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世界の 国際交流拠点へ

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世界の 国際交流拠点へ
会となった。 何といっても、本学の 医学教育
地 域を 中 心に
人の 留 学 生
(
年
月現在
人、研究生 /
人、学部学生 /
本語研修生 /
学院生 /
気づいたことが大きな成果だったと思う。
学生数は、全留学生の
大
人、日
人)が 本学に 在籍している
( 国費留学生 /
ろんであるが、本学の 学生の 国際人としての
派遣された 学生は、 ハーバード大学で 経験
したことから、自 分がどう 学 習すべきか、大
割を占め、医歯工連携分野では、
学融合教育」に 立派に反映されている。
した。これには 斬新な 発想が 含まれ、今動いている
「医歯
各アクター の 行 動 指 針」として 取りまとめも
ログラムでは、設定された研究テーマに沿 って、海外から
年国際サマープログラム
(ISP)を開催している。このプ
また、本学ではアジア、中近東から優秀な若手研究者を
大学院に 呼び 込むことを 目的に、2009年度から、毎
人、自費留学生 /
人)。 特に、 アジア圏からの 留
感性を 涵養する 場としても 活用している。
本学は 圧倒的多数の留学生を 抱えている。
人)をインペリアルカレッジに 研究体験で
をハーバー
また、医学部医学科 年生( 人)
ド大 学での 臨 床 実 習 体 験に、 医 学 科 年 生
(
人のうち、自費留学を 含め
人の 学 生を 研 究 体 験で 受け 入れ
派 遣している。 なお、 インペリアルカレッ ジ
については、先方から
ている。 学部入学定員
書類選考で 選ばれた
〜
参加希望者を募っている。毎回 〜 人の応募者があり、
これまで、 ハーバード大学におけるリーダーシップコー
ス並びにチューターFDに参加した医学部、歯学部、教養
人を 本学に 招聘している。 さ
の 受動的な 思考・ 姿勢からすっかり 能動的な 学生に 変身
いて 議論する 余裕はないと 思われるが、数日にわたって、
ては、なかなかそうしたまとまった 時間をとり、教育につ
問わず 活発な 議論が 行われたと 聞いている。 日本にあっ
で 設定したミッションに 沿 って、 その 実現のため 昼夜を
費留学生も含め)
が大学院に在籍している。
留学生に採択されたものを含めると
奨学金を付与している。このプログラムをきっかけに国費
れている。 これには、公的奨学寄附金とは 別途に 本学の
特に 研究心旺盛な 者、 〜
らにその中から、学内見学やシンポジウム、面接を通して、
したと 自負している。 そうした 上級生の 姿は、下級生に
集中的しかも 総括的に 議論できたことが、参加した 教員
既に 帰国した 留学生は、教育・ 研究・ 医療などのそれ
ぞれの 領域で 活躍し、本学との 緊密な 交流、情報交換を
人になる。 ボストンでは、自分たち
とっても 大きな 励み、魅力となっている。将来このような
の 叡智の 集約につながったのだと 思う。 帰国後はその 報
部教員はおよそ
学生が 中心となり、本学が 目指すグローバル教育の 創造、
告書に 基づき、教員FDであらためて 議論が 重ねられた。
通じて、人材養成・共同研究に 発展している。
人を 大学院生として 受け 入
実 現 に 大 きな 役 割 を 演 じてくれるものと 確 信 している。
当然そこでは、学生の 提言もフィ ードバックされ、議論の
人以上の留学生
(国
そのような 意味で、大変参考になったのがハーバード大学
ンターとして、医歯学融合教育支援センターを立ち上げる
さらに、それを 常時見直し、ブラッシュアップしていくセ
対象となった。その成果が今日の
「医歯学融合教育」
である。
界展開力強化事業( タイ、インドネシア、ベトナムの提携校
こうした本 学の国 際 戦 略が認められ、
年 度、グ
ローバル人材育成推進事業
( 主として先進国への派遣)
、世
医学部の教育カリキュラム
「 New
」であった。
Pathway
その 何たるかを 知るために、
まず 教 員を 派 遣した。 学 生の
(
との学生の派遣・受け入れ)という つの大型プロジェクト
人の 海外研究を 支援するこ
ことにつながっ た。 大学院生についても、別途海外研究
奨励制度を 立ち 上げ、延べ
年 間 )が採 択され、 大きな前 進が図れることになった。
これもこれまでのオールTMDUで進めてきた国際戦略の努
本特集では、タイ、チリ、ガーナなどの研究に主軸を置いた交流、
臨 床 実 習 派 遣は、 その
2
0
1
2
欧米、アジアとの様々な国際交流を大きく前進させた。
になる。帰国後は 毎年、教育す
人が派遣された。
国際交流センターを重要な組織として位置づけ、
年度は
2
力が認められたが故であり、ここで、その期待に応えなけれ
東京医科歯科大学では、
「国際化に関する中期目標・中期計画」を定め、
ととし、
5
ばならない大きな責務を担ったことでもある。
ハーバード大学医学部、インペリアルカレッジとの
インドネシア
共和国
シンガポール
共和国
世界の
国際交流拠点へ
特集
アメリカ
合衆国
台湾
ラオス
人民民主
共和国
ミャンマー
連邦
今後も、 こうした 国際戦略を 継続的に 展開させ、国際
交流・研究連携の 拡充と 充実に 向け、一層の 努力を 積み
※イラスト内の国名は大学院医歯学総合研究科
(医学系)・大学院保健衛生学研究科・医学部と
大学院医歯学総合研究科
(歯学系)・歯学部が国際交流協定/学部等協定を結んでいる大学・研究機関のある国を記載しています。
れば、 人近くの学生が学部時代に留学経験を積んでいる。
12
:
5
年後
4
広げていくためにも全学を挙げた国際化の推進が重要となっている。
る 側(教員)からの 評価、受ける
大韓民国
重ねてゆくことが、何よりも重要である。
優秀な学生や研究者と交流を図り、世界に認知度を
側(学生)
からの 評価を 基に、そ
カナダ
デンマーク
王国
左上:ハーバード大学でのリーダーシップコー
ス
(2011年)
に参加した教員たち。
中:タイのチュラロンコーン大学と共同で無
歯科医村の歯科保健活動を行った。
左下:ガーナで感染症について講義するウ
イルス学専門の井戸栄治教授。
日本の国際交流拠点としての役割を担いつつある大学の今をリポートする。
中でも、 ハーバード大学との 連携教育協定に 基づく 学
生 の 派 遣 は、
年に 始まり、
年 度までで、
90
10
人になる。 帰 国した 学 生は、 それまで
89
3
全国の大学が最優先の課題として取り組んでいる国際化。
3
オーストラリア
連邦
本学は、このように海外研修・研究支援制度をもって、
学 生や 若 手・ 中 堅 研 究 者に 対して 留 学 研 修・ 研 究を 積
チリ拠点
れぞれの価値観を共有しながら
中華人民
共和国
チェコ
共和国
チリ
共和国
極的に 推奨している。
マレーシア
議論を 重ねてきた。教員にとっ
カンボジア
王国
ても、学 生にとっ ても、自 身の
ガーナ拠点
タイ拠点
ガーナ
共和国
タイ王国
スリランカ
民主社会
主義共和国
ベトナム
社会主義
共和国
一方、海外からの 留学生の 受け 入れについては、現在、
数多くの 学生交流協定を 締結しており、 こうした 大学・
フィンランド
共和国
その 学 生 数は
80
「本学臨床実習への 提言と 医学教育に 関わる
学は教育面で何を考えるべきかまで踏み込み、
のさらなるレベルアッ プの 可 能 性と 必 要 性に
2
0
1
2
1
8
8
留学プログラムの拡充、外国人留学生の獲得など、
2
0
1
1
8
2
あるべき 姿 を 見 極 めるいい 機
モンゴル国
イギリス
All
Over
The
World
教育面での交流などの近況を紹介しながら、
海外研究拠点が 研究推進の 場、現地での 人
材養成の 場、技術移転の 場であることはもち
7
25
8
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4
Bloom! 医科歯科 No.14
Bloom! 医科歯科 No.14
5
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3
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1
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60
4
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0
4
64
1
3
0
4
All Over The World
All Over The World
つ の 海 外 拠 点 の ほ か、 国 際 交 流 協
SP )
」 を 開 催。 期 間 中 は、 毎 年 設
ション、交流会などを行い、最終日
中心に、研究室訪問、ポスターセッ
定される研究テーマに関する講義を
校
には学内の学生や教職員、学外研究
カ国・
(2012年5月1日現在)
。2012
者も参加する国際シンポジウムを開
年
大学と協定を締結したばかりだ。
す。そのような優秀な留学生は、帰
大学院博士課程へ入学した人もいま
第4 回となるISP 20 12 で
神経科学の最先端」
は、
「脳と心
催している。
月には、医学系が韓国のソウル
校、歯学 系の大学では
機関は、医 学 系の大学で9カ国・
定を締結している海外の大学・研究
国際交流センターが核となり
全学体制での国際交流を 推進
国
際化に 関する
基本方針策定
国内の大学の喫緊の課題となって
いる国際化。留学プログラムの拡充、
英語授業の増加、外国人留学生の獲
得、セメスター制やクオーター制の
導入など、全国の国公私立大学が独
国後に母国で東京医科歯科大学の評
中期目標・中期計画」を定め、国際
育、異文化教育である。
在籍する留学生に対する日本語教
国際交流センターの主たる業務の
一つは、現在、学内に200人以上
も研究者を招聘した。
ゴ校、カリフォルニア工科大学から
所やカリフォルニア大学サンディエ
の学生が参加したほか、理化学研究
ISPで海外の優秀な学生をいち早
さ せ る 後 押 し を し て く れ る の で す。
り、引き続き後輩たちを本学に留学
判を広めてくれるキーパーソンとな
カ国から
人
——
化を推進するための学内環境の整備
をテーマに、アジア
を行っている。研究・教育・臨床を
ました」
国際化の拡充に向けた
外部資金の獲得
く獲得できるよう選抜方法を見直し
通じた国際貢献への取り組みの推進
2012年度からは、これまでの
選抜方法に当たる「一般枠」とは別
がその基本方針である。
大使館推薦による国費研究留学生
と、日本語の学習歴がない学生を対
ISPで
優秀な留学生を招聘
国際サマープログラムの交流会での集合写真(2012年 8月28日)
。
に
「ISP外国人留学生特別選抜枠」
24
象とした「日本語研修コース」では、
10
自の取り組みを進めている。
13
を設け、東京医科歯科大学大学院博
東京医科歯科大学では、2010
年度から6年間の「国際化に関する
19
週間(6カ月間)集中して日本語
そ れ に 先 駆 け、 2 0 0 9 年 に は、
留学生センターを発展的に改組し国
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シンガポール
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マレーシア
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スリランカ
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インド
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モンゴル
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タジキスタン
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韓国
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ガーナ
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カンボジア
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パキスタン
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香港
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ミャンマー
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インドネシア
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台湾
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ラオス
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合計
19
16
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6
17
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10
5
3
108
国際交流センター運営委員会
産学連携
海外の学術
交流協定校
協定校との国際交流推進
日本語教育
海外拠点
ガーナ、
チリ
タイ
難治疾患
研究所
教養部
歯学部
医学部
(特:特別枠)
研究・教育の国際化推進対策
てコンソーシアムを形成。学生交流
医科薬科大学(ベトナム)と連携し
大 学( イ ン ド ネ シ ア )
、ホーチミン
学(タイ)をはじめ、インドネシア
東京医科歯科大学は、以前から交
流を深めているチュラロンコーン大
「 こ れ ま で のI S P に 参 加 し た 学
生の中には、参加をきっかけに本学
一方で、国際保健分野で活躍する
リーダー育成のため、海外留学を含
げを図るのが狙いだ。
い、医療人に必要な英語能力の底上
部英語化、英語教育の強化などを行
会の創出、全科目最終試験問題の一
る。全学生を対象に、異文化交流機
えるようになった。
た。このことでASEAN地域の大
人
プログラム、国際セミナーやグロー
む通年制プログラム「グローバルヘ
ラム」
「 国 際 医 療・ 歯 科 医 療 研 修 プ
対象とした「国際医歯学研究プログ
度を協議し、学部学生と大学院生を
学生交流プログラムでは、東京医
科歯科大学と3大学間で単位認定制
材育成に乗り出している。
このように、国際化に関する中期
目標・中期計画の実施から3年が経
いる。
語とする外国人教員の拡充を図って
バルキャリア支援室では、英語を母
P)
」 を 設 立。 こ れ ら の 取 り 組 み を
サポートするために新設したグロー
ログラム」を創設。学内での研修の
ち、制度面・組織面を含めた国際交
流体制は年々充実している。今後は、
それぞれの取り組みの質の向上を目
指す段階に入っていくと森尾教授は
研修奨励制度、ハーバード大学医学
東京医科歯科大学から海外大学へ
の学部学生の派遣については、海外
科歯科大学の教育、研究、臨床に携
連携強化はもちろんですが、東京医
「 セ ン タ ー 内 の 各 チ ー ム、 グ ロ ー
バルキャリア支援室、海外拠点との
いう。
部への学生派遣、研究実習期間を利
わる教職員の皆さんとも協力し合っ
めていくことが重要です。何よりも
用した海外研修など、学生に対して
れている。
がら取り組んでいくことが重要だと
て、大学全体でのグローバル化を進
さらに、文部科学省「グローバル
人材育成推進事業」
(2012年度)
考えています」
我々自身が国際化への理解を深めな
に採択されたことで、日本人学生を
様々な海外短期研修の機会が与えら
グローバルに活躍する
医療人材を育成
見学にも参加できる。
ほか、医療・歯科医療関連企業での
対象としたグローバル化を強化す
学と学生の相互交流がより活発に行
バルリトリートなどの学術会合の開
ルスサイエンスプログラム(GHS
24
催など、学生および若手研究者の国
16
際交流を促進し、世界で活躍する人
東京医科歯科大学は、2012年
度に文部科学省の「大学の世界展開
士課程の入学試験を実施できるよう
0
1
にした。初年度の参加は、学生
2
1
と日本文化について学ぶ機会を提供
0
0
する。また、平日の夕方には、留学
2
2
際交流センターを開設。海外協定校
5
ネパール
や 海 外 拠 点 を 介 し た 国 際 交 流 推 進、
タイ
のうち 人が特別選抜入試を受験し
5
生や外国人研究者のためのレベル別
0
優秀な留学生確保のための活動や学
1
力強化事業〜ASEAN諸国等との
0
た。 特 別 枠 を 設 け た 背 景 に つ い て、
0
の日本語コースを開設している。
1
習支援、本学学生の英語教育・海外
0
大学間交流形成支援〜」に採択され
0
国際交流センター長の森尾郁子教授
1
留学の支援など、本学の国際交流を
1
は次のように語る。
1
2009年からは、海外に向けて
東 京 医 科 歯 科 大 学 の 認 知 度 を 高 め、
バングラデシュ
アジア圏の優秀な人材を集めること
26
一括して管理できる体制を整えてい
9
0
る。
0
0
を目的に
「国際サマープログラム
(I
2
4
現 在、 ガ ー ナ、 チ リ、 タ イ の 3
1
3
6
Bloom! 医科歯科 No.14
Bloom! 医科歯科 No.14
7
0
4
企画・国際交流戦略会議
森尾郁子教授
■ ISP招聘参加者の内訳
38
国際交流センター事務部 国際交流課
2
1
大学院
東京医科歯科大学を広く世界にアピールし、優秀な若い人材を獲得することを
目的として、2009年度から「国際サマープログラム」
(International Summer
Program, ISP)が開催されている。招聘参加者と本学教員・学生との密度の
高い相互交流が可能となるプログラムを目指す。
扌
0
3
国際交流関係情報の管理など
0
3
学生支援
・
保健管理機構
1
3
留学生の確保対策、海外への情報発信
1
5
役員会
All Over The World
All Over The World
12
15
2
中国
国際医療ネットワークの構築
ベトナム
グローバル
キャリア
支援室
女 特・男 特・女 男
国際交流センター
国際交流に関する統括的業務の実施
男
生体材料
工学研究所
女
各部局の国際交流委員会
男
TMDU
グッズ WG
女
施設名称並びに
英語表記に
関する WG
総計
2012年度
国
女
男
国際サマー
プログラム WG
区分 2009年度 2010年度 2011年度
学長
国際交流センター長
■国際交流を推進する体制図
(2013年)
国際交流
センター
Chapter 01
All Over The World
感染症分野の研究者育成を目的とし
置された。感染症研究の推進および
共同研究拠点として2008年に設
と野口記念医学研究所(野口研)の
ガーナ・野口記念医学研究所共同
研究センターは、東京医科歯科大学
所。
その土地に設立された野口研は、
首都アクラは、黄熱病研究を行っ
ていた野口英世博士が亡くなった場
ーナ人の日本に対する関心も高い。
援助)による支援を続けており、ガ
本は長年にわたりODA(政府開発
産出する鉱物資源の豊かな国だ。日
/G)と、ウイルス株が異なる。W
欧米のHIV株がB型であるのに
対して、アフリカは組み換え型(A
差した研究を進めている。
ゲットに、アフリカという土地に根
ガーナ拠点の主要な活動の一つで
ある感染症研究では、HIVをター
同定と作用機序の解明に取り組む。
療と成り得る薬用植物の薬効成分の
との共同研究により、有効な代替医
性 候 補 物 質の研 究 プロジェクト」も開
物による抗ウイルスおよび抗寄生虫
2010年から「ガーナ由来薬用植
型であることに着目。遺伝子組み換
て文部科学省が実施した「新興・再
ガーナで初めてエイズウイルスを発
HO(世界保健機構)では先進国の
ア と は 異 な る 病 原 体 が 存 在 し ま す。
興感染症研究拠点形成プログラム」
見するなど、西アフリカを代表する
抗レトロウイルス治療を世界的に導
このような地域に根付いた伝統医
療を発展・充実させ、国民が医療を
㎢(日本の約3分の2)で、高温多
に採択されたことを契機に、以前か
感染症研究機関である。
入しているが、ウイルス株の異なる
受けやすくすることで結果的に感染
えによってウイルスのプロトタイプ
ら交流のあった野口研と、さらに実
拠点責任者である大学院医歯学総
合研究科環境社会医歯学系専攻の太
欧米で開発された薬剤のアフリカで
抑制につなげることが狙いだ。
世界をリードすべき日本の医療の立
りのある共同研究を行うことを目指
田伸生教授は、西アフリカ地域を代
の治療効果は明らかになっていな
湿の熱帯気候に属する地域。イギリ
して研究体制を整備したのである。
表する研究拠点として大きな期待を
じめ西アフリカ地域で流行するHI
がどのように進化していったかとい
東京医科歯科大学からはガーナ
に、ウイルス学と寄生虫学の専任教
寄せていると語る。
Vウイルスの特徴を調べ、現在使わ
寄生虫分野では、マラリアとアフ
リカ睡眠病(アフリカトリパノソー
野
口英世が
没したガーナ
員2人を派遣。現地採用の日本人ス
「このプロジェクトでは一方が一方
を援助するということにとどまらず、
れている薬剤の妥当性の評価や薬剤
マ症)という、西アフリカを代表す
う分子進化機構を明らかにし、エイ
タッフ、野口研のガーナ人若手研究
お互いに得るものがあります。例え
耐性ウイルスの出現状況などについ
場から考えても、アフリカに拠点を
員4人を合わせた7人体制で、アフ
ば、我々研究者にとっては、ウイル
ても研究を進めている。また、アフ
持つことは大変重要なことです」
リカのウイルスと寄生虫による感染
スや感染症など解明すべき課題その
る 疾 患 に 対 し て 研 究 を 行 っ て い る。
ス植民地時代はゴールドコーストと
症の研究、人材交流などを推進して
ものが存在する場所で研究できる意
リカのウイルス株が遺伝子組み換え
呼ばれ、現在も金やダイヤモンドを
いる。
義は大きい。アフリカには東南アジ
で、学生や若手研究者に体験しても
い。そこで本拠点では、ガーナをは
人材の
相互交流も活発
その土地に根差した
寄生虫研究
始。野口研の生薬科学研究センター
HIVに関しては、J ICA(国
際協力機構)のプロジェクトとして、
の治療に役立てようとしている。
ズウイルスの起源に迫ることで未来
西アフリカのガーナ共和国は、赤
道の北750㎞に位置する。人口約
することは治療・予防の両面におい
らう環境としてもこの拠点は活用で
HIVの
進化機構を探究
2500万人、面積は 万8537
て大変重要だ。
原体トリパノソーマなど、日本にいてはなか
いることでしょう。実際に日本で生産され
なかできない種々の感染症について研究し
ているチョコレートの原材料であるカカオ豆
ています。詳しくは、
本学の国際交流のペー
の大半はガーナから輸入されています。実
ジ
(http://www.tmd.ac.jp/international/
はガーナでもチョコが製造販売されている
three-bases/ghana/)で毎月 Newsletter
のですが、日本のそれとは味も硬さも随分
を発行しており、
研究活動の報告のほか、
ガー
異なります。日本のチョコを向こうにお土
ナの生活・文化・風景などについても紹介
産として持って帰ると、
まずその名前でニッ
しています。 ぜひそちらの方もよろしくお
コリ、次にそのマイルドな美味しさでニッコ
願いいたします。
うマラリア原虫より毒性の強い熱帯
派遣された。また、野口研からも2
究者2〜3人も数週間ほどガーナに
思います。そんな学生がガーナ滞在
熱 マ ラ リ ア を 使 っ た 研 究 が 可 能 だ。
を通じて一回りも二回りもたくまし
人の若手研究者を招聘するなど、相
もう一つのアフリカ睡眠病は、日
本では馴染みのない疾患だが、人や
くなって帰ってくる。フランス語を
2011年度からは野口研に蚊を飼
家畜に甚大な被害を与える寄生虫性
公用語とする国が多い西アフリカに
互に交流することで共同研究事業の
疾患としてアフリカでは問題視され
あって、ガーナは唯一英語を公用語
育する施設ができたため、遺伝子改
ている。拠点の研究では、トリパノ
と す る な ど、 日 本 人 も 行 き や す く、
強化を促している。
ソーマ原虫の弱点を探し出し、薬剤
変によってマラリアに感染しないハ
標的分子となり得るかどうかを解
しかも、野口研は西アフリカの感染
マダラカを作る研究も行っている。
析。新しい治療に発展し得るシーズ
究領域が広がることが期待される。
を行うなど、歯科も含めてさらに研
大学デンタルスクールとの共同研究
現在は、ウイルス学、寄生虫学と
領域を絞っているが、今後はガーナ
しいと思います」
(太田教授)
て、将来の世界の医療に役立ててほ
れまでの関係をより強固なものとし
優秀な人材が集まってくる場所。こ
症と寄生虫に関するあらゆる情報と
「 ガ ー ナ を 希 望 す る 学 生 は、 チ ャ
レンジ精神の旺盛なタイプが多いと
きるでしょう」
(太田教授)
若手教員や学生の相互交流も活発
だ。2011年度には、プロジェク
やマラリア、 さらにはアフリカ睡眠病の病
カーの商品名により、国名は広く知られて
日本国内でマラリア研究を行う場
合、試料として使用できるマラリア
ガーナといえば、日本では某お菓子メー
「 ガ ー ナ で は 今 も 毎 年 何 万 人 も の
人がマラリアで命を落としていま
エイズ、蚊で媒介されるウイルス性出血熱
す。アフリカには取り組むべき研究
とした家族的雰囲気の研究センターです。
るだけでなく、気候変動や社会情勢
肝心の研究内容ですが、私たちは HIVと
の変化によって発生動向も変わって
てください。
みさんの合計3人です。 極めてこぢんまり
トセメスターの一環として、医学科
で事務補佐をしていただいている志村まゆ
原虫は1種類のみで、取り扱う範囲
いますから、一度両者を比べて味わってみ
課題がまだたくさんあるのです。寄
す。その分、カカオ本来の味が凝縮されて
いる鈴木高史先生の2人だけで、他に現地
く る。 疫 学 デ ー タ ベ ー ス を 構 築 し、
を担当している私と寄生虫病学を担当して
4 年次の学生が6 人派遣されたほ
ざと油脂の成分を調整しているからなので
も試験管内だけに制限される規定が
く、熱帯の炎天下でも溶けないようにとわ
センターへの派遣教員は、ウイルス学部門
生虫研究は、その土地に入り込んで
戻ってくるという勤務形態を取っています。
「 い つ、 ど こ に、 ど の よ う な 寄 生 虫
は製造技術が未熟だからというわけではな
か、ウイルス学、寄生虫学の若手研
コはガチガチに硬いのです。 しかし、 これ
参加や試薬などの物資補給のために日本に
ある。その点、ガーナでは日本で使
都アクラに常駐しており、時折、会議への
着手することで成り立つ分野ですの
リと二重に喜んでもらえます。ガーナのチョ
および疾患があるか」を正確に把握
ある人や動物などの複雑な関係があ
寄生虫による疾患では、原因とな
る寄生虫とそれを運ぶ昆虫、宿主で
23
普段は西アフリカに位置するガーナの首
Chapter 02
太田伸生教授
ガーナ拠点責任者
感染症研究で 世界をリ ードする
西アフリカの主要拠点
井戸栄治(特任教授)
カカオの国からこんにちは
All Over The World
All Over The World
8
Bloom! 医科歯科 No.14
Bloom! 医科歯科 No.14
9
を探している。
野口記念医学 研究 所における医学 科 4
年次の研修の様子。
ガーナ・野口記念医学研究所
共同研究センター
拠点長
Message
ガーナ・野口
記念医学
研究所共同
研究センター
All Over The World
この国との間に、東京医科歯科大学
ほぼ裏側に位置するほど遠く離れた
南北に4000㎞を超える国土を
持つチリ共和国。日本からは地球の
内のサン・ボルハ病院の中に胃がん
献。1978年にはサンティアゴ市
技術を発展させるために大いに貢
村上教授らが支援し、治療・診断の
成することが目的だった。ここでも
見して治療できるチリ人の医師を育
で増えつつあった胃がんを早期に発
ん早期診断技術の研修が開始。チリ
究などに取り組んでいる。
術の指導や現地医師たちとの共同研
日本の最先端の内視鏡診断・治療技
が そ れ ぞ れ1 人 ず つ 赴 任 し て お り、
拠点には、東京医科歯科大学の内
視鏡医、病理医、分子生物学研究員
立 を 加 速 さ せ る た め の 実 働 拠 点 だ。
) が 開 設 さ れ た。
Center : LACRC
早期大腸がん集団検診システムの確
市民のがん検診に対する関心は高く
だ一般に浸透しておらず、無症状の
ンアメリカ諸国ではその重要性がま
「がんによる死亡率の低下のため
には早期発見が必須。しかし、ラテ
うことは、本学の医療技術を国際医
発 見 さ れ た。
「 こ れ は、 日 本 の 約7
100人に1人の割合で大腸がんが
ルパライソ、プンタ・アレナスの3都
を実施することとなった。
期診断プロジェクト(PRENEC)
査のレクチャーを受講後、便潜血反
に登録した。登録者は、大腸がん検
は、現地マスメディアにも取り上げ
ロモーション活動を実施。その活動
大腸がんの集団検診を実施した。
として免疫学的便潜血試験を用いた
状の参加者約1万2000人を対象
される。このプロジェクトは、無症
と治療プロジェクト」の経験が生か
施した「大腸がんの早期予防・発見
サンティアゴでのPRENECの環
境 を 充 実 さ せ る た め、サン・ボルハ病
きます」(江石教授)
める国家プロジェクトを支援してい
2011年には、サンティアゴ、バ
鏡医の育成に取り組んでいる。
がん診断・治療の標準化、大腸内視
現在、LACRCでは、プロジェ
クト推進に向けて、環境整備や大腸
なったのである。
にて南米の医師向けの研修プログラムを開
重要な情報交換や支援の場に結びついてい
催するため、JICAへの資金申請などを行っ
ることをここに記載させていただきます。
針のアドバイスを行う PRENEC 症例検討
査を実施する予定です。
会を毎月実施しています。
また、チリ北部
(コキンボ州ラ・セレナ)
なお、病理分野の河内洋医師、分子生物
において3000人を対象にした PRENECの
学分野の小林真季博士が、昨年 LACRCに
実施も採択されました。11月には TMDU
着任され、研究活動を開始しています。現
の大山学長とともにパラグアイを訪問する
在は、PRENECに関連する3つの研究や、
る。研修期間は3 カ月間で、シミュ
院の日智消化器病研究所には新内視
(6・1%)に大腸がんが見つかる結
レーターによるトレーニングのほか、
内視鏡検査を施行したところ、
果となった。
マガジャネス病院には、
プロジェクトセメスター期間の医学
大腸内視鏡検査を指導医の下で実施
スタートする予定となっている。
てチリの研究機関へ派遣することも
することで、チリ国内でまだ不足し
「 現 在 は、 チ リ 国 内 の み に と ど ま
らず、エクアドルでも同国保健省と
開始され、これまでに
内視鏡医が少ないため、定期的に内
本学との国際協定の下、首都キトに
チリ大学やCLCで研究体験している。
視 鏡 検 査 の サ ポ ー ト に 行 く 予 定 だ。
あるパブロ・アルトゥーロ・スアレ
ている内視鏡医の拡充を目指す。
ス病院において同様のプロジェクト
「 ク リ ニ カ・ ラ ス・ コ ン デ ス とL
ACRCの本学スタッフとの間でも
これら一連のプロジェクトは、東
が始まっており、既に110人の内
前立腺がんの研究など、共同研究が
また、CLCではPRENEC の
参加を検討する地域を広げるための
視 鏡 検 査 で7 人(6・4 %) の 大 腸
始まりつつあります」(江石教授)
京医科歯科大学の教育の場としても
がんが発見されています。
最近では、
LACRCを拠点として東京医科
歯科大学の活動の場がさらに広がろ
活 動 も 進 め て お り、 チ リ 北 部 の ラ・
パラグアイ大統領から直々の要請が
生かされている。
2010年からは、
あり、今年4月からチリCLCと本
うとしている。
人の学生が
科4年次の学生を5カ月間にわたっ
学が協力してパラグアイ保健省が進
セレナでも近いうちにプロジェクトが
14
断について講演しました。この講演
これらの活動が、チリ人研究者にとって
がきっかけでチリの医師たちが日本
加を呼びかけました。 そのほか、LACRC
の医療技術に関心を持ったのです」
加しました。また11月より、診断・治療方
了しました。2013年中には1万5000人の検
American Collaborative Research
ます。
1970年代に入り、チリではJ
ディスカッションを行い、PRENECへの参
15
医師の協力により2000人以上の検査が終
75
(CLCやチリ大学にて受け入れ)
を行ってい
が 形 成 さ れ、 先 述 の
クト構築に関する討論会
(パラグアイ)に参
6000 人を対象とした大腸がん早
ンポジウム
(エクアドル)
、腫瘍予防プロジェ
した。昨年2012年の1年間では、田中浩司
Chapter 03
江石義信教授
チリ拠点責任者
東京医科歯科大学の医療技術で
中南米地域の大腸がんを克服
は 20 0 9 年、「 大 腸 が ん に 関 す る
療福祉に活用する有効な場でもある
ICA(国際協力機構)による胃が
臨床・科学・学術交流に関する協定」
診断センターを設立するに至った。
年前から
蓄積された 医学交流
を締結した。チリ保健省および私立
「 チ リ で は 近 年、 大 腸 が ん に よ る
死亡率が高まっています。チリでの
ありませんでした」(江石教授)
病院クリニカ・ラス・コンデス(C
そのような中で、このプロジェク
ト の 結 果 で は、 歳 以 上 の 受 診 者
医科歯科大学からも中村恭一教授
大腸がん早期発見・治療の支援を行
( 第 一 病 理 学 ) な ど、 消 化 器 分 野 の
倍の数値であり、ウルグアイでの大
団検診システムを確立するプロジェ
ととなりました」(江石教授)
クトを立ち上げるためだ。この協定
この結果から、無症状者を対象と
したがん検診の有用性は、ラテンア
のです」
(江石教授)
歯科大学がJ ICAやウルグアイ保
メリカ医学界でも注目されることと
専門家が参加。消化器がん早期診断
師を務めた研修会では中南米諸国か
健省などの協力の下、1996年か
の実現には、東京医科歯科大学とチ
ら約250人の医療関係者が参加す
ら2006年の間にウルグアイで実
市でプロジェクトが実施される段階
都市の各病院で
対象者は、 〜 歳の一般市民で、
大腸がんの自覚症状がない保険加入
応検査を行い、陽性者は別途、大腸
鏡 トレーニングセンターが 開 設 さ れ
腸がんの発生率の高さを裏付けるこ
た。拠点責任者である大学院医歯学
るほどで、チリとの医学交流はます
の指導などを行った。中村教授が講
総合研究科人体病理学分野の江石義
ます活性化していった。
に入っている。チリ保健省と の地方
者である。調査は
内視鏡検査に移る。
た。 同 セ ン タ ー は、PRENECの
LACRCにとって極めて重要な年となりま
3
TMDU からの留 学 生を交えた共 同 研 究
統領との面会やアルボ保健福祉省大臣との
し、日本における胃がんの治療と診
自治体、CLCをはじめとする4つの
内視鏡検査では、LACRCから
東京医科歯科大学のスタッフとCL
ENDOSUR(チリ)や胃腸腫瘍に関するシ
そして2010年、CLC内にラ
テ ン ア メ リ カ 共 同 研 究 拠 点( Latin
病院、チリ大学などの4大学が参加す
実施されている。プンタ・アレナス
Cの医師が現地に赴き内視鏡検査を
拠点となるだけではなく、チリ国内
学術協力の面では、国際シンポジウム
クト
(PRENEC)をスタートした2012年は、
られ、600人以上がPRENEC
るCOLORED
(大腸ネットワーク)
のマガジャネス病院では登録者を募
行う。例えば、初回では229件の
の内視鏡医育成の場として稼働す
パライソにおいて大腸がん早期診断プロジェ
50
機会がありました。現地では、フランコ大
3
ています。
次世代を担う
医療人材育成の場
都 市で1 万
るために看護師が地域の保健所でプ
人
「1968年に本学から第一外科学
の村上忠重教授が初めてチリを訪問
40
サンティアゴ、プンタ・アレナス、バル
大腸がんの
死亡率低下を促進する
信教授は次のように語る。
リとの間の 年にも及ぶ交流があっ
LC )とともに、大腸がんの早期集
同センターは、サン・ボルハ病院・
日智消化器病研究所に発展し、東京
大腸がん早期診断プロジェクトの一環で内視
鏡検査を行うLACRCスタッフの田中浩司助教。
チリでの大腸がん早期診断プロジ
ェクトを進める背景には、東京医科
50
40
フランシスコ・ロペス氏
〜LACRC2012 〜
大いなる前進の年
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10
Bloom! 医科歯科 No.14
Bloom! 医科歯科 No.14
11
18
私立病院クリニカ・ラス・コンデス 医師
Message
ラテンアメリカ
共同研究拠点
の形成
チリ国における
All Over The World
チュラロンコーン大学
タイ拠点運営管理者
研究所、生体材料工学研究所なども
この拠点が設立されたことで、歯
学部、医学部だけでなく、難治疾患
した教員が
ン大学には本学で歯学博士号を取得
学生もいます。特にチュラロンコー
人以上いますので、各
の留学生から数えて3代目に当たる
含めた全学での学術交流事業を推進
タイでの研究・教育を中核に
東南アジアの医療ネットワークを 構築
タ
イとの 相互交流は
年以上
(
)
タイ・チュラロンコーン大学
と 東 京 医 科 歯 科 大 学(
)と
といった各種事業も展開されてき
I C A )、 若 手 研 究 者 交 流 支 援 事 業
歯科公衆衛生研修プロジェクト(J
本 ―タイ拠点大学交流、東南アジア
や 各 種 シンポジウム・セミナー、日
た。また、若手教員研修プログラム
には医学部間でも協定が締結され
1991年に両大学歯学部間で学
術交流協定が締結され、2002年
陽子教授は次のように語る。
ある大学院健康推進歯学分野の川口
始された。タイ拠点の運営管理者で
タイにいながら受講できる試みも開
テ レ ビ 会 議 シ ス テ ム を 利 用 し て、
英語で行われる本学の大学院講義を
るようになった。
議や留学生選抜面接試験などを行え
し、タイと日本間で顔を見ながら会
ている。テレビ会議システムを導入
教員交流、共同研究もさらに拡充し
していくことになり、従来の学生・
するよう取り組んでいる。
行うとともに、共同研究などを促進
再び日本に呼び、リカレント教育を
ラムを3年前から開始。元留学生を
業生に向けたフォローアッププログ
京医科歯科大学では、タイにいる卒
い」と川口教授はいう。そのため東
腔保健医療に対する影響力も大き
めていることから「タイ国民への口
東京医科歯科大学出身者が多くを占
例えば、日本の大学で学んだタイ
人 の 歯 科 医 師 団 体「J D AT 」 は、
くなっています」
分野において本学とのつながりが深
ットを広げるとともに、医科も含め
邦人に参加してもらえるようターゲ
現在、タイには約4万人の在留邦
人がいるが、今後はより多くの在留
日本語で応じた。 アになって、在留邦人の個別相談に
東京医科歯科大学の歯科医師とがペ
歯科事情に詳しいタイ人歯科医師と
指導を実施した。また、タイ国内の
ほか、参加者の子どもたちに歯磨き
長をはじめ歯学部教員による講演の
たところ、200人近くの日本人学
講座「歯の健康セミナー」を開催し
の交流は 年以上に及んでいる。
た。
「 東 京 医 科 歯 科 大 学 に は タ イ か ら
の留学生が多く、これまで歯学部で
た健康支援活動を毎年行っていく予
強化するとともに、東南アジアの医
て両大学の研究・教育の協力体制を
設置された。同センターを拠点とし
学生として本学に派遣してくれるの
が多く、次に彼らの教え子たちを留
帰国した後、本国で教員となること
の留学を経験したタイ人学生たちは
のほとんどは博士課程です。本学で
て位置づけている。
の健康支援も重要な活動の一つとし
―
センターで は、 研
究・教育にとどまらず、在留邦人へ
ロジェクトセメスターを利用して5
して、医学科4年次の学生2人がプ
早期診断治療プロジェクト」に関連
部では、2011年から「大腸がん
定だ。
学・歯学・生命科学の拠点としても
2012年9月、第1回海外公開
在留邦人への
健康支援も開始
進化・発展することを目標として掲
です。最近のタイ人留学生には初期
人留学生を受け入れてきました。そ
校に通う日本人家族が参加。大山学
2010年 月には、チュラロン
コーン大学内に「チュラロンコーン
) セ ン タ ー」 が
げている。
への評価も大きい。
人的に行ってきたボランティア活動
対するものであるが、大山学長が個
の形成を目的としている。
ス、カンボジアといった東南アジア
ン、マレーシア、ミャンマー、ラオ
シンガポール、ブルネイ、フィリピ
の学生派遣は2012年が第1回
学で研究活動を行っている。歯学部
大山学長は、十数年前からチュラ
ロンコーン大学が行っている無歯科
で、歯学科、口腔保健学科の4年次
学は聞いたことがありません。 この交流の
学研究教育協力
(CU︲TMDU)センターは、
シンボルがCU︲TMDUセンターです。 元留学生にとって、シンボル的存在になっ
センターでは、昨年9月、元留学生と協力
ています。本学は、長年にわたり、チュラ
して、バンコク日本人学校や日系幼稚園の
ロンコーン大学から多くの留学生を受け入
児童生徒、園児並びに保護者に対して
「歯」
れ、帰国した元留学生は、タイの医歯学分
に関するセミナーと相談会を実施しました。
野の第一線で活躍しています。特に歯学に
日本人学校関係者によれば、このような大
関しては、元日本留学生が、Japan Dental
規模な医療支援は初めてのことで、今後も
Alumni in Thailand(JDAT)という同窓
継続して実施してほしいと要望があり、幼
会組織をつくっています。歯学部の元留学
稚園からも来年もぜひ実施してほしいと、
生は、本学と継続的に交流しており、自ら
高い評価を受けました。このセミナー・相
“TMDUファミリー”と称して、教育、研究
談会に関しては、地元の日系新聞にも大き
の学生 人が夏休みの1週間バンコ
チュラロンコーン大学 - 東京医科歯科大
10
川口教授は「今回のタイ拠点開設
も、大山学長の貢献があったからこ
うエピソードもあるという。
大山学長がその場で成功させたとい
非 常 に 困 難 だ っ た 入 れ 歯 の 治 療 を、
要する。タイ人歯科医師には治療が
すのは大変困難であり、高い技術を
療環境も整っていない中、治療を施
貧しい無歯科医村で、衛生状態も治
ンドネシアやベトナムなど地域を広
今後は、2011年にタイで行っ
た在留邦人向けの海外公開講座をイ
域の専門家を育成する。
開催し、世界をリードする医歯学領
できるグローバルリトリートなどを
ディスカッションを通じて切磋琢磨
を開催するほか、若手研究者同士が
おいて毎年セミナーなどの学術会合
びタイ、インドネシア、ベトナムに
げていくことも検討している。タイ
拠点は、将来に向けて東南アジアに
おける医歯学研究教育拠点としての
間交流形成支援〜」に採択されたこ
化事業〜ASEAN諸国等との大学
国で、日本で学んだ材料や治療機器
たちの存在です。彼らが自分たちの
「 医 療・ 歯 科 医 療 を 通 じ て 国 際 貢
献をする際に重要なのが、元留学生
役割を果たすことが期待されている。
とを受け、人的ネットワーク構築を
を応用して質の高い医療を提供でき
ー ク を 構 築 し て い き ま す 」( 川 口 教
な形で支援をしつつ、医療ネットワ
るよう、我々としても元留学生に対
同事業ではタイ・チュラロンコー
ン大学、インドネシア・インドネシ
になった。
ア大学、ベトナム・ホーチミン医科
授)
するリカレント教育をはじめ、様々
薬 科 大 学 と 本 学 と の 交 流 を 中 心 に、
核とする大学間交流はますます活発
さ ら に、 東 京 医 科 歯 科 大 学 は
2012年度「大学の世界展開力強
東南アジアの
中核として
そ実現したといえます」と話す。
での、医療・歯科医療ネットワーク
大山学長に、
2011年7月には、
タイ王国のシリントン王女よりチュ
T
M
D
U
医村での歯科保健活動にほぼ毎年ボ
C
U
ラロンコーン大学名誉博士の学位が
たいと思います。
クに滞在し、病院見学や学生交流を
関係を超えて、家族付き合いをしている大
教育面では、学部生・大学院生の
派遣と受け入れを行い、単位認定制
のよりどころになるように、 努力していき
ランティアで単身参加し、入れ歯治
ていましたが、このような先生と留学生の
授与された。この名誉ある学位授与
学生ばかりでなく、広くタイ在住の日本人
行い、また現地の日本人幼稚園で歯
このように、CU︲TMDUセンターが、留
以前、国際協力機構
(JICA)
のタイ所長をし
度を整備している。また、日本およ
関係者と家族付き合いをしています。私は
療などを行っている。タイ東北部の
く紹介されました。
は、本学の研究・教育面での貢献に
面にとどまらず、大山学長はじめ広く本学
科健康教育や歯磨き指導を実施した。
センターの機能が充実するにつれ
て学生交流も活発化している。医学
カ月間留学し、チュラロンコーン大
―
人のタイ
約100人、医学部で約
大山学長および TMDUのスタッフ・学生を迎
えて開催されたJDAT 主催の歓迎会
(2012年 9
月8日)
。
大学 ―東京医科歯科大学研究教育協
T
M
D
U C
U
大山学長に
名誉博士を授与
力(
20
11
T
M
D
U
20
C
U
小野田勝次
広く交流の拠点を目指して
Chapter 04
川口陽子教授
12
Bloom! 医科歯科 No.14
Bloom! 医科歯科 No.14
13
20
20
国際交流センター
タイ拠点コーディネーター
Message
東京医科歯科
大学研究教育
協力センター
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All Over The World
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臨床実習」として正規の選択カリキ
「ハーバード大学の学生と共に学ぶ
すべて英語で行う。この学生派遣は
育成に向けた取り組みが拡充された。
され、世界に伍す医師・医学研究者
ローバル人材育成推進事業」に採択
アジア、ひいては 世界をリードするため
医学教育改革にとどまらず研究力も強化
医学教育の 改革が 学内外
からの 評価につながる
教育をつくり上げてきた。その成果
ち帰り、東京医科歯科大学に独自の
大学医学部での研修で得た内容を持
これまで派遣された教員数は、延
べ130人。教員たちはハーバード
学生派遣が大きな柱となっている。
学医学部での臨床実習を目的とした
学部からの教員招聘、③ハーバード大
とした教員派遣、②ハーバード大学医
ーバード大学医学部での研修を目的
ている。この医学教育提携は、①ハ
提携に基づく様々な取り組みを進め
2005年度には、ハーバード大
学との取り組みが評価され、特別教
る受験生もいるほどです」
への学生派遣に参加することを挙げ
理由の一つにハーバード大学医学部
た、近年では本学に入学を希望する
が大きく貢献しているでしょう。ま
教育が評価されているのはこの提携
「 日 本 国 内 は も と よ り、 ア ジ ア を
はじめとした諸外国でも本学の医学
改革にとどまらないと語る。
らしたものは、教育カリキュラムの
大学との医学教育提携が本学にもた
湯浅保仁教授は、2012年9月
の教員派遣に参加した。ハーバード
脳循環を加速する若手研究者戦略的
「 医 学 教 育 の 改 革 に 続 き、 研 究 力
の 質 も 上 げ る 必 要 が あ り ま す。
『頭
象を広げることも視野に入れている。
野を超えた共同研究や他の領域に対
研究者が派遣されており、将来は分
を推進する。現在までに9人の若手
の研究施設に派遣し、国際共同研究
若手研究者をハーバード大学医学部
循環器病学、
精神医学の各分野から、
東京医科歯科大学医学部の腎臓病
「 頭 脳 循 環 を 加 速 す る 若 手 研 究 者
戦 略 的 海 外 派 遣 プ ロ グ ラ ム 」 で は、
ーバード大学のサマープログラムを
携の内容を医学教育に限定せず、ハ
ることが必要でしょう。例えば、提
よびグローバル人材育成推進事業の
バード大学医学部との提携
「学生の臨床実習派遣については、
継続していく計画です。また、ハー
学教育提携について続ける。
まっている。湯浅教授は、今後の医
バード大学との強い信頼関係から始
学、 消 化 器 病 学、 分 子 細 胞 生 物 学、
として、ブロックシステム、クリニ
育研究経費「国際性豊かな医療人・
海外派遣プログラム』では、ハーバ
組み合わせて
もしてくれています」
。
研究の基礎を学ぶ機会
日英相互交流も活発
に提携校を持つインペリアルカレッ
インペリアルカレッジへの留学
は、医学科4年次のプロジェクトセ
年、お
育などの医学教育改革が実現した。
カル・クラークシップ、医歯学融合教
世界的競争に打ち勝つことのできる
ード大学の研究設備を共同で使用で
ンから治療方針の決定まで、学生が
たった田中雄二郎教授は語る。
「インペリアルカレッジとの交換
留学は医学科にとって初めての交換
ロンドンにあるインペリアルカレッ
ジ。イギリスでの大学ランキングで、
ジが交換留学を結んだのも本学が初
留学プログラムです。また、世界中
ケンブリッジ大 学、オックスフォー
メ ス タ ー(
月 〜 2 月 末 ) に 行 う。
めて。これは、本学の研究レベルの
や教育学のレ
採択を機会に、次の段階へ進展させ
10
学英語の講義を開講することも視野
に入れたいと考えています」
アメリカの大学で研究職に就き、基
礎研究を手掛けている卒業生もいます」
高さが認められている証しでもあり
留学している。
毎年約4人、これまでに延べ
る。留学期間は2月中旬からの3カ
一方、インペリアルカレッジの学
生 は、 カ リ キ ュ ラ ム の 一 環 と し て、
ます。世界で見た本学の論文引用動
月間で、毎年4人程度、延べ 人を
東京医科歯科大学への留学を選択す
向などの実績も評価されています」
人が
M
B
A
受け入れている。
10
学生は、インペリアルカレッジが
東京医科歯科大学の学生のために用
■インペリアルカレッジから
東京医科歯科大学への留学
インペリアルカレッジの教育カリキュラ
ムの一環で3カ月間の研究期間が設け
られている。その中の研究プロジェクト
の一つに交換留学プログラムが位置づ
けられている。
留学協定を締結し、交換留学プログ
医学科 4年次のプロジェクトセメスター
期間
(10月~ 2月末)に毎年 4人程度が留
学。インペリアルカレッジから用意され
た12~ 24程度の研究課題から興味のあ
る課題を選択する。
32
ほしいと考えています。この経験に
「 本 学 の 学 生 に は、 留 学 期 間 中 に
研究の醍醐味を知り、視野を広げて
けていく。
学のより良い国際交流にも貢献する
保つことは、将来の東京医科歯科大
といいですね。留学経験者が交流を
学生主体の同窓会組織などができる
ます。例えば、卒業生同士、留学経
「 こ の 交 換 留 学 プ ロ グ ラ ム が 開 始
して9年が経ちました。今後はより
よって将来、本格的に留学する意欲
一層交流が深まることを期待してい
が高まることを期待しています。本
でしょう」
験者同士で相互交流を継続して行う
プ ロ グ ラ ム 1 期 生 の 中 に は、 現 在、
方、研究発表の進め方などを身に付
東京医科歯科大学側も、インペリ
意した研究課題から選択し、約5カ
■東京医科歯科大学から
インペリアルカレッジへの留学
さらに、インペリアルカレッジに
は東京医科歯科大学の卒業生が教員
32
ラムをスタートしている。このプロ
36
アルカレッジの学生に対していくつ
4
合計
月間、医学研究に従事する。実験に
5
と し て 在 籍。
「本学出身の高田正雄
4
2013
グラムで留学した学生は留学先で研
5
かのテーマに分けて研究課題を用意
5
2012
し て い る。 神 経、 内 分 泌、 消 化 器、
4
も慣れていない医学科4年次の学生
4
2011
たちは、英語を駆使しながら本格的
4
教 授 の 貢 献 も 大 き か っ た で し ょ う。
4
2010
高田教授はインペリアルカレッジ内
4
5
究課題に取り組むことで、留学期間
4
2009
の単位互換が認められる。また、留
2008
免疫などの分野が人気だという。
4
な研究生活を送ることになる。 3
で 両 校 の 調 整 役 を し て く れ ま し た。
3
2007
学中の授業料は免除され、宿泊施設
―
3
現地で留学中の本学学生のサポート
3
2006
も提供される。協定締結の交渉にあ
2004年度から東京医科歯科大
学は、インペリアルカレッジと交換
グでも常に 位以内に入る名門校だ。
ド大学に次いで3 位、世界ランキン
カリキュラムの 一環で
単位互換も 認定
海外で基礎的な 研究力を身に付ける
単位互換の相互交流プログラム
ム」に、さらに2012年度には「グ
研究者の養成」に採択された。20
●医歯学融合教育を導入 ●
「グローバル人材育成推進事業」
に採択
2004年からは、医学部6年次
を対象とした学生派遣が始まり、こ
2012年
クチャーを受けられるようにした
●医学部医学科の定員 105人となる ●カリキュラム 2011へ移行
きるので、人的交流の活性化や研究
●医学部医学科の定員100人となる
(地域枠 4人、研究者枠 1人)
2011年
11年度には、日本学術振興会(J
●医学部医学科の定員 90人となる
2010年
れまで計 人の学生が参加した。3
●クリニカル・クラークシップ開始
2009年
り、ハーバード大学の教員による医
2006年
成果にも期待できます」
●特別教育研究経費
「国際性豊かな医療人・世界的競争に打ち勝つこと
のできる研究者の養成」に採択
若手研究者戦略的海外派遣プログラ
●ハーバード大学における臨床実習が始まる
2005年
SPS)による「頭 脳 循 環 を 加 速 す る
ュラムにも設定されている。
●
「大学の世界展開力強化事業」に採択
●ハーバード大学と医学教育提携 ●カリキュラム 2002がスタート
2004年
カ月間の学生派遣では、実際の患者
教育だけにとどまらず
研究力の強化も目指す
的海外派遣プログラム」に採択
●教育を最重点課題とする方針が決まる
2002年
を受け持ち、症例プレゼンテーショ
■東京医科歯科大学とハーバード大学との医学教育提携に関連する流れ
遡ると、ハーバード大学との医学
教育提携は、鈴木章夫前学長とハー
東京医科歯科大学は、2002年
から、ハーバード大学との医学教育
● 日本学術振興会
(JSPS)による「頭脳循環を加速する若手研究者戦略
2001年
36
64
10
2005
Chapter 05
湯浅保仁教授
医学部長
田中雄二郎教授
14
Bloom! 医科歯科 No.14
Bloom! 医科歯科 No.14
15
人 インペリアルカレッジ 東京医科歯科大学
からの受入学生数 からの派遣学生数
年
All Over The World
All Over The World
医学部医学科
教育委員長
医歯学融合教育支援
センター長
Chapter 06
学生たちは、この交換留学を通じ
て、研究計画の立て方、論文の書き
■入学生数と派遣学生数
ハーバード
大学との
医学教育提携
インペリアル
カレッジとの
交換留学
プログラム
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