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細胞・組織加工製品 承認審査の動向 (Part-I)

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細胞・組織加工製品 承認審査の動向 (Part-I)
2010. 6. 3. 第1回 医療機器レギュラトリーサイエンス研究会
細胞・組織加工製品
承認審査の動向 (Part-I)
産業技術総合研究所
ヒューマンライフテクノロジー研究部門
主任研究員
廣瀬 志弘
2008.4.1∼2010.3.31
医薬品医療機器総合機構
生物系審査第二部 出向
1
「平成22年度 再生医療/細胞・組織加工製品実用化のための薬事講習会」
1.日時
平成22年6月28日(月)13:30∼17:40
2.会場
医薬品医療機器総合機構会議室
3.対象
再生医療/細胞・組織加工製品について、基礎的研究の段階を含め薬事法に
基づく、開発、実用化に関心のある方。
申込み〆切
平成22年6月21日(月)
http://www.pmda.go.jp/event/20100413event.html
2
対象は・・・
●薬事承認申請を目指しており、平成11年11
月30日付け医薬発第906号(平成21年5月18日
付け薬食発第0518001号にて改正)に係る治
験計画の届出を行う前に安全性及び品質の確
認を要するもの
→細胞・組織を加工した医薬品又は医療機器。
例えば、培養皮膚、培養軟骨、培養角膜、活
性化リンパ球など(再生促進用合成マトリッ
クス、細胞成長因子などは対象外)
3
ヒト(自己)由来細胞や組織を加工した医薬品又は
医療機器の品質及び安全性の確保について
ヒト(同種)由来細胞や組織を加工した医薬品又は
医療機器の品質及び安全性の確保について
目的
„
„
ヒト由来の細胞・組織を加工した医薬品又は医療用具の品
質及び安全性の確保のために必要な基本的要件を定める 。
確認申請にあたって添付するべき資料の内容を示す。
定義
„
„
細胞・組織の加工とは、疾患の治療や組織の修復又は再
建を目的として、細胞・組織の人為的な増殖、細胞・組織の
活性化等を目的とした薬剤処理、生物学的特性改変、遺伝
子工学的改変、非細胞・組織成分とのハイブリッド化、カプ
セル化等を施すことをいう。
組織の分離、組織の細切、細胞の分離、特定細胞の単離、
抗生物質による処理、洗浄、ガンマ線等による滅菌、冷凍、
解凍等は加工とみなさない。
4
細胞・組織加工製品の実用化への方向性
基礎研究
前臨床研究 臨床研究
薬事法
(臨床研究倫理指針など)
ヒト幹指針
・確認申請
・確認
・治験届
治験
臨床研究の指針
・計画の申請
・了承(大臣の意見)
ヒト幹細胞を用いる臨床研究
・承認申請
・審査
・承認
医薬品・医療機器
評価
先進的医療(高度医療など)
「治験」とは、薬事法に基づく承認申請で提出すべき
臨床試験成績の収集を目的とする試験。 5
本日の話題
„
医薬品、医療機器の規制と承認審査
„
バイオロジクス規制の概略
„
細胞・組織加工製品の規制
6
本日の話題
„
医薬品、医療機器の規制と承認審査
„
バイオロジクス規制の概略
„
細胞・組織加工製品の規制
7
薬事制度の変遷
z
z
世界的に、医薬品の開発・使用に関する膨大な経験から学び、
制度が整備され、現在も改善の努力が継続されている。
日本の例
¾ サリドマイド事件(S34)→ 承認審査制度の整備
¾ スモン事件(S45)→ 市販後安全対策、副作用被害救済
¾ ソリブジン事件、血液製剤によるHIV感染
→ 治験のあり方の見直し(H9)
→ 審査体制の強化(H9)
¾ BSE等、生物由来原料の感染リスク
→ 生物由来製品の指定、
生物由来原料基準 等(H15)
8
薬事規制のジレンマ
„
„
規制の必要性
世界的に、副作用被害を契機
に薬事規制が作られ強化され
てきた。
医薬品等の品質・有効性・安
全性を適切に評価しないと、副
作用被害が拡大する。
„
„
一方で…
規制強化は開発期間の長期
化、コスト増大につながる。
その薬を必要とする患者さん
の手になかなか届かない。
良い薬を早く
使えるように!
9
薬事規制は何のため?
医薬品の開発や使用に関する膨大な経験と、その
時点の科学的知見に基づき、品質・有効性・安全
性のセーフティーガードを維持しながら、開発を効
率的に進めるための仕組み。
„
薬事法の目的
第一章(目的)第一条
この法律は,医薬品,医薬部外品,化粧品及び医療機器
の品質,有効性及び安全性の確保のために必要な規制を
行うとともに,医療上特にその必要性が高い医薬品及び医
療機器の研究開発の促進のために必要な措置を講ずるこ
とにより,保健衛生の向上を図ることを目的とする。
10
医薬品・医療機器の規制は何故必要か
●有効性が確認されていない製品の宣伝・販売により患
者が適切な治療を受けられない可能性
●安全性が確認されていない製品の使用による健康被害
の可能性
●品質が確保されない不良品・偽造品等の流通により安
全性・有効性が担保されない可能性 など
●品質、有効性、安全性が担保されるための公的な確認
が必要
→薬事法による規制(主に製造販売等を行う業者に対す
るもので、医療従事者や消費者に対する規制ではない)
11
医薬品・医療機器の承認審査とは
„
薬事法第14条
„
„
医薬品・・医療機器の製造販売をしようとする者
は、品目ごとに・・厚生労働大臣の承認を受けな
ければならない
厚生労働大臣は、機構に、医薬品・・医療機器・・
の・・承認のための審査及び・・調査を行わせるこ
とが出来る。
12
製造販売承認の要点
薬事法第14条第2項より
●申請者が製造販売業の許可を受けている。
●申請品目を製造する製造所が製造業の許可
又は外国製造業者の認定を受けている。
●申請品目が、申請に係る効能、効果又は性
能を有し、それらに比して著しく有害な作用が
無いこと(安全性と有効性)。
●製造所における製造管理又は品質管理の方
法がGMP、QMS へ適合している。
これを審査するのが
PMDA審査担当部の主な業務です!
13
製造販売業の許可
厚生労働大臣の許可を受けた者でなければ
、業として、医薬品・医療機器の製造販売をし
てはなりません。 (薬事法第12条より)
承認と業許可の簡単な整理:
- 製品(モノ)に対し→承認
- 業(ヒトの行い)に対し→許可
承認されたモノだけを、許可を受けたヒトだけが
製造販売することができる
14
PMDAの理念
厚生労働大臣の委託による以下の三
業務を公正に遂行し、国民の健康・安
全の向上に積極的に貢献する 医薬品、医療機器
等の審査
安全対策
健康被害
の救済
常勤役職員数:
2004.4 256名
2006.4 319名
2009.4 521名
外部専門家 約1,000名
15
PMDAの組織図 2009年
2009年9月現在
情報化統括推進室
組織運営マネジメント役
監事
上席審議役
監事
審議役
救済管理役
総務部/ 財務管理部/企画調整部
レギュラトリーサイエンス推進部
国際部
健康被害救済部
理事
(技監)
審査業務部
審査マネジメント部
理事長
審査センター長
上席審議役
生物系審査第一部、第二部
上席審議役
一般薬等審査部
審議役
理事
新薬審査第一部 ∼第五部
医療機器審査第一部、第二部
審議役
信頼性保証部
理事
安全第一部、第二部
安全管理監
品質管理部
監査室
常勤役職員数: 256名 (2004.4) Æ 319名 (2006.4) Æ 521名 (2009.4) 及び外部専門家 約1000名
16
生物系審査第一、二部の所掌
„
バイオロジクス審査体制(65名, 2010.4現在)
„
血液製剤
生物製剤(ワクチン、抗毒素等)
細胞・組織加工製品
„
ウシ心臓弁等医療機器
„ 再生医療、細胞治療 ← 約15名で審査
生物由来製品の品質審査
„
„
„
„
„
„
„
遺伝子導入細胞由来製品(組換タンパク、抗体医薬等)
ヘパリン、コラーゲン等使用医療機器
細胞組織製品、遺伝子治療用医薬品の確認申請事前審査
カルタヘナ法に関する確認・承認申請事前審査
17
医薬品・医療機器の開発から市場にでるまでの流れ
研究開発
臨床試験
(治験)
非臨床試験
承認申請
対面助言(治験相談)
承 認
審 査
市販後
安全対策
治験から新薬承認申請までの流れ
医薬品・医療機器の承認審査の流れ
非臨床試験
厚生労働省
・動物での試験
市 販
健康被害
救済
承認
第Ⅰ相試験
・健常人を対象
・主として安全性を見る
・患者を対象(少数)
・有効性・安全性の瀬踏み
第Ⅱ相試験(後期)
・患者を対象
・有効性・安全性を見る用量の決定
第Ⅲ相試験(後期)
・患者を対象(より多数)
・比較試験、一般試験により実際の臨床に
おける有効性、安全性の確認
新薬承認申請
厚生労働省
審査報告
申請者
第Ⅱ相試験(前期)
照会・
回答
承認申請
医薬品医療機器
総合機構
治験相談・審査
(チーム審査)
専門協議
専門委員
(外部専門家)
18
新医薬品承認審査のプロセス
外部
専門家
医薬品医療機器総合機構
申請者
審査チーム
面 談
適合性
調査報告
GCP,GLP
照会/回答
審査報告(1)
専門協議
主要問題点まとめ
審査報告
等の公表
GMP
調査結果
審査報告(2)
審査結果
(http://www.
pmda.go.jp/)
承 認
厚生労働省
諮問/
答申
薬事食品
衛生審議会
19
チームによる審査業務等の遂行
部 長
審査役
チーム主任(2名)
(審査・相談)
チームの構成例
審査チーム(10名)
規格・安定 薬理 動態 毒性 臨床
性(1名) (1名) (1名) (2名) (2名)
薬 学
生物統計
(1名)
獣医学 医学 生物統計学
20
本日の話題
„
医薬品、医療機器の規制と承認審査
„
バイオロジクス規制の概略
„
細胞・組織加工製品の規制
21
生物由来製品とは
生物由来製品:
人その他の生物(植物を除く)に由来するものを原料又
は材料として製造をされる医薬品、医薬部外品、化粧品
又は医療機器のうち、保健衛生上特別の注意を要する
もの (薬事法第2条第9項)
特定生物由来製品:
生物由来製品のうち、販売し、賃貸し、又は授与した後
において当該生物由来製品による保健衛生上の危害
の発生又は拡大を防止するための措置を講ずること
が必要なもの (薬事法第2条第10項)
22
生物由来製品の指定
„
„
改正薬事法により、厚生労働大臣は薬事・食品
衛生審議会の意見を聴いて、医薬品等を3つの
カテゴリーに分類 (特定生物由来製品、生物由
来製品、その他)
生物由来製品の指定は、製品の感染症のリス
クを科学的に評価して行う
23
生物由来製品の指定
その他(非指定)
特定生物由来製品
生物由来製品
血液製剤
• 経口・外皮用剤等
• 高度な加熱、化学処理等
がなされている(ゼラチン
等)
ヒト細胞組織利用製品
ヒト成分製剤
以下により感染症のリスクの
蓋然性が低いもの
ワクチン類
動物細胞組織由来製品
尿由来製剤
• 非病原性の細菌の培養に
より製する(大腸菌由来の
遺伝子組み換え製剤等)
• 人獸共通感染症の恐れが
ない(魚類由来のコンドロ
イチン硫酸等)
動物抽出成分製剤
遺伝子組換え製剤
ヒト血液成分を添加剤等で含有する製剤の取扱い
「使用方法、含有量、使用期間からみて血液製剤と同等のリスクが予測されるも
の」を特定生物由来製品とする
Ref: 医薬品製造販売指針 2008, じほう 24
生物由来製品と特定生物由来製品の例
(平成15年厚生労働省告示第209号より)
●血液製剤
・乾燥人フィブリノゲン
・乾燥pH4処理人免疫グロブ
リン
・人血清アルブミン など
●ワクチン
・インフルエンザワクチン
・ポリオワクチン
・乾燥弱毒生水痘ワクチン
・乾燥痘そうワクチン など
●動物由来組織や成分等
・滅菌凍結乾燥豚真皮
・滅菌凍結乾燥豚皮
・ヘパリンナトリウムを含有す
る製剤 など
●遺伝子組換えたんぱく
質
・アルテプラーゼ(遺伝子
組換え)
・インターフェロンベータ
−1b(遺伝子組換え)
・インフリキシマブ(遺伝
子組換え) など
●次に掲げる組織から構
成された医療機器
・ウシ心のう膜
・ウマ心のう膜
・ブタ心臓弁
●抗毒素
・乾燥破傷風ウマ抗毒素
(乾燥破傷風抗毒素)
・乾燥はぶウマ抗毒素
(乾燥はぶ抗毒素)
・乾燥まむしウマ抗毒素
(乾燥まむし抗毒素)
など
●次に掲げる成分を含有
する医療機器(検査のた
めの採血に用いる医療機
器を除く。)
・ウロキナーゼ
・羊抗体
・ヘパリンカルシウム
・ヘパリンナトリウム
・マウス抗体 など
●マウス生細胞を含有す
る医療機器(ジェイス)
赤字・・・特定生物由来製品
25
生物由来製品の上乗せ規制
特定生物由来製品には、参考品の保存、医療関係者の
記録の保存、情報提供等の規制がさらに課せられる。
製造開始
生物由来
製品の上
乗せ部分
一般の医
薬品・医療
機器対策
製造中
情報の評価と改善措置
回収等感染拡大防止
の措置
製造販売段階
・施設要件の担保
・原料記録等の保管
管理
・汚染防止措置
・適切な表示・情報
GMP:製品を恒常的に一定の品質で製造
するための手順・管理体制を定めるもの
GVP等:製造販売後安
全対策のための手順・管
理体制を定めるもの
ドナーの選択基
準など原材料の
安全性確保
例:製造者が定める基
準に合ったもののみ原
材料として購入
例:注射剤を製造す
る場合、無菌性を担
保できる設備を用い
ているか
提供、 適正使用
・ドナー、使用者の追跡
・感染症定期報告
例:製造販売後対策に係る
組織及び職員を置いている
か
Ref: 医薬品製造販売指針 2008, じほう 26
生物由来製品の製造所における
記録及び参考品の保存
●製造管理及び品質管理に係る記録
- 特定生物由来製品及び人の血液を原材料として製造
される生物由来製品については製品の有効期間に30
年を加算した期間保存
- その他の生物由来製品については有効期間に10年
を加算した期間保存
●特定生物由来製品における参考品
- 未知の感染症の発生を含む感染症に係る安全対策を
実施する上での原因究明に供するため、その有効期
間に10年を加算した期間保存
(平成15年5月20日付け医薬発第0520004号より)
27
生物由来製品の承認取得者等及び
医療関係者による記録及び保存
製品の分類
医療機関での患者使用
記録の保存期間
生物由来製品の承認取得者等での
提供者・製造記録等の保存期間
特定生物由来製品
20年
(理由)vCJDも含め、感
染症の把握性を高めるた
め。
30年
(理由)人由来成分についてのvCJD等
の長期リスクの可能性に備えた対応の
ため。動物由来についても予防的に同
様の考え方を適用。
生物由来
製品
人血液成分以外
の成分に関する
記録
−
10年
(理由)予防的なBSE対策等によりプリ
オン病に対するリスクの蓋然性は非常
に低いため
人血液成分を含
む場合の人血液
成分に関する記
録
−
30年
(理由)人由来成分についてのvCJD等
の長期リスクの可能性に備えた対応の
ため。
(薬事法施行規則第238条、平成15年5月15
日付け医薬発第0515011号、平成15年5月
15日付け医薬発第0515017号)
(薬事法施行規則第237条、平成15年5月15日
付け医薬発第0515017号)
28
感染症定期報告
薬事法第68条の8
1 生物由来製品の製造販売業者又は外国特例承認
取得者は、厚生労働省令で定めるところにより、そ
の製造販売をし、又は承認を受けた生物由来製品
若しくは当該生物由来製品の原料若しくは材料によ
る感染症に関する最新の論文その他により得られ
た知見に基づき当該生物由来製品を評価し、その
成果を厚生労働大臣に定期的に報告しなければな
らない
2 厚生労働大臣は、毎年度、前項の規定による報告
の状況について薬事・食品衛生審議会に報告し、必
要があると認めるときは、その意見を聴いて、生物
由来製品の使用による保健衛生上の危害の発生
又は拡大を防止するために必要な措置を講ずるも
のとする。
29
生物由来製品感染等被害救済制度
(平成16年4月1日に創設、独立行政法人医薬品医療機器
総合機構法に基づく制度)
●生物由来製品を適正に使用したにもかかわらず、その
製品が原因で感染症にかかり、入院治療が必要な程度
の疾病や障害等の健康被害を受けた方の救済を図るた
め、医療費、医療手当、障害年金などの給付を行う制度
●救済給付に必要な費用は、許可生物由来製品の製造
販売業者がその社会的責任に基づいて納付する拠出金
が原資
参照URL: http://www.pmda.go.jp/kenkouhigai/kansen.html
医薬品については、医薬品副作用被害救済制度も
設けられています
30
生物由来原料基準について
薬事法第42条
第1項 厚生労働大臣は、保健衛生上特別の注意を要する医薬品
につき、薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて、その製法、性
状、品質、貯法等に関し、必要な基準を設けることができる。
第2項 厚生労働大臣は、保健衛生上の危害を防止するために必
要があるときは…医療機器について…必要な基準を設けること
ができる。
生物由来原料基準
(平成15年 厚生労働省告示第210号) 第1 通則、1項
本基準は、医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療用具(以下
「医薬品等」という。)に使用される人その他の生物(植物を除
く。)に由来する原料又は材料(添加剤、培地等として製造工程
において使用されるものを含む。)について、製造に使用される
際に講ずべき必要な措置に関する基準を定めることにより、医
薬品等の品質、有効性及び安全性を確保することを目的とする。
31
生物由来原料基準
第1 通則
第2 血液製剤総則
1.輸血用血液製剤総則
2.血漿分画製剤総則
第3 人由来製品原料総則
1.人細胞組織製品原料基準
2.人尿由来原料基準
3.人由来原料基準
第4 動物由来原料基準
1.反芻動物由来原料基準
2.動物細胞組織製品原料基準
3.動物由来原料基準
最終製品の細胞組織だけでなく、製
造工程において使用される血清、添
加物、フィーダー細胞等についても本
基準が適用される
具体的には・・・
・ドナースクリーニング
・ウイルス否定試験
・感染性因子の不活化・
除去
・説明と同意
・無対価による提供
・遡及体制
等
製販品に適用されるが、被験者保護
及び治験品と製販品との同等/同質
性の観点から、治験品でも可能な限り
対応するべき。適合しない原材料につ
いては、同意説明文書に記載。
32
生物由来原料基準の内容
●人細胞組織製品原料基準:採取時の汚染防止、ドナーの適格
性(問診、検診、検査、ウィンドウピリオド)、同意取得と無対価
原則、採取・ドナースクリーニング・同意等に係る記録保存など
●反芻動物由来原料基準:TSE感染リスクの高い部位の使用禁
止、BSE非発生国原産、原産国・原材料等に係る記録保存など
(使用部位・原産国について適合しない原材料をやむを得ず使
用する場合は、その妥当性を製造販売承認書に記載)
●動物細胞組織製品原料基準:採取時の汚染防止、ドナーの適
格性(動物種ごとの微生物学的特性を考慮、受入における感染
症伝搬防止、飼育管理の標準作業手順書・施設、動物福祉)、
無菌性担保、ウイルス感染リスク検証、採取・ドナースクリーニ
ング・細胞/組織のロット等に係る記録保存など
¾生物由来原料基準で求められるものと同等以上と確認されれ
ば、規定を満たさない原材料を使用することも可能
¾反芻動物由来原料基準は、リスクに応じて適用(例;セルバンク
等のリスクが低い工程での米国産FBS、苛酷処理したもの 等)
33
本日の話題
„
医薬品、医療機器の規制と承認審査
„
バイオロジクス規制の概略
„
細胞・組織加工製品の規制
34
細胞・組織を利用した医療用具又は医薬品の
品質及び安全性の確保に関する指針
細胞・組織を利用した医療用具又は医薬品の品質及び安全性の確保につい
て H11.7.30医薬発第906号
<細胞・組織利用医療用具等に係る治験の依頼をしようとする者は、治験計画
届を行う前に、厚生大臣に当該治験医療用具又は治験薬の安全性及び品質
の確認を求めること(確認申請)> →H21.5.18改訂 薬食発第0518001号
ヒト又は動物由来成分を原料として製造される医薬品等の品質及び安全性確
保について H12.12.26医薬発第1314号
<細胞・組織利用医薬品等の取扱い及び使用に関する基本的な考え方>
<ヒト由来細胞・組織加工医薬品等の品質及び安全性の確保に関する指針>→改訂済 「ヒト(自己)由来細胞や組織を加工した医薬品又は医療機器の品質及び安全
性の確保について」 (自己指針) H20.2.8薬食発第0208003号
「ヒト(同種)由来細胞や組織を加工した医薬品又は医療機器の品質及び安全
性の確保について」 (同種指針) H20.9.12薬食発第0912007号
「細胞・組織加工医薬品等の品質及び安全性の確認申請書の記載要領につ
いて」H22.4.20薬食審査発第0420第1号
35
ヒト(自己)由来細胞や組織を加工した医薬品又は
医療機器の品質及び安全性の確保について
ヒト(同種)由来細胞や組織を加工した医薬品又は
医療機器の品質及び安全性の確保について
目的
„
„
ヒト由来の細胞・組織を加工した医薬品又は医療用具の品
質及び安全性の確保のために必要な基本的要件を定める 。
確認申請にあたって添付するべき資料の内容を示す。
定義
„
„
細胞・組織の加工とは、疾患の治療や組織の修復又は再
建を目的として、細胞・組織の人為的な増殖、細胞・組織の
活性化等を目的とした薬剤処理、生物学的特性改変、遺伝
子工学的改変、非細胞・組織成分とのハイブリッド化、カプ
セル化等を施すことをいう。
組織の分離、組織の細切、細胞の分離、特定細胞の単離、
抗生物質による処理、洗浄、ガンマ線等による滅菌、冷凍、
解凍等は加工とみなさない。
36
細胞・組織加工製品の特徴
1. 新規性が高いため過去の使用経験・情報
の蓄積が少なく、リスクの予測が難しい。
2. ヒト、動物由来の『細胞・組織』を用いること
から、感染性因子混入のリスクが高い。
治験でヒトに投与を開始する前に、製品の
品質・安全性を確認する必要がある。
(確認申請)
37
細胞・組織加工製品の確認申請
z新規性が高いため使用経験・情報の蓄積が少なく、リスクの予測
が難しい。
z生きたヒトや動物由来の細胞・組織を用い、加熱や溶媒処理、精
製による病原体不活化・除去処理が期待できず感染リスクが懸念さ
れるため、汚染されていない原材料の使用、製造工程での汚染防
止等が不可欠。
z培養工程での細胞の特性変化、形質転換の可能性のリスク。
z副作用、不具合が発生した場合、医薬品での投与中止、医療機
器での取りはずし等の対応が困難な場合が多い。
治験計画届を行う前に、被験者保護の観点から必要な
製品の品質・安全性を確認する → 確認申請
38
細胞・組織加工製品の開発・申請の流れ
通常の医薬品・
医療機器
品質試験
③治験届
(30日調査)
⑤承認申請
④臨床試験
非臨床試験
開発
①確認申請
②確認
製品の品質・安全性等から治験届を行う前に
ヒトへの投与の妥当性を評価
39
確認申請書の資料構成
●別紙(確認申請書各項の具体的説明)
指針への適合性確認に必要な事項について試験デー
タ、参考資料等を引用して具体的に説明した資料
●添付資料
申請書(別紙)に記載した事項の根拠となる試験報告
書等の資料
●参考資料
別紙と添付資料内容の説明のために引用する文献の
写しその他の資料
別紙、添付資料、参考資料は別冊としてください
40
Recently Confirmed Cell/Tissue-Based Product
Protocols (2001∼April. 2010)
Year
Sponsor
Disease
Cell/Tissue
Auto/Allo
2001
Kirin
Prostate Cancer
Dendritic Cell
Autologous Cell
Kirin
Multiple Myeloma
Dendritic Cell
Autologous Cell
2002*
J-TEC
Sever Burns
Epidermal Cell
Autologous Cell
2004
J-TEC
Osteochondritis
Dissecans etc.
Chondrocyte
Autologous Cell
2006
Terumo
Coronary Infarction
Skeletal Myoblast
Autologous Cell
2007
JCR
GVHD
Mesenchymal Stem
Cell
Allogeneic Cell
BCS
Severe Burns
Epidermal Cell and
Fibroblast
Autologous Cell
Arblast
Severe Ocular
Surface Diseases
Corneal Epithelial
Cell and Amnion
Allogeneic Cell
and Tissue
2009
*Approved on Oct. 29, 2007
41
承認申請書に添付すべき資料
薬事法第14条第3項
第1項の承認を受けようとする者は、厚生労働
省令で定めるところにより、申請書に臨床試験
の試験成績に関する資料その他の資料を添付
して申請しなければならない。この場合におい
て、・・・・当該資料は、厚生労働大臣の定める
基準に従って収集され、かつ、作成されたもの
でなければならない。
添付される資料に基づき、承認に足る品質、有効性及び
安全性を有しているかについて審査をおこなう
42
提出する資料について
●添付資料:
承認申請の時点における医学、薬学、工学等の学問水準に基
づき、倫理性、科学性及び信頼性の確保された資料により、申
請に係る医薬品/医療機器の品質、有効性及び安全性を立証
するための十分な根拠を示すもの
●添付資料概要:
添付した資料の内容を適確かつ簡潔にまとめ、また、 (構造・
原理、性能・使用目的)、効能・効果、用法・用量(操作方法使
用方法)、使用上の注意の案及びそれらの設定理由に関する
情報を盛り込んだもの
●参考資料:
添付する資料な内容を補足的に説明するためのその他資料(
引用文献など)
参照:平成17年3月31日付け薬食発第0331015号、
平成17年2月16日付け薬食発第0216002号
43
細胞・組織加工製品の
承認申請資料作成について
通常の医薬品・医療機器と資料項目が合致
しない部分などについては、なぜその項目
の資料が不要と判断したかを科学的に十分
説明することで省略できる場合があります。
(参照:平成17年3月31日付け薬食発第0331015号、平成17年2月16日付け薬食
発第0216002号)
妥当性について、PMDAの意見を求める場合は、対面
助言をご利用下さい。
44
本日の話題
„
医薬品、医療機器の規制と承認審査
„
バイオロジクス規制の概略
„
細胞・組織加工製品の規制
„
審査のポイント
„
審査における問題点
„
情報公開
45
細胞・組織加工製品の審査では
何を評価しているか?
z 安全性
z 有効性
z 品質
z 法令・通知への対応
●リスク・ベネフィット検証 ※細胞・組織加工製品はバラエティーに富むため品目の
特性に応じて個別に検証することが必要。
46
安全性の評価ポイントの例
=想定されるリスクの洗い出し
たとえば・・・
●品質の恒常性 原材料の品質、製造工程のバリデーション、
品質管理試験
●感染性物質の混入
細菌、ウイルス、プリオンのリスクコントロール
●不純物の混入
原材料、製造工程、規格によるコントロール
●副作用・不具合の可能性
臨床研究、非臨床動物試験、in vitro試験、
品質管理試験、類似品の使用実績など
47
確認申請時の非臨床安全性試験
z
z
z
z
z
z
医薬品・医療機器GLPの遵守が望ましい
やむを得ずGLPに適合しない試験を実施した場合、承認申請時
に、不適合部分及びそれが試験全体に及ぼす影響の評価を陳
述書に記載
技術的に可能で科学的に合理性のある動物試験、in vitro試験
を実施
非細胞・組織成分、工程由来不純物については、可能な限り理
化学的分析を検討
適切かつ可能であれば、動物モデルを使用
製品の特性に応じ、必要かつ適切な事項を評価
„ 培養期間を超えて培養した細胞での、目的外の形質転換
„ サイトカイン、増殖因子等の産生
„ 製品が正常な細胞・組織に及ぼす影響
„ 望ましくない免疫反応が生じる可能性
„ 外来遺伝子が導入される場合、例えばウイルスベクター使用
時のウイルス増殖、細胞増殖性、腫瘍形成・がん化
48
有効性の評価ポイントの例
=期待されるベネフィット
たとえば
z
対象疾患の妥当性
z
効果の程度
z
効果の持続期間
z
移植細胞の局在性
動物試験データ、in vitro試験データ、臨床研究の
実績、類似品の使用実績など
49
品質評価
評価段階
評価内容
規制
原材料
管理
• ドナースクリーニング
• 動物の飼育管理
• ウイルス試験等の原材料受け
入れ規格
• セルバンクの解析・管理試験等
生物由来原料
基準、生物学的
製剤基準、Q5A、
Q5B、Q5D、ヒト
動物通知、ウシ
通知 等
製造工程
• ウイルス不活化・除去工程
• 工程処理条件
• 工程管理
Q5A、 Q6B 、ヒ
ト動物通知 等
中間体・
最終製品
の試験
• ウイルス検出試験
• 規格及び試験方法
• 品質恒常性
生物学的製剤
基準、Q5A 、
Q5C、Q6B 等
原材料
製造工程
中間体
製造工程
最終製品
感染性因子混入リスク、品質恒常性の担保の確認が重要!
50
リスク・ベネフィット評価
提出された資料から、期待されるリスクとベネフィットを評価
ベネフィットの見積もり
リスクの洗い出し
情報不足の場合、追加でどのような情報が
いつ必要か?
リスクの内容、程度を評価
ベネフィットの評価項目、
評価方法は妥当か?
リスク軽減措置、情報提供等、適切
な対応が取られているか
リスク・ベネフィットのバランスから見て、リスクが受け入れ可能
確認/承認
51
本日の話題
„
医薬品、医療機器の規制と承認審査
„
バイオロジクス規制の概略
„
細胞・組織加工製品の規制
„
審査のポイント
„
審査における問題点
„
情報公開
52
53
申請資料に関する問題点
製品の特性を科学的に評価するために
必要な情報が不足
不足情報・データの請求が必要であり、
本質的な議論に入るまでに時間を要する
54
別紙
(例)確認申請
添付資料
別紙
添付資料
申請時
専門協議時
照会・回答
55
専門協議等、論点整理
までに要した時間︵日︶
照会事項数と
審査時間の関係
1200
900
600
300
0
0
200
400
600
累積照会事項数(件)
56
確認申請と承認申請の審査
●確認申請
- 目的は、細胞・組織加工医薬品等の品質及び安全性の
確保(906号通知)
- 品質の評価を中心に、期待される有効性と安全性につ
いてリスク・ベネフィットを検討
- 必要なデータの質・量は確認申請段階と承認申請段階
では異なる(ヒト自己・同種指針)
●承認申請
- 臨床試験成績を含め、品質、安全性及び有効性を評価
57
資料作成のチェックポイント 例①
-製品の臨床上の位置づけに関する情報● 対象患者は明確に示されているか
● 効能・効果は明確に示されているか
● 用法・用量や使用方法は明確か
● 既存治療法との比較等、臨床上の位置づけが明確
に示されているか
品目としての基本的情報。
確認申請段階では決まらない情報もあるが、リスク・ベネ
フィットの検討のために必要な情報。
58
資料作成のチェックポイント 例②
-製品の品質特性・品質管理に関する情報●
●
●
●
●
●
具体的な製造方法は記載されているか
使用する原材料(培地・試薬・試液・器具等)は具体的に記
載されているか
原材料の規格・品質管理方法は明確に示されているか
生物由来原料の感染性物質混入への対処は明確か
品質管理試験の設定理由、具体的な試験方法は示されて
いるか
品質管理試験の判定基準や規格値、規格値設定の根拠
は示されているか
開発段階で、有効性・安全性を担保する品質指標・品質管
理基準を設定することが困難な場合には、今後、どのような
情報を収集し、品質管理を改善するのかを示すことが必要。
59
資料作成のチェックポイント 例③
-データの背景に関する情報● 申請内容の根拠となる具体的なデータ、文献等は
明確に示されているか
● データに基づく記載なのか、推測や期待なのか
● データの背景となる試験条件は明確に示されてい
るか
● データの信頼性の裏付けは
その情報の信頼性・客観性の程度、数値の持つ意味(有
効性、安全性との関係)、評価できる範囲と限界を知るた
めに必須の情報。
60
資料の質が及ぼす影響
„
z
同じ製品でも審査時間
が大きく違う
審査時間
確認・承認の可否
たとえ有用な製品でも、
その客観的な評価が困
難。確認や承認に至ら
ない可能性も。
適切な資料を作成することは、単なる手続きや
形式上のものではなく、大変重要な意味がある
61
本日の話題
„
医薬品、医療機器の規制と承認審査
„
バイオロジクス規制の概略
„
細胞・組織加工製品の規制
„
審査のポイント
„
審査における問題点
„
情報公開
62
公開される資料
製品が承認に至る場合には
● 審査報告書
・ 確認・承認申請の審査内容
・ 資料整備状況
・ 申請者の対応
・ 詳細な審査経緯
● 承認申請資料概要
(知的所有権に係る部分はマスク)
63
PMDAの医薬品医療機器情報提供HP
●医薬品
http://www.info.pmda.go.jp/info/syounin_index.html
●医療機器
http://www.info.pmda.go.jp/nmdevices/nmd-index.html
細胞・組織加工製品については、H19.10に承認
された自家培養表皮「ジェイス」 (医療機器)の審
査報告書が公開。
64
自家培養表皮「ジェイス」
の審査報告書
„
„
„
„
提出された資料の内容(申請当初の資料、
審査の過程で追加された資料の内容)
審査ポイント(承認申請・確認申請)
機構からの照会事項及びそれに対する申
請者の対応 承認条件、製造販売後の対応等について
65
細胞・組織加工製品承認審査の実例
∼自家培養表皮ジェイスの場合∼
審査報告書・・・http://www.info.pmda.go.jp/nmdevices/r0705/340938000_21900BZZ00039000_A100_1.pdf
66
品目の概要
●患者自身の皮膚組織から分離した表皮細胞をマウス
胎児由来の3T3-J2細胞をフィーダーとして培養するこ
とにより、表皮細胞が重層化しシート状になったGreen
型自家培養表皮。
承認日:平成19年10月29日
キャリアで懸架した
自家培養表皮
一次包装
67
ジェイスの品質評価
生物由来原料に関する評価
●患者の自己皮膚組織
- 患者由来であるためドナースクリーニングは実施されない
●フィーダー細胞(マウス由来の3T3-J2株化細胞)
- セルバンクの調製と管理(アイソザイム分析、ウイルス試験、継代数確認等)、異種指
針への適合性
●その他の生物由来原料
- ウシ胎仔血清など(オーストラリア、ニュージーランド産。ウイルス否定試験、γ線照射
を行った製品を使用)
- 米国・カナダ産ウシ由来ペプトン(TSE感染性リスクを評価)
- トリプシン(ブタ膵臓由来。ウイルス否定試験、γ線照射を行った製品を使用)
- その他、ヒトインスリン(遺伝子組換え)、ヒト上皮増殖因子(遺伝子組換え)、ディスパ
ーゼ、抗生物質(菌由来)、コレラトキシン、ウシ乳由来ラクトースなど
⇒原材料規格を設定し、最終製品への残留について安全性を評価
審査報告書7∼24ページ
特定生物由来製品に指定
添付文書等において、感染症の危険性を完全に排除できないことを情報提供
68
ジェイスの規格及び試験方法等
品質管理の評価
●受入検査
- 組織運搬状況の確認
- 皮膚組織の外観の確認
●工程検査
- 3T3-J2細胞の培養フラスコ内の
細胞の形態観察
- 培養フラスコ内の細胞の形態観察
- シート剥離・洗浄作業における物性
検査
- 表皮細胞の増殖能の確認
- 表皮細胞の解凍播種時の生細胞率
の確認
●規格及び試験方法(出荷検査)
- 生菌数試験
- マイコプラズマ否定試験
- 培養表皮シートの外観検査
- エンドトキシン試験
- 培養表皮シートに関する試験
●確認検査
- マイコプラズマ否定試験
- 無菌試験
移植後に結果が判明する旨を添付文書
等で情報提供。汚染が確認された場合
には、速やかに医療機関に連絡。
審査報告書7∼24ページ 69
ジェイスの生物学的安全性評価
細胞・組織加工医薬品等に関する指針(平成12年12月26日付け医薬発第
1314号厚生省医薬安全局長通知)等に基づく検討
●核型分析
●軟寒天コロニー形成試験
●ヌードマウスを用いた造腫瘍性試験
●最終製品に残存する生物由来原料、抗生物質等の安全性
- ウシ血清
- 製造工程由来物質(抗生物質、コレラトキシンなど)
- マウスフィーダー細胞
●本品の腫瘍化等の可能性
完全には否定できないため、移植後の長期的な観察が必要
●本品に残存する物質に起因するアレルギー等が発生する可能性
完全には否定できないため、添付文書等において、情報提供・注意喚起
審査報告書19, 20, 25∼28ページ
70
ジェイスの臨床試験成績の評価①
●対象: 重症熱傷(BI※約30∼90)
※Burn Index(BI)=Ⅲ度熱傷面積(%)+1/2×Ⅱ度熱傷面積(%)
●施設数: 国内2施設
●症例数: 2症例(非盲検、非対照試験)
●本品の使用方法:
Ⅲ度熱傷創に対して同種皮膚を移植し、その2∼3週間後に
同種皮膚を剥削し、本品を移植する
●有効性評価項目:
本品移植4週間後の移植部位における表皮形成率
●安全性評価項目: 本品移植4週間後あるいは上皮化完了までの長い方の期間
に発生した有害事象
審査報告書30∼32ページ
71
ジェイスの臨床試験成績の評価②
●有効性:
適用部位における表皮形成が確認された
「極めて有効」(表皮形成率100%)
「有効」(表皮形成率50%)
1例
1例
●安全性:
本品と因果関係が強く示唆される重篤な有害事象は
認められていない
実施症例全2例の内、1例は移植62日後に死亡、生存1例は退院後の通院
を拒否
審査報告書30∼41ページ
72
ジェイスの臨床試験成績の評価③
●ジェイスの臨床上の位置づけ
- 標準治療が確立されておらず、自家植皮のための恵皮面積が確
保できない重篤な広範囲熱傷(III度∼深達性II度)を対象とする。
- 本品を新たな治療の選択肢として位置付ける。
- 本品の有効性、安全性情報が極めて限定的であるため、重症熱
傷症例治療にふさわしい医療施設、医師に使用を限定する。
●現時点で有効性・安全性について得られている情報は極めて
限られている
→製造販売後臨床試験及び使用成績調査を実施して情報収集し、
その結果を適切に情報提供することが必要。
審査報告書44∼47ページ
73
承認条件
1. 本品の適応対象を適切に治療できる医療機関において、重症熱傷症
例の治療に十分な知識・経験のある医師により、本品の有効性及び
安全性を理解した上で用いられるよう、適切な措置を講じること。
2. 治験症例が極めて限られていることから、本品の有効性及び安全性
を確認するための製造販売後臨床試験を実施し、その結果を速や
かに報告すること。
3. 治験症例が極めて限られていることから、原則として再審査期間が
終了するまでの間、全症例を対象とした使用成績調査を実施し、本
品の有効性及び安全性に関する情報を早期に収集し、その結果に
ついては定期的に報告すること。
4. 製造販売後臨床試験及び使用成績調査の結果等については、迅速
に公開するとともに、使用する医師、医療機関に対し適切に情報提
供し、患者に対する情報提供資料にも適切に反映すること。
5. 本品の製造過程にフィーダー細胞として用いられるマウス胎児由来
3T3-J2細胞にかかる異種移植に伴うリスクを踏まえ、新たな取扱い
の基準が定められるまでの間、最終製品のサンプル及び使用に関
する記録を30年間保存するなど適切な取扱いが行われるよう必要な
措置を講じること。
74
ジェイス審査の例から言えること
●細胞・組織加工製品であれば2例で承認
される。
●製品特性、臨床上の位置付け(対象疾患
の重篤性や既存の治療法と比較した有効
性・安全性等)、及び否定できない感染症等
の危険性におけるリスク/ベネフィットバラン
スにより、承認の条件は異なってくる。
75
EUにおける最近の例(ChondroCelect)①
中央審査により初めて承認された細胞・組織加工製品
Chondrocelectとは・・・
●自家軟骨細胞移植術用の製品 (開発者はベルギーのTiGenix社)
●適応は成人の膝大腿骨顆の単一症候性軟骨欠損(ICRSグレードIII∼IV)
76
EUにおける最近の例(ChondroCelect)②
Phase III 臨床試験の概要
(The AmericanJournal of Sports medicine 2008; 36(2):235-246 )
●試験:
多施設、前向き、ランダム化、比較臨床試験
●比較対照: 現時点でのファーストラインである標準的療法
●対象患者: 成人大腿骨顆部症候性軟骨欠損患者
●症例数: 118名(ChondroCelect群 57、標準的療法群 61)
●施設数:
13施設
●評価項目: 1年後の生検組織像と臨床症状の改善
●結果:
有効性で標準療法に優越、安全性は同等
・・・・フォローアップは移植後5年間(TiGenix社プレスリリースより)
77
開発における主な対面助言の位置
細胞組織利用製品資料整備相談
非臨床試験 確 審査
臨床試験(治験)
治 Phase I
確
認
験
Phase II
認
申
届
Phase III
請
治験相談
(医薬品)
・第I相試験開始前相談
・前期第II相試験開始前相談
製造販売後
承 審査
承
認
認
申
Phase IV
請
申請前相談
(医薬品)
・再評価・再審査
臨床試験計画相談
・再評価・再審査
臨床試験終了時相談
・後期第II相試験開始前相談
・第II相試験終了後相談
(医療機器)
・探索的治験相談
・治験相談
安全性、品質、性能に係る相談
相談区分についての詳細は平成
21年3月31日付け薬機発第
0331004号をご参照下さい。
医薬品事前評価相談
78
対面助言利用の例①
非臨床試験 確 審査
臨床試験(治験)
治 Phase I
認
確
験
Phase II
申
認
届
Phase III
請
製造販売後
承 審査
認
承
申
認
Phase IV
請
生物系安全性確認・品質相談
開発前相談
相談内容の定義
相談内容の定義
既承認品目及び関連製品の市場調査、文
医療機器及び使用した原材料の生物由来原
献検索等による情報を基に申請に際し求
料基準への適合性や、ウイルス・プリオン等、
められる資料の概念的な要求事項につい
感染性物質に対する安全性及び品質に関し相
て、指導及び助言を行うもの。
談を受け指導及び助言を行うもの。
例えば・・・
・ウイルス確認試験の妥当性
79
対面助言利用の例②
非臨床試験 確 審査
臨床試験(治験)
治 Phase I
認
確
験
Phase II
申
認
届
Phase III
請
細胞・組織利用製品資料整備相談
製造販売後
承 審査
認
承
申
認
Phase IV
請
治験相談
相談内容の定義
相談内容の定義
確認申請、治験計画の届出又は承認申請
相談申込までに得られている品質、安全性試
等に際し、添付すべき資料の作成を円滑に
験、外国における使用状況及び類似医療機器
行うことができるよう指導及び助言を行うも
の情報に基づき、ピボタル試験の試験デザイ
の。
ン、症例数の妥当性等について、初めて相談
例えば・・・
を受け指導及び助言を行うもの。
・申請資料の充足性に係る形式的なチェック
例えば・・・
・各試験項目における試験条件、試験結果
・適応、対象疾患の選択
等の記載の充足性
・ピボタル試験における比較対象、エンドポイン
トの設定、結果の統計処理方法
80
開発から普及までのプロセス(医療機器)
萌芽
萌芽
基礎研究
基礎研究
有効性、安全性、
有効性、安全性、
非臨床試験
設計・開発
非臨床試験
設計・開発
臨床研究
臨床研究
治験
治験
薬事承認審査
薬事承認審査
保
保
険
険
収
収
載
載
保
保
険
険
収
収
載
載
開発ガイドライン
(経済産業省)
=
審査ガイドライン
(厚生労働省)
2省が連携した医療機器ガイドラインの策定は有益
2省が連携した医療機器ガイドラインの策定は有益
開発者に与えるべき情報
〇開発および承認申請に必要な情報 安全性、性能試験、安定性試験、
非臨床試験、臨床試験、などの内容
審査官に与えるべき情報
〇審査を実施するために必要な情報
安全性、性能試験、安定性試験、
非臨床試験、臨床試験、などの内容
審査基準に基づく開発・試験の実施
審査品目の事前把握、基準に基づく審査
(審査内容が規定されることに伴う開発・試験の効率化)
(機器の内容、審査基準が規定されることに伴う迅速化)
81
82
83
「平成22年度 再生医療/細胞・組織加工製品実用化のための薬事講習会」
1.日時
平成22年6月28日(月)13:30∼17:40
2.会場
医薬品医療機器総合機構会議室
3.対象
再生医療/細胞・組織加工製品について、基礎的研究の段階を含め薬事法に
基づく、開発、実用化に関心のある方。
申込み〆切
平成22年6月21日(月)
http://www.pmda.go.jp/event/20100413event.html
84
Thank you for your attention.
ご静聴ありがとうございました
85
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