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公益社団法人日本証券アナリスト協会HP掲載記事
http://www.alconix.com/ 3036 アルコニックス 正木 英逸 (マサキ エイイツ) アルコニックス株式会社代表取締役社長 今後 3 年間で M&A を中心に 150 億円の投融資を計画 ◆連結子会社化した 3 社が利益に貢献 2014 年 3 月期の連結売上高は 1,837 億 49 百万円(前期比 11.5%増)となった。レアアースの取扱い量は縮小し たが、円安によって事業環境が改善したことに加え、新たに連結子会社化した大羽精研、大阪アルミセンター、米 国 UNIVERTICAL 社の利益が加わったことから、経常利益は 36 億円(前期比 24.5%増)となり、当期純利益は史 上最高の 31 億 44 百万円となった。自己資本比率は 24.3%となり、前期比で 2.5 ポイント上昇した。また、NET DE レシオも 1.03 倍から 0.83 倍に改善している。 ◆円安と新規連結子会社の業績がレアアースの取扱い減少を上回り増収・増益 取締役常務執行役員 財経本部長 宮﨑 泰 売上高の状況としては、レアアースの取扱いが約 90 億円減少したが、円安による取引拡大および新たに連結 子会社化した 3 社の業績でカバーすることができた。売上総利益は 109 億 95 百万円(前期比 25.5%増)となって おり、新規連結子会社の貢献により、売上総利益率が前期の 5.3%から 6%に改善した。販管費は 75 億 10 百万 円となり、前期比で約 20 億円増加している。3 社の連結子会社化により約 19 億円の費用が上乗せされたほか、 上海法人等でも人員拡大費用が発生した。 この結果、営業利益は 34 億 84 百万円(前期比 6%増)にとどまったが、子会社の受取保険金の計上や為替差 損の減少により、営業外収支が約 5 億円改善したため、経常利益は大幅に増加している。また、特別利益として約 10 億円を計上したため、当期純利益は史上最高額となった。特別利益の主な内訳は、大羽精研および大阪アルミ センターの負ののれん発生益が 8 億 40 百万円、非上場の株式の清算に伴う財産分配金が約 1 億円となっている。 包括利益は 62 億 24 百万円となっており、その他包括利益が約 30 億円増加した。このうち約 22 億円は円安に伴 う為替調整勘定である。 セグメント別の状況として、軽金属・銅製品は増収となり、子会社の寄与によって大幅な増益を達成した。従来 は国内子会社 4 社が属していたが、当期より大羽精研が加わっており、セグメント利益 16 億 32 百万円のうち、5 社の経常利益(単純合算)が約 12 億円となっている。 電子・機能材は、レアアースの取扱い減少により、減収減益を余儀なくされた。なお、レアアースのみでは、経常 利益が前期比 6 億円減となっているが、他のビジネスでカバーした結果、セグメント利益は 2 億 54 百万円減となっ ている。非鉄原料については、増収ながら減益となった。全商品の取扱いが増加したが、円安により輸入収益が 減少している。建設・産業資材については、減収ながら増益を達成しており、円安によって配管機材等の輸出が堅 調に推移した。 ◆取扱いの増加に伴って営業債権が増加 総資産は前期比で 152 億 82 百万円増加している。流動資産では、取扱いの増加に伴って営業債権が 56 億 13 本著作物の著作権は、公益社団法人 日本証券アナリスト協会®に属します。 百万円増加しており、この見合いで流動負債の営業債務が 48 億 94 百万円増加した。棚卸資産は 33 億 46 百万 円増加しており、新規連結子会社の約 22 億円が加わったほか、アドバンストマテリアルジャパン(AMJ)等のランニ ングストックが約 10 億円増加している。 固定資産は 43 億円増加しており、3 社の新規連結によって有形固定資産が 24 億 24 百万円増加した。無形固 定資産は 5 億 47 百万円増加しており、円安による為替換算差額の増加が大きな要因である。投資その他資産は 13 億 28 百万円増加しており、保有する上場株式の評価差額、新規投資、持分法適用会社での純利益および為替 調整勘定が主な内容である。純資産は 213 億 68 百万円となっており、利益剰余金、為替調整勘定によって 55 億 50 百万円増加した。 営業活動によるキャッシュフローは 19 億 92 百万円となった。運転資本が 21 億 23 百万円増加したが、これを利 益で賄っている。投資活動によるキャッシュフローはマイナス 24 億 28 百万円となっており、主な内訳としては、連 結子会社の株式取得(大羽精研)に伴う支出が 7 億 20 百万円、投資有価証券の取得(ケィ・マック等)に伴う支出 が 6 億 45 百万円となった。財務活動によるキャッシュフローは 14 億 14 百万円となっており、長短借入金の増加に よる。以上の結果、現金および現金同等物の期末残高は 127 億 65 百万円となった。 ◆取引先のレアアースの在庫調整が一巡し回復を見込む 専務取締役 経営企画本部長 山下 英夫 2015 年 3 月期の見通しとして、国内の非鉄需要は伸びが期待できないが、自動車産業、スマートフォン・タブレ ット端末向け需要は堅調に推移すると見ている。一方、グローバルでは、経済が好調な米国に牽引され、非鉄需 要が増加する見込みである。レアアースについては、2 年連続で落ち込んでいるが、重希土類の在庫調整が一巡 することから、今期で底を打つと見ている。 こうした状況の中、当社においては、海外取引が増加する見込みである。また、4 月に持分法適用関連会社化 したケィ・マックの業績貢献が期待できる。連結売上高は前期比 222 億 50 百万円増を計画しており、レアメタル、 レアアース、電子材料、伸銅品などの伸びを見込む。売上総利益は 1 億 4 百万円増にとどまるが、前期の為替差 損を減額して比較すると、実質的には 3 億 24 百万円増となる。 販管費においては、人件費が上昇するが、貸倒引当金や UNIVERTICAL 社の買収に関わる費用などが減少す るため、全体では 10 百万円減少する見込みである。この結果、営業利益は 1 億 15 百万円増となるが、前期の為 替差損を勘案すると、実質的には 3 億 35 百万円増となる。経常利益については、ケィ・マックの持分法利益等が加 わるため、5 億 99 百万円増を見込んでいる。当期純利益については、負ののれん発生益などがなくなるため、2 億 44 百万円減となる見込みである。 セグメント別の見通しとしては、軽金属・銅製品および電子・機能材で増収増益を見込む。軽金属・銅製品では、 伸銅品の売上が増加することに加え、ケィ・マックが利益に大きく貢献する。電子・機能材については、レアメタル、 レアアース、電池包材、サファイア基板などの伸びにより、売上高が前期比 32.3%増となる見込みである。セグメ ント利益は 65 百万円増を見込んでいるが、子会社の受取保険金の影響を除くと 3 億円以上の増益となる。非鉄原 料および建設・産業資材は減収減益を見込んでおり、消費税引き上げの反動を織り込んだ。 ◆製造業を中心に M&A を推進 代表取締役社長 正木 英逸 中期経営計画のアクションプランとしては、営業収益力の強化、投資案件の推進、財務体質の強化、人的資源 の強化、インフラ整備および内部統制の充実・強化を掲げており、最終年度となる 2017 年 3 月末の利益目標は、 連結経常利益 50 億円超、連結当期純利益 35 億円超である。ROE は 13~15%程度、NET DER は 1.0 倍~1.3 倍 程度を目標に掲げており、投融資は 3 年間で 150 億円を計画している。 本著作物の著作権は、公益社団法人 日本証券アナリスト協会®に属します。 連結経常利益については、2015 年 3 月期の 42 億円、2016 年 3 月期の 47 億円、2017 年 3 月期の 52 億円を 目指す。M&A によって利益を積み上げていきたいと考えており、すでに具体的に検討している案件が数件ある。 アクションプランのうち、営業収益力の強化については、電子材料分野および環境対応関連分野を強化し、海 外事業展開を推進していく。電子材料分野では、レアメタルやレアアース等の原料、これらを使用した結晶材料、 半導体材料、液晶・電池材料、チタンやニッケルなどの機能材の取扱いを増加させ、業界 No.1 の地位を堅持して いく。 環境対応関連分野では、省エネ関連のガリウムメタルやサファイアウエハー、太陽光発電の金属珪素、環境対 応関連のレアアース、航空機関連のチタンなどを強化していく。また、リサイクル事業も成長が期待できる。すでに アルミのスクラップヤードを大阪で展開しているが、今後は銅スクラップも取り扱う予定である。また、国際的なネッ トワークを活用して、レアアースのリサイクル事業も開始しており、安定的なビジネスとして期待している。 海外事業展開については、地場取引の拡大、三国間ビジネスの拡大、海外拠点の拡大に取り組む。地場取引 については、拡大に向けて中国法人を大幅に資本増強した。三国間ビジネスについては、シンガポールを拠点と して AMJ が展開しており、着実に成果を上げている。海外拠点については、インドネシア、インド、メキシコなどで 新たな拠点設立を検討している。 投融資については、これまで M&A を 10 件、事業投資を 29 件実行しており、いずれも連結業績に貢献している。 中期経営計画においては、150 億円の投融資を実行する予定であり、経常利益で 15 億円以上の積み上げを目指 す。M&A については、川上(製造業)、川中(商社)、川下(問屋・小売)を問わず実施していくが、特に利益率の高 い製造業に焦点を当てていきたいと考えている。また、非鉄金属を中心に、鉄鋼、化学品等、国内外の広い分野 を対象としていく。なお、製造業への進出状況としては、大川電機製作所、大羽精研、UNIVERTICAL 社を子会社 化しており、2015 年 3 月期には製造業の占める率が売上高の 9.2%、経常利益の 33%となる見込みである。 投融資の検討案件として、金属・化学品・加工分野においては、すでにケィ・マックへの出資を実行したが、さら に、米国の銅管工場への出資を決定した。また、中国を含む東南アジアで金属加工品製造の合弁事業を推進し ている。資源確保分野では、レアメタル、レアアースの鉱山・製錬事業への参画などを考えている。 設備投資については、大川電機製作所において、航空機部品の加工工場増設を計画している。UNIVERTICAL 社においては、約 8 億円を投資し、中国・蘇州工場のめっき素材生産設備を増強する予定である (平成 26 年 5 月 26 日・東京) *当日の説明会資料は以下の HP アドレスから見ることができます。 http://www.alconix.com/jp/ir/material.html 本著作物の著作権は、公益社団法人 日本証券アナリスト協会®に属します。