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繊維業界の需要動向

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繊維業界の需要動向
第4号
平成 28 年 6 月 30 日
繊維業界の需要動向
≪定点観測≫ 全国の小売店の状況
① 日本チェーンストア協会 3 月~5 月の販売金額
部門
3 月(万円)
4 月(万円)
衣料品
期間:平成 28 年 4 月~6 月
作成:多可町商工会
5 月(万円)
5 月(前年同月比)
9,549,844
9,257,492
9,933,265
92.8%
紳士衣料
1,738,436
1,768,549
1,913,027
92.7%
婦人衣料
3,001,848
2,717,332
2,934,753
90.4%
その他の衣料・洋品
4,809,560
4,771,611
5,085,485
94.4%
○紳士衣料
ジャケット、ビジネスシャツは好調だったが、スラックス、半袖 T シャツ、ショートパ
ンツなどの動きは鈍かった。
○婦人衣料
カーディガン、カジュアルパンツは好調だったが、スーツ、ブラウス、T シャツ、ジー
ンズなどは不調だった。
○その他衣料・洋品
母の日の関連でエプロン、パジャマ、スクール水着、雨が多くてレイングッズは好調だ
ったが、肌着、紳士ソックス、子供服、帽子などの UV 関連商品は不調だった。
② 百貨店 3 月~5 月の販売金額
部門
3 月(百万円)
4 月(百万円)
5 月(百万円)
178,775
154,443
155,554
紳士衣料
33,912
32,525
34,472
婦人衣料
110,412
96,852
97,476
子供服・洋品
22,285
14,890
12,609
その他の衣料品
12,164
10,175
10,995
衣料品
・3 月は降水量が少なかったものの全国的に気候変動が激しく、特に中旬以降、気温の低
い時期があったことから春物衣料の動きが鈍かった。
・4 月は円高や株価低迷を要因とする消費マインドの冷え込み、そして中旬に発生した熊
本地震の心理的影響もあり、衣料品を含め全体的に消費が冷え込んだものの、「子供
服」だけがわずかな伸びがあった。
・4 月よりは若干持ち直してはいるが、5 月においても厳しい状況は続き、中間層をはじめ
富裕層の取り込みについても苦しんだ。
③ 国内の衣類の消費動向
●総務省「家計調査」(二人以上の世帯)における 5 月の「被服および履物」への支出状況
・和服、洋服、シャツ・セーター類が前年同期よりも伸びており、特に和服においては、
全体に占めす割合は低いものの前年同期比 200%を超える数値を示している。
被服及び履物への支出額
「被服及び履物」
への
支出の内訳
和服
洋服
シャツ・セーター類
下着類
生地・糸類
他の被服
その他(履物・関連サービス)
金額
13,167 円
317 円
4,653 円
3,057 円
1,151 円
112 円
969 円
2,907 円
前年同期比
3.0%
213.9%
8.5%
1.3%
▲0.9%
▲5.9%
▲7.1%
*
≪参考 URL≫
日本チェーンストア協会 販売統計◆https://www.jcsa.gr.jp/public/statistics.html
日本百貨店協会◆http://www.depart.or.jp/common_department_store_sale/list
日本経済新聞 電子版◆http://www.nikkei.com/
総務省統計局家計調査報告◆http://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/shihanki/index.htm
≪ネット上等に見られる繊維業関連の需要動向≫
旅行先で服を貸し出す新サービス「FIT the Local」が 2016 年秋に開始
旅行先・滞在先にあわせた服を現地で貸し出す会員制ファッションレンタルサービス「FIT
the Local」が 2016 年秋に開始される。
このサービスは専門のコーディネーターが旅行の目的やイメージ、現地のトレンド、紀行な
どをもとに、最適なファッションを用意。身軽に旅行できるほか、滞在中のファッションを楽
しむ旅行を提案するものである。ブランドショップや滞在先のホテルロビーで貸し出し、借り
たファッションは購入することも可能。
まずはハワイと国内各地からスタートし、順次対応地域を増やしていく予定。
『現地だから着ることができるファッションに挑戦したい』、『レストランでのドレスコー
ドが分からない』、『旅先で勝った服は日常で着れない』といった、旅に関わるファッション
の悩みがあると判断したことがきっかけのようである。
≪参考 URL≫「トラベルボイス~40 万人が読む観光産業ニュース」より
◆http://www.travelvoice.jp/20160630-69592
買うのではなく借りる、しかも現地で。今までになかった発想がファッションの枠
を広げる可能性があるサービスと思われる。
下請け工場が独自で立ち上げた「ファクトリーブランド」が好調
ファクトリーブランドとは、アパレルメーカーが製
造を依頼している生産者(下請け工場)が独自で売り
出すブランドのことである。
これまで無名ブランドに見向きもしなかった消費者
が『この品質で、この価格はお得』と購入するなど、
注目が高まっている。
といっても選ばれているのは単なるコスト面だけで
はなく、『消費の成熟度の高まりの反映』や『内容の
濃いものが求められる』気運の高まりが影響している
ものと考えられる。
こだわりのあるセレクトショップへ出かけ、アパレ
ル不況の中で努力する下請け工場の意気に共感し、
日本各地で広がりを見せているファクトリ
「場」や「共感」への対価としてお金を使うという、
ーブランド(日経 MJ の記事より)
「モノ」が生まれてから購入する体験までを含めて
『ストーリー』としてとらえて消費するスタイルが増
えてきていると感じられる。
これは、ネットでの購入は便利であるし、ユニクロや無印などはハイコストパフォーマンス
であるが、便利さや低価格に慣れ、別の価値観を求めている傾向があると言える。
≪参考≫ 日経 MJ(5/2 発行)「工場発ブランド躍進」
「ファクトリーブランド人気から考えるこれからの商いのスタイル」
◆http://kakehashi-style.com/?p=258
品質は確かなものであるので、どのように付加価値をつけて「ストーリー」を伝え
ていくことができるか。それがこれからの商いスタイルのポイントと言える。
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