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1 土田社長記者会見要旨 日 時 : 平成14年10月

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1 土田社長記者会見要旨 日 時 : 平成14年10月
土田社長記者会見要旨
日
時 : 平成14年10月15日(火) 午後3時30分∼午後4時
場
所 : 東証 ARROWS プレゼンテーション・ステージ
社 長
本日説明する一点目は、
「平成15年3月期中間決算について」である。
まず、今中間期の単体の経営成績であるが、営業収益は 18,051 百万円、営
業利益 1,590 百万円、経常利益 3,247 百万円、中間純利益 2,315 百万円となっ
た。
損益の主な内訳については、まず、営業収益のうち取引参加者負担金である
が、取引参加者のグループ再編などにより、定額負担金が減少するとともに、
定率負担金についても、期初は堅調に推移したものの、市場環境の低迷などか
ら減収となり、取引参加者負担金合計では、前期比 571 百万円減少の 9,374 百
万円となった。
次に上場関係収入であるが、増資や新規上場は前期を下回ったものの、ETF
や REIT の上場に伴う上場手数料が増加したことから、ほぼ前期並みの 4,229
百万円となっている。
次に、情報関係収入については、前期比 135 百万円増加の 3,410 百万円と堅
調な結果となった。
この結果、営業収益は前期比 449 百万円減少の 18,051 万円となった。
続いて、営業費用であるが、中期経営計画などで示した支出削減の実行によ
り、全体では前期比 1,222 百万円減少の 16,461 百万円となった。
内訳であるが、まず、人件費については、人員の減少及び人事制度の見直しな
どにより、前期に比べ 301 百万円の減少となる 4,978 百万円となっている。
また、不動産賃借料については、本・市場館の家賃引下げなどにより、前期
比 227 百万円減少の 2,537 百万円となった。
委託事務費についても、システム関係の委託計算料の減少などにより、前期
比 213 百万円減少の 2,250 百万円となっている。
次に減価償却費についても、予定していた設備投資案件のうち、一部に10
月以降にずれ込んだものがあることから、2,725 百万円にとどまっている。
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その他の営業費用については、全般的な経費削減に努めた結果、前期比 230
百万円減少の 967 百万円となった。
この結果、営業利益は、前期比 774 百万円増加の 1,590 百万円となった。
なお、営業外収益として、子会社である日本証券決済株式会社から受取配当
金 15 億円があったことなどから、経常利益は前期比 2,257 百万円増加の 3,247
百万円となった。
平成15年3月期の通期の業績予想であるが、費用面について、今中間期に
おいてコスト削減を図ることができたことなどから、第1四半期決算公表時点
での予想数値を、経常利益は 3,500 百万円から 3,800 百万円に、当期純利益は
2,600 百万円から 2,700 百万円に、それぞれ修正することとした。この数値の
実現に向け、下期努力する所存である。
二点目は、
「先物・オプション取引の取引最終日等に関するコンティンジェン
シー・プランに係る諸規則の一部改正について」である。
本件については、本年6月に制度要綱を発表しているが、システム対応等の
完了目途がついたことから、
「清算・決済規程」等について所要の改正を行うも
のである。
施行日については、12月1日とする。
三点目は、
「国際証券取引所連合
(WFE)
アムステルダム総会概要について」
である。
先週の10月6日から8日まで、アムステルダムにおいてWFEの年次総会
が開催された。総会全体の印象を四点ほどお話しさせていただく。
まず一点目は、前回のマドリッド総会がニューヨークの世界貿易センタービ
ルの爆破という悲劇の直後に開催され、各国の証券取引所首脳の間に動揺と悲
しみが見られたと聞いているのに対し、今回の総会は、参加者の大方がある程
度の自信を取り戻し、各国の証券市場の活性化、市場改革に向け、それぞれが
真剣に取り組んでいる様子が肌で感じられたということである。
二点目は、今回の総会で、アジアの大国である中国とインドから、それぞれ、
中国については上海と深セン、インドについてはナショナルとムンバイの各証
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券取引所がWFEに正会員として加盟したことである。これらの証券取引所の
WFE加盟は、欧米の各市場で、年初から株価が大幅に下落している一方で、
アジアの各市場の株価が小幅な下落にとどまっていることからも分かるように、
アジアの将来の成長、発展を予測させるものであると思う。当取引所としては、
アジアの主要証券取引所として、これらの証券取引所とも協力しながらアジア
の成長、発展に大いに貢献できればと考えている。
三点目は、今回の総会で理事会理事の改選があり、議長にニューヨーク証券
取引所のグラッソ議長が、また、副議長に私が選任されたことである。当取引
所は、これまでは理事会の理事としてWFEの発展に貢献してきたわけである
が、来年からは、グラッソ新議長とともに、WFEの一層の発展と世界の証券
市場の整備・充実に向けて微力ながら全力を尽くしたいと思っている。
四点目は、
「証券市場の信頼喪失への対応」
と題する緊急声明が理事会で採択
され、公表されたことである。これは、最近の米国市場で発生した企業の不明
朗な経営に伴う投資者の企業不信に対して、WFE加盟の取引所及びWFE自
身が失われた証券市場の信頼を回復させるため、企業の会計慣行、コーポレー
ト・ガバナンスの改革に関し指導的役割を果たしていこう、という趣旨のもの
である。
(以下、質疑応答)
記 者 株価について、先週末の急落で歴史的な低水準になったわけであるが、こう
した状況について、どのように見ているのか、伺える範囲で教えていただきた
い。
社 長 株価はそれまでも長い間バブル崩壊後の低下が続き、それに続いてさらに最
近は一段の下げとなり、いわば 18 年、19 年前の株価に戻ったという状況にな
っている。このような株価の動向について、私は大変心配しながら見ている。
ただ、先週は海外に出ていたので、国内でどのような議論をしているのかを詳
らかにしないが、国際的に市況の推移を観察すると、欧米での大幅な株価の低
落に比べてアジアはむしろ底固い動きになっているのではないかと思う。詳し
い数字は省略するが、例えば、昨年末と比べた下落率を見ると、アメリカの場
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合はダウが20%台、ナスダックが40%台、ヨーロッパでは、イギリスが2
0%台、ドイツは40%台、フランスが40%台であり、これに対してアジア
は、台湾と香港が20%台、東京のTOPIX、韓国、シンガポールは10%
台の値下りである。
いずれにせよ世界各地で下がっているわけだが、
私が海外で聞いた限りでは、
世界各市場での株価の低落の原因は、前途に不確定な要素が極めて多く、今後
の行動に確信が持てない、新聞の記事的に言うと「great deal of uncertainty
and lack of confidence」という見方が多いようである。このように前途の見通
しがつかないということであるならば、今後時間が経過すれば景色は見えるよ
うになるであろうから、その時に皆がどう判断するか、その判断の集積が相場
を決めることになろう、だから今ここで先が見えないからといって、あせって
も仕方がないのではないか、という感じを持っている。
さらに海外での感想を申し上げると、アメリカではもちろんであるが、ヨー
ロッパでもテロに対する警戒が強く意識されていることを感じた。例えば私ど
も WFE のメンバーが市内の会場を移動するにもボディガードがついていた。
新聞を見ると、パリでどうしたとかフィンランドでどうしたとかいった記事が
散見された。これでは今後の行動に確信が持てないと言われるのも当然であろ
うと思う。その点、日本は、国内が平穏であるのは実に有難いことだとは思う
が、日本でも油断してはならない。何よりも肝心なことは、世界全体を覆う不
確定要因にも動揺することなく冷静に対処して、その中で、日本としてできる
限りの手を打っていくことであると思う。
以前から申し上げているが、確かに日本経済の環境は厳しさを増していると
はいうものの、輸出、生産、雇用、企業収益などに持ち直しの動きが続いてい
ると言われている通りで、産業や生活の実態は決して悲観するに当たらないと
私は思う。
その中で、東京市場について言えば、マーケットの機能は正常に発揮されて
おり、ビジネスにはいささかの渋滞もない。第一次大戦でロンドンが爆撃され
た時にロンドン市民が言いはやした言葉を引用すれば、「Business is as
usual.」
、普段と変わらず仕事をするということである。我々取引所の使命は、
その時その時の相場を、速やかにかつ公正に決定して、公表することあるのみ
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である。したがって取引所としては目前の相場の動きについてとやかく論評す
べきではないが、強いて言えば、現時点としては一つの折り返し点ともいうべ
き9月末を過ぎたばかりで、次の折り返し点までにはかなりの間があることで
もあるから、その間にマーケットのメカニズムが働き、また企業自身の経営努
力が働いて、経済諸状況の実態を反映した市況が形成されてゆくものと考えて
いる。
最後に、少し期待を込めて申し上げると、当面の我々の関心事は、証券投資
に関係する話題としての証券税制である。個人投資家をめぐる証券税制は次の
デフレ対策の目玉として浮上しつつあり、各方面の関心も高まっている。この
機会をとらえて、貯蓄優遇から投資優遇へのシフトを促進する観点から有効な
税制を、そして同時に、簡素で本格的な税制を、是非大胆に考えていただきた
いと思っている。先日、投資の日に小泉総理が東証を視察された時にも、
「貯蓄
優遇から投資優遇へ、税制改革に本格的に取り組む決意でいる。そのスローガ
ンにふさわしい改革を行うよう、担当の役所に指示をした。
」と明言されたとこ
ろであり、私としては、総理ご自身が乗り出した今回こそ見直しの好機と考え、
期待申し上げているところである。
記 者 金融庁が以前に出した「証券市場の改革促進プログラム」において、いくつ
か東証に要請している事項があったと思うが、その後の対応の進捗状況を教え
ていただきたい。
社 長 8月6日に出された「証券市場の改革促進プログラム」においては、コーポ
レート・ガバナンスの強化、ディスクロージャーの充実、上場廃止基準の厳格
化、株式投資単位の引下げなどの諸問題について、取引所等に検討が要請され
た。我々はこれらについていろいろと取り組んでおり、例えば、上場廃止基準
の厳格化については、先月のこの場でもご報告したとおり、既に規則改正を行
い、実施に移したところである。
また、投資単位の引下げに関しては、昨年9月に私どもが公表した「投資単
位の引下げ促進に向けたアクション・プログラム」に沿って、これまでも上場
会社の協力を促すべく取り組んできた。相当な協力は得られていると思うが、
そうでもない面もあり、近々に、本年3月期の決算会社のうち投資単位が著し
く高い会社10社程度に対して、勧告を行うことを考えている。
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投資単位の引下げに係る勧告については、上場規則に規定を設けているが、
考え方としては、
投資単位が相対的に著しく高い水準にある会社を候補として、
決算短信において投資単位の引下げに関する方針をどのように記載しているか、
その会社の株主構成において個人が占めている割合はどうか、さらに株主数の
状況などを勘案して実施することとしているものである。
その他、コーポレート・ガバナンスの強化などの項目については、8 月に公
表した「今後の対応」に基づき、鋭意、検討を進めているところであり、内容
がまとまった段階でご報告したいと考えている。
記 者 新しい金融担当大臣として、竹中経済財政担当大臣が就任されて、金融問題
に関し PT が設置され今検討されているが、こうした動きについてどのように
お考えか。
社 長 私は実務家であって、学者でも評論家でもないので、この場でそうしたコメ
ントは差し控えたい。
記 者 先程税制に関して「簡素で本格的な税制を大胆に」と言われたが、これの意
味するところは、譲渡益課税の非課税化ということか。
社 長 譲渡益課税も大きな話題になっているが、あえて私の立場で論点を絞るべき
ではないと思うので、
「大胆に」といった言葉を使ったわけである。先日の小泉
総理のお話でも、何をというように個別具体的には言っておられない。その点、
塩川財務大臣がお見えになったときには、例えば配当課税に関心があるという
ような個別項目を口に出された。総理はそこまでの個別項目を口には出されな
かったが、貯蓄優遇から投資優遇への流れを促進するようなことをやるという
ことと、分かりやすい税制をやるということの二点を強調された。総理クラス
であればそういうものの言い方になるであろうと思うので、私は総理の真似を
したわけである。具体的には、今週にも続々と各方面の動きが出てくると思う。
多分、明日くらいには、証券業協会も何らかの態度を明らかにすると思う。証
券界の一員としては、証券業協会が具体的にいろいろとおっしゃるということ
であり、しかもそれが明日であるので、それに敬意を表しておこうというつも
りである。
以 上
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