Comments
Description
Transcript
CCT Journal 第2号
2 vol. 2002.7 君津製鉄所 1. スペシャルレポート 4. 技術最前線 第18回ピッツバーグ石炭会議「低品位炭の利用」セッションの紹介・ ・ ・ ・ ・ 1 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 26 京都大学 三浦研究室・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 米国における石炭ガス化複合発電(IGCC)実証試験結果 ・ 5 川崎重工業(株)・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 30 2. クリーン・コール・テクノロジー 我が国の石炭灰利用状況について・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 5. CCUJだより 8 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 34 クリーン・コール・デー記念行事のお知らせ・ 世界各国における石炭ガス化技術開発状況・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 16 編集後記・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 34 3. 国際協力活動 環境調和型石炭利用システム導入支援事業 ブリケット製造設備に係る実証事業(インドネシア−チレボン)について・ ・ ・ ・ 22 発行:財団法人 石炭利用総合センター Center for Coal Utilization, Japan スペシャルレポート1 第18回ピッツバーグ石炭会議 「低品位炭の利用」セッションの紹介 京都大学 化学工学専攻 教授 はじめに 三浦孝一 一方、日本からは褐炭の構造に関連するもの、新しい 昨年 12 月3∼7 日にオーストラリアの Newcastle で 褐炭の転換方法に関するもの、さらに低品位炭とバイオ 開催された第 18 回 Pittsburgh Coal Conference におい て、CRC for Clean Power from Lignite の Peter マスの混焼に関するものと低品位炭の科学から利用に関 するものまでとバラエティに富んでいた。以下、著者が Jackson 博士と共同で“Low Rank Coal Utilization”とい うセッションをお世話する機会を得た。本セッションは 興味をもった発表の概要を紹介する。 4 日に開催されたが、表1に示すように発表件数は 18 件で、その内 13 件が口頭発表、5 件がポスター発表であ 1.低品位炭の特性、脱水に関する研究 今回の発表の中で、7の Allardice の発表は低品位炭 った。発表者の内訳は、開催国オーストラリア7件、日 本8件、アメリカ 1 件、ドイツ 1 件、チェコ 1 件で、日 (彼の定義では Lignite、あるいは Brown coalと同義) の主要な用途と、それを支える技術をまとめたもので、 本からの発表がもっとも多かった。発表内容は、オース トラリアからは現実の問題を反映して、褐炭の乾燥・脱 非常に興味深い発表であった。図 1 は世界中の低品位炭 の特性を、含水率を縦軸、灰分含有量を横軸、発熱量を 水に関連するものが大部分であった。 パラメーターとして整理したものである。 図1.低品炭の特性を含水率、灰分含有率、発熱量で表す図 1 表1.Session 2.6 Low rank Coal Utilization NO Presenter Affiliation Country Title Tu. AM Oral session-1 2.6-1 Kumagai, H. Hokkaido University JAPAN CAMD Study on the Change in Physical and Chemical Properties of Coal along with a Progress of Moisture Release 2.6-2 Iino, M. Tohoku University, JAPAN Study on Aggregation States of Coal Molecules at Solid and Solution States 2.6-3 Kashimura, Hokkaido University JAPAN Degradation and Extraction of Brown Coal by Sub-Critical Water 2.6-4 Favas, G. Monash University Mechanical Thermal Expression ・Effect of Kneading Coal Prior to MTE AUSTRALIA Processing 2.6-5 Qi, Y. Monash University Effects of Processing Conditions on the Nature of Product Water from a AUSTRALIA Novel Coal Drying Process Tu. PM Oral session-2 Extraction of Low Rank Coals by Coal Derived Oils at 350 ー C for Producing Clean Fuels 2.6-6 Miura, K. Kyoto University JAPAN 2.6-7 Allardice, D. Allardice Consulting AUSTRALIA The Utilization of Low Rank Coals 2.6-8 Tomita, A. Tohoku University JAPAN Calcium Cations in Low-Rank Coals ・Reexamination of Quantification Method and the Transformation of the Cations During Coal Processing 2.6-9 Takarada, T. Gunma University JAPAN Desulfurization by Using Ca Ion-exchanged Gasification of Coal 2.6-10 Wu, H. Monash University Effect of Catalyst Form and Concentration on the Reactivity of Chars AUSTRALIA from a Victorian Lignite Tonmukayakul, 2.6-11 N. Adelaide University Flow Characteristic of Molten Alkali Sulphate Mixture includes Silicate AUSTRALIA at High Temperature 2.6-12 Fushimi, The University of Tokyo JAPAN 2.6-13 Favas, Monash University Steam drying AUSTRALIA Temperatures 2.6-14 Boehlmann, University of Leipzig GERMANY Solid Residues of Lignite Hydrogenation: News from Petrograpy and NMR Spectroscopy 2.6-15 Naruse, Toyohashi University of Technology JAPAN Fundamental Characteristics on Co-Combustion of Low-Rank Coal with Biomass 2.6-16 Sedlackova, V. Mining Universssity Ostrava Czeck Rep. Verification of Most Brown Coal Briquetting 2.6-17 Li, M.F. Alberfield Pty. Ltd AUSTRALIA Greenhouse and Environmental Management of Coal Life Cycle 2.6-18 Kuznetsov, Institute of Chemistry and Chemical Technology RUSSIA Brown Coal During Tu. PM Oral session-3 Low Temperature Rapid Heating Steam Gasification of Brown and Subbituminous coals -Changes in Coal structure at Different Drying Tu. Evening Poster Mechanochemical Activation of Brown Coals: Effect on the Structure and Hydrogenation Reactivity 2 オーストラリアの Yallourn 炭や Loy Yang 炭は含水 率は 60~70%と高いが、灰分が極めて少ないのが特徴で 発表後、この乾燥法のコストを質問したところ、70 豪 州ドル/トン(17 ドルと聞き違えたと思い再度確認した ある。すべての低品位炭は 30%以上の含水率をもってい ることと、これを乾燥すると自然発火するのが輸送上の が間違いなく 70 ドルであった。)にも達すると見積も られているとのことであった。さらに、この方法では、 大きな問題である。2000 年の時点で、世界中で 9 億 5 千万トンの低品位炭が使われたが、上の理由からその 大量に排出される廃水の処理も大きな問題になるとのこ とであった。 90%以上が炭鉱に隣接した火力発電所で使用されてい る。低品位炭は現在のペースで使い続けても 500 年は使 現行の低品位炭燃焼の発電効率が低いことを考えると、 乾燥法の開発、さらにはより効率的な低品位炭の利用法 えることから、今後世界的に使用量が拡大すると予想さ れるが、そのためには経済的な乾燥法(脱水法)の開発 の開発が重要であることが強調された。 この様な状況を踏まえて、低品位炭に関するオースト が不可欠、かつ緊急の課題である。その方法として、非 蒸発乾燥法の一つで、ドイツのドルトムント大学で開発 ラリアの研究は MTE を中心とした脱水法に関連するも のが多い。今回の4、5、13 の発表も MTE に関連する された(元々は日本で開発された?)Mechanical 研究であった。4は、MTE 法の諸操作条件の影響を検 Thermal Expression(MTE)と呼ばれる方法が現時点 では有望と考えられている。この方法は、図2に示すよ 討したものであった。結論として、150℃、5.1MPa に おける処理が最適であった。石炭中に含まれる鉱物質の うに石炭層に高温高圧(200℃、~10MPa)の水蒸気を 通じながら機械的に加圧脱水する方法である。この方法 一部は脱水に伴って処理水(廃水)へと移行するが、石 炭中の Na の含有量はほぼ脱水率に比例して減少するこ では、20%程度まで脱水が可能である。 とも報告された。 図2.MTE プロセスの概要 3 したがって、MTE 廃水中には無機成分、さらに石炭 由来の有機成分が含まれることになり、上述のように廃 2.低品位炭の利用に関するその他の研究 低品位炭の利用に関するその他の研究としては、鉱物 水の処理が問題になる。 5 の発表は、MTE 処理廃水中の無機物、有機物の分析 質の挙動、ガス化触媒、ガス化速度、脱硫に関連したも のが発表された。8は東北大学の富田らの研究で、低品 を試みたものである。有機物として最も多く含まれるの は Methoxy phenols(石炭の 350ppm 程度が廃水へ移 位炭に大量に含まれる Ca の定量法を再検討したもので ある。11 は流動層燃焼における灰分の溶融に及ぼす 行)であり、無機物質の中では Na の 40%以上、Ca、 Mg の 15%程度が廃水へ移行する。いくら Yallourn 炭 SiO 2 を含んだアルカリ硫酸塩の影響を検討したもので ある。9は群馬大学の宝田らの研究で、以前より進めら や Loy Yang 炭の灰分含有量が小さいとは言え、廃水の 量は莫大であるので廃水の処理は実際大きな問題である れている Ca でイオン交換した褐炭を in situ 脱硫剤と して用いる研究の新たな展開が紹介された。10 と 12 は ことが窺える。 また、13 の発表は 130∼350℃の温度域で飽和水蒸気 褐炭のガス化速度を促進するために、それぞれ触媒と昇 温パターン-に注目して検討を加えたものであった。また、 と石炭の相互作用を小型オートクレーブを用いて検討し 2は東北大学の飯野らの発表で、褐炭の構造に関して抽 たもので、MTE プロセス開発を支援する基礎研究と位 置付けられる。 出の観点から検討を加えたものであった。 その他に、著者が興味をもったのは 15 の低品炭とバ 一方、我が国からの脱水に関連する発表は、基礎的に 石炭と水の相互作用を検討するもの、脱水と絡ませて新 イオマスの混焼に関する発表であった。これは豊橋技術 科学大学の成瀬らの発表である。混焼は NO や N2O の しい低品位炭利用法の可能性を探るものであった。 1は、 北海道大学の熊谷らが褐炭の乾燥・脱水に伴う石炭の物 低減には効果はないが、発火点を下げ燃焼効率を向上さ せる効果があることが報告された。 理・化学構造の変化を CAMD 法により理論的に検討し たものである。乾燥に伴って実際に水分子が脱離して行 3.おわりに く様子をコンピュータグラフィックで示すとともに、水 の除去率が 80%を越すと平均的な水素結合エネルギー 会議 3 日目に発表会場をエスケープして、Newcastle の西方 150km にある C&A 社の Hunter Valley 炭鉱を は減少するが石炭内の水素結合の数が 2 倍以上に増加す ることを示した。これは脱水に伴って明らかに石炭の構 見学した。広大な露天掘り炭鉱の中で、1 回に 110 トン も石炭を掬える Electric shovel が絶え間なく動き、240 造の再構成が起こることを示しており興味ある結果であ る。 トン積みのダンプカーが縦横に走りまわっている光景は 圧巻であった。全ての炭鉱が閉鎖された我が国の状況と 3 は北海道大学の千葉、林らの研究であるが、Loy 考え合わせて、改めて石炭エネルギーの問題を考えさせ Yang 炭の亜臨界水(350℃、23∼24MPa)による抽出 を試みたものである。石炭層に亜臨界状態の水を連続的 られた次第であった。 最後に、多忙な中を本会議に出席いただき、「低品位 に1時間通液すると石炭の 60%もが抽出された。さらに、 同条件で 0.001M の NaOH 水溶液を抽出に用いるとほ 炭の利用」セッションで発表していただいた皆様に、こ の場を借りて御礼申し上げます。 ぼ 100%抽出される。これは、亜臨界水中で石炭の加水 分解が促進されたのと、水を生成する架橋反応が抑制さ れたためであると報告されている。 6は我々の発表であるが、350℃において褐炭を石炭 由来のカルボール油で 80%以上も抽出できることを報 告した。併せて、抽出に伴う硫黄、鉱物質の挙動を報告 した。 4 スペシャルレポート2 米国における石炭ガス化複合発電(IGCC)実証試験結果 元東京電力(株) 荒木 成光 Pinon Pine プロジェクトについては、それぞれ 2000 1.はじめに 発電事業における石炭利用は、現状では「生焚き」と 称されるボイラーでの微粉炭燃焼が主流であるが、将来 年 8 月及び 2001 年 1 月に数百頁に及ぶ最終報告書が提 出され、下記のウェッブ上でも公開されている。本稿で 的には、微粉炭焚きの発電プラントに比して発電効率が 数%高く、その分 CO2 排出量が少なく、また、冷却水不 は、これらの報告書の概要を紹介したい。 要のガスタービンが組み込まれるため、温排水量も 20% 2.Wabash River プロジェクト 程度少なくなる石炭ガス化複合発電(IGCC)が有望視 されている。このため、多くの国で競って研究開発が行 (1) プロジェクト概要 Wabash River IGCC 実 証 プ ロ ジ ェ ク ト は 、 われ、いくつかのプロセスは、既に実証試験を終了し、 実用化の段階に入っている。わが国でも欧米にかなりの Destec(=Dow)式石炭ガス化炉、湿式ガス精製装置と(ガ スタービン/蒸気タービン)複合サイクル発電プラントを 遅れをとったが、福島県いわき市の常磐共同火力構内に おいて実施された国家プロジェクトとしてのパイロッ 組合わせたプロセスを採用し、米国 Indiana 州の Wabash River 流域の田園地帯に建設された。設計出力 ト・プラント試験(1988−1996 年)の成果に基づき、 250MW の実証プラントが東京電力を中核とする㈱クリ は、GT:192MW、ST:105MW であり、補機動力:35.4MW を差し引いた正味(送電端)出力は、262MW である。 ーンコールパワー研究所によって実施される運びとなっ た。このプラントは、2004 年に建設開始、2007 年に運 なお、使用石炭は、高硫黄分(2-6%)の米国東部炭であ る。 転開始が予定されている。 米国では、Cool Water 石炭ガス化プログラム(1980 (2) −1989 年)の成功に引き続き、Tampa, Wabash River、 および Pinon Pine の3大プロジェクトが、エネルギー このプラントは、1995 年末に運転が開始されたが、早期 に設計性能(出力、熱効率、環境適合性)を満足したが、 省(DOE)の支援の下に実施された。Wabash、および 運転上の問題が多く生じ、図 1 に示すように初年度の設 運転実績 Wabash:http://www.lanl.gov/projects/cctc/resources/pdfs/wabsh/Final%20_Report.pdf Pinon Pine: http://www.lanl.gov/projects/cctc/resources/pdfs/pinon/PinonFinalReport022201.pdf 図1 ガス化部および発電ブロックの利用可能率 5 表1 Wabash IGCC プラントの性能 設計値 設計値 実績値 ガスタービン出力(MW) 192 192 192192 蒸気タービン出力(MW) 105 105 96 96 35.4 35.4 所内動力(MW) 36 36 262 262 送電端出力(MW ) 2 5 2252 37.8 37.8 プラント熱効率(%) 38.3 38.3 > 98 >98 脱硫率(%) > 99 >99 2,450∼2,490 2,450∼2,490 2,490 2,490 シンガス発熱量(kcal/m3、HHV) <<100 100 シンガス中硫黄分(ppmv) < <100 100 備利用可能率は、わずか 22%であった。しかし、適切な 設備改良の結果、1998 年にはこの利用可能率は 60%に 大部分のエリアにおいて石炭ガス化中断件数が横這い 或いは減少しているのに対して、3つの例外があるのが 達した。Wabash IGCC プラントの性能についてのまと めを表 1 に示す。 注目に値する。第1に、スラリー供給装置は、中断件数 が増大している。後半の2年間に 11 件ある中断の内の 8 (3)主要トラブル 件は、弁の損傷或いは低圧スラリーポンプとスラリー貯 蔵タンク間のサクションライン閉塞によるものである。 Wabash IGCC プラントのエリア別故障発生件数を表 2 に示す。運転開始後の最初の2年間は、ガス化ブロッ 2000 年の初めまでには、これらの問題は、解消していな いとしても大きく改善されるはずである。損傷材質不適 クと発電ブロックとの接点でガス化中断が頻繁に起こっ た。例えば、発電ブロックからガス化ブロックへのボイ 正により損傷した弁は、上級品に取替える予定であり、 サクションラインの閉塞発生は、一次スラリー貯蔵タン ラ給水喪失による石炭ガス化中断が、最初の2年間に10 回起こっている。その後の2年間には、わずか1回しか クに口径の大きい撹拌機を設置することにより減少する ものと思われる。 起こっていない。脱塵装置の改良についても精力的に努 力がなされた結果、世界で最も信頼性の高い脱塵装置と なった。 表 2 プラント・エリア別事故発生件数の要約 プラント・エリア 石炭ガス化中断件数 1996 1997 1998 1999 合計 発電設備 11 12 5 5 33 脱塵装置 10 6 6 3 25 第1段ガス化炉 8 5 6 2 21 スラリ供給設備 2 3 4 7 16 高温熱回収装置 8 7 1 -? 16 空気分離装置 1 2 10 1 14 スラグ及び固形物取扱い設備 2 3 ?- 3 8 低温熱回収装置 6 ?- 2 -? 8 硫黄回収装置 3 ?- 1 1 5 塩化物スクラバ ?- 2 1 1 4 予定補修 ?- 2 3 1 6 酸性ガス除去装置 ?- 3 -? -? 3 159 合計 石炭ガス化運転合計時間 平均石炭運転時間/ラン 51 45 39 24 1,915 3,886 5,278 3,496 38 86 135 146 6 表3 起動回数 ガス化炉の運転実績 運転時間 シンガス発生時間 シンガス発熱量(kcal/m3 ) 1 5 2 1,150 1,150 2 24 0 NA NA 3 24 9 1 , 2 1,200 00 4 120 25 5 72 20 1 , 0 1,070 70 1 , 2 1,290 90 6 72 18 7 144 5 8 72 5 9 24 8 10 48 4 11 48 0 00 12 48 0 00 13 24 10 NA NA 14 24 6 NA NA 15 24 5.5 16 24 4 NA NA NA NA 17 24 6 18 120 0 1 , 2 1,290 90 NA NA 1 , 11,140 40 1 , 2 1,290 90 NA NA 9 8 980 0 00 3.Pinon Pine プロジェクト (3) (1) プロジェクト概要 Pinon Pineプロジェクトでは、KRW式石炭ガス化炉、 プラント運転中断の主因は、廃棄固形物の除去関連で あった。特に高温生成ガスのフィルタ(エレメント:焼 乾式(高温)ガス精製装置、および(GT/ST)複合サイ クル発電プラントを組み合わせたプロセスを採用し、 結金属)の容量不足が大きな問題となり、大幅な(約 10 倍)増強が実施された。この高温ガス・フィルターは、 Nevada 州Reno市から約 17マイル離れた Sierra Pacific 火災も引き起こした。次いで、ガス化炉内耐火材の脱落 Power社の Tracy 発電所構内に建設された。設計出力は、 総発電容量 107.2MW(GT:61MW、ST:46.2MW) による炉下部からの LASH(灰+石灰石)排出不良が問 題となり、改修が実施された。なお、このプラントは、 であり、補機動力:7.5MW を差し引いた正味(送電端) 出力は、99.7MW である。プラントの熱効率は、40.7% 会社合併の余波で石炭ガス化運転は中断され、現在は天 然ガス焚き発電プラントとして運用されている様である。 (設計値、HHV ベース)である。なお、使用石炭は、 ユタ州産の低硫黄(S:0.45%)の瀝青炭である。KRW 4.おわりに 今回紹介した2つの IGCC プロジェクトの報告書は、 ガス化炉は、加圧流動床式で、ガス化剤として空気を用 いている。一方、ガス精製装置は、吸収剤として酸化亜 かなり詳細なものであり、トラブル関係についてもすべ て公開されている。我国の IGCC 実証プラントは、空気 鉛系のものを採用し、燃料ガス中の硫黄分を 20ppm 以 下にまで除去する。 吹きガス化炉、湿式ガス精製を採用することになってい るので、Wabash の湿式ガス精製、および Pinon Pine (2) 運転実績 実証運転期間(1997-2000 年)中に 18 回のガス化炉 プロジェクトのトラブル事例は、設計・運転上大いに参 考になるものと思われる。 起動を行ったが、いずれも設計不良或いは装置欠陥のた め、表3のガス化炉の運転実績に示すように運転が短時 <参考文献> 間で中断してしまい、プラント性能を十分には把握でき Technical Report (August 2000) なかった。 2.Piñon Pine IGCC Project, Final Technical Report (January トラブルの原因 1. Wabash River Coal Gasification Repowering Project, Final 2001 ). 7 クリーン・コール・テクノロジ−1 我が国の石炭灰利用状況について 前(財)石炭利用総合センター 常務理事 船坂 秀夫 1. はじめに わが国は世界最大の石炭輸入国であり、エネルギー供 (2)電気事業と一般産業と石炭灰の発生割合は約 3:1 で、ここ数年ほぼ同じ割合で推移している。 給の面からも石炭は一次エネルギー総供給量の約 18% (3)使用石炭の灰分は 12.1%で、前年と同水準であ (2000 年度)を担っている。 石炭は石油、天然ガス等に比べ CO2 排出量が多く、環 り、引き続き低灰分炭を使用している。 (4)石炭灰の有効利用量は約 693 万トンで、着実に 境負荷が比較的大きいという問題点はあるが、エネルギ ー源の多様化、安定供給という面からも今後とも重要な 増加している。利用率は全体で 82.2%であり、電 気事業で 78%、一般産業で 95%である。 位置を占めると見込まれている。 この石炭を安定して使用するためには、クリーンかつ 3. 石炭灰の有効利用分野と利用量 効率的に使用するとともに、燃焼によって発生する石炭 灰の有効利用を拡大することが重要である。 図1に各分野における利用量の推移を示す。 セメント分野における利用量は年々増えており、2000 石炭灰の利用は、1950 年代の前半にセメント混和材と して実用化されてから、セメント原料、 セメント混合材、 年度には総利用量 693 万トンのうち 70.6%、489 万トン を占めている。 道路材、埋立材、盛土材等多岐にわたり利用されている が、セメント分野での利用、特にセメント原料(粘土代 このうち電気事業では 332 万トン、一般産業は 157 万 トンである。このようにセメント産業での有効利用量が 替)としての利用が大半を占めている。今後ますます増 加する石炭灰を有効かつ大量に利用するためには、セメ 過半を占めている。しかし、セメント生産量は近年減少 傾向にあり、今後も大幅な増産を見込むことは難しい。 ント分野以外での利用技術、特に土木・建築分野での利 従って今後の石炭灰の増加に対処するためには、その他 用技術を開発することが必要になってくる。 一方、石炭灰は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」 の分野での利用拡大が重要な課題となっている。とくに 大量利用の可能性の大きい土木材料としての利用が期待 によって、管理型の産業廃棄物に指定されているが、 「再 生資源の利用の促進に関する法律」等によって再生資源 されている。 表2に 2000 年度の有効利用分野別の内訳を示す。 に該当し、電気事業からの石炭灰は指定副産物として、 有効利用の開発が一層求められている。 セメント分野での利用は、その大部分がセメント原材 料である粘土の代替利用で、総利用量の 63%を占めてい ここでは、わが国の石炭灰の発生状況と有効利用技術 開発の動向について述べる。 る。利用拡大の方策として、1999 年にセメント・コンク リート用フライアッシュの日本工業規格( JIS)を未燃炭 2. 石炭灰の発生状況 素と比表面積を中心に見直し、従来 1 クラスであった規 格を 4 クラスにひろげ、混和材としての幅広い利用を目 表1に、1995 年度から 2000 年度までの電気事業と 1,000kW 以上の自家用発電設備を持つ一般産業(製造業) 指している。 土木分野での利用は主に道路路盤材、地盤改良材であ からの石炭灰発生量と利用状況を示す。 2000 年度の石炭灰の発生状況は次の通りである。 るが、現状では少量である。この分野での利用を増やす ため、多くの技術開発が行われている。 (1)石炭灰の発生量は、全体で 843 万トンであり、 建築分野では、建設ボードの原料として安定して利用 電力需要の増加を石炭火力を中心として対応した こともあって、前年度に比べ 83 万トン増加した。 されている。石炭灰から製造した軽量人工骨材は、現在 比重 1.35 程度のものが製造・市販されているが、利用の 8 表1 石炭灰発生量と利用量 (単位:千トン) 発 生 量 利用量 5,149 [72.3] 1,974 3,114 (60.5) 1,668 2,035 (39.5) 306 39,777 {12.9} 12,918 [27.7] 7,123 [100 ] (84.5) 4,782 (67.1) (15.5) 2,341 (32.9) {15.3} 52,695 {13.5} 電気事業 5,288 [73.4] 3,375 (63.8) 1,913 (36.2) 40,534 {13.0} 一般産業 1,920 [26.6] 1,683 (87.7) 237 (12.3) 13,110 {14.6} 計 7,208 [100 ] 5,058 (70.2) 2,150 (29.8) 53,644 {13.4} 5,408 [74.1] 1,890 3,352 (62) 1,606 2,056 (38) 284 43,789 {12.4} 12,218 [25.9] 7,298 [100 ] (85) 4,958 (67.9) (15) 2,340 (32.1) {15.5} 56,007 {13.0} 5,029 3,512 1,517 43,347 [74.1] 1,760 [25.9] (69.8) 1,578 (89.7) (30.2) 182 (10.3) {11.6} 12,695 {13.9} 6,789 [100 ] 5,090 (75) 1,699 (25) 56,042 {12.1} 5,757 [75.7] 1,843 4,449 (77.3) 1,686 1,308 (22.7) 157 49,101 {11.7} 13,539 [24.3] 7,600 [100 ] (91.5) 6,135 (80.7) (8.59 1,465 (19.3) {13.6} 62,640 {12.1} 6,322 4,932 1,400 54,761 [75.0] 2,097 [24.9] (78) 1,999 (95.3) (22.1) 98 (4.7) {11.5} 14,953 {14.0} 8,429 [100 ] 6,931 (82.2) 1,498 (17.8) 69,714 {12.1} 電気事業 1995 一般産業 計 1996 電気事業 1997 一般産業 計 電気事業 1998 一般産業 計 電気事業 1999 一般産業 計 電気事業 2000 埋立量 石 炭 使用量 一般産業 計 [ ] : 灰発生割合、 ( ) : 構成比率%、 { } : 灰分率% 9 (千トン) 6,000 5,000 4,000 ■■ ■ ■■ ■ ■ 11 1 11 1 2 99 9 99 9 0 99 9 99 9 0 45 6 78 9 0 年年 年 年年 年 年 度度 度 度度 度 度 3,000 一般産業 電気事業 2,000 1,000 そ の他 農 林・ 水産 建 築分 野 土 木分 野 セ メン ト分野 0 図1.各分野における石炭灰有効利用量の推移 表2 2000年度 石炭灰有効利用量の分野別内訳 (単位 千トン) 項 目 電気事業 分野 内容 セメント分野 構成比(%) 利用量 構成比(%) 61.68 1,333 66.68 4,375 63.12 セメント混合材 189 3.83 185 9.25 374 5.4 コンクリート混和材 87 1.76 57 2.85 144 2.08 3,318 67.27 1,575 78.79 4,893 70.6 地盤改良材 96 1.95 45 2.25 141 2.03 土木工事用 121 2.45 24 1.2 145 2.09 電力工事用 26 0.53 0 0 26 0.38 道路路盤材 65 1.32 31 1.55 96 1.39 3 0.06 0 0 3 0.04 炭坑充填材 291 5.9 0 0 291 4.2 計 602 12.21 100 5 702 10.13 建材ボード 198 4.01 109 5.45 307 4.43 人工軽量骨材 28 0.57 0 0 28 0.4 コンクリート 27 0.55 2 0.1 29 0.42 その他 計 農林・水産分野 肥料 0 0 0 0 0 0 253 5.13 111 5.55 364 5.25 41 0.83 2 0.1 43 0.62 土壌改良剤 9 0.18 70 3.5 79 1.14 融雪剤 0 0 22 1.1 22 0.32 50 1.01 94 4.7 144 2.08 下水汚水処理剤 2 0.04 1 0.05 3 0.04 製鉄用 1 0.02 2 0.1 3 0.04 その他 706 14.31 116 5.8 822 11.86 計 709 14.38 119 5.95 828 11.95 4,932 100 1,999 100 6,931 100 計 その他 利用量 3,042 アスファルト・フィラー材 建築分野 構成比(%) 合計 セメント原材料 計 土木分野 利用量 一般産業 有効利用合計 10 巾を広げるため、 比重 1.25 以下のものや比重 2.0 程度の 骨材の製造、利用技術を開発中である。 日本では、世界各国から 100 銘柄以上の石炭を輸入・ 使用しているため、石炭灰の物性値のバラツキも大きい。 農林・水産分野ではけい酸カリ肥料として石炭灰が利 用され、少量ではあるが安定した需要がある。 表3に微粉炭燃焼灰、表4に流動床燃焼灰の化学・物理 特性を示す。 4. 石炭灰の物性 石炭灰の鉱物組成は、各化学成分が単独で介在するも のではなく、化合物となって存在する。その主なものは 日本の石炭灰発生量のうち、微粉炭燃焼灰が 90%以上 で主流を占め、流動床燃焼灰は 7%程度、ストーカー燃焼 クオーツ(SiO2),ムライト(2SiO2・3Al2O3),マグネタ イト(Fe2 O3 ),ガラス質などである。 灰は 1∼2%程度である。またフライアッシュとクリンカ アッシュ(ボトムアッシュ)との発生割合は、ほぼ90:10 フライアッシュの自硬性は CaO の多寡及びガラス質の 量に左右されると言われている。しかし、CaO 量が少な となっている。 石炭灰の形状は、融点の低い灰は球状が多く、高融点 くてもフライアッシュにセメント等を添加すると水和反 応およびポゾラン反応が進行し強度が向上する。またガ の灰は不定形が多くなっている。微粉炭燃焼のフライア ラス化率が高いほどポゾラン反応が進行しやすく強度も ッシュの平均流径は 25μm 程度で、土質的には粘土より 粗く、細粒砂より細かくシルト相当である。化学組成は 向上すると言われている。 シリカ、アルミナが多く山土に近い物質である。 表3 微粉炭燃焼灰の化学・物理特性 特 性 試料数 化 学 性 物 理 特 性 最小値 平均値 SiO2 30.5 76.9 0.1 44.5 4.96 58.76 Al 2O3 138 36.11 0.81 17 138 35.1 0.89 12.84 138 11.7 0 3.58 F-CaO 2 1.51 1 0.76 MgO 138 2.97 0.08 1.05 Na 2O 80 2.62 0 0.47 K2 O 80 3.12 0.06 0.96 SO3 128 1.5 0 0.3 固 め 128 90 2.47 1.471 1.92 0.693 2.2 1.17 緩 め Fe2 O3 CaO 特 最大値 138 138 強熱減量 (wt. %) 真比重 かさ密度 3 8 0.792 0.54 0.683 ブレーン値 49 5,720 1,544 3,212 2 (cm /g) N 2-BET 39 244,000 18,000 96,600 平均粒径 (μ m) 131 69.2 4.6 24.3 (g/cm ) 比表面積 表4 流動床燃焼灰の化学・物理特性 特 性 試料数 最大値 最小値 平均値 化 強熱減量 13 32.3 5.9 18.4 学 SiO 2 13 53.3 21.6 34.5 特 Al2O 3 13 25.7 8.3 17.4 性 Fe 2O3 13 4.8 0.4 2.1 CaO 13 41.3 6.3 18.7 真 比重 12 2.6 2.3 2.5 10 9140 4210 6260 物 (wt. %) 理 表 面 積 ブレーン値 特 比 (cm2/g) 性 11 5. 石炭灰有効利用技術の開発状況 骨材を予め型枠内または施工箇所に投入し、その間隙 にモルタルを適当な圧力で注入して作るコンクリート 表5に石炭灰利用技術の開発状況を示す。セメント・ コンクリートの混合材、混和材としての利用のほか、強 度の確保、微量成分の溶出抑制等の目的で、セメント、 である。 ここで使用されるモルタルは流動性が大きく、 材料分離が少なく、かつ適度の膨張性を有するものが 高炉スラグ、石灰等の添加物を用いたスラリー状、粉状 固化体など、また蒸気養生、焼成等の各プロセスでの利 求められ、一般にフライアッシュを 25∼50%混合して 使用されている。 用方法の研究開発が進められている。 用途としては、水中コンクリート、マスコンクリー ト、既設コンクリート構造物の補修・補強等があり、 5.1 セメント・コンクリート分野での利用技術 5.1.1 セメント原料である粘土の代替使用 本四連絡橋瀬戸大橋の下部工も本工法で施工された。 (3)高流動コンクリート セメントの原料は石灰石、粘土、珪石、酸化鉄から 構成されており、この中で粘土は全体の約 15%を占め FEC(Fly ash Enriched Concrete)は、粉体としてセ メントとフライアッシュを用いた 2 成分系の高流動コ ている。SiO2と Al2O3 を含む石炭灰(SiO2/Al2O3 モ ンクリートである。フライアッシュを 40%以上と多量 ル比約 3.5)が、この粘土(モル比約 7)の代替として 使用される。石炭灰は SiO2 が少なく、Al2O3 が多いの に含むことにより、自己充填性に優れ打設時の締固め が不要、水和発熱によるひび割れが発生し難い、長期 で、石炭灰を多く使うと不足する SiO 2 源として珪石 の使用量が増えることになり、この点から石炭灰の粘 強度が増進する、アルカリ骨材反応、塩害、酸害に対 する耐久性に優れているなどの特徴がある。 土代替率には限度がある。セメント原料としての混合 率の現状は約 5%程度である。 FS(Fly ash & Slag Concrete)は、鉄鋼スラグと石炭 灰を骨材として利用するコンクリートで、それほど強 5.1.2 セメント混合材としての利用 日本工業規格でフライアッシュセメントの規格が定 度を必要としない防波堤上部工や根固めブロック、消 波ブロック等の無筋コンクリートとして開発された。 められており、フライアッシュを 5∼30%混合するこ とができる。また、フライアッシュは普通ポルトラン このコンクリートは、セメントに高炉セメント B 種ま たはフライアッシュセメント、粗骨材に高炉スラグ、 ドセメントの混合材としても5%以下の使用ができる。 5.1.3 コンクリート混和材としての利用 細骨材に製鋼スラグ、石炭灰、高炉水砕スラグを用い ている。このコンクリートの特徴は、粘性が高く材料 (1)ダムコンクリート フライアッシュのコンクリート混和材としての研究 分離がない、強度は普通セメントと同等以上、アルカ リ骨材反応は安定しており、塩分の浸透、中性化に対 は、わが国では 1950 年頃から始まり、1953 年にダム する耐久性は普通コンクリートと同程度であることな 現場で実用化され良好な性能と経済性が実証された。 RCD(Roller Compacted Dam-Concrete)は、超硬練 どが挙げられる。 (4)コンクリート用フライアッシュの工業規格 りのコンクリートを振動ローラーで締め固めて造るコ ンクリートで、建設省を中心にコンクリートダムの合 近年、粉末度が高く、未燃炭素分の少ないフライア ッシュがコンクリート混和材としてより優れた性能を 理的施工方法として独自に技術開発を進め、RCD 工 法として体系化され、1978 年からダム建設で実用化さ 持つとの評価を得て、高度分級機による高粉末度品の 商品化がなされ、また、JIS の規格外品の混和材とし れた。 一般にダムコンクリートでは、ひび割れの発生を防 ての利用研究が行われるなど、混和材としての利用開 発が行われてきた。1999 年に従来 1 つの等級であっ 止するために、温度上昇の小さなコンクリートが要求 されるが、RCD 用コンクリートではこの条件が厳し た規格が見直され、従来の JIS 規格品を中心に、より 性能の高い品質のもの、及び規格から外れても混和材 く、この温度上昇を規制する目的でセメントの一部を フライアッシュで置換したものが使用されている。そ としての効果が見込まれるものを、JIS 規格に追加し て 4 等級化し、使用目的に応じた品質の選択に便宜が の置換率は 20∼30%としたものが大部分である。現在 までにこの工法で建設されたダムの数は 30 余にも上 図られた。 り、技術的にも確立した施工法といえる。 5.2 土木分野での利用技術 (2)プレパックトコンクリート(Prepacked Concrete) プレパックトコンクリートは、所定の粒度を持つ粗 土木分野で石炭灰は、コンクリート用以外では、道路 材、地盤改良材、埋立材等の土工材として広く使用され 12 表5 石炭灰有効利用技術の開発状況 JIS フライアッシュ JIS A 6201 改訂(4等級) JIS セメント セメント コンクリート 分 野 ポルトランドセメント(フライアッシュ5%以下) フライアッシュセメント(フライアッシュの混合率により3区分) (A種: 5∼10%以下、B種: 10∼20%以下、C 種:20∼30%以下) フライアッシュセメントの用途例 ・ダム(C種) 水和熱低減、長期強度出現、水密性 ・橋梁、建築基礎(B種) 長期強度出現、水密性 ・港湾上下水工事 (A∼B種) 水密性等 ・グラウト工法、プレパック工法(C種) 流動性等 ・コンクリート製品(A∼C種) 仕上げの良さ等 セメント原料の粘土代替利用 原料全体に対して約 5%混合 (セメント原料中の粘土は約 15%:粘土の代替率約 30∼40%) 三成分系セメント ※フライアッシュ系高流動コンクリート ファイナッシュ(フライアッシュ微粉末) 人工骨材 エフエイライト(比重 1.30∼1.38):市販中 ※超軽量人工骨材(比重 1.25 以下) ※高強度人工骨材(比重 1.8±0.1) (開発中) 建設分野 建築用内外壁材 舗装用レンガ、屋根瓦 FAボード、FAサイディングボード:市販中 盛土・土地造成利用 ※ポゾテック(建設省材料認定取得済) ※建設発生土との混合利用 (開発中) 道路材利用 土木分野 アスファルトフィラー材 アスファルト舗装要綱で採用 ※港湾・空港施設周辺道路用路盤・路床材 ※ポゾテック利用技術開発 アッシュロバン(建設省材料認定取得済)製造・利用技術 ※流動床燃焼灰(ナルトン)製造・利用技術 ※微粉炭燃焼灰の土木用固化材製造・利用技術 (開発中) 地盤改良材他 ※護岸裏込め材 酒田港湾工事で実使用済 ※軟弱地盤表層改良材 ※FGC深層混合処理工法 (開発中) ※FGC利用技術開発(トンネル等の充填材) ※FAC製造・利用技術 ※高含水軟弱土改良 SCP工法への利用(粒状固化体) 橋脚海中基礎材:CAP工法、PC工法 農林水産 分 野 肥料 ※コンブ礁・魚礁 湧昇流人工漁場造成用ブロック材 その他 石炭灰利用排煙脱硫材 人工ゼオライト (※ は、CCUJ の実用化補助事業等に関連する技術開発) 13 ている。しかし、利用量としては、2000 年度の実績で 10%程度である。 準を満足している。この材料も下層路盤材として土 木系材料技術・技術審査証明を取得している。 今後、石炭火力発電所等からの石炭灰の増加が予想さ れ、これに対処するためにはこの分野での利用拡大が必 ・ナルトン:流動床燃焼灰の蒸気養生固化体であり、 灰中の CaO 分による硬化性を利用して、石炭灰に少 要であり、現在も精力的に利用技術の研究開発が行われ ている。 量の水を加えて混練し、成型、蒸気養生、破砕、粒 度調整して製造する。この固化体の一軸圧縮強度は 5.2.1 道路材 「アスファルト舗装要綱」では、フライアッシュは 100kgf/cm2以上であり、実路盤での施工試験でも道 路の維持管理指数は従来の砕石と比べ遜色がなく良 アスファルトフィラー材として、クリンカアッシュは 下層路盤材、凍上抑制材、遮断層材として利用ができ 好な性能を示し、環境基準も満足している。 5.2.2 土工材 るようになっているが、環境上問題のないことを確認 して使用する必要がある。 石炭灰の大量利用が可能な土木分野で、土砂の代替 として利用する方法には、大別して次の三つのタイプ (1)アスファルトフィラー材 がある。 アスファルト舗装に用いられるフィラー材は、アス ファルト混合物材の空隙を充填し、安定性や耐久性を ・フライアッシュ+セメント+石膏(または石灰) の混合体 向上させるのが目的である。石灰石粉が最も多く使用 されているが、1988 年の「アスファルト舗装要綱」の ・フライアッシュ+セメント系のスラリー硬化体 ・フライアッシュ+セメント系の粒状固化体 改正にあたり、フライアッシュがアスファルトフィラ ー材として適用可能なことが確認され採用された。 これらの組み合わせを活用して種々の利用法の開発 が進められている。また、土工材として石炭灰を使用 (2)セメント安定処理工法 セメント安定処理工法では、フライアッシュにセメ するためには、環境上問題なく使用しなければならな いため、石炭灰の微量成分の溶出に関して基礎的研究 ントなどを添加して適度の含水比で処理して使用する。 この工法は、セメントなどの添加剤とフライアッシュ も行われている。 (1)FGC(Fly ash-Gypsum-Cement) のポゾラン反応を有効に活用して、早期に強度を発現 させ、長期的に安定性を得るものである。 フライアッシュ、石膏、セメントの混合体で、地盤 改良材として開発されたもので、石膏とセメントの添 (3)石炭灰加工による道路材の例 ・微粉炭燃焼灰の固化体:微粉炭燃焼灰に石灰、脱硫 加量を調整することにより、軟弱地盤の強度を qu=2∼ 50kgf/cm2の広い範囲で改良が可能である。これは従 石膏を添加、混練して、低温で蒸気養生を行った後、 来の深層混合処理工法では困難であった弱強度の改良 破砕して路盤材、地盤改良材(サンドコンパクショ ン用材料)等として使用する。 強度は添加剤の量で、 ができることで、これにより従来は補助工法が必要で あった山留め工事等で直接改良地盤に鋼矢板の打設が 100∼200kgf/cm2に調整が可能である。 ・ポゾテック:フライアッシュと脱硫スラッジに少量 可能となり、コスト削減効果が大きい。火力発電所の 新設工事で山留め構造物の地盤改良に採用されている。 の石灰を添加して混練、養生して固化体を製造する 技術で、この方法による固化体は、強度が大きく、 (2)セメント添加フライアッシュスラリーの硬化体 フライアッシュの軽量性を利用するためにセメント 難透水性で、固化安定処理により微量金属の溶出を 抑制することができ、路盤・路床・盛土材として実 を 2∼5%添加してスラリー状にして打設を行い、軟弱 地盤の表層処理や港湾における護岸裏込め材等として 用化されている。この材料は国の土木系技術・技術 審査証明を取得している。 の利用技術開発のための実証試験を行ってきた。護岸 裏込材としての利用は、1998 年、340m の護岸で約 5 万 m3のフライアッシュが使用された。 (3)FAC(Fly ash-Air-Cement)軽量土工材 ・アッシュロバン:フライアッシュにセメントと水を 加えて造粒し、自然養生後これを粉砕し、結合材と してフライアッシュ、セメント、石膏を添加したも ので、現場で施工できる下層路盤材である。転圧時 フライアッシュに少量のセメントを添加しスラリー 化したものに気泡材を加えて軽量化するのもで、密度 に石炭灰固化物の一部が圧砕されるが、結合材の硬 を 0.8∼1.5g/cm3の範囲で設定可能である。この材料 化作用により固化する。施工性、耐久性等通常の材 料と同等の性能が確認され、溶出特性も土壌環境基 は現場実証試験を経て実用化の目途を得ており、地震 時の液状化防止にも効果がある軽量土工材である。 14 (4)セメント添加石炭灰粒状固化体 石炭灰にセメントを添加し自然養生した粒状固化体 5.5 農林分野での利用 (1)けい酸カリ肥料 で、軟弱地盤改良の SCP 工法(Sand Compaction Pile Method)用材料として実証試験を陸域、海域で実施し 石炭灰に含まれる難溶性のけい酸(SiO2)を有効化 するため、フライアッシュ、炭酸カリウムまたは水酸 ている。この地盤改良効果は従来材料と比べ遜色がな く、今後の活用が期待されている。 化カリウム、水酸化マグネシウムを混合して造粒、焼 結したものである。この肥料は土を酸性化することな (5)土壌改良材 フライアッシュを軟弱な浚渫土等の建設発生土の改 く、肥料成分(カリ、けい酸、ホウ素)のほとんどが 薄い酸には溶けるが水には溶け難いので、肥料効果が 良材として利用する方法を開発中である。フライアッ シュを軟弱土に混合すると、含水比の低下等で良質土 持続でき、根を健全にし、倒伏の防止、耐病性等に効 果がある。 に改良することができる。フライアッシュ混合処理土 の特徴としては、対象土の土質及び含水比の状態によ (2)土壌改良材 クリンカーアッシュは主成分が一般土壌とほぼ同じ って異なってくるが、含水比の低下により強度が増加 で、大半が SiO2 ,Al2O3であり、植物の生育に適して する、強度発現が混合直後に現れ即効性がある、圧縮 量の減少が図れるなどの点が挙げられる。改良した土 いる。また無数の細孔を持ち保水性が良く、肥料の効 果を永続できる。さらに形状は砂に似て透水性も同程 は土壌環境基準を満足しなければならないので、微量 重金属の溶出抑制法の研究も併せて行っている。 度であり、ゴルフ場の芝生土、排水不良箇所の改善、 農地土壌改良等に利用されている。 5.3 6. まとめ 人工軽量骨材 人工軽量骨材の原料は、従来から主に天然の膨張性頁 岩が使われている。フライアッシュを原料として、焼成 わが国の石炭灰の現状は大略以下の通りである (1)石炭灰の年間発生量は、ほぼ 840 万トン程度であ 加工した骨材では、比重が 1.30∼1.38 のものが現在市販 されている。 り、有効利用率は 82%程度である。利用の大半はセ メント分野、とくにセメント原料として利用されて (1)超軽量人工骨材 フライアッシュにパーライト等の添加材を 20%程度 いる。 (2)今後の石炭灰発生量の増加に対処するために、セ 混合して、造粒、焼成した比重1.25 以下の骨材で建築 等軽量構造物への利用を目指している。0.3t/h のパイ メント分野以外の利用、特に大量利用が見込める土 木・建築分野での利用拡大が期待されている。 ロットプラントを建設し、 実用化試験を実施している。 (3)土木・建築分野での利用技術開発には、産・官・ (2)高強度人工骨材(タフライト) フライアッシュを主原料に炭酸カルシウムとベント 学協力して多岐に亘って進めているが、これを実効 あるものとするためには技術の普及、需要の開拓、 ナイトを添加し、造粒、焼成(キルン使用)した比重 1.25 以下の球形状の人工骨材である。この骨材を使用 流通機構の整備等解決しなければならない課題があ る。 したコンクリート強度は、天然砕石を用いたものと同 等またはそれ以上で、建築物や橋梁など軽量構造用コ (4)石炭灰を土工用として利用する場合は、土壌環境 基準を遵守しなければならない。石炭灰を固化体、 ンクリートへの利用が期待されている。 焼成体として使用する場合は微量成分の溶出の心配 はないが、土壌に近い状態で使用する場合には、溶 5.4 海洋土木材 水産分野では FGC コンクリートによる漁礁、コンブ礁 出抑制の対策が必要である。このため、微量成分溶 出抑制のための研究も進めている。 などの実用化試験が行われてきた。1998 年度から、フラ イアッシュを多量に含む一辺 1.6m の立方体ブロック なお、ここで述べた技術開発の多くは、経済産業省の 石炭生産・利用振興補助事業として当センターと会員各 5000 個を用いて海底に人工マウンドを構築して、湧昇流 漁場を造成するプロジェクトが行われた。 社との共同研究で行ったものである。また、これら技術 開発を進める上で、国土交通省及びその関係機関の多大 また、このブロック製造で開発した石炭灰の富配合コ なご協力、ご指導をいただいており、ここに深く謝意を ンクリートを活用して、消波ブロック等の海洋構造物の 開発も進められている。 表する次第である。 15 クリーン・コール・テクノロジ−2 世界各国における石炭ガス化技術開発状況 (第18回ピッツバーグ国際石炭会議より) 前(財)石炭利用総合センター 技術開発部 廻 信康 1.世界各国のガス化技術の現状 世界各国のガス化技術の開発状況を SFA Pacific 社の セスは、NGCC(天然ガス複合発電) 、IGCC(ガス化複合発 電)、USC(超々臨界発電)との発電コストに関する比較 講演内容を中心に纏めると以下の通りである。 検討結果では、CO2 の固定化・貯留を行う場合に、NGCC (1)環境における厳しい排出規制と電力等の規制緩和が 進んでいる国々で、ガス化プロジェクトが増加している。 と同等でIGCCやUSCより優位にあるとの試算を行ってい る。 例外は、アンモニア肥料生産用にガス化装置を導入して いる中国とインドである。 ZECA プロセスの概要は、2001 年 6 月号を参照していた だきたい。ここでは、残りの二つのゼロエミッション石 (2)ガス化の原料としては、主として硫黄、窒素、金属 を多く含む付加価値の低い燃料、例えば、オイルコーク 炭発電プロジェクトに関する論文について紹介する。 スや品質の悪い石炭が使用されている。 (3)2001 年度前半のガス化装置の設備容量は、合成ガ 2.1 米国クリーン・エナジー・システムズ(CES)社 CESプロセス ス基準で 43,000MWth(24,000MWe の IGCC に相当)を超 えており、今後、毎年 4,000∼5,000MWth CESプロセスの概略系統図を図1に示す。ガス化プ ラントで発生した合成ガスは、ガス発生装置へ送って燃 増加する見込みである(増加率は10%)。 (4)上記設備の内訳は、131 のガス化プロジェクトで、 焼を行う。合成ガスをガス発生装置内で酸素燃焼しつつ、 水をガス発生装置内に注入して発生装置出口温度を制御 ガス化装置の総数は 409 基である。2006 年度までに 32 のガス化プロジェクト(ガス化装置 59 基)が計画されて する。この燃焼生成物と冷却水の混合物からタービンの 作動ガスを生成する。この混合物は主に水蒸気(H2O)と おり、その定格は、合成ガス基準で約 24,500MWth(約 二酸化炭素(CO2)から構成されている。ガス発生装置の 13,625MWe の IGCC に相当)となっている。 (5))今後のガス化プロジェクトは、IGCC よりもポリジ 燃焼生成物が高圧タービン(HP)、中圧タービン(IP)及 び低圧タービン(LP)を作動させて電力を生み出す。低 ェネレーション(ガスタービンベースのコジェネと合成 ガスから化学原料と燃料油を生産するガス化システム) 圧タービンから出たタービンの作動ガスは、給水熱回収 ユニットを通って復水器へ供給され、復水器内において が主体となる可能性が大きい。 (6)欧米の IGCC は、1000 時間以上の連続安定運転を常 凝縮蒸気から二酸化炭素が分離される。 復水器から出た水の大半が加熱されてガス発生装置へ 時達成できるレベルにはなく、商用レベルに達するには、 まだ数年かかると推定される。今後の課題として、運転 戻され、ガス発生装置内の燃焼生成物の温度を蒸気の各 タービンに受け入れられる温度にまで低下させる。燃焼 停止原因の撲滅と運転コストの低減等が挙げられている。 プロセスで生じた余剰水は本システムから除去される。 この水は、冷却塔への補給水やコージェネレーション用 2.ゼロエミッション石炭発電 米国では、ゼロエミッション石炭発電に関して、以下 水として利用することができる。 復水器から出る気体の CO2 は回収システムへ送られる。 に示す 3 つのプロジェクトの開発が進められているよう である。表1に米国におけるゼロエミッション石炭発電 この CO2 は、回収システム内で残留湿分を除去した後、 さらに同システム内において、地層内貯留用あるいは別 プロセスの比較を示す。 の用途に必要とされる条件にまで冷却・圧縮される。 いずれも CO2 の固定化・貯留を図るものであり、米国 の Vision 21 政策に沿ったものになっている。ZECA プロ 16 表1 米国におけるゼロエミッション石炭発電プロセスの比較 ZECAプロセス CESプロセス ロスアラモス研究所 クリーン・エナジー・システムズ 発電 CO2固定・隔離技術 水添ガス化 (IGT) 燃料電池(SOFC) 鉱物(蛇紋岩) 熱効率(NET) 69%(HHV) 設備コスト 1520($/kW) 酸素吹きガス化 (テキサコ炉) 改良型蒸気タービン 液化したCO2を地下の油 層、炭層、透水層に貯留 現状:32%(LHV) 近未来:46%(LHV) 最先端:55%(LHV) 現状:0.031($/kWh) プロセスの特徴 開発フェーズ ガス化技術 GE EER 2000.10.1∼ ・4種類の反応器 ・CES社開発のガス発生 ・3種類の反応器 器(合成ガスを酸素燃焼) (ガス化炉、CO2離脱炉、酸 を利用 化炉) (ガス化炉、水素発生 ・蒸気・CO2タービンで ・水素を併産 炉:メタンの改質、焼成 発電 炉、燃料電池) ベンチスケールテスト 0.5MW級試験計画 ベンチスケールテスト 近未来:0.033 最先端:0.033 現状:0.058 近未来:0.053 最先端:0.051 ・高温タービンの開発 発電コスト($/kWh) 0.0432 主な開発課題 ・水添ガス化技術 ・CO2固定化技術 ・硫黄など微量成分を含 む水素でも運転可能な SOFC ・水素発生炉は2基直列 ・開発要素少ない に配置 備考 AGCプロセス 図1. 17 スチームガス化 技術開発着手段階 膨張タービン・HRSG (地層) 約67%(HHV) ・スチームガス化技術 ・ガス化炉でのCO2吸収性 能 ・酸素移送媒体の還元性能 ・DOE Vision 21予算で研 究開発 ・ハイパーリングと類似の プロセス 図2. ゼロエミッション型 400MWe 級発電プラントの設計 CES社のガス発生装置 図2に示すCES社のガス発生装置が、開発に当たっ 従来式、近未来式および最先端式の蒸気タービン技術 を利用した3種のタービンの入口圧、入口温度、正味の て重要要素となる。 このガス発生装置は、噴入部、燃焼部および多数の冷 効率を表2に示す。最先端式のプラント効率は石炭の低 位発熱量ベースで 55%であると推定される。 却部より構成されている。噴入部には、気体反応物(合 成ガスや酸素)をプラントからの再生水と正確な比率で ガス化プラントからの合成ガスはガス発生装置内で酸 素と共に燃焼する。燃焼生成物は、ガス温度が高温用タ あらかじめ混合する混合機のほか、一体型の表面冷却機 が設けられている。燃焼部と冷却部は、再生水によって ービンの許容入口温度(922K∼1256K)になるまで水を加 えて段階的に冷却する。高圧タービンから出るタービン 冷却・回復される。燃焼部や各冷却部に注入される水量 を制御して特定の燃焼温度に維持している。 作動ガスは、中圧タービンに入る前に再熱器で再加熱さ れる。CES社プラント用の再熱器の試作品が米国エネ 400MWe 級プラントの場合、それぞれ 400MWeth のガス 発生装置を3基使用することを考えている。これら3基 ルギー省によって設計されており、近く検証試験が行な われる予定である。 のガス発生装置は並列に設置する。このうち 1 基は、他 中圧タービンの排ガスは低圧タービンへ送られる。低 のユニットを点検修理している間の予備として設ける。 10.3MPa の圧力下で作動する熱出力 400MWth 級のユニッ 圧タービンの排ガスは、給水加熱器内で所定の復水器入 口温度にまで冷却される。加熱された給水は、ガス発生 トは、内径が 0.46m、全長が 1.88mである。 装置へ送られ、タービン作動ガスの温度を低下させるた 表2. 18 めの冷却材として用いられる。 タービンの排ガスは、重量比で約 66.2%の蒸気、33.3% 本技術の適用例 CES社は、0.5MW 級の実証プラントを米国カリフォ の CO2、0.45%の窒素、それに少量の酸素と非凝縮性物質 からなるもので、 復水器内において 306K の冷却水で冷却 ルニア州アンティオークに計画しており、CES型ガス 発生装置の商用条件下における耐久性と、CO2 の分離・ される。復水器内では、蒸気が約 311K、0.014MPa で冷却 される。CO2 気流中にはまだ水分が残っているが、これ 吸着の効果を実証する予定である。この計画は、カリフ ォルニアエネルギー委員会、所有敷地内に本プラントを を圧縮や追加冷却なしに分離することは不可能である。 重量比で CO2 約 75%と蒸気約 25%になる混合気体は、次 建設予定であるミラントパワー社、およびプラントへの 酸素供給とプラントから得る CO2 の販売を担当する予定 に遠心圧縮機を用いて復水器から抜き取り、段階的に冷 却して残留水分を取り除いた後、冷却プラントにおいて のエアーリキッド社から部分的援助を受けている。本プ ラントは天然ガスで運転する予定である。また、出力 乾燥 CO2 の液化が行われる。 CES社型プラントと複合サイクルプラントの性能特 2.0MWe の実証プラントが、南カリフォルニアのある都市 で計画されている。 性や効率を表3に示す。表3によると、CES社のプラ ントにおける1メートル・トン当たりの CO2 貯留コスト は 7.4∼9.3US ドルであるが、この数字は、1メートル・ 技術開発項目 表3にまとめた経済性研究では、839K で作動する現在の トン当たり 9.9US ドルという米国エネルギー省の定める 将来の CO2 貯留コスト目標を満たすものである。 設計に比して、改良型蒸気タービン技術は費用面で有利 であることを示している。近未来的な高圧タービンの目 表3に示した種々の統合式ガス化複合サイクル(IG CC)プラントを評価すると、電力コストは、排ガス貯 標値は 1,089K であり、最先端式設計の目標値は 1,256K である。 留をしない場合の最低コスト 0.052US ドル/kWh から、 貯留をする場合の約 0.070US ドル/kWh までの範囲であ 近未来式技術は、米国エネルギー省のソーラープログラ ムにおいて、ASME(米国機械学会)のボイラ規格に ることが分かる。後者のコストは対応するCES型プラ ントの電力コストに比べて3分の1ほど高くなっている。 従う設計分析と 105 時間におよぶテストによって実証さ れている。スペースシャトルの燃料ターボポンプは20 年にわたって 1,030Kの温度および 47.8MPaの圧力下で運 転されているが、この圧力は、高圧タービンで用いられ る 14.83MPa に比べて大幅に高い値である。1,256K で 14.83MPa という最先端式タービン設計では翼冷却が必 表3. 19 要となるであろうが、再循環水を供給できるCESサイ クルによって実現可能である。 に転換するためのものであり、これらガス流はガスター ビン発電に用いられる。 約 1,478K で作動する近未来式中圧タービンには、空気で はなく 490K の蒸気を翼冷却剤として用いつつ、 既存の航 AGC 技術の説明 空分野から転用した冷却技術を取り入れることが求めら れるであろう。1,700K というさらに高度の目標を達成す 図3は 3 基の反応装置を用いる AGC の概念図である。 反応装置 1 では、CO2 を吸収するベッドの存在下で、石炭 るためには、米国エネルギー省の先端式タービンシステ ムプログラムのもとでシーメンス・ウエスティングハウ と他の適当な燃料(全投入熱量の 5-10%に相当)を水蒸 気によってガス化する。CO2 がベッドに捕集されるにつれ ス社とジェネラルエレクトリック社が開発した最新のガ スタービン技術を利用することが可能である。 て、シフト反応によってガス相中の CO も減少する。その 結果、反応装置 1 から H2 が生成される。 2.3 米国 GE エナジー・アンド・エンバイロンメンタル・ ガス化して水素ガスになるのは、反応装置 1 に供給され た個体燃料のうちほんの一部分である。図3に示すよう リサーチ(GE EER)社 に、残るチャーとベッド材は反応装置 2 に送られ、そこ GE EER 社では、燃料選択範囲の広い画期的な先進的ガ ス化燃焼(AGC=Advanced Gasification-Combustion)技 で炭素が酸化されて熱を発生し、その熱によって CO2 吸 収ベッド材が再生されて CO2 を放出する。高温の酸素移 術の開発を行っている。AGC 技術の研究開発は、米国エ ネルギー省国立エネルギー技術研究所の Vision-21 計画 送ベッド材が反応装置 3 から反応装置 2 に送られ、そこ でチャーの酸化に必要な酸素を供給し、その結果ベッド の下で実施されているが、共同出資者として、GE EER、 カリフォルニア州エネルギー委員会( CEC)および南イリ 材が加熱されて CO2 を分解・放出する。反応装置 3 には 空気が供給されて、酸素移送ベッド材を再生する。反応 ノイ大学カーボンデール(SIU-C)からも資金を得ている。 この3カ年プロジェクトの事業は、2000 年 10 月 1 日に 装置 3 から供給された低酸素空気がガスタービン全体を 満たして発電が起こり、一方高温のベッド材は反応装置 スタートした。 AGC 技術は石炭と空気を、それぞれ独立した純粋水素 2 に送られる。灰分とベッド材の一部は定期的に系外に 除去して、反応装置内の灰分の量を減少させるとともに、 ガス、固定可能 CO2 および高温/高圧低酸素空気のガス流 新しいベッド材が補充される。 図3. 20 図4. プロセスのモデル化 評価の完了、パイロットスケールの反応装置とシステム Vision-21 プラントは、水素製造、種々の化学物質製造、 燃料電池による発電、タービンによる発電、それらの組 の設計開始、および関連するプロセスモデルと動特性モ デルの作成などのプログラム作業を実施する予定である。 み合わせ、さらには蒸気と熱の製造など、種々の目的に 向けて設計されている。図4のプロセスフロー図は、AGC モジュールから発生するガス流を、復熱装置、コンプレ 3.その他 豪州では、ビクトリア褐炭を用いたガス化複合発電の ッサー、熱回収蒸気発生装置(HRSG)、タービンなど、他 の単位作業と統合する方法を示したものである。 研究が進められている。褐炭の場合は、乾燥をいかに効 率的に行うかが、経済性のポイントなる。HRL社が進 Vision-21 プラントの効率目標を達成すべく、このプロ セスフロー図は、石炭からの水素製造量を最大にし、か めている噴流式乾燥器と加圧循環流動床式IGCCを組 み合わせたIDGCCプロセスは興味深い。現在、1t/h つプロセス効率を最大にするよう設計されている。AGC モジュールから得られる余剰熱はガスタービンによる発 ガス化炉の試験を終了し、125MW 級の実証試験の計画を 進めている。予想プラント効率は、HHVベースで 36% 電に利用される。 図4のプロセスフロー図について熱効率を推定したとこ と他のIGCCに比べて低いが、従来の微粉炭焚火力の 効率 28%に比べれば、大幅な進歩と言える。 ろ、約 67%であった(HHV ベース)。 また、加圧循環流動床を用いたガス化炉の研究は、ノ ースダコタ大学のエネルギー・環境研究センターでも実 ベンチスケール反応装置: 高圧高温(20 気圧、800-1000℃)で運転されるベンチス 施されている。こちらは石炭処理量 100kg/h のパイロッ トプラントで、オイルコークスを含めて瀝青炭から褐炭 ケール反応装置の設計を終了した。2001 年の第4四半期 を用い、延べ 2000 時間の運転研究が完了している。 と 2002 年の主な作業としては、ベンチスケールテストを 実施するほか、経済性の事前調査の実施、各種燃料資源 (第18回ピッツバーグ国際石炭会議より抜粋) 21 国際協力活動 環境調和型石炭利用システム導入支援事業 ブリケット製造設備に係る実証事業(インドネシア−チレボン)について 三井鉱山株式会社 財団法人 環境事業本部 石炭利用総合センター 国際協力部 鈴木 亮 山本 裕 1. はじめに インドネシアは多様なエネルギー資源に恵まれた国の 汚染物質の発生の抑制に資することを目的とした。 1つである。しかし、ここ20年間における活発な経済 2. 事業の概要 活動は、急激なエネルギー消費量の増大をもたらし、近 い将来、石油の輸入国になることが予想されている。 2.1 実施体制 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)よ そこで現在の石油を中心としたエネルギーシステムか ら脱却を図るべく、石油代替えエネルギーへの変換政策 り委託を受けた財団法人 石炭利用総合センター(CC UJ)が、本設備の設計,施工技術の能力を有する三井 が採られているが、その大部分は 1995 年時点で 360 億ト ンという豊富な埋蔵量が確認されている石炭へのシフト 鉱山株式会社と共同して、詳細設計,機器製作、据付、 試運転引渡しに至る事業を総合的に実施した。 である。 発電やセメント工場などの大量のエネルギーを消費す 2.2 る産業では、すでに石油から石炭への変換が進んでおり 発電所で消費される石炭の量は、1985/86 年の 20 万トン インドネシア側と日本側の業務分担はインドネシア政 府−NEDO間で締結された基本協定書,協定付属書に から 1997/98 年には 980 万トンと急激な増加の一途をた どっている。 より分担された。 インドネシア側の業務分担は土木・建築の設計,原料・ また、一般家庭において調理用に用いられている燃料 は灯油が主流であるが、生産コストと消費者の購入可能 製品の搬入搬出設備,ユーティリティ設備,機器の国内 輸送,建設工事,試運転・性能試験,実証運転などであ な価格との間に大きなギャップがあり、灯油の大量消費 る。 が続く限り、インドネシア政府は多額の補助金の負担を 免れないという事情がある。 また日本側の業務分担は設備の基本設計,プロセス機 器の調達,配管・架構・電気材料の調達,海上輸送,ス これに対処すべく、インドネシア共和国大統領は 1993 年の議会において、家庭用燃料用として“石炭ブリケッ ーパーバイザーの派遣,運転教育,試運転指導などであ る。 ト”の使用を決定、4 大都市(ジャカルタ,メダン,ス ラバヤ,ウジュン・パンダン)と西部,中部,東部ジャ 2.3 ワ 3 州を試験的プロジェクト地区として、人々へその使 用を奨励している。 本実証事業は 1997 年 4 月の基本協定書,協定付属書の 締結に伴い開始された。しかし 1998 年に始まったIMF このような事情により、石炭の使用量はさらなる増加 が見込まれており、十分な環境対策が施されないままに 勧告によるインドネシアの銀行再編のため、カウンター パートであるアラスウィラタマブリケット社が資金難に 使用されるおそれがあることから、煤塵,酸性雨等の問 題が顕著になることが予想される。 なり現地工事がストップし、事業の再開が危ぶまれた。 そこで事業の継続を願うインドネシア政府は直接資金 本事業は、石炭利用に伴う煤塵,硫黄酸化物等の排出 量の低減技術であるバイオ・ブリケット製造設備に係わ を投下することを決断し、2000 年 4 月に事業再開となっ た。そして 2001 年当初より日本から試運転SVを派遣し る実証事業を実施することにより、インドネシアに普及 て、試運転,運転教育,実証運転を行った。またその中 すべきクリーン・コール・テクノロジーの実施及び普及 基盤の整備を行い、インドネシアの石炭利用に伴う環境 で性能確認試験を実施し、本設備が計画通りの性能を持 つことを確認した。2001 年 3 月には本事業の全ての項目 22 業務分担 事業日程 が終了したことを双方で確認し事業終了となった。 ・ 石炭単味と比べて着火・燃焼性が良く、煤煙の発 生が少ない。 2.4 実施サイト 名称: インドネシア共和国 エネルギー鉱物資源省 ・ 少量の脱硫剤の添加により硫黄分を灰中に 75∼ 80%固定化することができる。 鉱物資源研究開発局が所管するバイオ・ブリ ケット製造工場(写真1) ・ 燃焼灰は、クリンカの生成が少なく表面から砂状 になる。 住所: インドネシア共和国西部ジャワ州チレボン市 写真2:バイオ・ブリケット 写真1:バイオ・ブリケット製造工場入口 4. チレボン市はジャカルタから約 300km東に位置し、人 口約 170 万人の都市である。 設備の概要 4.1 設計条件 4.1.1 製造能力 チレボン港にはコールセンターがあり、スマトラ及び カリマンタンからの石炭受入設備が設置されている。現 生産量及び1日の稼働時間 年間稼働時間 : 250 日 在はアダロ炭,アルトミン炭の2種類の石炭を受け入れ ており、西部及び中部ジャワのセメント工場や中小企業 4.1.2 : 5t/h×8h/日 製品(写真2参照) のボイラーに供給している。 形 状 : アーモンド型バイオ・ブリケット またチレボン近郊には製糖工場が 8 ヶ所有り、原料バ イオマスとして有望なバガス (サトウキビのしぼりかす) 38mm×23.5mm×約 15mm 程度 圧壊強度(冷間) : 40kgf 以上 は年間 40,000 トンの供給能力がある。 (バイオマス 20wt%添加時) 3. バイオ・ブリケットの特徴 3.1 プロセスの特徴 4.1.3 原料物性 1) 石炭 ・ プロセスが単純のため安全で、高度な運転技術を 必要とせず、メンテナンスも容易である。 種 類 物性値 : : ・ 副生物,廃棄物の発生が無く、それらの処理が不 要である。 3.2 原料の特徴 ・ 原料石炭は比較的広範囲な炭種が使用できる。 ・ 原料バイオマスはバガス,トウモロコシの茎・葉, 3.3 亜瀝青炭 灰分 約 15wt% 揮発分 固定炭素 約 40wt% 約 40wt% 硫黄分 発熱量 約 1.0∼1.5wt% 6,000∼6,500kcal/kg HGI 50 以上 HGI:ハードグローブ指数(粉砕性) 麦わら,廃材等の利用価値の低いものが使用でき 水分 22wt%以下 る。 製品の特徴 粒度 15mm 以下 2) バイオマス 23 種 水 類 分 サイズ : バガス(サトウキビのしぼりかす) : 15wt%以下 : 3) 脱硫剤 種 類 : れた熱風により、振動式乾燥機で水分 15%程度に まで乾燥される。 30mm 以下 3) 乾燥された石炭は、ハンマークラッシャーにて 粒度 3mm 以下に粉砕され、石炭ホッパーに搬送さ れる。 消石灰 純 水 度 分 : : CaO 65wt%以上 3wt%以下 粒 度 : 1mm 以下 4.2 プロセスフロー 4.2.1 プロセス概要 本設備は原料である石炭と石炭中の硫黄分に相当した 量の消石灰、更に燃焼性,成型性の向上のためのバイオ マスを混合後、高圧成型機で強度のある燃焼性の良い成 型物(バイオ・ブリケット)を製造する設備である。 なお高圧成型とは、成型原料をロール間にて成型する 写真3:石炭受入ホッパー 際、強制的に原料を供給し高い圧縮力を作用させる事で より強固な製品を作ることを目的としている。 4.2.4 1) 成型原料混合比を以下に示す。(脱硫剤は外比) 石炭:バイオマス:脱硫剤=80:20:5 4.2.2 バイオマス前処理設備 あらかじめ粗粉砕したバガスを、バイオマス受 入ホッパーに供給する。 2) そして受入ホッパーより原料バイオマスをベル トコンベアにてバイオマス乾燥機まで搬送し、熱 媒油で加熱された熱風により、振動式乾燥機で水 設備構成 本設備は、以下の4パートに大別される。 ・ 石炭前処理設備 (SECTION 10) ・ バイオマス前処理設備 ・ 脱硫剤供給設備 (SECTION 20) (SECTION 30) ・ 混合成型設備 (SECTION 40) 3) 分 10%程度にまで乾燥される。 乾燥されたバイオマスは、バイオマス粉砕機に て粒度 3mm 以下に粉砕され、空気輸送によりバイ オマスホッパーに運ばれる。 SECTION 20 バイオマス 乾 燥 粉 砕 SECTION 10 石 炭 乾 燥 粉 砕 SECTION 30 脱硫剤 混 合 SECTION 40 バイオ・ブリケット 写真4:バイオマス前処理設備 篩 分 成 型 4.2.5 脱硫剤供給設備 4.2.3 石炭前処理設備 1) あらかじめ粗粉砕した亜瀝青炭を石炭受入ホッ 1) 消石灰は脱硫剤受入口より定量供給され、空気 輸送により脱硫剤ホッパーに運ばれる。 パーに供給する。 2) そして受入ホッパーより原料石炭をベルトコン ベアにて石炭乾燥機まで搬送し、熱媒油で加熱さ 4.2.6 混合・成型設備 1) 前処理された石炭と消石灰をそれぞれ定量づつ 24 混合機能付きスクリュウコンベアに供給し、予備 混合しながら搬送する。これは石炭に脱硫剤であ にも熱心で、工場敷地内に試験場や分析室さらには各国 の各種燃焼器の展示などを行い、工場訪問者はバイオ・ る消石灰を密着させることにより脱硫効率を上げ る為である。 ブリケットの製造プロセスはもちろん、一番興味のある であろうバイオ・ブリケットの利用方法を実際に見学す 石炭と消石灰の混合物を混合機に供給し、さら に前処理されたバガスを定量供給し混合を完全に ることが出来る。 しかしながら 2002年3月までの設備稼働状況は製品販 行う。この混合の良し悪しが、製品の強度,燃焼 性に影響する。 売量が少ないために高くないが、グリーン・ヘルメット 事業の終了期限が近づくにつれ、徐々に普及活動の成果 混合機にて混合された成型原料とブリケット粉 ホッパーより定量切り出された未成型粉をダブル が現れ始めており、今後のより幅の広い展開が期待され る。 ロール型の成型機に供給し高圧成型する。 4) 成型機より排出されたブリケットはブリケット また製品販売先は工場が主体であるが、一般家庭にお いて調理用に用いられている燃料の主流である灯油の補 篩分機に供給し、空気冷却しながら10mm 以上のブ 助金が 2004 年に打ち切られる事になっており、 徐々にそ リケット製品とバリなどの未成型粉に分別される。 この際の未成型粉の発生量は、供給量の 20%以下 の補助金は減ってきている事から、今後一般家庭にも普 及していくものと予想される。 となっている。また篩下の未成型粉は成型原料に 混入され循環使用される。 この様な状況の中、本設備の隣に民間ベースでのブリ ケット工場の建設が予定されている事は、本事業が大変 篩分けされたブリケットは、袋詰機にて定量的 に袋詰めされ、貯蔵される。 有意義なものであった事の証であり、喜ばしい限りであ る。 2) 3) 5) 6. まとめ 環境問題は京都議定書をはじめとして、今や地球規模 で対応しなければならない問題であり、本実証事業はそ の観点からしても的を得たものであった。事業の実施に あたっては、インドネシア側実施サイトの協力も不可欠 であり、現地調査や設計打合せ等に於いては、多大の協 力をいただいた。その結果、通貨暴落により事業継続が 懸念されたにもかかわらず、工事が再開でき、無事完了 させることが出来た。 ここにNEDO及び協力企業の関係各位のご協力に対 して感謝すると同時に、本実証事業が、石炭を利用する 途上国の環境負荷低減対策として、出来るだけ早く普及 写真5:成型機 して行くことを念願する次第である。 5. 本実証事業の現状と展望 本実証事業が終了した後、今まで実施してきたクリー ン・コール・テクノロジーの普及および環境対策の推進 を支援することを目的に、引き続きグリーン・ヘルメッ ト事業を 2002 年 3 月まで実施した。 その期間中にインドネシア側のバイオ・ブリケットの 普及活動は活発に行われ、1年間で中規模なセミナーを チレボン,クニガン,セマダンで開催している。 また、バイオ・ブリケット工場のオペレーターが自ら 製品を客先工場に持ち込み実演販売を50回程行うなど の積極的な活動も見られた。 さらにバイオ・ブリケットの利用方法や燃焼器の研究 25 技術最前線〔京都大学 三浦研究室〕 石炭のクリーンで効率的な利用法の開発を目指して 京都大学工学研究科化学工学専攻反応工学分野 三 浦 孝 一 可欠である。最近,石炭構造の解明を目指す研究は種々 の新しい分析機器・手法の適用によって急速な進歩を 遂げている。最近,石炭の巨大分子構造を維持する上 で,水素結合を初めとする非共有性相互作用が大きな 役割を果たすことが明らかになっている。したがって, 石炭内の水素結合強度分布を知ることは石炭の効率的 な乾燥,熱分解法等 石炭内には,図1に 示すように OH 基に 由来する 6 種類の 水 素 結 合 ( HB1 ∼ O H OH ( 1 ) O H -π - H O H O ( 2 ) O H -O -H H O O H O O H (3) OH- - ether H を設計する上で極 めて重要である。 O 1.はじめに 当反応工学分野は,京都大学工学研究科化学工学専 攻の8つの分野(従来の小講座)の一つで,化学工学 の一つの学問分野である反応工学の基礎理論の開発, その工学的な問題への展開を中心に研究を進めている。 具体的には,エネルギー生産や種々の物質の製造を効 率よくクリーンに行う反応プロセスの開発と化学反応 を利用した新規な機能性材料の製造に関する研究を展 開している。ここでは,これらの研究の中で特に石炭 や炭素資源に関連して我々が実施している研究を紹介 する。 我々は,21世紀の貴重な資源である石炭を効率よく エネルギー源や有用化学物質に転換する技術の開発は 急務であるとの認識の下に,石炭構造の理解に基づい た石炭の効率的転換技術の開発,石炭の利用に関連す る諸要素技術の開発,熱分解,ガス化等の新規な反応 モデルや速度論に関する研究に取り組んでいる。さら に,バイオマス,天然ガスの転換技術に関する研究や, 炭素を担体とする新規な高活性触媒をはじめとする各 種機能性炭素材料の開発にも取り組んでいる。 具体的な研究テーマは次のとおりである。 (1) FT-IR,溶剤抽出を利用した石炭構造の解明 (2) 石炭の高温抽出によるクリーン液体資源の創製 (3) 金属を高分散させた高活性な炭素担体触媒の開発 と有機物,石炭の水熱ガス化への応用 (4) 石炭,コールタールの熱分解,ガス化,天然ガス の改質等の反応モデルとその速度論 (5) 新規コークス製造法の開発 (6) 新規な触媒反応を利用したバイオマス,各種廃棄 物の有効利用技術 (7) 石炭,各種高分子樹脂からの高機能性炭素材料の 製造 これらのテーマを教官3名(三浦孝一,河瀬元明, 中川浩行),非常勤講師1名(Marc P. Bohlmann ), 博士課程学生2名,修士課程学生8名,学部学生6名で 取り組んでいる。以下では,これらのうちの(1)∼(4) のねらい,内容を簡単に紹介する。 (4) Cyclic HB6)が存在すると 言われている。 我 々 は , In-situ FTIR 法を用いて石 炭内の水素結合強 OH C N O OH HO C O (6) COOH - - COOH (5) OH - - N 図1 石炭内に存在する水素 結合の形態 度分布を測 定 す る 方法を提案した1)。それは,2200∼3750cm-1 での領域 の IR スペクトルを次のような手順で解析する方法であ る。 1) 2200∼3750cm-1 でベースラインを引き、図2に示すよう に6つの水素結合由来のO-H伸縮振動スペクトルとC-H 伸縮振動スペクトルにカーブフィッティングによって 分割する。 2) j番目のピークのOH量(n OH )j を、次式で算出する。 (n OH ) j = α0 Aj /{1+0.0147(∆νOH )j } (1) ここで、Aj はj番目のピークの積分強度、(∆νOH )jはフリー のOH基のピーク位置の波数とj番目のピーク位置の波 数との差である。この式は、各ピークの吸光係数が異な ることを考慮に入れている。 3) j番目の水素結合の強さ (-∆H)j は次式により算出する。 1.In-situ FTIRを用いた石炭内の水素結合強度分布 の評価 石炭を効率よくかつクリーンに使う新しい方法,技 この式から、それぞれの水素結合の強さは HB1: 10 kJ 術を開発して行くには,石炭の構造に対する理解が不 /mol-OH、HB2: 17 kJ/mol-OH、HB3: 25 kJ/mol-OH、H (-∆H)j = 0.067(∆νOH )j + 2.64 26 [kJ/mol] (2) B4: 35 kJ/mol-OH、HB5: 50 kJ/mol-OH、HB6: 70 kJ/ リンで350℃(10℃/minで350℃まで昇温,350℃で60min mol-OH となる。 保持)において抽出した結果を示す。抽出物は350℃に保 4) (n OH ) j と(-ΔH)j の関係を点綴すると、それぞれの水素 たれた反応器から流れ出て,室温では固体として析出す 結合に関わっている OH 基の量とその水素結合の強さの る成分(Depositと呼ぶ)と室温でもテトラリンに溶解し 関係、すなわち水素結合の強度分布が得られる。 ている成分(Soluble)として回収された。テトラリンで D は瀝青炭がより多く抽出され,Pittsburgh#8(PITT)で 200 6 は73 %,Upper Freeport(UF)では80%にも達した。 30ー C 4 2 Absorbance [a.u.] 0 150ーC 6 nOH [mol/lkg ] 150ーC 4 ) 2 Absorbance [a.u.] 0 6 n OH [mol/lkg ] 270ー C 3600 3200 2800 Wavenumber [cm - 1 ] 図2 2400 270ー C 4 2 0 0 20 40 -∆H [kJ/mol] 60 80 ND炭の加熱に伴うIRスペクトルと 水素結合強度分布の変化 図2は North Dakota 亜炭(ND 炭)を室温から 270℃ まで加熱したときの IR スペクトルとそれを上の手順で 解析して得た水素結合強度分布を示す。30℃から 150℃ に加熱する間に HB1,HB2,HB3 などの比較的弱い水素結 合の量が減少するのがわかる。これは石炭に吸着してい た水の蒸発に由来する。 270℃まで加熱するとさらに水素 Yield of each component [kg/kg-d.a.f.coal] Yield of each component [kg/kg-d.a.f. coal] 30ー C 50 ) ND n OH [mol/lkg] Absorbance [a.u.] 0 HB [kJ/mol-OH] 100 150 結合の量が減少するが,これは COOH 基,OH 基の分解に 1.0 (a) 0.8 0.6 0.4 0.2 Tetralin ext. 0 SB Ad BA PA PR IL TC SK Mi Eb Em TTPITT Li UF NL IW 1.0 (b) 0.8 0.6 0.4 0.2 Carbol oil ext. 0 MWSB Ad BA PA PR IL TC SK Mi Em TTPITTWal Li NL IW 図3 よるものである。このように石炭の乾燥,分解に伴う水 各種石炭の350℃における(a)テトラリン, (b)Carbol oilによる抽出結果 素結合の強度分布の変化を定量的に解析することができ また,いずれの石炭でもSolubleとDepositはほぼ同量であ た。我々はこの方法を石炭とピリジンなどの極性溶剤が った。Solubleは分子量が1000以下で300程度ににピーク 2) 形成する水素結合の強度分布の解析にも拡張している 。 をもつ低分子量成分,Depositは分子量10000以下で2000 この方法の最大の特徴は、FTIR の測定のみから石炭中の 付近にピークをもつ成分であった。原炭に含まれていた 強度の異なる水素結合に由来する相互作用エンタルピー 硫黄分や鉱物質の大部分は抽出残渣に残留しており,抽 およびその変化を定量的に追跡できる点である。 出物(特にSoluble)はクリーンな燃料や化学原料源にな ると考えられた。 2.350℃程度での石炭の抽出によるクリーン燃料の製造 次に,石炭由来の安価な溶剤を用いてさらに抽出率を上げ 石炭の巨大分子構造が水素結合,ファンデアワルス力な るために,コークス炉タールの180-220℃留分である どの非共有性の相互作用力で凝集しているのなら,ある Carbol oilを用いて同様に抽出した結果を図3bに示す5)。 程度の熱エネルギーでこの凝集力を解放すれば石炭が分 ほとんどの石炭についてテトラリンの場合よりも大きな 解することなく低分子化され,非極性の溶剤でも石炭の 抽出率が得られたが,特にMorwell(MW),Adaro(AD) 相当な部分を抽出できるであろうとの推定の下に,非極 などの褐炭では80%近くが,三池炭(Mi)では95%もが 性溶剤を通液しつつ石炭を400℃程度まで加熱・抽出する 抽出された。また抽出物の大部分はSoluble成分であった。 ことを試みた。その結果,350℃以下では石炭がほとんど このように,安価な溶剤を用いて抽出率を大幅に上げ 分解されることなく低分子化・抽出されることがわかっ ることができたが,抽出物液(溶剤を含む液)中には原 た3,4)。 炭の硫黄の半分以上が移行した。また,抽出物中の鉱物 質の含有量はテトラリンの場合よりは大きかった。これ 図3aは,褐炭から無煙炭の17種類の石炭を流通テトラ 27 Yield [mol/molC] 抽出という方法によって利用する方法の可能性を提示で きたと考えている。現在,抽出物を機能性炭素材の原料 として用いる可能性を検討している。 1.0 lignin Conversion H2 0.8 1.2 0.6 CO 2 0.4 0.6 CH 4 0.2 3.新規Ni担持炭素触媒を用いたバイオマス,廃棄物,石 0.0 200 炭の水熱ガス化 図5 250 300 Carbon Conversion [-] 1.8 らの点に関しては一層の検討が必要ではあるが,石炭を 0.0 350 Temperature [°C] リグニンの水熱ガス化結果 以下であった。本触媒を用いた場合は,300℃程度から急 激に反応が進行して330℃では転化率が0.7にも達した。生 成ガスは,330℃ではほぼ水素と二酸化炭素のみであった。 このように本触媒は,反応性に乏しいリグニンを330℃と いう低温でガス化して水素を製造できる非常に高活性な 触媒であることがわかった。リグニン以外に,ショ糖,ベ ンゼン,トルエン,フェノールなども350℃で数分の反応 時間でほぼ完全にガス化された。このように,本触媒は水 溶性の有機物を低温で分解できる高活性な触媒であるこ とが明らかになった。 1.2 汚泥等の含水率の高い有機物や水中に溶解した有機物 は,乾燥してから燃焼,ガス化すると多大な蒸発潜熱を要 CH4 CO2 0.8 0.6 0.4 0.2 するため,非常に効率が悪い。そこで,我々は最近開発し 6) たNi担持炭素触媒 H2 1.0 イオン交換樹脂から調製した新規Ni担持 炭素触媒の電子顕微鏡写真 Yield [mol/mol -C] 図4 回分反応器体積 6cc、350℃、30min 液中炭素 を用いて350℃程度の低温で水溶性の 0 有機物を水熱ガス化する方法を提案するとともにその方 固体炭素 反応 0.05g 0.05 g 原料 無 0.25 g palmshell 法のバイオマス,廃棄物,さらには石炭のガス化への適用 反応 3.3cc 3.3cc 反応 3.3cc 3.3cc 原料 無 0.25g 原料 無 0.25g 製紙廃液 生活汚泥 図6 パーム殻,製紙工場廃液,生活汚泥の新規触 媒による水熱ガス化(横軸の上の数字は原料,下の 数字は触媒の仕込み量を表す。無は触媒なし。) の可能性について検討している7,8)。 触媒は次のような方法で調製した。弱酸性陽イオン交 換樹脂(三菱化学,WK11)をNiアンモニウム錯イオン水溶 液に浸し,室温で24 h 処理した後,窒素雰囲気で500℃に おいて20 min 熱処理して調製した。この触媒は非常に堅 く,図4に示すように元のイオン交換樹脂の形状を保って おり,また非常に多孔性である。 この触媒の最大の特徴は, 多量のNi(重量で45%)が非常に高分散した 状態で炭素材に担持されている点である。 ガス化実験は,Ni触媒(0.1∼0.5g)を充填した固定層 反応器に,高圧ポンプで水を供給しながら10℃/minで反応 温度まで昇温してから30 min保持した後に,試料水に切り 替えて反応を開始した。圧力は10∼20 MPaに保った。ガス 成分はGCで,液成分はTOC計で分析した。さらに,室温で 水溶液でない試料については,回分反応器(SUS製,外径 12.7mm、長さ100mm,内容積8.17ml)を用い,触媒250mg (一部は400mg)に加えて,試料と水,場合によってはNaOH を添加してガス化した。 【水溶性有機物のガス化特性】 図5に,水溶性の有機物の例としてリグニンを上記触 媒を用いて水熱ガス化した結果を示す(P = 10 MPa)。 なお無触媒の場合は, 350℃でもリグニンの転化率は0.2 【各種バイオマス,廃棄物のガス化】 次に室温では固体あるいは水にほとんど溶解していない 有機物のガス化を,パーム殻,製紙工場廃液,生活汚泥を 例に取り上げて検討した結果を図6に示す。これらのガス 化には回分反応器を用いた。触媒を用いない場合は,一部 加水分解,熱分解が起こり,原料の30∼40%が水溶性成分 に変化すると同時に,0.03∼0.1 mol/mol-C程度のCO 2が生 成した。触媒を添加するとメタンと水素が大量に発生し, 炭素転化率は0.5∼0.7に達した。いずれの試料もガス化条 件では溶解しているためにこのような結果が得られたも のと判断された。 【褐炭のガス化】 上の結果から,ガス化条件(ここでは350℃,15 MPa程 度を想定)で水に溶解してさえいればいかなる試料もガス 化可能であると考えられた。 一方,2.で示した結果から, 350℃では石炭の凝集構造は十分に解放されているはずで あるので,石炭も水熱ガス化できるのではないかとの発想 の下に,豪州Morwell褐炭のガス化を試みた結果を図7に 示す。 28 試料量 230mg,触媒量250mg 1.0 の様式・形状や試料の充填状態によって異なる原因を明ら 0.8 かにすることを目的に,共通のチャーを用いて同一の反応 条件で各自がそれぞれの方法でガス化速度を測定し,その Yield [mol/mol-C] residue 0.6 結果を比較することを試みた。バブコック日立より提供さ TOC れた2種類のチャーについて,各研究者・研究機関は少な 0.4 CO2 0.2 CH4 IC くとも1000℃、0.1MPaのCO 2中でガス化速度を測定するこ H2 ととした。図9に,5つの研究機関によって測定されたガ 0.0 0 NaOH濃度: 反応時間(min): 30 図7 0.1M 30 ス化速度のArrheniusプロットを示す。従来,指摘されて 1M 30 60 90 120 いた通り、異なる研究機関で測定された速度の間には最大 豪州Morwell 褐炭を水熱条件下,ならびにNaOH 1オーダー程度の差が見られた。傾向として、DTFや熱天 水溶液中でガス化した場合のガス収率 秤で少量の試料を用いた場合には大きなガス化速度が得 石炭と水,触媒のみを仕込んだ場合,350℃で60min反応 させると,炭素転化率は35%に達した。さらに,石炭の溶 解を促進する目的で水の代わりにNaOH水溶液を仕込んで ガス化した場合の結果を示す。NaOH濃度は0.1Mと1Mに変 化させた。NaOHを添加するとH 2,CO 2の収率と水溶液中のI C濃度が増加した。ICは石炭のガス化で生成したCO 2が炭酸 イオンとして存在するものと判断されたので,ICをCO2収 率と見なすと,NaOH濃度1Mの場合,反応時間60 minで炭 素転化率は0.45,H 2,CH4,CO2の収率はそれぞれ,0.06,0. 17,0.25 mol/mol-Cに達した。さらに,NaOHを加えた場合 に反応残液中のTOC濃度が大きく増加したことから,NaOH は石炭の一部を加水分解・低分子化して水溶性有機物に変 換したことがわかる。 まだ予備的な検討の段階であるが,我々が開発した新規 触媒を用いて石炭を350℃という低温度でガス化できる可 能性が示唆される結果を得た。 られており、試料をできるだけ分散させて反応させる方が 4.石炭の高温・高圧下におけるガス化速度の定式化 NEDO,CCUJでは,産官学の研究者を結集して,平成7年 度より「石炭利用基盤技術開発」に取り組んでいるが,平 成12年度より開始されたPhase2において,我々はチャー ガス化WGに属し,石炭の高温・高圧下におけるガス化速 度の定式化に取り組んでいる。 おわりに 真のガス化速度に近い値を与えると考えられた。 図9 5つの研究機関により測定されたDTFチャー のガス化速度のArrhenius plot 我々が現在行っている石炭利用に関する研究の一部を 紹介した。読者の皆様に何らかの参考になれば幸いです。 我々は,引き続き石炭のクリーンで効率よい利用法の開発 に取り組んでいく所存です。今後とも,皆様の御指導,ご 助言をお願いする次第です。 白金バスケット 石炭粒子 文献 石 英 1) Miura, K. et al., Energy Fuels, 15, 599-610, 2001. 2) Miura, K. et al., Energy Fuels, 16, 23-31, 2002. 3) Miura, K. et al., 15th Pitt. Coal Conf., Paper 30-1 従来充填法(層充填) 試料量:2∼3mg 図8 (1998). 石英綿で希釈充填 試料量 :0.3 mg 4) Miura, K. et al., Fuel, 80, 1573-1582, 2001. 5) Miura, K. et al., 18th Pitt. Coal Conf., Paper 2.6-6 高温度域でのガス化速度測定に採用した試料 の充填法 (2001). 6) Miura, K. et al., Chem. Eng. Sci., 50,1623-1629,2002. 従来,高温度域のガス化速度について報告された値は研 究者により大きく異なっていた。我々は,その原因が試料 の充填状態にあると考え,図8に示すように,極微量(0. 3 mg)の試料をよく分散させて充填してガス化する方法を 提案した。この方法で得られたガス化速度は今まで報告さ れた中で最も大きな速度とほぼ一致する結果を与えた。 7) 前,三和,中川,三浦,化工34回秋季大会,B118(2001) 8) 三和,中川,田村,三浦,化工第67年会,H201(2002) さらに,チャーガス化WGでは,ガス化速度が測定装置 29 技術最前線 [川崎重工業(株)] 石炭灰有効利用技術の開発について ―環境に優しい循環型社会実現の一翼をになってー 川崎重工業(株) 1.はじめに 確保も立地難や環境保護意識の昂揚から困難になっている。 川崎重工は、ボイラ関連事業に関して火力発電用から比 従って、増大する石炭灰の処理に対応するには、今後新た 較的小規模の産業用まで多種多様なボイラを製造している な有効利用先の確保が必要不可欠であり、これは地球規模 が、近年、環境に優しく、省エネルギー推進と燃料の多様 の環境を考えた資源の再活用という観点からも重要である。 化が叫ばれ、これに対応した技術開発を推進している。 石炭利用については、供給安定性に優れ、埋蔵量が豊富 3.石炭灰溶融スラグ有効利用研究 であり低価格な燃料として、今後も我国の重要な 1 次エネ 土木用細骨材は年間 3 億トンの需要があると言われ、その ルギー源として位置付けられ技術開発を推進している。 主要材料である天然砂は、川砂に代表される資源の枯渇や 石炭燃焼技術の開発:当社滋賀燃焼試験所に設置された大 瀬戸内海における海砂採取問題に代表される環境問題から 型燃焼試験設備等を用いて、石油・石炭・ガスをはじめオイ 需給が逼迫しつつあり、代替材の開発が急務となっている。 ルコークス・オリマルジョンなどの各種燃料に関する高効 本研究は、発電と同時に石炭灰を大量溶融する灰溶融型 率・低公害燃焼研究の一貫として、石炭燃料の低 NOX 燃焼 ボイラシステムの開発と、排出される化学的に安定な溶融 技術、石炭部分燃焼(CPC)技術等の開発に取り組んでいる。 スラグを天然砂特にアスファルト舗装用細骨材の代替材と また、グリーンエネルギー利用技術の高まりとあいまって して再利用しようとするものである。本システムの導入に 石炭混焼によるバイオマス燃焼技術の開発も推進している。 より、石炭灰の大量処理・有効利用問題と細骨材の大量安 石炭灰処理技術の開発:石炭灰処理設備の中核をなす灰の 定供給問題の同時解決に資するとともに、海・山・川にわ 空気輸送技術に関しては、当社技術研究所に保有する大型 たる自然保護と地球環境保全に寄与するものである。 粉体空気輸送試験設備を用いて灰処理設備の信頼性向上と (1)石炭灰溶融ボイラシステム コストダウンを目標とした低濃度(固気比∼30)、及び高濃度 本ボイラシステムは次の二タイプが用意され、その概要 輸送技術(同 70∼150)の改良研究を推進している。また、 を図―1に示し発電用石炭灰溶融型ボイラを例に説明する。 灰の有効利用技術に関しては、環境保全、資源循環型社会 発電用石炭灰溶融型ボイラ:自缶灰(燃料中の灰分)と の実現という社会的要請に応えるべく研究開発を進めてお 共に、隣接する通常型(乾式微粉炭焚火力発電用ボイ り、灰有効利用の多様化に対応するため、灰の自動分析装 ラ)から排出される他缶灰を投入溶融スラグ化する発 置・灰の高品質化等のハード開発、さらに灰性状把握から 電用大型湿式燃焼ボイラシステム。 用途に応じた灰の分類、灰サイロ運用、灰の在庫・出荷管理 既設発電用ボイラ取付型灰溶融システム:既設の通常型 までを統括した石炭灰総合管理システム等のソフト開発を ボイラのバーナの一部を旋回型湿式(CPC)燃焼器に置 はじめ本稿で紹介する以下の研究開発に取り組んでいる。 換え、排出される石炭灰を全量 CPC 燃焼器に再循環し ・石炭灰溶融スラグ有効利用研究 1) ・石炭灰の土木用固化体利用技術の開発 スラグ化するシステム。 2) 本システムの中核をなす湿式燃焼ボイラは、全面に耐火 材を配し高い火炉負荷で運転される燃焼室を設けているた 2.石炭灰処理の現状 め、燃焼温度が高く燃料石炭中の灰分を溶融しガラス質で 微粉炭火力発電所から排出される石炭灰は年々増大し、 化学的に安定な粒状のスラグを排出する特徴が有る。この 現在の 800 万トンから数年後には 1000 万トンに達すると 型式の炉は、海外では大型発電用ボイラとして数十缶運用 言われ、現在その半分強が有効利用、残りは埋立て処理さ され豊富な実績がある。 れている。しかし、有効利用の大部分を占める粘土代替を 灰溶融型ボイラは、湿式燃焼ボイラが溶融スラグを排出 主としたセメント原料への利用は限界に達し、また埋立て することに着目し、高温燃焼下での NOX 抑制技術及び他の微 も現状の埋立地が飽和しつつあり新たな大規模埋立て地の 粉炭焚ボイラから発生する石炭灰をも大量投入して溶融ス 30 ラグ化する技術等を付加し、日本化を図ったものである。 灰溶融CPCシステム 既設ボイラ取付型灰溶融システ 本システムにおいて、排出される水砕スラグは破砕機に タイルカマーボイラ 発電用石炭灰溶融型ボイラ ボイラ 石炭灰(他缶灰) 排ガス より細骨材として必要な粒度分布・粒子形状になるよう加 微粉炭 工・調整されストックヤードに貯蔵される。本灰溶融型ボ 排ガス 微粉炭 石炭灰(循環灰) イラは、自身と同規模のボイラ2∼3缶分の石炭灰(多缶 灰)を投入溶融処理する能力がある。従って、発電量 500MW 石炭灰 (他缶灰) 石炭灰(循環灰) 規模の本溶融ボイラを導入した場合、最大約 40 万トン/年の スラグ製造能力がある。また、他缶灰を投入しない場合は、 通常の発電用ボイラと同等の運用が可能であり、燃料石炭 ドラグチェン コンベヤ 水槽 中の灰分がスラグ化され、500MW 規模で約 10 万トン/年のスラ グ製造が可能である。従って、細骨材として十分な石炭灰 スラグ貯槽 溶融スラグの大量安定供給が可能である。 (2)石炭灰溶融スラグの土木用細骨材への利用 溶融スラグのアスファルト舗装用細骨材としての適用性 を検討するため試験舗装を実施した。舗装の断面構造を図 破砕機 ―2に示す。スラグはアスファルト混合物用細骨材の天然 砂代替として使用する。試験には当社技術研究所に設置さ 振動ふるい れた石炭灰溶融テストプラントで製造したスラグを用いた。 ①溶融スラグの環境安全性 溶融スラグは基本的に山砂と同等な組成を有し、細骨材 代替として使用する場合、重金属等の溶出特性が環境への 影響面で重要となる。そこで過去3年間にわたり様々な石 炭の種類(産炭地、異なる灰融点等)、様々な溶融プラント 運転モード(通常運転・石炭灰投入運転等)のもとで製造 図―1 されたスラグに関し、土壌環境基準(環境庁告示第 46 号) 舗装区分 灰溶融ボイラシステムの概要 スラグ利用 材 料 表 基 アスファルト 混合物 に基づき分析し、その結果を表―1に示す。同基準に新た に追加されたフッ素、ホウ素を含め、溶融スラグはプラン 層 層 ト運転条件、炭種に依らず化学的に安定しており、細骨材 上層路盤 粒調砕石 として十分な安定性を有していることが確認された。 下層路盤 クラッシャラン ②アスファルト試験舗装 路 床 土 固化砕石利 スラグ利用 固化砕石利用 砂 試験舗装は、スラグの物理特性試験、アスファルト配合 試験等の室内試験により、スラグがアスファルト混合物用 細骨材の天然砂代替として十分使用可能であることを確認 した上で、川崎重工神戸及び坂出工場構内道路にて実施し た(図―3) 。一連の室内試験、試験舗装及び評価では日本 図−2 鋪道(株)の協力を得て行われた。 アスファルト舗装構造図 配合試験では、スラグをほぼ全量天然砂代替としてもア スファルト舗装要綱の目標値を満足したが、再舗装時のア 等の性能を示すことが確認された。図―4に評価結果の一 スファルト廃材の再リサイクル性を考慮して、今回の試験 例として路面平坦性の経時変化を示す。 舗装では、細骨材の約 1/3(神戸)、2/3(坂出)を天然砂の代 この結果、当社灰溶融ボイラシステムで製造され品質管 替とし、比較のため 100%天然砂のものと合わせ施工し、施 理されたスラグは、アスファルト混合物用細骨材として利 工性評価を実施した。引き続き、路面の平坦性、すべり抵 用可能であることが確認された。今後、追跡調査を引き続 抗性等の路面性状調査、アスファルト混合物の性状調査等 き実施しさらに長期間にわたる供用性を確認すると共に、 の追跡調査を実施中であり、神戸工場で 30 ヶ月、坂出工場 他用途、特にスラグのコンクリート用細骨材への適用性研 で 18 ヶ月までの評価では施工性・供用性とも天然砂と同 究を実施していく予定である。 31 表−1 石炭灰溶融スラグの溶出試験結果 溶出試験 土環基準 検出限界 大同 検査項目 (mg/L) (mg/L) 試験舗装用 カドミウム 0.01≧ 0.001 ND 鉛 0.01≧ 0.005 ND 六価クロム 0.05≧ 0.005 ND 0.01≧ 砒素 0.001 ND 0.0005≧ 総水銀 0.0001 ND セレン 0.01≧ 0.001 ND ふっ素 (0.8≧) 0.1 ND ほう素 ( 1≧) 0.05 ND 燃焼炭 大同 ハンターバレー ND ND ND 0.001 ND ND ND ND ND ND ND ND ND ND − − 太平洋 タイガーヘッド イラワラ エンシャム ND ND ND ND ND ND ND ND ND ND ND ND ND ND ND ND ND ND ND ND ND ND ND ND ND ND ND ND ND ND ND ND 財団法人日本食品分析センター計量結果 ・多様な石炭に対し適用可能。 ・固化砕石出荷段階から、フッ素、ホウ素を含めた環境 安全性と路盤材としての品質が確保されていること。 本技術により、石炭火力発電所より排出される石炭灰の道 路用砕石(路盤材)としての再資源化が図られ、採石、石 炭灰の埋立て等による環境負荷の軽減が図れる。 図−3 (1)固化体製造システム スラグ試験舗装状況 本技術は、石炭灰に生石灰、石膏(脱硫石膏)、水を添加・ 平坦性 (mm) 2.5 混錬し、ブロック状に成形後、約60℃程度で蒸気養生し 2 固化体とする。これをランダムな形状で所定の粒度分布を 1.5 有するよう粉砕し(固化砕石)天然砕石代替品として使用 するものである。製造システムの概略を図―5に示す。 1 ①固化砕石の特徴 天然材 スラグ入 0.5 蒸気処理による石炭灰固化砕石は、固化反応が完結して いるため製造直後から環境安定性に優れ、比較的高い強度 0 0 5 10 15 20 25 30 有するなど砕石としての安定した性能・品質を有している。 経過月数 図−4 従って、天然砕石同様道路の工法として最も広く採用され スラグ試験舗装結果(平坦性) ている粒度調整工法をはじめ、工法上の制約を受けず下層/ 4.石炭灰の土木用固化体利用技術の開発 上層路盤材として適用可能であるばかりでなく、地盤改良 本研究は、大量に排出されている微粉炭焚ボイラ石炭灰 材(グラベルコンパクション材) 、埋戻し材、裏込め材、路 を、全国で年間約 2 億トンの需要があるといわれる道路用 床材など幅広い用途への適用が可能である。 砕石として再資源化することを目的として、石炭生産・利用 ②多炭種対応性 技術振興費補助事業として(財)石炭利用総合センター,川 国内で使用されている多様な石炭について固化可能性を 崎重工業(株),日本鋪道(株),鳴門塩業(株)、沖縄電力(株)、関西 調査しており、現在までのところ、炭種ベースで8割以上 電力(株)、電源開発(株),東京電力(株),北海道電力(株)の共 の石炭で対応可能と予想されている。 同研究により実施されている。 (2)固化砕石の路盤材への利用 本技術は、流動床ボイラ灰からの固化砕石製造技術とし 固化砕石を道路用路盤材、すなわち図―2に示す上層路盤 て確立し、現在稼動中の実証プラントで製造された固化体 材(粒度調整砕石)及び下層路盤材(クラッシャラン)と が道路用路盤材として全量有効利用実績のある技術を発展 して適用する可能性を検討した。 させ、微粉炭ボイラ灰に適用するものである。 ①固化砕石の環境安定性 開発ターゲットとして、以下があげられる。 環境安全性は、固化反応の完結即ち一軸圧縮強度が10 N/mm2 以上とすることで達成され、重金属溶出に関する土壌 ・販路確保の観点から、天然砕石同様道路工事における工 法上の制約がないこと。 環境基準を満足することが確認されている。表―2に結果 ・大量安定供給の観点から製品の長期貯蔵が可能なこと。 の一例を示す。溶出基準を超える原料を使用した場合でも 32 水 生石灰 消石灰 排脱 石膏 石 炭 灰 10mm 固化砕石外観 混練機 アンローダ 破砕機 成形機 養生室 養生ラック ローダ 粒状体 固化砕石 図−5 表―2 有 害 重 金 属 溶 出 量 mg/λ 固化砕石製造プラントの概略 固化砕石の溶出試験結果(土壌環境基準) F B Pb Cd As Cr6+ T-Hg Se 規制値 <0.8 <1.0 <0.01 <0.01 <0.01 <0.05 <0.0005 <0.01 原料 製品 石炭灰 排脱石膏 固化砕石 <0.2 14 <0.2 0.74 0.86 0.05 <0.001 <0.001 <0.001 0.0002 0.0003 <0.0001 0.04 <0.003 <0.003 0.03 <0.01 <0.01 <0.0005 <0.0005 <0.0005 <0.003 0.012 <0.003 固化砕石とすることで基準をクリアすることがわかる。 ②固化砕石試験施工 沖縄電力具志川火力発電所及び東京電力常陸那珂火力建 設所にて、それぞれ粒度調整砕石及びクラッシャランとし ての固化砕石の適用性を確認するために試験施工を実施し た。評価は、固化砕石路盤と天然砕石路盤を同時に施工し 図−6 比較試験によった。現在、施工性試験をへて、引き続き追 固化砕石試験施工(見学会) センサー位置(cm) 0 0 性とも天然材料と同等の性能を有することが確認されてい 100 る。図―6、図―7 に具志川火力における試験施工状況及び 200 たわみ量(μm) 跡調査を実施中である。1 年までの評価では、施工性・供用 評価結果の一例としてたわみ量の経時変化を示す。 具志川火力における試験施工見学会では、100 名以上の国 150 200 250 石炭固化体(施行直後) 石炭固化体(供用後6ヶ月) 石炭固化体(供用後1年) 粒度調整砕石(施行直後) 粒度調整砕石(供用後6ヶ月) 粒度調整砕石(供用後1年) 400 500 関心が寄せられた。 600 700 以上、川崎重工業における石炭灰有効利用研究につき紹 100 300 道事務所をはじめ公官庁・民間関係者の参加を得、多くの 5.おわりに 50 図−7 固化砕石試験施工結果(たわみ量:FWD) [参考文献] 介したが、大量に排出される石炭灰の再資源化による灰処 1)加藤他「石炭灰溶融スラグのアスファルト舗装用細骨材への利用」 分問題の解決、天然砂等土工材資源の節約ならびに資源保 舗装,No3,Vol36,2001、PP3. 護・環境保全への寄与を通じ、環境に優しい資源循環型社 2)大和田他「石炭灰を原料とする土木用固化砕石の路盤材 会実現の一翼をになっていきたいと考えている への適用化研究」火力原子力発電, No548,Vol53,2002、PP71. 33 CCUJだより 9月5日はクリーン・コール・デー!! クリーン・コール・デー記念行事のお知らせ 今年も 9 月 5 日を中心に石炭の日「クリーン・コール・デー」の記念行事が予定されています。 [記念行事の目的] 石炭はわが国のベストミックスを構成する重要な 7. 記念行事についてのお問い合わせ先 「クリーン・コール・デー」実行委員会事務局 (財)石炭利用総合センター エネルギー資源ですが、地球温暖化問題をはじめと して、クリーンで、高効率な石炭利用技術の必要性 はますます高まってきています。このような状況を 事業促進部 TEL:03−3359−2254 FAX:03−3359−2280 踏まえ、9 月 5 日を石炭の日「クリーン・コール・デ ー」として、種々の記念行事を実施し、ユーザー、 地方自治体は勿論のこと、一般の人々に対しても、 広くクリーンな石炭利用の現状と、その重要性につ ◆ 編集後記 ◆ 創刊号の表紙は 2000 年 12 月に電源開発(株)が、 四国の橘湾に完成した 280 万 kW の最新鋭微粉炭火力発 いて理解頂くことを目的としています。 電所でした。 今回は富士山を望む、1965 年に創業を開始し、1968 1. 国際講演会 9 月 3 日(火)、第一ホテル東京にて、国内外の講 年に銑鋼一貫体制を確立した、伝統ある新日本製鉄 (株)の君津製鉄所です。2001 年 5 月に、新しく第 3 師をお招きして国際講演会を開催します。 2. 石炭利用国際会議及びアジア・太平洋石炭技術ワー 高炉の火入れが行われたところです。 クショップ[9 月 4 日(水)]、 JAPAC国際交流会[9 月 18 日(水)]、 2000 年度の日本の石炭の総供給量は、対前年度比で 5.1%増加して 4,195PJ(約 152 百万トン)に達し、 いずれも第一ホテル東京にて開催します。。 3. 石炭施設見学会 一般の方々を対象として、全国各地の発電所、製 一次エネルギー総供給に占める石炭の比率は 17.9%と なっております。速報値ではありますが、2001 年の総 鉄所、コールセンターなどの見学と各地の石炭博物 館・記念館の無料開放も予定されています。 供給量は 155 百万トンに達しております。この様な石 炭消費量増加の中で、京都議定書によるCO2 排出削減 兵庫県・(株)神戸製鉄所、 沖縄県・具志川火力発電所、 義務を達成するためには、より一層経済的で効率的な、 そしてより高度な、石炭利用システムの開発が行われ なければなりません。 北海道・苫東厚真発電所。 4. 街頭 PR 改正「地球温暖化対策推進大綱」に示されたように、 地球環境を維持しつつ、安定な経済成長を達成して行 札幌市内(9/5)、博多駅ギガ(9 月上旬)、 関西CCT講座(9 月末及び 12 月上旬)。 くためには、石炭利用分野の技術革新が求められてい るのです。 5. マスメディア広告 毎日小学生新聞企画特集「生きた社会科」3回連載。 CCUJに対し、より一層のご支援・ご協力をお願 い申しあげます。 毎日新聞(9 月 4 日夕刊)に3段広告。 6. 「今日の記念日」 (編集委員会) 日本記念日協会に登録。 http://www.kinenbi.gr.jp にアクセスして下さい。 34 ●新事務所地図 最寄駅 ・地下鉄丸の内線「四谷三丁目」駅(徒歩7分) ・地下鉄丸の内線「新宿御苑前」駅(徒歩8分) ・JR総武線「千駄ヶ谷」駅(徒歩8分) ・都営地下鉄大江戸線「国立競技場前」 (徒歩8分) 西 武 新 宿 線 新宿 都営 靖国通り 新宿 新宿 三丁 目 JR 新 宿 新宿 京王線 小田急線 四谷四丁目交差点 目 三丁 新宿 ecビルディング 新宿 ファミリー 通り マート 新宿 御苑 前 新宿門 明 治 通 代 り 々 木 サン 消 ミュージック 目 四谷三丁 の内線 営団丸 モスバーガー 新宿御苑 千駄ヶ谷門 千駄ヶ谷 都営大 江戸線 大木戸門 外 苑 西 通 ︵ り 7住 階友 ︶外 苑 ビ ル CCUJ 財団法人 石炭利用総合センター 外 苑 東 通 り JR 信濃町 場 国立競技 Center for Coal Utilization Japan CCT Journal Vol.2(平成14年7月1日発行) 発行所: (財)石炭利用総合センター 〒160-0015 東京都新宿区大京町24 住友外苑ビル7階 Tel.03-3359-2251 (代) Fax.03-3359-2280 「CCT Journal」は石炭利用分野の技術革新を目指す (財) 石炭利用総合センターが発行する情報誌です。 〔禁無断転載〕