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第2部 - 山形県ホームページ

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第2部 - 山形県ホームページ
2
第2部
各論
1
第1章
県民の視点に立った医療提供体制の整備
第1節 保健医療圏における医療提供体制の整備
■ 医療提供体制の体系的整備
《現状と課題》
● 三次保健医療圏は全県が一つの圏域であり、山形大学医学部附属病院と県立中央病院
を三次医療機関として、高度で特殊な医療や二次保健医療圏内で対応が困難な専門的医
療を提供しています。
● 二次保健医療圏は、住民の医療の大部分が完結する村山、最上、置賜、庄内の各地域
がそれぞれの圏域であり、県立病院や比較的規模の大きい公立病院等を地域の基幹病院
(※)として、比較的専門性の高い外来医療と一般的な入院医療を提供しています。
※ 本計画においては、概ね400床以上の一般病院と、地域性を考慮し北村山公立病院及び県立
河北病院を基幹病院という。
● 日常的な病気やけが等の患者に対する身近な医療(一次医療)については、診療所(開
業医)や、地域によっては病院などの医師が「かかりつけ医」として治療を行い、患者
の症状によって他の専門的な医療機関に紹介することなどにより対応しています。
《施策の方向》
● 県は、関係機関と連携し、本県において必要性の高い高度、専門医療の提供体制の整
備充実を推進するとともに、各二次保健医療圏において、比較的専門性の高い外来医療
と一般的な入院医療の確保を推進します。
● 県は、「かかりつけ医」及び「かかりつけ歯科医」の普及・定着を推進します。
《評価目標》
項 目
現 状
目 標
25年度
26年度
27年度
28年度
29年度
「かかりつけ医」の普及率
75.4%
(平成23年度)
−
−
−
80%
−
「かかりつけ歯科医」の普及率
67.9%
(平成23年度)
−
−
−
80%
−
[山形県「県政アンケート調査」(調査周期:5年)]
25
《主な施策》
● 山形大学医学部附属病院と県立中央病院は、三次医療機関として高度で特殊な医療や
二次保健医療圏で対応が困難な専門的医療を提供します。
● 県及び市町村は、各二次保健医療圏において比較的専門性の高い外来医療と一般的な
入院医療が確保されるよう県立病院や公立病院等の医療提供体制を整備します。
● 県は、チラシやホームページ等により「かかりつけ医」及び「かかりつけ歯科医」の
普及に向けた県民への啓発を行います。
一次、二次、三次医療機関について
一次医療機関
主に、地域住民の身近なところにある診療所が該当します。
日常的な病気や外傷等の治療を行い、患者の症状によって他の専門的な医療
機関へ紹介します。
また、単に治療だけでなく、健康相談や疾病の予防、機能回復訓練などを行
う「かかりつけ医」としての役割を担います。
二次医療機関
病院(三次医療機関を除く。)が該当します。
専門性のある外来医療と一般的な入院医療を提供します。
村山、最上、置賜、庄内の各二次保健医療圏を診療圏域とします。
三次医療機関
山形大学医学部附属病院と県立中央病院が該当します。
高度で特殊な医療を提供します。
県全域を診療圏域として、二次医療機関で対応が困難な医療を提供する役割
を担います。
有床診療所の役割
・ 有床診療所は、日常的な病気等の治療、健康相談や疾病の予防、機能回復訓練など
を行う「かかりつけ医」としての役割を担うとともに、自ら病床を持ち入院医療を提
供しています。
・ 在宅医療を推進する中にあって、症状悪化時の入院治療や24時間体制での往診等が
可能な有床診療所は、急性期医療から在宅医療への受け渡し役として重要な役割が期
待されます。
在宅医療等のために必要な診療所の一般病床については、既存病床数が基準病床数
を超える場合であっても、有床診療所の特例(本計画24頁参照)により設置すること
が可能であり、有床診療所は、こうした特例制度の活用も含め、在宅医療等において
積極的な役割を果たすことが望まれます。
26
一般病院の体制図(平成24年4月1日現在)
◇ 順仁堂遊佐病院 84 ▲
◇ 町立真室川病院 55 〇
◆ 日 本 海 総 合 病 院
◇ 日本海総合病院
酒田医療センター
◇ 本
間
病
院
◇ 酒 田 市 立 八 幡 病 院
646 〇
114 ▲
154 〇▲
46 〇
◆ 県立新庄病院
454 〇
◇ 新庄徳洲会病院 270 〇▲
◇ 庄内余目病院 324 〇▲
◆
◇
◇
◇
◇
◇
鶴 岡 市 立 荘 内 病 院
鶴 岡 協 立 病 院
産婦人科・小児科三井病院
宮
原
病
院
協立リハビリテーション病院
鶴岡市立湯田川温泉 リハビリテーション病院
◇ 三
川
病
院
520
241
41
39
156
◇ 最上町立最上病院 70 〇▲
最上二次医療圏
庄内二次医療圏
〇 〇▲
〇 ▲ ▲ ◇ 尾花沢病院 152 ▲
◇ 寒河江市立病院 125 〇
120 ▲ 194 ▲ ◆ 県立河北病院 225 〇
◆ 北村山公立病院
◇ 山形ロイヤル病院
◇ 西川町立病院 51 〇
村山二次医療圏
◇ 天 童 市 民 病 院
◇ 天 童 温 泉 篠 田 病 院
◇ 吉
岡
病
院
◇ 朝日町立病院 60 〇
◇ 白鷹町立病院
70 〇
◇ 公 立 置 賜 長 井 病 院
◇ 吉 川 記 念 病 院
110
200 ▲
◇ 県立総合療育
訓練センター 60
◇ みゆき会病院
183 〇▲
◇ 公立置賜
南陽病院 50
◇ 公立高畠病院 130 〇▲
置賜二次医療圏
◇ 小国町立病院
55 〇
◆ 公立置賜総合病院
◇ 川西湖山病院
◆
◇
◇
◇
◇
二次医療機関
病院数
自治体
病院数
◎ 三次医療機関
2
1
◆ 二次医療機関(各地域の基幹病院)
9
8
44
15
55
24
病院凡例
◇ 二次医療機関
計
520 〇
109 ▲
米 沢 市 立 病 院
三
友
堂
病
院
舟
山
病
院
三友堂リハビリセンター
国立 病院 機構 米沢 病院
360 〇
288 ▲
425
190
194
120
220
84 〇▲
124 〇
142 〇▲
◎ 山 大 医 学 部 附 属 病院
625 〇
◎
◆
◆
◇
◇
◇
◇
◇
◇
◇
◇
◇
660
585
473
252
383
30
230
148
55
26
308
292
県 立 中 央 病 院
山 形 市 立 病 院 済 生館
済 生 会 山 形 済 生 病院
東 北 中 央 病 院
篠 田 総 合 病 院
横
山
病
院
至 誠 堂 総 合 病 院
小 白 川 至 誠 堂 病 院
矢
吹
病
院
井 出 眼 科 病 院
国立 病院 機構 山形 病院
山 形 徳 洲 会 病 院
〇
〇
〇
〇
〇▲
〇
〇▲
▲
〇▲
〇
〇
〇▲
▲
※自治体病院数には地方独立行政法人が開設する病院を含む。
〇 救急告示病院
36
19
▲ 療養病床を有する病院
25
5
※町立金山診療所は、救急告示診療所となっている。
※数字は病院における病床数で、一般・療養病床のほか、精神・結核・感染症病床も含む。
資料:県地域医療対策課調べ
27
精神、結核、感染症病床の分布状況(平成24年4月1日現在)
▲日本海総合 4
○山容 313
○酒田東 120
▲県立新庄 2
○新庄明和 180
○三川 96
●県立鶴岡 294
○尾花沢 126
○寒河江の庄 130
▲県立河北 6
○小原 180
○秋野 226
○天童温泉篠田 60
▲県立中央 2
○千歳篠田 300
○二本松山形 339
●山大附属 36
■国立病院機構山形30
(
※)
(※)
○若宮 165
○山形厚生 312
○二本松上山 424
●公立置賜長井 60
○佐藤 258
●公立置賜総合 20
▲公立置賜総合 4
○吉川記念 150
凡 例
●米沢市立 76
公的
病院
民間
病院
精
神
●
○
結
核
■
−
感 染 症
▲
−
※数字は病院における病床数を表す。
資料:県地域医療対策課調べ
28
■ 地域医療連携の仕組みづくり
《現状と課題》
● 医療ニーズの多様化や高齢化の進行等に対応するためには、限られた医療資源を効率
的に活用し、各医療機関の医療機能の明確化や役割分担による医療連携体制の構築が不
可欠です。
● 病院の地域医療連携部署は、他の医療機関への患者紹介や介護・福祉施設の受入れ調
整など医療連携を進めるため重要な役割を担っています。
● 地域の基幹病院では、開業医との協力医制度やICT(情報通信技術)を活用した患
者紹介システムを導入しています。
● 県内では、がんや脳卒中など主要な疾病に係る医療連携を進めるため、地域連携パス
が運用されています。
● 地域連携パスは、一部の疾病に限られていること、地域全体の広がりまでに至ってい
ないこと等が課題となっています。
● 今後とも持続的な取組みとするためには、現在運用されている地域連携パスについ
て、データの集積や問題点の検証等のPDCAサイクルの推進が必要です。
● 医療連携のみならず、介護との連携等も見据えた地域連携パス参加機関の拡大が必要
です。
《施策の方向》
● 県は、医療連携を推進するため引き続き地域連携パスの普及拡大を支援します。
● 地域連携パスの実施主体は、適宜見直し等を図りながら、効果的に運用し、県民に対
し切れ目のない医療サービスの提供に努めます。
● 県は、医療関係者が地域連携パスを持続的に運用できるようにするための環境づくり
を支援します。
● 県は、各地域で切れ目のない医療サービスを提供するため、介護・福祉施設まで含め
た介護サービス計画(ケアプラン)との連携も視野に入れた取組みを推進します。
《評価目標》
項 目
現 状
地域連携パスに参加している医
科医療機関の数
165
(平成24年度)
目 標
25年度
26年度
27年度
28年度
29年度
175
185
195
205
215
[県地域医療対策課調べ]
29
《主な施策》
● 地域連携パスの各実施主体は、二次保健医療圏を基本に、疾病の特徴や医療資源の状
況、患者の受診行動などの地域の実情を踏まえ、関係機関と連携を図りながら連携医療
機関の拡大や適用患者の増加等に努めます。
● 県は、地域ごとの取組みの調整を行うなど、各地域の地域連携パスの実施主体が取り
組みやすい環境づくりを推進します。
● 県及び地域連携パスの実施主体は、地域連携パスをさらに持続的・効果的に運用する
ため、ICTを活用した電子パスの導入を推進します。
● 地域連携パスの実施主体は、介護支援専門員等との連携を密にし情報共有を図り、介
護サービス計画(ケアプラン)等に基づき切れ目のない医療・介護サービスを提供しま
す。
30
■ 地域医療支援病院の整備
《現状と課題》
● 紹介患者に対する医療の提供や医療機器の共同利用、地域の医療従事者への研修等に
より、
「かかりつけ医」を支援する機能を有する地域医療支援病院が平成10年から制度
化されており、本県では山形市立病院済生館、鶴岡市立荘内病院、公立置賜総合病院、
日本海総合病院が承認されています。
地域医療支援病院の承認状況
地 域
医療機関名
承認年月日
村 山
山形市立病院済生館
平成15年11月25日
置 賜
公立置賜総合病院
平成23年12月19日
鶴岡市立荘内病院
平成20年12月19日
日本海総合病院
平成24年11月26日
庄 内
● 地域医療支援病院の承認を受けるには、紹介率・逆紹介率(※)、医療機器等の共同
利用や地域の医療従事者に対する研修の実施等の要件を満たす必要があります。
※紹 介 率=(紹介患者の数+救急患者の数)÷初診患者の数
逆紹介率=逆紹介患者の数÷初診患者の数
県内の地域医療支援病院の状況(平成23年度)
山形市立病院済生館
鶴岡市立荘内病院
公立置賜総合病院
紹介率
74.5%
73.1%
67.3%
逆紹介率
65.4%
52.2%
47.1%
共同利用登録医療機関数
82か所
66か所
149か所
23件
12件
5件
1,287件
67件
760件
19,481人
20,223人
23,108人
うち救急搬送数
4,837人
4,500人
3,633人
研修等の開催回数
24回
139回
37回
1,
129人
3,266人
2,033人
372人
1,761人
496人
共同診療
機器の共同利用
救急患者数
研修の参加者数
うち院外の参加者数
《施策の方向》
● 県は、地域医療支援病院の承認を目指す病院を積極的に支援します。
● 地域医療支援病院は、「かかりつけ医」等を支援する医療機関として、地域で必要な
医療を確保するとともに、地域の医療機関との連携を推進します。
31
《評価目標》
項 目
地域医療支援病院の承認数
現 状
4
(平成24年度)
目 標
25年度
26年度
27年度
28年度
29年度
̶
̶
̶
̶
̶
[県地域医療対策課調べ]
※ 現在、国において地域医療支援病院の承認要件等の見直しを検討していることから、その結果を
踏まえ設定します。
《主な施策》
● 県は、地域における医療機関の連携を推進するため、地域医療支援病院の承認を希望
する病院を積極的に支援し、その充実を図ります。
32
第2節 保健医療圏ごと、医療機関別の機能の明確化と役割分担の促進
《現状と課題》
● 本県は、各二次保健医療圏ともに、当該圏域での受療割合が高くなっており、圏域と
してある程度独立性を有すると認められます。
また、各二次保健医療圏とも比較的面積が広くなっています。
● 二次保健医療圏ごとに医療施設、医療従事者等の医療資源の状況が異なっており、医
療提供体制に地域差があります。
● 今後、人口の減少も踏まえつつ、県民に対する医療サービスを充実し、勤務医をはじ
めとする医療従事者の負担軽減を図るためには、医療の質の向上に加え、医療資源の効
率的活用を図ることが必要であり、そのためには、医療機関の機能分担と連携が不可欠
です。
また、医療現場からは、長期にわたり療養を必要とする患者が一般病床に入院してい
る現状もあるとの声も聞こえており、福祉施設も含めた機能分担と連携が必要です。
● 平成15年度から診療報酬の支払いに診断群分類(diagnosis procedure combination。
以下「DPC」という。)が用いられ、国においては、全国統一様式で蓄積された病名
などの臨床情報と診療行為に関するデータ(DPCデータ)が蓄積されており、その活
用が期待されています。
県立日本海病院と酒田市立酒田病院の統合再編
(医療機関の機能集約と役割分担を図った事例)
【概要】
北庄内地域において、将来にわたり「安心、信頼、高度」の医療を安定的に提供
していけるよう、平成20年度に県立日本海病院と市立酒田病院の運営を県と市が設
置する「地方独立行政法人山形県・酒田市病院機構」へ移行するとともに、急性期
医療機能を日本海総合病院に、回復期医療機能を酒田医療センターに集約するな
ど、医療機能や組織体制を統合再編しました。
平成19年度(統合再編前)
県立日本海病院 528床
市立酒田病院 400床
合 計 928床
平成23年度(統合再編後)
日本海総合病院 646床
酒田医療センター 114床
合 計 760床(▲168床)
【統合再編に伴う主な効果】
・医療の質の向上(医師の集約化による手術件数の増加等)
・財務内容の改善(法人設立以降4期連続で黒字決算を計上)
・医師や看護師等の勤務環境の改善
33
《施策の方向》
● 県は、二次保健医療圏ごとに、地域全体での医療機能の確保に向け、医療機関の機能
分担と連携を促進します。
● 地域の基幹病院及び県立病院は、安心で信頼のおける高度な医療を提供し、医療を取
り巻く環境の変化や県民の医療ニーズ等に対応する医療機能の重点的な整備や充実を図
るとともに、他の医療機関との協力や連携を推進します。
《評価目標》
項 目
現 状
「第2章第2節 地域における
1回
医療連携体制」及び「第3章 在宅医療の推進」に記載した医 (平成23年度)
療機関の更新
目 標
25年度
26年度
27年度
28年度
29年度
1回
1回
1回
1回
1回
[県健康福祉企画課調べ]
《主な施策》
● 県は、本計画に基づき、疾病及び事業ごとの医療連携体制の構築を推進するとともに、
県民に対し病時や緊急時の医療提供体制を周知するため、二次保健医療圏ごとにそれぞ
れの医療機関が担う機能について医療機関名を具体的に明示します。
● 県は、山形大学医学部や県医師会等の協力も得ながら、関係者による協議や検討の場
を設定することなどにより、医療機関の機能分担と連携を促進します。
【村山地域】
● 村山地域では、2つの三次医療機関(山形大学医学部附属病院及び県立中央病院)
や基幹病院が集中するという特性を活かしつつ、県は、医療機能の十分な連携を促進
します。
● 村山地域では、特に西村山地域及び北村山地域において、医師不足等により医療提
供体制の確保が懸念されています。
このため、県は、関係医療機関や山形大学医学部等で構成する懇談会での検討等を
通じて、同地域における中長期的な医療提供体制の将来ビジョンを策定するととも
に、同ビジョンに基づく取組みを推進します。
【最上地域】
● 最上地域では、県立新庄病院が、地域唯一の基幹病院として、二次保健医療圏に必
要な幅広い診療体制の確保や重篤な患者にも対応できる専門性が求められています。
このため、県は、最上地域における患者動向、医療ニーズ及び医療資源を展望し、
県立新庄病院の機能強化に必要な改築整備を検討します。
34
【置賜地域】
● 置賜地域では、公立置賜総合病院及び米沢市立病院が基幹病院としての役割を担っ
ています。
県は、医療情報ネットワーク(O K I-n et)の活用等による基幹病院と地域の医療
機関等との連携強化を促進します。
【庄内地域】
● 庄内地域では、北庄内は日本海総合病院、南庄内は鶴岡市立荘内病院が、それぞれ
基幹病院としての役割を担っています。
県は、医療情報ネットワーク(ちょうかいネット)の活用等による基幹病院と地域
の医療機関等との連携強化を促進します。
● 県立鶴岡病院は、県内の精神科医療機関と連携し、精神科医療ネットワークの中核
機関としての役割を担います。
35
第3節 患者の視点に立った安心な医療の確保
■ 県における医療機関情報の提供
(1)県医療機関情報ネットワークによる医療機関情報の提供
《現状と課題》
● 県では、平成17年5月から「医療機関情報ネットワーク」により、県内の医療機関の
名称、所在地、診療科目、診療時間などの情報を提供しています。
● 平成19年4月の医療法改正により、医療機関が県に医療機能情報を届出て、県がイン
ターネットを通じて県民に分かりやすく提供することで、医療機関の適切な選択を支援
することを目的とした医療機能情報提供制度が創設されています。
● また、医療機関の適切な選択を支援する観点から、医療機関が広告可能な事項の規定
について、
「個別事項を列挙する方式」から、一定の性質を持った項目ごとに「包括的
に規定する方式」に改められ、広告可能な内容が相当程度拡大されるとともに、広告を
行う際の指針として「医療広告ガイドライン」が作成されました。
● 平成24年3月にまとめられた国の「医療情報の提供のあり方等に関する検討会」の報
告書に基づき、平成24年9月に医療機関のホームページの内容の適切なあり方に関する
指針(医療機関ホームページガイドライン)が策定されるとともに、医療機能情報提供
制度の見直しが行われています。
《施策の方向》
● 県は、国における医療機能情報提供制度の見直し等を踏まえながら、同制度の円滑な
運用や、医療機関の広告への指導等を通じ、県民への適切な医療情報の提供に努めます。
《評価目標》
項 目
現 状
医療機関情報ネットワークへの
56,397
アクセス数
(平成23年度)
目 標
25年度
26年度
27年度
28年度
29年度
56,
397
56,397
60,000
60,000
70,000
[県地域医療対策課調べ]
《主な施策》
● 県は、国の医療機能情報提供制度の改正に合わせたシステム改修等を行い、システム
の利便性の向上を図ります。
● 医療機関は、県への定期報告や随時の情報更新により、県民への正確かつ適切な医療
機能情報の提供に努めます。
● 県は、「医療広告ガイドライン」や「医療機関ホームページガイドライン」に基づき、
医療機関における情報提供が適切に行われるよう指導します。
36
(2)医療計画における地域の医療機能や連携の状況の明示
《現状と課題》
● 患者及び家族の安心のため、個別の医療機関の情報に加え、治療の流れや医療機関の
役割などの地域における医療連携体制に関する情報の提供が必要です。
● インターネットを活用した情報提供に加え、印刷媒体も活用した県民に対する情報の
提供が必要です。
《施策の方向》
● 県は、本計画において、がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病及び精神疾患の5疾病、
小児救急を含む小児医療、周産期医療、救急医療、災害時における医療及びへき地医療
の5事業並びに在宅医療に係る医療連携体制を二次保健医療圏ごとに明示し、県民に情
報を提供します。
《評価目標》
項 目
現 状
「第2章第2節 地域における
1回
医療連携体制」及び「第3章 在宅医療の推進」に記載した医 (平成23年度)
療機関の更新
目 標
25年度
26年度
27年度
28年度
29年度
1回
1回
1回
1回
1回
[県健康福祉企画課調べ]
《主な施策》
● 県は、本計画に基づき、疾病・事業ごとの医療連携体制の構築を推進するとともに、
県民に対し病時や緊急時の医療提供体制を周知するため、各二次保健医療圏においてそ
れぞれの医療機関が担う機能ごとに医療機関名を具体的に明示します。
● 県は、本計画に記載した医療機関について、少なくとも年1回の更新を行い、最新の
情報を県民に提供します。
37
■ 患者の安心に配慮したサービスの提供
《現状と課題》
● 患者の自己決定権を重視するインフォームドコンセント(※)の理念に基づく医療を
推進することを目的に、国は、平成15年9月に「診療情報の提供等に関する指針」を策
定しました。
※ 患者に十分説明し、患者の同意を得て検査や治療を実施すること。
● 平成19年4月の医療法改正において、医療提供の理念に「医療を受ける者の意向を十
分に尊重すること」が追加され、同時に、医療機関の管理者に対し、患者の入院時に治
療計画等を記載した書面を交付することが義務づけられました。
さらに、退院時には療養に関する計画書を交付するよう努めることとされました。
(医
療法第6条の4)
● 平成17年4月から施行された個人情報保護法及び厚生労働省の「医療・介護関係事業
者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」等により、個人の診療記録
については、本人の請求があった場合、原則として開示することとされています。
● 患者が自分の受ける医療について十分に理解を深めるために、診断や治療方針につい
て主治医以外の医師の意見を求めるケースも増えています。
● また、患者やその家族からの相談などを受け付ける「患者のための専門の相談窓口」
(医療相談窓口、医療相談室等)を設置する病院も増えています。
● 県では、平成16年1月から医療安全相談窓口を設置し、患者や家族等からの医療に関
する苦情や相談に対応しています。
● 医療機関は、自らの提供する医療について、正確かつ適切な情報を提供する観点から、
医療機能情報提供制度に基づき、県民が自機関の医療機能情報を閲覧できるよう努めて
います。
《施策の方向》
● 県は、関係機関と連携し、医療機関における診療情報提供を引き続き推進していくと
ともに、インフォームドコンセントやセカンドオピニオン(※)の普及・定着を図ります。
※ 主治医以外の専門医師の意見を求めること。
● 県は、引き続き、医療安全相談窓口を通じ、医療に対する苦情・相談への対応を行い
ます。
《評価目標》
項 目
現 状
79.7%
医療安全相談窓口への相談者の
(平成21∼23年度)
満足度
目 標
25年度
26年度
27年度
28年度
29年度
80%
80%
80%
80%
80%
[県地域医療対策課調べ]
38
《主な施策》
● 県は、県医師会や県病院協議会などの関係団体と連携し、医療法に規定された入退院
時の書面の作成及び交付などインフォームドコンセントを促進します。
また、医療機能情報提供制度に基づき各医療機関の情報提供が着実に実施されるよう指
導していきます。
● 県は、医療安全相談窓口について、県民への一層の周知を行うとともに、相談員の研
修等により相談体制の充実を図ります。
■ 医療機関における入退院時の患者等に対する情報の提供
《現状と課題》
● 病院では、入院期間中のスケジュール(手術、食事、投薬、退院など)を明示した診
療計画を作成し、入院時に患者へ交付する取組みが普及しています。
● 県内では、がんや脳卒中など主要な疾病に係る医療連携を進めるため、地域連携パス
が運用されています。
● 地域連携パスは、一部の疾病に限られていること、地域全体の広がりまでに至ってい
ないこと等が課題となっています。
● 今後とも持続的な取組みとするためには、現在進められている地域連携パスについ
て、データの集積や問題点の検証等のPDCAサイクルの推進が必要です。
● 医療連携のみならず、介護との連携等も見据えた地域連携パス参加機関の拡大が必要
です。
《施策の方向》
● 県は、医療連携を推進するため引き続き地域連携パスの普及拡大を支援します。
● 地域の実施主体は、適宜見直し等を図りながら、地域連携パスを効果的に運用し、県
民に対し切れ目のないサービス提供に努めます。
● 県は、医療関係者が地域連携パスを持続的に運用できるようにするための環境づくり
を支援します。
● 県は、各地域で切れ目のない医療サービスを提供するため、介護・福祉施設まで含め
た介護サービス計画(ケアプラン)との連携も視野に入れた取組みを進めます。
《評価目標》
項 目
現 状
地域連携パスに参加している医
科医療機関の数
165
( 平成24年度)
目 標
25年度
26年度
27年度
28年度
29年度
175
185
195
205
215
[県地域医療対策課調べ]
39
《主な施策》
● 医療機関は、患者が自ら受ける診療内容への理解を深めるため、地域連携パスに関す
る取組みを一層推進します。
● 地域連携パスの各実施主体は、二次保健医療圏を基本に、疾病の特徴や医療資源の状
況、患者の受診行動などの地域の実情を踏まえ、関係機関と連携を図りながら連携医療
機関の拡大と適用患者の増加に努めます。
● 県は、地域ごとの取組みの調整を行うとともに、各地域の地域連携パスの実施主体が
取り組みやすい環境づくりを進めます。
● 県及び地域連携パスの実施主体は、地域連携パスをさらに持続的・効果的に運用する
ため、ICTを活用した電子パスの導入を推進します。
● 地域連携パスの実施主体は、介護支援専門員等との連携を密にし情報共有を図り、介
護サービス計画
(ケアプラン)等に基づき切れ目のない医療・介護サービスを提供します。
40
第4節 医療安全対策の推進
■ 医療安全相談窓口の役割、医療安全確保対策、院内感染防止対策の徹底
《現状と課題》
● 県では、平成16年1月から医療安全相談窓口を設置し、患者や家族等からの医療に関
する苦情や相談に対応しています。
医療安全相談窓口の相談件数
年 度
件 数
うち新規相談者
平成21年度
382
276
平成22年度
313
234
平成23年度
316
260
相談者の満足度
79.7%
資料:県地域医療対策課調べ
※ 「相談者の満足度」は、新規相談者のうち窓口からの助言等に満足した者の割合
● 平成19年4月の医療法改正により、医療機関には、安全管理体制の整備、院内感染防
御体制の整備、医薬品や医療機器の安全使用及び管理体制の整備が義務づけられてお
り、その適切な運用が求められています。
《施策の方向》
● 県は、医療安全相談窓口を通じ、医療に対する苦情や相談への対応を行います。
● 県は、関係機関に対し、医療機関の安全確保対策について周知するとともに、医療法
第25条に基づく立入検査などを通じ、適切な運用を指導します。
《評価目標》
項 目
現 状
医療安全相談窓口への相談者の
79.7%
(平成21∼23年度)
満足度
目 標
25年度
26年度
27年度
28年度
29年度
80%
80%
80%
80%
80%
[県地域医療対策課調べ]
《主な施策》
● 県は、医療に対する安全と信頼を高めるとともに、医療機関における患者サービスの
向上を図り、患者や家族と医療機関の信頼関係の構築を支援するために、引き続き医療
安全相談窓口を運営し、医療に関する患者、家族などからの苦情や相談などへの対応や、
医療機関への情報提供、連絡調整などを行います。
また、医療安全相談窓口について、県民への一層の周知を行うとともに、相談員の研
修等により相談体制の充実を図ります。
● 県は、医療安全に関する情報を、積極的に医療機関や関係団体に提供し、周知及び意
識の啓発を図ります。
● 医療機関は、適切な医療安全対策を講ずるとともに、県は、医療法第25条に基づく立
入検査などを通じ、適切な運用がなされるよう指導や助言を行います。
41
■ 医薬分業の推進、後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用促進
《現状と課題》
● 医薬分業とは、医師や歯科医師が患者の診断及び治療を行い、薬剤師が医師や歯科医
師の処方せんに基づく調剤や薬歴管理、服薬指導を行い、それぞれの専門性を発揮して
薬を用いた治療の有効性と安全性を高め、医療の質的向上を図ろうとするものです。
● 医薬分業では、薬剤師による医師と独立した立場からの処方チェック、医師が手持ち
医薬品にしばられずに処方ができる、処方内容の患者への開示などが利点となります。
● 医薬分業では、医療機関と薬局が患者さんの「お薬手帳」を通して医薬品の情報を共
有することにより、治療に用いる医薬品の安全性や有効性が一層高くなります。
また、
「お薬手帳」は、災害時や不慮の事故等の際の円滑な診療にも有用です。
● 本県の医薬分業は順調に進展し、平成23年度末現在の医薬分業率(薬局における院外
処方せんの受取率)は全国平均の64.6%を上回る65.
1%に達しています。
● 薬局は、医療法で「医療提供施設」として位置づけられており、また在宅医療を受け
ている患者の居宅等で調剤業務の一部を行うことが可能なことから、医薬分業の定着と
ともに、今後、在宅医療等への一層の関与が期待されています。
● 「かかりつけ薬局」を持つことで、同種同効薬の重複投与の防止のほか、在宅医療に
おける薬剤管理も含め、医薬品使用に係る総合的な安全性を向上できる利点があります。
● また、政府では、患者の経済的負担の軽減や、医療保険財政の改善に資するため、平成
24年度までに後発医薬品(※)の全医薬品に対する数量的な使用割合を30%以上にする
ことを目標に掲げており、今後、より一層の後発医薬品の使用促進が求められています。
※ 先発医薬品(新薬)の特許が切れた後に販売される、先発医薬品と同じ有効成分、同じ効能
や効果をもつ医薬品
《施策の方向》
● 県は、県薬剤師会などの関係団体と連携を図りながら、医薬分業に係る薬局の機能拡
大として、地域の実情に即した在宅医療への関与などを推進します。
● 県は、利用者による薬局の自由な選択を支援するため、県内の薬局の機能に関する情
報を集約し、利用者に対しわかりやすく提供します。(薬局機能情報ネットワーク)
● 県は、医療機関における医薬品の重複した処方の防止や、薬局における医薬品の使用
履歴の確認が、より確実に行われるよう、お薬手帳の活用を推進します。
● 県は、県薬剤師会と連携を図りながら、医薬品の適正使用と総合的な安全性の向上の
ために、「かかりつけ薬局」の活用を推進します。
● 県は、県薬剤師会などの関係団体と連携を図りながら、薬局から利用者への後発医薬
品の使用についての情報提供を促進します。
● 県は、後発医薬品への切り替えが促進されるよう、後発医薬品に関する正しい知識と
一般名処方(※)の普及を推進します。
※ 医薬品の個別の銘柄名ではなく、一般名(成分名)と剤形及び含量を付記した処方
42
《評価目標》
項 目
医薬分業率
後発医薬品使用割合
(数量ベース)
現 状
目 標
25年度
26年度
27年度
28年度
29年度
65.
1%
(平成23年度)
66.0%
66.5%
67.0%
67.5%
68.0%
26.4%
(平成23年度)
32%
33%
34%
35%
36%
[医薬分業率:日本薬剤師会「保険調剤の動向」]
[後発医薬品使用割合:厚生労働省「最近の調剤医療費(電算処理分)の動向」]
《主な施策》
● 県は、インターネットを利用した薬局機能情報ネットワークを適切に運用します。
● 県は、県薬剤師会が実施する各種研修会を支援し、薬局の機能拡大の一環として、地
域の実情に即した在宅医療への関与などを推進します。
● 県は、県医師会、県歯科医師会及び県薬剤師会等の関係団体と連携し、お薬手帳の普
及を図るとともに、その活用を推進します。
● 県は、県薬剤師会等の関係団体と連携を図りながら、医薬分業と「かかりつけ薬局」、
一般名処方を含む後発医薬品の使用促進について、普及、啓発を図ります。
43
■ 医薬品等の安全対策、適正使用の推進
《現状と課題》
● 医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器(以下「医薬品等」という。)の品質・有効
性及び安全性の確保のためには、医薬品等の製造及び流通段階における製造管理及び品
質管理の徹底が必要です。
● 平成18年度の薬事法改正(平成24年6月1日完全施行)により医薬品販売制度が大き
く変化し、医薬品の適正使用のための情報提供と相談体制が整理されました。
● 県民が医薬品等を安全に使用できるよう、医薬品等に関する迅速かつ的確な情報の提
供が求められています。
● 違法ドラッグ(※)が社会問題となっており、また、健康志向の高まりで多種多様の
健康食品が流通しており、一部の製品では医薬品成分による健康被害が発生しているこ
とから、監視指導の強化を図る必要があります。
※ 麻薬や覚せい剤等には指定されていないが、それらと類似の有害性が疑われる物質。
● 複数の医薬品の飲みあわせや、医薬品の誤った使用等による健康被害や副作用を防ぐ
ため、医薬品等の適正使用に関する正しい知識の普及啓発を図ることが必要です。
● 毒物劇物による事件、事故の発生を防ぐため、毒物劇物営業者及び使用者の監視指導
を行い、適正使用を推進し、事故等の防止を図る必要があります。
《施策の方向》
● 県は、医薬品の安全使用を推進するとともに、医薬品成分を含むいわゆる健康食品や、
違法ドラッグ等の流通の防止に努めます。
● 県は、毒物劇物による事故や事件が発生することのないよう、事業者による適正な使
用と管理の実施を促進します。
《評価目標》
項 目
現 状
薬局・医薬品販売業における販
15.8%
売体制等の不適率(※)
(平成23年度)
目 標
25年度
26年度
27年度
28年度
29年度
15.0%
14.5%
14.
0%
13.
5%
13.0%
[県保健薬務課調べ]
※ 医薬品の陳列や情報提供等に係る不適施設÷監視施設数
《主な施策》
● 県は、薬局や医薬品等の製造業者、販売業者等の営業者に対する監視指導の強化を図
るとともに、営業者の自主管理を促進します。
● 県は、県薬剤師会などの関係団体と連携を図りながら、県民に対して広く医薬品等の
適正使用に関する正しい知識の普及に努めます。
● 県は、健康食品等の広告の監視指導を強化します。
44
● 県は、違法ドラッグや医薬品成分を含む違法な健康食品について、販売店等の監視指
導を行うとともに、特に若年者に対して、これらの商品に手を出さないように周知を図
ります。
● 県は、毒物劇物営業者等の監視指導を強化し、毒物劇物の保管管理の徹底、適正使用
を促進します。
■ 血液確保、血液製剤の適正使用の推進
《現状と課題》
● 国は、
「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」に基づき、血液事業の基
本方針を定め、その基本方針に基づいて、毎年度、献血推進計画を定めています。
● 県は、この基本方針及び献血推進計画を受けて、毎年度、「山形県献血推進計画」を
策定し、本県における血液製剤の需要量及び原料血漿確保目標量を勘案した目標を定
め、その達成と血液製剤の安全性の確保に努めています。
● 県内の献血者数は、平成19年度まで減少傾向でしたが、平成20年度から増加に転じ、
平成21年度から3年連続で献血者目標人数を達成しました。平成23年度の献血者は約
4万6千人で、平成18年度(約3万9千人)と比較して7千人増加しました。
● 山形県赤十字血液センターの献血ルームは、成分献血者数が1万人を超え、年間献血
者数の4分の1を占めるまで増加し、安定した献血者確保のために非常に重要な役割を
担う拠点となりました。平成24年10月に山形市七日町から山形駅前に移転し、
「献血ルー
ムSAKURAMBO」として機能を強化し、安定した献血者の確保に努めています。
● 国内で使用される輸血用血液製剤は、献血によって得られた血液を原料として製造さ
れています。しかし、今後の少子高齢化の動向を踏まえ、将来の献血を支える若年層の
方々からの、安定的かつ持続的な協力が重要となっています。また、血液の安定供給と
安全性の向上の観点から複数回献血者の確保を進める必要があります。
● 血液製剤は、人の血液を原料としているため、感染症の原因となる種々のウイルス検
査等が行われていますが、いずれの検査にも検出限界があり、輸血後感染のリスクを完
全にゼロにすることはできないことから、血液製剤の安全を確保するために、検査目的
献血の防止を図ることが必要です。
45
年代別献血者の推移(山形県)
15,000
60,000
13,000
50,000
9,000
40,000
総献血者数︵人︶
年代別献血者数︵人︶
11,000
7,000
30,000
5,000
3,000
14年度 15年度 16年度 17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 22年度 23年度
総献血者
16∼19歳
20∼29歳
30∼39歳
40∼49歳
50∼69歳
20,000
資料:山形県赤十字血液センター
《施策の方向》
● 県は、将来にわたる血液製剤の安定供給のため、県赤十字血液センターや市町村等と
連携し、献血者の底辺拡大に向けて若年層に対する献血思想の普及啓発と複数回献血者
の確保を推進します。
● 県は、県赤十字血液センターと連携し、血液製剤の安全確保対策と医療機関における
適正使用を推進します。
46
《評価目標》
項 目
献血者目標人数達成率
現 状
101.6%
(平成23年度)
目 標
25年度
26年度
27年度
28年度
29年度
100%
100%
100%
100%
100%
[県保健薬務課調べ]
《主な施策》
● 県は、まもなく献血が可能となる中学生に、献血の仕組みや必要性について啓発を行
います。また、中学生、高校生を対象に献血推進ポスターコンクールを実施し、制作過
程を通じた意識啓発を図り、入賞作品の巡回展示を行います。
● 県は、献血運動の推進に積極的に協力し、他の模範となる献血功労団体等を顕彰しま
す。
● 県は、総合支庁に献血推進員を配置し、市町村と連携して献血協力事業所等の拡大の
ほか、大規模事業所等への複数回献血の拡大を図ります。また、定点献血、「献血ルー
ムSAKURAMBO」における複数回献血を推進するため、ホームページや広報誌等
の各種広報媒体を活用した広報活動に努めます。
● 県は、血液製剤の適正使用を推進するため、県赤十字血液センターと連携して、医療
機関を対象に血液製剤の適正使用や輸血療法に関する情報提供及び情報交換を行います。
47
第5節 医療に関する情報化の促進
■ 医療機関における医療情報の電子化の促進と総合的なネットワーク化の推進
《現状と課題》
● 国は、「高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部」において「新たな情報通信技
術戦略」を策定(平成22年5月)し、「どこでもMY病院(自己医療・健康情報活用サー
ビス)構想」
、
「シームレスな地域連携医療」等の実現に向けた取組みを推進しています。
● 県は、平成21年6月に策定した「山形県地域医療情報ネットワーク整備基本計画」に基
づき、二次保健医療圏単位で病院の医療情報を地域の診療所等に共有・参照する機能の
整備を支援しています。また、この地域医療情報ネットワークを基盤に全県域でのネッ
トワーク化を見据え、厚生労働省標準規格に準じた取組みとなるよう支援しています。
● 県内各地域では、医療機関の役割分担と医療連携の推進を図り、切れ目のない医療
サービスを提供するため、ICT(情報通信技術)の活用による患者の医療情報を地域
で共有する取組みが進められています。
● 県内では、最上、置賜、庄内の各地域において、地区医師会や基幹病院を中心とした
「地域医療情報ネットワーク協議会」を設置し、地域医療情報ネットワークを持続的・
自立的に運用する体制の整備が進んでいます。
● 地域医療情報ネットワークが稼動している地域については、このネットワークを拡充
するとともに、未整備の地域については、地域内で協議を促す働きかけが必要です。
● 地域における医療情報ネットワーク基盤を踏まえ、今後の全県域のネットワーク化に
向け、県及び関係医療機関は、調整を図りながら具体的に実装する機能を明確にし推進
していく必要があります。
● 地域の病院と専門医がいる高度専門医療機関との間で、遠隔画像診断や遠隔病理診断
など遠隔医療の取組みが行われています。
● 遠隔医療については、ICTの進歩に伴い徐々に拡大しており、今後、病院と病院、
または病院と診療所の連携ツールとして活用することで、医療の質の向上や医療者の負
担軽減等が図られることが期待されています。
● 東日本大震災を踏まえ、各医療機関においては、災害時における医療情報の保全のた
めの外部バックアップの重要性が高まっています。
● 医療分野の連携に加え、今後、医療と介護・福祉との連携を推進するうえでも、IC
Tの活用が有効です。
《施策の方向》
● 県は、国の「新たな情報通信技術戦略」と整合を図りながら、引き続き地域医療情報
化を推進します。
● 県は、引き続き二次保健医療圏ごとの取組みを支援するとともに、
「地域医療情報ネッ
トワーク協議会」が未設置の地域での設置に向けた機運醸成を推進します。
● 「地域医療情報ネットワーク協議会」は、地域医療情報ネットワークを持続的・自立
的に運営します。
48
● 県は、地域医療情報ネットワークを基盤とした一層の医療連携の推進や医療の質の向
上等を図るためのアクションプランを策定するとともに、県及び医療機関は、アクショ
ンプランに基づきその実現に努めます。
● 県及び山形大学医学部附属病院をはじめとした関係医療機関は、全県域の医療情報
ネットワーク化について連携して検討を行い、全県ネットワークを円滑に整備・運用で
きるように調整を図ります。
● 県は、関係医療機関と連携し、災害に備えた医療情報の保全とともに、災害時に限ら
ず医療情報の連携を進める視点から、患者の診療データを標準的な形式で外部保存し相
互閲覧できる環境整備を検討します。
● 県及び関係医療機関は、医療の質の向上と医療者の負担軽減を図る観点から、ICT
の動向を見ながら遠隔医療の拡充を検討します。
《評価目標》
項 目
現 状
「地域医療情報ネットワーク協議
3
会」設置の二次保健医療圏の数
(平成24年度)
目 標
25年度
26年度
27年度
28年度
29年度
3
3
3
3
4
[県地域医療対策課調べ]
《主な施策》
● 「地域医療情報ネットワーク協議会」は、地域医療情報ネットワークの有用性の啓発
に努め、参加医療機関の拡大を図るとともに持続的・自立的に運営します。
● 県は、「地域医療情報ネットワーク協議会」の活動を引き続き支援するとともに、「地
域医療情報ネットワーク協議会」が未設置の地域での設置に向け、医療機関への働きか
けなど機運醸成を推進します。
● 医療機関は、個人情報の保護に留意しながら地域医療情報ネットワークを活用し患者
情報を共有するなど、医療連携の推進と医療の質の向上を推進します。
● 県及び山形大学医学部附属病院をはじめとした関係医療機関は、全県域の医療情報
ネットワーク化の推進に向け、県民や医療機関にとって有用な機能・サービス及びその
運営経費負担のあり方等について検討を行います。
また、災害時に必要となる情報や、その保全と情報連携の活用の仕組み等を検討します。
● 県及び関係医療機関は、専門医による遠隔地カンファレンスといった高度医療に関す
る連携など、遠隔医療の取組みを検討し、段階的に実施します。
49
2
第2章
疾病及び事業ごとの医療連携体制の整備
第1節 医療機関相互の機能分担と連携
《現状と課題》
● 限られた医療資源を有効に活用し、質の高い医療を提供するためには、地域の医療機
関が機能分担と連携を図り、急性期から回復期を経て維持期等に至るまで、地域全体で
切れ目なく必要な医療を提供する体制を整備することが重要です。
● このため、
「第5次山形県保健医療計画」では、がん、脳卒中、急性心筋梗塞及び糖
尿病の4疾病と、小児救急を含む小児医療、周産期医療、救急医療、災害時における医
療及びへき地の医療の5事業について、医療提供体制を構築しています。
● これらに加え、患者動向、疾病構造の変化、県民ニーズ等を踏まえ、精神疾患及び在
宅医療についても、同様に医療提供体制を構築することが必要となっています。
《施策の方向》
● 県は、がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病及び精神疾患の5疾病、小児救急を含む
小児医療、周産期医療、救急医療、災害時における医療及びへき地の医療の5事業並び
に在宅医療について、それぞれに求められる医療機能を明確にしたうえで、地域の医療
関係者等の協力の下、医療機関の機能分担及び連携により、切れ目のない医療サービス
を提供する体制を構築します。
● 県は、患者や住民が地域の医療機能を理解し、病態等に応じた質の高い医療を受ける
ことができるよう、医療提供体制について県民に情報を提供します。
《評価目標》
項 目
現 状
「第2章第2節 地域における医療
1回
連携体制」及び「第3章 在宅医療
(平成23年度)
の推進」に記載した医療機関の更新
5疾病5事業及び在宅医療におけ
る、それぞれの目標の達成
目 標
25年度
26年度
27年度
28年度
29年度
1回
1回
1回
1回
1回
それぞれの項目に記載
[県健康福祉企画課調べ]
《主な施策》
● 県は、本計画に基づき、疾病及び事業ごとの医療連携体制の構築を推進するとともに、
県民に対し病時や緊急時の医療提供体制を周知するため、各二次保健医療圏においてそ
れぞれの医療機関が担う機能ごとに医療機関名を具体的に明示します。
● 県は、本計画に記載した医療機関について、少なくとも年1回の更新を行い、最新の
情報を県民に提供します。
50
第2節 地域における医療連携体制
1 が ん
■ 総合的ながん対策の推進
(1)がんの予防、がんの早期発見
《現状と課題》
● 平成22年の人口動態統計によると、本県のがん(悪性新生物)による粗死亡率(人口
10万人対の死亡者数)は、男性415.2、女性259.
4であり、上昇傾向にあります。
高齢化の影響を調整して計算した年齢調整死亡率(75歳未満)は、男性106.
2(高い
方から全国第28位)、女性56.9(高い方から全国第39位)であり、若干の減少傾向にあ
ります。
がんの死亡率(粗死亡率及び75歳未満年齢調整死亡率)の推移
(人口10万対)
500.0
男性
400.0
粗死亡率
300.0
女性
200.0
100.0
0.0
平成7年
がん
粗死亡率
年齢調整
死 亡 率
平成12年
平成7年
平成17年
平成12年
男性
75歳未満
女性
年齢調整死亡率
平成22年
平成17年
平成22年
男性
312.4
365.3
378.8
415.2
女性
195.
0
226.5
248.3
259.4
男性
137.7
136.1
108.2
106.2
女性
68.6
69.2
63.6
56.9
資料:国立がん研究センター調べ
● がんは、全国及び本県における死因の第1位であり、本県の全死因の27.7%を占めて
います。
● 本県におけるがんの発症部位の年齢調整罹患率の推移をみると、男性については、胃
がんは減ってきていますが、肺がんは増加傾向にあり、女性については、胃がんは男性
と同様に減ってきていますが、乳がんと子宮がんが増加しています。
51
男性 主ながんの年齢調整罹患率の推移
(人口10万対)
180.0
胃
160.0
大腸
140.0
120.0
肝臓
100.0
肺
80.0
60.0
40.0
20.0
0.0
昭50 52
54
56
58
60
62 平1
3
5
7
9
11
13
15
17
19
女性 主ながんの年齢調整罹患率の推移
(人口10万対)
80.0
胃
70.0
大腸
60.0
肝臓
50.0
肺
乳房
40.0
子宮
30.0
20.0
10.0
0.0
昭50 52
54
56
58
60
62 平1
3
5
7
9
11
13
15
17
19
資料:山形県がん実態調査報告
● がんの原因は、喫煙(受動喫煙を含む)、食生活、運動等の生活習慣、ウイルス・細
菌感染など様々なものがあります。
また、がんを予防するためには、禁煙(受動喫煙防止を含む)、飲酒量の低減、適度
な運動の継続、適正体重の維持など、生活習慣の改善を進めることが重要です。
● 喫煙者の割合は減少傾向にあり、本県における平成22年の男女総数の喫煙率は20.5%
となっています。
● 男女とも20歳代、30歳代の出産、子育て世代の喫煙率が全国よりも高い状況にあります。
● がんの発症に抑制的に働く野菜の摂取量は、全国平均を上回っていますが、男女とも
若年になるほど摂取量が減少しています。
● 平成22年国民生活基礎調査によれば、本県のがん検診の受診率は、胃がん検診
(47.
0%)、大腸がん検診(36.3%)、肺がん検診(35.5%)で全国第1位となっており、
乳がん検診(40.8%)、子宮がん検診(42.1%)では、宮城県に次いで全国第2位となっ
ていますが、受診者が半数に満たないため、さらなる受診率の向上が必要です。
また、各種がん検診の精密検査受診率は、胃がんが84.0%、肺がんが86.6%、大腸が
んが76.
0%、子宮がんが76.0%、乳がんが88.4%と、70∼80%台にとどまっています。
● がん発見の見落としや必要以上の陽性判定(要精査)を避けるため、検診精度の向上
が必要です。
52
喫煙している人の割合の年次推移(20歳以上)
(%) 60
40
20
0
山形県
全 国
山形県
全 国
山形県
全 国
男性
男性
女性
女性
総数
総数
平成2年 平成8年 平成11年 平成16年
56.3
57.9
53.3
48.0
53.1
51.2
49.2
43.3
6.8
4.6
7.2
11.7
9.7
9.8
10.3
12.0
30.2
30.4
28.8
28.6
28.5
27.1
26.2
26.4
平成22年
34.4
32.2
8.3
8.4
20.5
19.5
資料:県民健康・栄養調査、国民健康・栄養調査
《施策の方向》
● 県は、受動喫煙防止及び禁煙支援を推進します。
● 県は、未成年者、妊娠中の女性や子育て世代の喫煙防止対策を推進します。
● 県は、市町村と連携し、適切な食生活の実践と運動習慣の定着、喫煙等の生活習慣の
改善をはじめとする日頃の健康づくりに関する情報を提供します。
● 県及び市町村は、連携しながら、がん検診の受診率向上に向けた取組みを推進します。
● 県は、がん検診の検診精度の確保や向上に向けた取組みを推進します。
53
《評価目標》
目 標
項 目
がんによる年齢調整
死亡率[人口10万人対]
がん検診受診率
(胃・大腸・乳)
(子宮・肺)受診率
精密検査受診率
成人の喫煙率
20∼30歳代の喫煙率
現 状
25年度
26年度
27年度
28年度
29年度
男女 82.
0
男性 105.2
女性 60.
8
(平成23年)
75.0
96.0
56.0
73.0
93.5
54.5
71.0
91.0
53.0
69.0
88.5
51.5
67.0
86.0
50.0
33.1∼47.0%
33.6∼35.5%
(平成22年)
76.0∼86.6%
(平成23年度)
33.1∼47.0%
33.6∼35.5%
−
−
−
−
60%
50%
−
−
92%
94%
96%
98%
100%
−
−
−
−
20.5%(19.5)
( )は全国値
(平成22年)
−
−
全国値
以下
(※)
20歳代 男性40.5%(34.2)
女性16.8%(12.8)
30歳代 男性46.8%(42.1)
女性19.6%(14.2)
( )は全国値
(平成22年)
−
−
全国値
以下
※ 「健康やまがた安心プラン」では、平成34年における成人の喫煙率の目標値を12%(全国の目標
値と同様)と設定
[がんによる年齢調整死亡率:国立がん研究センター調べ]
[がん検診受診率:厚生労働省「国民生活基礎調査」(調査周期3年)]
[精密検査受診率:県保健薬務課調べ]
[喫煙率:山形県「県民健康・栄養調査」(周期5年)]
《主な施策》
● 県は、妊産婦に身近な産婦人科や小児科と禁煙外来、保健所の相談窓口等の連携によ
る禁煙支援体制を構築します。
● 県は、未成年者及び妊娠中の女性の喫煙が及ぼす影響について健康教育や普及啓発を
推進します。
● 県は、市町村と連携し、喫煙、食生活、運動等に関する適切な生活習慣や、がんの予
防及びがん検診に関する知識を身につけられるように、広報やホームページ等による健
康づくりやがんに関する情報の提供をさらに推進します。
● 県及び市町村は、医療機関等と連携し、子宮頸がんワクチンの接種を受けやすい環境
の整備及び知識の普及に努めます。
● 県及び市町村は、医療機関等と連携し、肝炎ウイルス検査の実施による肝炎患者・感
染者の早期発見、早期治療を促進します。
54
● 県及び市町村は、検診機関等と連携し、がん検診や人間ドックの実施案内等に際して、
がん検診等の重要性について普及、啓発を引き続き行います。
● 県は、民間企業との連携によるがん検診の重要性の啓発、がん検診の受診勧奨などの
取組みを推進します。
● 県は、県生活習慣病検診等管理指導協議会において、検診精度の確保及び向上に関す
る検討を引き続き進めます。
また、市町村におけるがん検診の精度管理や事業評価の実施を促進するため、同協議
会からの情報提供、助言等を積極的に推進します。
● 県は、生活習慣病検診等従事者講習会を実施し、適切な検診方法の習得、読影方法の
習熟など、がん検診従事者の資質向上を促進します。
(2)地域がん登録、がん研究
《現状と課題》
● 本県におけるがんの罹患数や罹患率、生存率、治療効果等、がん対策の基礎となる
データを得るため、県は、地域がん登録を昭和49年から実施しています。
直近の平成20年データでは、1年間に8,214件の症例(罹患数)が登録されました。
● 国は、
「第3次対がん10ヵ年総合戦略」が平成25年度に終了することから、それまで
に新たな総合的がん研究戦略を策定することになっています。
● 山形大学医学部や県立病院等において、国の研究に参画するとともに、学内や院内で
研究に取り組んでいます。
がん罹患者数・死亡者数の推移
(人)
6,000
男性 罹患者数
女性 罹患者数
男性 死亡者数
女性 死亡者数
5,000
罹患者数
4,000
3,000
2,000
死亡者数
1,000
0
平11
12
13
14
15
16
17
18
19
20(年)
資料:山形県がん実態調査報告
55
《施策の方向》
● 県は、県医師会や医療機関の協力のもと、個人情報の保護に配慮した地域がん登録を
着実に実施します。
● 県は、がん診療に携わる医師及び医療機関等の理解、協力を得て、地域がん登録の精
度向上を図ります。
● がん診療連携拠点・指定病院は、地域がん登録に必要な人材を育成します。
● 山形大学医学部や県立病院等の研究者が所属する機関は、引き続き、研究者が研究に
従事しやすい環境の整備を推進します。
《評価目標》
項 目
現 状
地域がん登録の集計罹患数に対
する病院等からの届出率 81.5%
(平成20年)
目 標
25年度
26年度
27年度
28年度
29年度
83%
85%
87%
89%
90%
以上
[山形県がん実態調査]
《主な施策》
● 県は、県医師会と連携し地域がん登録の意義と内容及びその取組みについて、県民を
はじめ医療関係者等に広く周知します。
● 県は、がん診療を行っている医療機関及び医師会の協力を得て、地域がん登録へのが
ん患者届出の提出を促進します。
● がん診療連携拠点・指定病院は、がん患者を含む県民へ自ら病院を選択する際の評価
資料となる情報の提供を推進します。
● 研究者及び研究参加団体は、がん対策の推進に資する研究に積極的に取り組みます。
● 山形大学医学部や県立病院等は、がん対策に資する研究の成果を医療機関等へ積極的
に提供します。
56
(3)がんに関する相談支援と情報提供・普及啓発等
《現状と課題》
● がん診療連携拠点・指定病院は、相談支援センターを設置し、患者とその家族のがん
に対する不安や疑問に対応しています。
● 相談支援センターの存在とその機能について、がん患者やその家族を含めた県民に十
分に周知する必要があります。
● がん予防のための適切な生活習慣について、子どものころから教育することが重要で
す。
● 山形大学医学部が実施した「がん患者の就労支援・社会復帰に関する調査」によれば、
がんに罹患した勤労者の約25%が定年以外の理由で失職しており、特に非正規勤労者に
おいては依願退職や解雇の割合が多いと報告されています。
● 小児がんは、発症例が少なく、白血病、悪性リンパ腫、肝内胆管などがん種も多種多
様であるため、適切な情報を提供していくことが必要です。
● 国では、平成24年6月に策定した「がん対策推進基本計画」において、小児がん患者
とその家族が安心して適切な医療や支援を受けられるような環境の整備を目指し、全国
で10程度の小児がん拠点病院を指定することとしています。
がん診療連携拠点・指定病院の相談支援センター機能
1 がんの病態、標準的治療法等がん診療及びがんの予防・早期発見等に関する一般的
な情報の提供
2 診療機能、入院・外来の待ち時間及び医療従事者の専門とする分野・経歴など、地
域の医療機関及び医療従事者に関する情報の収集、提供
3 セカンドオピニオンの提示が可能な医師の紹介
4 がん患者の療養上の相談
5 地域の医療機関及び医療従事者等におけるがん医療の連携協力体制の事例に関する
情報の収集、提供
6 アスベストによる肺がん及び中皮腫に関する医療相談
7 その他相談支援に関すること
《施策の方向》
● 県は、がん患者やその家族が求める情報を入手できるよう、がん診療連携拠点・指定
病院における、診療体制や診療実績等に関する情報提供を促進します。
● 県は、がんに関する普及啓発活動を推進します。
● 県は、がんになっても安心して働きながら療養のできる環境の整備を推進します。
● 県は、小児がんに対するサポート体制を充実します。
57
《評価目標》
項 目
目 標
現 状
71.4%
診療実績等をホームページに掲
載するがん診療連携拠点・指定 (5/7病院)
(平成23年度)
病院の割合
25年度
26年度
27年度
28年度
29年度
100%
100%
100%
100%
100%
[県保健薬務課調べ]
《主な施策》
● 県は、がん診療連携拠点・指定病院に対し、がん診療実績などがん患者とその家族が
求める情報をホームページに掲載するよう促進します。
● 県は、がん患者の就労関連ニーズや課題を明らかにしたうえで、がん診療連携拠点・
指定病院や関係機関と連携し、患者やその家族への情報提供と相談支援体制を充実しま
す。
● 県は、国が指定する小児がん拠点病院など小児がんの診療が可能な医療機関と連携を
進めるとともに、小児がんに関する情報を収集し、小児がん患者とその家族に対する支
援を充実します。
■ がん医療の充実
《現状と課題》
● 地域におけるがん医療の連携を図りつつ、質の高いがん医療提供や院内外の医療従事
者の研修、地域のがん患者等に対する情報提供や相談支援を実施するがん診療連携拠
点・指定病院として、次の7つの病院を指定しています。
がん診療連携拠点・指定病院の指定状況
区 分
都道府県がん診療連携拠点病院
二次保健医療圏
村山
村山
地域がん診療連携拠点病院
山形県がん診療連携指定病院
58
病院名
県立中央病院
山形大学医学部附属病院
山形市立病院済生館
最上
県立新庄病院
置賜
公立置賜総合病院
庄内
日本海総合病院
庄内
鶴岡市立荘内病院
● 多くのがんで放射線療法、化学療法が確立され、効果を発揮していることから、様々
ながんの病態に応じ、放射線療法、化学療法、手術療法、さらにこれらを組み合わせた
集学的治療がそれぞれを専門的に行う医師の連携の下実施されていくことが求められて
います。
● がん診療に携わる専門的な医療従事者をさらに養成するとともに、その他の医療従事
者に対しても、がん医療に関する基礎的な知識や技能を修得させていく必要があります。
● 山形大学医学部では、「がんプロフェッショナル養成プラン(平成19年度∼23年度)」
、
「がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン(平成24年度∼)」に基づき、若い人材を
啓発し、専門資格取得のために必要な学識や技能を習得させ、総合的な臨床研究推進能
力を有した専門医療者を養成しています。
また、がん診療連携拠点・指定病院等との連携・協力のもと、「東北がんEBM(※)
人材育成・普及推進事業」により、臨床腫瘍学研修プログラムによるがん診療リーダー
の養成とe−ラーニングを活用したがんEBM教育を進めています。
※ Evidence-based Medicine 科学的根拠に基づいた医療のこと。
● 山形大学では、重粒子線がん治療施設の設置について、関係者と意見交換を行いなが
ら検討を進めています。
● 緩和ケアは精神心理的、社会的苦痛を含めた全人的な対応が必要であり、その対象者
は、患者のみならず、その家族や遺族も含まれます。
また、終末期だけでなく、がんと診断された時から、身体的、精神心理的及び社会的
な問題への援助など、緩和ケアの実施が必要です。
● 本県の緩和ケア病床を持つ施設は、2施設(県立中央病院15床、三友堂病院12床)で
あり、緩和ケア外来は、すべてのがん診療連携拠点・指定病院で開設されています。
● がん診療連携拠点・指定病院と地域の他の医療機関との密接な連携により、切れ目の
ない医療の提供のため地域連携パスが整備、運用されていますが、運用件数をさらに増
やしていく必要があります。
山形県における地域連携パスの運用件数(平成23年度末時点)
件 数
胃がん
大腸がん
肺がん
乳がん
肝がん
47件
34件
23件
38件
10件
《施策の方向》
● 県は、都道府県がん診療連携拠点病院を中核とし、がん診療連携拠点・指定病院、地
域の他の医療機関との密接な連携により、県内どこでも質の高いがん医療を受けること
ができる体制を確保します。
● がん診療連携拠点・指定病院は、放射線療法、化学療法、手術療法等を専門的に行う
医療従事者の育成と専門性を発揮できる環境を充実します。
● 県は、がんと診断された時から、診断・治療・在宅医療など様々な場面において患者
に対して切れ目ない緩和ケアを提供できる体制を充実します。
59
● 県は、がん診療連携拠点・指定病院、医師会等の連携、協力によるがん地域連携パス
の運用を支援します。
《評価目標》
項 目
現 状
がんの地域連携パスの年度末時
152件
点の運用件数
(平成23年度)
目 標
25年度
26年度
27年度
28年度
29年度
280件
340件
400件
460件
520件
[山形県がん診療連携協議会調べ]
《主な施策》
● がん診療連携拠点・指定病院は、安心かつ安全で質の高いがん医療を提供できるよう、
放射線療法、化学療法、手術療法の各種医療チームを充実し、各職種の専門性を活かし、
医療従事者間の連携と補完を重視した多職種でのチーム医療を推進します。
● がん診療連携拠点・指定病院は、各種がん治療の副作用や合併症の予防や軽減など、
患者のさらなる生活の質の向上を目指し、医科歯科連携による口腔ケアや食事療法等に
よる栄養管理の推進など職種間連携を推進します。
● 県立中央病院(都道府県がん診療連携拠点病院)は、がんネット(テレビ会議システ
ム)を活用し、がんの診断・治療に関する最新情報を収集し、がん医療のレベル向上を
図ります。
● 県は、がん診療連携拠点・指定病院等と連携し、がん診療に携わる全ての医療従事者
が、がん医療に関する基礎的な知識や技能を修得できる研修を実施します。
● 山形大学医学部は、「がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン」により、専門資
格取得のために必要な学識や技能を習得させ、総合的な臨床研究推進能力を有した専門
医療者を養成します。
● 県及びがん診療連携拠点・指定病院は、緩和ケアに関する指導者を養成するため、国
立がん研究センター等の主催する研修会に医師等を積極的に派遣します。
● 県は、地域連携パスについて、関係機関と連携を図りながら、連携医療機関の拡大と
適用患者の増加に努めます。
60
がんの医療体制
専門的ながん診療
○ 手術、放射線療法及び化学療法を効果的に組み合わせた集学的治療の実施
○ がんと診断された時からの緩和ケア、緩和ケアチームによる専門的な緩和ケア
○ 身体、精神的苦痛等に対する全人的な緩和ケア
等
※さらに、がん診療連携拠点・指定病院としては
院内がん登録、相談支援体制、地域連携支援 等
がん診療連携拠点・指定病院 等
医
紹介・転院・退院時の連携
経過観察・合併症併発・再発時の連携
療
標準的ながん診療
機
能
発見
○ 精密検査や確定診断等の実施
○ 診療ガイドラインに準じた診療
○ がんと診断された時からの緩和ケア
在宅療養支援
○ 専門治療後のフォローアップ
○ チーム医療の実施
○ 歯科医師と連携した口腔機能管理
○ 生活の場での療養の支援
○ 緩和ケアの実施
○ 口腔ケアの実施
等
療養支援を行う病院
地域の診療所・歯科診療所 等
標準的診療を行う病院
予 防
在宅療養支援
○ がん発症リスク
低減
○ 検診受診率の
向上
在宅等での生活
がん治療
緩和ケア
時間の流れ
がんの医療体制
【治療】
機能
目標
求められる事項の目安
標準的ながん診療機能
がん診療連携拠点・指定病院等
在宅療養支援機能
●精密検査や確定診断の実施
●診療ガイドラインに準じた診療の実
施
●がんと診断された時からの緩和ケア
の実施
●治療後のフォローアップ
●患者、家族の意向を踏まえた、在宅
などの生活の場での療養支援
●在宅緩和ケアの実施
●集学的治療の実施
●専門性を活かしたチーム医療の実施
●診断・治療に必要な検査の実施
●病理診断や画像診断等の実施
●集学的治療の実施
●がんと診断された時からの緩和ケア
の実施
●歯科医等と連携した口腔機能管理
<左記に加えて>
●外来化学療法の実施
●専門性を活かした多職種チーム医療
の実施
●セカンドオピニオンの提供
●相談支援体制の確保
●身体、精神的苦痛等に対する全人的
な緩和ケアの提供
●他のがん診療機能や在宅療養支援機
能を有している医療機関との連携
●院内がん登録の実施
○がん登録制度の推進とがん診療連携拠点病院における院内がん登録の推進
課題
評価
目標
【療養支援】
●24時間対応可能な在宅医療の提供
●疼痛等に対する緩和ケアを実施
●終末期ケアの24時間体制での対応
●がん治療機能を有する医療機関等
と、診療情報や治療計画を共有
●口腔ケアの実施
○緩和ケアの提供体制の整備
○相談他支援体制の充実によりがんになっても安心して働き暮らせる社会の構築
○地域連携パスを活用した各医療機関の連携体制の整備
年齢調整死亡率、がん検診の受診率、喫煙率、がん登録の精度、診療実績ホームページ掲載、地域連携パスの運用件数
61
がんの医療体制を構築する病院
治 療
療養支援
○ 山形大学医学部附属病院
山形徳洲会病院
◎ 県立中央病院
○ 山形市立病院済生館
至誠堂総合病院
みゆき会病院
尾花沢病院
村 山
山形済生病院
篠田総合病院
北村山公立病院
東北中央病院
至誠堂総合病院
県立河北病院
二
小白川至誠堂病院
寒河江市立病院
天童温泉篠田病院
天童市民病院
朝日町立病院
西川町立病院
小白川至誠堂病院
吉岡病院
寒河江市立病院
天童温泉篠田病院
天童市民病院
朝日町立病院
西川町立病院
置 賜
最 上
保 健 医 療 圏
次
庄
内
○ 県立新庄病院
新庄徳洲会病院
新庄徳洲会病院
最上町立最上病院
町立真室川病院
○ 公立置賜総合病院
米沢市立病院
三友堂病院
吉川記念病院
舟山病院
三友堂病院
公立高畠病院
公立置賜長井病院
川西湖山病院
白鷹町立病院
小国町立病院
公立置賜南陽病院
○ 日本海総合病院
□ 鶴岡市立荘内病院
庄内余目病院
鶴岡協立病院
庄内余目病院
鶴岡協立病院
本間病院
遊佐病院
宮原病院
鶴岡協立リハビリテーション病院
本間病院
日本海総合病院酒田医療センター
遊佐病院
酒田市立八幡病院
宮原病院
※ ◎ → 都道府県がん診療連携拠点病院 □ → がん診療連携拠点病院に準じる病院
○ → 地域がん診療連携拠点病院
62
以下の注は、5疾病5事業及び在宅医療のすべてに共通しています。
注1 特定機能病院である山形大学医学部附属病院以下、一般病院、精神科単科病院
の順番とし、それぞれ病床数の多い順に上から記載しています。
注2 本計画に記載する医療機関は病院を原則とします。診療所については、県医療
機関情報ネットワーク(本計画36頁参照)により、名称、所在地、診療科目、
診療時間などの情報を提供しています。
63
2 脳卒中
■ 脳卒中対策の推進
《現状と課題》
● 平成22年の人口動態統計によると、本県の脳卒中(脳血管疾患)による粗死亡率(人
口10万人対の死亡者数)は、男性145.7、女性154.8であり、若干の低下傾向が見られます。
また、高齢化の影響を調整して計算した年齢調整死亡率は、男性55.8(全国第11位)
、
女性31.7(全国第10位)であり、明らかな低下傾向が見られます。
脳血管疾患の粗死亡率及び年齢調整死亡率の推移
(人口10万対)
200.0
女性
男性
150.0
粗死亡率
100.0
男性
50.0
女性
0.0
平成7年
脳血管疾患
粗死亡率
年齢調整
死 亡 率
平成12年
平成7年
平成17年
平成12年
年齢調整
死 亡 率
平成22年
平成17年
平成22年
男性
160.4
149.2
142.4
145.7
女性
181.4
167.4
165.8
154.8
男性
109.1
83.1
66.5
55.8
女性
70.8
52.7
39.7
31.7
● 脳卒中の危険因子は高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙等があり、発症の予防には栄
養・食生活、運動、喫煙等生活習慣の改善を中心とした一次予防の充実が必要です。
● メタボリックシンドロームの該当者及び予備群の減少に向け、保険者が主体となり、
特定健康診査及び特定保健指導を実施しています。
● 脳卒中は、発症から治療開始までの時間が短いほど処置の有効性が高く、発症から治
療開始まで3時間以内であることが重要であり、二次保健医療圏における急性期対応が
必要です。
● 患者が安心して治療やリハビリを受けられるよう、発症から在宅にいたるまで、地域
において個々の医療機関の医療機能と役割分担に応じて継続して医療が提供される体制
が必要です。
● 脳卒中の発症後は口腔機能の低下が見られることが多く、早期に機能低下を防止する
ための処置を実施できる体制の構築が必要です。
64
● 脳卒中は、発症後に生命が助かったとしても後遺症が残ることも多いため、在宅医療
の充実や患者及び家族の生活への影響も考慮した福祉施設等と連携した支援が必要です。
《施策の方向》
● 県は、脳卒中の発症の予防に向け、生活習慣改善のための健康づくり情報の提供を推
進します。
● 県は、保険者を通じ、特定健康診査等の実施によるハイリスク者の発見及びハイリス
ク者に対する保健指導の実施を推進します。
● 県は、急性期、回復期、維持期から在宅に至るまでの医療機関の連携体制を構築しま
す。
● 県は、在宅療養が円滑に実施できるよう、地域生活を支援する体制を充実強化します。
《評価目標》
項 目
脳卒中(脳血管疾患)による
年齢調整死亡率
[人口10万人対]
現 状
男性 55.8
女性 31.7
(平成22年)
目 標
25年度
26年度
27年度
28年度
29年度
−
−
53.0
30.1
−
−
[厚生労働省「都道府県別年齢調整死亡率」(調査周期5年)]
《主な施策》
● 県は、脳卒中の発症の予防に向け、適切な食生活の実践や運動習慣の定着、喫煙等の
生活習慣の改善のための、わかりやすい健康づくり情報の提供を推進します。
● 県は、県医師会や保険者協議会と連携し、保険者が、特定健康診査の実施によりハイ
リスク者に対する保健指導を適切に実施できるよう、特定保健指導従事者の育成に努め
ます。
● 県は、急性期においては、各二次保健医療圏を基本単位とし、発症後2時間以内に専
門的な診療が可能な医療機関への搬送と、医療機関到着後1時間以内に専門的な治療が
開始できる体制の構築を促進します。
● 県は、急性期、回復期、維持期から在宅にいたるまで、それぞれの患者の状態に応じ
継続して医療が提供されるよう、地域連携パス等の活用による医療機関の連携体制の構
築を促進します。
● 県は、歯科医師会等と連携し、発症後の口腔機能の維持や機能回復に向け、早期にリ
ハビリテーションを開始できる体制の構築を促進します。
● 県は、在宅療養においては、患者の生活の質(QOL)を維持しながらの生活機能の
維持及び向上のため、在宅医療を行う診療所、歯科診療所、薬局や介護サービス事業者
等が連携し、地域生活を支援する体制を充実強化します。
65
脳卒中の医療体制
救急医療
急性期の医療を行う病院
身体機能を回復させる
リハビリテーション
転院 時 連携
救急搬送
救急要請
発症
○ 来院後1時間以内の専
門的治療開始
○ 急性期のリハビリテー
ション実施
口腔ケア
○ 回復期のリハビリテ−ショ
ン実施
○ 摂食・嚥下リハ
口腔リハ、歯科
治療、定期歯科
健診の実施
○ 再発予防治療、基礎疾患・
危険因子の管理
歯科診療所
医
回復期の医療を行う病院
療
転院・退院時連携
退院時連携
機
日常生活への復帰及び維持の
ためのリハビリテーション
能
○ 維持期のリハビリテ−ション実施
○ 在宅等への復帰及び日常生活継続を支援
○ 再発予防治療、基礎疾患危険因子の管理
維持期の治療を行う病院
地域の診療所及び介護保険施設
発症予防
○ 脳卒中の発症
予防
退院・退所・通院、在宅療養支援
在宅等での生活
ケアハウス、有料老人ホーム等
多様な居住の場を含む
時間の流れ
脳卒中の医療体制
【急性期】
【維持期】
身体機能を回復させるリハビリテー
ション
日常生活への復帰及び維持のためのリ
ハビリテーション
救急医療
目標
●来院後1時間以内の専門的治療開始
●急性期に行うリハビリテーション実
施
●回復期に行うリハビリテーション実
施
●再発予防治療、基礎疾患・危険因子
の管理
●維持期に行うリハビリテーション実
施
●在宅等への復帰及び生活の継続支援
●再発予防治療、基礎疾患・危険因子
の管理
●CT・MRI検査等の24時間対応
●専門的診療の24時間対応
●来院後1時間以内にt−PAによる
脳血栓溶解療法を実施
●外科的治療が必要な場合2時間以内
に治療開始
●再発予防治療、基礎疾患・危険因子
の管理
●抑うつ状態や認知症など合併症への
対応
●機能障害の改善及びADL向上のリ
ハビリテーションを集中的に実施
●再発予防治療、基礎疾患・危険因子
の管理
●抑うつ状態への対応
●生活機能の維持・向上のリハビリ
●全身管理、及び合併症に対する診療
●セルフケアの早期自立のためのリハ
ビリテーション実施
●回復期等の医療機関等との診療情報
や治療計画を共有
●急性期の医療機関等との診療情報や
治療計画を共有
を調整
●回復期等の医療機関等と、診療情報
や治療計画を共有
○来院後1時間以内に治療が開始でき
る体制の整備
○急性期病院と連携した機能回復リハ
ビリテーションの実施
○地域のかかりつけ医と連携し、在宅
復帰に向けたリハビリテーション提
供体制の整備
求められる事項の目安
機能
課題
評価
目標
66
【回復期】
脳卒中(脳血管疾患)による年齢調整死亡率
テーション実施
●在宅復帰のための居宅介護サービス
脳卒中の医療体制を構築する病院
急性期
回復期
維持期
村
山
最 上
置 賜
二 次 保 健 医 療 圏
庄
内
山形大学医学部附属病院
県立中央病院
山形市立病院済生館
山形済生病院
篠田総合病院
北村山公立病院
山形徳洲会病院
県立河北病院
山形大学医学部附属病院
山形済生病院
篠田総合病院
北村山公立病院
国立病院機構山形病院
山形徳洲会病院
東北中央病院
至誠堂総合病院
県立河北病院
みゆき会病院
尾花沢病院
小白川至誠堂病院
吉岡病院
寒河江市立病院
天童温泉篠田病院
天童市民病院
朝日町立病院
西川町立病院
篠田総合病院
北村山公立病院
山形ロイヤル病院
国立病院機構山形病院
山形徳洲会病院
東北中央病院
至誠堂総合病院
みゆき会病院
尾花沢病院
小白川至誠堂病院
吉岡病院
寒河江市立病院
天童温泉篠田病院
天童市民病院
朝日町立病院
西川町立病院
山形さくら町病院
山形厚生病院
県立新庄病院
町立真室川病院
県立新庄病院
新庄徳洲会病院
最上町立最上病院
町立真室川病院
県立新庄病院
新庄徳洲会病院
最上町立最上病院
町立真室川病院
公立置賜総合病院
米沢市立病院
三友堂病院
国立病院機構米沢病院
吉川記念病院
舟山病院
公立高畠病院
三友堂リハビリセンター
公立置賜長井病院
川西湖山病院
小国町立病院
公立置賜南陽病院
国立病院機構米沢病院
吉川記念病院
舟山病院
公立高畠病院
三友堂リハビリセンター
公立置賜長井病院
川西湖山病院
白鷹町立病院
小国町立病院
公立置賜南陽病院
佐藤病院
日本海総合病院
鶴岡市立荘内病院
庄内余目病院
鶴岡協立病院
酒田市立八幡病院
庄内余目病院
鶴岡協立病院
三川病院
鶴岡協立リハビリテーション
病院
本間病院
鶴岡市立湯田川温泉リハビリ
テーション病院
日本海総合病院酒田医療セン
ター
酒田市立八幡病院
庄内余目病院
県立鶴岡病院
鶴岡協立病院
三川病院
鶴岡協立リハビリテーション
病院
本間病院
酒田東病院
鶴岡市立湯田川温泉リハビリ
テーション病院
日本海総合病院酒田医療セン
ター
遊佐病院
酒田市立八幡病院
宮原病院
山容病院
67
3 急性心筋梗塞
■ 急性心筋梗塞対策の推進
《現状と課題》
● 平成22年の人口動態統計によると、本県の急性心筋梗塞(心疾患)による粗死亡率(人
口10万人対の死亡者数)は、男性178.2、女性201.
9であり、上昇傾向が見られます。
また、高齢化の影響を調整して計算した年齢調整死亡率は、男性69.6(全国第35位)
、
女性38.9(全国第28位)であり、若干の低下傾向が見られます。
心疾患の粗死亡率及び年齢調整死亡率の推移
(人口10万対)
250.0
女性
200.0
粗死亡率
男性
150.0
100.0
男性
50.0
0.0
女性
平成7年 平成12年 平成17年 平成22年
心疾患
粗死亡率
年齢調整
死 亡 率
年齢調整
死 亡 率
平成7年
平成12年
平成17年
平成22年
男性
143.2
143.2
179.0
178.2
女性
128.3
143.0
173.8
201.9
男性
100.6
84.3
86.5
69.6
女性
51.9
45.4
43.6
38.9
● 急性心筋梗塞の危険因子は、高血圧、脂質異常症、喫煙、糖尿病、ストレス等であり、
発症の予防には栄養・食生活、運動、喫煙等生活習慣の改善を中心とした一次予防の充
実が必要です。
● メタボリックシンドロームの該当者及び予備群の減少に向け、保険者が主体となり、
特定健康診査及び特定保健指導を実施しています。
● 急性心筋梗塞は、発症後速やかに救命措置が必要で、特に心肺停止者に対しては、現
場におけるAED(自動体外式除細動器)の使用を含む救急蘇生法等適切な救護措置が
有効であり、県においても操作講習会の開催やAED設置を推進します。
● 発症から1時間以内に治療を開始すると死亡率が低くなることから、早急な医療機関
への搬送が必要です。
● 患者が安心して治療やリハビリを受けられるよう、発症から在宅にいたるまで、地域
において個々の医療機関の医療機能と役割分担に応じて継続して医療が提供される体制
が必要です。
68
《施策の方向》
● 県、市町村及び県医師会等は、急性心筋梗塞の発症の予防に向け、生活習慣改善のた
めの健康づくり情報の提供を推進します。
● 県は、保険者を通じ、特定健康診査等の実施によるハイリスク者の発見及びハイリス
ク者に対する保健指導の実施を推進します。
● 県、市町村及び消防本部は、AEDの設置を推進します。
● 県は、急性期、回復期、維持期から在宅に至るまでの医療機関の連携体制を構築しま
す。
● 県は、在宅療養が円滑に実施できるよう、地域生活を支援する体制を充実強化します。
《評価目標》
項 目
現 状
急性心筋梗塞(心疾患)による
年齢調整死亡率
[人口10万人対]
男性 69.6
女性 38.9
(平成22年)
目 標
25年度
26年度
27年度
28年度
29年度
−
−
66.1
37.0
−
−
[厚生労働省「都道府県別年齢調整死亡率」(調査周期5年)]
《主な施策》
● 県は、急性心筋梗塞の発症の予防に向け、適切な食生活の実践や運動習慣の定着、喫
煙等の生活習慣の改善のための、わかりやすい健康づくり情報の提供を推進します。
● 県は、県医師会や保険者協議会と連携し、保険者が、特定健康診査の実施によりハイ
リスク者に対する保健指導を適切に実施できるよう、特定保健指導従事者の育成に努め
ます。
● 県は、心肺停止者に対する救命措置として有効なAEDの設置について、設置が望ま
しい場所についてのAED設置の働きかけと使用方法の研修を実施します。
● 県は、急性期、回復期、維持期から在宅にいたるまで、それぞれの患者の状態に応じ
継続して医療が提供されるよう、地域連携パス等の活用による医療機関の連携体制の構
築を促進します。
● 県は、在宅療養においては、患者の生活の質(QOL)を維持しながら再発の予防に
向け、健康管理を行う医療機関等が連携し、地域生活を支援する体制を充実強化します。
69
急性心筋梗塞の医療体制
救急医療
○ 来院後30分以内の専門的治療開始
救急搬送
救急要請
発症
○ 急性期の心臓リハビリテーション
実施
経過観察・合併症併発・再発の連携
○ 再発予防の定期的専門検査の実施
急性期の医療を行う病院
医
身体機能を回復させる
心臓リハビリテーション
療
退院時連携
再発予防
機
○ 回復期の心臓リハビリテ−ショ
ン実施
○ 再発予防治療
○ 再発予防治療、
基礎疾患・危険
因子の管理
○ 在宅療養の継続支援
○ 基礎疾患・危険因子の管理
○ 在宅等への復帰支援
能
歯科管理
回復期の医療を行う病院
○ 口腔管理等
再発予防を行う病院
地域の診療所 等
発症予防
退院、通院、在宅療養支援
○ 急性心筋梗塞の
発症予防
在宅等での生活
ケアハウス、有料老人ホーム等
多様な居住の場を含む
時間の流れ
急性心筋梗塞の医療体制
【急性期】
【再発予防】
救急医療
身体機能を回復させる
心臓リハビリテーション
目標
●来院後30分以内の専門的治療開始
●急性期における心臓リハビリテー
ションの実施
●再発予防の定期的専門的検査の実施
救急医療
●再発予防治療、基礎疾患・危険因子
の管理
●心臓リハビリテーションの実施
●在宅復帰支援
●再発予防に必要な知識の教育
●再発予防治療、基礎疾患・危険因子
の管理
●在宅療養支援
●心臓カテーテル検査等の24時間対応
●専門的診療の24時間対応
●ST上昇型の場合、90分以内の冠動
脈造影検査実施
●呼吸管理等の全身管理や、ポンプ失
調、心破裂等の合併症の治療
●電気的除細動、器械的補助循環装
置、緊急ペーシング、ペースメー
カー不全の対応
●包括的あるいは多要素リハビリテー
ションの実施
●回復期等の医療機関等と診療情報や
治療計画を共有
●冠動脈バイパス手術等の外科的治療
●再発予防治療、基礎疾患・危険因子
の管理
●抑うつ状態への対応
●電気的除細動等急性増悪時の対応
●合併症併発時等に緊急の内科的・外
科的治療が可能な医療機関と連携
●運動療法、食事療法等の心臓リハビ
リテーションの実施
●再発時等における対応法について、
患者及び家族への教育
●急性期等の医療機関等と診療情報や
治療計画を共有
●再発予防治療、基礎疾患・危険因子
の管理
●抑うつ状態への対応
●電気的除細動等急性増悪時の対応
●合併症併発時等に緊急の内科的・外
科的治療が可能な医療機関と連携
●急性期等の医療機関、介護保険サー
ビス事業所等と診療情報や治療計画
を共有
●生活機能の維持・向上のリハビリ
テーション実施
●在宅復帰のための居宅介護サービス
を調整
求められる事項の目安
機能
課題
評価
目標
70
【回復期】
○来院後30分以内に治療が開始できる
体制の整備
○二次医療圏内での開胸手術等により
対応できる体制の整備
再発予防
○運動療法、食事療法等の心臓リハビリテーションが実施可能な体制の整備
○発症から在宅にいたるまで、継続して医療が提供される体制の整備
急性心筋梗塞(心疾患)による年齢調整死亡率
急性心筋梗塞の医療体制を構築する病院
機能
急性期
回復期
再発予防
村 山
山形済生病院
県立中央病院
山形市立病院済生館
山形済生病院
篠田総合病院
北村山公立病院
国立病院機構山形病院
篠田総合病院
北村山公立病院
国立病院機構山形病院
至誠堂総合病院
篠田総合病院
東北中央病院
山形徳洲会病院
東北中央病院
みゆき会病院
尾花沢病院
小白川至誠堂病院
至誠堂総合病院
県立河北病院
小白川至誠堂病院
吉岡病院
吉岡病院
寒河江市立病院
天童温泉篠田病院
天童市民病院
寒河江市立病院
天童温泉篠田病院
朝日町立病院
西川町立病院
天童市民病院
朝日町立病院
西川町立病院
山形厚生病院
県立新庄病院
県立新庄病院
新庄徳洲会病院
最上町立最上病院
町立真室川病院
県立新庄病院
新庄徳洲会病院
最上町立最上病院
町立真室川病院
新庄明和病院
公立置賜総合病院
米沢市立病院
三友堂病院
米沢市立病院
国立病院機構米沢病院
三友堂病院
公立高畠病院
川西湖山病院
白鷹町立病院
小国町立病院
国立病院機構米沢病院
舟山病院
公立高畠病院
公立置賜長井病院
川西湖山病院
白鷹町立病院
公立置賜南陽病院
公立置賜南陽病院
日本海総合病院
日本海総合病院
庄内余目病院
鶴岡市立荘内病院
庄内余目病院
鶴岡市立荘内病院
庄内余目病院
鶴岡協立病院
三川病院
鶴岡協立病院
鶴岡協立病院
本間病院
遊佐病院
酒田市立八幡病院
宮原病院
二
山形大学医学部附属病院
次
最 上
健 医 療 圏
保
置
賜
小国町立病院
庄
内
71
4 糖尿病
■ 糖尿病対策の推進
《現状と課題》
● 糖尿病は、脳卒中、急性心筋梗塞等、他疾患の危険因子ともなる慢性疾患であり、多
種多様な合併症の併発リスクも高く、患者・家族の社会生活及び医療費増加に大きな影
響を及ぼしています。
● メタボリックシンドロームの該当者及び予備群の減少に向け、保険者が主体となり、
特定健康診査及び特定保健指導を実施しています。
● 健診で「糖尿病の疑い」と判定された場合でも、自覚症状が現れないことから医療機
関を受診しない人も多く、また、治療が長期に及ぶことから、治療を中断する人も多く
見受けられます。
● 血糖コントロールを適切に行うことにより合併症の発症を予防することは可能であ
り、専門医を中心に管理栄養士や看護師、保健師、薬剤師等の専門職種が連携し、食生
活、運動習慣等に関する指導を行うことが重要です。
平成22年度特定健康診査及び特定保健指導の実施状況
特定健康診査
特定保健指導
対象者数
(人)
受診者数
(人)
受診率
(%)
対象者数
(人)
修了者数
(人)
修了率
(%)
特定保健指導
対象者の割合
(%)
485,
665
243,718
50.2
39,592
6,743
17.0
16.2
資料:厚生労働省調べ(レセプト情報・特定健康診査等データベースより)
《施策の方向》
● 県、市町村及び県医師会等は、糖尿病の発症の予防に向け、生活習慣改善のための健
康づくり情報の提供を推進します。
● 県は、保険者を通じ、特定健康診査等の実施によるハイリスク者の発見及びハイリス
ク者に対する保健指導の実施を推進します。
● 県は、関係機関と連携し、合併症の予防と、合併症の症状に応じた適切な医療を提供
できる医療機関の整備、連携体制を充実強化します。
● 県は、急性期、回復期、維持期から在宅に至るまでの医療機関の連携体制を構築します。
《評価目標》
項 目
特定健康診査の受診率
現 状
50.2%
(平成22年度)
目 標
25年度
26年度
27年度
28年度
29年度
55.0%
57.5%
60.0%
63.0%
70.0%
[厚生労働省調べ(レセプト情報・特定健康診査等データベースより)]
72
《主な施策》
● 県、市町村及び県医師会等は、糖尿病の発症の予防に向け、適切な食生活の実践や運
動習慣の定着、喫煙等の生活習慣の改善のための、わかりやすい健康づくり情報の提供
を推進します。
● 県は、医師会や保険者協議会と連携し、保険者が、特定健康診査の実施によりハイリ
スク者に対する保健指導を適切に実施できるよう、特定保健指導従事者の育成に努めま
す。
● 県は、関係機関と連携し、糖尿病の適切な治療の開始と継続を促すため、普及啓発及
び患者教育を推進します。
● 県は、県医師会、県歯科医師会、県薬剤師会、県看護協会及び県栄養士会等と連携し、
多職種の連携体制の構築を推進するとともに、初期治療から安定期治療、専門治療、急
性増悪時治療、慢性合併症治療まで、適切な医療を提供できる医療連携体制の構築を推
進します。
73
︵不可︶
糖尿病の医療体制
急性増悪時治療
○糖尿病昏睡等 急性合併症の治療の実施
急性合併症の治療を行う病院
初期治療
歯科診療所
血糖コントロール
○ 糖尿病の診断と的確な初期治療及び生活習慣
改善の指導
糖尿病専門医がいる病院・診療所
○ 口腔ケア 等
転院・退院時の連携
慢性合併症治療
専 門 治 療
○ 血糖コントロール不可例に対する指標改善
のための教育入院等、集中的な治療の実施
糖尿病専門医がいる病院・診療所
各専門職種のチームによる集中的な治療を行う病院
紹介・
治療時
連携
血糖コントロール不可例の連携
○ 糖尿病の慢性合併症の専門的な
治療の実施
糖尿病腎症の
・糖尿病網膜症
治療を行う病院
・糖尿病腎症
・糖尿病神経障害
地域の診療所
等
(眼科 等)
紹介時・治療時連携
安定期治療
︵優︶
○ 良好な血糖コントロール
評価を目指した治療
○ 口腔ケア 等
健康診査等に
よる糖尿病の
早期発見
地域の診療所
歯科診療所 等
時間の流れ
糖尿病の医療体制
【専門治療】
機能
血糖コントロール不可
例の治療
●良好な血糖コント
ロール評価を目指し
た治療
●教育入院等の集中的
な治療による、血糖
コントロール指標の
改善
●糖尿病昏睡等急性合
併症の治療実施
目標
●糖尿病の診断及び生
活習慣指導の実施
●良好な血糖コント
ロール評価を目指し
た治療
●糖尿病の慢性合併症
に対する専門的治療
の実施
●糖尿病の診断及び専
門的指導
●75gOGTT、HbA1c
等糖尿病の評価に必
要な検査の実施
●食事療法、運動療法
及び薬物療法による
血糖コントロール
●低血糖時及びシック
デイの対応
●専門治療等を行う医
療機関等と診療情報
や治療計画を共有
●低血糖時及びシック
デイの対応
●専門治療等を行う医
療機関等と診療情報
や治療計画を共有
●75gOGTT、HbA1c
等糖尿病の評価に必
要な検査の実施
●各専門職種のチーム
による、食事療法、
運動療法、薬物療法
等を組み合わせた教
育入院等の集中的な
治療(心理問題を含
む。)の実施
●糖尿病患者の妊娠へ
の対応
●食事療法、運動療法
を実施するための設
備
●予防等を行う医療機
関等と診療情報や治
療計画を共有
●糖尿病昏睡等急性合
併症の治療に関する
24時間対応
●食事療法、運動療法
を実施するための設
備
●予防等を行う医療機
関等と診療情報や治
療計画を共有
●専門的な検査・治療
の実施
●糖尿病網膜症に対す
る、専門検査・手術
等の実施
●糖尿病腎症に対す
る、専門的検査・透
析等の実施
●予防等を行う医療機
関等と診療情報や治
療計画を共有
求められる事項の目安
【初期・安定期治療】
合併症の発症を予防するための初期・安定期治
療
74
【急性増悪時治療】
急性合併症の治療
【慢性合併症治療】
糖尿病の慢性合併症の
治療
課題
○糖尿病の発症予防
○初期・安定期治療から、専門医療、急性増悪時治療、慢性期合併症治療まで、適切な医療を提供できる医療連携体制の構築
評価
目標
特定健康診査の受診率
糖尿病の医療体制を構築する病院
村山
最上
次 保 健 医 療 圏
二
置賜
庄内
山形大学医学部附属病院
県立中央病院
山形市立病院済生館
山形済生病院
篠田総合病院
北村山公立病院
山形ロイヤル病院
国立病院機構山形病院
山形徳洲会病院
東北中央病院
至誠堂総合病院
県立河北病院
みゆき会病院
尾花沢病院
小白川至誠堂病院
吉岡病院
寒河江市立病院
天童温泉篠田病院
天童市民病院
朝日町立病院
西川町立病院
矢吹病院
井出眼科病院
山形厚生病院
若宮病院
県立新庄病院
新庄徳洲会病院
最上町立最上病院
町立真室川病院
新庄明和病院
公立置賜総合病院
米沢市立病院
国立病院機構米沢病院
吉川記念病院
舟山病院
三友堂病院
公立高畠病院
公立置賜長井病院
川西湖山病院
白鷹町立病院
小国町立病院
公立置賜南陽病院
日本海総合病院
鶴岡市立荘内病院
庄内余目病院
鶴岡協立病院
三川病院
鶴岡協立リハビリテーション病院
本間病院
遊佐病院
酒田市立八幡病院
宮原病院
初期・
安定期治療
○*
○*
○*
○**
○
○
○**
○
○
○*
○*
○**
○**
○*
○
○*
○
○
○
○
○
○**
○
○*
○
○*
○
○
○*
○*
○
○
○
○**
○*
○*
○
○
○
○
○*
○
○**
○
○
○
○
○
○
○
○
慢性合併症
治療
○
○
○
○
○
○
○
○*
○*
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
専門治療
○*
○*
○*
○*
急性増悪時
治療
○
○
○
○
○
○*
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○**
○
○
○
○
○
○
○*
○*
○
○
○
○
○
○**
○*
○*
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○*
○*
○
○**
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
※ *は糖尿病専門医(
(社)日本糖尿病学会認定)が常勤している病院(**は非常勤)
75
5 精神疾患
■ 精神保健福祉対策の推進
《現状と課題》
● 本県における平成23年度末の自立支援医療(精神通院医療)受給者数は8,859人、精
神障害者保健福祉手帳所持者数は4,560人で、精神疾患の患者数は年々増加しています。
自立支援医療(精神通院医療)受給者数の推移(各年度末)
(単位:人)
平成19年度
平成20年度
平成21年度
平成22年度
平成23年度
7,
842
7,962
8,182
8,627
8,859
資料:県障がい福祉課調べ
精神障害者保健福祉手帳所持者数(各年度末)
(単位:人)
平成19年度
平成20年度
平成21年度
平成22年度
平成23年度
3,
854
4,018
4,197
4,423
4,560
資料:県障がい福祉課調べ
● 疾患別では、うつ病、双極性障害などの気分障がいや神経症性障がい、ストレス関連
障がい及び身体表現性障がいによる外来患者が増加しています。
● 精神疾患はできるだけ早期に必要な精神科医療を受けることができれば、回復又は寛
解(症状が一時的あるいは継続的に軽減した状態になること)するとも言われているこ
とから、早期発見、早期治療につなげる取組みが重要です。
● 精神疾患の早期発見、早期受診のためには、精神疾患についての正しい知識の普及や
心の健康に関する相談支援の充実が必要です。
《施策の方向》
● 県及び市町村は、精神疾患の早期発見と精神科による早期治療に結びつけるために、
精神疾患に関する正しい知識の普及、啓発をさらに推進します。
● 県は、心の健康に関する専門的な相談支援の充実を図ります。
《評価目標》
項 目
自殺死亡率(人口10万人対)
現 状
22.
8
(平成23年)
目 標
25年
26年
27年
28年
29年
22.0
21.5
21.0
20.5
20.
0
[県健康福祉企画課調べ]
76
《主な施策》
● 県は、うつ病をはじめとする精神疾患に関する正しい知識の普及、啓発を図るため、
研修会の開催等を実施します。
● 県は、地域や職場、学校等におけるメンタルヘルスの取組みへの支援の充実を図りま
す。
● 県は、市町村等において心の健康に関する相談業務に従事する職員等の資質向上のた
め、研修等の充実を図ります。
● 県は、心の健康相談をはじめとする各種相談業務に携わる職員の専門的スキルの向上
に努めるとともに、相談窓口の周知に努めます。
■ 専門医療を含む精神科医療の確保充実
《現状と課題》
● 精神科医療については、精神病床を有する21病院において入院医療が提供されている
ほか、病院や診療所において、通院医療が提供されています。
● 統合失調症やうつ病に加え、高齢化に伴う認知症や身体合併症、社会的ストレスを背
景としたうつ病、思春期・青年期における社会的不適応状態の増加などにより、精神科
医療の確保充実が必要です。
● なかでも、患者の状況に応じた精神科医療の提供や、関係機関が連携し早期発見から
適切な治療に結びつくような医療連携体制の構築が必要です。
● うつ病等の精神疾患の初期症状は自覚しにくいため、受診が遅れる傾向があります。
また、精神科受診への抵抗感から、初めに「かかりつけ医」等の一般診療科を受診す
る傾向も見られることから、一般診療科医と精神科医の連携を促進する必要があります。
● 県立鶴岡病院については、本県唯一の公立の精神科病院として、精神科医療の基幹病
院としての役割と専門性の高い精神科医療の提供が求められています。
● これまでの統合失調症を中心とした医療に加え、児童、思春期の精神疾患への対応な
ど、専門医療の提供、充実が必要です。
《施策の方向》
● 県は、精神疾患を発病してからできるだけ早期に精神科を受診できるように、一般診
療科医と精神科医の連携を促進します。
● 県立鶴岡病院は、県内の精神科医療の基幹病院として、県内の精神科医療機関との連
携を推進するとともに、ストレスによるうつ病や児童、思春期の心の病など多様なニー
ズに対応できるよう専門医療の提供体制を整備します。
77
《評価目標》
項 目
1年未満の平均退院率
現 状
70.6%
(新規入院患者のうち、入院後1年ま
(平成22年度)
での各月末までの累計退院率の平均)
目 標
25年度
26年度
27年度
28年度
29年度
70.6%
76.0%
76.0%
76.0%
76.0%
[厚生労働省「精神保健福祉資料」]
《主な施策》
● 県は、一般診療科医と精神科医の連携について協議する場を設けるなど連携の仕組み
づくりを進め、日常的な連携を促進します。
● 県は、県立鶴岡病院を移転改築し、本県の精神科医療の基幹病院として、民間病院で
は対応が困難な児童、思春期の心の病やストレスによるうつ病の治療等の専門性の高い
精神科医療を提供する「県立こころの医療センター(仮称)」を整備します。
● 県は、精神科医療における政策医療を提供するため「県立こころの医療センター(仮
称)
」に子ども・ストレスケア病棟、精神科救急入院料病棟(スーパー救急病棟)及び
医療観察法病棟を整備します。
● 県立鶴岡病院は、県内の精神科医療機関と連携し、精神科医療ネットワークの中核セ
ンターとしての役割を担います。
78
■ 地域移行・地域定着支援体制の推進
《現状と課題》
● 本県における平成22年6月30日現在の精神科病院入院患者数は3,
472人で、平成19年
からほぼ横ばい状態が続いています。
精神科病院入院患者数
(単位:人)
平成19年度
平成20年度
平成21年度
平成22年度
3,480
3,488
3,
498
3,472
資料:厚生労働省「精神保健福祉資料」
● 入院患者のうち1年以上入院している患者が約6割を占めています。なかでも、統合
失調症等の患者の入院期間は長期化しており、高齢化が進んでいます。
● そのうち、病状は安定しているものの、退院しても受入れ先がないことや、長期入院
や高齢化による生活機能の低下など、精神症状以外の理由により退院が困難になってい
る方もいる状況です。
精神病床入院患者の在院期間
1年以上60.8%
H19
1年未満
1年以上57.8%
H20
1年未満
1年未満
1年以上5年未満
5年以上10年未満
1年以上61.6%
H21
1年未満
10年以上20年未満
20年以上
1年以上61.8%
H22
0%
1年未満
20%
40%
60%
80%
100%
資料:厚生労働省「精神保健福祉資料」
● 本県では、精神障がい者が住み慣れた地域で、本人の意向に即して充実した生活を送
ることができるように、医療機関や福祉の関係機関と連携を図りながら、入院患者の退
院や地域での生活が継続できるように支援する地域移行・地域定着支援事業を実施して
います。
● 精神障がい者が安定した地域生活を送るためには、外来医療、デイケア、訪問看護等
による継続的な医療の提供と障がい福祉サービスによる生活支援等が必要であるととも
に、精神障がい者に対する住民の理解が必要です。
79
《施策の方向》
● 県は、統合失調症等の長期入院患者の円滑な地域移行支援を推進するとともに、安心
して、自立した生活を送ることができるような、医療、保健、福祉の関係機関の連携に
よる地域定着支援の充実を図ります。
● 県は、入院している精神障がい者が地域に移行する際や安定した地域生活を送る際に
必要なサービス提供体制の確保に努めます。
● 県及び市町村は、地域住民を対象とした精神疾患及び精神障がい者に対する理解の促
進に努めます。
《評価目標》
項 目
現 状
在院期間5年以上かつ65歳以上
105人
の退院患者数
(平成22年度)
目 標
25年
26年
27年
28年
29年
105人
122人
122人
122人
122人
[県障がい福祉課調べ]
《主な施策》
● 県は、医療機関や福祉サービス事業者等の関係機関と連携し、入院期間が長期化して
いる高齢の入院患者の退院に向けた支援を推進します。
● 県は、医療機関や福祉サービス事業者等の関係機関と連携し、医師、看護師、精神保
健福祉士など、多職種による訪問支援(アウトリーチ)等を含めた、地域資源の活用に
よる地域生活支援を推進します。
● 県は、グループホームやケアホームの整備を支援するとともに、併せて訪問系サービ
スや通所系サービスの充実を図ります。
● 県は、市町村や医療機関、福祉サービス事業者等の関係機関と連携し、地域住民に対
して精神障がい者と触れ合う機会を提供するとともに、精神疾患に関する正しい知識の
普及、啓発をさらに推進します。
80
■ 精神科救急医療体制の充実
《現状と課題》
● 本県の精神科救急医療体制における精神科医療圏域は下記のとおり設定しています。
圏域名
構成市町村名
村山
山形市、寒河江市、上山市、村山市、天童市、東根市、尾花沢市、山辺町、中山町、
河北町、西川町、朝日町、大江町、大石田町
置賜
米沢市、長井市、南陽市、高畠町、川西町、小国町、白鷹町、飯豊町
庄内・最上
鶴岡市、酒田市、新庄市、三川町、庄内町、遊佐町、金山町、最上町、舟形町、
真室川町、大蔵村、鮭川村、戸沢村
● 各精神科医療圏域にそれぞれの地域における救急医療体制の基幹となる病院を指定し
ています。
精神科医療圏域基幹病院
村山圏域
置賜圏域
庄内・最上圏域
山形さくら町病院
佐藤病院
県立鶴岡病院
● 本県の精神科救急医療体制は、主として夜間や休日における医療体制を確保するため、
県内を「村山・置賜」、「庄内・最上」の2圏域に分け、精神科応急入院指定病院(※1)
(兼)精神科救急医療施設(※2)の輪番制による当番病院が受入れに対応しています。
村山・置賜
庄内・最上
県全体
5病院
1,434床
2病院
520床
7病院
1,954床
※1 急を要するため、保護者の同意を得ることができない場合、本人の同意がなくても指定医
の診察により72時間に限り入院させることができる病院
※2 定められた日において、指定医等による医療対応体制を整え、入院が必要な場合は入院で
きるように空床を確保することとされている病院
● 急性期の集中的治療を充実し、早期の退院を図る入院病棟を持つ病院(精神科救急入
院料認可施設「スーパー救急」)は、村山圏域に2病院(山形さくら町病院、若宮病院)、
置賜圏域に1病院(佐藤病院)認可されていますが、庄内・最上圏域における認可施設
の整備が求められています。
● 自殺企図による大量服薬や外傷などの身体的症状を合併する精神疾患患者について
は、医療機関への受入れまでに長時間を要することがあり、その対応が課題となってい
ます。
● 平成24年2月に設置した「精神科救急情報センター」は、県民からの精神科救急医療
相談の対応と消防機関、警察、救急医療機関からの要請に対する受入れ病院の調整を実
施しており、より円滑に運営していくためには評価と検討を行っていくことが必要です。
81
《施策の方向》
● 県は、精神科救急医療の充実を図るため、精神科救急医療施設と精神科診療所等との
連携を促進します。
● 県は、精神科救急入院料認可施設の拡充を図ります。
● 県は、身体的な疾患を合併した精神疾患患者への対応について、一般救急医療機関と
精神科救急医療機関との連携を促進します。
● 県は、精神科救急に係る相談体制や、受入れ病院の調整機能の充実を図ります。
《評価目標》
項 目
現 状
精神科救急入院料認可施設の数
3施設
(平成24年度)
目 標
25年
26年
27年
28年
29年
3施設
4施設
4施設
4施設
4施設
[県障がい福祉課調べ]
《主な施策》
● 県は、「かかりつけ医」としての精神科診療所と精神科救急医療施設の連携を進める
ための方策について検討します。
● 県は、急性期の集中的治療を充実し、早期の退院を図るため、「県立こころの医療セ
ンター(仮称)」に精神科救急入院料病棟(スーパー救急病棟)を整備します。
● 県は、身体的な疾患を合併した精神疾患患者への対応について、個別ケースの事例検
討等による一般救急医療機関と精神科救急医療機関の情報交換等を通じた医療機関の連
携を促進します。
● 県は、
「精神科救急情報センター」の取組みの評価と検討を行いながら、より的確な
精神科救急の相談対応や円滑な受入れ病院の調整を実施します。
82
■ 認知症対策の推進
《現状と課題》
● 本県の認知症高齢者は年々増加しており、要介護・要支援認定者(第1号被保険者)
のうち6割以上が何らかの介護や支援を必要とする認知症高齢者となっています。
また、施設入所者については約9割が認知症高齢者となっています。
山形県の認知症高齢者数
(%)
(人)
40,000
35,000
28,602
30,000
25,000
20,000
30,731
23,194
53.2
32,278
35,578
34,290
37,225
100.0
80.0
25,421
24,120
52.8
60.9
58.3
53.0
62.4
63.7
63.3
60.0
64.5
40.0
15,000
10,000
20.0
5,000
0
0.0
平成16年 平成17年 平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年 平成23年 平成24年
認知症高齢者
要介護・要支援認定者に占める割合
資料:県長寿社会課調べ
● 単身高齢者世帯の増加に伴い、一人暮らしの軽度認知症高齢者も増加しており、民生
委員や地域住民による見守りのほか、支援体制の拡充が必要とされています。
● 認知症になってもできる限り住み慣れた地域で生活を継続できるようにするために
は、認知症の人が自分の将来を自分で決めることができるよう、できるだけ症状の軽い
早期に診断を実施するとともに、本人や家族への初期支援が必要です。
年 度
18年度
19年度
20年度
21年度
22年度
23年度
「かかりつけ医」認知症対応力
向上研修受講者数(累計)
133
207
207
207
207
233
資料:県長寿社会課調べ
● 認知症のある高齢者が地域で暮らすためには、医療、介護、福祉サービスの充実と周
囲の人々の理解と協力が不可欠です。
● 県では、認知症に対する正しい知識の普及啓発等のためパンフレットの作成やセミ
ナーを開催し、これまで783人のキャラバン・メイト(※)を養成しています。
※ 認知症について正しく理解し、偏見を持たず、認知症の人や家族に対して温かい目で見守り
応援する「認知症サポーター」を養成する「認知症サポーター養成講座」の講師
年 度
17年度
18年度
19年度
20年度
21年度
22年度
23年度
キャラバン・メイト養成数(累計)
255
255
357
438
516
595
783
資料:長寿社会課調べ(人数は各年度末現在)
83
● 若年性認知症については、65歳以前のいわゆる「現役世代」で発症し、高齢者の認知
症に比べ進行が早いため、早期発見、早期診断、早期治療が必要と考えられます。しか
しながら、社会的な認知度が低いことから、経済的な問題をはじめ、日常生活を送る上
での様々な問題について、対策や支援方法が確立されていない状況です。
● 現在、二次保健医療圏ごとに認知症の専門医療機関である「認知症疾患医療センター」
を設置することを目標に体制整備を進めており、既に、村山、置賜、庄内の3圏域に各
1か所設置しています。
認知症疾患医療センター実績
(平成23年度)
外来件数
鑑別診断件数
医療相談件数
6,061
768
2,460
資料:県長寿社会課調べ
《施策の方向》
● 県及び市町村は、認知症に対する正しい知識を普及啓発することにより、認知症に対
する偏見を取り除き、認知症の正しい知識と認知症の方に対する理解の浸透を図ります。
● 県は、市町村が行う認知症予防事業や認知症高齢者の見守り体制の整備を支援し、認
知症の人やその家族が地域で安心して暮らせるまちづくりを推進します。
● 県及び市町村は、今後も増加が見込まれる認知症高齢者への対策として、予防や地域
づくりの推進、介護の質の向上を図るため、地域包括支援センターの機能強化と人材育
成を推進します。
● 県は、認知症をできるだけ早期に発見、診断し治療につなげるための体制整備を推進
します。
● 市町村は、認知症の人ができる限り住み慣れた地域で暮らし続けられる体制を整備し
ます。
《評価目標》
項 目
現 状
目 標
25年
26年
27年
28年
29年
863
(平成24年度)
943
1,023
1,103
1,
183
1,263
認知症サポート医養成研修修了
8
者数(累計)
(平成23年度)
15
18
21
24
27
3
(平成23年度)
3
3
3
3
4
キャラバン・メイト養成数
(累計)
認知症疾患医療センターの数
[県長寿社会課調べ]
84
《主な施策》
● 県は、市町村が行う認知症の正しい知識の普及啓発を支援するため、認知症サポー
ター養成講座の講師となるキャラバン・メイトを養成し、市町村が認知症サポーター養
成講座を開催できる体制づくりを支援します。
● 県は、市町村が地域の医療と介護の連携及び支援体制の構築を図る「市町村認知症施
策総合推進事業」の中心的なコーディネーターとなる「認知症地域支援推進員」の必要
性と有用性を市町村に周知し、
「認知症地域支援推進員」の市町村への配置を支援します。
● 県は、国が設置している若年性認知症コールセンターの紹介や、身近な相談窓口であ
る地域包括支援センター、認知症疾患医療センター等相談体制の充実を推進します。
● 県は、市町村の介護予防事業担当者や地域包括支援センター職員等を対象に、研修や
情報交換会を開催することにより、認知症に関する市町村への情報提供や人材育成に努
めます。
● 県は、認知症の早期発見、早期治療を推進するため、高齢者と接する機会の多い地域
の「かかりつけ医」に対し、認知症診断の知識と対応を学ぶ研修を実施します。
● 県は、認知症の診療に習熟し、
「かかりつけ医」に対して助言その他の支援を行い、
専門医療機関との連携の推進役となる「認知症サポート医」を養成し、「かかりつけ医」
との連携体制の構築を支援することにより、認知症の発症初期から医療と介護が一体と
なって支援する体制を構築します。
● 県は、すべての二次保健医療圏域をカバーできるよう、各圏域における認知症疾患医
療センターを含む認知症の鑑別診断を行う医療機関の整備を推進します。
● 市町村は、認知症の人や家族に関わり、自立生活のサポートを行う「認知症初期集中
支援チーム」の設置に努めます。
● 県は、認知症の人がその進行状況にあわせ、いつ、どこで、どのような医療や介護を
受ければよいかを市町村が標準的に定める「認知症ケアパス」の作成を支援するため、
優良な事例の紹介等、市町村への情報提供に努めます。
● 県は、認知症の人が行動、心理症状で入院した場合の円滑な退院の支援を図るため、
医療機関における「退院支援・地域連携クリティカルパス(退院に向けての診療計画)」
の導入を支援します。
85
■ 自殺対策の推進
《現状と課題》
● 県内自殺者数は平成23年で264人、自殺死亡率は22.
8で全国第24位となっており、過
去最悪であった平成18年と比較して、117人減少しているものの、今後の推移に注意が
必要です。
● 年齢階層別、男女別に見ると、中高年男性と高齢者に自殺者が多いため、これらの世
代への対応を考慮した取組みを進めることが必要です。
● いじめなど緊急性が高い若年層の自殺を防ぐ取組みを進めることが必要です。
● 自殺は様々な要因が複雑に関係していることから、自殺の背景にある社会的要因から
自死遺族へのケアまで幅広く対応するため、関係機関との緊密な連携がとれる体制が必
要です。
【全国及び山形県における自殺者数、自殺死亡率の推移】
平成18年
平成19年
平成20年
平成21年
平成22年
平成23年
全 国
29,921
(23.7)
30,
827
(24.4)
30,229
(24.0)
30,
707
(24.4)
29,554
(23.4)
28,896
(22.9)
山形県
381
(31.7)
3位
332
(27.9)
10位
340
(28.8)
8位
321
(27.4)
12位
307
(26.4)
7位
264
(22.8)
24位
資料:県健康福祉企画課調べ ( )は人口10万人対
【地域別の自殺者数、自殺死亡率の推移】
平成18年
平成19年
平成20年
平成21年
平成22年
平成23年
村山地域
154
(26.8)
135
(23.6)
121
(21.2)
131
(23.1)
119
(21.3)
91
(16.2)
最上地域
50
(55.8)
31
(35.2)
35
(40.3)
33
(38.5)
28
(33.5)
35
(42.1)
置賜地域
75
(31.7)
59
(25.2)
70
(30.2)
76
(33.1)
71
(31.5)
49
(21.8)
庄内地域
102
(33.2)
107
(35.2)
114
(37.9)
81
(27.2)
89
(30.4)
89
(30.5)
資料:県健康福祉企画課調べ ( )は人口10万人対
《施策の方向》
● 県は、自殺の背景にある社会的、経済的、家庭的要因も踏まえた総合的な取組みのた
めの官民協働による自殺対策を推進します。
● 県は、自他の生命を尊重し、生命を守る子どもを育て、生きる喜びやその素晴らしさ
を心から実感する教育を社会全体で推進します。
● 県は、地域に身近な人を「心のサポーター」として養成し、悩んでいる人に気づき、
声をかけ、話を聞いて、必要な支援につなげ、見守る体制を強化し、県民一人ひとりが
86
自殺予防の主役となるような取組みを推進します。
● 県は、悩みを持つ人や自殺をする可能性が高い人に対して適切な支援を行えるよう人
材の確保、養成及び資質の向上を図るとともに、相談体制や適切な対処を行う体制を整
備充実します。
《評価目標》
項 目
自殺死亡率(人口10万人対)
現 状
22.8
(平成23年)
目 標
25年
26年
27年
28年
29年
22.0
21.5
21.0
20.5
20.0
[県健康福祉企画課調べ]
《主な施策》
● 県は、自殺死亡率が高い中高年や高齢者などに対する相談体制の充実を図るととも
に、民間団体の多様な自殺予防の取組みを支援します。
● 県は、次代を担う子どもたちが、成長した後に自殺という選択肢を選ばないよう「い
のちの教育」を推進します。
● 県は、民生委員・児童委員、社会福祉施設等職員、NPO法人、市民活動団体、職能
団体等に「心のサポーター」に関する研修会を実施し、地域で支える人材を養成します。
● 県は、心の健康づくりや自殺予防に関する研修によって、保健師等の地域保健スタッ
フの資質の向上を図ります。
● 県は、自殺予防に関する知識、対応方法及び相談窓口について普及、啓発を進めると
ともに、医療機関、保健所、市町村等との連携体制を整備充実します。
87
精神疾患の医療体制
精神科救急
○24時間365日精神科救急医療の提供 ○ 急性増悪時の入院治療
<自院患者への対応>
精神科救急病院、
精神科診療所、
精神科救急情報センター 等
発症
回復支援
︵早期発見・治療方針決定︶
初期評価∼治療
○ 初期評価
(鑑別診断)
○ 適切な治療
への振り分け
○ 通院治療
(治療抵抗性の判断)
精神科診療所、
精神科病院、
認知症疾患医療センター 等
初期・かかりつけ医治療
○ スクリーニング ○ 精神科医療への紹介
一般診療科病院、
診療所
(かかりつけ医)
等
専門医療
○24時間365日身体
合 症を有する救 急
患者に適切な救急
医療の提供
○児童精神医療、
アルコール等の
専門的な精神
科医療を提供
○専門的な身体疾患
を合 併する精 神 疾
患患者に対して、必
要な医療の提供
精神科病床を有する病院
○ 入院による治療 ○ 病状が安定するための支援
職域健康管理︵産業医・健康管理室等︶
重症度・生活障がい程度︵社会的緊急度︶
精神科治療
(入院)
身体合併症
○ 地域移行 ○ 地域定着
○ 生活技能支援 ○ 就労
支援 等
精神科救急病院、
一般救急病院、精
神科救急情報セン
ター、一般診療科
病院、歯科診療所
等
精神科病院、精神科診療所、
相談支援事業所、障がい福祉
サービス事業所 等
精神科病院、
精神科診療
所、医療観察
法指定医療
機関 等
社会復帰
(外来含む)
○ 患者ができるだけ長く地域生活を継続できるための支援
○ 服薬中断防止 ○ アウトリーチ <自院患者への対応>
精神科病院、精神科診療所、訪問看護ステーション、相談支援事業所、
障がい福祉サービス事業所、介護サービス事業所、薬局 等
【予防】発症予防・自殺予防・社会復帰支援(地域保健・学校保健)
精神保健福祉センター、
地域包括支援センター、
保健所、
市町村等
時間の流れ
精神疾患の医療体制
【治療・回復・社会復帰】
状態に応じて、必要な医療を提
機能 供できる機能
【精神科救急・身体合併症・専門医療】
【認知症】
精神科医療が必要な患者等の状態に応じて、速やかに精神科救急医療や
専門医療等を提供できる機能 認知症に対して進行予防か
ら地域生活の維持まで必要
な医療を提供できる機能
●患者の状態に応じた精神科医 ●24時間365日、精神科 ●24時間365日、身体合 ● 児 童 精 神 医 療( 思 春 期 ●医療サービスと介護サー
ビス等の総合的な提供
を含む)、アルコールや
救急医療の提供
併症を有する救急患者
療の提供
その他の薬物などの依存 ●認知症疾患医療センター
に適切な救急医療の提
●早期の退院に向けて病状が安
の確保
症、てんかん等の専門的
供
定するための退院支援の提供
な精神科医療を提供でき ●認知症治療病棟に入院し
●専門的な身体疾患(腎
●患者ができるだけ長く、地域
た患者の円滑な退院への
る体制を少なくとも都道
不全、歯科疾患等)を
生活を継続
目標
支援
府県単位で確保
合併する精神疾患患者
に対して、必要な医療 ●医療観察法の指定通院医
療機関について、少なく
の提供
とも都道府県単位で必要
数を確保
求められる事項の目安
課題
評価
目標
88
●患者の状況に応じて、適切な
精神科医療を提供し、必要に
応じ、アウトリーチを提供
●精神科医、薬剤師、看護師、作
業療法士、精神保健福祉士、
臨床心理技術者等の多職種に
よるチームによる支援体制
●緊急時の対応体制や連絡体制
を確保
●早期の退院に向け、病状が安
定するための支援や、
相談支援
事業者等と連携し退院を支援
●障害福祉サービス事業所、相
談支援事業所等と連携し、生
活の場で必要な支援を提供
●産業医等を通じた事業者との
連 携 や、 地 域 産 業 保 健 セ ン
ター等と連携し、患者の就職
や復職等に必要な支援を提供
○一般診療科医と精神科医の連
携
●精神科救急患者の受入
れが可能な設備
●地域の精神科救急医療
システムに参画し、地
域の医療機関と連携
●行動制限の実施状況に
関する情報を集約し、
外部の評価を受けてい
ること
●精神科医療機関は、継
続的に診療している自
院の患者・家族や精神
科救急情報センター等
からの問い合わせ等に
夜間・休日も対応でき
る体制
●地域の医療機関や、介
護・福祉サービス、行
政機関等と連携
●身体疾患と精神疾患の
両方について適切に診
断(一般の医療機関と
精神科医療機関とが連
携できる)
●精神病床で治療する場
合は、身体疾患に対応
できる医師又は医療機
関の診療協力
●一般病床で治療する場
合は、精神科リエゾン
チーム又は精神科医療
機関の診療協力
●地域の医療機関や、介
護・福祉サービス、行
政機関等と連携
●各専門領域において、適
切 な 診 断・ 検 査・ 治 療
を行える体制を有し、専
門領域ごとに必要な、保
健・福祉等の行政機関等
と連携
●他の都道府県の専門医療
機関とのネットワーク
●医療観察法指定医療機関
は、個別の治療計画を作
成し、それに基づき必要
な医療の提供を行うとと
もに、保健観察所を含む
行政機関等と連携
● 地 域 の 医 療 機 関 や、 介
護・福祉サービス、行政
機関等と連携
○精神科救急医療機関と精神科診療所との連携
○身体合併症を発症した患者への対応 (認知症のかかりつけ医と
なる診療所・病院)
●認知症の人の日常的な診
療
●認知症疾患医療センター
等の専門医療機関への紹
介
●認知症療養計画に基づく
患者やその家族等への療
養方針の説明、療養支援
●かかりつけ医認知症対応
力向上研修への参加
(入院医療機関)
●退院支援・地域連携パス
の活用等による退院支援
●退院支援部署の設置
○認知症を早期に発見、診
断するための体制整備
自殺死亡率、1年未満の平均退院率、在院期間5年以上かつ65歳以上の退院患者数、
精神科救急入院料認可施設の数、認知症疾患医療センターの数 等
精神疾患の医療体制を構築する病院
治療・回復・社会復帰
精神科救急・身体合併症・専門医療
認知症
村
山
二
山形大学医学部附属病院
山形大学医学部附属病院
山形大学医学部附属病院
篠田総合病院
県立中央病院
県立中央病院
尾花沢病院
△ 篠田総合病院
□篠田総合病院
上山病院
尾花沢病院
■尾花沢病院
山形さくら町病院
○△▲上山病院
■天童温泉篠田病院
千歳篠田病院
◎△▲山形さくら町病院
■上山病院
秋野病院
○ 千歳篠田病院
■山形さくら町病院
小原病院
○ 秋野病院
■山形厚生病院
若宮病院
小原病院
■千歳篠田病院
寒河江の庄病院
◎△▲若宮病院
■秋野病院
次
小原病院
保
若宮病院
医
最上
健
寒河江の庄病院
新庄明和病院
療
新庄明和病院
置
圏
賜
庄
内
公立置賜総合病院
公立置賜総合病院
公立置賜総合病院
米沢市立病院
米沢市立病院
米沢市立病院
吉川記念病院
吉川記念病院
■吉川記念病院
公立置賜長井病院
公立置賜長井病院
公立置賜長井病院
佐藤病院
◎△▲佐藤病院
□佐藤病院
日本海総合病院
日本海総合病院
□日本海総合病院
鶴岡市立荘内病院
○△ 県立鶴岡病院
県立鶴岡病院
県立鶴岡病院
三川病院
■三川病院
三川病院
酒田東病院
酒田東病院
酒田東病院
▲山容病院
山容病院
山容病院
※ ◎ → 精神科救急入院料認可施設(スーパー救急)、精神科救急医療施設
○ → 精神科救急医療施設
△ → 児童・思春期外来を有する医療機関
▲ → アルコール外来を有する医療機関
□ → 認知症疾患医療センター
■ → 認知症治療病棟を有する医療機関
89
6 小児救急を含む小児医療
■ 小児救急を含む小児医療対策の推進
《現状と課題》
● 本県の休日や夜間の初期救急医療体制は、市町村及び地区医師会等が中心となり、休
日・夜間診療所(9か所、うち、夜間実施は5か所)や在宅当番医制(11市町村)によ
り、小児救急患者を含め対応しています。
● 休日や夜間における二次・三次救急医療体制は、救急告示医療機関(37か所)等が小
児救急患者を含め対応しています。さらに、県立中央病院など県内9病院では、小児科
医が常駐していない時に重症患者が発生した場合に小児科医を呼び出す「オンコール体
制」をとっています。
● 日本海総合病院及び鶴岡市立荘内病院では、夕方から準夜勤帯にかけて小児科医が常
駐しており、公立置賜総合病院では、土日・祝祭日の日中に小児科医が常駐する体制を
整備するなど、地域の小児救急医療体制の確保に努めています。
● 適正受診を促進するため、県では、小児救急に対する保護者等の知識向上のための小
児救急講習会や、小児科医以外の医師に対する小児救急医療に関する研修等も実施して
います。
● 休日・夜間診療所や在宅当番医制が各地域で順次整備されてきたことから、初期救急
医療機関を受診する小児救急患者は増加傾向ですが、二次・三次救急医療機関を受診す
る小児救急患者は全体として減少傾向にあります。しかしながら、二次・三次救急医療
機関を受診する小児救急患者のうち軽症者の割合は依然として高いことから、医師の過
重労働や二次・三次救急医療機関の本来業務への支障が懸念されています。
● 小児患者については、自分で症状を説明できないことや、症状が急変することが多い
ため、家族が小児科医の診療を望む傾向にありますが、本県の小児科医数は、15歳未満
人口10万人当たり94.2人(平成22年度末現在)で、全国平均(94.
4人)を下回っている
こともあり、一部の休日・夜間診療所を除き、小児科医が常駐していないのが実態です。
● また、県では、子どもの急病時に医療機関の受診や家庭での対処法などについてアド
バイスを行う小児救急電話相談を平成19年3月から実施していますが、相談件数が増加
しているため、その対応が課題となっています。
90
県内の休日・夜間診療所、在宅当番医制における救急患者数
概ね14歳以下患者数
概ね15歳以上患者数
計
平成16年度
21,531人(53.3%)
18,898人(46.7%)
40,429人
平成17年度
25,121人(56.7%)
19,179人(43.3%)
44,300人
平成18年度
25,883人(57.3%)
19,310人(42.7%)
45,193人
平成19年度
25,579人(56.2%)
19,947人(43.8%)
45,526人
平成20年度
26,407人(56.5%)
20,300人(43.5%)
46,707人
平成21年度
32,732人(58.8%)
22,947人(41.2%)
55,679人
平成22年度
27,905人(56.6%)
21,415人(43.4%)
49,320人
平成23年度
33,152人(58.0%)
24,001人(42.0%)
57,153人
資料:県地域医療対策課調べ
県内の救急告示病院等における休日・夜間の救急患者
14歳以下の
患者数
帰宅患者数
15歳以上の
患者数
入院患者数
計
平成16年度
61,651人
(25.7%)
4,013人
(6.5%)
57,
638人
(93.5%)
177,
924人
(74.3%)
239,
575人
平成17年度
52,992人
(24.2%)
3,523人
(6.6%)
49,
469人
(93.4%)
166,270人
(75.8%)
219,262人
平成18年度
53,
557人
(24.2%)
3,571人
(6.7%)
49,986人
(93.3%)
167,581人
(75.8%)
221,138人
平成19年度
47,
638人
(21.8%)
3,347人
(7.0%)
44,291人
(93.0%)
170,660人
(77.9%)
219,138人
平成20年度
45,198人
(22.4%)
2,886人
(6.4%)
42,312人
(93.6%)
156,460人
(77.6%)
201,
658人
平成21年度
46,652人
(24.7%)
3,039人
(6.5%)
43,613人
(93.5%)
142,
121人
(75.3%)
188,
773人
平成22年度
37,231人
(21.6%)
3,203人
(8.6%)
34,
028人
(91.4%)
135,
016人
(78.4%)
172,247人
平成23年度
37,
582人
(22.3%)
2,632人
(7.0%)
34,950人
(93.0%)
130,887人
(77.7%)
168,469人
資料:県地域医療対策課調べ
小児救急電話相談における相談件数
相談件数
相談日数
1日平均
平成18年度(3/1∼3/31)
143件
26日
5.5件
平成19年度
1,
500件
294日
5.1件
平成20年度
1,
700件
293日
5.8件
平成21年度
2,
753件
338日
8.1件
平成22年度
2,
813件
364日
7.7件
平成23年度
3,
602件
366日
9.8件
資料:県地域医療対策課調べ
91
《施策の方向》
● 県は、引き続き小児科医の確保に努めるとともに、市町村、医師会及び医療機関等と
の連携を図りながら、各地域における小児救急を含む小児医療体制の充実強化を支援し
ていきます。
● 県は、関係機関等と連携しながら、小児救急電話相談の充実や小児救急に対する保護
者等の知識の向上など、医療機関の適正受診を促す取組みを推進します。
《評価目標》
項 目
現 状
94.2人
小児科標榜医の割合(15歳未満
《全国平均94.4》
人口10万人当たり小児科医数)
(平成22年)
目 標
25年
26年
27年
28年
29年
−
全国
平均
以上
−
全国
平均
以上
−
[厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師調査」(調査周期:2年)]
《主な施策》
● 県は、「山形方式・医師生涯サポートプログラム」を柱とした体系的な施策を展開す
るとともに、山形大学医学部と密接に連携を図りながら、修学資金貸付を行うなど小児
科医の確保に努めます。
● 県は、市町村や郡市地区医師会が行う休日・夜間診療所や在宅当番医制を担う小児科
医以外の医師等に対する研修会や、休日・夜間における病院と小児科医が連携した小児
救急医療体制の構築等について引き続き支援を行います。
● 県は、小児救急電話相談体制の充実を図ることにより、子どもの保護者等の不安の解
消や適正受診を促進します。
● 県は、関係機関と連携し、子どもの急病時の対処方法等に関するガイドブックの配布
や講習会の実施など、小児救急医療に関する知識の普及・啓発を図ります。
92
小児救急を含む小児医療の体制
重篤な小児患者の紹介
【入院小児救急】
小児中核病院
○ 地域小児医療センターでは対応が困難
な高度な専門入院医療の実施
○ 24時間体制での小児の救命救急医療
医療機能
︵重症度︶
緊急手術等を
要する場合の連携
高度な小児専門医療を行う病院
○ 入院を要する小児救急医療
の24時間体制での実施
入院を要する小児救急医療を
行う病院
高度専門的な医療
等を要する患者
療養・療育を要する
小児の退院支援
地域小児医療センター
【小児専門医療】
○ 一般小児医療を行う機関では
対応が困難な小児専門医療の実施
初期小児救急
小児専門医療を行う病院
○ 初期小児救急の実施
初期小児救急医療を行う病院
療養・療育を要する
小児の退院支援
常時の監視等
を要する患者
参画
一般小児医療
相談支援
【行政機関】
○ 小児救急電話相談事業
(#8000)
【消防機関】
○ 適切な医療機関への搬送
一般小児医療を
行う病院・診療所
○ 地域に必要な一般小児医療の実施
○ 生活の場
(施設を含む)
での療養・療育が必要な小児に対する支援
時間の流れ
小児救急を含む小児医療の体制
【一般小児医療】
機能
目標
求められる事項の目安
課題
評価
目標
【地域小児医療センター】
【小児中核病院】
入院を要する小児
救急
高度な小児専門医
療
小児の救命救急医
療
一般小児医療
初期小児救急
小児専門医療
●地域に必要な一
般小児医療の実
施
●療養・療育が必
要な小児に対す
る支援
●初期小児救急の
実施
●一般の小児医療
機関では対応が
困難な患者に対
する医療
●小児専門医療
●入院を要する小
児救急医療を24
時間体制で実施
すること
●地域小児医療セ
ンターでは対応
が困難な患者に
対する高度な専
門入院医療
●医療従事者への
教育や研究の実
施
●24時間体制での
小児の救命救急
医療
●一般的な小児医
療に必要とされ
る診断・検査・
治療の実施
●軽症の入院診療
●療養・療育が必
要な小児に対す
る支援
●医療、介護及び
福祉サービスの
調整
●在宅医療、家族
への精神的サ
ポートの実施
●慢性疾患の急変
時に備えた、対
応可能な医療機
関との連携
●小児初期救急セ
ンター等におけ
る初期小児救急
医療
●緊急手術や入院
等を要する場合
に備えた、対応
可能な医療機関
との連携
●開業医等によ
る、病院の開放
施設や初期小児
救急医療への参
画
●高度の診断・検
査・治療や勤務
医の専門性に応
じた専門医療
●常時監視・治療
の必要な患者等
に対する入院診
療
●地域の小児医療
機関との連携体
制形成
●高次機能病院、
療養・療育支援
施設との連携
●家族に対する精
神的サポート
●入院を要する小
児救急医療の24
時間365日体制
●地域医療機関と
の連携による、
入院を要する小
児救急医療
●高次機能病院、
療養・療育支援
施設との連携
●家族に対する精
神的サポート
●広範囲の臓器専
門医療を含め
た、地域小児医
療センターでは
対応が困難な患
者に対する高度
専門的な診断・
検査・治療
●家族に対する精
神的サポート
●地域小児医療セ
ンターからの
紹介患者や救急
搬送による患者
を中心とした、
重篤な小児患者
に対する24時間
365日 体 制 の 救
急医療
●PICUを運営
することが望ま
しい
●療養・療育支援
施設との連携
●家族に対する精
神的サポート
○小児科医の確保と、小児救急を含めた小児医療体制の充実・強化
小児科標榜医の割合(15歳未満人口10万人当たり小児科医数)
93
小児医療の体制を構築する病院
一般小児医療
地域小児医療センター
村
山
一般小児医療
初期小児救急
小児専門医療
入院小児救急
高度小児
専門医療
篠田総合病院
北村山公立病 県立中央病院
県立中央病院
山形大学医学
北村山公立病
院
山形市立病院
山形市立病院 部附属病院
院
済生館
済生館
県立河北病院
山形済生病院
天童温泉篠田
天童市民病院
病院
県立総合療育
天童市民病院
訓練センター
西川町立病院
最上
県立新庄病院
県立新庄病院
県立新庄病院
県立新庄病院
最上町立最上
二
次
病院
病院
病院
病院
病院
米沢市立病院
米沢市立病院
米沢市立病院
米沢市立病院
保
公立置賜総合 公立置賜総合 公立置賜総合 公立置賜総合
健
医
置 賜
療 圏
国立病院機構 公立高畠病院
舟山病院
米沢病院
公立高畠病院
吉川記念病院
舟山病院
公立高畠病院
白鷹町立病院
小国町立病院
日本海総合病 日本海総合病 日本海総合病 日本海総合病
院
院
院
院
内
病院
病院
鶴岡協立病院
三井病院
庄
鶴岡市立荘内 鶴岡市立荘内 鶴岡市立荘内 鶴岡市立荘内
遊佐病院
三井病院
94
小児中核病院
病院
病院
小児救命
救急医療
7 周産期医療
■ 周産期医療体制の充実
《現状と課題》
● 本県における出生数は、平成16年に9,920人と10,
000人を割り込み、その後も出生率
とともに減少傾向が続き、平成23年の出生数は8,555人となっています。
● 本県の新生児死亡率などの周産期関連指標は改善傾向にありますが、平成23年は妊産
婦死亡率を除き全国平均を上回っています。
周産期関連指標
3.0
20.0
8.0
周産期死亡率
新生児死亡率
2.5
山形県
山形県
全国
妊産婦死亡率
18.0
7.0
山形県
16.0
全国
全国
6.0
14.0
2.0
5.0
1.5
12.0
10.0
4.0
8.0
3.0
1.0
6.0
2.0
4.0
0.5
0.0
1.0
12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23
0.0
2.0
12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23
0.0
12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23
資料:厚生労働省「人口動態統計」
新生児死亡率:生後4週未満の死亡数/出生数×1,000
周産期死亡率:妊娠22週以後の死産数+早期新生児死亡数(生後1週間未満の死亡)/
(出生数+妊娠22週以後の死産数)×1,000
妊産婦死亡率:妊産婦死亡数/出生数×100,000
● 本県の産婦人科医数は、人口10万人当たりでは全国平均並みとなっていますが、近年
減少傾向にあり、過重労働や高齢化による医師不足が課題となっています。
● また、15∼49歳女子人口10万人当たりの産婦人科医数は、全国平均を下回るとともに、
分娩を取り扱う医療機関や産婦人科医数の地域偏在が課題となっています。
● 産婦人科を標榜している医療機関の減少傾向に加え、産婦人科を標榜しているものの
分娩を取り扱わない産婦人科医療機関も多く、特に診療所の約半数は分娩を取り扱って
いない状況です。
本県における産婦人科医の現状
平成22年
人口10万人対産婦人科医師数
15∼49歳女子人口10万人対産婦人科医師数
全 国
山形県
順 位
8.0
8.0
22
43.8
39.4
20
資料:厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師調査」(10月1日現在)
95
産婦人科及び産科標榜医療機関数
病 院
診 療 所 産婦人科
産科
計
分娩実施
産婦人科
産科
計
分娩実施
平成14年
25
2
27
23
32
3
35
19
平成17年
21
2
23
18
32
6
38
19
平成20年
22
2
24
17
29
3
32
18
平成23年
21
1
22
16
24
3
27
14
資料:厚生労働省「医療施設調査」
、厚生労働省「病院報告」(10月1日現在)
産婦人科・産科医師数
(単位:人)
産婦人科(産科を含む)
県 計
村 山
最 上
置 賜
庄 内
平成12年
112
63
7
18
24
平成14年
112
66
6
17
23
平成16年
106
64
5
13
24
平成18年
100
57
6
15
22
平成20年
95
56
5
14
20
平成22年
94
57
5
15
17
資料:厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師調査」(10月1日現在)
● 本県の助産師数は、ほぼ横ばいで推移していますが、県内では、助産(師)外来や院
内助産を行う医療機関がいまだ少ない状況です。
● また、県内には分娩を取り扱う助産所がないため、助産師の専門性を発揮する機会が
少ない状況です。
就業助産師数
(単位:人)
平成10
平成12
平成14
平成16
平成18
平成20
平成22
総 数
287
265
262
284
281
311
297
病 院
257
234
237
250
240
263
252
診療所
17
20
17
20
26
26
23
助産所
3
3
2
5
10
8
その他
10
8
12
10
12
14
8
資料:厚生労働省「衛生行政報告例」(各年12月末現在)
96
● 県では、リスクの高い妊婦に対する専門的医療や高度な新生児医療を提供する総合周
産期母子医療センターや地域周産期母子医療センターを中心とした高度周産期医療体制
を整備するとともに、平成23年3月に「山形県周産期医療体制整備計画」(平成23∼27
年度)を策定しています。
医 療 機 関
総合周産期母子医療センター
県立中央病院
指定・認定年月日
平成22年4月指定
山形大学医学部附属病院
地域周産期母子医療センター
山形済生病院
平成22年4月認定
鶴岡市立荘内病院
● 総合周産期母子医療センター及び地域周産期母子医療センターの三次周産期医療機関
と、周産期に係る比較的高度な医療に対応する二次周産期医療機関等との密接な連携を
図るとともに、平成23年4月に総合周産期母子医療センターに周産期ドクターカーを配
置しています。また、平成24年11月にドクターヘリの運航を開始し、救急医療搬送体制
の充実強化を図っています。
● 置賜地域の周産期医療機関と山形市内の三次周産期医療機関において、妊産婦の医療
情報を共有する「置賜地域周産期医療情報システム」を整備(平成24年10月稼動)し、
地域においてより安心して出産できる周産期医療体制を構築しました。
● NICU(新生児集中治療管理室)への長期入院児の実態や退院後の在宅療養支援の
現状等を把握するとともに、支援体制を構築する必要があります。
《施策の方向》
● 県は、引き続き山形大学医学部等と連携を図りながら、産婦人科医及び小児科医(新
生児対応)の確保に努めるとともに、現職の同医師が働き続けられるための勤務環境の
改善に向けた取組みを支援します。
● 県及び関係機関は、安心して妊娠・出産できる医療体制の充実強化に向け、「山形県
周産期医療体制整備計画」に基づき、周産期医療従事者の人材確保や育成をはじめ、周
産期医療機関間の連携や在宅療養支援に関する関係機関との連携強化などを総合的に推
進します。
● 県及び関係機関は、各地域で安心して出産ができる体制の充実を図るため、助産師の
専門性や能力を活用する仕組みづくりや、NICU長期入院児の退院後の在宅療養支援
体制の構築等に向けた取組みを推進します。
97
《評価目標》
項 目
現 状
目 標(※)
25年度
26年度
27年度
28年度
29年度
新生児死亡率
1.5
(平成19∼23年の平均)
1.2
1.2
1.2
1.2
1.2
周産期死亡率
4.
5
(平成19∼23年の平均)
4.3
4.3
4.3
4.3
4.3
妊産婦死亡率
4.4
(平成19∼23年の平均)
3.9
3.9
3.9
3.9
3.9
[厚生労働省「人口動態統計」]
※ 死亡率については、年度ごとのバラつきが大きいため、平成25年度から平成29年度の5年間の平
均で評価(目標値:全国の平成19年度から23年度の5年間の平均)
《主な施策》
● 県は、「山形方式・医師生涯サポートプログラム」を柱とした体系的な施策を展開す
るとともに、山形大学医学部と密接に連携を図りながら、修学資金貸付を行うなど産婦
人科医及び小児科医(新生児対応)の確保に努めます。
● 県は、同医師を対象とした分娩手当の支給など、県内の医療機関が行う勤務医の負担
軽減や処遇改善のための取組みを支援します。
● 県及び関係機関は、三次周産期医療機関である総合周産期母子医療センター及び地域
周産期母子医療センターの4病院間のネットワークを中心に、高度専門的な周産期医療
体制を確保します。
● 県及び関係機関は、かかりつけ医療機関(一次周産期医療機関)からリスクの高い分
娩に対応できる拠点病院(二次周産期医療機関)、三次周産期医療機関が連携し、県全
体をカバーする周産期医療体制の充実強化を図ります。
● 県及び関係機関は、最上地域においても地域の周産期医療機関と山形市内の三次周産
期医療機関において、妊産婦の医療情報を共有するための情報連携基盤を整備し、安心
で安全な周産期医療体制を構築します。
● 県は、周産期医療関係者等による協議の場を設け、山形県周産期医療体制整備計画の
検証・評価を行い、より質の高い周産期医療体制の充実・強化に向けて必要な見直しを
行います。
● 県及び関係機関は、周産期医療関係者による症例検討や研修の場を設け、高度周産期
医療の質の向上を図ります。
● 県及び関係機関は、病院や診療所における助産(師)外来や院内助産の開設に向け、
助産師を対象とした資質向上のための研修の実施などについて、引き続き支援します。
● 県及び関係機関は、NICU長期入院児の退院後の在宅療養支援等について実態把握
を行うとともに、必要な支援について関係者と検討を行い、支援体制の構築を推進しま
す。
98
本県の周産期医療体制
≪三次周産期医療機関≫
総合周産期母子医療センター
地域周産期母子医療センター
≪二次周産期医療機関≫
≪療育・療養支援機関≫
◎
○
●
■
庄内地域
○鶴岡市立荘内病院
●日本海総合病院
(救命救急センター)
■鶴岡協立病院
■産婦人科小児科三井病院
■(県立総合療育訓練
センター庄内支所)
最上地域
●
●県立新庄病院
H23 出生数 541 人
●
■
■
○
■
H23 出生数 1,996 人
■
◎
○
村山地域
●
置賜地域
○
●公立置賜総合病院
(救命救急センター)
●米沢市立病院
■国立病院機構米沢病院
■
◎県立中央病院
(救命救急センター)
○山形大学医学部附属病院
○済生会山形済生病院
●山形市立病院済生館
■国立病院機構山形病院
■県立総合療育訓練センタ−
●
H23 出生数 1,672 人
●
H23 出生数 4,346 人
■
三次周産期医療機関
《役割》母体・胎児及び新生児におけるリスク
の高い妊娠に対する医療、高度な新
生児医療に対応する。
情報共有
紹介・搬送
二次周産期医療機関
《役割》入院 施設として、産科、小児科を有
し、周産期に係る比較的高度な医療
に対応する。
三次周産期医療機関
○山形大学医学部附属病院
(特定機能病院/地域周産期母子医療センター)
NICU 6床(GCU 3床)
○済生会山形済生病院
○鶴岡市立荘内病院
(地域周産期母子医療センター)
NICU 3床
(GCU 4床)
連携
(地域周産期母子医療センター)
NICU 8床
(GCU 9床)
◎県立中央病院
情報共有
紹介・搬送
(総合周産期母子医療センター)
MFICU 6床、NICU 9床(GCU 18 床)
一次周産期医療機関
《役割》妊婦健康診査や通常分娩を取扱い、
妊婦の健 康状態や受診歴等を全体
的に管理する。
99
周産期医療の体制
【一次周産期医療】
【三次周産期医療】
(周産期母子医療センター)
【療育・療養支援】
正常分娩等を行う機能(日
常の生活・保健指導及び新
生児の医療相談を含む)
周産期に係る比較的高度な
医療
母体又は児におけるリスク
の高い妊娠に対する医療、
高度な新生児医療
退院した障がい児等が生活
の場で療養・療育できるた
めの支援
目標
●正常分娩の対応
●妊婦健診を含めた分娩前
後の診療
●他医療機関との連携によ
るリスクの低い帝王切開
術の対応
●周産期に係る比較的高度
な医療行為
●24時間体制での周産期救
急医療(緊急手術を含む)
●母体又は児におけるリス
クの高い妊娠に対する医
療及び高度な新生児医療
●周産期医療システムの中
核としての地域周産期医
療機関との連携
●周産期医療施設を退院し
た障がい児等が療養・療
育できる体制の提供
●在宅で療養・療育してい
る児の家族に対する支援
●産科に必要とされる検
査、診断、治療の実施
●正常分娩の安全な実施
●他の医療機関との連携に
よる、合併症や、予定帝
王切開術その他リスクの
少ない手術への対応
●妊産婦のメンタルヘルス
の対応
●緊急帝王切開術分娩等、
比較的高度な産科医療を
要する手術の実施
●入院施設として産科・小
児科を有すること
●新生児病室等
●産科医師、小児科医師(新
生児対応)
、緊急手術等
に対応可能な24時間人員
体制
●産科及び小児科、麻酔科
その他の関係診療科目を
有すること
●重症妊娠中毒症の妊婦や
先天性疾患を抱える新生
児等、高度かつ専門的な
管理を要する分娩及び手
術、分娩後も引き続き入
院加療による専門的医療
を要する母体・胎児及び
新生児への対応
●未熟児や胎児仮死、先天
性障がい等に対応するた
めの保育器、人工呼吸器、
微量輸液ポンプ、心肺モ
ニター等の機器を備え専
門の医師や看護師が配置
されていること
●産科医師、小児科医師(新
生児対応)、緊急手術等
に対応可能な24時間人員
体制
●人工呼吸器の管理が必要
な児や、気管切開等のあ
る児の受入れ
●児の急変時に備えた、救
急対応可能な病院等との
連携
●医療、保健及び福祉サー
ビス(レスパイトを含む)
の調整
●自宅以外の場における、
障がい児の適切な療養・
療育の支援
●家族に対する精神的サ
ポート等の支援を実施す
ること
求められる事項の目安
機能
課題
評価
目標
100
【二次周産期医療】
(各地区拠点病院)
○産婦人科医の確保
○県民が安心して地域で妊娠・出産できる医療体制の充実・強化
新生児死亡率、周産期死亡率、妊産婦死亡率
① 周産期医療の体制を構築する病院
一次周産期医療
二次周産期医療
三次周産期医療
(各地区拠点病院) (高度周産期医療機関)
療養・療育支援
村 山
山形大学医学部附属
山形大学医学部附属
山形大学医学部附属
国立病院機構山形病
病院
病院
病院(地域周産期母
院
県立中央病院
県立中央病院
子医療センター)
県立総合療育訓練セ
山形市立病院済生館
山形市立病院済生館
山形済生病院
山形済生病院
ンター
県立中央病院(総合
二
北村山公立病院
周産期母子医療セン
東北中央病院
ター)
次
県立河北病院
保
健
天童市民病院
山形済生病院(地域
横山病院
周産期母子医療セン
ター)
公立置賜総合病院
公立置賜総合病院
国立病院機構米沢病
米沢市立病院
米沢市立病院
院
日本海総合病院
日本海総合病院
鶴岡市立荘内病院
鶴岡市立荘内病院
内
鶴岡協立病院
置 賜
圏
療
県立新庄病院
庄
最上
医
県立新庄病院
三井病院
鶴岡市立荘内病院
(地域周産期母子医
療センター)
鶴岡市立荘内病院
鶴岡協立病院
三井病院
(県立総合療育訓練
センター庄内支所)
101
② 周産期医療に係る機能分担
<機能分担>
分 類
役割・機能
〔総合周産期母子医療センター〕
県立中央病院
(MFICU 6床、
NICU 9床)
○ 母体・胎児及び新生児におけるリスク
の高い妊娠に対する医療、高度な新生児
医療に対応
○ 母体重症合併症、超低出生体重児・超
早産児、極低出生体重児、胎児・新生児
奇形や感染症・仮死などの新生児疾患に
対応
○ 救命救急センターを併設
○ 医療機関の要請に応じて周産期ドク
ターカーによる搬送・治療
〔地域周産期母子医療センター〕
山形大学医学部附属病院
(NICU 6床)
山形済生病院
(NICU 8床)
鶴岡市立荘内病院
(NICU 3床)
○ 母体・胎児及び新生児におけるリスク
の高い妊娠に対する医療、高度な新生児
医療に対応
○ 山形大学医学部附属病院
母体重症合併症、胎児異常、外科疾患、
心臓疾患、脳外科疾患、多発奇形等へ
の対応
○ 山形済生病院
ハイリスク合併症妊娠、超低出生体重
児・極低出生体重児(先天性複雑心疾
患及び先天性外科疾患を除く)等への
対応
○ 鶴岡市立荘内病院
母体合併症、極低出生体重児・超低出
生体重児(在胎24週以上)等への対応
二次
周産期医療機関
山形市立病院済生館
県立新庄病院
米沢市立病院
公立置賜総合病院
日本海総合病院
○ 入院施設として、産科、小児科を有し、
周産期に係る比較的高度な医療に対応
○ 母体合併症、低出生体重児(在胎34週
以上、日本海総合病院は在胎33週以上)
に対応
○ 公立置賜総合病院及び日本海総合病院
には救命救急センターが併設
かかりつけ
医療機関
地域における周産期医療に係る病
院、診療所
○ 妊婦健康診査や通常分娩を取扱い、妊
婦の健康状態や受診歴等を全体的に管理
三次
救急医療機関
県立救命救急センター
公立置賜総合病院救命救急センター
日本海総合病院救命救急センター
山形大学医学部附属病院
○ 交通事故の重症外傷等、緊急に母体救
命処置を必要とする母体救急疾患に対応
消防機関
県内12消防本部
○ 観察結果に基づき、迅速かつ適切に医
療機関へ搬送
三次
周産期医療機関
102
医療機関等
8 救急医療
■ 救急医療体制の体系的な整備
《現状と課題》
● 本県における救急医療体制は、県内全域を対象に重篤救急患者の救命蘇生を担う「三
次救急医療」、各二次保健医療圏単位を対象に手術や入院治療の必要な重症患者の診療
を担う「二次救急医療」、休日や夜間などにおいて比較的軽症の救急患者の外来診療を
担当するとともに、手術や入院治療を要する重症患者を二次救急医療機関に転送する
役割を担う「初期救急医療」により、機能を分担し各々の役割を担う体制を構築してい
ます。
現在の県内の救急医療体制
医 療 機 関
内 容
県立救命救急センター
公立置賜総合病院救命救急センター
日本海総合病院救命救急センター
山形大学医学部附属病院
心筋梗塞、脳卒中、頭部外傷などに
よる重篤救急患者の救命救急診療を担
当する。
県内全域を対象とする。
二次救急医療
救急告示病院等(36病院、1診療所)
手術や入院治療の必要な重症患者の
診療を担当する。
二次保健医療圏単位で対応する。
初期救急医療
休日・夜間急患センター:9か所
在宅当番医:
(11市町村をカバー)
平日夜間対応可能:8か所
休日や夜間などにおいて比較的軽症
の救急患者の外来診療を担当する。ま
た、手術や入院治療を要する重症患者
を二次救急医療機関に転送する役割を
担う。
三次救急医療
● 本県の三次救急医療体制は、昭和59年6月に県立中央病院に県立救命救急センターが
開設され、その後、平成12年11月には公立置賜総合病院に、平成23年4月には日本海総
合病院に、それぞれ救命救急センターが開設され、県内のほぼ全域をカバーする高度救
急医療体制が整備されています。
● また、山形大学医学部附属病院は、特定機能病院として高度先進医療を提供するとと
もに、三次救急医療機関として重篤な患者を受入れています。
● 最上地域には、三次救急医療機関はないものの、集中ケアの必要な患者を24時間看護
治療するための施設であるICU等を県立新庄病院に整備し、脳卒中、心筋梗塞等の重
篤な患者にも対応できる体制を整えています。
● 二次救急医療に対応するための救急告示病院の指定を受けている病院・診療所は、36
病院と1診療所で各二次保健医療圏内をカバーしています。
103
● 休日や夜間の初期救急医療体制については、休日は、休日急患センターと在宅当番医
制の実施により、県内全域で対応する体制が構築されています。一方、平日夜間診療は、
北村山地区で未整備となっており、休日夜間診療は、西村山地区、北村山地区、最上地
区及び置賜地区の4地区で未整備となっています。
● 県は、市町村又は郡市地区医師会による初期救急医療体制の整備等に対し支援すると
ともに、急病時における県民の不安解消のため、平成19年3月から小児救急電話相談を、
平成23年9月から大人の救急電話相談を実施するなど、医療機関の適正受診を促すため
の取組みを行っています。
● さらに、平成24年11月から、「山形県ドクターヘリ」の運航を開始し、県内全域をほ
ぼ30分でカバーするなど、高度救急医療搬送体制を整備しています。
● 県は、県立中央病院(救命救急センター)を基地病院とし、医療機関、市町村及び消
防機関等と連携しながら、安全かつ安定的な運航体制を確保しています。また、基地病
院は、ドクターヘリを安全かつ円滑に運航するため、人員及び機材の確保、訓練、事例
検証、啓発活動等の取組みを行っています。さらに、地域の拠点病院等は、円滑な患者
の受入れ体制の確保に努めています。
● 二次・三次救急医療機関を受診する患者のうち依然として軽症患者が8割を超えてい
るため、医師の過重労働や救命処置や緊急手術など、入院が必要な重篤・重症患者へ適
切な診療を提供できなくなることが懸念されていますが、各地域において初期救急医療
体制が徐々に整備されてきたこともあり、平成19年度と平成23年度を比較すると、初期
救急医療機関を受診する患者数は45,526人から57,
153人と25.
5%増加する一方、二次・
三次救急医療機関を受診する患者数は218,298人から168,
469人と22.
8%減少するなど、
二次・三次救急医療機関を受診する患者数は減少傾向にあります。
《施策の方向》
● 県は、引き続き、初期救急医療から三次救急医療まで患者の重症度や緊急度等に応じ
た体系的な医療体制の充実強化を推進します。
● 県は、関係機関と連携を図りながら、医療機関の適正受診を促すため、県民への周知
啓発を一層推進するとともに、県民の不安などを解消するため、小児及び大人の救急電
話相談の充実強化を図ります。
● 県は、山形県ドクターヘリの効果を最大限活用するため、医療機関、市町村及び消防
機関等と連携を図り、より円滑かつ安定的な運航に努めます。
104
《評価目標》
項 目
現 状
二次・三次救急医療機関を受診
83.8%
する軽症患者数の割合
(平成23年度)
救急要請から医療機関への収容
(ドクターヘリ搭乗医による治
療開始を含む。
)までに30分以
上要した割合
(日中(8:30∼17:00)の重
症事案(転院搬送を除く。))
63.0%
(平成23年度)
目 標
25年度
26年度
27年度
28年度
29年度
83.0%
82.5%
82.0%
81.5%
81.0%
62%
61%
60%
59%
58%
[県地域医療対策課調べ、県危機管理課調べ]
《主な施策》
● 県は、市町村や郡市地区医師会による休日・夜間診療所などの初期救急医療から三次
救急医療までの体系的な救急医療体制の充実強化に向けた取組みを支援します。
● 県は、関係機関等と連携し、ホームページやポスター、チラシ、カード等の配布に加
え、行政や医療関係者のみならず住民も幅広く参加する本県独自の広域的なネットワー
クを形成し、県民への適正受診の周知啓発を図ります。
● 県は、小児及び大人の救急電話相談体制の充実を図るとともに、更なる周知啓発を進
め、県民の不安解消等を図ります。
● 市町村や郡市地区医師会は、救急医療の適正利用について普及啓発を推進します。
● 県は、ドクターヘリ運航調整委員会を定期的に開催し、事例検証等により運航体制や
救急搬送体制等の質の向上を図り、重症患者の救命率の向上や後遺症の軽減を目指し
ます。
105
■ 病院前救護体制の整備
《現状と課題》
● 県内の消防機関における救急出動件数及び救急搬送件数は、10年前と比較し2割以上
増加しています。
救急出動件数
救急出動件数
件数
42,000
40,642
40,000
38,611
38,957
38,000
38,256
38,101
36,000
35,149
37,424
36,812
34,000
33,281
32,000
32,715
30,000
28,000
26,000
24,000
H13
H14
H15
H16
H17
H18
H19
H20
H21
H22
(暦年)
資料:県危機管理課調べ
● 救急隊の現場到着までの平均所要時間は8.1分(平成22年)、出動時から医療機関に収
容までは同32.9分(平成22年)となっており、どちらも遅延傾向にあります。
● 救命率の向上を図るためには、救急搬送途上でも早期に適切な救急救命処置を実施す
ることが重要なことから、救急救命士の処置範囲として、医師の包括的指示下での除細
動や、医師の具体的指示下での気管挿管、薬剤投与、自己注射が可能なエピネフリン製
剤(※)の使用が認められるなど、処置範囲が順次拡大されています。
※ 急激なアレルギー症状を抑える製剤
● 傷病者の症状などに応じた迅速かつ適切な救急搬送及び受入れを図るため、県は、平
成23年3月に「山形県傷病者の搬送及び受入れに関する実施基準」を策定し、医療機関
と消防機関の連携強化を図っています。
● 救急救命士に対する医師からの指示体制及び救急隊員に対する指導・助言や事後検証、
救急救命士の研修などの充実(いわゆるメディカルコントロール(※)体制)により、
救急隊員の資質の向上を図り、救命率の向上に努めています。
※ 医学的観点から救急救命士を含む救急隊員が行う応急処置等の質を保証すること
● 各消防機関では、救急救命士を中心として編成された救急隊(63隊)と救急自動車(74
台)により傷病者の搬送等の運用が行われています。
● 県内の消防機関には、224人(平成24年4月1日現在)の救急救命士が救急隊に配置
されています。一方、総務省消防庁が定める「消防力の整備指針」に基づき、救急隊に
1人以上の救急救命士を配置するためには交替制勤務を考慮した場合、252人以上が必
106
要とされており、今後、救急救命士を計画的に養成する必要があります。
● 県内の各消防機関に配備している救急自動車は74台(平成24年4月1日現在)ですが、
救急救命士がその能力を十分発揮するために必要な設備等を積載した高規格救急自動車
はそのうち67台(平成24年4月1日現在)であり、消防機関は、すべての救急自動車の
高規格化を推進する必要があります。
● 県は、平成24年11月15日から救急現場でいち早く救命治療を受けられるドクターヘリ
の運航を開始し、高度救急搬送体制の充実強化を図っています。
救急隊、救急救命士、救急自動車数
(平成24年4月1日現在)
地 域
救急隊
運用救急救命士
(※)
救急自動車
うち高規格救急
自動車
村山地域
23
96
30
29
最上地域
7
17
8
5
置賜地域
15
52
16
14
庄内地域
18
59
20
19
合 計
63隊
224人
74台
67台
※ 通常の勤務体制の中で救急隊として活動している救急救命士
資料:県危機管理課調べ
● 県は、
「県救急業務高度化推進協議会」に「AED普及啓発専門部会」を設置すると
ともに、AED(自動体外式除細動器)の設置が望ましい場所として、①人が多く集ま
る場所や人の出入りの多い場所、②スポーツ施設などリスクの高い施設、③老人福祉施
設などリスクの高い人が居住する施設、④救急車が到着するまでに時間のかかる集落又
は災害時に孤立する恐れのある集落を選定し、上記の施設や集落にAEDの普及、設置
を呼びかけ、上記箇所にある公共施設への設置を推進しています。
● 事故や救急傷病者が発生した場合、現場におけるAEDの使用を含む救急蘇生法等適
切な救護措置が有用であり、県においても操作講習会を開催しています。
● 一方、平成23年救急蘇生統計では、県内において心原性でかつ一般市民により心肺停
止の時点が目撃された症例のうち、一般市民により除細動が実施された割合は0.78%で
あり、全国平均(2.97%)に比べかなり低い状態にあります。
《施策の方向》
● 県は、
「山形県傷病者の搬送及び受入れに関する実施基準」に基づく実態調査や分析
の継続とあわせ、更なる病院前救護体制の整備を図るため、救急業務の高度化を推進し
ます。
● 県は、病院前救護体制の充実強化に向け、救急業務に携わる人員の養成を図ります。
● 県は、高規格救急自動車などの救急業務に必要な資機材の整備を促進します。
● 県は、傷病者のそばに居合わせた人(バイスタンダー)による適切な応急手当の普及
を推進します。
107
《評価目標》
項 目
現 状
AED操作を含めた心肺蘇生法
238,
404人
講習会の延受講者数
(平成24年度)
目 標
25年度
26年度
27年度
28年度
29年度
27万人
30万人
33万人
36万人
39万人
[県地域医療対策課]
《主な施策》
● 県は、山形県救急業務高度化推進協議会を定期的に開催し、より質の高い救急業務に
対応できる体制の構築に取り組みます。
● 県は、「山形県傷病者の搬送及び受入れに関する実施基準」に基づく実態調査と分析
を継続するとともに、円滑な搬送及び受入れ調整に資するシステムの構築を目指します。
● 県は、市町村等による、医師の指示の下いち早く高度な救急救命処置が実施可能な救
急救命士の計画的な養成を支援します。
● 県は、市町村等による、救急救命士がその能力を発揮するために必要な高規格救急自
動車の計画的な導入を支援します。
● 県、市町村及び消防機関は、心肺停止者に対する救命措置として有効なAEDの使用
方法等の研修を実施します。
108
■ メディカルコントロール体制の充実強化
《現状と課題》
● 救急救命士に対する医師からの指示体制及び救急隊員に対する指導助言体制の充実、
事後検証体制の充実、救急救命士の研修の充実等のいわゆるメディカルコントロール体
制の運用により、救急隊員の資質を向上し、地域における救命効果の更なる向上を図る
ことが重要です。
● 県では、平成14年度から県救急業務高度化推進協議会と各地域にメディカルコント
ロール協議会を設置し、より質の高い救急業務に対応できる体制の構築に取り組んでい
ます。
● これまで、医師の具体的指示の下に行われる気管挿管、薬剤投与、自己注射が可能な
エピネフリン製剤の使用(以下「特定救命行為」という。)の導入のため、県救急業務
高度化推進協議会及び専門部会等において、救急救命士の養成計画の策定、医師からの
指示体制の整備、救急隊心肺蘇生法プロトコル(手順書)の策定、事後検証体制の整備、
指導医セミナーの開催等を行ってきましたが、依然として指導医の確保が課題となって
います。
● また、救急活動では様々な症例を取り扱っており、その中でも緊急度・重症度が高い
症例である急性心筋梗塞や脳卒中については、県独自で事後検証体制を整備し、検証医
による医学的見地からの検証を行い、救急活動の質の向上を図ってきました。
● 気管挿管又は薬剤投与に係る追加講習及び病院実習、自己注射が可能なエピネフリン
製剤の使用に係る講習を修了した救急救命士については、県救急業務高度化推進協議会
において認定救急救命士として認定し、各地域のメディカルコントロール体制下の医療
機関と情報を共有することにより、特定救命行為の円滑な実施に努めています。
● 救急救命士に対しては、その技術の維持及び質の向上を図るため、県救急業務高度化
推進協議会において、再教育講習を実施していますが、救急隊員に対しては配置後の再
教育は実施しておらず、救急救命士と救急隊員の教育体制に差が生じています。
● 現在、厚生労働省では、①血糖測定と低血糖発作症例へのブドウ糖溶液の投与、②重
症喘息患者に対する吸入β刺激薬の使用、③心肺機能停止前の静脈路確保と輸液の実
施、といった、救急救命士の処置範囲の更なる拡大が検討されており、救急業務の更な
る高度化を図る必要があります。
救急救命士認定状況
(平成24年4月1日現在)
地域メディカル
コントロール
(MC)
救急救命士
有資格者
気管挿管の認定
を受けた者
薬剤投与の認定
を受けた者
気管挿管、薬剤
投与のいずれも
認定を受けた者
自己注射が可能なエ
ピネフリン製剤使用
の認定を受けた者
村山地域MC
113
30
69
18
110
最上地域MC
置賜地域MC
18
61
9
15
11
29
5
7
18
58
鶴岡地域MC
酒田地域MC
合 計
31
34
257人
26
22
102人
25
28
162人
21
18
69人
31
33
250人
資料:県危機管理課調べ
109
《施策の方向》
● 県は、救急救命士及び救急隊員に対する指示、指導助言体制の充実のため、指導医の
養成確保を推進します。
● 県は、救急救命士や救急隊員などの救急業務に携わる者の計画的な養成及び教育の充
実を目指します。
● 県は、救急業務の一層の高度化を推進し、傷病者の救命効果の向上を目指します。
《評価目標》
項 目
現 状
救急救命士のうち、薬剤投与の
63.0%
認定を受けた者の割合
(平成24年度)
目 標
25年度
26年度
27年度
28年度
29年度
66%
69%
72%
75%
80%
[県危機管理課調べ]
《主な施策》
● 県は、メディカルコントロールに精通した指導医を養成する指導医セミナー等を開催
します。
● 県は、病院前救護において、傷病者の迅速な観察、適切な判断及び救急搬送を行える
よう、救急救命士及び救急隊員の教育を実施します。
● 県は、国において検討が進められている救急救命士に対する処置範囲の拡大や口頭指
導要領の策定等に対応する、プロトコル(手順書)の策定及び事後検証体制の整備を推
進します。
110
救急医療の体制
救命救急医療
救命治療
○ドクターヘリに
よる救命治療
○24時間365日の救急搬 ○傷病者の状態に応じ
送受入(複数診療科に
た適切な救急医療
わたる重篤な救急患者)
ドクターヘリ
○救急搬送要請及
び救急蘇生法
【救急救命士等】
○救急救命士によ
る適切な処置
○適切な救急医療
機関への直接搬
送
転院時連携
︵重症度︶
医療機能
【住民等】
搬送時連携
救 護
救命救急センター 等
入院救急医療
○24時間365日の救急搬 ○傷病者の状態に応じ
送受入れ
た適切な救急医療
入院を要する救急医療
を行う病院
救命期後医療
○在宅等での療養を
望む患者に対する
退院支援
○合併症、後遺症の
ある患者に対する
慢性期の医療
救命救急医療機関
等からの転院を受
け入れる病院
初期救急医療
相談支援
【行政機関】
○大人の救急電話相談事業
(#8500)
○傷病者の状態に応じた適切な救急医療
休日・夜間急患センター、深夜帯に対応する病院 等
在宅等での生活
時間の流れ
救急医療の体制
【救命医療】
【入院救急医療】
【初期救急医療】
【救命期後医療】
救命救急医療機関等からの
転院受入れ
救命救急医療
入院を要する救急医療
初期救急医療
目標
●24時間365日、救急搬送の受
入れ
●疾病者の状態に応じた適切な
医療の提供
●24時間365日、救急搬送
の受入れ
●傷病者の状態に応じた適
切な医療の提供
●傷病者の状態に応じた適
切な救急医療の提供
●在宅等での療養を望む患
者に対する退院支援
●合併症、後遺症のある患
者に対する慢性期の医療
●重篤な救急患者の常時受入れ
●ICU、CCU、SCU等の高
度な治療に必要な施設・設備
●MC協議会等との連携
●救急医療に係る病床確保のた
めの医療機関全体としての
ベッド調整
●急性期のリハビリテーション
実施
●MC体制の充実
●植物状態等の特別な管理が必
要な患者を受入れ可能な医療
機関等の連携
●災害に備えた積極的な役割
●診療機能を住民・救急搬送機
能等に周知
●地域の救命救急医療の充実強
化
●救急救命士の病院実習、就学
前研修、再教育への協力
●省令による救急病院
●救急医療に関する知識・
経験を有する医師
●救急医療に必要な施設及
び設備
●優先病床または専用病床
●傷病者の搬送に適した立
地、搬入に適した構造設
備
●早期リハビリテーション
の実施
●初期救急医療機関及び重
症救急患者に対応した連
携
●MC協議会等との連携
●診療機能を住民・救急搬
送機能等に周知
●医療従事者に対する研修
の実施
●省令による救急病院
●救急患者に対する外来診
療
●近隣医療機関との連携
●対応可能時間等の周知
●気管切開等のある患者の
受入れ体制
●遷延性意識障害等を有す
る患者の受入れ体制
●精神疾患を合併する患者
の受入れ体制
●リハビリテーションの実
施
●ADLの低下した患者に
対する、在宅等での包括
的な支援体制
●居宅介護サービスの調整
●救急及び在宅医療機関、
診療所等の維持期の医療
機関との診療情報や治療
計画の共有
求められる事項の目安
機能
課題
評価
目標
○二次救急医療体制の整備、三次救急医療体制の充実
○救急医療機関の役割分担や「かかりつけ医」の普及・啓発
○病院前救護体制の充実
二次・三次救急医療機関を受診する軽症患者の割合、救急要請から医療機関への収容までに要した時間
111
救急医療の体制を構築する病院
機能
救命医療
入院救急医療
初期救急医療
村
山
○山形大学医学部附 ○山形大学医学部附 ○山形大学医学部附
属病院
属病院
属病院
○県立救命救急セン
県立中央病院
山形済生病院
山形市立病院済生館
ター
篠田総合病院
山形済生病院
山形市立病院済生
北村山公立病院
篠田総合病院
館
山形徳洲会病院
北村山公立病院
東北中央病院
山形徳洲会病院
至誠堂総合病院
東北中央病院
県立河北病院
至誠堂総合病院
みゆき会病院
県立河北病院
小白川至誠堂病院
みゆき会病院
吉岡病院
小白川至誠堂病院
寒河江市立病院
吉岡病院
天童温泉篠田病院
寒河江市立病院
天童市民病院
天童温泉篠田病院
朝日町立病院
天童市民病院
西川町立病院
朝日町立病院
西川町立病院
救命期後医療
篠田総合病院
北村山公立病院
国立病院機構山形
病院
山形徳洲会病院
東北中央病院
至誠堂総合病院
みゆき会病院
尾花沢病院
小白川至誠堂病院
吉岡病院
寒河江市立病院
天童温泉篠田病院
天童市民病院
朝日町立病院
西川町立病院
千歳篠田病院
二
最 上
置 賜
次 保 健 医 療 圏
県立新庄病院
県立新庄病院
新庄徳洲会病院
最上町立最上病院
町立真室川病院
新庄明和病院
県立新庄病院
新庄徳洲会病院
町立真室川病院
○公立置賜総合病院
救命救急センター
米沢市立病院
公立置賜総合病院
米沢市立病院
舟山病院
三友堂病院
公立高畠病院
白鷹町立病院
小国町立病院
公立置賜総合病院
米沢市立病院
舟山病院
三友堂病院
公立高畠病院
白鷹町立病院
小国町立病院
国立病院機構米沢
病院
吉川記念病院
舟山病院
公立高畠病院
川西湖山病院
白鷹町立病院
小国町立病院
公立置賜南陽病院
○日本海総合病院救
命救急センター
鶴岡市立荘内病院
○日本海総合病院
鶴岡市立荘内病院
庄内余目病院
鶴岡協立病院
本間病院
酒田市立八幡病院
○日本海総合病院
鶴岡市立荘内病院
庄内余目病院
鶴岡協立病院
酒田市立八幡病院
三井病院
(産科のみ)
庄内余目病院
鶴岡協立病院
三川病院
鶴岡協立リハビリ
テーション病院
本間病院
鶴岡市立湯田川温
泉リハビリテー
ション病院
日本海総合病院酒
田医療センター
遊佐病院
酒田市立八幡病院
宮原病院
内
庄
県立新庄病院
新庄徳洲会病院
最上町立最上病院
町立真室川病院
※ ○ → 三次救急医療を担う施設
112
9 災害時における医療
■ 災害時における医療提供体制の整備
《現状と課題》
● 県は、地震や風水害などの災害時における医療救護体制を確保するため、「山形県地
域防災計画」において「医療救護に係る体制整備」や「医療救護活動方針」を定め、迅
速かつ的確に医療救護活動を行うこととしています。
● 国は、東日本大震災を受け、平成24年3月に「災害時における医療体制の充実強化に
ついて」において、今後の災害医療の方向性や関係機関の役割等を明確化しました。こ
れを受け、県では、平成24年3月に「災害時医療体制の強化に係る基本方針」を策定し
ています。
● 県では、
「災害時医療体制の強化に係る基本方針」に基づき、県全体を俯瞰した統括
的な災害時医療体制の整備を図るため、平成24年6月に「山形県災害医療統括コーディ
ネーター」を配置するとともに、平成25年3月に二次保健医療圏ごとに「山形県地域災
害医療コーディネーター」を配置しています。
● 県は、災害による重篤患者に対する救命医療等の高度の診療機能を有し、被災地から
の患者の受入れや、広域医療搬送に係る対応等を行う「災害拠点病院」として、7病院
を指定しています。また、災害拠点病院は、災害発生時の診療機能強化を図るため、災
害医療機器や備品等を整備しています。
災害拠点病院
区 分
基幹災害拠点病院
病 院 名
県立中央病院
山形市立病院済生館
山形済生病院
地域災害拠点病院
対応エリア
県全域
村山二次保健医療圏
県立新庄病院
最上二次保健医療圏
公立置賜総合病院
置賜二次保健医療圏
日本海総合病院
鶴岡市立荘内病院
庄内二次保健医療圏
● 県は、災害発生時に迅速に災害現場等で医療活動を行う「DMAT(災害派遣医療チー
ム)
」を配置する病院として、8病院を指定しています。なお、国の「災害時における
医療体制の充実強化について」
(平成24年3月)では、災害拠点病院の要件として、D
MATの保有を義務づけています。
DMAT指定病院:山形大学医学部附属病院、県立中央病院、公立置賜総合病院、
日本海総合病院、山形済生病院、県立新庄病院、
山形市立病院済生館、鶴岡市立荘内病院
● 山形大学医学部附属病院は、特定機能病院として高度先進医療を提供し、三次救急医
療機関として重篤な患者等の受入れを行うとともに、大規模災害発生時にはDMATの
派遣や被災者の受入れを実施します。また、大学病院の持つ様々なネットワーク等を活
用し、県内災害時における医療従事者の確保等の調整を実施します。
113
● 生物化学剤等による特殊災害時の医療体制については、中核的医療機関の役割分担の
もと、消防、警察、自衛隊、保健衛生行政部門等医療機関と連携し対策を講じることが
有効として、平成15年6月に化学剤における災害対策を山形大学医学部附属病院が、生
物剤における災害対策を県立中央病院が中心となりチームを編成し対策を進めています。
● 県内外の大規模災害発生時における全国規模の医療機関の被害状況や医療スタッフ派
遣の需給状況等の情報について、インターネットを通じて共有する「広域災害救急医療
情報システム(EMIS)」に県及び県内災害拠点病院等が参画しています。
さらに、平成17年5月からは、県内各医療機関の各種情報をデータベース化し、平時は
インターネットを介して県民に各医療機関の診療情報を提供するとともに、県内災害発
生時には各医療機関の被害状況、診療継続の可否、医薬品等備蓄状況、患者搬送や医療
スタッフの需給状況等を迅速に収集するWEBシステムの「医療機関情報ネットワー
ク」が稼働しています。
● 県は、各災害拠点病院、山形大学医学部附属病院、県医師会、日本赤十字山形県支部
等を構成団体とする「災害拠点病院等連絡調整会議」を開催し、県内外で災害が発生し
た場合の医療連携体制の充実強化等について協議、検討を進めています。
● 県医師会では、平成24年2月に、東日本大震災を踏まえ、災害時の迅速な対応を図る
ため、県と昭和55年10月に締結した「災害救助に関する協定」の見直しを行うとともに、
平成24年5月から医療救護班派遣調整担当医(医師会ブロックコーディネーター)を県
内6ブロックに配置しています。
● 県看護協会では、平成15年より災害看護に取り組むための委員会を設置し、研修会を
開催するなど、災害支援看護師の養成と体制の構築を行っています。また、平成18年7
月には県と「災害における医療救護に関する協定」を締結し、県からの派遣要請に対し
「避難所等における心身の健康管理の確保」を目的とした「災害支援ナース」の派遣を
行う体制を整えています。
● 県薬剤師会では、平成18年12月に県と「災害時における医療救護活動に関する協定」
を締結し、被災地における調剤や医薬品の管理等を支援することとしています。
● 県歯科医師会では、災害時の歯科医療救護活動を適切かつ効率的に実施するため、平
成23年12月に県と「災害時の歯科医療救護に関する協定」を締結しています。
● 平成23年3月の東日本大震災において、県は関係機関と連携し、被災県からの要請に
基づくDMAT、医療救護班の派遣を行うとともに、被災地からの入院患者受入れや人
工透析患者に係る相談対応といった受入れ支援や、避難所での医療・健康相談やAED
設置等の避難者支援を行っています。
「本県におけるDMATの出動基準」
① 県内において、災害等により2名以上の心肺停止を含む20名以上の傷病者が発生
すると見込まれる場合、及び被災者の救出に時間を要する等DMATが対応する
ことで効果が有ると認められる場合
② 国あるいは他都道府県からDMATの出動要請があった場合
114
● 東日本大震災を踏まえ、各医療機関の被害及び診療状況等の速やかな情報集約体制の
整備やDMAT及び医療救護班の迅速かつ継続的な派遣体制の整備のため、関係機関と
の協力体制をさらに強化する必要があります。また、DMAT指定病院は、複数チーム
体制を確保するため、隊員の養成や資質の向上が必要です。
● 各医療機関は、災害時医療体制の確保のため、迅速な初動体制及び職員の登院・勤務
体制の確保や大規模災害時においても一定程度の医療機能を発揮できる診療体制の確保
が必要です。
● 県内での大規模災害の発生に備え、傷病者を県外へ広域搬送するための体制を整備す
る必要があります。
DMAT指定病院
病 院 名
(平成25年3月末現在)
指 定 日
チーム数
山形大学医学部附属病院
平成20年9月22日
3チーム
山形県立中央病院
平成20年9月22日
3チーム
公立置賜総合病院
平成20年9月22日
3チーム
日本海総合病院
平成20年9月22日
2チーム
山形済生病院
平成21年8月4日
2チーム
山形県立新庄病院
平成22年3月5日
1チーム
山形市立病院済生館
平成25年3月27日
1チーム
鶴岡市立荘内病院
平成25年3月27日
1チーム
計
備 考
16チーム
《施策の方向》
● 県は、災害時において迅速に対応できるよう医療機関や医師会等の関係機関との連携
体制の充実を図ります。また、災害医療コーディネーターを配置するとともに、同コー
ディネーターの支援体制を構築します。
● 県、災害拠点病院及び救急告示病院は、災害医療担当者の資質向上や機能強化を図り
ます。
● 県は、DMAT指定病院が行うDMATの運用や充実に向けた体制の整備を支援します。
● 県は、広域医療搬送の拠点となる「広域搬送拠点臨時医療施設」
(SCU:Staging
Care Unit)としての機能を「山形空港」及び「庄内空港」に整備するとともに、災
害時には速やかに設置し、DMAT指定病院がその運営に協力します。
● 県は、東日本大震災を踏まえ、災害時における隣県等との連携・協力体制を構築します。
115
《評価目標》
項 目
DMATチーム数
現 状
16チーム
(平成24年度)
目 標
25年度
26年度
27年度
28年度
29年度
16チーム
18チーム
20チーム
22チーム
24チーム
[県地域医療対策課調べ]
《主な施策》
● 県は、県内外での災害発生に備え、山形県災害医療統括コーディネーターや山形県地
域災害医療コーディネーターを中心に、県全域での「災害医療コーディネート連絡調整
会議」や地域ごとの「地域災害医療連絡調整会議」を開催し、山形大学医学部附属病
院、各災害拠点病院や消防機関、医師会などの関係機関との連携体制の充実強化を図り
ます。また、災害医療コーディネーターの支援体制を構築するため、災害医療の人材育
成研修会等を実施します。
● 災害拠点病院をはじめとする地域の救急告示病院は、東日本大震災の教訓を踏まえ、
施設設備の耐震化、停電時の医療体制の確保、災害時の必要物資の備蓄の確保、大災害
を想定した防災訓練の実施など、災害時の医療提供体制を強化します。
● 県は、災害時における関係機関の医療情報等の共有化を図るため、救急告示病院等の
担当者向けの災害時情報入力訓練を定期的に実施します。
● 県及び災害拠点病院は、災害時の医療救護活動について、医療関係者や救急関係者に
対し普及啓発を図るため、引き続き研修会及び災害医療総合訓練を実施します。
● 県及び災害拠点病院は、すべての災害拠点病院にDMATを配置します。また、全災
害拠点病院への配置後は、速やかに複数チーム体制の構築が図られるよう養成を強化す
るとともに、研修等を通じ資質向上に努めます。
● 県は、広域医療搬送の拠点となる「広域搬送拠点臨時医療施設」(SCU)を整備す
るとともに、災害時を想定したSCUの円滑な設置や運営を行うため、定期的に実地訓
練を実施します。
● 県は、災害時におけるドクターヘリの活用やSCUによる重症患者等の県外医療機関
への迅速な搬送を行うため、東北ブロックDMAT実働訓練等により、隣県のDMAT
調整本部等との連携協力体制の構築を図ります。
116
大規模災害発生時における医療救護体制(イメージ図)
<被災地内>
災 害 発 生
傷 病 者
医 療 救 護 所
従事者確保
地区医師会
消
防
(搬 送)
機
関
診療所
病 院
DMAT 災害の急性期に活動
D M A T の 派 遣
市 町 村
現 地 活 動
設 置
(県医師会へ)
病院支援
災害拠点病院
地域災害医療コーディネーター
等の情報収集 等
広域医療搬送
被災状況、診療状況
地域医療搬送
保健所
救 護 班 の 派 遣
医療救
護班派
遣要請
等
地域医療搬送
広域医療搬送
市町村、医師会、
消防機関と連携
広域搬送拠点臨時医療施設
(SCU)
広域医療搬送
重症患者等の
搬送
<被災地外>
保健所
隣県の
DMAT
調整本部等
歯科
診療所
病院
災害拠点
病 院
山形大学附属病院
医療従事者応援調
医療
従事
者等
参
画
県災害対策本部(保健医療対策班)
災害医療統括コーディネーター
医療救護班派遣要請 等
患者の流れ
情報連絡の流れ
県歯科医師会
県医師会
(救急・大規模災害等対策委員会)
日赤山形県支部
派遣・応援の流れ
医療施設、
関係機関
117
■ 災害時医薬品等の供給体制の整備
《現状と課題》
● 平成7年に発生した阪神・淡路大震災を契機として、県は大規模災害で緊急に必要と
なる医薬品や医療機器(災害発生直後から概ね3日間)の確保及び供給を図るため、平
成9年度に県医薬品卸業協会及び東北医療機器協会山形県支部に委託して流通在庫を利
用した備蓄供給体制を構築しました。
● また、これらの医薬品等を災害時に円滑に搬送するために、医薬品卸業者等の運送車
両について、災害時緊急通行車両の事前届出を開始しました。
● これらの医薬品については、県内の災害拠点病院やDMATの整備により救急医薬品
の備蓄が進み、災害直後に必要な医薬品を供給する体制が整備されてきたことから、次
の段階で必要とされる広範な医薬品等を迅速かつ的確に供給するための体制整備とし
て、それまでの備蓄委託に代え、平成20年度に県と県医薬品卸業協会とで「災害時にお
ける医薬品等の供給に係る協定」を締結しました。
● 平成23年に発生した東日本大震災では、医薬品の供給についても広域支援の必要性が
高かったことから、大規模災害発生後に必要とされる医薬品等については、被災の状況
や医療救護活動のニーズに合わせた供給体制を整備していく必要があります。
《施策の方向》
● 県は、県医薬品卸業協会等と連携し、災害時に必要とされる医薬品及び医療機器が、
医療救護所等に速やかに供給される体制を整備します。
● 県は、県医薬品卸業協会等と連携し、近隣県の被災等による通常の医薬品供給経路の
遮断に備え、他の経路による医薬品の供給体制の確保に努めます。
《評価目標》
項 目
災害時医薬品等供給訓練の参加
者数
現 状
目 標
25年度
26年度
27年度
28年度
29年度
180人
210人
240人
270人
300人
330人
(累計)
(累計) (累計) (累計) (累計) (累計)
(平成24年度)
[県保健薬務課調べ]
《主な施策》
● 県は、県医薬品卸業協会と連携して、災害時医薬品の供給訓練や、通常供給経路以外
での中継搬送訓練を定期的に実施します。
● 県医薬品卸業協会は、近隣県を含む広域的な医薬品卸業者相互の連携の強化により、
災害時における被災地への必要な医薬品の速やかな供給体制の確保に努めます。
● 県は、県医薬品卸業協会等と連携し、医薬品等の搬送車両の更新等、災害時緊急通行
車両の事前届出を推進します。
118
災害時における連携・協力体制
県医師会
山形県
情報収集・指揮調整機能の一元化
医療救護体制の確保
●医療救護班派遣調整担当医の配置(地区医師会ごと)
ー災害医療統括及び地域災害医療コーディネーターの配置ー
【発災時】
・県の要請を受け、
関係機関と連携・協力し医療救護班の
編成及び派遣
医療救護班の派遣要請
●災害医療統括コーディネーターの配置(県DMAT調整本部内)
県全体を俯瞰した災害時医療体制の確保
医療救護班派遣の決定・報告
連携
(県DMAT調整本部事務局
(県地域医療対策課)
と密接な連携)
関係機関
【発災時】
協力
医療救護体制等の確保
県看護協会、
県歯科医師会、
県薬剤師会、
福祉・介護関係機関等
【情報収集】
・被災地の状況把握
医療救護班の派遣要請
【現地支援】
・被災地へのDMAT及び医療救護班の派遣調整(関係機関へ派遣要請)
【受入れ支援】
・医療機関の被災・診療状況の把握
・医療機関へ患者受入れ体制の確保を要請
・患者受入れ医療機関までの搬送手段の調整
・多数傷病者が発生した場合、
隣県へ患者受入れを要請
定期的に研修会
や訓練等を実施
被災・診療
情報の提供
患者受入れ
調整の要請
●医療救護班派遣体制の整備
●医療と福祉・介護との連携による支援のあり方の検討
医療救護班派遣の決定・報告
【発災時】
・県の要請を受け、県医師会と連携・協力し医療救護班の
編成及び派遣
・県の要請を受け、
福祉・介護施設への要援護者受入れ体
制の確保
要援護者の受入れ要請
受入れ可能数の回答
各医療機関 災害時医療提供体制の確保
ー医療機関は通常の診療機能の一定程度を確保ー
DMAT・医療救護班
の派遣要請
派遣の決定・報告
●迅速な初動体制及び職員の登院・勤務体制の整備
●一定程度の医療機能を発揮できる診療体制の確保
㱺通常時の6割程度の発電容量を賄える非常用自家発電設備の整備
㱺3日分程度の燃料、
医薬品・診療材料・給食材料等の医療物資の確保
●地域災害医療コーディネーターの配置(二次医療圏ごと)
各二次医療圏における災害時医療体制の確保
【発災時】
・被災地の状況把握
・医療機関の被災・診療状況の把握
・患者受入れ体制の確保及び搬送を指揮
患者受入れ要請
受入れ可能数の回答
●医療情報のバックアップ体制の整備
●医療施設の耐震化及び災害訓練等の実施
【発災時】
被災・診療情報の提供
・県からの要請を受け、
DMAT・医療救護班の編成及び派遣
・県からの要請を受け、
患者受入れ体制の確保
重症患者㱺災害拠点病院、
山大医学部附属病院
一般入院、
外来患者㱺救急告示病院
軽症患者㱺一般診療所、
休日夜間診療所など
「災害時医療体制の充実強化に係る基本方針」より
災害時における医療の体制
【災害拠点病院】
【災害急性期の応援派遣】
【災害中長期の応援派遣】
災害拠点病院としての機能
DMAT等医療従事者を派遣する機能
救護所、避難所等において健康管理を
実施する機能
目標
●多発外傷等の重篤患者の救命医療
●患者等の受入れ・搬出を行う広域搬
送
●自己完結型の医療救護チームの派遣
●地域医療機関への応急用資器材の貸
出
●被災地周辺に対する、DMAT等自
己完結型の緊急医療チームの派遣
●被災患者の集中する医療機関に対す
る医療従事者の応援派遣
●災害発生後、救護所、避難所に医療
従事者を派遣し、被災者に対する、
感染症のまん延防止、衛生面のケ
ア、メンタルヘルスケアを実施
●重篤患者の救命医療を行うために必
要な施設・設備・医療従事者
●多数の患者に対応可能な居室や簡易
ベッド
●診療に必要な施設が耐震構造である
こと
●特殊な災害に対する施設・設備
●被災時における生活必需基盤の維持
体制
●水・食料、医薬品、医療機材等の備蓄
●対応マニュアルの整備、研修・訓練
等による人材育成
●ヘリコプターの離発着場
●広域災害・救急医療情報システムの
利用
●DMAT研修等必要なトレーニング
を受けている医療従事者チームの確
保
●被災地における自己完結型の医療救
護に対応できる携行式の応急用医療
資器材、応急医薬品、テント、発電
機等
●地域医師会等を中心とした救護班と
の連携
●感染症のまん延防止、衛生面のケ
ア、メンタルヘルスケアを適切に行
える医師
●携行式の応急用医療資器材、応急用
医薬品
●DMAT等急性期の医療チームとの
連携
求められる事項の目安
機能
課題
評価
目標
○県内医療機関や関係機関と連携した、災害に強い医療提供体制の構築
○災害時における、指揮命令系統の整備や、関係機関との連携体制の充実
DMATチーム数
119
①災害時の医療体制を構築する病院
災害拠点病院
災害急性期の応援派遣
災害中長期の応援派遣
県立中央病院
山形市立病院済生館
山形大学医学部附属病院
県立中央病院
山形済生病院
篠田総合病院
山形済生病院
山形済生病院
北村山公立病院
山形徳洲会病院
北村山公立病院
国立病院機構山形病院
山形徳洲会病院
県立河北病院
天童市民病院
東北中央病院
至誠堂総合病院
県立河北病院
山
村
みゆき会病院
尾花沢病院
小白川至誠堂病院
吉岡病院
寒河江市立病院
天童市民病院
二
上山病院
山形さくら町病院
山形厚生病院
千歳篠田病院
秋野病院
小原病院
次
保
健
最 上
療 圏
医
県立新庄病院
県立新庄病院
新庄徳洲会病院
最上町立最上病院
公立置賜総合病院
公立置賜総合病院
公立置賜総合病院
米沢市立病院
吉川記念病院
置
県立新庄病院
賜
舟山病院
三友堂病院
公立高畠病院
小国町立病院
佐藤病院
庄
日本海総合病院
鶴岡市立荘内病院
内
日本海総合病院
鶴岡市立荘内病院
庄内余目病院
県立鶴岡病院
庄内余目病院
鶴岡協立病院
本間病院
酒田東病院
遊佐病院
酒田市立八幡病院
120
②広域搬送拠点臨時医療施設(SCU:Staging Care Unit)
設置場所
山形空港
庄内空港
協力を行う医療機関(DMAT)
優先順位第1位
優先順位第2位
山形県立中央病院
山形大学医学部附属病院
山形市立病院済生館
山形済生病院
山形県立新庄病院
公立置賜総合病院
日本海総合病院
山形県立中央病院
鶴岡市立荘内病院
山形県立新庄病院
③県外被災時の医療支援体制(イメージ図)
被災地
県災害対策本部
(県DMAT調整本部)
災害医療統括コーディネーター
による指揮命令の一元化
●山形DMAT・ 医療救護班
の派遣調整
●入院患者の受入れ調整
被災地医療支援
●山形DMATの派遣
●県医療救護班の派遣
●日赤医療救護班の派遣
●医薬品等の供給
各医療機関等との
受入れ調整
患者受入れ支援
●入院患者等の受入れ
●被災地から入院患者等の受入れ
避難者支援
●避難所等における医療
支援・健康相談
●被災者の受入れ
121
10 へき地の医療
■ へき地医療体制の整備
《現状と課題》
● 本県のへき地及び離島における医療確保については、これまで、昭和31年度に国が策
定した「へき地保健医療計画」に基づき諸施策を推進しています。
● 県は、平成23年3月に策定された国の「第11次へき地保健医療計画策定指針」に基づ
き、平成23年度から27年度までの5年間を計画期間とする「山形県へき地保健医療計画」
を策定し、へき地医療体制の確保に努めています。
● 市町村は、地域住民への医療の確保を目的として、へき地診療所を運営しており、県
内には19か所のへき地診療所があります。
● 県は、山形県地域医療支援機構による自治医科大学卒業医師の配置及び長期・短期の
派遣や、山形大学医学部等との連携により地域医療を支援する体制を構築しています。
● 県は、平成16年度から、山形県地域医療支援機構の調整の下「へき地医療拠点病院」
から地域の市町立病院や市町村立診療所へ代診医を派遣する体制を構築しています。
● 県は、平成17年度から、地域医療に一定期間従事することを返済免除要件とする修学
資金制度を設け、地域医療を担う医師の確保に向けた施策を展開しています。
● 県は、平成18年度から、「山形県ドクターバンク事業」を実施し、U・Iターン等に
より県内の医療機関に勤務する医師の確保に向けた施策を推進しています。
● 県は、平成22年度に、山形大学医学部と連携し「山形方式・医師生涯サポートプログ
ラム」を策定し、卒前・卒後を通じライフステージに応じたキャリアアップを支援する
仕組み等を構築しています。
● 人口減少及び高齢化の進行等により、無医地区や無医地区に準ずる地区及びその周辺
地域の実情に応じたへき地医療確保対策が必要となっています。
● 道路事情の改善などにより、無歯科医地区は減少していますが、地域別の歯科医師数
では偏在が見られます。
県内の無医地区等の数
(平成21年10月)
・無医地区 :1地区(平成16年12月末現在 9地区)
・無医地区に準じる地区 :8地区(平成16年12月末現在 10地区)
・無歯科医地区 :2地区(平成16年12月末現在 9地区)
資料:厚生労働省「無医地区等調査」
、
「無歯科医地区調査」
地域別の歯科医師数
(平成22年)
村山地区
最上地区
置賜地区
計
実 数
362
39
108
162
671
人口10万対
64.
2
46.3
47.6
55.1
57.4
資料:厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師調査」
122
庄内地区
《施策の方向》
● 県は、自治医科大学卒業医師及び修学資金貸与者のへき地医療機関への配置につい
て、関係機関と連携しながら、効率的、効果的な調整を実施します。
● 県は、へき地医療拠点病院による代診医派遣の取組みを支援します。
● 県及び山形大学医学部は、
「山形方式・医師生涯サポートプログラム」により、大学
とへき地等医療機関を循環しながらキャリアアップできる仕組みを引き続き運用してい
きます。
● 県は、無歯科医地区における歯科疾患の予防を図るため、市町村等と協力して歯科保
健・予防活動を推進します。
《評価目標》
項 目
本県の人口10万人対医師数
現 状
221.5人
《全国平均230.4人》
(平成22年)
目 標
25年度
26年度
27年度
28年度
29年度
―
全国
平均
以上
―
全国
平均
以上
―
[厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師調査」(調査周期2年)]
《主な施策》
● 関係市町村は、へき地において高齢化が進む中、高齢者等が適切に医療を受けること
ができるよう、引き続きへき地診療所を運営するとともに、交通手段の確保などに努め
ます。
● 県は、自治医科大学卒業医師のへき地医療機関への配置を計画的に進めるとともに、
医師修学資金貸与医師による地域医療の支援を行っていきます。また、義務年限終了後
の県内定着を図るため、将来のキャリアパスに配慮した医師の配置に努めます。
● 県は、県医師会と連携し「山形県ドクターバンク事業」を運営し、質の高い地域医療
従事医師の確保に努めます。
● 県は、へき地診療所の整備・運営に対する支援や山形県地域医療支援機構及びへき地
拠点病院による支援体制の充実を図るとともに、山形大学医学部、県医師会及び各総合
支庁など関係機関と連携した地域医療支援対策を推進します。
● 県は、市町村や関係団体が行う、無歯科医地区における歯科保健指導、歯科健診、歯
科予防処置等の歯科保健事業を支援します。
123
へき地医療の体制
へき地
へき地診療の支援
保健指導
○巡回診療
巡回診療
○無医地区等における
保健指導の提供
○研修の実施、
研究施設の提供
○遠隔診療
○24時間365日の医療アクセス体制
○高度の診療機能による援助
へき地診療
○無医地区等における地域住民の医療確保
緊急処置時
の連携
へき地の診療を支援す
る医療を行う病院 等
○24時間365日対応できる体制の整備
○専門的な医療や高度な医療へ搬送する体
制の整備
代診医派遣、
技術指導
へき地における診療を
行う病院、診療所 等
行政機関等による支援
【へき地医療支援機構等】
○へき地保健医療計画に基づく施策の実施
(医師の派遣調整等)
へき地の医療体制
【保健指導】
機能
求められる事項の目安
評価
目標
124
【へき地診療の支援医療】
へき地における保健指導
へき地における診療
へき地の診療を支援する医療
●無医地区等における保健指導の提供
●無医地区等における地域住民の医療
の確保
●24時間365日対応できる体制の整備
●専門的な医療や高度な医療へ搬送す
る体制の整備
●診療支援機能の向上
●保健師等による実施
●特定地域保健医療システムの活用
●地区の保健衛生状態の把握
●保健所、最寄りへき地診療所等との
緊密な連携に基づく地区の実情に応
じた活動
●プライマリーの診療が可能な医師
●巡回診療の実施
●必要な診療部門、医療機器等
●へき地診療所診療支援システムの活
用
●特定地域保健医療システムの活用
●へき地医療拠点病院等との連携
●へき地医療拠点病院等における研修
等への参加
●へき地医療拠点病院支援システムの
活用
●へき地診療所支援システムの活用
●巡回診療等による医療の確保
●へき地診療所への代診医の派遣及び
技術指導、援助
●へき地の医療従事者に対する研修の
実施、研究施設の提供
●遠隔診療等の実施
●行政のへき地における医療確保の事
業への協力
●へき地保健医療情報システムの各種
データの登録・更新等
●24時間365日、医療にアクセスでき
る体制の整備
●高度診療機能による、へき地医療拠
点病院の診療活動の援助
目標
課題
【へき地診療】
○へき地医療に従事する医師の確保
○へき地医療支援体制の充実
本県の人口10万人対医師数
へき地の医療体制を構築する病院等
保健指導
へき地診療
村
朝日町立病院
西川町立病院
(上山市山元診療所)
(西川町立岩根沢診療所)
へき地診療の支援医療
山
山形大学医学部附属病院
○ 県立中央病院
みゆき会病院
(西川町立小山診療所)
(西川町立大井沢診療所)
(朝日町立北部診療所)
最上町立最上病院
置 賜
最 上
二 次 保 健 医 療 圏
町立真室川病院
吉川記念病院
白鷹町立病院
小国町立病院
(酒田市飛島診療所)
最上町立最上病院
町立真室川病院
(町立金山診療所)
○ 県立新庄病院
新庄徳洲会病院
最上町立最上病院
(真室川町立釜渕診療所)
(真室川町立及位診療所)
(大蔵村診療所)
(戸沢村中央診療所)
町立真室川病院
川西湖山病院
白鷹町立病院
小国町立病院
(南陽市国民健康保険小滝診療所)
(飯豊町国民健康保険診療所附属
中津川診療所)
○ 公立置賜総合病院
庄
内
○ 日本海総合病院
(酒田市飛島診療所)
酒田市立八幡病院
(酒田市国民健康保険松山診療所)
(酒田市国民健康保険地見興屋診療所)
(酒田市立升田診療所)
(酒田市立青沢診療所)
(鶴岡市国民健康保険上田沢診療所)
(鶴岡市国民健康保険大網診療所)
※ ○ → へき地医療拠点病院
( )
→ へき地診療所
125
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