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No.5
私のおすすめの絵本
園長 大友秀明
『みみずのカーロ』 作:今泉みね子 合同出版 1999 年
かなり前の実話です。あるドイツの小学校には、ゴミ箱(小さなバケツ)
がたった一つしかありません。ドイツの小学校は、朝 8 時前から始まり、
12 時か 13 時ごろに終わります。給食も昼休みもありませんから、午前中
の長い休み時間に子どもたちは持参したおやつを食べます。昔はサンドイ
ッチ、果物などを紙袋やアルミホイルに入れて持参していました。飲み物
も缶飲料でした。紙袋、アルミホイル、缶でゴミ箱がいっぱいになります。
今では紙袋ではなく弁当箱に入れ、水筒を持ってくるようになり、ゴミは
減りました。
この学校では、ゴミ問題は、分別だけでは解決できない、ゴミそのもの
を出さないことでしか真の解決はないと考えています。ゴミを出さない
様々な工夫をしています。
しかし、校長は「子どもたちはごみってなんなのか。なぜごみが自然や
環境にめいわくをかけているのか、ほんとうにわかっているのだろうか」
と思っていました。そこで、みみずの「カーロ」を学校に登場させました。
*
二枚のガラス板と木の枠でできた「みみずのカーロ」の家の箱を作り、
その中に、土、砂、落ち葉、ヨーグルトカップ、アルミの切れ端やガラス、
プラスチックの欠片を入れました。子どもたちは、カーロが食べて土に変
えてくれるものと、カーロが食べられないものがあることを発見します。
ここで、何が「本当に悪いごみ」なのかに気付くようになります。
子どもたちは、「みみずの食べないものはごみ、自然の中にはごみはな
い」を合い言葉に、学校からのゴミ追放を積極的に実行していきました。
学校から始まったゴミの減量運動は、子どもを通じて大人へと次第に町全
体に広がりました。
子どもたちは、ゴミの分別、減量化に取り組みながら、主体的に自然や
環境に向き合うようになりました。ドイツの環境教育について、私も『現
代ドイツ政治・社会学習論』(東信堂、2005 年)で扱ったことがあります。
なお、紹介した本書は、子ども向けの環境教育の本です。2000 年度児
童福祉文化賞を受賞しています。
私のおすすめの絵本
副園長
栗原
敏枝
今月号は、「絵本特集」ということですので、少し趣向を変えて、私の好きな絵本を3冊
紹介いたします。
「ぼくを探しに」
「何かが足りない
作・絵: シェル・シルヴァスタイン
それでぼくは楽しくない
訳: 倉橋 由美子
足りないかけらを
探しに行く」これが
スタートです。転がりながら、歌いながら、ぼくは足りないかけらを探します。ぼくは「ぼ
く」を探す長い旅の途中で、かけらを見つけますが、小さすぎたり、大きすぎたり、ぴっ
たりだと思っても、落としてしまったり、きつくくわえすぎて、ぼくが壊れてしまったり
します。そしてとうとう、ぴったりのかけらに出会うことができました。それで、ハッピ
ーエンドになるかと思いますと・・・。絵は単純で、すぐに読める内容なのですが、これ
は、お子さんというより大人に読んでほしい物語です。人は、いつも自分の足りない部分
を探しているのだと思います。子どもの頃に読むと、少し難しいかもしれませんし、あま
りおもしろくないかもしれません。ですが、成長するに連れて、その奥の深さに気付くと
思います。
「もっちゃう もっちゃう もうもっちゃう」
作・絵: 土屋 富士夫
おしっこしたくてデパートにやってきたひで君ですが、トイレは残念ながら工事中。3
階のトイレに行こうとエレベーターに乗ったら、屋上まで止まりません。屋上から階段を
駆け下りると、キリンさんや、こうもりさんや、がいこつさんや、ようかいさんに会い、
トイレに案内してもらいますが・・・。さあ、ひで君は、無事おしっこできたのでしょう
か?こちらは、1冊目と違って、子どもたちと一緒に、楽しみながら読めるものです。1
年生を担任したときには、毎日、少しずつ読み進めていきました。ちょっと下品な感じが
するかもしれませんが、幼児期の子どもたちの興味をわきたてる、とても面白い1冊です。
「100 万回生きたねこ」
作:佐野洋子
主人公の名前は「ねこ」。ねこは 100 万回も生まれかわりを繰り返し、100 万人の人と
共に暮らしました。 飼い主になった人はいつもねこが好きで、 彼が亡くなる度に、みん
な悲しくて涙を流しましたが、ねこはただの一度も飼い主を好きになりませんでした。そ
してある時、 彼は初めて、誰にも飼育されていない「のらねこ」になりました。そして、
彼はこの後、生まれ変わりませんでした。「のらねこ」のときに、どんなことがあったの
でしょう。この本も、お子さんたちには少し難しいかもしれませんが、100 万人の人が読
んで、100 万通りの感動を生む、永遠のベストセラーだと思います。
自分の好きな本を紹介するというのは、自分の心の中を覗かれるようで、
少し恥ずかしいのですが、自信をもっておすすめします。この夏にぜひ手に
取ってみてください。感想をいただければ嬉しいです。
~1学期
クラスで楽しんできた絵本を紹介します~
1くみ
2くみ
紙芝居「ごきげんのわるい コックさん」 作・絵:まついのりこ
入園当初に読んでいた紙芝居です。ひげをピンと立て、口がむっとし
ているコックさんの絵から始まります。「コックさん、ご機嫌直してよ」
と言うと、みるみる顔が変わっていきます。最後には、ご機嫌のいいコ
ックさんになり、おいしいものを作ってくれます。コックさんを呼んだ
りおいしいものを食べる真似をしたりして参加できる紙芝居です。「先
生、またコックさん読んでよ」と何度も読むことを楽しみました。
絵本“わにわに”のシリーズ 作:小風さち 絵:山口マオ
のんびり過ごしている“わにわに”。ギラリと光る目の
ワニの絵ですが、「ずり づづづ」と面白い擬音で歩いていくところや、
お風呂でシャワーをマイクにして歌っているところが楽しいようです。
ごちそうを食べる、お風呂に入るなど、ワニワニが次はどんなことをす
るのか、自分たちの生活と関連づけて見ることができ、わくわくしなが
ら絵本を広げていました。シリーズで出ていますので、いろいろなワニ
ワニと出会ってくださいね。
絵本「せんろはつづく」 作:竹下文子 絵:鈴木まもる
線路をつなげて汽車を通す楽しさがある絵本です。山があったらトン
ネルを作り、川があったら鉄橋を作ることで汽車が通っていきます。リ
ズミカルな文章と「~があったらどうする?」と自分で考える場面が気
に入っていました。砂場や積み木の遊びでも「どうする?」と言って、
水を流したり線路を作って遊んだりしていました。
絵本「もこもこもこ」 作:谷川俊太郎 絵:元永定正
出てくる言葉は「もこ」「にょき」など親しみやすい擬音のみで、絵
と言葉の組み合わせが面白い絵本です。弁当を食べた後に、一人一人を
「重たくなったかな?」と抱っこしていると「ぼくのお腹、もこもこに
なった?」とうれしそうな表情で言う子もいました。「もこもこ」とい
う言葉の柔らかさにも親しみを感じていたようです。最後は「しーん」
で終わると思いきや「もこ」と新たな世界が始まり、また読んでみよう
という気持ちになります。
2組の読み聞かせでは、長く読み継がれている絵本を紹介するこ
とを大切にしています。例えば次のような作品です。保護者の皆さ
んが幼き頃に出会った作品も数多くあるかと思います。
「どろんこハリー」ジーンジオン作・わたなべしげお訳 1964
「ぐるんぱのようちえん」西内ミナミ作・堀内誠一絵 1966
「だるまちゃんとてんぐちゃん」加古里子作・絵 1967
「ぐりとぐら」なかがわりえこ作・おおむらゆりこ絵 1967
「やさしいライオン」やなせたかし作・絵 1975
「はじめてのおつかい」筒井頼子作・林明子絵 1977
「こんとあき」林明子作・絵 1989
小さな子どもたちや動物などが主人公となるお話ばかりですの
で、読む側も、最初から最後まで登場人物と同じ気持ちを感じるこ
とが多いようでした。数十年にわたって読み継がれてきた作品に共
通することは、多くの優しさ、明るさ、愛情を感じることでしょう。
それは、文章の中にも、絵の中にも溢れています。
レオ・レオニの作品も1学期、いくつか読み聞かせました。レオ・
レオニの作品も、1960~1970 頃から長く読み継がれています。大き
な自然の中で繰り広げられる、美しくもあり厳しくもある世界。子
どもたちは子どもたちなりに、また大人は大人なりに、いろいろな
メッセージが込められたそのお話を、ゆったりとした絵とともに感
じることができると思います。
「スイミー:ちいさなかしこいさかなのはなし」
「フレデリック:ちょっとかわったねずみのはなし」
「せかいいちおおきなうち:りこうになったかたつむりのはなし」
「さかなはさかな:かえるのまねしたさかなのはなし」
8月号は、絵本特集です。夏休み、たくさんの絵本と出会えますように。
3くみ
「オタマジャクシのうんどうかい」 作:阿部夏丸
絵:村上康生
学級でオタマジャクシの世話を始めた頃に
読み聞かせた本です。ドーナツいけのオタマ
学校で運動会が開かれることになりました。
しかし、中に一匹だけしっぽの短いタマとい
う子がいます。かけっこではいつもビリです。運動会を前に、仲間の
☆園長先生おすすめ「みみずのカーロ」☆副園長先生おすすめの「ぼく
を探しに」「もっちゃう もっちゃう もうもっちゃう」「100 万回
生きたねこ」7月号で紹介した「センス・オブ・ワンダー」5冊も貸
し出し図書に仲間入りします!ぜひ、読んでみてください。
【2学期から以下の本も貸し出します】
◇Nobody’s Perfect(全5冊)
◇新しい発達を考える本 なにがちがうの?
⑤ADHD ⑥LD ⑦アスペルガー ⑧自閉症
みんなでタマにしてあげられることを話し合って考えを出し合いまし
た。
ここでその日の読み聞かせを一度止め、「みんなだったらどうす
図書館にでかけてみませんか!
る?」と3組に尋ねてみました。「タマがスタートして少したってか
ら他の子もスタートすることにする」「タマと一緒に隣で泳いであげ
る」など色々と考える姿がありました。
物語の中では、タマだけは半分進んだところからスタートさせてあ
げようということに決まります。(ここで3組からは「それはいい考
さいたま市には、現在25箇所の素晴らしい図書館があります。
図書館は、本がたくさんありすぎて選べない…という方は、図書館で発行さ
れている刊行物を参考に、本を選んでみてはいかがでしょうか?ホームページ
でもご覧いただけますが、ぜひ図書館に足を運んで、お子さんと一緒の時間を
楽しんでください。
えだね!」という声が挙がりました)しかし、当の本人であるタマは
少しも嬉しそうではありません。タマは、心の中で「ぼくは、いまの
ままでいいのに。みんなと おなじきょりを およぎたいのに。」「お
よぐのが おそいって いけないことなの?」とつぶやきます。でも、
みんなの気持ちを考えて「みんな、…ありがとう。」と言葉を掛ける
のです。さあ、運動会当日はどうなるのでしょうか…。
少しも嬉しくないタマの様子を聞いて、3組の子どもたちは、はじ
め「え、なんで…」と驚いた様子でした。しかし、読み進めていくう
ちに納得したような表情で真剣に聞き入る姿がありました。「相手の
気持ちになって考える」とは何か、「やさしさ」とは何か、子どもだ
けでなく、私たち大人も自分自身に問いかけたくなる心に響くストー
リーです。
〇あえるといいね!すてきな本…定番児童書リスト。子ども達の心に、豊かな
読書体験が残るように、児童担当の職員が、これからも手渡していきたい
本を選んだものです。
〇本は王様…4 月 23 日の「子ども読書の日」を記念して、毎年 1 回発行してい
る、図書館員がおすすめする新刊児童書案内です。
〇としょ丸新聞…小学生向けの読書案内新聞。見習い忍者としょ丸、としょ子
が図書館の秘密や、おすすめの本を教えます。
〇すくすく読み聞かせダイアリー…読み聞かせをした本の情報とお子さんの
反応などを綴れるダイアリー。手形も押せます!
〇としょ丸どくしょてちょう…読んだ本の題名を記入し、面白かった分だけ手
裏剣をぬれる読書手帳です。
★検索キーワード:「さいたま市図書館」http://lib.city.saitama.jp/index.html?10
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