないことがある。
我々の仕事(技術)は患者さんのためにあるということを再認識したい。
各検査ごとに、患者様のためであるということを認識していれば、
常にその患者様にベストな検査を行おうとするはず。
「オーダーメイド検査」という考え方
オーダーメイド検査という考え方
仕立屋が顧客にあった服を仕立てるように
その患者様ごとにベストな検査を考え、
すべきでは?
ルーチン作業ではなく、その患者様毎の
きめ細かなサービスの提供
当センターPET/CT検査における
各検査ごとの判断項目、技術の紹介
その患者様のためのベストな検査を
するためには、さまざまな「判断」をし、
いろいろな技術を駆使する
PETに従事している方は少ないと思いますが、
その考え方は他のモダリティにも活かせるのでは?
PET検査の流れ
来院
↓
検査説明
↓
RI投与
↓
待機
↓
撮影
技師の業務
情報収集
↓
撮影計画立案
↓
撮影
画像作成
PET/CT画像の例
主に腫瘍検索
何がベストなのか?
例えば画質
„ 画質優先
„ 被ばく低減優先
„ スピード優先
„ プライバシー優先
(カツラ、片側乳房全摘患者さんのボディスーツ)
プライバシー vs. 金属アーチファクト → 検討中
何がベストなのか判断するための材料
„
„
„
„
„
„
„
„
„
„
身長、体重、年齢
体調
検査目的
疾患種類
既往歴
患者様の人生、しあわせとは何かの考察
PET結果から予想される治療方針
技師(医師、看護師)の疾患に関する知識
薬剤投与までの患者様との会話
技師の経験、知識、技術
など
病気は患者様の人生の一大イベント
„
„
„
病気を乗り越えることによって、生まれ変わっ
たように仕事に打ち込むようになる人
病気によって、それまで築き上げてきたキャリ
アを失う人
人生の終焉をむかえる人
我々の仕事が患者様の人生のターニング
ポイントになりうることを認識すべきでは?
僕も、もう42才になりました
いつ病気になってもおかしくない年齢
„
„
検査前、検査後の患者様の人生について
その、しあわせとはなにか
最近、よく考えてしまう・・・
自然、ベストをつくそうと考えるようになる
40代 言葉の専門職
言語中枢近傍に腫瘍
メチオニンPET
いままで積み上げてきたキャリアについて・・・
これからの人生について・・・
よくあるPET検診センターの
ホームページ
先日、当センターでもPET脳検診をすべきとの議論が・・・
PET検診で
アルツハイマー型認知症を
見つけることは、
患者様の人生をしあわせにするか?
「あなたは将来認知症になりますが、
根治の方法はありません。」
そう言われた後の人生はしあわせか?
意見が分かれると思いますが・・・
何がベストなのか判断するための材料
„
„
„
„
„
„
„
„
„
„
身長、体重、年齢
体調
検査目的
疾患種類
既往歴
患者様の人生、しあわせとは何か
PET結果から予想される治療方針
技師(医師、看護師)の疾患に関する知識
薬剤投与までの患者様との会話
技師の経験、知識、技術
など
診療情報提供書(依頼医からの情報)
問診票(患者様からの情報)
薬剤確認書(看護師さんからの申し送り)
情報収集
↓
撮影計画立案
ポジショニングにおける判断項目
撮影には約30分
主に患者様の体調や体型を考慮
„
寝台の堅さ(痩せてる方、腰が痛い方はスポンジ
マットを使用)
„
„
„
„
膝下枕の高さ(腰の痛み、腹水貯留はあるか?)
頭枕の高さ
体にかけるタオルケットの枚数(暑いor寒い)
痛いところはないか、窮屈でないか
毎回、患者様と相談しながらポジショニング
患者様の率直な意見を引き出すためには・・・
会話術も放射線技師に必要な技術
ではないですか?
まずは、ご挨拶
患者様との信頼関係を築くため
患者様に安心していただくため
こんにちは
撮影を担当します、小野寺です。
よろしくお願いします。
会話について、一例
うつ病患者に言ってはいけない言葉
「元気出して」、「がんばって」
元気が出なくて困っている人に「元気出して」と言うことは
目の不自由な人に「この本おもしろいから読んでみて」と言うのと
同じくらい酷いこと。
どう答えますか?
「あたしもう死んじゃいたい」
「そんなこと言わないでがんばって」
最悪の受け答え
そんなこと言わないで → 相手の言葉を否定。
否定してはいけません。
「この人は私のことわかってくれない」
回答例:「どうしてそう思うの?」
理学療法士さんに教わった、
「援助のための6つの態度」
1、無防衛:構えや飾りのないリラックスした態度
2、共感:相手の感情に付き添う態度
同情 ある状況に置かれた相手を見たときに、
自分を基準にして勝手に感情的反応を示すこと
共感 相手が抱いている感情を相手の立場で正確に
把握して、その感情に付き添うこと
3、受容:相手をあるがままに受け入れること
4、熱意:相手の話に熱心に耳を傾ける態度
5、間:余裕のある落ち着いた態度
6、距離:適度な距離とは、人間としての暖かさが伝わると同時に
相手を客観視することも出来るような、相手との心理的な距離
ポジショニングにおける判断項目2
„
頭部固定の有無の選択
固定をして頭部PET/CTを正確に撮影するべきか
固定による苦痛を除くべきか
各症例ごとに判断。
頭部病変は予想される?
頭部MRIは行っている?
(多少のずれなら後の画像処理でなんとかなる)
CT撮影における判断項目
„
„
„
撮影範囲の選択(そけい部までか、つま先ま
でか?)
線量の選択(画質優先? 被ばく低減優
先?)
息止め有無の選択(PETとCTの横隔膜位置
ずれによる減弱補正エラーの可能性を覚悟し
てでも、息止めによるCTの画質を優先すべき
か)
呼吸ズレによる減弱補正エラー
CTとPETの呼吸の深さの
違いによって起こる
横隔膜近傍の病変を見逃す
おそれがある
CT撮影時に息どめしなけれ
ば、ほぼ回避できる
CT線量の選択
(画質優先? 被ばく低減優先?)
„
„
„
„
検査目的は? 検診or診断?
検診なら被ばく低減優先
予想される病変部位は?
頭頚部ならエキスパートモード
直近のCT検査はいつ?
1ヶ月以内なら被ばく低減優先?
頭部MRIはとってる?
MRIとってるなら頭部は被ばく低減優先。
読影医と相談で決める
エキスパートモード
400mA固定、0.625mmスライス
Auto mA、1.25mmスライス
当センターにおけるCTDI
„
„
„
被ばく低減優先 : 8mGy
画質優先 : 15~20mGy
エキスパートモード : 頭部40mGy
全身15mGy
PET収集における判断項目
„
身長、体重、体調、検査目的などから収集時
間(min/bed)を選択
核医学は時間をかければかけるほどきれいな画像に。
「きれいな画像を得ること」が「ベスト」ではないことも。
どのような場合に、どのくらいの収集時間で、
どの程度の画質になるのか、
技師は、実験などにより、知っておく必要がある。
収集時間による画質の違い
30sec/bed
60sec/bed 90sec/bed
120sec/bed 150sec/bed 180sec/bed
体重58kg、投与量339MBq
SUVmaxの測定(一例)
SUVmax
1bedの収集時間(秒)
SUVmaxとは、RIの集積程度を数値化したもの
この数値を診断の参考とする
SUVmax値の測定(40例)
SUVmax値
1bedの収集時間(秒)
180秒収集と
誤差が10%以内のものの個数(40個中)
90秒収集では16/40が10%以上の誤差
150秒と180秒で差が小さい→SUVは安定
体重58kg、投与量339MBqの場合
正確なSUVを得るための
最低収集時間は150秒/bed
きれいな画像を得るためには180秒/bed必要
だが、体調が悪いなどの場合は150秒/bedま
で時間短縮できる
どのような場合に、どのくらいの収集時間で、
どの程度の画質になるのか、
技師は、知っておく必要がある。
画像の作成
„
„
„
„
全身PET MIP、全身PET/CT axial、coronal、
全身PET coronal を基本として、
疾患に応じた、CT画像の再構成(thin slice、
骨条件など)
疾患に応じた、病変部位の拡大coronal、
sagittal画像の作成(PET/CT画像およびCT画
像)
検査結果から予想される治療方針に応じた
画像の作成
疾患に応じた、病変部位の拡大画像
疾患に応じた、病変部位の拡大画像
検査結果から予想される
治療方針に応じた画像の作成例
依頼施設CT
?
肺癌
肺癌、肺門部リンパ節転移?
T2N1?M0
肺門部リンパ節転移?
化学療法?
PET画像
肺門部リンパ節転移は否定される
T2N0M0
T2:軽度浸潤があるが治癒切除可能
手術
手術支援を目的とした画像作成
肝臓への浸潤は? 拡大sagittal
検査結果から予想される
治療方針に応じた画像の作成例
その2
検診 乳房に軽度の集積
悪性を強く疑うほどの集積ではない
CTではよくわからない
精査(マンモグラフィー、エコー)
マンモグラフィーと比較するための
oblique_sagittal画像
検査結果から予想される
治療方針に応じた画像の作成例
その3
化学療法前
化学療法後
治療効果認められず → 根治<QOLの維持が治療方針
QOLの低下
↓
しあわせの低下?
もしも、残りの人生が短いのなら、
その短い人生の中で少しでもしあわせを
感じていただきたい。
QOLを低下させる可能性のある
情報を探す
„
„
„
„
脊髄への浸潤は? → 歩けなくなる
食道など消化管の狭窄の恐れは?
→ 食事ができなくなる
気管の狭窄の恐れは?、肺の様子は?
→ 呼吸苦
痛みの原因は?
など
脊髄への浸潤
脊髄に浸潤があるよ!
„
„
„
„
胸椎6番のところにあるよ!
速く放射線あててあげて!
半身麻痺の恐れ
一日も早い放射線治療が必要
すぐに診断医に報告
診断医は主治医に電話連絡
患者さん毎に
臨機応変に
ベストな撮影
ベストな画像作成
を考える
ルーチン作業を繰り返すことよりも、
仕事にやりがいが生まれる
ベストな検査をするために
„
„
„
ベストな検査をしようとする気持ち
何がベストなのかを判断するための知識、人
生観
← 勉強、経験(人生経験)
ベストな検査を実践するための技術
← 勉強、実験、研究
技術を磨くために何から始めるべきか?
技術は
装置の性能を知ることから
ピクセルサイズによる分解能の違い
FWHM(mm)
Resolution vs. Pixel Size
Matrix128、FOV70cm
メーカー推奨
14
12
10
8
6
4
2
0
Matrix256、FOV60cm
当センター画像
5mm
0
1
2
2.5mm
3
4
5
6
pixel size(mm)
Transaxial resolution (1cm from center) vs. pixel size
using Discovery ST-E,(GE healthcare)
メーカー推奨
18F-FDG
当センター画像
early像 5MBq/kg、3min/bed
Multiple metastasis of colon cancer
メーカー推奨
当センター画像
SUVmax:2.6
18F-FDG
SUVmax:4.4
Delay像 5MBq/kg、4.5min/bed
Lymph node metastasis from Breast cancer
装置の性能を知り、
その性能を最大限引き出す
ベストな検査をするために
„
„
„
ベストな検査をしようとする気持ち
何がベストなのかを判断するための知識、人
生観
← 勉強、経験(人生経験)
ベストな検査を実践するための技術
← 勉強、実験、研究
技術を患者様のために活かすために
„
„
技術を磨くことがまず肝要では?
何がベストなのかを判断するために、しあわ
せとは何か、たまには考えることも必要?
人生経験を積むことも大切では?
僕のしあわせは、
彼女と一緒にお笑い番組を見ることです。
みなさんのしあわせは何ですか?
患者様のしあわせは?→答えは出ません
技術は患者さんの
しあわせの
ためにある
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