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Kobe University Repository : Kernel Title タクラマカン砂漠西域南道地域における塩分の移動と集 積 Author(s) 山下, 恭 / 山縣, 真矢 Citation 兵庫地理,37:43-57 Issue date 1992-03 Resource Type Journal Article / 学術雑誌論文 Resource Version publisher DOI URL http://www.lib.kobe-u.ac.jp/handle_kernel/90002379 Create Date: 2017-03-31 タクラマカン砂漠西城南道地域における 塩分の移動と集積 山下 恭・山勝、真矢 ついて中国側の承認と理解を得て、現地に臨んだ。 ① アンケート調査 ② 塩に関する道具類、製塩技術に関する調査 ③ 岩塩等のサンプルの採集及び土壌(塩土) の塩分濃度を中心とした調査 ④ 古老、塩業従事者からの聞きとり調査 ⑤ 塩の交易、流通に関する調査 しかし現地の状況は日本国内で予想していたよ りはるかに厳しく、必ずしも計画どおり調査が実 施されたとはいいがたし、。調査対象地域の新彊・ ウイグル自治区は未解放の地域が多く調査目的で の集会・家庭訪問には治安上の理由から厳しい制 限がついた。こうした中で前の 5項目の調査のう ち③の項目は比較的調査の目的を達したと思われ るので、本調査報告は主にこの点に絞って論じた . j ! ・ ・ ・ ・u. , la-----p ・ . . .・ ・ ・ t l・ 句 ん ・ -... ・ . ・ . . γ0 l e .?"in r u・J・h. . •.••• .•.• 1 } •• -j i .. j ••••••• h N o . ④ 0 991 .5 . 3 ) N o . ⑤⑥ 0 991 . 3 . 2 6 ) N o⑦(19 9 0. 12 . 31 ) 第 1図 塩事情調査ルー卜と塩サンフ。 ル採集地点(① ⑦) -43- 1.中国の塩資源と新彊・ウイグル自治区 塩化ナトリウムの含有率も高く品質もよいとされ (1)中国塩の種類と資源、の分布 ている O 海から塩を生産する他に生産手段をもたなかっ こうした塩資源の分布の点から考えるならば、 た日本と違い、中国は塩資源に恵まれている o そ 新彊・ウイグル自治区は湖塩と岩塩を産する地域 の資源、の存在形態も様々で、その存在形態と製塩 として特徴づけられる o ( 2 )新彊・ウイクール自治区の概要 方法から海塩、湖塩(池塩)、井鉱塩、岩塩など に分類できる O その分布については中国各地に及 九州大学を中心とした研究者のグルーフ。が近年 び各産塩地で状況に応じて塩が生産されている。 新彊・ウイクソレ自治区を研究対象とし、民族学、 海塩は海水を原料にして生産される塩の総称で 医学、地理学などの多方面から調査を実施し、そ の調査報告を刊行した。 あるが、中国の沿岸部、特に湖海湾から海南島対 2) それによれば、自治区 岸部にかけての沿岸地域が大生産地となっている。 の人口約 1 4 2 6万人、首都ウルムチは人口約 1 2 3万 中国産の塩のうち大部分はこの地域からの海塩が 占めている。 1) ( 第 2図) 人となっている O 民族の構成はウイクツレ族が約6 6 7 万人で人口比4 6 . 7パーセント、漢族が約 5 4 7万人 中国側の資料によれば、湖塩はいわゆる塩湖か で人口比3 8.4パーセントとなっており、ウイグル ら生産される塩で中国大陸内陸部の山西、内蒙古、 族と漢族を合わせて自治区内の人口の 85%以上を 険西、甘粛、青海、寧夏、新彊、西蔵などの省、 占めている O 残りはカザフ族、回族、モンゴ、ル族、 キルギス族、シボ族、タジク族、ウズベク族、満 自治区に多く産する。 井鉱塩は井塩と鉱塩に分けられる o 井塩は井戸 州族などで自治区内では少数民族となっている O を堀り、地下傾水(塩分濃度の濃い水)を汲み上 (数字はいずれも 1 9 8 8年現在のものである。)これ げて製塩するものである。この井鉱塩は中国西南 らの自治区内の多くの民族はイスラム教徒であ る 。 3) 部や中南部地域の四川、雲南、湖南、湖北、江西 ウイクボル族は中国全土のウイグル人の 99.9%が などの省に多く産する o この自治区に集中しており、他の地域ではウイグ 岩塩は青海、新彊などの省、自治区に多く産し ~ かー--0 。 塩生産地帯 今回の調査地域 第 2図 中国における塩資源の分布と塩産地 9 年より作成 富士ジャーナル中国経済研究部編『最新中国鉱工業分布図』富士ジャーナル社,昭和 4 4 4 ル族はみられないといってもよし」漢族は 1 9 5 0年 るものの人口は分散し開発も進んでいない地域と 代から 1 9 7 0年代にかけて、中国政府の奨励もあり、 いえる。今回の調査対象地域は自治区のなかでも 他の地域から流入してきた人が多くその大部分が 移民と考えてよい。 4) 南部地域にあたり、その多くが未開発の砂漠地域 であった。 産業の中心は自治区の北部地方で特に天山山脈 1 1 . タクラマ力ン砂漠の塩事情 の周辺部に発達している O 農牧業については、天 山山脈の南側と北側では異なった状況を呈する O (1)調査地域の概要と特性 南側の地域がオアシス農業中心で、小麦、米、綿花、 中国の砂漠地域は主として東経 7 5度---1 2 5度、 瓜、果実、養蚕などが主として栽培・生産されて 北緯3 5度 5 0 度の間に分布している。それらの砂 いるのに対して、北側の地域は牧畜中心で、乳、 漠は新彊・ウイク、、 ル自治区、青海省、甘粛省、寧 羊毛、皮革などを主として産する。鉱工業につい 夏・回族自治区、内蒙古自治区、映西省、遼寧省、 ては、石炭、石油、毛織物、絹織物、皮革、セメ ント、塩(岩塩)に関する諸鉱工業が発達してい 吉林省、黒龍江省の 9つの省・自治区内に存在す 第 3図) る 。 5) ( るo こうした人口や産業の中心はウルムチ、コル このうち新彊・ウイクツレ自治区内に分布する砂 ラなどの都市部へ集中し、南部地域のタリム盆地、 漠の面積は全中国の砂漠面積の約60%を占めてい タクラマカン砂漠の周辺部は、オアシスは点在す る。この自治区内の南部に広がるタクラマカン砂 あ O公盟 』ーー園圃.a(k判 ぶ当瓜怯地 1.塔克挫再干沙漠 2 . 古カミ班通古特沙漠 3 . 庫蝿塔格沙漠 5 .巴丹吉林沙漠 6 . 腿格里沙漠 7 .烏竺布和沙漠 9 . 毛島索沙地 1 0 . 小勝格里沙地 第 3図 4 . 柴迭木盆地的沙漠 8 . 庫布芥沙漠 1 2 . 呼伶貝か沙地 1 1.科匁~f.\沙地 中国の砂漠分布図 「中国沙漠概論J(中国科学院主主州泳川涼沙漠研究所沙漠研究室編, 科学出版社、 第 沙 漠 名 1表 称 1 9 7 4年) 1頁、図 1より転載 中国における主要砂漠の面積(単位:k r A ) 面 沙 釈 3 2 . 7 4 漠 名 称 面 釈 科かめ沙地 2 . 4 6 古カミ班通古特沙漠 4 . 7 3 小腿格里沙地 2 . 3 3 巴丹吉林沙漠 4 . 7 1 庫蹄述格沙漠 1 .9 5 腸格里沙漠 3 . 6 7 Q,主布和沙漠 3 1 .0 毛島家沙地 2 . 5 0 柴述木盆地的沙漠与民怯地 3 . 3 1 塔克起用干沙漠 「中国沙漠概論 J2頁、表 2より転載 -45 漠は中国最大の砂漠で面積は 32 万k~ を越える大砂 これらの河川は砂漠に入ると間もなく水分が蒸発 漠となっている o6)(第 1表) しその先端は澗れ川になる。今回の調査地点の l 中国の砂漠地域の年降水量はほとんどの地域で つの且末付近はちょうど昆衛山脈に源を発する且 4 0 0 r n r n 以下で、あるが、(タクラマカン砂漠の中心部 では 1 0 r n r n 以下の降水量で、ある。)気温の変化も大 0 5 0度、日較差 きく、平均して一年の温度差は 3 も1 0 2 0 度、最大で 3 0 度にもなる o 砂漠の地表面 の温度は夏の昼間で 6 0 8 0度、夜間には 1 0度以下 末川が流れ、その支流とともに澗れ川となる地点 であった。こうした地域では河川によって塩分が 移動し、集積する様々な様子を観察するには絶好 の場所であった。 になる o7) ( 2 ) 砂漠での塩分の移動と集積 こうした砂漠の一般的な共通点の他に各々の砂 漠の特徴がある。タクラマカン砂漠の場合まず流 村上正祥は砂漠地域での塩分の移動と集積につ いて次のように述べている O 0m以上の高さの 動砂丘が大部分を占めている。 5 -2k r n 、長さ 5 -1 5 k r n、 砂丘が大部分を占め、幅 1- 「チベット高原の北側、昆嶺山脈と天山山脈に はさまれたタリム盆地はタクラマカン砂漠である O 最長3 0 k r nの砂丘が連なる o この砂漠深くに流れ込 周囲の山脈から雪解け水を集めて盆地へ流入する む河川もあり砂漠内部には河谷地帯も存在する o 川は高温乾燥の気候のためには水は蒸発し、やが 和田河などは砂漠の奥深く流れこみ砂漠の中へ 1 0 0 てタクラマカン砂漠に消える o (中略)このよう 2 0 0 k r n入ったところで徐々に消失する 08) こう な河川の水は、土砂中の塩分を溶かしこんで流れ した河川の沿岸には多少の植物もみられる O 今回 チャ Yレヲリクチェルチェン てゆき、水分は大気中に蒸発するが塩分は河川の ホータン の調査地域は砂漠の南端沿い(若売-且末-和田一 末端に蓄積される O このようにして、末端の湖は 略什へと至る地域)で内陸部に比較すれば巨大砂 塩湖となり河川が砂漠中に消えるあたりは塩の原 丘の少ない比較的平坦な砂漠地域といえる O 昆嶺 第 5図)・ 野、あるいは塩士の原野となる o ( 山脈の山麓に沿う地域であることから、多くの河 (中略)塩分を含んだ土地と乾燥した気候という 川が砂漠地域に流入するところでもある。(第 4図) 二つの条件があれば、塩分は水によって移動集積 印刷沙釜匹目的沙丘 E 5 3 2 5 2 . 山 地 抄登 回 週 給 伏 沙 丘 タクラマカン砂漠の砂丘形態分布図 -46 震罰笈合型沙丘縫 回目 縫 的丘丘山叫 ι比 一 抄 沙 縫 的 高 彼型形丘中及 仲合月沙漠地 延笈新及沙山 脇陛誌な一¥-、一 腰紐亡、二、一 第 4図 協2 2 「中国沙漠概論 J2 6 : 頁、図 1 5より転載 され、塩分の多い所ができる o 塩分を多く含んだ 乾燥気候 (太古は海) 土砂を塩土といい、塩土あるいは塩の結品さえ混 じえて広がる原野を塩原野あるいは塩砂漠という。 (中略)塩土の低地で、出水期には塩水の沼沢と 、二ー 尻なし川 三~\澗れ)1 1 (ワジ) J¥ 4 草原 ー山シム~温曾b ご線ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー . ー ー 湿土 ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー なり、水が干上れば塩分の多い湿地となるような ー ー ー ・ . ー ー 所を塩性湿地という o また塩生産の方では、この ような所をプラヤと称する。…(後略)J 9) ー . . . ー ー . ー . . ー ー ー ー ー . ー ー ー ~J ー ー ー . ー ー 真は村上正祥の記述を実証した形となった。 第 6図は酒れ川(ワジ)の川底の写真であるが、 ー ー . ー一 ー z 今回調査の過程で、数多くの“表土に塩結晶が 付着した状態"の地表を撮影したが、これらの写 塩分が集積され「塩の川」となった状態を示して ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー いる o 出水期には雪解け水が流れこみ塩水の川と なるところである。第 7図は塩湖(塩池)の周辺 『 部分にみられる塩原の状態を示すものである O 中 国内陸部に散在する巨大な塩湖からは無尽蔵の湖 第 5図水による塩分移動と集積 c r 村上正祥 「 塩の科学 C i l l ) J そるえんす」第l(}号、 財団法人ソルト・サイエンス研究財団、平成 3年) 塩が生産されるが、この写真はそのことを想像さ せるのに十分である。第 8図は塩性湿地を示して いる。出水期には沼や沢となるが、干し上がると P. 3より転載。 第 6図 且 末 よ り 西 へ 約 1 2 0 k m付近で見かけた 第 8図 塩 性 湿 地 ( 19 91 .3. 3 0撮影) 塩分を含んだ沼、沢が干しあがると、 このよ 「塩のJlI J( 19 91 .3 . 3 0撮影) うな地表が露出する 第 7図 塩湖(塩池)のふちで見かけた「塩原」。 且末より西へ約 1 2 0 k mの地点 第 9図 塩 原 野 ( 19 91 .3. 3 0撮影) 白っぽ く見えるのはすべて塩である 91 .3. 3 0撮影) ( 19 - 47- 塩結晶が地表に付着して真白になる。水のあった 壌の塩分はどの程度のものであろうか。これまで 位置がよくわかる。第 9図は見渡す限り塩の浮き 西域南道地域での塩分濃度の測定はなされておら 出た状態の地表が続く。いわゆる塩原野と考えて ず非常に興味をもって測定を行った。測定は地表 よし、。このような第 6図 第 9図のような風景は 調査中いたるところで見かけられた。 の土壌をサンフ。ル採集し、その日の野営地で測定 機器を使用し測定した。(土壌の日本への持込は 一般的には禁止されているので、現地での測定と ( 3 ) 砂漠地域での塩分濃度 なった。土壌サンプルは測定後遺棄。)測定にあ 河川による塩分の移動・集積がタクラマカン砂 たった隊員は、日本で専門家から測定方法につい 漠地域で行われていることは実証できたが、砂漠 て講習を受け、何度も測定実験を繰り返し経験済 自体の土壌の塩分濃度を測定することも重要だと みで、現地での測定結果は信用にたるものと考え 思われる。ゴビ砂漠からタクラマカン砂漠にかけ ている o ては太古が海であったところで、たび重なる地殻 測定値については、サンプルの状況、調査地点 変動で海は陸封され、その後強い乾燥気象により とともに第 2表にまとめた。その測定値の結果か ら次のことがいえる。 11) 水分が蒸発し海底一帯に塩結晶が残され、その一 部は地中に埋没し岩塩鉱を形成したと考えられ る 。 10) 塩湖が数多く存在しかっ岩塩を産するのはその ためである o 村上はこうした塩の産出状況を図式 おり、この地域の土壌はアルカリ土壌といえ る 。 12) (土壌サンフ。/レの平均値は PH9.18) [2]塩分濃度については測定地域によって、ま たサンフ。ル採集地点によって相違がある o 一般的 第1 0図) 化している o ( 村上の塩の産出過程の指摘は非常に興味深いも のであるが、こうした変動が生じたその地域の土 Z多 玄 子 一 一 ユ さ ラ シ [1]土壌は各調査地点ともアルカリ性を示して 海~ には非常に高い濃度を示しているといえよう O (海水の塩分濃度は一般的に 3--4%程度である から 10%を越える塩分濃度値は非常に高い値だと いえる o ちなみに日本の入浜塩田で採輔されてい た頗水の塩分濃度はふつう 18%--19%程度であっ た。) 〔陸封〕 [3]サンフ。ル番号③、⑧、⑨の土壌はいずれも オアシスの農地の砂であるが、興味ある値を示し o . ③の塩分濃度は 0 %を示しており、こ ている o N の農地は塩害の心配はなく農地として使用可能で o . ⑧と N o.⑨の調査場所は同一で、同じ土壌 ある o N o . ⑧のサンフ。ルは表面のもの と考えてよい。 ただ N で亙〉弐中吟~五戸 『司理問-岩塩圃lliIV 〆 o.⑨のサンフ。ルは表面下約 2 0 c mの土中から採 で 、 N o.⑧の測定値が高く、 N o . ⑨の 収したものである o N 測定値が低いのは地中の塩分が毛細管現象で水分 とともに吸いあげられ地表面に集積した結果生じ o . ⑧ 、 N o . ⑨の土壌のサンフ。ルを たものであろう o N 〔地殻変動〕 採収した水田は現在は使用されていないが、廃田 後塩分濃度が上昇したのか、塩分濃度が上昇し塩 害が広がったために廃由化したのかはわからな l)0 しかしこの地域の水田(農地)を維持するには、 何らかの方法で耕作地の土壌中の塩分を排除する 第1 0図 塩 の 産 出 村上正祥「塩の科学 C n) c rそ る え ん す 』 第 10号。 o . ③のオア 方法がとらなければならないだろう o N 財団法人ソルト・サイエンス研究財団、平成 3年) シス費地の場合は、塩分濃度を下げるために何ら P.5,図 -2より転載 かの対策を講じているのではなし、かと考えられる。 -48- 第 2表 塩 分 濃度の測定結果 N o . 月日 P.H サンプルの状況 調査場所 塩分濃度 導電率 備 考 黒色のゴビ。 砂 を 堀 る ① 3 .1 3 若尭付近 9 . 0 1 3. 2% 北 緯3 9 0 2東 経8 8 1 0 と白い粉のようなもの が出て くる。と、こを堀っ 80 4 8-5 4 5 北 緯3 砂に白いものが浮いて 細かい乾いた砂 0 不能 0 ても出でくる。 ② 3 .1 4 東 経8 70 4 0-5 2 1 ③ 3 .1 5 細かい、湿 ったオア 80 0 1東経 8 70 0 3 シスの農地 の砂 北 緯3 細かい乾いた砂 8 . 6 1 3 . 2 % 9 . 2 0.0% 不能 いる。なめてもからく はない。 瓦石峡の農地 3 3 0 北 緯3 8 0 9 0 ④ 3 .1 8 東 経8 6 2 8 0 細かい乾いた川 の砂 こげ茶色の農地。もの を植えている育諸赤はなし b アルキン山脈か らの雪 8. 9 0. 11% 1 5 8 どけ水が流れる河床。 水にぬれている所では な し 、 。 7 4 7 北 緯3 0 粉状の乾いた砂 ⑤ 3 .2 2 東 経8 5 5 9 ⑥ 3 .2 2 東 経8 5 5 7-9 3 7 0 砂丘の砂を採集黄い (砂丘の砂) 8 . 3 0.0% 9 . 2 8.25% 5 1 70 4 0-9 8 9 北 緯3 砂。白 いものは見 られ な し 、 。 河に白い水が流れてい 0 細かい乾いた川の砂 測定 不 能 た。その両端に白いも のが浮いていた。 そ れ を採集。 野営場所付近北緯 3 8 0 ⑦ 3 .2 5 0 東経8 5 3 3チェノレチェ 0 8 Iがあり黄くにごっ ( J 3 . 未付山) ンJI た水が流れている。河 一面に白いものが浮 L、 9 . 6 ふつうの砂の大きさ 1 4.3% 未視J I 定 乾いた 川 の砂 ている。かなり多くの 水が流れてい る 。 沿いに白いものが一面 に浮いている。 野営場所付近 (同上の ⑧ 3 .2 5 緯 度 ・経度)耕地と恩 われる場所。白いもの が浮いている。表面を ふつうの砂粒で 乾いたオアシスの良 採集。(昔、水田とし 地 の砂 アルカリの物質である 9 . 6 1 9 . 8 % 未測定 と聞いた。白いものは 結晶していると思えな し 、 。 て使用していたが現在 は使用していないとの こと) (向上の緯度 ・経度) ⑨ 3 .2 5 (同じ場所、 表 面 か ら ふつうの砂、 湿った オアシスの農地 の砂 9 . 6 0.33% 1 1 7 . 0 向上 0 c m堀った土を採集) 約2 1 6付 近 里標 6 全長お よそ 5k r 雨量こ旦つ チェル チェンの中心地から 1 0 ⑪ 3 .2 7 てかなりの湿地帯が続 k m程離れたところ 。 葦 科の植物と思われるも く 。 白いものも乾いた 9. 4 湿地帯の砂 1 9.8% 未調J I 定 のが生えている。湿地 いている 。 葦科の植物 0 k m以上におよんで は1 帯 広がっている 。 固ま った砂の裏に白い 野営地北緯3 80 0 2東経 0 8 4 4 1葦の仲間 と恩わ ⑪ 3 .2 9 ところでは、かなり浮 ものがこびりつ いてい れる植物が茂っている。 砂漠 の砂 砂は細かい。採集地点 細かい乾いた砂 9 . 5 51 .2% 未 加J I 定 る。葦の仲間枯葉樹な ど様々な植物が茂 って はかなり堅く固まって いる所をくだいた。 いる 。 ネズミなどの小 動物が生息している 。 3 /2 9の 野 営 地 か ら 6 ⑫ 3 .3 0 加1 程西へ行 ったところ。 沼地 の細 かい 沼の水辺の周辺は白く 50m 水分を含んだ砂 沼がある 。 直 径 1 9 . 2 位西側 へ細長く 川 のよ うに水が流れている 。 4 9- 1 .65% 未 測定 結晶している模様 事実アンケート調査によれば、塩害に対する対策 について「排水法、濯水排師法」と回答した漢族 チ L )レチ L ( 4 )岩塩サンフ。ルの採集とその分析結果 新彊・ウイクール自治区が岩塩を多く産すること ン の人がいた。(J3.末でのアンケート調査より)た さらに塩湖が散在し湖塩も産することはすでに述 だその「排水法、濯水排師法」については詳しく 1 9 9 0年 1 2 べた。今回の本調査と事前の予備調査 ( は不明である o 月2 7日1 9 9 1年 1月 7日)で何種類かの塩サンプ [4J サンプル番号⑩⑪の採収場所は、いわゆる ルを手に入れることができたが、幸い専門の研究 塩性湿地帯である o 出水期には葦科に属する植物 機関に分析を依頼することができた。ここでは塩 が生える沼や沢が出現する場所である。測定当時 サンフ。ルを手に入れた時の状況と塩サンプルの分 は乾燥気象にあり水分はみられなかった。こうし 析結果について報告する O た塩性湿地では塩分の集積がすすみ易く高濃度の ( a )塩サンプル採集 o . ⑩では 1 9 . 8 %、 N o .⑪ 塩分が予測されたが、事実 N 今回の調査と予備調査で合計 7個の塩サンプル では 5 1.2%と最高値の塩分濃度を示している。砂 を日本に持ち帰った。その 7個のサンフ。ルを手に 漠の中での塩分の集積を数値で表示したものとし 入れた地点は図 lの① て注目したし、。 • N o . ①(19 91 . 4 . 21)和田郊外 (北緯 3 7度 0 8 分,東経 7 9度 3 0分 ) の 野 営 地 か ら 0キロ程のところで岩塩(後日の分析結果か 東へ 1 [5J導電率 13) に つ い て は 、 未 測 定 の サ ン プ ル も多く、ここではコメントは差し控えたい。 ⑦の地点である o 土壌サンフ。ルを 1 2箇所から採集して測定を行った らはむしろ塩土とよぷ方がよしウを積んで運搬中 が、この測定値からシルクロードの西域南道地域、 のロパ車を見かけ(第 1 1図)、その一部を分けて あるいはタクラマカン砂漠全地域を推しはかるに もらった。ロパ車は西のほうから和田市に向けて は余りにも調査地域が限定されていること、さら 進んでいるようであったが、岩塩の発掘場所がど にサンプル数が少ないことから無理であろう O こにあるかは不明。ただロパ車での運搬であるこ しかし当初予測されたごとく砂漠地域での塩分 濃度は一般の地域(人々がふつう生活している地 域)に較べて高い値を示すことは結論づけてよい のではなかろうか。このことは逆にタクラマカン 地方が太古は海であったことを証明するものでは ないだろうか。なお調査地点の位置についてであ . P . S視J I定法 1 4 ) (~、わゆる人工衛星を利用 るが、 G した位置測定法)により判明した場所の緯度、経 度を示した。 1図 第1 和田付近で見かけたロパ車によるウイ 2図 第1 塩を計り売りする漢族の商庖主(アン ク、、ル人の岩塩(塩サンフ。ル N o . ①の塩)の運 ケート③の人物)この塩はヨード分添加の 搬。(右上のラクダ隊は本隊の一部。) (和 塩であった。塩サンフ。ル N o . ⑤⑥ 田郊外にて 1 9 91 .4. 2 1撮影) ( 19 91 .3. 2 6 且末にて撮影) -50- とから和田市の近郊ではな L、かと推定される o ロ 商庖で購入、精製塩で計り売りもしていた。(第 1 パ車の運転主はウイグル族の人で、ウイグル語の 2 図)商庖主は漢族の人、どこで精製されたのか 壁が聞きとりの障害となった。 不明。ただ且末の北約 5 0キロの地点のタタランと いう場所に塩湖があるということを聞いた。ウル • N o.②(19 91 .4. 2 2 ) 和田郊外 ムチ産か現地産のどちらかであろう O (北緯 3 7度6 8分,東経 7 9度3 0分)の野営地から • N o .⑦(19 9 0 . 1 2 . 31)尉型県尉型 西へ 6""7キロ程のところに岩塩の採掘場があり、 そこを訪れた隊員が手に入れる o ここ 2""3日で 緯度・経度は不明。庫爾勅より若莞へ向かう途 岩塩を積んだロパ車を多く見かけた。この周辺に 中の尉型という街で手に入れる。この街には塩の 採掘場が何ケ所かあるのだろう O 加工工場があり、トラックで工場へ搬入されよう • N o.③(19 91 .4. 2 8 ) としていた塩を分けてもらう。尉型から数 1 0キロ (北緯3 7度4 7分,東経 7 7度40分)の野営地から のところに塩湖があり、そこで産したものをトラッ 0キロ程の地点に中国隊(本隊は日中合同の 東に 1 クで搬入するとのことであった。塩は天日製塩さ 探検隊)の人から岩塩の採掘場があると教えられ れた湖塩で、加工工場で用途別に加工・精製され た。採掘場は道路のすぐ側で、気付かずに通り過 るものと思われる。この付近には塩湖が多く、湖 ぎてしまうほどのものであった。結構大きな塊が 岸に広がる地表面に多数の穴をあけて掘り下げる ゴロゴロしているが、深く掘り下げている様子も と塩水が自然とわき出し、数日天日にさらすと自 なく、地表面に比較的近いところに岩塩層(塩土 3図加工工場へ搬入された湖塩(尉型県、 第1 層といった方が正確かもしれない)があるようで 尉型、 1 9 9 0 . 1 2 . 31 ) (塩サンフ。 ルN o . ⑦) ある O また、辺りにわずかではあったがロパ車の ロバ餌と思われる藁が散らばっていた。中国隊の 団長南氏が交渉し、分けていただいた岩塩を譲っ てもらった。 • N o.④(19 91 .5.3) (北緯 3 8度 2 9分,東経 7 6度4 6分)の野営地付近 で岩塩を積んだロパ車を 見つけ、その一部を分け てもらう O • N o.昼⑤⑥(19 9 1 .3. 2 6 ) 且末 (北緯 3 8度0 8分,東経 8 5度 3 3分)の且末の町の 業究分 州刑判 (単位:%) 産再ム に創ト 加総研 日海第 タクラマカン砂漠の塩の化学成分分析結果 本水 4 第 3表 l.成分 試料名 N . o ① N o③ -1 N . o ③ -2 N o⑤ N . o ⑦ CI 3 1 .7 6 2 41 .6 2 1 2 2 .0 3 1 5 9 . 0 6 6 5 9. 1 8 4 Ca Mg SOd K 3. 8 6 8 2 . 8 64 0. 1 4 2 0. 0 5 8 0. 0 5 2 0. 0 0 4 0 . 0 1 0 0 . 0 04 0. 1 1 6 0. 0 7 7 1 6 . 3 5 3 1 0 . 5 7 0 0 . 5 74 1 . 2 6 7 0 .4 7 0 0 . 1 8 0 0. 1 1 6 0. 0 54 0. 0 8 6 0. 0 1 4 I .M CaS04 Na ] 2 3. 8 9 1 2 8. 6 8 8 1 4 . 3 6 1 3 8. 5 84 I 2 . 組成 試料名 N . o ① N . o ③ -1 N o . ③ -2 N o . ⑤ N . o ⑦ H2 0 乾 燥減量 1 . 49 6 0 . 9 75 0 . 2 3 7 0 . 3 7 3 1 . 1 4 3 加熱減量 ( 2. 1 14 ) 2 1. 8 9 8 0. 9 14 ) 1 4. 17 7 0. 8 9 2) 6 0. 6 8 1 ( 0 . 6 1 7) 0. 1 6 7 0. 6 34 ) 0 .3 7 3 1 3 . 1 3 9 9 . 7 2 9 0 . 4 8 2 0 . 1 9 7 0 . 1 7 7 MgS04 Na2so4 0 . 0 2 0 0 . 0 5 0 0 . 0 2 0 0. 5 7 4 0 . 3 8 1 1 0 . 4 4 8 5. 42 0 0 . 3 2 2 0. 9 90 0 . 0 6 1 KCI NaCI ToTal 0 . 3 4 3 0. 2 2 1 0. 1 0 3 0. 1 6 4 0 .0 2 7 5 2 . 0 9 2 6 8. 43 9 3 6 . 2 3 7 9 7 . 2 4 2 9 7 . 5 4 4 9 9 . 4 3 6 9 9 .0 1 1 9 8. 0 8 2 9 9. 7 0 7 9 9. 7 0 6 然結晶した塩ができるとのことで資源は無限にあ るほどだという o (尉型の加工工場へ湖塩を運ん だトラック運転手談。および尉型南方数十キロに ある幸位という村で出会った元塩業労働者数人の 話) ( b )塩サンフ。ルの分析結果 持ち帰った塩のサンプルのうち形状、産出地の 異なる N o . ①、③、⑤、⑦の塩を専門の研究所に分 析依頼した。第 3表はその分析結果を示している O N o .①は和田郊外のロパ車積載の塩、 N o .③は岩塩採 チェルチェン 掘場から採集のもの、 N o .⑤は且末の商庖で、買い求 o . ⑦は尉型の加工工場へはこびこま めた精製塩、 N o 0 . 5 哩 A.・降、 調圃・F も 汽 都 "a;叱治 且末の商庖で購入した塩(サンフ。 ルN O . I ⑤) 第1 4図 れた湖塩である。組成の点から見るならば、塩化 の結晶写真。(日本たばこ産業(樹海水総合 o . ⑤と N o . ⑦は純度 ナトリウムの含有率97%以上の N 研究所第 4研チーム撮影) .M.は不溶解分を示してい の高いものといえる o I るが、この点でも他のサンフ。ルに比べて少ないの がわかる O 一般的にI.M.は水に溶けない土の成分 o .①、 N o .③のサン (石英など)を示しているが、 N プルは土や砂の成分をかなり含んでいるといえる O 特に N o . ③ -2のI.M .は60%以上を示し、岩塩とい o . ① 、 N o . うよりは塩土というべきものであろう。 N ③の塩はどちらもロパ車で運搬されていたことな どから現地の需要を局所的に満たすものではない かと思われる O 調査最終地点の略什のバザールで お はこうした土塊状の岩塩が売られていたことか ら 、 15)個人として家庭用に買い求めるウイグル族 第1 5図 尉型県尉型の加工工場へ搬入された湖塩 の結晶写真。(日本たばこ(械産業海水総合 の人々がいることも事実である。 研究所第 4研チーム撮影) 塩サンフ。ル N o .⑤の結品写真(第 1 4図)と N o .⑦の 5図)を比較してみると、 N o . ⑦の結 結晶写真(第 1 はよく使用するという o 大きなオアシスや街に行 晶の方が大きいことがわかる O ふつう塩の結晶は けば精製塩が手に入るが、値段も高く現金収入の 時間をかけて徐々に結晶化する方が大きなものが 少ないウイグル人にとっては、わざわざ遠くへ出 o . ⑦の塩は湖岸で、天日製塩された湖塩 できるが、 N かけて行って塩を購入することはないという O であることを裏付けている O 即ち太陽熱で自然に 岩塩は不純物が多くそのままでは使用できない o . ⑤の塩 水分が蒸発し、自然結晶した塩である。 N 0 c mほどの容器に入れ水 ので、細かくくだき直径2 は岩塩(塩鉱)を水で、溶かし、できた献水を煮つ を注いだ後、不溶解分が底に沈殿するのを待って めて精製した塩かあるいは天日製塩したものでは 上澄み液を料理などに直接使用すると語ってくれ ないかと推定される o た。岩塩は家の近くに産出場所があり、そこで手 ( 5 )家庭用としての岩塩使用例 7図、第 1 8図) 第 1 7図の に入れるとし寸。(第 1 調査中に土塊状の岩塩を家庭用として使用して 岩塩については、日本に持ち帰ることができず化 チ ~ I~ チェ ン いる人々に会い話を聞くことができた。且末より 学成分の分析ができなかったが、その形状、外観 百数十キロ離れたところに住むウイクツレ族と漢族 から塩サンフ。 ルの N o . ① 、 N o . ③と同様のものと考え の人の家庭を訪問したが、両家庭とも家庭用とし られる O 曙什のバザールで販売されていた岩塩も 6図 ) 一 般 に 漢 族 ての岩塩を所持していた。(第 1 ほぼ同様のもので、使用に際しては水を注いで不 の人の岩塩の使用は珍しいが、ウイクソレ族の人々 純物を沈殿させたあと上澄液を料理用として使用 -52- すると考えてよいだろう O 以上の事実 からタクラマカン砂漠の西域南道地 域の人々の中で、都市部から離れ精製塩の手に入 りにくい地域に住む人々は、ウイクソレ族の人を中 心に岩塩を家庭用として使用していると 言 えるの ではないだろうか。(家庭用の他に家畜用として も使用していると思われる。) i l l . アンケートの実施とその結果 今回の調査では、現地でのアンケートによる実 態調査をその中心にと考えていた。事前交渉でも 中国側から好意的な姿勢を示して頂いていた。し かし多くの障害があり、満足のし、く結果を得られ たとはいい難い。現実、障害となった諸点を次に 挙げ今後の調査の糧としたし、。 第1 6図 (1) 家庭用の岩塩を手にもつ漢族の男性 (且末より西へ百数十キロの農村 1 9 91 . 日本での準備段階で、ウイグル語で、作成 のアンケートが用意できず中国語によるアンケー 3. 3 1撮影) トのみで現地に臨んだこと o (多くの大学、諸研 究機関、留学生などに打診したがウイクソレ語の専 門家やウイグル人留学生は見つからなかった。) く2) 本隊全体でもウイグル語のわかる中国人 (漢族)はほんの数名で、本隊内部に設けられた 塩調査部会が他の重要事項に優先して通訳を借り ることができなかったこと O (3) 調査対象地域の大部分が未解放地域に指 定されており、治安上の理由から集会を規制され ている所が多く、多人数を特定の場所に集めてア ンケートを実施することは不可能であったこと O 第1 7図 ウイグル族の家庭で見かけた岩塩 また現地の住民の家庭に訪問し、調査を行うこと ( 19 9 1 .3. 3 0撮 影 、 且 末 の 郊 外 西 へ 1 0 0余 k m程の農村にて) も困難であったこと O 以上の三 点 はアンケート調査実施にあたって最 も障害となったものである O く1) と く2) の点 は、アンケート実施の対象が中国人(漢族)にほ ぼ限られるということを示している O また く3) の点は、アンケー卜の総数が極端に限られること を意味していた O 結局、アンケートの対象者は新 彊・ウイクゃ ル 自治区内の中国人(漢族)にほぼ限 定され、しかも少数のサンプル結果から新彊・ウ イグル自治区の全体像を推しはかることは非常に 危険であるという結論に達した。加えて自治区内 第1 8図 岩 塩 の 小 片 を 水 で、 溶かし、上澄液を得 の中国人(漢族)の多くは、 る容器。 白 く付着しているのは塩の結晶 1 9 5 0年代以降当地へ 入植してきた人が多く、その習俗・習慣は出身地 ( 19 91 .3. 3 0撮 影 、 旦 末 の 郊 外 西 1 0 0余k m 移住前の居住地)のものを強く反映しているも の農村にて) のと考えられるからだ。しかしこうした現実があ u 円台 phu るにもかかわらず、この地域での住民へのアンケー こうした諸事情を考慮した上であえて調査結果 4表) トは、少なくとも塩民俗に関する限り実施された を生の資料の形で掲載しようと思う。(第 ことはこれまでになく、その意味では貴重なもの ただしあくまで参考資料という点を強調しておきたい。 だといえる o l アンケート調査結果│ 1.アンケートの対象者 ③漢族男性。 ・且末 0991 .3. 2 6実施)での調査。 ①漢族女性。 ③漢族男性。商屈の主人。(塩の計り売りの写真 2図> ) の 人 物 〈 第1 2 3歳。 2 0歳代。 ③漢族男性。 6 0歳。シシカパブーの食堂に来た人。 8歳。 ①漢族男性。 2 ⑥漢族 4 0歳代。 1 .4. 8実施)での調査。 -民豊 099 ③ウイク、、ル族。 2 0歳 代 の 女 性 。 公 民 館 の 図 書 室 に @漢族男性。 。アンケート総数 8、 │漢族の回答者 7人 {ウイク、、ル族の回答者 1人 。資料中の③ ①は上記の人物を示す。 勤務。 か 。 2 . アンケート調査より (1)文化人類学・民族学的分野 質問事項 │ 回答内容 ① II 塩」は何に使い│。食事に塩を使う(③) (⑥) I。何にでも使う(⑥) ますか。 。料理をつくる時に塩を使う ⑤ 「塩」を見せて下 さl )。 ⑥ 家畜用の「塩」は ありますか。それ は人間が食べる 。あります。家畜用の塩は薬 4/8 ) (⑥) 用 。 ( )。人間 。家畜用の塩は少な l 「塩」 と区別しま すか。 の食べる塩はヨウ素を含ん でいない(③) 。すべて同じ塩を食べる (⑤)0 (家畜用の塩は)あ ります。家畜用の塩と人間 の食べる塩に区別はない。 (①) 。人が食べる塩と家畜の塩に ⑦ 日常使用する「配 とそれ以外の 「配 との区別がありま すか。 。ありません(ウイグル族女 性) (③) 。区別がある(③〉 。区別がある。ここ(民豊) の民族の墳の使い方と漢族 の使い方とは異なる(①) ⑧ 1ヶ月(1週間〉 に 「 塩Jはどのく らい使いますか。 旅行に行く時、塩 を持っていきます か 。 。1ヶ月に O . 5 k g (使う) 0 ③) 。旅行に持って行かない。な l ぜなら旅行中に便利がよい から(手に入れられるから)I 「塩」という 言葉 ( ③) 。ご飯を炊く回数で(持って 行く塩の量を)決める(⑥) 1I 。 “盆"と 書 く(③〉 “ y"aI (⑦) 。私たちの食べ物は基本的に すべて塩を使う 甘い物以 外すべて塩を使う(③) 。食べ ること(⑥) ②│どのような料理に、│。おかず(野菜)に使う(③) どんなふうに 「配 I (⑥) I。食物によって塩の使い方は を使いますか。 異なる。基本的には煮る前 に加えるか、煮ている時に 加えるか、 煮た後に加える かの 3つです(⑤) 。塩は野菜を妙めたり、ご飯 を食べる時少量使う(⑥) ③│食物を、例えば肉、 │。冬は(食物に)塩を入れて 野菜を保存するた│ 保存する。夏は食べる時に めに「塩」を使 l ) I 塩を入れる。(③) ますか。使うとす│ 。塩を肉 。野菜に入れるだけ は区別がある(⑥) ⑨ れば何に、どんな│ で(保存するに)よい(⑤) ふうに使いますか。│。使います。塩を食物の中に 入れる(①) ④ I I 犠 」 は家庭では、│ 。小さなお椀に入れている どのような容器に I (③) 入れて保存します│ 。新彊では天気が乾燥してい -54 るので一般にはガラス瓶に 入れる(③〉 (写真資料図 1 2にあり) (③) ⑮ はどのように 書 き an" と発 音 する(漢族) ますか。 どのよう (③) に発音しますか。 ⑬ 結婚式はどのよう に行いますか。 O ~ 兵ニと 書く 。 「 塩」 の昧をどの ようなことばで表 。戚(塩辛い) (⑥) (③) 結婚式が行われる。(③) ⑫ 祭りにはどのよう なものが あり ます と“庫ク]ミ班節"があり“内 4月) 1 6日 、 孜節"は今月 ( りはいつやるので “ 庫ク1¥ 班節"はその 7 0日後 儀式などで 「 塩」 。回答な し ⑬ 行い ますか。 新年はどのよう に 。回答なし 行いますか。 ⑬ ますか。 を使うことが あり ( ⑤)。 色々な儀式を行う時、 ますか。 甘い物(をつくるが)塩は ⑫ 「 塩 jにまつわる、 諺 ・昔話 ・神話 ・ 歌はありますか。 あればそれはどの ようなものですか。 @ 「 食べる J以外 に 塩を使うことがあ 使用しない(⑥) ( ⑤) 子供が誕生した時、 どのよにして祝い (③) 。みんな を集めて 酒 を 飲 む ( . E l 末 ) (@) ますか。 ⑬ 何歳で大人と認め られますか。 8 才漢 。あり ません (民豊、 2 人) (⑥) 。清潔な意味 を含 ん で い る (且末、商庖主人)(③) 。使うことはありません ( ①) 。塩 を 使 う 時 は 適 切 に 使 う ⑭ 「 塩Uに?青める" という意味はあり である。あなた たちも “ 内 孜節"を見に行って見なさ い( ③ ) (@) ⑬ 葬式 はどのように 。ゥイグル族には“内孜節" か。 そしてその祭 すか。 ⑪ (⑤) 現しますか。 なる 。 ウイグル族と漢族と 異なっている。今晩 ここで トユ ースと発 音 する(ウイグノレ族) (③) ⑪ 。結婚式は各民族によって異 。あります(⑥) ( ①) こことがなし、 。きし、 f 。この地 (.El末)では土と ー 緒に使う 。 ぬる時に使う。 りますか。あれば どのような場合で (何にぬる時か不明男漢族) すか。 生活にはかかせない (⑤) 。一般には 1 8 歳で大人。しか けがを した時に使う、など 。皮革を 加 工 す る 時 に 使 う (⑥) 。他 には使わない し独立 して生活す るには結 婚してから(民豊) ( ③) 。1 6歳で成人 (.El末) (⑤) L . 歯 固・ ・ 回答内容 ④ ( 20 才女性、 漢族女性) ( ①〉 ( 2 ) 地理的分野 質問事項 ① 1ヶ月に雨 の降る 。回答な し 収穫しま すか。 日は何 日くらいで 塩湖、塩原はあり ますか。あるのな らどこにあります か 。 する( ⑥) (有機肥料は ) うなものを使いま 集めてくる(無機肥料は) 。ありま す。団結公社(⑥) 。芳: 汗、塔宮口、新彊最大の すか。それはどこ で手に入れるか。 ⑥ i * ⑦ 農業をするにあたっ 0 0 k m下っ 培湖は烏市から 1 。あ りますこの地(民豊)の この辺では、どの ような作物を栽培 していますか 。有機肥料と無機肥料を使用 。多分ある(③) た所(⑤) ③ 。春栽培し、秋収穫する(⑥) 肥料としてどのよ ⑤ すか。 ② その作物は、いつ 頃栽培し、いつ頃 大部分は塩原です(⑥) 。小麦、 トウモロコシ 、水稲 ( . E l 末 ) (⑥) 。トウモロコシ、小麦、綿花、 米( @) 購入する(⑥〉 。堆肥、 自然肥 ( ⑤〉 ⑥) 。河から号│く 。称 巨河 ( (河の名前 だろう ) まどこから号 I t) 。回答なし てきますか。 て 「 塩 」 を意識 し ますか。 ⑧ 「塩害」に対して 何か対策がありま すか。 。排水法、瀧水排威法(⑥) ( 3 )経 済 ・ 社 会 分 野 質問事項 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ 「塩」はどのよう にし て手に入れま すか、市場で買う のですか。どこか で採 ってくるので すか。 「 塩 」 はど ういう 方法で作りますか 。 たものですか。 「 塩」を作る仕事 をしている人はい ますか。 「 塩」を作る仕事 をしている人を知 っ ていますか。 ここの 「 埠」はど こか ら運ばれてき ますか。 「 塩」を売 る仕事 をしてい る人はい ますか。 「 塩」を作る時に 何か歌を歌います か 。 「 塩」に関する記 録 、 記念碑は あり ますか。 (労働・生産・販売関係) 回答内平等 。出は食料品市場で買っ て く る(①) 。立rJ川(地名だろう)から供 給される(iL末商問主) (③) 。この地方では塩をとって工 場で何らかの加工をしてか ら食用になる(民豊) (⑥) 。この地方には専門の塩職人 │ し 昔 、 「塩」 を運ん 可答な だ道は残 っていま せんか。 ⑪ 「 塩」を仲買する 回答なし 人はいますか。 「 境」に関する道 回答なし ⑫ 具 ・器具があれば‘ 見せて下さし 1。 ⑩ ⑬ ⑭ と専門の工場がある(⑥) ⑬ 。知 っている(③) 。塩の工場が多いので職人 も ⑬ 多い。(⑥) 1 1から 。頃は加工された後、 1 ⑪ 運ばれてくる(⑤) 。莫玉県 ( ⑤) 。塩を専門売ったり加工した りする人がいる(③) (⑥) 。塩を作る作業はとてもつ ら いので歌を歌って気分をか える(⑥) 回答なし 昔は 「 塩」をどう やって作 っていま したか。 ⑬ ⑬ 「塩」にかか わる 仕事をしている人 を知りませんか。 「 埴」に関して知っ ていることを教 え て下さし、。 ⑫ 塩水の出る泉、井 戸はありますか。 @ 塩水の流れる 川は ありますか。 回答なし ※アンケートの回答(中国語)の日本語訳は姫路独協大学学生 むすびにかえて ③ 今回の調査で得られた成果は、要約すれば次の ようになる O ① 「 塩」 はどうやっ わかりません( ⑤) て運びますか。 g5角です(⑤) ここの 「 塩」 はい 。1k くらですか。 「 取」は重さで測っ 。重さ によ って売って いる て売るのですか。 (③) 「 塩 」 は毎日運ば 。季節ごとに 運ばれる(③) れてくるのですか。 この市場で売ら れ 。莫玉県 と且莫で とれた( ⑤) ている 「 塩」はど こにあ ったもので すか。 このオアシスで 回答なし 回答なし ない( ⑤) 回答なし 周克昭君の協力を得た。 漢族・ウイグル族の人々が、家庭用として岩 塩を直接使用している例は貴重な報告だといえる O 非常に特異な例であるとして片付けるのではなく、 タクラマカン砂漠西域南道地域の河川による むしろ古来よりの食生活の慣習が踏襲され、現地 塩分移動と集積を示す資料を提示できたこと。そ で生き続けていると考えるべきであろう O また の一つは、写真資料による諸々の地形の状況(地 H 客什のバザールで岩塩が販売されているところか 表面に塩結晶がいろいろな形状で付着している状 ら、この習慣は農村部に限られたことではなく、 況)であり、もう一つは土壌の塩分濃度測定値で 西域南道のウイグル族一般にあてはまることと考 ある O えてよいのではないだろうか。(ただ漢族の岩塩 ② 使用例は特殊なものとして例外的に考えるべきで シルクロード地域に産する塩のサンフ。 ル採集 とその分析結果は、今後の諸地域の同様な研究に あろう。) 対して比較しうる資料を提示できたこと O 特 に 専 ④ 門研究機関による分析資料は今後いろいろな分野 もかかわらず、当初の計画どおり遂行できなかっ で、役に立つ資料と信じる O たのは残念である O ア ン ケ ー ト の 調 査 対 象 者 が ほ 一 56- アンケート調査については調査隊員の努力に の ! j i .{ i t : で 校1 F.ずみで、実際の測定時にはトー壌 1Jの出 とんど漢放に│以られたことやアンケートの実数が 分前液を O.1~10% の範囲内に希釈して測定を行った。 極端に少なかったことは、アンケー卜により刻地 1 2 ) L峻の地質学的分析が必要で、あるが、 の塩' j q f ' fの 全 体 像 を 浮 か び あ が ら せ る に は 不 卜 分 L壌 q Jのイi !天分に反応したのではなしゅョと推定される。 であったことをノFしている O し か し / ヴ で 、 こ の 1 3 ) 導屯本の数字が高ければ、いろいろな物資が砕け 椅の内科のアンケー卜が勺地で実施されたことは 込んでおり、電気がとおりやすくなる。ちなみに海 I 半では i i t市で、現地の住民の↑古川を なく、その,立! c r r rで‘ある O ;1<.の導屯率は 4万マイクロジーメンス / 1 1 ) Groval Positioning System による測定法。現 地で 1H 1回その日の野営地で測定。 1 5 ) ~.例卜のバザールで、購入した岩塩の分析についで次 i 正確に反映したものではないにしろ、その一端を 示 す も の と し て 参 巧 ー に は な る と 思 わ れ る O その,む 昧であえて掲載したことを{、j i:r加えておく 以 Lが今│日l の ,W uf'f.の成果だといえる O O の報告がある O 民間の探 1 111 凶塩の成分分析 J(日本専売公社、小lH原製出試 検 隊 内 に I没 け ら れ た 砲 の 凋 奇 班 が 実 施 す る 調 斉 に 5 験場報台、林真敬・加納隆弘・丙村ひとみ、昭和 5 は数多くの制約があり、その意味で今回の調杏成 " j ' : ) 果が限界であったと忠われるO 今後この地域での 付記 塩 事 情 調 台 が さ ら に 進 展 す る こ と を 期 待 し 、 今[ u ] 本調 f t隊は、日中合同による第 2次 タ ク ラ マ カ ン 砂 の調査報件がシルクロードの塩事情に関しての基 漠探検隊(代表中井貫、本部大津市)内に設置された 本資料として市川されることを望んでいる。 出民俗調査部会に所属する隊員が実施した。調査に直 L Iド 恭・ I L J豚 接携わった隊員は次のとおりである。 L t i矢・ ) 1 :ノ L I 疋・中村智孝・田 1 ]紀美代・滝本康子・ 注 r 1) I l~出業大系特論地問u (日本塩業大系編集 竹原和[-・小野晶子・山中美香 nド 721によれば、海塩85%、)/:鉱 委t 1会 、 f 1 t { 干I J 51 ' r 塩 9 %、湖J(池)泊 5 %となっている。 2)権 l 操t j .ぶ夫編「ウイグル 。 以上 9名 隊員は 11:¥発までに幾度となく学習会を聞き、博物館 W I日i し専門家から指導助言を仰いだ。調査テーマの をi その人びとと文化 J( 柑l 日新聞社 F I J、制 1 1選丹、平成 3年) 3)森川析雄「新鋭概観 f l然 と 歴 史 J(rウイグル 9 r以) P.23~P.28 その人びとと文化 J1 採川にあたっては、探検隊の代表で総隊長の [ j J井 賞 氏 l こ lミ~) ] J J ' i き、塩民俗調査部会の設置に P H解 を 示 し て 頂 いた。また調査の実施に先だって、 1[サ側の代表であ 1 る l判山礼氏(北京放送局)には、調査内存を深く flH~干 1 1 ) f~íj 托J 3)、ド . 2 3 して J Y iき,立義を認めて l 頁いた。さらに調古見J I↑ m t j lには 5) I j q q利学│比三州泳川広1-.沙漠研究所沙漠研究本刷、 r r l l jL q沙漠概論』科学山版社、 1 9 7 4年 、 P .1) ご支援を賜った。 記してお礼申し上げ、る。 6) r i i j出 5)、ド . 2 刷 川 入 院1 1 1尭道氏(仏教大学)、 [ : t l ¥ ! .民 族 学 博 物 館 の II~i1r& 業研究会の村上正祥氏 (1 たばこと出の博物館」 7 )r F W J5)、]).; ) 8) r i J出 5)、ド .25~]\27 された~ ! i i J i 主性氏、十' j l JiiH丘外国語大学の版 1 1 1松 : 郎 氏 の 各 先 生} jにはそれぞれの専門分野からご助 riを 賜 り 、 ま た ,洋しくは次の論文を参与に アンケートの作成に協力を m~ 、た。なかでも村上!日下 10 0*民述「明 1 J!.本社地沙 j史的 1'1 然特 fk~ (地問知沢、 1 9 氏には l t l l f(なる資料を提供して頂き、かっ調奇の指針 6 0 ) O をノJ~ してf1'i t 、た。指サンプルの分析については II 本た 李 , ì~ 興等「隅 I J!.本往地的地卜ソk 反 Jt 形成条 nJ U f i ? 少 ばこ(附の海水総合研究所(小川原市)に J II き受けて f ' 1 1 研究、~"1 6~. J 、1 9 6 1、科学 1 1 1版社) 9)村上 l 十1 下 1-~rrÅの利 γ:(ll)J(f そるえんす」第 10 号 、 l 吋I , j " l i l人ソル卜・サイエンス研究財団、平成 3 いた。 J /J } ji lの教示、および隊員への測定訓練の指導をして l Y !l1t . こ 。 年) 1 コ. 2" " P .3 1 0 ) 前向 9)、 P.5~P.6 1 I本たばこ(捕の尾坂登良氏、中村公│唾氏には終始相 1 1)測定に使川した機部は次のとおり O カーディ塩分濃度計J f応部 (C121明、』相場製作所製 談にのって l 頁き、調査全般に司ってご援助を国いた。 心よりお本 L L Pし Lげ、る。 O 造) なお、現地より持ち帰った塩サンプルは、これまで O カーディ導屯ユキ~iJllJíi 出 (C o 1 .墳の塩分濃度 i J t i J 定については堀場製作所c5.江 r j)から測定問の精密機器を提供して頂き、その使 部l -172Jl ' )、堀場製作所製造) Jに感謝する意味で「たばこと塩の博物館 J ( 点 のご度目} ツイン iH測定出 (B-112型、堀場製作所製造) 以渋谷)に寄贈した。 l 】 塩分濃度会については、ぷ料 I j lの:¥e:lイオンに対して反 やました やまがた 応する測定f1 1 ' (である。日J [ち 1 . 壌q lの: ¥ aイオンすべて に反応する航で‘ある。比11分 i 程度,lI.は重量ノぐ一セント 5 7 やすし・県丘制服,:引 まさや・フリーライタ J