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ピリミジン誘導体またはその医薬的に受容可能な塩、溶媒和物
JP 2008-501007 A 2008.1.17 (57)【 要 約 】 癌の治療のための、ピリミジン誘導体またはその医薬的に受容可能な塩、溶媒和物もし くはプロドラッグを、経口カンプトテシン、経口カンプトテシン誘導体、インドロピロカ ルバゾール誘導体、またはそれらの医薬的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはプロドラッ グと組み合わせて包含する、異常な細胞増殖の治療の治療用医薬組成物および方法を記載 する。本発明の1つの態様において経口カンプトテシン誘導体は、10−ヒドロキシカン プトテシン、9−アミノカンプトテシン、9−ニトロカンプトテシン、イリノテカン、イ リノテカンの塩、SN−38、CPT−11、およびトポテカンから成る群より選択され 、インドロピロカルバゾール誘導体はエドテカリンである。1つの態様においてピリミジ ン誘導体は、ゲムシタビン、MTA、およびカペシタビンから成る群より選択される。1 つの好ましい態様において、ピリミジン誘導体はカペシタビンであり、カンプトテシン誘 導体はCPT−11である。 10 (2) JP 2008-501007 A 2008.1.17 【特許請求の範囲】 【請求項1】 異常な細胞増殖を有する被験者に、経口カンプトテシン、経口カンプトテシン誘導体、 インドロピロカルバゾール誘導体、またはそれらの医薬的に受容可能な塩、溶媒和物もし くはプロドラッグ、およびピリミジン誘導体またはその医薬的に受容可能な塩、溶媒和物 もしくはプロドラッグを投与することを包含する、前記被験者における異常な細胞増殖を 治療する方法であって、経口カンプトテシン、経口カンプトテシン誘導体、インドロピロ カルバゾール誘導体、またはそれらの医薬的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはプロドラ ッグ、およびピリミジン誘導体またはその医薬的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはプロ ドラッグを、別々にまたは逐次的に投与する前記方法。 10 【請求項2】 癌を有する被験者に、経口カンプトテシン、10−ヒドロキシカンプトテシン、9−ア ミノカンプトテシン、9−ニトロカンプトテシン、イリノテカン、イリノテカンの塩、S N−38、CPT−11およびトポテカンから成る群より選択される経口カンプトテシン 誘導体、またはそれらの医薬的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ、ならび にゲムシタビン、MTA、およびカペシタビンから成る群より選択されるピリミジン誘導 体、またはそれらの医薬的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはプロドラッグを投与するこ とを包含する、被験者の癌を治療する方法であって、前記の経口カンプトテシン、および 経口カンプトテシン誘導体、ならびにピリミジン誘導体、または前記のそれらの医薬的に 受容可能な塩、溶媒和物もしくはプロドラッグを、別々にまたは逐次的に投与する前記方 20 法。 【請求項3】 経口カンプトテシン誘導体が、イリノテカン、イリノテカンの塩、SN−38およびC PT−11から成る群より選択される、請求項2に記載の方法。 【請求項4】 経口カンプトテシン誘導体が塩酸イリノテカン三水和物である、請求項2に記載の方法 。 【請求項5】 4 0 か ら 5 0 m g /m 2 の量の経口CPT−11を1日に1回投与する、請求項2に記 載の方法。 30 【請求項6】 8 0 0 か ら 1 2 5 0 m g /m 2 の量のカペシタビンを1日に2回投与する、請求項2に 記載の方法。 【請求項7】 前記の経口カンプトテシンまたは経口カンプトテシン誘導体、およびピリミジン誘導体 を、1つのレジメン、サイクル、スケジュールまたはコースの間に、別々にまたは逐次的 に投与する、先の請求項2から6のいずれか1項に記載の方法。 【請求項8】 経口CPT−11を治療サイクルの第1日から第5日までの間投与する、請求項2に記 載の方法。 40 【請求項9】 カペシタビンを治療サイクルの9日間投与する、請求項2に記載の方法。 【請求項10】 被験者の癌を治療する方法であって、前記被験者に、経口CPT−11およびカペシタ ビンを逐次的に投与することを包含し、ここで3週のサイクルの第1日から5日に40か ら 5 0 m g /m 2 の経口CPT−11を投与し、3週のサイクルの第6日から14日に8 0 0 か ら 1 2 5 0 m g /m 2 のカペシタビンを投与する、前記方法。 【請求項11】 癌が、中皮腫、肝胆管系(肝臓および胆管)の癌、原発性もしくは二次性のCNS腫瘍 、原発性もしくは二次性の脳腫瘍、肺癌(NSCLCおよびSCLC)、骨癌、膵臓癌、 50 (3) JP 2008-501007 A 2008.1.17 皮膚癌、頭部もしくは頸部の癌、皮膚もしくは眼内のメラノーマ、卵巣癌、結腸癌、直腸 癌、肛門領域の癌、胃癌、消化器(胃、結腸直腸、および十二指腸)の癌、乳癌、子宮癌 、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、膣癌、外陰部癌、ホジキンス病、食道癌、小腸の癌、 内分泌系の癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、前立腺癌 、慢性もしくは急性の白血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱癌、腎臓または尿管の癌、腎細 胞癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄腫瘍、脳幹 グリオーマ、下垂体腺腫、副腎皮質癌、胆嚢癌、多発性骨髄腫、胆管癌、線維肉腫、また は前述の癌の1つもしくはそれより多くの組み合わせから成る群より選択される、請求項 10に記載の方法。 【発明の詳細な説明】 10 【技術分野】 【0001】 (発明の技術分野) 本発明は、ピリミジン誘導体の有効量を、経口カンプトテシン、経口カンプトテシン誘 導体、またはインドロピロカルバゾール誘導体の有効量と組み合わせて投与することを包 含する、異常な細胞増殖、例えば癌を治療するための方法に関する。 【背景技術】 【0002】 (発明の背景) 本発明は、カンプトテシン、カンプトテシン誘導体、またはインドロピロカルバゾール 20 誘導体、およびその他の抗癌剤を組み合わせての異常な細胞増殖、例えば癌、特に固形腫 瘍の治療、ならびに改善された治療のためのそのような組合せの使用に関する。カンプト テ シ ン は 、 中 国 原 産 樹 木 で あ る Camptotheca acuminate( ヌ マ ミ ズ キ 科 カ レ ン ボ ク ) か ら 得られる植物アルカロイドである。 【0003】 結腸直腸癌は、ヨーロッパおよび米国において年間約300,000例の新規症例およ び 2 0 0 , 0 0 0 例 の 死 亡 を 伴 う 罹 患 率 お よ び 死 亡 率 の 主 要 な 原 因 で あ る ( P.Boyle, Som e Recent Developments in the Epidemiology of Colorectal Cancer, 19-34頁 , Managem ent of Colorectal Cancer、 Bleiberg H., Rougier P., Wilke H. J.,編 (Martin Dunitz , London 1998)に て ; お よ び Midgy R. S., Kerr D. J., Systemic Adjuvant Chemotherap 30 y for Colorectal Cancer, 126-27頁 , Management of Colorectal Cancer、 Bleiberg H., Rougier P., Wilke H. J.,編 (Martin Dunitz, London 1998)に て 、 を 参 照 の こ と ) 。 患 者の約50パーセントは外科手術のみにより治癒するが、残りの半数は転移疾患により結 果的には死亡し、これには診断時に転移のエビデンスを有する約25パーセントの患者を 含む。 【0004】 5−FUは、DNA合成に必要なチミジンヌクレオチドの生成に必要な酵素であるチミ ジル酸シンターゼの機能を阻害する、静脈内(IV)投与されるフッ化ピリミジン細胞傷 害性物質である。5−FUはいくつかの腫瘍のタイプの治療において活性を有するが、最 も一般的には結腸直腸癌、上部消化器悪性腫瘍、および乳癌の治療に投与する。結腸直腸 40 癌の治療において5−FUは習慣的に、生体内の調節物質であるロイコボリン(LV)と 共に投与し、このLVはチミジル酸シンターゼとのアフィニティーを促進するように作用 し 、 そ れ に よ り 5 − F U の 効 能 を 改 善 す る ( Grem JL. 5-Fluoropyrimidines: Cancer Che motherapy and Biotherapy: Principles and Practice、 第 2 版 、 Chabner BA and Longo DL 編 、 Lippincott-Raven Publishers, Philadelphia; pp.149-211, 1996に て ) 。 不 安 定 な経口投与でのバイオアベイラビリティーのために、歴史的には5−FUのIV投与が義 務 づ け ら れ て き た ( Hahn RG, Moertel CG, Schutt AJ, et al. A double-blind comparis on of intensive course 5-fluorouracil by oral vs IV route in the treatment of co lorectal carcinoma. Cancer 35: 1031-1035, 1975) 。 【0005】 50 (4) JP 2008-501007 A 2008.1.17 5−FUと同様に、CPT−11(塩酸イリノテカン、塩酸イリノテカン水和物、カン プ ト サ ル (Camptosar)(登 録 商 標 )) も カ ン プ ト テ シ ン の 半 合 成 誘 導 体 で あ り 、 広 範 囲 の 細 胞傷害活性を有していた。CPT−11は、主に結腸直腸癌の治療に使用するために開発 された。CPT−11はIV投与されると、ヒトの肝臓、腫瘍およびその他の組織内のカ ルボキシルエステラーゼにより、より活性な親油性代謝物であるSN−38に代謝される プ ロ ド ラ ッ グ で あ る ( Tsuji T, Kaneda N, Kado K, et al. CPT-11 converting enzyme f rom rat serum: purification and some properties. J Pharmacobiodyn 1992; 14: 341349) 。 S N − 3 8 は 、 D N A の 複 製 お よ び 転 写 に お い て 決 定 的 な 役 割 を 果 た す 核 の 酵 素 で あ る ト ポ イ ソ メ ラ ー ゼ I の 阻 害 剤 と し て 機 能 す る ( Pommier Y, Tanizawa A, Kohn KW. Mechanisms of topoisomerase I inhibition by anticancer drugs. :Liu LF,編 Advance 10 s in Pharmacology. New York: Academic Press; 29B: 73-92, 1994に て ) 。 こ の 酵 素 は 、二重らせんの周りのDNAまたはRNAの新しい鎖の合成に起因する鎖のねじれを解消 する、DNAの一本鎖の一時的な切断を引き起こすために、通常は機能する。SN−38 はこのトポイソメラーゼI−DNA複合体を標的とし、これを安定化させて、親DNAが 再びアニーリングすることを阻害する。細胞分裂中の安定化した複合体を伴う複製フォー クの衝突は、二本鎖DNAの切断および腫瘍細胞の死をもたらす。 【0006】 5−FU抵抗性の結腸直腸癌の患者において、2つの大規模III相無作為の試みにお いて検査した単剤CPT−11は、支持療法のみと比較してより長い生存期間およびより 良 好 な ク オ リ テ ィ ー オ ブ ラ イ フ (D. Cunningham, S. Pyrhonen, R D. James et al, The 20 Lancet, 352 (9138): 1413-1418 (1998))を 、 そ し て ま た 5 − F U /F A の 最 善 の 注 入 レ ジ メ ン と 比 較 し て 、 ク オ リ テ ィ ー オ ブ ラ イ フ の 増 悪 の な い よ り 長 い 生 存 期 間 (P. Rougier, E . van Cutsem et al; The Lancet, 352 (9138): 1407-1418 (1998))を 得 た 。 し た が っ て CPT−11は、先に行った5−FU治療に失敗した後の転移結腸直腸癌(MCRC)に おける基準の治療といえる。 【0007】 5 − F U /L V の C P T − 1 1 と の 組 合 せ は 、 こ の 組 合 せ が 有 意 に 腫 瘍 応 答 速 度 を 改 善 し、腫瘍の進行までの時間を延長し、そして生存期間を引き延ばすことができることを立 証する、無作為の臨床的試みのデータに基づいた結腸直腸癌の治療として登録されている 。 30 【0008】 細胞周期に特異的な物質、例えばフルオロピリミジンまたはイリノテカンの経口投与は 、これらのタイプの物質のIV投与に代わる魅力的な代替法である。経口製剤は、持続的 IV注入を必要とすることなく、活発に周期を繰り返す悪性細胞に対して最も脆弱な時に 遅 延 性 の (protracted)薬 剤 暴 露 を 達 成 す る こ と が で き る 。 経 口 製 剤 は 、 患 者 に と っ て の 簡 便性および長期的薬剤投与のより安価な手段という利点を提供することと思われる。 【0009】 5−FUの経口による低いバイオアベイラビリティーを克服するために使用されてきた 方法として、良好なバイオアベイラビリティーを有し、最終的に5−FUに変換されるプ ロドラッグの投与を伴う。カペシタビン(N 4 −ペンチルオキシカルボニル−5’−デオ 40 キ シ − 5 − フ ル オ ロ シ チ ジ ン 、 ゼ ロ ー ダ (Xeloda)( 登 録 商 標 ) ) は 、 そ の よ う な 新 規 経 口 フルオロピリミジンカルバメートである。この薬剤は消化管から容易に吸収され、好まし いことに腫瘍細胞内で5−FUに変換される。経口投与後、カペシタビンは変化せずに消 化管から肝臓まで通過し、肝臓でカルボキシルエステラーゼにより5’−デオキシ−5− フ ル オ ロ シ チ ジ ン ( 5 '− D F C R ) に 変 換 さ れ た 後 、 肝 臓 お よ び 腫 瘍 組 織 内 で シ チ ジ ン デ ア ミ ナ ー ゼ に よ り 5 ’ − デ オ キ シ − 5 − フ ル オ ロ ウ リ ジ ン ( 5 '− D F U R ) に 変 換 さ れ、最終的に腫瘍組織内でチミジンホスホリラーゼ(dThdPase)により5−FU に変換される。 【0010】 推 奨 さ れ る 第 I I 相 の カ ペ シ タ ビ ン 単 剤 の 用 量 は 、 2 5 0 0 m g /m 2 /日 を 、 3 週 毎 に 50 (5) JP 2008-501007 A 2008.1.17 1 4 日 間 で あ る [Mackean M. Planting A, Twelves, J, et al. Phase I and pharmacolog ic study of intermittent twice-daily oral therapy with capecitabine in patients with advanced and/or metastatic cancer. J Clin Oncol 16(9): 2977-2985, 1998; Van Cutsem E, Findlay M, Osterwalder B, et al. Capecitabine, an oral fluoropyrimidi ne carbamate with substantial activity in advanced colorectal cancer: Results of a randomized phase II study. J Clin Oncol 18(6): 1337-1345, 2000]。 2 つ の 第 I I I相の試みは、カペシタビンが5−FUに匹敵する進行結腸癌における活性を有すること を示した。この2つの試みは、それまで未治療の転移結腸直腸癌の患者において、ヨーロ ッパ(N=602)および米国(N=605)にて、カペシタビン単剤(2500mg/ m 2 /日 3 週 毎 に 1 4 日 間 ) の 、 I V 5 − F U /L ( (Mayo Clinicレ ジ メ ン )に 対 す る 10 比 較 を 行 っ た ( Twelves C, Harper P, Van Custem E, et al. A phase III trial (SO147 96) of Xeloda (capecitabine) in previously untreated advanced/matastatic colorec tal cancer. Proc Am Soc Clin Oncol 1999; 18: 263a (abstract 1010); Cox J, Pazdur R, Thibault A, et al. A phase III trial of Xeloda (capecitabine) in previously untreated advanced/matastatic colorectal cancer. Proc Am Soc Clin Oncol 1999; 18 : 265a (abstract 1016).) 。 全 体 の 応 答 比 率 は 、 カ ペ シ タ ビ ン 治 療 群 ( 双 方 の 試 験 に つ い て 2 1 % ) に お け る 方 が 、 I V 5 − F U /L V 治 療 群 ( 各 々 1 1 % お よ び 1 4 % ) と 比較して、有意により高かった(各々p=0.014および0.03)。応答期間および 腫瘍進行までの時間は、双方の試みにおいて治療群間で類似していた。さらに全体の生存 期 間 も 、 双 方 の 試 み に お い て カ ペ シ タ ビ ン 治 療 群 お よ び I V 5 − F U /L V 治 療 群 間 で 20 類 似 し て い た ( ゼ ロ ー ダ 。 Hoffman-LaRoche Limited, Mississauge, Ontario. Product M onograph: 2000年 7月 5日 ) 。 米 国 の 試 み に お い て 生 存 期 間 の 中 央 値 は 、 I V 5 − F U / LV治療患者の13.4ヶ月に比して、カペシタビン治療患者では12.5ヶ月であった (p=0.24)。ヨーロッパの試みにおいて生存期間の中央値は、カペシタビン患者お よ び I V 5 − F U /L V 患 者 に つ い て 、 各 々 1 3 . 3 ヶ 月 対 1 2 . 5 ヶ 月 で あ っ た (p=0.30)。カペシタビン治療群で報告された最も一般的なグレード3−4の毒性 は、手足症候群(17%)および下痢(14%)であった。 【0011】 カペシタビンの使用に伴うその他の毒性は、骨髄抑制、一過性高ピルビン血症、倦怠感 、脱水、嘔気、嘔吐、胃炎、腹痛、便秘、鼻血、皮膚炎、食欲不振、発熱、感覚異常症、 30 頭痛、眩暈感、不眠、目の刺激感、筋痛、および浮腫を含む。 【0012】 経 口 イ リ ノ テ カ ン を 開 発 す る た め の 最 初 の 試 験 は 、 ク ラ ン グ レ ー プ (CranGrape)( 登 録 商標)ジュース50mLと混合したIVイリノテカン製剤の第I相試験にて開始された。 試 験 治 療 は 、 2 8 名 の 患 者 に 対 し て 1 日 1 回 、 3 週 毎 に 5 日 間 、 経 口 投 与 を 行 っ た ( Dreg ler RL, Kuhn JG, Schaaf LJ, et al. Phase I and pharmacokinetic trial of oral iri notecan administered daily for 5 days every 3 weeks in patients with solid tumor s. J Clin Oncol (17): 685-696, 1999) 。 I V イ リ ノ テ カ ン に よ る 場 合 の よ う に 、 グ レ ード4の遅発性下痢が用量制限であることが証明された。患者のコホートは小さかったが 、用量制限の下痢の程度において年齢に関連する変動の可能性があることが認められた; 6 5 歳 未 満 の 患 者 で は 8 0 − m g /m − m g /m 2 2 40 /日 の 投 与 量 で 、 そ し て 6 5 歳 以 上 の 患 者 で は 6 6 /日 の 投 与 量 で 、 過 剰 な 比 率 の 患 者 が こ の 用 量 制 限 毒 性 ( D L T ) を 経 験 し た 。したがって経口イリノテカンの最大耐用量(MTD)および推奨される第II層開始用 量 は 、 6 5 歳 未 満 の 患 者 で は 6 6 m g /m m 2 2 /日 、 そ し て 6 5 歳 以 上 の 患 者 で は 5 0 m g / /日 で あ る と 考 察 さ れ た 。 い く つ か の 目 的 の 腫 瘍 応 答 が 結 腸 直 腸 の 患 者 で 観 察 さ れ 、 イリノテカンの経口投与が抗新生物活性を提供できることが立証された。 【0013】 続 い て の I V イ リ ノ テ カ ン を 経 口 的 に 与 え る 予 備 試 験 ( プ ロ ト コ ル M /6 4 7 5 /0 0 3 2)、すなわちイリノテカンの完成された粉末充填カプセル(PFC)製剤の、4つの、 第 I 相 、 単 剤 の 用 量 設 定 の 試 み が 開 始 さ れ た ; 2 つ の 試 験 は 、 Aventisに よ り ヨ ー ロ ッ パ 50 (6) JP 2008-501007 A 2008.1.17 に お い て ( プ ロ ト コ ル C P T × 1 1 7 、 C P T × 1 1 8 ) 行 わ れ 、 2 つ の 試 験 は Pharma cia( 現 在 Pfizer Inc.の 一 部 ) に よ り 米 国 に お い て ( プ ロ ト コ ル 1 3 9 お よ び 1 5 5 ) 行 われた。プロトコル117および139は、3週毎5日のスケジュールで試験し、プロト コル118および155は、3週毎14日のスケジュールで試験している。これらの試験 は、イリノテカンを経口的に投与できることが発見され、そしてIV溶液を経口的に与え て、またはPFC製剤としてのいずれかで投与した場合に、第I相試験において耐えられ る安全性のプロフィールおよび抗腫瘍活性を示した。しかしPFC製剤は、製造従事者を 薬剤への望ましくない毒性の暴露にさらす可能性のある、得に製造工程中の取り扱い上の 懸念により、非常に望ましいとはいえない。さらにPFCは、患者が薬剤を誤って取り扱 うこと(例えばPFCカプセルの破損)により患者に対して、同様にPFCカプセル(ま 10 たは破損したカプセル、またはこぼした薬剤)に接触することになる他の治療していない 個体、例えば家族の他のメンバー、医師、および薬剤師に対して、危害のより高いリスク を生じさせる懸念がある。出願者らは、これらの問題を解決する経口イリノテカン用の新 規製剤を開発した。この新規製剤は、PFS製剤と類似の前臨床バイオアベイラビリティ ーを提供し、そして改善された取り扱い上の特徴を提供する経口イリノテカンの半固体( SSM)マトリックス製剤である。加えて出願者らは、カペシタビンおよび経口イリノテ カン(SSM)の組合せが、進行性固形腫瘍の患者の有効な治療であることを発見した。 【発明の開示】 【課題を解決するための手段】 【0014】 20 (発明の概要) 本発明は、異常な細胞増殖を有する被験者に、経口カンプトテシン、経口カンプトテシ ン誘導体、インドロピロカルバゾール誘導体、またはそれらの医薬的に受容可能な塩、溶 媒和物もしくはプロドラッグ、およびピリミジン誘導体またはその医薬的に受容可能な塩 、溶媒和物もしくはプロドラッグを投与することを包含する、前記被験者における異常な 細胞増殖を治療する方法に関し、その場合経口カンプトテシン、経口カンプトテシン誘導 体、インドロピロカルバゾール誘導体、またはそれらの医薬的に受容可能な塩、溶媒和物 もしくはプロドラッグ、およびピリミジン誘導体またはその医薬的に受容可能な塩、溶媒 和物もしくはプロドラッグは、別々にまたは逐次的に投与する。 【0015】 30 そのような治療を必要とする患者における異常な細胞増殖を治療するための方法、すな わち経口カンプトテシン、経口カンプトテシン誘導体、インドロピロカルバゾール誘導体 、またはそれらの医薬的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ、およびピリミ ジン誘導体またはその医薬的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはプロドラッグの組合せを 、患者に投与することを包含する方法であって、その場合経口カンプトテシン、経口カン プトテシン誘導体、インドロピロカルバゾール誘導体、またはそれらの医薬的に受容可能 な塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ、およびピリミジン誘導体またはその医薬的に受容 可能な塩、溶媒和物もしくはプロドラッグは別々にまたは逐次的に投与し、その場合経口 カンプトテシン、経口カンプトテシン誘導体、インドロピロカルバゾール誘導体、または それらの医薬的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ、およびピリミジン誘導 40 体またはその医薬的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはプロドラッグの投与量は、全体と してみると前記の異常な細胞増殖を治療するために治療上有効である。 【0016】 本発明の1つの態様は、以下:(i)経口カンプトテシン、経口カンプトテシン誘導体 、インドロピロカルバゾール誘導体、またはそれらの医薬的に受容可能な塩、溶媒和物も しくはプロドラッグの治療有効量、および(ii)ピリミジン誘導体またはその医薬的に 受容可能な塩、溶媒和物もしくはプロドラッグの治療有効量を、どちらの順序でも逐次的 にまたは別々に、そのような治療を必要とする癌を有する哺乳動物に投与すること、を包 含する前記哺乳動物を治療する方法に関する。 【0017】 50 (7) JP 2008-501007 A 2008.1.17 本発明の1つの態様において、経口カンプトテシンまたは経口カンプトテシン誘導体は 、カンプトテシン、10−ヒドロキシカンプトテシン、9−アミノカンプトテシン、9− ニトロカンプトテシン、イリノテカン、イリノテカンの塩、SN−38,CPT−11、 トポテカン、またはそれらの医薬的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはプロドラッグから 成る群より選択され、インドロピロカルバゾール誘導体はエドテカリンである。 【0018】 本発明のもう1つの態様において、経口カンプトテシン誘導体は、イリノテカン、SN −38、トポテカン、またはそれらの医薬的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはプロドラ ッグから成る群より選択される。 【0019】 10 本発明の1つの好ましい態様において、経口カンプトテシン誘導体はトポテカンである 。 本発明のもう1つの好ましい態様において、経口カンプトテシン誘導体はイリノテカン である。 【0020】 本発明のより好ましい態様において、経口カンプトテシン誘導体はイリノテカンの医薬 的に受容可能な塩である。 本発明のより好ましい態様において、経口カンプトテシン誘導体はイリノテカンの塩酸 塩である。 【0021】 20 本発明の最も好ましい態様において、経口カンプトテシン誘導体は塩酸イリノテカン三 水和物またはCPT−11である。 本発明のもう1つのより好ましい態様において、経口カンプトテシン誘導体はSN−3 8およびそのプロドラッグである。 【0022】 本発明の1つの好ましい態様において、ピリミジン誘導体は、ゲムシタビン、MTAお よびカペシタビンからなる群より選択される。 本発明の1つの好ましい態様において、ピリミジン誘導体は、ゲムシタビンおよびカペ シタビンからなる群より選択される。 【0023】 30 本発明の1つのより好ましい態様において、ピリミジン誘導体はゲムシタビンである。 本発明の最も好ましい態様において、ピリミジン誘導体はカペシタビンである。 本発明の1つの好ましい態様において、経口カンプトテシン、経口カンプトテシン誘導 体、インドロピロカルバゾール誘導体、またはそれらの医薬的に受容可能な塩、溶媒和物 もしくはプロドラッグ、およびピリミジン誘導体またはその医薬的に受容可能な塩、溶媒 和物もしくはプロドラッグは、1つのレジメン、サイクル、スケジュールまたはコースの 間に、別々にまたは逐次的に投与する。 【0024】 本発明の1つのより好ましい態様において、経口カンプトテシン、経口カンプトテシン 誘導体、インドロピロカルバゾール誘導体、またはそれらの医薬的に受容可能な塩、溶媒 40 和物もしくはプロドラッグ、およびピリミジン誘導体またはその医薬的に受容可能な塩、 溶媒和物もしくはプロドラッグは、1つのレジメンの間に、別々にまたは逐次的に投与す る。 【0025】 本発明の1つのより好ましい態様において、経口カンプトテシン、経口カンプトテシン 誘導体、インドロピロカルバゾール誘導体、またはそれらの医薬的に受容可能な塩、溶媒 和物もしくはプロドラッグ、およびピリミジン誘導体またはその医薬的に受容可能な塩、 溶媒和物もしくはプロドラッグは、1つのサイクルの間に、別々にまたは逐次的に投与す る。 【0026】 50 (8) JP 2008-501007 A 2008.1.17 本発明の1つのより好ましい態様において、経口カンプトテシン、経口カンプトテシン 誘導体、インドロピロカルバゾール誘導体、またはそれらの医薬的に受容可能な塩、溶媒 和物もしくはプロドラッグ、およびピリミジン誘導体またはその医薬的に受容可能な塩、 溶媒和物もしくはプロドラッグは、1つのスケジュールの間に、別々にまたは逐次的に投 与する。 【0027】 本発明の1つのより好ましい態様において、経口カンプトテシン、経口カンプトテシン 誘導体、インドロピロカルバゾール誘導体、またはそれらの医薬的に受容可能な塩、溶媒 和物もしくはプロドラッグ、およびピリミジン誘導体またはその医薬的に受容可能な塩、 溶媒和物もしくはプロドラッグは、1つのコースの間に、別々にまたは逐次的に投与する 10 。 【0028】 本発明の1つのより好ましい態様において、経口カンプトテシン、経口カンプトテシン 誘導体、インドロピロカルバゾール誘導体、またはそれらの医薬的に受容可能な塩、溶媒 和物もしくはプロドラッグ、およびピリミジン誘導体またはその医薬的に受容可能な塩、 溶媒和物もしくはプロドラッグは、別々に投与する。 【0029】 本発明の1つのより好ましい態様において、経口カンプトテシン、経口カンプトテシン 誘導体、インドロピロカルバゾール誘導体、またはそれらの医薬的に受容可能な塩、溶媒 和物もしくはプロドラッグ、およびピリミジン誘導体またはその医薬的に受容可能な塩、 20 溶媒和物もしくはプロドラッグは、逐次的に投与する。 【0030】 本発明の1つの好ましい態様において、異常な細胞増殖は、中皮腫、肝胆管系(肝臓お よび胆管)の癌、原発性もしくは二次性のCNS腫瘍、原発性もしくは二次性の脳腫瘍、 肺癌(NSCLCおよびSCLC)、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部もしくは頸部の癌、皮 膚もしくは眼内のメラノーマ、卵巣癌、結腸癌、直腸癌、肛門領域の癌、胃癌、消化器( 胃、結腸直腸、および十二指腸)の癌、乳癌、子宮癌、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、 膣癌、外陰部癌、ホジキンス病、食道癌、小腸の癌、内分泌系の癌、甲状腺癌、副甲状腺 癌、副腎癌、軟組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、前立腺癌、慢性もしくは急性の白血病、リン パ球性リンパ腫、膀胱癌、腎臓または尿管の癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS 30 )の新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄腫瘍、脳幹グリオーマ、下垂体腺腫、副腎皮質 癌、胆嚢癌、多発性骨髄腫、胆管癌、線維肉腫、または前述の癌の1つもしくはそれより 多くの組み合わせから成る群より選択される癌である。 【0031】 前記方法のもう1つの態様において、前記の異常な細胞増殖は、乾癬、良性前立腺肥大 または再狭窄を含むがこれに限定されない良性増殖性疾患である。 本発明の1つのより好ましい態様において、異常な細胞増殖は、乳癌、肺癌(NSCL CおよびSCLC)、消化器(胃、直腸、および十二指腸)の癌、膵臓癌、肝胆管系(肝 臓および胆管)の癌、原発性もしくは二次性のCNS腫瘍、および悪性メラノーマから成 る群より選択される癌である。 40 【0032】 本発明の1つの好ましい態様において、細胞増殖は乳癌、肺癌(NSCLCおよびSC LC)、原発性または二次性のCNS腫瘍、および悪性メラノーマから成る群より選択さ れる癌である。 【0033】 本発明の1つのより好ましい態様において、細胞増殖は乳癌、非小細胞肺癌および小細 胞肺癌から成る群より選択される癌である。 本発明の1つの好ましい態様において、異常な細胞増殖は転移癌または初期癌である癌 である。 【0034】 50 (9) JP 2008-501007 A 2008.1.17 本発明の1つの好ましい態様において、癌治療は、ネオアジュバントの状態、アジュバ ントの状態、または転移性疾患の状態において投与される。 本発明の1つの好ましい態様は、癌を有する被験者に、経口カンプトテシン、10−ヒ ドロキシカンプトテシン、9−アミノカンプトテシン、9−ニトロカンプトテシン、イリ ノテカン、イリノテカンの塩、SN−38、CPT−11およびトポテカンから成る群よ り選択される経口カンプトテシン誘導体、またはそれらの医薬的に受容可能な塩、溶媒和 物もしくはプロドラッグ、ならびにゲムシタビン、MTA、およびカペシタビンから成る 群より選択されるピリミジン誘導体、またはそれらの医薬的に受容可能な塩、溶媒和物も しくはプロドラッグを投与することを包含する、被験者の癌を治療する方法に関し、その 場合前記の経口カンプトテシン、および経口カンプトテシン誘導体、ならびにピリミジン 10 誘導体、または前記のそれらの医薬的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはプロドラッグは 、別々にまたは逐次的に投与する。 【0035】 本発明の1つの態様は、以下:(i)経口カンプトテシン、10−ヒドロキシカンプト テシン、9−アミノカンプトテシン、9−ニトロカンプトテシン、イリノテカン、イリノ テカンの塩、SN−38、CPT−11およびトポテカンから成る群より選択される経口 カンプトテシン誘導体、またはそれらの医薬的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはプロド ラッグの治療有効量、ならびに(ii)ゲムシタビン、MTAおよびカペシタビンからな る群より選択されるピリミジン誘導体、または医薬的に受容可能なそれらの塩、溶媒和物 もしくはプロドラッグの治療有効量を、どちらの順序でも逐次的にまたは別々にそのよう 20 な治療を必要とする癌を有する哺乳動物に投与すること、を包含する前記哺乳動物を治療 する方法に関する。 【0036】 本発明の1つの好ましい態様において、経口カンプトテシンおよび経口カンプトテシン 誘導体、ならびにピリミジン誘導体の組合せは、前記癌を治療するために治療上有効であ る。 【0037】 本発明の1つの好ましい態様において、経口カンプトテシン誘導体は1日に1回投与す る。 本発明の1つの好ましい態様において、ピリミジン誘導体は2回投与する。 30 【0038】 本 発 明 の 1 つ の 好 ま し い 態 様 に お い て 、 4 0 か ら 5 0 m g /m 2 の量の経口CPT−1 1を1日に1回投与する。 本 発 明 の 1 つ の よ り 好 ま し い 態 様 に お い て 、 4 0 か ら 4 5 m g /m 2 の量の経口CPT −11を1日に1回投与する。 【0039】 本 発 明 の 最 も 好 ま し い 態 様 に お い て 、 4 0 m g /m 2 の量の経口CPT−11を1日に 1回投与する。 本 発 明 の も う 1 つ の 最 も 好 ま し い 態 様 に お い て 、 5 0 m g /m 2 の量の経口CPT−1 1を1日に1回投与する。 40 【0040】 本 発 明 の 1 つ の 好 ま し い 態 様 に お い て 、 8 0 0 か ら 1 2 5 0 m g /m 2 の量のカペシタ ビンを1日に2回投与する。 本 発 明 の よ り 好 ま し い 態 様 に お い て 、 8 0 0 か ら 1 0 0 0 m g /m 2 の量のカペシタビ ンを1日に2回投与する。 【0041】 本 発 明 の 1 つ の 最 も 好 ま し い 態 様 に お い て 、 8 0 0 m g /m 2 の量のカペシタビンを1 日に2回投与する。 本 発 明 の も う 1 つ の 最 も 好 ま し い 態 様 に お い て 、 1 0 0 0 m g /m ンを1日に2回投与する。 2 の量のカペシタビ 50 (10) JP 2008-501007 A 2008.1.17 【0042】 本発明の1つの好ましい態様において、経口カンプトテシンまたは経口カンプトテシン 誘導体およびピリミジン誘導体は、1つのレジメン、サイクル、スケジュール、またはコ ースの間に、別々にまたは逐次的に投与する。 【0043】 本発明の1つのより好ましい態様において、経口カンプトテシンまたは経口カンプトテ シン誘導体およびピリミジン誘導体は、1つのレジメンの間に、別々にまたは逐次的に投 与する。 【0044】 本発明の1つのより好ましい態様において、経口カンプトテシンまたは経口カンプトテ 10 シン誘導体およびピリミジン誘導体は、1つのサイクルの間に、別々にまたは逐次的に投 与する。 【0045】 本発明の1つのより好ましい態様において、経口カンプトテシンまたは経口カンプトテ シン誘導体およびピリミジン誘導体は、1つのスケジュールの間に、別々にまたは逐次的 に投与する。 【0046】 本発明の1つのより好ましい態様において、経口カンプトテシンまたは経口カンプトテ シン誘導体およびピリミジン誘導体は、1つのコースの間に、別々にまたは逐次的に投与 する。 20 【0047】 本発明の1つの好ましい態様において、経口カンプトテシンまたは経口カンプトテシン 誘導体およびピリミジン誘導体は、別々に投与する。 本発明の1つの好ましい態様において、経口カンプトテシンまたは経口カンプトテシン 誘導体およびピリミジン誘導体は、逐次的に投与する。 【0048】 本発明の1つの好ましい態様において、サイクルは1回またはそれより多くの治療サイ クルである。 本発明の1つの好ましい態様において、1回またはそれより多くの各治療サイクルは、 少なくとも3週間の期間である。 30 【0049】 本発明の1つの好ましい態様において、経口CPT−11は、このサイクル中5日間投 与する。 本発明の1つの好ましい態様において、このサイクル中の5日の経口CPT−11投与 は連続して行う。 【0050】 本発明の1つの好ましい態様において、経口CPT−11は治療サイクルの第1日から 第5日までの間投与する。 本発明の1つの好ましい態様において、カペシタビンは治療サイクルの9日間投与する 。 40 【0051】 本発明の1つの好ましい態様において、治療サイクル中の9日のカペシタビン投与は連 続して行う。 本発明の1つの好ましい態様において、カペシタビンは治療サイクルの第6日から第1 4日までの間投与する。 【0052】 本発明の1つの好ましい態様において、経口カンプトテシン誘導体は、被包性半固体マ トリックス製剤として投与する。 本発明の1つの好ましい態様において、被包性半固体マトリックス製剤はカプセル内に 存在する。 50 (11) JP 2008-501007 A 2008.1.17 【0053】 本発明の1つの好ましい態様において、被包性半固体マトリックス製剤にて投与される 経口カンプトテシン誘導体は、CPT−11である。 本 発 明 の 1 つ の よ り 好 ま し い 態 様 に お い て 、 半 固 体 マ ト リ ッ ク ス 製 剤 は Geluireお よ び レ シ チ ン ( Lecithin) を 包 含 す る 。 【0054】 本発明の1つの好ましい態様において、ピリミジン誘導体は経口投与剤形として投与す る。 本発明の1つの好ましい態様において、ピリミジン誘導体はカペシタビンである。 【0055】 10 本発明の1つの好ましい態様において、当該少なくとも3週の治療サイクルは、経口カ ンプトテシン、および、10−ヒドロキシカンプトテシン、9−アミノカンプトテシン、 9−ニトロカンプトテシン、イリノテカン、イリノテカンの塩、SN−38、CPT−1 1およびトポテカンから成る群より選択される経口カンプトテシン誘導体、ならびにピリ ミジン誘導体の休薬日である。 【0056】 本発明のもう1つの好ましい態様は、異常な細胞増殖を有する被験者に、経口カンプト テシン、経口カンプトテシン誘導体、またはそれらの医薬的に受容可能な塩、溶媒和物も しくはプロドラッグ、およびピリミジン誘導体またはその医薬的に受容可能な塩、溶媒和 物もしくはプロドラッグを投与することを包含する、前記被験者における異常な細胞増殖 20 を治療する方法に関し、その場合経口カンプトテシン、経口カンプトテシン誘導体、また はそれらの医薬的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ、およびピリミジン誘 導体またはその医薬的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはプロドラッグは、治療サイクル の間に別々にまたは逐次的に投与する。 【0057】 本発明の1つの好ましい態様において、経口カンプトテシンまたは経口カンプトテシン 誘導体は、カンプトテシン、10−ヒドロキシカンプトテシン、9−アミノカンプトテシ ン、9−ニトロカンプトテシン、イリノテカン、イリノテカンの塩、SN−38、CPT −11、トポテカン、またはそれらの医薬的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはプロドラ ッグから成る群より選択される。 30 【0058】 本発明の1つの好ましい態様において、経口カンプトテシン誘導体は、イリノテカン、 SN−38、トポテカン、またはそれらの医薬的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはプロ ドラッグから成る群より選択される。 【0059】 1つの好ましい態様において、本発明の方法は以下:(i)経口CPT−11の治療有 効量、および(ii)カペシタビンの治療有効量を、どちらの順序でも逐次的にまたは別 々に、そのような治療を必要とする癌を有する哺乳動物に投与すること、を包含する前記 哺乳動物を治療することを包含する。 【0060】 40 本発明のより好ましい態様は、経口CPT−11およびカペシタビンを、癌を有する被 験者に逐次的に投与することを包含する、前期被験者の癌を治療する方法に関し、その場 合 、 4 0 か ら 5 0 m g /m 2 の経口CPT−11を3週サイクルの第1日から第5日に投 与 し 、 8 0 0 か ら 1 2 5 0 m g /m 2 のカペシタビンを3週サイクルの第6日から第14 日に投与する。 【0061】 本発明の1つの好ましい態様において、経口CPT−11は1日1回投与する。 本発明の1つの好ましい態様において、カペシタビンは1日2回投与する。 本発明の1つの好ましい態様において、経口CPT−11およびカペシタビンは1つの レジメン、サイクル、スケジュールまたはコースの間に投与する。 50 (12) JP 2008-501007 A 2008.1.17 【0062】 本発明の1つのより好ましい態様において、経口CPT−11およびカペシタビンは1 つのレジメンの間に投与する。 本発明の1つのより好ましい態様において、経口CPT−11およびカペシタビンは1 つのサイクルの間に投与する。 【0063】 本発明の1つのより好ましい態様において、経口CPT−11およびカペシタビンは1 つのスケジュールの間に投与する。 本発明の1つのより好ましい態様において、経口CPT−11およびカペシタビンは1 つのコースの間に投与する。 10 【0064】 本発明の1つの好ましい態様において、薬剤のサイクルが3週の期間である場合、サイ クルの第3週は休薬期間である。 本発明のもう1つの態様は、ピリミジン誘導体の有効量を、癌の治療に有用である経口 カンプトテシン、経口カンプトテシン誘導体、またはインドロピロカルバゾール誘導体の 有効量と組み合わせて包含する、治療用医薬組成物に関する。 【0065】 もう1つの側面において本発明の方法は、組合せの投与法への方向付けを行う。より特 定すれば併用療法の活性物質は、どちらの順序でも逐次的に投与する。活性物質を逐次的 に投与する場合、当業者は、第2の物質を第1の物質の後のある時点で投与することがで 20 きることを理解するだろう。投与を遅らせる特定の期間は、活性物質の特定の薬物動態学 および製剤のパラメータに依存する。 【0066】 本発明のもう1つの側面は、組合せ用量の最小化である。活性物質に関する個々の投与 量のレジメンは、医薬剤の中止をもたらす可能性のある望ましくない副作用をもたらし得 る場合がしばしばある。本発明の1つの特定の好ましい態様は、癌を治療するために必要 な最小用量に投与量を減量することである。したがって1つの好ましい態様は、双方の活 性物質の量が、どちらかの薬剤の単剤で効能のある用量より少量である組合せの投与であ る。本発明のもう1つの態様は、どちらかの薬剤の単剤の活性を上回る活性を有する組合 せの投与である。好ましい組合せは、どちらかの単剤と比較して組合せが相乗的であるも 30 の で あ る 。 好 ま し く は こ の 組 合 せ は 超 相 加 的 (superadditive)で あ る 。 【0067】 本発明はまた、上に定義したような組合せ、およびすべての成分の投与に関する添付文 書を包含する、異常な細胞増殖の治療のためのキットに関する。特定の側面において、具 体的な経口カンプトテシンおよびカンプトテシン誘導体およびその投与法が添付文書に記 載される。本発明のキットのもう1つの特定な側面において、添付文書はピリミジン誘導 体を特定し、その投与法を記載する。前記キットのもう1つの態様において、前記の異常 な細胞増殖は、中皮腫、肝胆管系(肝臓および胆管)の癌、原発性もしくは二次性のCN S腫瘍、原発性もしくは二次性の脳腫瘍、肺癌(NSCLCおよびSCLC)、骨癌、膵 臓癌、皮膚癌、頭部もしくは頸部の癌、皮膚もしくは眼内のメラノーマ、卵巣癌、結腸癌 40 、直腸癌、肛門領域の癌、胃癌、消化器(胃、結腸直腸、および十二指腸)の癌、乳癌、 子宮癌、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、膣癌、外陰部癌、ホジキンス病、食道癌、小腸 の癌、内分泌系の癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、前 立腺癌、慢性もしくは急性の白血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱癌、腎臓または尿管の癌 、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄腫瘍 、脳幹グリオーマ、下垂体腺腫、副腎皮質癌、胆嚢癌、多発性骨髄腫、胆管癌、線維肉腫 、または前述の癌の1つもしくはそれより多くの組み合わせを含むがこれに限定されない 癌である。 【0068】 前記キットのもう1つの態様において、前記の異常な細胞増殖は、乾癬、良性前立腺肥 50 (13) JP 2008-501007 A 2008.1.17 大または再狭窄を含むがこれに限定されない良性増殖性疾患である。 “医薬的に受容可能な塩(1つまたは複数)”という表現は本明細書において使用する 場合他に指摘していなければ、本発明の化合物において存在してよい酸性または塩基性の 基の塩を含む。本質的に塩基性である本発明の化合物は、多様な無機酸および有機酸と共 に広く多様な塩を形成することが可能である。そのような塩基性化合物の医薬的に受容可 能な酸付加塩を調製するために使用してよい酸は、非毒性の酸付加塩を形成するもの、す なわち、薬学的に受容可能なアニオンを含有する塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ 化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、 酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸 塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマ 10 ル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタ ミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トル エ ン ス ル ホ ン 酸 塩 、 お よ び パ モ 酸 塩 [す な わ ち 、 1 , 1 ’ − メ チ レ ン − ビ ス − (2 − ヒ ド ロ キ シ − 3 − ナ フ ト エ ー ト )]の 塩 を 含 有 す る 塩 で あ る 。 塩 基 性 部 分 、 例 え ば ア ミ ノ 基 を 含 む 本発明の化合物は、上に記載した酸に加えて多様なアミノ酸と共に医薬的に受容可能な塩 を形成してよい。 【0069】 本質的に酸性である本発明の組合せの活性化合物は、多様な薬学的に受容可能なカチオ ンと共に塩基性塩を形成することが可能である。そのような塩の例は、本発明の化合物の アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩、特にカルシウム、マグネシウム、ナトリウム 20 およびカリウムの塩を含む。 【0070】 本発明の組合せの活性化合物内のある種の官能基は、バイオアイソステリックな基、す なわち親基と類似の空間的または電荷的な必要性を有するが、異なるまたは改善された生 理化学的またはその他の特性を呈する基で置換することができる。適切な例は当業者に周 知 で あ り 、 Patini et al., Chem. Rev, 1996, 96, 3147-3176お よ び 同 文 献 で 引 用 さ れ た 参考文献において記載されている部分を含むが、これに限定されない。 【0071】 本発明の化合物は不斉中心を有し、そのため異なるエナンチオマーおよびジアステレオ マーの形で存在する。本発明は、本発明の化合物のすべての光学異性体および立体異性体 30 、およびそれらの混合物、ならびにそれらを使用または含有してよいすべての医薬組成物 および治療法に関する。本発明の組合せの化合物はまた、互変異性体として存在してもよ い。本発明は、すべてのそのような互変異性体およびそれらの混合物の使用に関する。 【0072】 本発明の主題はまた、同位体標識した化合物、ならびにそれらの医薬的に受容可能な塩 、溶媒和物およびプロドラッグを含む、その場合これらの物質は、1つまたはそれより多 くの原子が、天然に通常見出される原子量または質量数とは異なる原子量または質量数を 有する原子により置き換えられているという事実を除いて、本明細書に記載した活性化合 物として引用したものと同一である。本発明の化合物中に組み込むことのできる同位体の 例として、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素および塩素の同位体、例えば各々、 H、 3 H、 1 3 C、 1 4 C、 1 5 N、 1 8 O、 1 7 O、 3 5 S、 1 8 F、および 3 6 2 40 Cl を 含 む 。 前 述 の 同 位 体 お よ び /ま た は 他 の 原 子 の 他 の 同 位 体 を 含 有 す る 本 発 明 の 化 合 物 、 それらのプロドラッグ、および前記化合物または前記プロドラッグの医薬的に受容可能な 塩は、本発明の範囲内である。同位体標識した本発明のある種の化合物、例えば放射性同 位体、例えば 3 Hおよび 1 4 C が 組 み 込 ま れ て い る 化 合 物 は 、 薬 剤 お よ び /ま た は 基 質 組 織 の 分 布 ア ッ セ イ に お い て 有 用 で あ る 。 ト リ チ ウ ム (tritiated)、 す な わ ち 炭素−14、すなわち 1 4 3 H、および Cの同位体は、それらの調製および検出能力の容易さのため特 に好ましい。さらにより重い同位体、例えば重水素、すなわち 2 Hでの置換は、より高い 代 謝 の 安 定 性 、 例 え ば 増 加 さ れ る in vivo半 減 期 ま た は 減 量 さ れ る 必 要 な 投 与 量 に 起 因 す るある種の治療上の利点を提供することができ、それ故一部の状況においては好ましいと 50 (14) JP 2008-501007 A 2008.1.17 思われる。同位体標識した本発明の組合せの活性化合物およびそれらのプロドラッグは、 一般に当業者に周知の方法により調製することができる。 【0073】 本発明はまた、本発明の組合せの活性化合物のプロドラッグを含有する医薬組成物、お よびそのプロドラッグを投与することにより癌を治療する方法を包含する。フリーのアミ ノ基、アミド基、ヒドロキシ基、またはカルボキシル基を有する活性化合物は、プロドラ ッグに変換することができる。プロドラッグは、1つのアミノ酸残基、または2つまたは それより多く(例えば2つ、3つまたは4つ)のアミノ酸残基のポリペプチド鎖を、活性 化合物のフリーのアミノ基、ヒドロキシ基、またはカルボン酸基に、アミド結合またはエ ステル結合を通して共有結合する化合物を含む。アミノ酸残基は、通常3文字の記号で表 10 される20の天然に産生されるアミノ酸を含むがこれに限定されず、4−ヒドロキシプロ リ ン 、 ヒ ド ロ キ シ リ ジ ン 、 デ モ シ ン (demosine)、 イ ソ デ モ シ ン 、 3 − メ チ ル ヒ ス チ ジ ン 、 ノルバリン、ベータ−アラニン、ガンマ−アミノ酪酸、シトルリン、ホモシステイン、ホ モセリン、オルニチン、およびメチオニンスルホンもまた含む。付加的なタイプのプロド ラッグもまた包括的に含まれる。例えばフリーのカルボキシル基は、アミドまたはアルキ ル の エ ス テ ル と し て 誘 導 体 化 す る こ と が で き る 。 フ リ ー の ヒ ド ロ キ シ 基 は 、 Advanced Dru g Delivery Reviews, 1996, 19,115 に 概 説 さ れ て い る よ う に 、 ヘ ミ ス ク シ ネ ー ト 、 ホ ス フェートエステル、ジメチルアミノアセテート、およびホスホリルオキシメチルオキシカ ルボニルを含むがこれに限定されない基を用いて誘導体化してよい。ヒドロキシ基および アミノ基のカルバメートプロドラッグはまた、カルボネートプロドラッグの様に、ヒドロ 20 キシ基のスルホン酸エステルおよび硫酸エステルを含む。ヒドロキシ基の、(アシルオキ シ)メチルエーテルおよび(アシルオキシ)エチルエーテルとしての誘導体化もまた包括 的に含み、その場合アシル基は、所望によりエーテル、アミンおよびカルボン酸の官能基 を含むがこれに限定されない基で置換されたアルキルエステルでよい、またはその場合ア シ ル 基 は 上 に 記 載 し た よ う な ア ミ ノ 酸 エ ス テ ル で あ る 。 こ の タ イ プ の プ ロ ド ラ ッ グ は 、 J. Med. Chem. 1996, 39,10 に 記 載 さ れ て い る 。 フ リ ー の ア ミ ン は ま た 、 ア ミ ド 、 ス ル ホ ン アミド、またはホスホンアミドとして誘導体化することができる。これらのプロドラッグ 部分はすべて、エーテル、アミンおよびカルボン酸の官能基を含むがこれに限定されない 基を組み込んでよい。 【0074】 30 相乗作用および相乗的という用語は、2つまたはそれより多くのエフェクターまたは活 性物質の組合せが、どちらかの物質単独の活性より少なくとも大きく、そして好ましくは それらの効果において少なくとも相加的であることを意味する。より好ましくは相乗作用 は相加的より大きい。最も好ましくは相乗作用は超相加的である。“相加的”という用語 は、2つまたはそれより多くのエフェクターまたは物質の組合せの結果が、各エフェクタ ーまたは物質を合わせた合計より大きく、好ましくは組合せの相加的効果より少なくとも 10パーセント大きいことを意味するために使用する。“超相加的”という用語は、2つ またはそれより多くのエフェクターの組合せの結果が、組合せの相加性より少なくとも2 5パーセントより大きいことを意味するために使用する。 【0075】 40 (発明の詳細な説明) 本 発 明 は 、 中 国 原 産 樹 木 で あ る Camptotheca acuminata中 に 天 然 に 産 生 さ れ る 化 合 物 に 由来するカンプトテシン類似体であり、そしてトポイソメラーゼ−I阻害薬である、イリ ノ テ カ ン [1 , 4 ’ − ビ ピ ペ リ ジ ン ]− 1 ’ − カ ル ボ ン 酸 (4 S )− 4 , 1 1 − ジ エ チ ル − 3 ,4,12,14−テトラヒドロ−4−ヒドロキシ−3,14−ジオキソ−1H−ピラノ [3 ’ , 4 ’ : 6 , 7 ]イ ン ド リ ジ ノ [1 , 2 − b ]キ ノ リ ン − 9 − イ ル エ ス テ ル ( C A S RN 97682−44−5)に関する。イリノテカンは、米国特許第4,604,46 3 号 、 欧 州 特 許 第 8 3 5 , 2 5 7 号 、 ま た は S. Sawada et al., Chem. Pharm. Bull. 39, 1446 (1991)に 開 示 さ れ た 方 法 に 従 っ て 調 製 す る こ と が で き る 。 臨 床 的 に は C P T − 1 1 として調べられている塩酸イリノテカン三水和物は、市販にて入手可能な化合物(カンプ 50 (15) JP 2008-501007 A 2008.1.17 ト サ ル ( 登 録 商 標 ) ; Pfizer, Inc. お よ び カ ン プ ト ( 登 録 商 標 ) 、 Aventis) で あ る 。 イ リノテカンおよびカンプトテシンの他の類似体は、独特の作用機序を有する新たなクラス の細胞傷害性化学療法薬である。これらの薬剤は、DNAの転写、複製および修復におい て中心的役割を果たす核の酵素であるトポイソメラーゼI酵素と特異的に相互作用し、ト ポイソメラーゼI阻害薬として知られている。 【0076】 イリノテカンは、親油性代謝産物であるSN−38の、水溶性の前駆物質として供給さ れる。SN−38は、カンプトテシン部分およびジピペリジノ側鎖間のカルバメート結合 のカルボキシルエステラーゼを介しての開裂により、イリノテカンから形成される。親の 薬 剤 か ら S N − 3 8 に 変 換 す る 主 な in vivoの 部 位 は 、 カ ル ボ キ シ ル エ ス テ ラ ー ゼ が 豊 富 10 である肝臓であると考えられている。しかし変換はまた、他の正常な組織および腫瘍部位 でも起こると思われる。イリノテカンまたはその代謝産物SN−38の作用機序は、DN A合成時にトポイソメラーゼI、DNA、およびイリノテカンまたはSN−38のどちら かにより形成される三元複合体と複製酵素が相互作用して切断された鎖の再連結を妨げる ことになる、DNA合成中に生成される二本鎖DNAの損傷による。哺乳類の細胞はこれ ら の 二 本 鎖 の 切 断 を 効 率 的 に 修 復 す る こ と は で き な い 。 in vitro の 細 胞 傷 害 の ア ッ セ イ は、イリノテカンと比較してのSN−38の効力が、2倍から2000倍に変化すること を示す。しかしSN−38に関する血漿の濃度時間曲線下面積(AUC)の値は、イリノ テカンの2%から8%であり、イリノテカンはおよそ50%が血漿タンパク質と結合する のと比較して、SN−38は95%が血漿タンパク質と結合する。したがってSN−38 20 は 、 イ リ ノ テ カ ン の in vivo の 活 性 に 関 し て 主 な 責 任 を 担 う 物 質 で あ る と 考 え ら れ て い る が、イリノテカンの活性に対するSN−38の正確な寄与はわかっていない。 【0077】 イリノテカンおよびSN−38の双方とも、活性なラクトン型および不活性なヒドロキ シ酸アニオン型で存在する。酸性のpHはラクトンの形成を促進し、一方より塩基性のp Hはヒドロキシ酸アニオン型を好むという、pH依存性の平衡がこの2つの型の間に存在 する。 【0078】 塩酸イリノテカン三水和物(カンプトサル(登録商標))のIV製剤は、5−FUに基 づいた治療後に疾患が再発または進行した結腸または直腸の転移癌を有する被験者の治療 30 用として、既に多くの国で市販されている。加えてイリノテカンのIV製剤は、結腸また は直腸の転移癌の被験者のための、5−FUおよびロイコボリンとの組合せにおける一次 治療の成分として適用される。 【0079】 経口イリノテカンのSSM製剤の調製は、2001年5月3日に公開された国際特許出 願 第 W O 2 0 0 1 /3 0 3 5 1 号 に 詳 細 に 記 載 さ れ て お り 、 ま た イ リ ノ テ カ ン の 経 口 送 達のための代替製剤が、米国特許第6,569,453号に記載されており、これらの双 方をそれらの全内容において本明細書にて参照として援用する。経口塩酸イリノテカン三 水和物は好ましくは、活性な薬剤の実質 5mg、20mg、または50mgを含有する ( 不 活 性 成 分 と し て 、 好 ま し い 形 で あ る レ シ チ ン お よ び ラ ウ リ ル マ ク ロ ゴ ル グ リ セ リ ド (m 40 acrogolglyceride)類 を 含 む ) カ プ セ ル 中 に 半 固 体 マ ト リ ッ ク ス ( S S M ) 製 剤 の 形 で 製 剤 化 す る 。 5 m g お よ び 2 0 m g の カ プ セ ル は 、 サ イ ズ 2 の ラ イ キ ャ ッ プ (Licap)( 登 録 商 標 ) タ イ プ の セ ル フ ロ ッ キ ン グ (self-locking)ハ ー ド ゼ ラ チ ン カ プ セ ル と し て の 外 形 を とり、黄色ワックス状の塊を含有する不透明白色のボディーおよびキャップを有する。5 0mgカプセルは、サイズ0のライキャップ(登録商標)タイプのセルフロッキングハー ドゼラチンカプセルとしての外形をとり、不透明白色のキャップおよびボディーに黄色ワ ックス状の塊を含有する。カプセルは、子供に安全な不正開封防止付プラスチックスクリ ューキャップの高密度ポリエチレン(HDPE)のビン中に提供した。 【0080】 本発明はまた経口カンプトテシンの使用に関する。 50 (16) JP 2008-501007 A 2008.1.17 より具体的には本発明は、10−ヒドロキシカンプトテシン、9−アミノカンプトテシ ン、9−ニトロカンプトテシン、イリノテカン、イリノテカンの塩、SN−38,CPT −11およびトポテカンを含むがこれに限定されないカンプトテシン誘導体、ならびにイ ンドロピロカルバゾール誘導体、そしてピリミジン誘導体と共同しての抗癌治療に関する 。 【0081】 ピリミジン誘導体は、ウラシル、チミン、シトシン、メチルシトシン、およびチアミン を含有する化合物を含むがこれに限定されない。そのようなピリミジン誘導体の例は、カ ペ シ タ ビ ン 、 ゲ ム シ タ ビ ン 、 ペ メ ト レ キ セ ド と し て も 知 ら れ て い る 多 重 標 的 (multi-targe ted)葉 酸 拮 抗 薬 ( M T A ) で あ る 。 10 【0082】 1つの好ましい態様において、インドロピロカルバゾール誘導体は経口投与する。イン ドロピロカルバゾール誘導体は、以下の米国特許、第5,589,365号、第5,43 7,996号、第5,643,760号、第5,591,824号および第5,668, 271号に記載されており、これらすべてをそれらの全内容において参照として援用する 。 【0083】 1つの好ましい態様において、インドロピロカルバゾール誘導体は下に示すエドテカリ ンおよびその医薬的に受容可能な塩である: 【0084】 20 【化1】 30 【0085】 以下の米国特許第5,804,564号および第5,922,860号は、エドテカリ ンおよび前記物質の作製法について記載しており、前述の特許双方をそれらの全内容にお いて参照として援用する。 【0086】 本明細書において援用した欧州特許EP 137,145は、以下の式のカプトテシン 誘導体について記載している: 【0087】 40 (17) JP 2008-501007 A 2008.1.17 【化2】 【0088】 10 式中、特に、R1 は水素、ハロゲンまたはアルキルであり、Xは塩素原子またはNR2 R 3 であり、ここで同一であっても異なっていてもよいR2 およびR3 は、水素原子、所望 により置換されているアルキルラジカル、所望により置換されている炭素環もしくは複素 環 、 ま た は そ れ ら が 結 合 す る チ ッ 素 原 子 と 共 に 、 O 、 S お よ び /ま た は N R 4 よ り 選 択 さ れるもう1つのヘテロ原子を所望により含有する複素環を形成するアルキルラジカル(所 望により置換されている)を表してよい。ここでR4 は水素原子またはアルキルラジカル であり、その場合X−CO−O−基は環A上の9、10または11の位置に位置する。 【0089】 これらのカンプトテシン誘導体はトポイソメラーゼIを阻害する抗癌剤であるが、その 中 で X − C O − O − が [4 − (1 − ピ ペ リ ジ ノ − 1 − ピ ペ リ ジ ノ ]カ ル ボ ニ ル オ キ シ で あ る 20 イリノテカンは、固形腫瘍、そして特に結腸直腸癌の治療に特に有効である活性な本質で ある。 【0090】 欧州特許出願EP 74,256もまた、これもまた抗癌剤として記載されている他の カンプトテシン誘導体、特に上に示した構造に類似する構造の誘導体で、その場合X−C O−O−がラジカル−−X’R’(X’はOまたはSであり、R’は水素原子またはアル キルラジカルまたはアシルラジカルである)で置き換えられているものについて記載して いる。 【0091】 他のカンプトテシン誘導体もまた、例えば特許または特許出願のEP 56,692、 30 EP 88,642、EP 296,612、EP 321,122、EP325,24 7 、 E P 5 4 0 , 0 9 9 、 E P 7 3 7 , 6 8 6 、 W O 9 0 /0 3 1 6 9 、 W O 9 6 /3 7 4 9 6 、 W O 9 6 /3 8 1 4 6 、 W O 9 6 /3 8 4 9 9 、 W O 9 7 /0 0 8 7 6、米国特許第7,104,894号、JP 57 116,015、JP 57 11 6,074、JP 59 005,188、JP 60 019,790、JP 01 249,777、JP 01 246,287およびJP 91 12070において、 ま た は Canc. Res., 38 (1997) Abst. 1526 ま た は 95 (San Diego-4月 12日 -16日 )、 Canc. Res., 55(3): 603-609 (1995)ま た は AFMC Int. Med. Chem. Symp. (1997) Abst. PB-55 ( ソ ウ ル --7月 27日 -8月 1日 )に お い て 記 載 さ れ て い る 。 【0092】 40 カンプトテシン誘導体は通常注射により、より特定すれば無菌の溶液またはエマルジョ ンの形で静脈内に投与する。しかしカンプトテシン誘導体はまた、固体または液体の組成 物の形で経口投与することもできる。 【0093】 5−FUの経口での低いバイオアベイラビリティーを克服するために使用されてきた方 法として、良好なバイオアベイラビリティーを有し、最終的に5−FUに変換されるプロ ドラッグの投与を伴う。カペシタビンは、チミジレートシンターゼの阻害剤として主に作 用すると考えられるフルオロピリミジン代謝拮抗薬である。市販により入手可能なカペシ タビン(N 4 −ペンチルオキシカルボニル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン、ゼ ロ ー ダ (Xeloda)( 登 録 商 標 ) ) は 、 活 性 な 薬 剤 の 実 質 1 5 0 m g ま た は 5 0 0 m g を 含 有 50 (18) JP 2008-501007 A 2008.1.17 する両凸長円のフィルムコートした錠剤として供給されている;不活性成分としてラクト ース、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロー ス、ステアリン酸マグネシウム、および水を含む。150mgの錠剤は、片面にXELO DA、そして対面に150と刻まれた淡いピーチ色に着色された錠剤としての外形をとる 。500mgの錠剤は、片面にXELODA、そして対面に500と刻まれたピーチ色に 着色された錠剤としての外形をとる。この淡いピーチ色またはピーチ色のフィルムコーテ ィングは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、タルク、二酸化チタン、および合成の 黄色および赤色の鉄酸化物を含有する。カプセルはガラス瓶中に提供するものとする。 【0094】 カペシタビンは、抗新生物活性を有するフルオロピリミジンカルバメートである。この 10 物質は、体内で5−フルオロウラシルに変換される5’−デオキシ−5−フルオロウリジ ン ( 5 '− D F U R ) の 経 口 投 与 用 プ ロ ド ラ ッ グ で あ る 。 カ ペ シ タ ビ ン は 5 − F U 抵 抗 性 のものを含む、結腸直腸癌、乳癌、ならびに頭部および頚部の癌において活性を示した。 【0095】 カ ペ シ タ ビ ン の 化 学 名 は 、 5 ’ − デ オ キ シ − 5 − フ ル オ ロ − N − [(ペ ン チ ル オ キ シ )− カ ル ボ ニ ル ]− シ チ ジ ン で あ り 、 分 子 量 3 5 9 . 3 5 を 有 す る 。 カ ペ シ タ ビ ン は 以 下 の 構 造式を有する: 【0096】 【化3】 20 【0097】 カペシタビンは、健常な組織と比較して腫瘍組織内において酵素チミジンホスホリラー ゼが高濃度であることを利用して、腫瘍選択的な5−FUの産生をもたらす、活性化の独 特な作用機序を有する。この物質は消化管から容易に吸収され、好ましいことに腫瘍組織 内で5−FUに変換される。経口投与後、カペシタビンは無変化のまま消化管から肝臓ま 30 で通過し、肝臓でカルボキシルエステラーゼにより5’−デオキシ−5−フルオロシチジ ン ( 5 '− D F C R ) に 変 換 さ れ た 後 、 肝 臓 お よ び 腫 瘍 組 織 内 で シ チ ジ ン デ ア ミ ナ ー ゼ に よ り 5 ’ − デ オ キ シ − 5 − フ ル オ ロ ウ リ ジ ン ( 5 '− D F U R ) に 変 換 さ れ 、 最 終 的 に 腫 瘍組織内でチミジンホスホリラーゼ(dThdPase)により5−FUに変換される。 【0098】 ゼ ロ ー ダ ( 登 録 商 標 ) ( カ ペ シ タ ビ ン 、 Roche Laboratories, Inc., Nutley, NJ 07110 )は、フルオロピリミジン単剤療法での治療が好ましい場合の、転移結腸直腸癌の患者の 一 次 治 療 と し て 適 用 さ れ る 。 併 用 化 学 療 法 は 、 5 − F U /L V と 比 較 し て 生 存 期 間 の 利 点 が示された。ゼローダ(登録商標)はまた、先に行ったアントラサイクリンを含有する化 学療法失敗後の転移乳癌の患者の治療用として、ドキセタキセルとの組合せにおいて認可 40 されている。ゼローダ(登録商標)はまた、パクリタキセル療法およびアントラサイクリ ン療法の双方に抵抗性の転移乳癌の患者、例えばドキソルビシン均等物の投与された蓄積 用 量 、 4 0 0 m g /m 2 を有する患者の治療用として適用される。抵抗性は、初期応答を 伴う場合または伴わない場合の治療中に進行した疾患、またはアントラサイクリンを含有 するアジュバント療法のレジメンによる治療完了の6ヶ月以内の再発として定義する。 【0099】 1つの好ましい態様において、治療サイクルは少なくとも4週であり、より好ましい態 様においては、治療サイクルは少なくとも3週である。 薬剤を半固体マトリックス(SSM)として被包化したイリノテカンの新規経口製剤が 、 Pfizerに よ り 開 発 さ れ た 。 S S M カ プ セ ル は 、 製 造 中 お よ び 取 り 扱 い 中 で の 改 善 さ れ た 50 (19) JP 2008-501007 A 2008.1.17 安全性のため、好ましい製剤である。SSM製剤は、意図しない被験者、例えば家族のメ ンバー、薬剤師、および癌を治療する患者の医師への、細胞傷害性物質の意図しない暴露 を避けられる。 【0100】 新規SSMカプセル製剤および先の第I相試験で使用されたPFC製剤のバイオアベイ ラビリティーを、イヌにおいて比較した。4頭のイヌに、クロスオーバーデザインで各製 剤50mgを投与した。血液サンプルを集め、HPLCを用いて総イリノテカン濃度につ いて分析した。2つの製剤投与後の血漿中濃度−時間プロットの平均値は、類似すること が発見された。イリノテカンのバイオアベイラビリティーはイヌにおいて試験した場合、 新規SSMカプセルおよびPFC製剤間で同等であった。 10 【0101】 フルオロピリミジンである5−フルオロウラシル(5−FU)およびトポイソメラーゼ I阻害薬であるCPT−11の双方とも、静脈内(IV)投与したときに広範囲の腫瘍活 性を有する有効な抗新生物物質であることが知られている。これらの薬剤は、転移結腸直 腸癌の治療におけるケアのスタンダードとなってきた。 【0102】 細胞周期特異的な物質、例えばフルオロピリミジンまたはCPT−11の経口投与は、 これらのタイプの物質のIV投与に代わる魅力的な代替法である。経口製剤は、持続的な IV注入を必要とすることなく、活発に周期を繰り返す悪性細胞に対して遅延性の薬剤暴 露を達成することができる。経口製剤は、患者にとっての簡便性および長期的薬剤投与の 20 より安価な手段という利点を提供すると思われる。 【0103】 本発明の1つの好ましい態様において、カンプトテシン誘導体、例えばイリノテカンの 経口製剤は、他の経口化学療法と組み合わせてのある種の治療の状態において好ましいと 思われる遅延性の投与の簡便な方法を可能にする。例えば経口イリノテカンおよびカペシ タビンの組合せは、イリノテカンのIV投与に代わる簡便な代替薬および遅延性5−FU を提供する。本発明は、3週毎に、経口イリノテカン(半固体マトリックス)製剤 1日 1回×5(第1日−第5日)に続いて、カペシタビン1日2回×9(第6日−第14日) の投与のMTDおよびDLTの決定に関する。加えてこの組合せに関する全体としての安 全性のプロフィールを試験し、この組合せに関する抗腫瘍活性のエビデンスを発見した。 30 【0104】 他に指摘していなければ、本開示は以下に提供する定義を使用する。 “癌”という用語は以下の癌:中皮腫、肝胆管系(肝臓および胆管)の癌、原発性もし くは二次性のCNS腫瘍、原発性もしくは二次性の脳腫瘍、肺癌(NSCLCおよびSC LC)、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部もしくは頸部の癌、皮膚もしくは眼内のメラノーマ 、卵巣癌、結腸癌、直腸癌、肛門領域の癌、胃癌、消化器(胃、結腸直腸、および十二指 腸)の癌、乳癌、子宮癌、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、膣癌、外陰部癌、ホジキンス 病、食道癌、小腸の癌、内分泌系の癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟組織肉腫、尿 道癌、陰茎癌、前立腺癌、慢性もしくは急性の白血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱癌、腎 臓または尿管の癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリ 40 ンパ腫、脊髄腫瘍、脳幹グリオーマ、下垂体腺腫、副腎皮質癌、胆嚢癌、多発性骨髄腫、 胆管癌、線維肉腫、または前述の癌の1つもしくはそれより多くの組み合わせを含むが、 これに限定されない。 【0105】 “医薬的に受容可能な”という表現は、安全な医学的判断の範囲内の、過度の毒性、刺 激、アレルギー応答等を伴わずに、患者の組織と接触しての使用に適する、妥当な利点/ リスク比率の釣り合った、そしてそれらの意図した使用に関して有効である実質をいう。 【0106】 “リガンド”は、受容体に結合する小さな分子を記載するために特に使用する。本発明 におけるリガンドの重要なクラスは、上皮増殖因子ファミリーにおける受容体に結合する 50 (20) JP 2008-501007 A 2008.1.17 式1の物質である。リガンドは受容体の機能の阻害薬であることができ、また活性化因子 の作用の拮抗薬であることができる。 【0107】 当該技術において共通のある種の略語を自由に使用しているが、文脈で理解されるであ ろう。これらには、薬物動態(PK)、薬力学(PD)、ウシ胎児血清(FBS)、ペニ シ リ ン /ス ト レ プ ト マ イ シ ン ( pen/strep) 、 Roswell Park Memorial Institute( R P M I)、経口的(PO)、1日1回(QD)、腹腔内(IP)、皮下(SC)、酵素結合免 疫吸着検定法(ELISA)、PK分析における分析物の最大濃度(Cm PK分析における分析物の平均濃度(Ca v e a x )、および )がある。 【0108】 10 “治療”という用語は、すぐ上に定義したように“治療する”行為をいう。 “治療する”という用語は、そのような用語を適用する障害もしくは状態を逆転させる 、軽減する、進行を阻害する、もしくは予防すること、またはそのような障害もしくは状 態の1つまたはそれより多くの症状を予防することをいう。 【0109】 “異常な細胞の増殖”は、本明細書において使用する場合他に指摘していなければ、正 常な制御機序から独立(例えば接触阻害の喪失)している細胞増殖をいう。この用語は、 以下:(1)変異したチロシンキナーゼを発現することにより、また受容体型チロシンキ ナーゼの過剰発現により増殖する腫瘍細胞(腫瘍);(2)異常なチロシンキナーゼ活性 化が起こる他の増殖性疾患の良性および悪性の細胞;(4)受容体型チロシンキナーゼに 20 よ り 増 殖 す る あ ら ゆ る 腫 瘍 ; ( 5 ) 異 常 な セ リ ン /ス レ オ ニ ン キ ナ ー ゼ の 活 性 化 に よ り 増 殖 す る あ ら ゆ る 腫 瘍 ; お よ び ( 6 ) 異 常 な セ リ ン /ス レ オ ニ ン キ ナ ー ゼ の 活 性 化 が 起 こ る 他の増殖性疾患の良性および悪性の細胞、の異常な増殖を含む。 【0110】 本明細書において“治療有効量”は他に指摘していなければ、所望の治療効果を達成す るために投与することを必要とする薬剤の量を意味する。 本明細書において“逐次的”という用語は、他に特定していなければ、規則的な連続ま たは順序を特徴とすることを意味する。 【0111】 本明細書において“別々の”という用語は、他に特定していなければ、あるものを他か 30 ら離して維持することを意味する。 本明細書において“レジメン”という用語は、他に特定していなければ、以下:治療の 投与量、スケジュール、および期間を特定する治療計画もしくは治療レジメン(例えば特 定のサイクル数)、または不特定のサイクル数のレジメン期間(例えば被験者が治癒する まで、または被験者の疾患が進行するまで)、に関する。 【0112】 本明細書において“サイクル”という用語は、他に特定していなければ、その後の治療 サイクルで被験者に投与するまでの休薬日(休止日)を加えての、薬剤を被験者に投与す る時間の期間(例えば日数)をいう。サイクルの例は以下:イリノテカン1日1回、第1 日から第5日まで投与、続いてカペシタビン1日2回、第6日から第14日まで投与、続 40 いて休薬日(休止日)、第15日から第21日まで、の通りである。試験薬を用いての治 療 の サ イ ク ル は 、 単 剤 イ リ ノ テ カ ン 治 療 、 ま た は イ リ ノ テ カ ン /カ ペ シ タ ビ ン 治 療 、 プ ラ ス患者が毒性から回復するために要する必要な時間のコースを含み、3から5週の期間で あると予想される。したがって治療サイクルは、そのサイクルのイリノテカン投与の第1 日から、そのサイクル開始から第22日もしくは第29日もしくは第36日まで、または 新しい治療サイクルを投与できるのに十分な有害事象からの回復まで、のいずれか時間の かかる方までの経過期間として定義する。試験治療のさらなるサイクルをこれらの条件な しで開始してしまう場合には、先のサイクルは完了していると考える。 【0113】 本明細書において“スケジュール”という用語は、他に特定していなければ、特定の時 50 (21) JP 2008-501007 A 2008.1.17 間(サイクル)の回数、または被験者が治癒するまでもしくは被験者の疾患が進行するま でのいずれかの間、各治療サイクルの各日に化学治療薬を投与する上での、計画された配 列、用量および頻度をいう。 【0114】 本明細書において“コース”という用語は、他に特定していなければ、薬剤を投与する 治療の各サイクル中の日をいう。治療のコースの一例は、イリノテカン 第1日から第5 日まで投与(治療の1コース)、続いてカペシタビン、第6日から第14日まで投与(治 療の1コース)、続いて休薬日、第15日から第21日まで(1コース)である。 【0115】 以下の表1は被験者への適用上使用する略語の定義を提供する。 10 【0116】 【表1】 20 30 40 【0117】 本発明の組合せ調製剤の成分の投与は、いかなる順序でも別々にまたは逐次的に行うこ とができる。すなわち本発明は、薬剤組合せの有益な効果を提供するレジメンにおいて逐 次的様式でのカンプトテシンまたはカンプトテシン誘導体、例えばイリノテカンおよびそ の医薬的に受容可能な塩(CPT−11を含む)、ならびにピリミジン誘導体(例えばカ 50 (22) JP 2008-501007 A 2008.1.17 ペシタビン)の投与を包括的に含むことを意図し、そして同様に組み合わせる成分物質双 方から有益な効果を得るための十分な時間の範囲内に、これらの薬剤を共に投与すること (co-administration)を 包 括 的 に 含 む こ と を 意 図 す る 。 【0118】 したがって患者の癌の治療としての逐次的使用のための医薬剤の調製のために、カンプ トテシンまたはカンプトテシン誘導体、例えばイリノテカンおよびその医薬的に受容可能 な塩(CPT−11を含む)、ならびにピリミジン誘導体(例えばカペシタビン)を使用 することが、本発明のもう1つの目的である。 【0119】 本発明に従っての組合せ調製剤の成分は、経口、非経口、または局所領域的療法のアプ 10 ローチ、例えば植込みを含む医薬的に受容可能であるいかなる受容可能な様式でも、患者 に投与することができる。 【0120】 経口投与は、組合せ調製剤の成分を適切な経口剤形、例えば錠剤、カプセル、ロゼンジ 、懸濁液、溶液、エマルジョン、粉末、シロップ等にて投与することを含む。 非経口投与は、組合せ調製剤の成分を皮下、静脈内または筋肉内への注射により投与す ることを含む。植込みは動脈内植込み、例えば肝動脈内植込みを含む。 【0121】 好ましくはカンプトテシンまたはカンプトテシン誘導体、例えばイリノテカンおよびそ の医薬的に受容可能な塩(CPT−11を含む)は、経口投与用の医薬的に受容可能な製 20 剤の形で経口投与してよく、この剤形はより高い簡便性および可能性あるより低いコスト で、活発に周期を繰り返す悪性細胞への徐放性の薬剤暴露のための手段を提供することが できる。一般に本発明に従っての経口投与用の医薬的に受容可能な製剤は、治療有効量の カンプトテシンまたはカンプトテシン誘導体、例えばイリノテカンおよびその医薬的に受 容可能な塩(CPT−11を含む)を、医薬的に受容可能な担体または希釈剤と組み合わ せて包含してよい。経口製剤の例は、当業者に周知の従来の文献または一般的な技術に従 って調製してよい、固体の経口調製剤、例えば錠剤、カプセル、粉末および顆粒、ならび に液体の経口調製剤、例えば溶液および懸濁液を含む。 【0122】 本 発 明 に 従 っ て の 適 切 な 経 口 投 与 剤 形 は 、 例 え ば 2 0 0 0 年 7 月 1 1 日 に 提 出 さ れ た Ph 30 armacia & Upjohn S.p.A. 国 際 特 許 出 願 W O 0 1 /1 0 4 4 3 、 2 0 0 1 年 1 2 月 2 0 日 に 提 出 さ れ た Teva Pharm. Ind. LTD 米 国 特 許 出 願 第 2 0 0 2 0 1 4 7 2 0 8 号 、 お よ び 2 0 0 0 年 1 0 月 2 日 に 提 出 さ れ た Pharmacia Italia S.p.A. 国 際 特 許 出 願 W O 0 1 /3 0 3 5 1 に 記 載 さ れ て い る よ う に 調 製 し て よ い 。 【0123】 好ましくはピリミジン誘導体は経口投与してよい。 本発明の方法において、カンプトテシンまたはカンプトテシン誘導体、例えばイリノテ カンおよびその医薬的に受容可能な塩(CPT−11を含む)、ならびにピリミジン誘導 体(例えばカペシタビン)は、どちらの順序でも逐次的に投与してよい。実際に好ましい 投与の方法および順序は、選択される投与量に影響を与えるその他の因子の中でも、特に 40 、使用するイリノテカンの特定の製剤、使用するレビミドの特定の製剤、レシピエントの 患者の年齢、体重および臨床的状態、ならびに治療を行う臨床医または開業医の経験およ び判断に従って変わることになることは理解されるだろう。一般に用量は、腫瘍の増殖を 遅延させる、好ましくは後退させる、そしてまた好ましくは癌の完全な後退の原因となる 結果をもたらすための十分量でなければならない。医薬物質の治療有効量は、臨床医また は他の有資格オブザーバーが認知できるような客観的に同定可能な改善を提供する量であ る。患者の腫瘍の後退は、典型的には腫瘍の直径を基準として測定する。腫瘍の直径の減 少は後退を示す。後退はまた、治療停止後に腫瘍が再発しないことによっても示される。 【0124】 本発明に従っての方法において、カンプトテシンまたはカンプトテシン誘導体、例えば 50 (23) JP 2008-501007 A 2008.1.17 イリノテカンおよびその医薬的に受容可能な塩(CPT−11を含む)の量は、ピリミジ ン誘導体(例えばカペシタビン)の量と合わせて、癌の治療のための治療上有効な量を構 成する。 【0125】 本発明のさらなる側面は、癌の治療を必要とする患者におけるそのような治療のための 方法、すなわち治療有効量のカンプトテシンまたはカンプトテシン誘導体、例えばイリノ テカンおよびその医薬的に受容可能な塩(CPT−11を含む)を、一定量のピリミジン 誘導体(例えばカペシタビン)と合わせて前記患者に投与することを包含する方法を提供 することである。 【0126】 10 投与量のレジメンは、好ましくは患者の状態および応答に対するテーラーメイドとすべ きであり、状態の変化に応じて調整することを必要としてよい。 カンプトテシン誘導体(CPT−11)のピリミジン誘導体との逐次投与は、固形腫瘍 、例えば卵巣癌、NSCLCおよび結腸直腸癌の治療において特に有効であることが、今 回発見された。本発明において使用してよいピリミジン誘導体は、ゲムシタビン、MTA 、およびカペシタビンを含む。好ましくは使用するピリミジン誘導体はカペシタビンであ る。 【0127】 ゲムシタビンは抗腫瘍活性を示す。ゲムシタビンの塩である2’−デオキシ−2’,2 ’−ジフルオロシチジン一塩酸塩は、固形腫瘍 例えば非小細胞肺癌(NSCLC)の治 20 療用の静注溶液として、臨床的使用のため提供されている。ゲムシタビンは、主にDNA 合 成 を 行 っ て い る ( S 期 ) 細 胞 を 死 滅 さ せ 、 ま た G 1 /S 期 の 境 界 域 を 通 し て 細 胞 の 進 行 を阻止する、細胞周期の期特異性を示す。ゲムシタビンはヌクレオシドキナーゼにより細 胞内で代謝されて、活性な二リン酸化ヌクレオシド(dFdCDP)および三リン酸化ヌ クレオシド(dFdCTP)になる。ゲムシタビンの細胞傷害性効果は、二リン酸化ヌク レオシドおよび三リン酸化ヌクレオシドの2つの作用の組み合わせに起因し、これがDN A合成の阻害をもたらす。第一にゲムシタビンの二リン酸化物が、DNA合成のためのデ オキシヌクレオシド三リン酸を産生する反応を触媒する責任のあるリボヌクレオチドリダ クターゼを阻害する。二リン酸化ヌクレオシドによるこの酵素の阻害が、dCTPを含む デオキシリボヌクレオチドの濃度の低減の原因となる。第二にゲミシタビンの三リン酸化 30 物が、DNA中への組み込みに関してdCPTと競合する。dCTPの細胞内濃度の低減 (二リン酸化物の作用による)が、ゲムシタビンの三リン酸化物のDNA中への組み込み を 高 め る ( 自 己 活 性 化 促 進 作 用 (self-potentiation)) 。 ゲ ム シ タ ビ ン の ヌ ク レ オ チ ド が DNA中に組み込まれた後、ただ1つの付加的なヌクレオチドしかDNA中に組み込まれ ない。この付加の後には、さらなるDNA合成は阻害される。 【0128】 ゲムシタビンは第II相試験における膵臓癌の治療として、CPT−11との組合せに おいて有望であることが示された。 M T A ( 多 重 標 的 化 葉 酸 拮 抗 薬 (multi-targeted antifolate)) は 、 葉 酸 ア ン タ ゴ ニ ス ト、ジヒドロフルオレートリダクターゼ阻害薬、およびチミジレートシンターゼ阻害薬で 40 ある代謝拮抗薬である。この物質は静注溶液として使用するように提供されており、マウ スにおいて腫瘍の増殖を阻害することが発見された。現在ヒトにおいて、非小細胞肺癌、 中皮腫、メラノーマ、膀胱癌、乳癌、膵臓癌、結腸直腸癌、および他の固形腫瘍の治療に ついて検討されている。 【0129】 イリノテカン単剤を用いて、またはカペシタビンと組み合わせての治療サイクル中のい か な る 時 点 で も 起 こ る 下 痢 お よ び /ま た は 腹 部 疼 痛 性 痙 攣 の 症 状 に 関 し て は 、 患 者 は ロ ペ ラミド(登録商標)で治療することができる。ロペラミドは、(1)無形便もしくは軟便 、または(2)1日に通常より1から2回より多い排便の発生、または(3)便の量また は液体性の有意な増加、という最も初期の徴候の時点で開始しなければならない。ロペラ 50 (24) JP 2008-501007 A 2008.1.17 ミドは以下の様式:下痢の最初の開始時に4mg、その後少なくとも12時間下痢が起こ らなくなるまで、2時間ごとに2mg、にて摂らなければならない。患者は、夜間はロペ ラミド4mgを4時間毎に摂ってよい。患者には、スポンサーより供給されるロペラミド を、下痢止めの助けが必要である場合に十分に手元にあるように、最初の治療来院時に提 供しなければならない。付加的な下痢止めの処置は、担当医の裁量で使用してよい。患者 には、下痢のエピソードの間、体液および電荷バランスを維持する手助けとなるよう液体 摂取を増加し、患者日誌にこのイベントを記録するように、指示しなければならない。 【0130】 制吐薬を用いての予防的治療は、最初のコースの治療初日には行ってはならないが、そ の後の治療日およびその後のサイクルでは、担当医の判断に基づいて投与することができ 10 る。以下の治療アプローチを、嘔気および嘔吐の治療として提案する。重症度1以上の嘔 気または嘔吐の発症時に、患者に以下の薬剤の1つを与えることを示唆する: ・ チ エ チ ル ペ ラ ジ ン (ト レ カ ン (Torecan)( 登 録 商 標 ) )1 0 m g 、 経 口 、 1 日 1 か ら 3 回、または ・ プ ロ ク ロ ル ペ ラ ジ ン (コ ン パ ジ ン (登 録 商 標 ))5 ま た は 1 0 m g 、 経 口 、 1 日 3 も し く は4回、または ・ メ ト ク ロ プ ラ ミ ド (レ グ ラ ン (Reglan)(登 録 商 標 ))1 0 − 2 0 m g 、 経 口 、 投 与 前 2 0 分、または ・ ク ロ ロ プ ロ マ ジ ン (ト ラ ジ ン (Thorazine)(登 録 商 標 ))1 0 − 2 5 m g 、 経 口 、 4 か ら 6時間毎、 20 この制吐薬のレジメンによってもまだ患者が受け入れ難い嘔気または嘔吐を経験する場 合には、5HT3 遮断薬、例えば以下の1つを含むようにレジメンを変更してよい: ・ 塩 酸 オ ン ダ ン セ ト ロ ン (ゾ フ ラ ン (登 録 商 標 ))8 m g 、 経 口 、 イ リ ノ テ カ ン 投 与 前 1 時 間までに、および1日に付加的には2回まで、または ・ 塩 酸 グ ラ ニ セ ト ロ ン (カ イ ト リ ル (登 録 商 標 ))1 m g 、 経 口 、 イ リ ノ テ カ ン 投 与 前 1 時 間までに、および投与日に必要な場合に1mg、12時間後。 【0131】 ・上に具体的に示した薬剤の代わりに担当医が好ましいと思うように、あらゆる他の5 HT3 拮抗薬を使用することができる。 再発する受け入れ難い嘔気または嘔吐がある場合、付加的な医薬剤を使用してよい。可 30 能な薬剤として以下を含む: ・ ロ ラ ゼ パ ム (ア チ バ ン (登 録 商 標 ))1 か ら 2 m g 、 経 口 、 4 時 間 毎 、 ま た は ・ デ キ サ メ タ ゾ ン (デ カ ド ロ ン (登 録 商 標 ))4 か ら 8 m g 、 経 口 、 1 日 2 回 。 【0132】 予防的にIV制吐薬を必要とする嘔気および嘔吐は、DLTを考慮しなければならない 。 流涙、発汗、潮紅、腹部疼痛性痙攣、下痢、または初期のコリン作動性症候群のその他 の症状が、イリノテカン投与後短期間で起こるかもしれない。過去の試験においては、ア トロピン0.25−1mgの静脈内または皮下投与が、静脈内イリノテカン投与の患者の これらの症状のための治療として使用された。厄介なコリン作動性の症状は、必要時に経 口または舌下のヒヨスチアミン0.125−0.25mg、4時間毎にて治療してよい。 【0133】 引き続いてのサイクルにおいて再発する好中球減少に伴う困難を経験している患者には G−CSFの予防的投与、または重症の好中球減少による合併症、例えば組織の感染、敗 血症症候群、真菌感染等、を伴う患者には治療的使用を利用してよい。エリスロポエチン もまた本発明と共に利用してよい。 【0134】 本発明において、以下の表2の以下の定義を標的病変に適用する。 【0135】 40 (25) JP 2008-501007 A 2008.1.17 【表2】 10 【0136】 本発明において、以下の表3の以下の定義を非標的病変に適用する。 【0137】 【表3】 20 30 【0138】 測定可能な腫瘍が応答またはSDに関する基準を満たす場合、治療中に認められるまた は悪化する新生物由来のあらゆる滲出液を細胞学的に確立することは、応答またはSDお よびPD間を区別するために必須である。 【0139】 PRまたはCRの状態に割り付けるため、応答している腫瘍の患者の腫瘍測定値の変化 を、応答の基準を最初に満たした後4週以上おいて行うべきである、繰り返しての試験に より確立されなければならない。SDの場合フォローアップ測定は、試験開始後少なくと も1回、最低6週のインターバルをおいてSDの基準を満たしていなければならない。 【0140】 標的病変および非標的病変の双方が存在する場合、個々の評価は別々に記録するものと する。応答の全体としての評価は、以下の表4に示したようなすべてのパラメータを伴う ものとする。 【0141】 40 (26) JP 2008-501007 A 2008.1.17 【表4】 10 【0142】 最 善 の 全 体 と し て の 応 答 は 、 治 療 開 始 か ら 疾 患 の 進 行 /再 発 ま で に 記 録 さ れ た 最 善 の 応 20 答(腫瘍進行に関する基準として、治療開始以降に記録された最小の測定値をとる)であ る。患者の最善の応答の割当ては、測定および確認の基準の双方が達成されることに依存 することになる。 【0143】 M T D は 、 第 一 治 療 サ イ ク ル 中 に 0 /6 ま た は 1 /6 の 患 者 が D L T を 経 験 し 、 次 に 高 い 用 量 で は 少 な く と も 2 /3 ま た は 2 /6 の 患 者 を D L T に 遭 遇 さ せ る 開 始 用 量 レ ベ ル で あ る 。効率的にはMTDは、患者の<33%に第1サイクルでのDLTを伴う用量である。 【0144】 本発明の方法の1つの側面において、活性物質の量は、少なくとも治療上の相乗性を得 るための十分量である。結果として本発明の方法のステップの組合せは、どちらかの単剤 30 と比較した時、改善された癌の治療である。 【0145】 本発明の組合せは、経口、頬から、舌下、経膣、十二指腸内、非経口、局所、または経 直腸にて投与することができる。製剤は好ましくは、特定の投与法に適応させることにな る。本発明の抗体の組合せは、組合せの他の化合物と実質的に同時に投与することができ る。組合せの個々の成分の製剤は、各物質の特性、および投与者により所望される所望の 薬学的効果に依存する。 【0146】 本発明の方法はヒトに適用できる。ヒト以外もまた治療することができる。例えば哺乳 動物はウマであることができる。 40 本発明の方法は、雌の哺乳動物への投与に有用である。この方法はまた雄にも有用とす ることができる。哺乳動物は成体とすることができる。もう1つの側面において、乳児、 小児、青年、または高齢者を、本発明の方法で治療することができる。 【0147】 本発明の方法は、広範囲の多様な異常な細胞増殖の状態に適用できる。1つの側面にお いて当該方法およびキットは有利なことに癌に適用できる。癌は、以下:中皮腫、肝胆管 系(肝臓および胆管)の癌、原発性もしくは二次性のCNS腫瘍、原発性もしくは二次性 の脳腫瘍、肺癌(NSCLCおよびSCLC)、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部もしくは頸 部の癌、皮膚もしくは眼内のメラノーマ、卵巣癌、結腸癌、直腸癌、肛門領域の癌、胃癌 、消化器(胃、結腸直腸、および十二指腸)の癌、乳癌、子宮癌、卵管癌、子宮内膜癌、 50 (27) JP 2008-501007 A 2008.1.17 子宮頸癌、膣癌、外陰部癌、ホジキンス病、食道癌、小腸の癌、内分泌系の癌、甲状腺癌 、副甲状腺癌、副腎癌、軟組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、前立腺癌、慢性もしくは急性の白 血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱癌、腎臓または尿管の癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経 系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄腫瘍、脳幹グリオーマ、下垂体腺腫 、副腎皮質癌、胆嚢癌、多発性骨髄腫、胆管癌、線維肉腫、または前述の癌の1つもしく はそれより多くの組み合わせ、から成る群より選択することができる。 【0148】 他の癌もまた本発明の方法による治療が有効となり得る。1つの側面において、癌は卵 巣癌、結腸癌および乳癌から成る群より選択される。もう1つの側面において、癌は乳癌 または結腸癌である。なおもう1つの側面において、癌は転移性の乳癌または結腸癌であ 10 る。 【0149】 本発明の方法はまたアジュバント療法にも適用でき、例えばその場合哺乳動物が化学療 法薬のコースを受けたまたは受けていることになる。そのような側面において、残存して いる癌は、最小の残留疾患でよい。もう1つの側面において本発明の方法は、予防的処置 として適用することができる。したがって例えば当該方法は、測定可能な疾患を検出する ことができない癌の寛解期に哺乳動物に適用することができる。 【0150】 本発明はまた以下:癌の治療のための逐次投与としての(a)上に記載したような第1 の物質(カンプトテシンまたはカンプトテシン誘導体)、および(b)(a)と共に包装 20 される添付文書、を包含するキットを包含する。したがって添付文書は投与法を詳述し、 認定することができる。 【0151】 本発明はまた以下:癌の治療のための逐次投与としての(a)上に記載したような第2 の物質(ピリミジン誘導体)、および(b)(a)と共に包装される添付文書、を包含す るキットを包含する。したがって添付文書は投与法を詳述し、認定することができる。 【0152】 本発明はまた以下:癌の治療のための逐次投与としての(a)上に記載したような第1 の物質(カンプトテシンまたはカンプトテシン誘導体)、および(b)上に記載したよう な第2の物質(ピリミジン誘導体)、ならびに(c)(a)および(b)と共に包装され 30 る添付文書、を包含するキットを包含する。したがって添付文書は投与法を詳述し、認定 することができる。 【0153】 開示した化合物は経口投与してよい。経口投与は嚥下を伴ってよく、その結果化合物は 消化管に入ることになる、または化合物が口から直接血流に入る頬からもしくは舌下の投 与を利用してもよい。 【0154】 経口投与に適する製剤は、固体製剤、例えば錠剤、カプセル(顆粒、液体もしくは粉末 を 含 有 す る ) 、 ロ ゼ ン ジ ( 充 填 さ れ た 液 体 を 含 有 す る ) 、 咀 嚼 錠 、 多 粒 子 (multi-particl e)お よ び ナ ノ 粒 子 、 ゲ ル 、 固 溶 体 、 リ ポ ソ ー ム 、 フ ィ ル ム ( 粘 膜 付 着 性 物 質 を 含 む ) 、 オ 40 ビュール、スプレー、そして液体製剤を含む。液体製剤は、懸濁液、溶液、シロップおよ びエリキシルを含む。そのような製剤は、ソフトカプセルまたはハードカプセル中の充填 物として利用してよく、典型的には担体、例えば水、EtOH、ポリエチレングリコール 、プロピレングリコール、メチルセルロース、または適切なオイル、および1つもしくは そ れ よ り 多 く の 乳 化 剤 お よ び /ま た は 懸 濁 剤 を 包 含 す る 。 液 体 製 剤 は ま た 、 例 え ば 分 包 さ れた固体を再構成することにより調製してもよい。 【0155】 開 示 し た 化 合 物 は ま た 、 速 溶 性 、 速 崩 性 の 投 与 剤 形 、 例 え ば Ling and Chen, Expert Op inion in Therapeutic Patents (2001) 11(6): 981-986 に 記 載 さ れ て い る 剤 形 で 使 用 し てよい。 50 (28) JP 2008-501007 A 2008.1.17 【0156】 錠剤の投与剤形に関して、用量に依存して薬剤は、投与剤形の1wt%から80wt% 、より典型的には投与剤形の5wt%から60wt%にて構成されてよい。薬剤に加えて 、錠剤は一般に崩壊剤を含有する。崩壊剤の例としてグリコール酸スターチナトリウム、 カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロ スカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース 、ミクロクリスタリンセルロース、低級アルキル置換ヒドロキシプロピルセルロース、ス ターチ、プレゼラチンスターチ、および、アルギン酸ナトリウムを含む。一般に崩壊剤は 投与剤形の1wt%から25wt%、好ましくは5wt%から20wt%を包含するもの とする。 10 【0157】 結合剤は一般に、錠剤製剤に凝集性の性質を与えるために使用される。適切な結合剤に は、ミクロクリスタリンセルロース、ゼラチン、糖類、ポリエチレングリコール、天然お よび合成のゴム、ポリビニルピロリドン、プレゼラチンスターチ、ヒドロキシプロピルセ ルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。錠剤はまた希釈剤、例え ばラクトース(一水和物、スプレー乾燥した一水和物、無水物等)、マンニトール、キシ リトール、ブドウ糖、ショ糖、ソルビトール、ミクロクリスタリンセルロース、スターチ 、および二塩基リン酸カルシウム二水和物を含有してよい。 【0158】 錠剤はまた、所望により界面活性剤 例えばラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベ 20 ート80、ならびに潤沢剤 例えば二酸化シリコンおよびタルクを含んでよい。存在する 場合には、界面活性剤は錠剤の0.2wt%から5wt%包含してよく、そして潤沢剤は 錠剤の0.2wt%から1wt%を包含してよい。 【0159】 錠剤はまた一般に滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、 ステアリン酸亜鉛、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウムとラウリ ル硫酸ナトリウムとの混合物を含有する。滑剤は一般に、錠剤の0.25wt%から10 wt%、好ましくは0.5wt%から3wt%を包含する。他の成分として、保存剤、抗 酸化剤、芳香剤および着色剤を含んでよい。 【0160】 30 錠剤のブレンドを直接圧縮して錠剤を成型してよい。錠剤のブレンドまたはブレンドの 各部分は錠剤化する前は、湿った、乾燥した、もしくは融解した顆粒状、融解凝結、また は押出し成型のいずれかでよい。最終的な製剤は、一層またはそれより多くの層を包含し てよく、コートされていてもされていなくてもよい。例として錠剤は、約80wt%まで の薬剤、約10wt%から約90wt%の結合剤、約0wt%から約85wt%の希釈剤 、約2wt%から約10wt%の崩壊剤、および約0.25wt%から約10wt%の滑 剤 を 含 有 す る 。 錠 剤 の 製 剤 に 関 す る さ ら な る 詳 細 は 、 H. Lieberman and L. Lachman, Pha rmaceutical Dosage Forms: Tablets, Vol. 1 (1980)を 参 照 の こ と 。 【0161】 経 口 投 与 用 固 体 製 剤 は 、 速 放 性 /ま た は 修 飾 さ れ た 放 出 で あ る よ う に 製 剤 化 し て よ い 。 40 修飾された放出の製剤には、遅延された、持続された、パルス的な、コントロールされた 、標的に対する、およびプログラムされた放出を含む。適切な修飾された放出の製剤の一 般的な記載については、米国特許第6,106,864号を参照のこと。他の有用な放出 技術、たとえば高エネルギー分散および浸透圧およびコーティング粒子の詳細については 、 Verma et al, Pharmaceutical Technology On-line (2001) 25(2): 1-14を 参 照 の こ と 。コントロールされた放出を達成するための、咀嚼タイプのガムの使用の考察については 、 W O 0 0 /3 5 2 9 8 を 参 照 の こ と 。 【0162】 開示した化合物(式1および塩)はまた、血流内、筋肉内、または内臓内に直接投与し てもよい。非経口投与の適切な手段は、静脈内、動脈内、腹腔内、包膜内、心室内、尿道 50 (29) JP 2008-501007 A 2008.1.17 内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内、および皮下を含む。非経口投与のための適切な器具は、針 (マイクロ針を含む)付注射器、針なし注射器、および輸液技術を含む。 【0163】 非経口製剤は、典型的には賦形剤、例えば塩、炭水化物、およびバッファー剤(好まし くはpH3から9に)を含有してよい水溶液であるが、一部の適用に関しては、無菌非水 溶性溶液として、または適切なビヒクル、例えば無菌の発熱物質を含まない水と合わせて 使用する乾燥した形として、より適切に製剤化してもよい。例えば凍結乾燥による無菌状 態下での非経口製剤の調製は、当業者に周知の標準的な医薬技術を用いて、容易に達成し てよい。 【0164】 10 非経口溶液の調製に使用する開示した化合物の溶解度は、適当な製剤技術の使用により 、例えば溶解度増強剤の組み込むことにより、増加させてよい。非経口投与用製剤は、上 に 記 載 し た よ う な 速 放 性 お よ び /ま た は 修 飾 さ れ た 放 出 で あ る よ う に 製 剤 化 し て よ い 。 し たがって開示した化合物は、活性化合物の長期間の放出を提供する植込み型デポとして投 与するため、より堅牢な形に製剤化してよい。 【0165】 本 発 明 の 化 合 物 は ま た 、 経 皮 的 に ( dermallyも し く は transdermally) 、 皮 膚 ま た は 粘 膜に局所的に投与してよい。この目的のための典型的な製剤は、ゲル、ヒドロゲル、ロー ション、溶液、クリーム、軟膏、散布剤、ドレッシング、フォーム、フィルム、皮膚用パ ッチ、カシェ剤、植込み、スポンジ、ファイバー、バンデージ、およびミクロエマルジョ 20 ンを含む。リポソームもまた使用してよい。典型的な担体は、アルコール、水、ミネラル オイル、流動パラフィン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコール、および プ ロ ピ レ ン グ リ コ ー ル を 含 む 。 局 所 製 剤 は ま た 、 透 過 増 強 剤 を 含 ん で よ い 。 例 え ば 、 Finn in and Morgan, J Pharm Sci (1999) 88(10): 955-958 を 参 照 の こ と 。 【0166】 局所投与のその他の手段は、イオントフォレシス、エレクトロポレーション、フォノフ ォレシス、ソノフォレシス、および針なし注射器(例えばPOWDERJECT)または マイクロ針注射器による送達を含む。局所投与用製剤は、上に記載したように速放性およ び /ま た は 修 飾 さ れ た 放 出 で あ る よ う に 製 剤 化 し て よ い 。 【0167】 30 開示した化合物はまた、鼻腔内にまたは吸入器により、典型的には乾燥粉末(単独で、 例えばラクトースとの乾燥ブレンド中の混合物として、または例えばリン脂質と混合した 混合成分の粒子として)の形で、乾燥粉末の吸入器から、または加圧容器、ポンプ、スプ レー、噴霧器(好ましくは微細な霧を発生させるための電気流体力学を用いての噴霧器) 、または適切な高圧ガス 例えばジクロロフルオロメタンを用いたもしくは用いないネブ ライザーからのエアゾールスプレーとして、投与することができる。加圧容器、ポンプ、 スプレー、噴霧器、またはネブライザーは、活性化合物、分散剤、可溶化剤、または活性 化合物の長期間の放出のための物質(例えばEtOHもしくはEtOH水溶液)、高圧ガ スとして供給する1つまたはそれより多くの溶媒、および所望による界面活性剤 例えば ソルビタントリオレートもしくはオリゴ乳酸を包含する、溶液または懸濁液を含有する。 40 【0168】 乾燥粉末製剤または懸濁液製剤中に使用する前に、薬剤製品は吸入による送達に適する サイズ(典型的には5ミクロン未満)に微粒子化する。これは、あらゆる適当な粉砕法、 例えばスパイラスジェットミル、流動層ジェットミル、ナノ粒子を形成するための超臨界 流体処理、高圧による均質化、またはスプレー乾燥により達成してよい。 【0169】 吸入器および吹き入れ器に使用するためのカプセル、ブリストルおよびカートリッジ( 例えばゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース製)は、活性化合物、適切な 粉末ベース 例えばラクトースまたはスターチ、および性能を修飾する物質 例えばL− ロイシン、マンニトール、またはステアリン酸マグネシウム、の粉末混合物を含有するよ 50 (30) JP 2008-501007 A 2008.1.17 うに製剤化してよい。ラクトースは、無水物、または好ましくは一水和物であってよい。 他の適切な賦形剤として、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシ リトール、フルクトース、スクロース、およびトレハロースを含む。 【0170】 微細な霧を作成するために電気流体力学を用いる噴霧器において使用するための適切な 溶液製剤は、一発動作用当たり本発明の化合物 1μgから20mgを含有してよく、一 発動作用の容量は1μlから100μlまでと多様でよい。典型的な製剤は、本発明の化 合物、プロピレングリコール、無菌水、EtOH、およびNaClを包含してよい。プロ ピレングリコールの代わりに使用してよい代替溶媒は、グリセロールおよびポリエチレン グリコールを含む。 10 【0171】 吸 入 /鼻 腔 内 投 与 用 の 製 剤 は 、 速 放 性 お よ び /ま た は 、 例 え ば D L − 乳 酸 ・ グ リ コ ー ル 酸 共 重 合 体 (poly(DL-lactic-coglycolic acid))( P G L A ) を 用 い て の 修 飾 さ れ た 放 出 で あ る よ う に 製 剤 化 し て よ い 。 適 切 な 芳 香 剤 例 え ば メ ン ト ー ル お よ び レ ボ メ ン ト ー ル (lev omenthol)、 ま た は 甘 味 剤 例 え ば サ ッ カ リ ン も し く は サ ッ カ リ ン ナ ト リ ウ ム を 、 吸 入 /鼻 腔内投与を意図した製剤に添加してよい。 【0172】 乾燥粉末の吸入器およびエアゾールの場合、投与量ユニットは、測定された量を送達す る弁という手段により決定する。本発明に従ってのユニットは、典型的には活性な医薬成 分 100μgから1000μgを含有する測定された用量または“プッシュ”を投与す 20 るように調整する。1日の総用量は典型的には、1日1回の用量で、またはより一般的に は1日を通しての分割用量として投与してよい、100μgから10mgの範囲となる。 【0173】 活性化合物は、経直腸または経膣により、例えば座剤、ペッサリー、または浣腸剤の形 で投与してよい。ココアバターは伝統的な座剤ベースであるが、適当な場合には様々な代 替 物 質 を 使 用 し て よ い 。 経 直 腸 /経 膣 投 与 用 製 剤 は 、 上 に 記 載 し た よ う に 速 放 性 お よ び /ま たは修飾された放出であるように製剤化してよい。 【0174】 開示した化合物はまた、目または耳に直接、典型的には等張のpH調節した無菌生理食 塩水中の微粒子化した懸濁液または溶液の液滴の形で投与してよい。眼球および耳への投 30 与に適する他の製剤は、軟膏、生分解性(例えば吸収可能なゲルスポンジ、コラーゲン) および非生分解性(例えばシリコン)の植込み、カシェ剤、レンズ、および粒子または小 胞のシステム 例えばニオソームまたはリポソームを含む。ポリマー、例えば架橋したポ リアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロースのポリマー(例えばヒ ドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、もしくはメチルセル ロ ー ス ) 、 ま た は ヘ テ ロ ポ リ サ ッ カ リ ド ポ リ マ ー ( 例 え ば gelan gum) を 、 保 存 剤 、 例 え ば塩化ベンザルコニウムと合わせて組み込んでよい。そのような製剤はまた、イオントフ ォ レ シ ス に よ り 送 達 し て よ い 。 眼 球 /耳 (andial)へ の 投 与 用 の 製 剤 は 、 上 に 記 載 し た よ う に 速 放 性 お よ び /ま た は 修 飾 さ れ た 放 出 で あ る よ う に 製 剤 化 し て よ い 。 【0175】 40 開示した化合物は、それらの溶解度、溶解速度、味覚のマスキング、バイオアベイラビ リ テ ィ ー お よ び /ま た は 安 定 性 を 改 善 す る た め 、 可 溶 性 の 巨 大 分 子 の 実 体 例 え ば シ ク ロ デキストリンまたはポリエチレングリコール含有ポリマーと結合させてよい。例えば薬剤 −シクロデキストリン複合体は、ほとんどの投与剤形および投与経路に一般に有用である ことが見出されている。包接複合体および非包接複合体の双方とも使用してよい。薬剤と の直接的な複合体形成に代わるものとして、シクロデキストリンを補助的な添加物、すな わち担体、希釈剤または可溶化剤として使用してもよい。アルファ−、ベータ−、ガンマ −シクロデキストリンはこれらの目的のために一般に使用される。例えば国際特許出願W O 9 1 /1 1 1 7 2 、 W O 9 4 /0 2 5 1 8 、 お よ び W O 9 8 /5 5 1 4 8 を 参 照 の こと。 50 (31) JP 2008-501007 A 2008.1.17 【0176】 上の記載は説明することを意図しており、制限することを意図してはいないものと理解 されなければならない。多くの態様は、上の記載を読めば当業者には明白であろう。した がって本発明の範囲は、上の記載に関して決定されるのではなく、代わりに添付の請求項 に関して、そのような請求項が権利を有する均等物の全範囲と共に決定されなければなら い。特許、特許出願および特許公開を含むすべての論説および参考文献の開示を、それら の全内容においておよび全目的に関して、本明細書において参照として援用する。 【実施例】 【0177】 (実施例1) 10 (経口イリノテカンの製剤) 薬剤製品経口イリノテカンは、半固体マトリックスの塩酸イリノテカン三水和物として 、5、20、50mgを含有するハードゼラチンカプセル中に供給する。 【0178】 5、20、50mgカプセルの組成を表5に報告する。 【0179】 【表5】 20 30 【0180】 5、20、50mgのカプセルを区別するため、カプセルシェルの外側表面に色帯を付 けた(すなわち色帯はカプセル内容物と直接接触しないことになる)、すなわち ・5mg投与量、サイズ2、セルフロッキングハードゼラチンカプセル、ライキャップ (登録商標)型、不透明白色のボディーおよびキャップにて。 【0181】 ・20mg投与量、サイズ2、セルフロッキングハードゼラチンカプセル、ライキャッ プ(登録商標)型、不透明白色ボディー、および不透明白色に赤色でプリントした帯のキ ャップにて。 【0182】 40 ・50mg投与量、サイズ0、セルフロッキングハードゼラチンカプセル、ライキャッ プ(登録商標)型、不透明白色ボディー、および不透明白色に黒色でプリントした帯のキ ャップにて。 薬剤製品は、子供に安全な不正開封防止付プラスチックスクリューキャップの、不透明白 色HDPEビン中にて、コントロールされた室温で保存した。 【0183】 (実施例2) (経口イリノテカンおよびカペシタビンの投与方法) イリノテカンは、1日1回の経口用量として、3週毎の治療サイクルの第1日から5日 に投与した。イリノテカンは、毎朝ほぼ同じ時刻に水と共に投与し、イリノテカン服用の 50 (32) JP 2008-501007 A 2008.1.17 前後1時間は絶食とした。絶食は、治験以外の処方薬または非処方薬の摂取の禁断を含む ものとした。グレープフルーツジュースは、腸壁においてある種の薬剤のチトクロームP 4 5 0 3 A 4 を 介 し て の 代 謝 を 阻 害 す る こ と が 示 さ れ た [Greenblatt, D, von Moltke, L, Harmatz, J. et al. Time course of recovery of cytochrome P450 3A function aft er single doses of grapefruit juice. Clinical Pharmacology and Therapeutics 9: 7 4: 2 121-129 2003年 4月 ]。 経 口 イ リ ノ テ カ ン の 成 分 の 代 謝 は 、 P 4 5 0 3 A 4 を 介 す るため、グレープフルーツジュースは、経口イリノテカン投与の少なくとも3日前または 4時間後は摂取しないものとした。実際に算出した体表面積に基づいて、イリノテカンカ プセルの適当な1日の用量をコップ1杯の水道水(150−200mL)と共に一度に嚥 下させた。各サイクルの治療第1日は、病院で投与した。その後患者には、治療の各1回 10 のコースの期間中に家庭で服用するための、カプセルの相当の供給量を与えた。 【0184】 カ ペ シ タ ビ ン は 、 ゼ ロ ー ダ ( 登 録 商 標 ) と い う 薬 品 名 で Roche Labratories, Nutley NJ 07110 よ り 市 販 に て 入 手 で き る 。 カ ペ シ タ ビ ン は 、 分 割 用 量 と し て 1 日 2 回 、 3 週 毎 の 治 療 サ イ ク ル の 第 6 -1 4 日 ( 第 1 − 5 日 の 経 口 イ リ ノ テ カ ン 投 与 後 ) に 、 経 口 投 与 し た 。カペシタビンは、毎朝および毎夕ほぼ同じ時刻に、食後30分以内、各投与間におよそ 12±2時間おいて、水(フルーツジュース不可)と共に投与した。実際に算出した体表 面積に基づいて、カペシタビン錠剤の適当な用量をコップ1杯の水道水(150−200 mL)と共に一度に嚥下させた。患者には、治療の各1回のコースの期間中に家庭で服用 するための、錠剤の相当の供給量を与えた。 20 【0185】 (実施例3) (進行固形腫瘍の患者における経口イリノテカンおよびカペシタビンの半固体マトリッ クス製剤の安全性、薬物動態学、およびバイオアベイラビリティーの試験) 経口イリノテカンは、細胞周期を繰り返す腫瘍細胞のSN−38(イリノテカンの活性 代謝産物)への遅延性の暴露を安全におよび簡便に達成する可能性を有する。イリノテカ ン S S M の 最 大 耐 用 量 ( M T D ) は 6 0 m g /m 2 /日 × 5 ( Proc ASCO 22: 130, 2003 (# 521)) で あ っ た 。 本 試 験 は 、 第 1 − 5 日 に 投 与 し た 経 口 イ リ ノ テ カ ン S S M カ プ セ ル 、 続 いて第6−14日の経口カペシタビン、続いて第15−21日の休止期間の、最大耐用量 (MTD)、用量制限毒性(DLT)を評価した。 30 【0186】 逐次投与群の患者には、3週毎に、経口イリノテカンを1日1回の5連続日、続いてカ ペ シ タ ビ ン を 9 連 続 日 与 え た 。 M T D は 、 2 /3 ま た は 2 /6 未 満 の 患 者 が D L T を 経 験 す る、最も高い用量レベルとして定義した。さらなる11名の患者をMTDにて治療した。 以下の表6は、本試験に関するグレード3または4の有害事象の比率(パーセント)のま とめを提供する。有意な好中球減少による発熱は本試験からは報告されなかった。 【0187】 【表6】 40 【0188】 以下の試験デザインは、MTDを決定するための用量漸増試験を包含する第一ステージ Aにおいて使用した。試験の第2ステージであるステージBは、10名より多くの試験被 験者について、MTDでの試験デザインの成否を評価した。この試験において3週試験サ イクルの間に、イリノテカンをカプセルとして1日1回、第1−5日に、続いてカペシタ 50 (33) JP 2008-501007 A 2008.1.17 ビンを1日2回、第6−14日に経口投与した。カペシタビンは朝1回、夜1回、投与し た 。 以 下 の 用 量 レ ベ ル ( m g /m 2 体 表 面 積 ) を 使 用 し た : ( a ) 4 0 m g /m カ ン 1 日 1 回 ( Q D ) お よ び 8 0 0 m g /m に ( b ) 5 0 m g /m 2 2 2 イリノテ カペシタビン1日2回(BID);ならび イ リ ノ テ カ ン Q D お よ び 8 0 0 m g /m 2 カペシタビンBID。用 量の漸増は、3−6名の試験被験者の連続するコホートにおいて行った。MTDは、6名 中2名未満の用量制限毒性(DLT)を伴う最も高い用量レベルとして定義した。DLT は、試験の第1サイクルの間の以下の有害事象;(a)血液学的毒性:グレード4の好中 球減少、好中球減少による発熱、好中球減少による感染、またはグレード4の血小板減少 、(b)最大のロペラミド治療にもかかわらす、グレード3より高いまたは等しい下痢; (c)最大の制吐薬治療にもかかわらず、グレード2より高いまたは等しい嘔気または嘔 10 吐;(d)グレード3より高いまたは等しい非血液学的毒性;(e)治療コース完了の失 敗;および(f)第35日までの、グレード1より低いまたは等しいまでの回復の失敗、 のいずれかとして定義した。 【0189】 以下の選択基準は、試験被験者を以下の表7に示した試験に対して資格を認めるために 使用した。本試験に関する除外基準を表8に示す。 【0190】 【表7】 20 【0191】 【表8】 30 【0192】 以下の表9は、本試験に参加した患者の特徴のリストを提供する。 【0193】 40 (34) JP 2008-501007 A 2008.1.17 【表9】 10 20 【0194】 以下の表10は、表9のコホート#1および#2の患者の治療中に観察された用量制限 毒性を示す。 【0195】 30 (35) JP 2008-501007 A 2008.1.17 【表10】 10 20 【0196】 以下の表11は、表9のコホート#1および#2の患者の治療中に観察されたグレード 3および4の用量制限毒性を示す。 【0197】 30 (36) JP 2008-501007 A 2008.1.17 【表11】 10 【0198】 以下の表12は、表9のコホート#1および#2の治療中に必要とされた用量減量を示 す。 【0199】 【表12】 20 30 【0200】 以下の表13は、表9のコホート#1および#2の治療中の治療中止の理由を示す。 【0201】 【表13】 【0202】 以下の表14は、表9のコホート#1および#2の治療中のステージ2の最善の応答を 示す。 【0203】 40 (37) JP 2008-501007 A 2008.1.17 【表14】 10 【0204】 以下の表15は、表9のコホート#1および#2の治療中の最善の腫瘍応答を示す。 【0205】 【表15】 20 【0206】 出願者らは、続いてのカペシタビンの逐次投与を組み合わせての、カプセル中の半固体 マトリックス製剤としての経口イリノテカンの投与が、多様な癌の有効な治療法を提供し 、イリノテカンおよび5−FUによる静脈内投与療法に代わる簡便な代替法を提供するこ とを発見した。 30 【0207】 経 口 イ リ ノ テ カ ン を 3 週 毎 に 、 1 日 1 回 × 5 日 、 4 0 m g /m の 際 続 い て カ ペ シ タ ビ ン 8 0 0 m g /m 2 2 /日 の 用 量 で 投 与 し 、 そ 、1日2回、9日投与する投薬レジメンは、患 者にとって十分に耐えられることを発見した。好ましい安全性のプロフィールは、有害事 象の低い発生率および用量減量の限定された例数(128サイクル中2サイクル)に反映 されている。驚くことに好中球減少による発熱はこれらの試験中報告されなかった。 【0208】 イリノテカンおよびカペシタビンの他の用量での組合せ、例えばイリノテカン50mg /m 2 /日 に 続 い て カ ペ シ タ ビ ン 8 0 0 ま た は 1 0 0 0 m g /m 2 /日 、 1 日 2 回 も ま た 使 用 してよいものと考えられる。加えて、イリノテカンの代謝および排泄に関与するUG1A 1およびその他の遺伝子についての、参加した患者の遺伝子薬理学的評価を、有害関連事 象を限定するために利用してよい。 40 (38) 【国際調査報告】 JP 2008-501007 A 2008.1.17 (39) JP 2008-501007 A 2008.1.17 (40) JP 2008-501007 A 2008.1.17 (41) JP 2008-501007 A 2008.1.17 (42) JP 2008-501007 A 2008.1.17 (43) JP 2008-501007 A 2008.1.17 フロントページの続き (81)指定国 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM), EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,MC,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ, CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR, CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,L T,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SY,TJ,TM,TN ,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,YU,ZA,ZM,ZW (74)代理人 100128750 弁理士 福所 しのぶ (72)発明者 ミラー,ラングドン・レフォレスト アメリカ合衆国ニュージャージー州08833,レバノン,ストロベリー・レイン 13 (72)発明者 デニス,ルイス・ジーン アメリカ合衆国コネチカット州06320,ニュー・ロンドン,ピークォット・アベニュー 50 ,ファイザー・グローバル・リサーチ・アンド・ディベロプメント (72)発明者 コンプトン,リンダ・ダーレン アメリカ合衆国ミシガン州49001,カラマズー,ヘンリエッタ・ストリート 301,ファイ ザー・グローバル・リサーチ・アンド・ディベロプメント Fターム(参考) 4C086 AA01 AA02 BC43 CB22 EA16 EA17 MA02 MA04 MA52 NA05 ZB26