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新規導入した透析作成装置の 生菌汚染に対する当院の取り組み

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新規導入した透析作成装置の 生菌汚染に対する当院の取り組み
新規導入した透析液作成装置の
生菌汚染に対する当院の取り組み
医療法人ハートクリニック福井
長尾 泰明 1)、 余谷 公義、 江崎 浩平、
上村 元美、 福井 淳 2)
1)臨床工学技士
2013.2.3 第50回三重県透析研究会
2)医師
2012年8月 施設移転
透析ベッド数
40→70(50)床
水処理・透析液作成装置の新規導入
移転前
移転後のシステム変更点
NIPRO
東レ
RO装置
A剤
溶解
装置
・RO前処理装置の導入
東レ
B剤
溶解
装置
東レ
患者監視
装置へ
セントラル
・熱水消毒可能なRO装置の導入
・東レ・メディカル社製に統一
・装置全体が信号連動可能
移転後
東レ
TF-H
東レ
東レ
RO装置
A剤
溶解
装置
東レ
B剤
溶解
装置
東レ
セントラル
TP-AHI-G
TW-RH
TP-BHI-G TC-HI
患者監視
装置へ
水処理・透析液作成装置の新規導入
● RO前処理装置TF-Hとは?
原水中の
懸濁物質を除去
● 再生タンク-軟水化装置間フィルタ
※ 『 再生タンクから考える透析液清浄化 』 2012.三重県透析研究会
1. 原水FI値(汚れ指数)の低減
2. RO装置内フィルター及びROエレメントの寿命延長
3. RO水回収率向上
FLX-21GW(Nikkiso)
PEPA膜、疎水性
エアー逆洗及びエアースクラビング機能の搭載
→ TF-Hの中空糸膜の目詰まりをエアーにより除去する。
これにより中空糸膜の延命に寄与する。
逆洗
水道水
昨年、発表したフィルタ
逆洗すると汚れあり!!
しっかり、汚れをカットし効果を示している!!
』
水処理・透析液作成装置の初期汚染
装置稼働直後の生菌、ET値
0.1 CFU/mL
0.152 EU/mL
21.6 CFU/mL
0.281 EU/mL
汚
原水
生菌、ET
検出限界以下
プレフィルタ後
(ポジダイン)
RO膜後
A剤
溶解
装置
RO装置
プ
レ
フ
ィ
ル
タ
TF-H
汚
TF-H後
1.92 CFU/mL
0.134 EU/mL
軟
水
化
装
置
活
性
炭
汚
RO
膜
活性炭後
B剤
溶解
装置
患者
監視
装置
セントラル
汚
透析液配管
25.6 CFU/mL
4.253 EU/mL
0.16 CFU/mL
0.036 EU/mL
装置稼働直後、全体を100ppm過酢酸(キノーサンPA-400:クリーンケミカル社製)にて洗浄・消毒し
たにも関わらずRO膜からセントラル以外で生菌汚染が見られた。
● TF-Hに使われる中空糸膜の孔径は0.02μmである。生菌を通さない大きさのため、装置組立・導
入時の汚染を無くせば、TF-H以降のラインで無菌が可能ではないかと予想していた。
消毒プログラム
消毒方法
RO膜前
: 100ppm過酢酸(キノーサンPA-400 )の1時間封入(H24.10月から3ヵ月)
RO水ライン : 100ppmダイラケミHS(クリーンケミカル社製)によるシングルパス
(H24.7月から6カ月)
RO膜前:過酢酸
原
水
プ
レ
フ
ィ
ル
タ
TF-H
・・・
1W ・・・
10月
R
O
膜
前
R
O
水
ラ
イ
ン
軟
水
化
装
置
R
O
膜
前
A剤
溶解
装置
活
性
炭
・・・
~
~
R
O
水
ラ
イ
ン
7月
RO水ライン:ダイラケミHS
RO
膜
R
O
膜
前
B剤
溶解
装置
セントラル
R
O
水
ラ
イ
ン
患者
監視
装置
:生菌・ET測定場所
洗浄後の生菌の変化
RO水ラインのダイラケミHS消毒開始
RO膜前の過酢酸消毒開始
サンプル場所/月
サンプリング : MF法
培養条件 : R2A Ragar, 27℃
7月
8月
9月
10月
11月
12月
原水
21.6
15.2
12
31.2
23.5
14.6
TF-H後
1.92
2
2
0.08
< 0.02
0.02
ポジダイン(PF)・
軟水化装置後
0.1
0.3
0.3
< 0.02
< 0.02
< 0.01
活性炭後
25.6
32.5
36.4
33.4
44.4
45.6
ROタンク
< 0.02
< 0.02
< 0.02
< 0.02
< 0.02
< 0.01
0.08
0.06
0.02
< 0.02
< 0.02
< 0.01
透析液配管
* CFU/mL
・ RO水ラインはダイラケミHS消毒を開始して3ヶ月目で検出限界未満( < 0.01 )
を達成した。
・ RO膜前を過酢酸消毒を開始して、すぐに生菌が0.1未満となったが、活性炭の
汚染レベルを消毒するには不十分な濃度・方法であった。
洗浄後のET値の変化
RO水ラインのダイラケミHS消毒開始
RO膜前の過酢酸消毒開始
7月
8月
9月
10月
11月
12月
原水
0.281
0.32
0.107
0.116
0.617
0.23
TF-H後
0.134
0.116
0.053
0.043
0.044
0.041
ポジダイン(PF)後・
軟水化装置後
0.152
0.103
0.056
0.016
0.034
0.031
活性炭後
4.253
0.103
8.617
0.294
0.091
0.271
ROタンク
0.001
< 0.001
< 0.001
< 0.001
< 0.001
< 0.001
透析液配管
0.036
< 0.001
< 0.001
< 0.001
< 0.001
< 0.001
*EU/mL リムルス試験
・ RO水ラインはダイラケミHS消毒を開始してから、検出限界以下( < 0.001 )と
なった。
・ TF-HにETを除去する効果がない。しかし、ポジダインでETを除去できるはずが、
ポジダイン前後のET値に変化がなかった。
プレフィルタ、活性炭カートリッジの変化
PF圧差
:ポジダイン(0.45μm, PALL)
活性炭圧差 :FMC750-400H(kuraray)
膜 前後圧差 [ MPa ]
0.05
0.04
圧
差
変
化
な
し
0.03
0.02
0.01
Clogging・Leak、塩素検出無し
0
7月10日
8月10日
9月10日
10月10日
11月10日
12月10日
まとめ
• 新規導入した水処理・透析液作成装置に生菌汚染があった。
• RO膜前を100ppm過酢酸、RO水ラインを100ppmダイラケミHSを
使った消毒で生菌汚染に対応した。
• 生菌値は活性炭以外は逆濾過透析用の水質基準
( < 0.1CFU/mL )を満たすことができた。
• ET値はRO水ラインで検出限界以下( < 0.001 EU/mL )となった。
• TF-Hを導入したことで、RO前処理のフィルタの寿命が延び、原水
からの生菌を抑えることができた。
• 今後、
1. ポジダインを再検討し、ET値の低下
2. 活性炭の生菌汚染の除去
に力をいれていきたい。
清浄度の高い水質
患者さんに綺麗な透析液の供給
将来的にo-HDFの実施
水処理・透析液
作成装置 RO膜リーク時でも
ROの保守業務の減少
清潔な水を供給
空いた時間で、
その他の医療機器のメンテナンス
RO膜リーク時でもRO水ラインの
生菌浸入予防
ご清聴ありがとうございました。
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