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自然災害発生時における 回線利用状況を考慮した 資源
B4 戸川和晃 2015/10/5 自然災害発生時における 回線利用状況を考慮した 資源適合型ネットワークシステム 岩手県立大学ソフトウェア情報学部 情報環境デザイン学講座 4年 戸川和晃 背景 (1/2) • 東日本大震災では大規模なネットワーク障害が発生[1] • ネットワーク不通エリアには移動基地局車が配備 • トラフィックの集中により移動基地局車が輻輳・オーバー フロー • 被災地の現状把握が困難となった • 情報の優先度についての研究[2] • 重要度の高い情報は迅速かつ確実に伝達する必要性 • 現在のIPネットワークは優先制御を行うことが困難 • 自然災害によって優先制御 / 帯域制御を行うネットワーク機 器の故障 [1] 総務省 (2011) 「平成23年版 情報通信白書」 http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h23/pdf/23honpen.pdf 閲覧日2015/06/13 [2] 国土交通省 国土技術政策総合研究所 (2008) 「災害情報共有プラットフォームによる効果的な災害情報の伝達 ・共有に関する研究」 http://www.nilim.go.jp/lab/bcg/siryou/tnn/tnn0423pdf/ks0423.pdf 閲覧日2015/06/06 2015/10/5 平成27年度後期研究ゼミ#1 2 1 B4 戸川和晃 2015/10/5 背景 (2/2) • ネットワーク資源は有限 • 災害発生時は日常より多くのネットワーク資源が求められる • 輻輳ウィンドウを調整することによる資源活用の研究[3][4] • トラフィックの増加傾向[5] • 2015年のモバイルデータトラフィックは2010年比で20.8倍か ら最大39.1倍に拡大[6] • 2014年から2019年の間に全世界のモバイルデータ トラフィックが約10倍増加[7] [3] 平井 弘実,山口 実靖,小口 正人 (2014) 「スマートフォンの無線LAN接続時における周辺端末からの情報に基づく 協調帯域制御ミドルウェアの提案と実装」 情報処理学会,情報処理学会論文誌,55巻,1号,pp340-353 [4] 井尻 恵也,大坐畠 智,川島 幸之助 (2010) 「CQ2010-31 TCPウィンドウのクロスレイヤ制御による無線LANの 通信品質改善」 電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ,110巻,118号,pp81-86 [5] 株式会社インターネットイニシアティブ (2014) 「Internet Infrastructure Review (IIR) Vol.24」 http://www.iij.ad.jp/company/development/report/iir/pdf/iir_vol24.pdf 閲覧日2015/06/09 [6] 総務省 (2012) 「移動通信トラヒックの将来動向」 http://www.soumu.go.jp/main_content/000167483.pdf 閲覧日 2015/08/02 [7] Cisco (2015) 「Cisco Visual Networking Index:全世界のモバイル データ トラフィックの予測、2014 ~ 2019 年 アップデート 」 http://www.cisco.com/web/JP/solution/isp/ipngn/literature/pdf/white_paper_c11-520862.pdf 閲覧日 2015/08/02 2015/10/5 3 東日本大震災時におけるトラフィック増加量 (東北地域) 地震発生 3月11日 14:46 2.4倍 2.6倍 3月11日(金) 3月12日(土) [9] 株式会社NTTドコモ ネットワーク部 入江恵 (2011) 「大規模災害等緊急事態における通信確保の在り方に関する検討 会(ネットワークインフラWG)」 http://www.soumu.go.jp/main_content/000117676.pdf 閲覧日2015/07/29 2015/10/5 平成27年度後期研究ゼミ#1 4 2 B4 戸川和晃 2015/10/5 東日本大震災時におけるトラフィック増加量 (東京23区内) 地震発生 3月11日 14:46 1.8倍 1.1倍 3月11日(金) 3月12日(土) 3月13日(日) 3月14日(月) 2015/10/5 5 ブロードバンド契約者総トラフィック推移 (Gbps) (2015.5) (2014.11) 我が国のブロードバンド 契約者の総ダウンロード トラヒック 4,439Gbps(推定値) (2014.5) (2013.11) 53.5%増加 35.5% 増加 協力ISP5社のブロードバンド契 約者のダウンロードトラヒック 我が国のブロードバンド 契約者の総アップロード トラヒック 1,226Gbps(推定値) 協力 ISP5社のブロードバンド契約 者のアップロードトラヒック [8] 総務省 (2015) 「我が国のインターネットにおけるトラヒックの集計結果 (平成27年5月分) 」 http://www.soumu.go.jp/main_content/000378950.pdf 閲覧日2015/09/30 2015/10/5 平成27年度後期研究ゼミ#1 6 3 B4 戸川和晃 2015/10/5 関連研究 • SDN技術とコグニティブ無線技術を基盤としたネ バー・ダイ・ネットワークの開発[10] • 動的に異なる規格の無線ネットワークへの切り替え • いかなる状況においても通信を可能とするネットワークシス テムの提案 • 都市災害を想定した減災情報ネットワークの運用方法 の検証[11] • 長距離無線LANとアドホックネットワークから構成される減 災情報ネットワーク [10] 佐藤 剛至,内田 法彦,柴田 義孝 (2015) 「SDN技術とコグニティブ無線技術を基盤としたネバー・ダイ・ ネットワークの開発」 情報処理学会,マルチメディア通信と分散処理(DPS)2015-DPS-162,29,pp.1-7 [11] 隆 晃人,山本 翔,水野修 (2013) 「都市災害を想定した減災情報ネットワークの運用方法の検証」 電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク,112(393),15-20 2015/10/5 7 関連研究の課題 • 優先度に応じた制御が行われていない • 重要情報の迅速性・確実性が低い • さらなる輻輳への考慮が必要 • 輻輳が発生する前に対応する必要 • 資源が最適化されていない • 自然災害発生時は日常の何倍ものネットワーク資源が必要 2015/10/5 平成27年度後期研究ゼミ#1 8 4 B4 戸川和晃 2015/10/5 関連技術 • Software-Defined Networking / OpenFlow • ネットワークを構成する通信機器をソフトウェアによって集 中的に制御 • ネットワークの構造や構成,設定などを柔軟かつ動的に変更 することが可能 • 複数の仮想的なネットワークを構築 2015/10/5 9 目的 災害発生時においてコネクティビティを 確保したあとの回線利用状況を考慮した 資源適合型ネットワークシステムの提案 • • • • 重要情報を迅速かつ確実に伝達するための優先制御 輻輳・オーバーフローを防ぐ帯域制御 周辺端末連携による資源の有効活用 汎用機器を用いることによる容易かつ冗長性の高い システム構成 2015/10/5 平成27年度後期研究ゼミ#1 10 5 B4 戸川和晃 2015/10/5 システム概要図 DataFlow: ControlFlow: 避難所等 権限の高いユーザ 優先制御機能 一般ユーザ 制御システム ネットワーク コントローラ 基地局 ネットワーク スイッチ Internet 周辺端末連携機能 帯域制御機能 基地局 ... 多くのユーザ 端末情報 リソース ネットワーク 有効活用 周辺端末 スイッチ ネットワーク スイッチ 2015/10/5 11 提供機能がない場合(現状) 権限の高いユーザのグループ 一般ユーザのグループ … 自治体職員 医療関係者 … パケット遅延・ロス 最適でない 通信 帯域上限 バッファオーバーフロー 輻輳 Internet ネットワーク スイッチ 2015/10/5 平成27年度後期研究ゼミ#1 12 6 B4 戸川和晃 2015/10/5 システム概要:優先制御機能 権限の高いユーザ 一般ユーザ 自治体職員 医療関係者 端末情報 帯域 多 帯域保証 帯域 少 優先度情報 Internet ネットワーク スイッチ 端末情報 ネットワーク コントローラ 2015/10/5 13 システム概要:帯域制御機能 多くのユーザ … 大量のパケット フロー制御 流量制御 輻輳予測 ネットワーク スイッチ 2015/10/5 平成27年度後期研究ゼミ#1 Internet 接続ユーザ情報 ネットワーク コントローラ 14 7 B4 戸川和晃 2015/10/5 システム概要:周辺端末連携機能 周辺端末 端末情報 周辺端末 輻輳ウィンドウ調整 フロー制御 フロー制御 フロー制御 Internet 端末情報 ネットワーク スイッチ 端末情報 2015/10/5 ネットワーク コントローラ 15 システムアーキテクチャ Proposed System Priority Controller Bandwidth Controller Cooperated Device Manager System Message Handler Network Layer 2015/10/5 平成27年度後期研究ゼミ#1 16 8 B4 戸川和晃 2015/10/5 メッセージフロー:優先制御 Switch Controller ネットワーク監視 帯域設定 Packet-In Loop 優先度に応じた制御 パケット処理 2015/10/5 17 メッセージフロー:帯域制御 Switch Controller ネットワーク監視 輻輳予測 Loop 2015/10/5 平成27年度後期研究ゼミ#1 帯域制御 18 9 B4 戸川和晃 2015/10/5 メッセージフロー:周辺端末連携 (1/2) Switch Controller ネットワーク監視 Loop 端末情報 輻輳ウィンドウ調整 2015/10/5 19 メッセージフロー:周辺端末連携 (2/2) Host BufferDevice Switch Controller コネクション デバイス情報 バッファ確認 コネクション切替 コネクション 2015/10/5 平成27年度後期研究ゼミ#1 20 10 B4 戸川和晃 2015/10/5 プロトタイプ Network Controller Internet Ethernet Ethernet Network Switch Ethernet Ethernet Ethernet Network Switch Network Switch Network Switch WiFi WiFi WiFi 2015/10/5 21 進捗 • Ryuサンプルプログラムの解析 • スループット測定プログラムの作成 2015/10/5 平成27年度後期研究ゼミ#1 22 11 B4 戸川和晃 2015/10/5 Ryuサンプルプログラム • RESTによってキューとQoSルールの設定が可能 • キュー • 帯域上限(トラフィックシェーピング) • 帯域下限(帯域保証) • QoSルール • MACアドレスやIPアドレス,ポート番号,プロトコルなどに 応じて適応するキューを設定 • 実際に実行しトラフィックシェーピングと帯域保証が できることを確認 2015/10/5 23 サンプルプログラム解析 • 関数呼び出し図の作成 • サンプルプログラム動作の確認 • RESTで設定値を取得 • キューの設定をOpen vSwitchのOVSDBに設定 • QoSルールはFlow Tableに設定 2015/10/5 平成27年度後期研究ゼミ#1 24 12 B4 戸川和晃 2015/10/5 ネットワーク性能測定プログラム • TCPソケット通信による測定 • フレーム長:1518byte • パケット送出間隔:0.1秒 • 測定値 • スループット • ジッタ • RTT 2015/10/5 25 予備実験 • 帯域保証を行った場合と行わない場合でのスループッ ト・ジッタ・RTTを比較 • 優先制御機能が目的を達成できることを確認 • 環境 • • • • mininet on Ubuntu 14.04 Ryu Open vSwitch httperf 2015/10/5 平成27年度後期研究ゼミ#1 26 13 B4 戸川和晃 2015/10/5 予備実験環境図 Ryu OpenFlow Controller httperf Host1 HttpServer HTTPConnection 測定 Client Host2 測定 Sever OpenFlow Switch Open-vSwitch Host3 Host4 TCPConnection 2015/10/5 27 予備実験手順 • 帯域保証なし 1. mininetでOpenFlowController1台・Switch1台・ホスト4台 の環境を構築 2. Ryuサンプルプログラムを実行 3. HttpServerとhttperfで外部トラフィックをエミュレート 4. ネットワーク性能測定 • 帯域保証あり 1. mininetでOpenFlowController1台・Switch1台・ホスト4台 の環境を構築 2. Ryuサンプルプログラムを実行 3. RESTでQoS設定 4. HttpServerとhttperfで外部トラフィックをエミュレート 5. ネットワーク性能測定 2015/10/5 平成27年度後期研究ゼミ#1 28 14 B4 戸川和晃 2015/10/5 スケジュール 研究 イベント 10月 予備実験 プロトタイプシステム実装 SDNハッカソン 11月 プロトタイプシステム実装 評価実験 12月 情報処理学会全国大会原稿執筆 卒業論文執筆 1月 卒業研究成果発表会準備 2月 柴田研最終デモ準備 卒業研究成果発表会 情報処理学会全国大会 3月 2015/10/5 29 まとめ 自然災害発生時における回線利用状況を 考慮した資源適合型ネットワークシステムの提案 • 特徴 • • • • 重要情報を迅速かつ確実に伝達するための優先制御 ハングアップ・オーバーフローを防ぐ帯域制御 周辺端末連携による資源の有効活用 汎用機器を用いることによる容易かつ冗長性の高いシステム 構成 • 今後 • 予備実験 • プロトタイプシステムの実装 • 評価方法の検討 2015/10/5 平成27年度後期研究ゼミ#1 30 15