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心臓MRI検査・核医学検査の有用性について
平成24年 6 月 地域医療連携室だより 第62号 心臓MRI検査・核医学検査の有用性について 循環器内科 谷口 泰代 現在、当センターでは、磁場強度 3 テスラ(T)と1.5 T の 2 台のMRI装置が稼働し、頭部及 び心臓検査を中心に年間約6000件の検査を行っています。平成22年 4 月より1.5T にて心臓専用 コイル(32ch)を導入し特に心臓画像の描出能が向上しています。心臓の件数は年間約350件 で漸増しています。 MRI では強力な磁力と電波を使用し撮像には時間を要しますが、被曝がない分、小児や女性に も優しい検査といえます。MRI を利用した非造影冠動脈画像では造影剤を用いることなく、心電 図同期と呼吸同期により約 8 -10分程度の撮像で冠動脈や冠動脈壁の情報がわかります。 心臓MRIでわかること 非造影でわかることとして 1 )冠動脈狭窄の有無 2 )冠動脈壁プラークの性状 3 )心機 能解析、弁膜症の有無、先天性のシャント疾患の形態評価 4 )大血管や四肢、頭頸部動脈の 狭窄の有無が評価でき、造影を行うことで 4 )心臓腫瘍の性状 5 )大動脈瘤や解離や壁内出 血や血栓 6 )心筋の壊死や障害範囲などがわかります。 心臓 MRI が有用なケース ①冠動脈の石灰化が高度な場合 ( 川崎病や透析患者 )、②女性や小児、③先天性心疾患、④心 臓腫瘍、⑤心筋症や心筋梗塞症での心筋障害の程度を判断する場合 心臓 MRI が有用でないケース ①閉所恐怖症、②ペースメーカーやICD(植え込み式除細動器)が挿入されている、③不整脈(心房細 動)、④ステントが挿入されている場合の冠動脈評価、⑤透析症例での心筋評価(造影剤が使えません) *体内にステントが挿入されていても MRI は撮像できますが、冠動脈の評価はできません。 *体内に金属が入っていても撮像できる場合がありますので、詳細は検査室までお問い合わせください。 心臓核医学検査 当院では 3 台の核医学検査機器があり( 2 点検出器 2 台と 3 点検出器 1 台)、2011年11月 から新しく導入した装置では、心筋 SPECT と心臓 CT との Fusion Imaging が出来るようにな りました。当院の心臓核医学検査は年間1900件を超え、わが国でも 5 本の指に入る検査件数を 行っております。 心臓核医学検査で分かること 血流評価:心筋細胞の虚血や壊死の範囲(RI 心筋シンチグラフィで診断)がわかります。さら に、最近では心臓 CT での冠動脈と心臓核医学検査の画像を重ね合わせることが可能で、狭窄 や閉塞ある血管が支配する領域にどの程度の心筋障害や虚血があるか明瞭となり、治療のスト ラテジーに大活躍をしています。本年度には心臓 MRI との fusion imaging を検討中です。 機能評価:心臓 MIBG 心筋 SPECT 検査で は交感神経の異常の有無がわかり、心 不全の予後評価が可能です。さらに最 近ではパーキンソン病やレビー小体病 (認知症)では病期に応じて交感神経活 性が異常となることが知られ、神経内 科的な診断や治療経過に重要な位置を 占めています。