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第2章 ケーススタディ 8

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第2章 ケーススタディ 8
第2章
2.1
ケーススタディ
採用する部材の検討
外壁、床、間仕切壁及び水平抵抗要素について、建基法等で求められる耐火性能、検討条件及び
採用に当たっての留意事項を整理したうえで、使用条件やコスト等の観点から複数の仕様を比
較・検討し、ケーススタディで採用する仕様を決定する。
2.1.1 外壁
2.1.1.1 求められる耐火性能
耐火構造の外壁に求められる耐火性能は、表 2.1-1 のとおりである。(建基令第 107 条)
表 2.1–1 外壁に求められる耐火性能
耐力壁
耐力壁・非耐力壁
非損傷性(第1号)
延焼のおそれのある部分
遮熱性(第2号)
遮炎性(第2号)
左以外の部分
遮熱性(第2号)
遮炎性(第3号)
1時間
1時間
30 分
※最上階及び最上階から数えた階数が 2 以上4以下の階
2.1.1.2 検討条件、留意事項
外壁に係る耐火構造の仕様は「耐火構造の構造方法を定める件(平成 12 年建告第 1399 号)」
(告示仕様)に記載されている。告示仕様には木片セメント板によるものを除き木質下地の規
定がなく、鉄筋コンクリート造、ALC パネル等とするか、建基法2条第7号及び建基令第 107
条の規定に基づく耐火構造の国土交通大臣認定を取得した仕様とする必要がある。
外部に露出して木材を使用するためには、告示仕様の防火構造等の外壁の上に木材を張るか、
木材を使用することを前提に認定を取得した構法を採用する必要がある。「建築物の防火避難
規定の解説」
カーテンウォールのバックマリオンは、防火区画や延焼のおそれのある部分以外で風圧力の
みを負担している場合は、防耐火の措置が不要であり、木材を利用することが容易である。
窯業系サイディングは、取付高さが 13mを超える場合、メーカーの仕様から外れることが
あるため、使用条件の確認が必要である。
8
2.1.1.3 仕様の比較検討
想定される外壁の仕様は、表 2.1- 2 のとおりである。
タイプA及びCはメンブレン型の(社)日本木造住宅産業協会(木住協)の認定仕様である窯
業系サイディング仕上げ、タイプBは重量・断熱性において比較優位である金属製サンドイッ
チパネル仕上げとする。
また、両タイプとも納まりを検討するため部分的にカーテンウォールを採用する。
表 2.1-2 外壁の仕様と比較
金属製
サンドイッチ
パネル
[認定仕様]
ガラス
カーテンウォール
[認定仕様]
窯業系
サイディング
[認定仕様]
金属製パネル
[認定仕様]
使用条件
―
施工適用範は、張
付高さが、13mを
超える場合、メー
カーの仕様から外
れる場合があるた
め、使用条件の確
認が必要
―
下地は軽量鉄骨
胴縁に取り付け
―
重量
30kg/㎡
○
33kg/㎡
○
33kg/㎡
○
20kg/㎡
○
70kg/㎡
△
3.4W/㎡・K
△
0.29W/㎡・K
○
1.8W/㎡・K
△
0.80W/㎡・K
○
1.7W/㎡・K
△
35dB
○
32dB
○
31dB
○
27dB
○
29dB
○
△
○
○
○
○
ALC
[告示仕様]
仕様
断熱性
(熱貫流率)
遮音性
(500Hz
透過損失)
施工性
耐久性
保証は無いが、
ビスの影響が
20 年以上の実績あり
大きい(保証なし)
塗装の塗替えが必要
汚れ部の真水による
塗装の塗り替えが
塗装の塗り替え
塗装よりもシール
洗浄が必要
必要
が必要
部分の痛みが早い
(3~5 年)
(5~10 年等)
(5~10 年等)
漏水 10 年保証
塗膜 10 年保証
保全性
ガラスの定期的な
(メンテ
清掃が必要
間隔)
(6 ヶ月)
(保証年数)
コスト
△
タイプA及びB
バックマリオンの納
まりの検討を
行うため部分的に採
用
○
○
タイプA及びC
メンブレン型の
木住協の認定仕
様を採用
10 年保証
○
タイプB
重量・断熱性で比較
優位のため金属製
サンドイッチパネルを
採用
9
○
2.1.2 床及び天井
2.1.2.1 求められる耐火性能
耐火構造の床に求められる耐火性能は、表 2.1–3 のとおりである。(建基令第 107 条)
表 2.1-3 床及び天井に求められる耐火性能
非損傷性(第 1 号)
遮熱性(第 2 号)
1時間
※最上階及び最上階から数えた階数が 2 以上で4以下の階
2.1.2.2 検討条件・留意事項
耐火構造の床の告示仕様には、木片セメント板によるものを除き木質下地の規定がなく、規
定のある鉄筋コンクリート造、ALC パネル等とするか、認定仕様の床とする必要がある。
メンブレン型の場合は、木組床とはりを組み合わせた仕様で認定を受けているため、木組床
以外の使用に制約がある。
メンブレン型の場合は、被覆の強化せっこうボードに対する開口面積制限(200cm2/箇所)
がある。扉や窓等の建具(200cm2)を設ける時は建具の取り付く壁小口にはファイヤースト
ップを設ける。
一般的には、燃え止まり型の柱、はり等との接合部における耐火性能の確認が求められる。
(コンクリートスラブや認定仕様の木組床との組合せは、実験で耐火性能を確認済み。)
認定の制約から、燃え止まり型の柱、はりにアンカーやスタッドを取り付けることが困難で
あるため、コンクリートスラブから外壁を支持する等の検討が求められる。
10
2.1.2.3 仕様の比較検討
想定される床の仕様は、表 2.1-4 のとおりである。
タイプA、Cはメンブレン型耐火建築のため、認定仕様の木組床を採用する。タイプBは外
壁及び間仕切壁の取付け並びに木造部分の地震力の鉄筋コンクリート造のコアへの伝達を考
慮しコンクリートスラブとする。
表 2.1–4 床及び天井の仕様と比較
木組床+耐火被覆
[認定仕様]
ALC パネル
[告示仕様]
コンクリートスラブ
[告示仕様]
認定外
認定外
×
×
○
(薬剤注入型のみ)
振動を抑えるため
小ばりが必要
△
床固定不可
×
床固定不可
×
○
100kg/㎡
150kg/㎡
440kg/㎡
○
○
△
遮音性
47dB
30dB
51dB
(透過損失)
○
△
○
施工性
○
○
仕様(例)
はり
との
接合
メンブレン型
○
○
燃え止まり型
外壁等の固定
重量
(モルタル型)
コンクリートのノロ対策
△
コスト
△
○
○
タイプA及びC
タイプB
メンブレン型の認定によ
る仕様の制約より木組床
を採用
外壁及び間仕切壁の取付け、木造
部分の地震力のコアへの伝達を考
慮しコンクリートスラブを採用
11
2.1.3 間仕切壁
2.1.3.1 求められる耐火性能
耐火構造の間仕切壁に求められる耐火性能は、表 2.1–5 のとおりである(建基第 107 条)。
表 2.1-5 間仕切壁に求められる耐火性能
耐力壁
非耐力壁
非損傷性(第 1 号)
遮熱性(第 2 号)
遮熱性(第 2 号)
1時間
1時間
※最上階及び最上階から数えた階数が2以上で4以下の階
2.1.3.2 検討条件・留意事項
木質系下地の間仕切壁の場合は、施工に際して職人の確保が困難となる場合がある。
燃え止まり型部材は、認定上の制約から、原則として、部材にアンカーやスタッドを取付け
ることができないため、木質系下地の間仕切壁を燃え止まり型部材に取付けるに当たっては、
実験等により検証が必要な場合がある(モルタル型、薬剤注入型のいずれも、実験により必要
な耐火性能があることを確認している。)。
2.1.3.3 仕様の比較検討
想定される間仕切壁の仕様は、表 2.1–6 のとおりである。
タイプA、B及びCにおいて、木質及び軽量鉄骨下地のいずれかの仕様の間仕切壁でも使用
できるが、木材を使用できる反面、職人の確保が難しくなる場合があることからタイプAは木
質下地間仕切壁とし、タイプB及びCは軽量鉄骨下地間仕切壁とする。
12
表 2.1-6 間仕切壁の仕様と比較
木質下地
軽量鉄骨下地
木材使用量
○
×
施工性
作業員の確保
△
○
コスト
○
△
タイプA
タイプB及びC
間仕切壁に採用
仕様
(非耐力壁)
間仕切壁に採用
2.1.4 水平抵抗要素
2.1.4.1 求められる耐火性能
耐火建築物であっても、
「筋かい」は、主要構造部に当たらないので、原則として耐火被覆
する必要はない。ただし、耐火建築物の筋かいで、水平力だけでなく鉛直力も負担するものは、
主要構造部に該当するものとして、耐火被覆を必要とすると判断されている。
『防火避難規定の解説』より引用
2.1.4.2 検討条件・留意事項
鉛直荷重を負担しない筋かいは耐火被覆を設けることを求められないと判断されているこ
とから、構造上、防耐火上、どのような水平抵抗要素を選択するか検討する必要がある。
主要構造部を耐火構造とする方式と水平抵抗要素のタイプごとの検討条件、留意事項は、表
2.1-7 のとおりである。
13
表 2.1–7 水平抵抗要素の構造上・防耐火上の留意事項等
水平抵抗要素
耐火の工法
木製筋かい
メンブレン型
■木製筋かいを露出する場合
・ボルト、接合金物が耐火被覆を貫通す
ることは可能
・耐火被覆を挟み込んで接合する場合、
耐火被覆を介した力の伝達方法に工夫
が必要
水平抵抗要素
(筋かい、合板等)
メンブレン型に
よる耐火被覆
■木製筋かいを露出しない場合
・直接、柱、はりに接合可能
・水平抵抗要素も耐火被覆を行なう
■木製筋かいを露出する場合
・柱、はりの外側に、スラブ-スラブ間で
枠付きの木製筋かいを設置することが
考えられる
・柱、はりフレーム外であり、力の伝達
方法に工夫が必要
水平抵抗要素を
露出する場合
燃え止まり部材
(はり)
被覆なし
燃え止まり型
枠付きの木(鋼)
製筋かい、合板
水平抵抗要素を
露出しない場合
メンブレン型で
耐火被覆
枠付きの木(鋼)
製筋かい、合板
■木製筋かいを露出しない場合
・薬剤注入型の柱、はりに直接筋かいを
接合する場合について、メンブレン型
の耐火被覆を行なえば、実験により必
要な耐火性能があることを確認してい
る
・燃え止まり層を介した力の伝達方法に
工夫が必要
鋼材内蔵型
■木製筋かいを露出する場合
・柱、はりの内側に別途枠付の木製筋か
いを設置した実例有り
・直接、柱、はりに接合する場合は、耐
火被覆を考慮した力の伝達方法に工夫
が必要
■木製筋かいを露出しない場合
上記が可能であるため、検討事例無し
14
鋼製筋かい
合板
メンブレン型
■合板を露出する場合
■鋼製筋かいを露出する場合
・ボルト、接合金物が耐火被覆を貫通する ・ボルト、接合金物が耐火被覆を貫通する
ことは可能
ことは可能
・耐火被覆を挟み込んで接合する場合、耐
・耐火被覆を挟み込んで接合する場合、耐
火被覆を介した力の伝達方法に工夫が
火被覆を介した力の伝達方法に工夫が
必要
必要
■鋼製筋かいを露出しない場合
・直接、柱、はりに接合可能
・水平抵抗要素も耐火被覆を行なう
■合板を露出しない場合
・直接、柱、はりに接合可能
・水平抵抗要素も耐火被覆を行なう
■合板を露出する場合
■鋼製筋かいを露出する場合
・柱、はりの外側に、スラブ-スラブ間で ・柱、はりの外側に、スラブ-スラブ間で
枠付きの合板を設置することが考えら
枠付きの鋼製筋かいを設置することが
れる
考えられる
・柱、はりフレーム外であり、力の伝達方 ・柱、はりフレーム外であり、力の伝達方
法に工夫が必要
法に工夫が必要
・鋼製筋かいを露出する合理性に欠ける
燃え止まり型
■合板を露出しない場合
■鋼製筋かいを露出しない場合
・薬剤注入型の柱、はりに直接筋かいを接 ・薬剤注入型の柱、はりに直接筋かいを接
合した場合について、メンブレン型の耐
合した場合について、メンブレン型の耐
火被覆を行なえば、実験により必要な耐
火被覆を行なえば、実験により必要な耐
火性能があることを確認している
火性能があることを確認している
・燃え止まり層を介した力の伝達方法に ・燃え止まり層を介した力の伝達方法に工
夫が必要
工夫が必要
鋼材内蔵型
■鋼製筋かいを露出する場合
・柱、はりの内側に別途枠付の鋼製筋かい
を設置することで可能
・直接柱、はりに接合する場合は、耐火被
覆を考慮した力の伝達方法に工夫が必
要
・鋼製筋かいを露出する合理性に欠ける
■鋼製筋かいを露出しない場合
上記が可能であるため、検討事例無し
15
■合板を露出する場合
・柱、はりの内側に別途枠付の合板壁を設
置することは可能
・直接柱、はりに接合する場合は、耐火被
覆を考慮した力の伝達方法に工夫が必
要
■合板を露出しない場合
上記が可能であるため、検討事例無し
2.1.4.3 仕様の比較検討
(1)タイプA、C
水平抵抗要素の設置上の留意事項は、表 2.1–8 のとおりである。
表 2.1-8
水平抵抗要素の設置上の留意事項
木製筋かい・鋼製筋かい
壁量
高耐力壁
に対する
措置
合板
構造計算ルート2のβ割増によ
合板のみの耐力壁とすれば、β割
り必要壁量が最大 1.5 倍に増加す 増による必要壁量の増加はない。
る。
壁倍率7倍相当を超える高耐力壁の使用は、実験等により、周辺部材
を含めた構造上の安全性が確認された場合に限り、その条件で使用でき
る (「木造軸組工法住宅の許容応力度設計(2008 年版)」)。
筋かい端部のめり込みに対する
措置が困難である。
-
タイプA、C共
必要壁量の増加をなくし、かつ
必要壁量を確保するため、高耐力壁
が可能な合板にした。
(2)タイプB
コンクリートスラブを介して鉄筋コンクリート造のコア部分が建物全体の水平力を
負担するため、木造部分には水平抵抗要素は不要となる。
16
2.1.5 スパンの検討
タイプA、B、Cのスパンを設定するに当たって、検討した条件及び設定したスパンは、
表 2.1-9 のとおりである。
表 2.1-9
スパンの検討
検討条件
設定スパン
・平成 22 年度に行ったケーススタディ(木造2階建
て、軸組構法(軸構造系)
、延べ面積約 790 ㎡)を参 最大スパン
考に平面計画を作成
タイプA
タイプB
7.2m
・木材の調達しやすさや調達コストの観点から可能な
基本モジュール
限り製材を用いるとともに、木材の有効利用(端材
1.8m
を減らす)の観点から 1.8mを基本モジュールとして
計画
・最大スパンは、認定を受けた耐火集成材(燃え止ま
り型)の部材断面による条件と想定する建築物に必 最大スパン
要なスパンを踏まえて設定
9.0m
・桁行方向のスパンは、コスト低減の観点から、はり 基本モジュール
を設けず、コンクリートスラブのみで可能な 3.6mで
0.9m
計画
・木材の調達しやすさや調達コストの観点から中断面
集成材の6mスパンとし、事務所としての用途を考
最大スパン
慮した平面計画
タイプC
6.0m
・構造用合板と耐火被覆材のせっこうボードの端材を
減らすため、またこのケーススタディは比較的小規
模の公共建築物であり、地方において小規模の設計 基本モジュール
事務所及びゼネコンによる設計・施工を想定してい
0.91m
るため、住宅の延長線で可能な 0.91m を基本モジュ
ールとして計画
17
2.2
ケーススタディの部位別仕様設定
ケーススタディの各タイプの部位別仕様の違いは表 2.1-10 のとおり。周辺状況や法的制限、設
計趣旨、コスト等の観点から組合わせは、自由に考えられる。タイプCは、構造のコスト縮減を
優先し、内装は木材利用を優先している。また、コスト増要因となる仕様はオプション扱いとし
ている。
表 2.1–10 ケーススタディの部位別仕様
地下躯体
タイプA
タイプB
タイプC
立面混構造
1,200 ㎡
立面混構造
メンブレン
1 20 ㎡
メンブレン型
3,000 ㎡
3,000㎡
平面混構造
平面混構造
燃え止まり型
燃え止まり型
1,500 ㎡
1,500㎡
純木造
純木造
メンブレン
メンブレン型
布基礎
+ピット
布基礎
+ピット
布基礎
+ピット
集成材
特注材
集成材
特注材
集成材
一般流通材
(120×450以下)
地上躯体
製 材
スパン
6m以下
屋根
製 材
スパン
6m以下
勾配屋根
外壁
窯業系
サイディング
外部開口部
アルミ製建具
ガラス
陸屋根
金属製
サンドイッチ
パネル
陸屋根
窯業系
サイディング
アルミ製建具
アルミ製建具
シングルガラス
シングルガラス
シングルガラス
庇
ライトシェルフ
ライトシェルフ
屋上緑化
屋上緑化
太陽光発電
太陽光発電
外部オプション
太陽光発電
壁(腰壁)
の木質化
内部仕上げ
壁(腰壁)
の木質化
床の木質化
(待合)
床の木質化(合)
壁(腰壁)
の木質化
天井の木質化
(ホール)
空調方式
天井吹出し
床吹出し
タイプA
タイプB
18
天井吹出し
タイプC
2.3
ケーススタディ
ケーススタディのA、B、Cの施設概要、構造計画、設備計画、設計図を示す。
なお、実際の事業で図面に記載されている認定仕様を、実際の事業で使用するに当たっては、認
定を受けたものが行う講習会等を受ける必要がある場合があるので、確認されたい。
2.3.1 タイプA
2.3.1.1 施設概要
1階が鉄骨造、2、3階が木造(メンブレン型)の立面混構造、延ベ面積 1,200 ㎡タイプの
事務所用途の耐火建築物。
【外観パース】
図 2.3–1 外観
19
2.3.1.2 構造計画の検討
(1) 構造概要
立面混構造3階建て
1階
:鉄骨ラーメン構造
2、3階:木造軸組構造
構造計算ルート2
(2) 構造計画
(a) スパン及び水平抵抗要素の配置計画
・1階はX方向4スパン、Y方向2スパンとし、おおむね均等にスパンを割付ける。
・2、3階は、階段室を含む領域をサイドコアとして扱い、その周囲に耐力壁を集中
的に配置する。
・概算地震力と必要壁長は表 2.3-1 のとおりである。
表 2.3-1 概算地震力と必要壁量
階数
概算地震力
(kN)
必要壁長
(m)
3
400
20
2
750
40
1
1,100
*1
80 *2
*1:必要壁長は、耐力壁の耐力を壁倍率に換算して 13 倍相当として算定し、負担せ
ん断力のばらつきに対応するため 1.2 倍程度の余裕を見込んだ値としている。
*2:鉄骨柱1本当たりの平均負担せん断力(kN/本)を示す。
20
①2、3階 耐力壁の配置計画(X方向)
外通り
(北側)
東
コア
内部耐力壁
配置領域
西コア
外通り
(南側)
27m
<凡例>
:耐力壁を線分長の半分程度
配置する耐力壁配置線
図 2.3-2 2、3階 耐力壁の配置計画(X方向)
[2階]必要壁長 40m
・東コア周囲と内部の窓、建具、扉等の必要開口以外の部分、及び東西コアを
除く南北両外りの約半分の長さを耐力壁として約 27m確保する。
・残りの必要耐力壁長約 13mを東西コア以外の外周に面しない内部耐力壁配置
領域に、偏心率が大きくならないようにできるだけ中央から等しい距離に均
等に配置する。
[3階]必要壁長 20m
・東西コア周囲と内部の窓、建具、扉等の必要開口以外の部分、及び東西コア
を除く南北両外通りの約半分の長さを耐力壁として約 27m確保する。
・合計長さ約 10mの耐力壁を東西コア以外の外周に面しない内部耐力壁配置領
域に、床面の負担軽減のため中央付近に配置する。
21
②2、3階 耐力壁の配置計画(Y方向)
東
コア
15.3m
西コア
内部耐力壁
配置領域
<凡例>
:耐力壁を線分長の半分程度
配置する耐力壁配置線
図 2.3-3
2、3階 耐力壁の配置計画(Y方向)
[2階]必要壁長 40m
・東西コア周囲と内部の窓、建具、扉等の必要開口以外の部分を耐力壁とし
て確保する。
・床水平構面の負担軽減のため、合計長さ 10m程度の耐力壁を東西コア以
外の外周に面しない内部耐力壁配置領域に配置する。
[3階]必要壁長 20m
・東西コア周囲と内部の窓、建具、扉等の必要開口以外の部分を耐力壁とし
て確保する。
・屋根水平構面の負担軽減のため、合計長さ5m程度の耐力壁を東西コア以
外の外周に面しない内部耐力壁配置領域に配置する。
22
(b)剛性率
‚ 構造計算ルート2で剛性率を 0.6 以上としなければならないため、鉄骨部分は剛性が低
く抑えられるラーメン構造とする。
‚ 冷間成形角型鋼管柱を用いる場合は、昭和 55 年建告第 1791 号の規定により、1階柱頭
の全塑性モーメントが接合するはりの全塑性モーメントの和の 1.5 倍以上必要であるた
め、鉄骨架構の剛性が木造部分の剛性に対して過大になる傾向がある。そのため、柱脚
又は柱頭の接合形式(ピン、半剛又は剛)を組合わせて調整するか、H形鋼柱として強
軸と弱軸を組み合わせることにより調整する。
‚ ただし、丸形鋼管、熱間成形材等を用いる場合には、同告示の冷間成形角型鋼管柱の規
定は適用されない。
(c)高耐力壁
‚ 木造部分には、2階の必要壁長が多いため壁倍率に換算して7倍相当を超える高耐力(実
績のある両面 13 倍相当)の耐力壁(「木造軸組工法の許容応力度設計
2008 年版」日本
住宅・木材技術センターによる詳細計算法により耐力を算定する)を用い「β割増」を
1.0 として設計する。ただし、高耐力壁を用いるに当たり、耐力壁周辺の各部が耐力壁の
終局耐力に達しても破断、破壊等しないことを確認する。
‚
柱の水平荷重時軸力が大きくなるため、柱及び接合金物の選択にも注意する。
(d)鉄骨ばり
‚ 木造部分の鉛直構面の耐力壁が終局応力に達するときに受ける偶力に対して、全塑性モ
ーメント以下であることを確認する。
23
(3) 仮定断面等
(a)断面決定要因の概要
・層が多く、建物重量が大きくなるため地震力が大きくなり、必要壁長が多くなる。
・水平抵抗要素が高耐力壁であることにより、木造部分の柱断面が短期荷重(圧縮、引き
抜き)で決まる。
・2、3階柱は荷重が大きいため、製材を用いるのは困難である。合わせ柱とする場合、
等価な断面2次半径を大きくするために、ある程度一体化を図る必要がある。
(b)仮定断面等
表 2.3-2 耐力壁の仮定断面等
部位
耐力壁
仮定断面等
耐力壁長の概略
必要
壁長
(m)
X
壁長
(m)
X
充足率
Y
壁長
(m)
Y
充足率
400
20
49.5
2.80
50.6
2.53
2
750
40
51.0
1.27
55.7
1.39
1
1,100
―
―
―
―
―
階
地震力
(kN)
3
必要壁長=地震力/壁耐力
充足率=壁長/必要壁長
構造用合板 24mm 片面
(6.5 倍相当)
CN75-@75
両面張り(13 倍相当)
両端を柱に支持されないことによる剛性低下、偏心に伴うね
じれ及び個々の耐力壁の負担せん断力のばらつきの影響によ
り、充足率は本表の値より減少するため、あらかじめ 1.2 倍以
上の余裕を見込む。
3階は2階柱脚の引抜力が許容耐力を超えないようある程度
余裕を見込む。
24
表 2.3-3 柱の仮定断面等
柱
柱断面と軸力の概略
木柱
杉乙種2級相当
Fc=20.4N/㎜ 2
階、位置
断面
(mm)
引抜
力
(kN)
荷重
分類
軸力
(kN)
許容
軸力
(kN)
長期
25
55
短期
90
100
長期
60
110
短期
60
200
長期
120
160
短期
120
300
長期
85
99
短期
180
180
長期
45
55
短期
100
100
80
―
―
―
―
鉄骨柱
SHC400
黄着色部分は耐力壁
を示す。
3F(壁端)
150 角
赤線は柱位置を示す
3F(独立)
70
180 角
2F(独立)
0
200 角
2F(壁端)
150×
270
2F(一般)
0
110
150 角
1F
□450
壁端:耐力壁端部にある柱
独立:耐力壁に関わらない独立柱
一般:上記以外の柱
25
(4)座屈長さについて
柱頭及び柱脚の軸力が異なる場合の座屈長さ Lk は材長Lに対し、Lk=L×(0.75+0.25
×N2/N1) ただし、N1>N2、圧縮を正とする。
(木質構造設計規準 503.2 単一圧縮材(4)座屈長さ(c)(iv)の規定による。
)
耐力壁端部の圧縮側柱は、材軸方向(柱縦方向)に並ぶ釘を介し、順次合板より力を受
け、軸力は柱脚部に向かって順次増加し、柱頭及び柱脚で軸力が異なる。水平荷重時で耐
力壁の転倒に抵抗する引抜反力よりも長期荷重が小さい時、柱頭で負の柱脚で正の軸力と
なり、座屈長さ Lk が材長Lの 0.75 倍よりも小さくなる場合がある。
N2
上部梁からの反力
(引張力)
L
N1
軸力
図 2.3-4 座屈長さの考え方
26
脚部の反力
(圧縮力)
表 2.3–4 仮定断面等
部位
仮定断面等
はり
はり断面
スパン
部位等
木製ばり
材料
7,200mm
事務室上
H
5,600mm
大会議室上
小会議室上
B
集成材
E85-F300
4,200mm
書庫上
鉄骨ばり
SN400B
H
振動数
(Hz)
700×210
9.5
510×210
9.4
420×120
3,600m
サーバー室
3,600mm
未満
杉製材
甲種2級
2階床
SN400B
B
断面
(H×B)
270×120
小スパンに
つき省略
210×120
500×200
―
5mを超えるスパンの部材は、振動数を考慮して断面を決
定した。
(5)見通し
(a)剛性率
・木造部分の耐力壁の許容耐力時の変形角が 1/245 であり、剛性低下することを考慮し
1/200 を目標とする。
・鉄骨部分は、柱頭柱脚接合部の調整により 1/300 を目標とする。
表 2.3-5 層間変形角と剛性率
階数
目標とする層間変形角
剛性率
3
1/200
0.88
2
1/200
0.88
1
1/300
1.33
(b)高耐力壁を適用するための検討
・面材は厚さ 24mm、釘は CN75 をそれぞれ使用することにより、釘頭抜けは生じない。
・はしあきは面材については 10mm 以上、軸材については 40mm 以上それぞれ確保しており、
はしあき不足による割れや割裂は生じない。
・軸材は小径 105mm 以上、釘間隔は 75mm としており、釘群のせん断力による軸材の曲げ
変形の影響は小さい。
・合板厚 24mm×釘間隔 75mm/間柱間隔 450mm=4.0>2.4 より、面材が面外にせん断座屈
しない。
・合板厚 24mm>12mm より、面材の変形成分が壁の変形成分の 30%以下となる。
27
(6)3階建て、2階建て及び4階建ての必要壁長の比較
4階建てでは壁量が多く必要になるため、3階建て又は2階建てとした場合にどの程度
の壁長が必要になるかを求めて比較をする。鉄骨部分の剛性は部材端部の接合方法により
調整するものとする。
また、3階建てにおいては、1階を鉄骨造とした混構造の場合に加え、全層木造とした
場合についても必要壁長(下表「木造3階建て」列)を求める。
(a)算定条件
・4階を除き、壁倍率換算 13 倍相当の高耐力壁を想定して必要壁長を求める。
・「木造3階建て」以外の場合は、1階が鉄骨造の混構造とした状態で求める。
・「木造3階建て」の場合は、書庫は1階に配置(混構造の場合はデッキ床とした2階に
配置)する。
・混構造である「木造3階建て」の列「1階」には、2階に書庫を配置した場合に1階の
必要壁長(高耐力壁の場合)をかっこ書きにて示す。
(b)算定結果
算定結果は、次表のとおりである。
・3階建て以下の場合、4階建てに比べ必要壁長は大きく減少する。
・剛性率の調整がより容易な木造の方が、混構造よりも設計工数が少なく有利である。
・建物高さを 13m以下にした場合、サイディングが使用できるため、外壁仕様の選択の自
由度が広がる。
・3階建てにおいて、高さ 13m以下とするためには、鉄骨部分ではりせいを押さえやすい
混構造の方が、木造3階建てよりも有利となる。
・1階を鉄骨造とした混構造の方が書庫の配置の自由度は高い。
表 2.3-6 必要壁長の比較
必要壁長(m)
対象階
4階建て
3階建て
2階建て
木造3階建て
4階
17.1
―
―
―
3階
33.7
15.5
―
14.3
2階
46.1
30.4
13.4
27.4
1階
―
―
―
33.8(45.2)
28
(7)検討結果の概要
(a)2階 耐力壁び柱の配置
階 段室 ( 1)
待合
ス ペー ス
( 上部 吹 抜)
会 議室
倉庫
書庫
EV
E Vホ ール
W C (多 )
湯沸
室
階 段室 ( 2)
事 務室
W C (M )
W C (W )
高耐力壁
柱 150×270
柱 200×200
柱 150×150
図 2.3-5 2階 耐力壁及び柱の配置
(b)3階 耐力壁及び柱の配置
階 段室 ( 1)
吹抜
上 級室
サ ーバ ー室
EV
E Vホ ール
W C (多 )
廊下
湯沸
室
事 務室
W C (M )
W C (W )
高耐力壁
柱 180×180
柱 150×150
図 2.3-6 3階 耐力壁及び柱の配置
29
階 段室 ( 2)
(c)必要壁長
負担せん断力のばらつきが大きく、壁長の余裕に対し、充足率の余裕が小さい結果とな
った。
表 2.3-7 必要壁量
地震力
階数
(kN)
必要壁長
(m)
X壁長
(m)
X充足率
Y壁長
(m)
Y充足率
3
400
20
49.5
1.75
50.6
1.94
2
750
40
51.0
1.14
55.7
1.09
1
1,100
―
―
―
―
―
必要壁長=地震力/壁耐力
充足率=壁耐力/負担せん断力
(≠配置壁長/必要壁長)
(d)偏心率
構造計算ルート2であるため、偏心率を 0.15 以下としなければならない。
結果は下表 2.3-8 のとおりである。
表 2.3-8 偏心率
方向
X
Y
偏心距離
偏心距離
偏心率
偏心率
階数
(m)
(m)
3
0.47
0.09
0.88
0.04
2
0.49
0.05
0.43
0.05
1
0.53
0.07
0.74
0.05
(e)剛性率
構造計算ルート2であるため、剛性率を 0.6 以上としなければならない。
結果は下表 2.3-9 のとおりである。
表 2.3-9 剛性率
方向
X
階数
層間変形角
Y
剛性率
層間変形角
剛性率
3
1/363 rad.
0.96
1/452 rad.
1.14
2
1/278 rad.
0.74
1/282 rad.
0.71
1
1/489 rad.
1.30
1/457 rad.
1.15
(f)断面等
柱断面は下表 2.3-10 のとおりである。
表 2.3-10 断面等
階数
3
2
断面
配置
長期軸力
(kN)
短期軸力
(kN)
引抜力
(kN)
180×180
内部独立柱
60
-
-
150×150
一般部
25
90
70
200×200
内部独立柱
120
-
-
150×270
一般部
85
180
110
150×150
一般部
45
100
80
30
2.3.1.3 設備計画の検討
設備計画の概要は、表 2.3–11 のとおりである。
表 2.3–11 設備概要
タイプA
建物タイプ
設備概要
特徴
階数
地上3階
1階鉄骨造+2、3階木造の立面混構造
延べ面積
約1,240㎡
事務室照度(LX)
750
照明器具形式
Hf型埋込ルーバ(L5)付き蛍光灯
配線方式
電線管
事務室コンセント数(個/㎡)
1個/8㎥
照明設備
コンセン
ト
設備
非常用照明設備
電池内蔵
受電電圧(V)
6,000
一般負荷
受電容量(kVA)
192(0.12×1,600)
局部空気調和
-
その他
7(エレベーター)
受変電
設備
配電盤形式
キュービクル
操作方法
手動式
変圧器種類
油入
自家発電設備(KVA)
-
太陽光発電設備(kW)
10
火災報知等設備
CP 型
防犯設備
電線管
電話用管路
電線管
電話交換機回線数
40
・1階鉄骨造部に電気室を設置
・木造の屋根上設置
設置面積80m2、重量1.2t(本体1t+架台0.2t)
警報設備
通信設備
電話交換
設備
電話設備
電話交換機種別
テレビ共同受信設備
電子ボタン電話機
UHF BS・110°CS
親時計精度
水晶式
親時計形式
壁掛け
電気時計設備
拡声設備
空気調和
・
換気設備
全館放送出力(W)
120
方式
マルチパッケージ形空調機+外気処理用
パッケージ形空調機
(室内機:天井カセット形)
系統数(系統)
マルチ 4系統
(各階系統、外気処理PAC共)
フィルター
折込み形(中性能)
空気調和
自動制御
省エネルギー対策
始動時外気取入制御
換気
給排風機系統
各階トイレ、湯沸室、更衣室等
上水
増圧直結給水方式
給水量
80㍑/人・日
給水
給排水
・
衛生設備
・給水ポンプは1階鉄骨造部の機械室に設置
衛生器具
給湯
エレベー
ター設備
トイレユニット対応
飲用給湯設備
電気式
方式
合流式
種別
機械室なし、交流可変電圧可変周波数制御
新バリアフリー対応
積載量(㎏)
900kg(13人乗)
速度(m/分)
45m/min
台数(台)
1台
排水
屋内消火栓
消火設備
・傾斜屋根のため、室外機は地上設置
・床上配管
-
乗用
・木造の内側に鉄骨柱4本、
シャフト内寸法 2,150×2,150mm
オーバーヘッド H=3,200mm
ピット深さ H=1,250mm
特徴:木造建築設計として配慮が必要な事項
31
2.3.1.4 設計図
(1)外部仕上表
外部仕上げは、表 2.3–12 のとおりである。
表 2.3–12 外部仕上表
32
(2)内部仕上表
内部仕上げは、表 2.3–13 のとおりである。
表 2.3–13 内部仕上表
33
34
35
36
2.3.2 タイプB
2.3.2.1 施設概要
4階建て(両端コア部分が鉄筋コンクリート造、中央部分が木造(燃え止まり型))の平面
混構造、延べ面積 3,000 ㎡タイプの事務所用途の耐火建築物。
【外観パース】
図 2.3–7 外観
37
【内観パース】
図 2.3–8 エントランスホール
図 2.3–9 事務室
38
2.3.2.2 構造計画の検討
(1)構造概要
平面混構造4階建て
両端コア:鉄筋コンクリート耐震壁付きラーメン構造
中央部:木質軸組構造
構造計算ルート
2
(2)構造計画
(a)地震力
・地震力はすべて両端コアで負担し、耐火集成材(燃え止まり型)は鉛直荷重のみ負担
する。
・中央部地震力は 150mm 厚のコンクリートスラブを介して両端コアに伝達する。
・両端コアの壁厚は 300mm 程度必要となる。
(b)大スパン部分の床振動
燃え止まり層及びコンクリートスラブを考慮して検討し、燃え止まり層を含め、コン
クリートスラブの剛性との単純和で評価した。
・心材のみの場合 6.6Hz
・燃え止まり層を含めた木断面の場合 8.4Hz
・燃え止まり層を含め、コンクリートスラブの剛性との単純和とした場合 8.6Hz
・燃え止まり層を含め、コンクリートスラブとの合成梁とした場合 16Hz
※木質構造設計規準・同解説(日本建築学会)に基づき算出。
(3)仮定断面等
(a)断面決定要因の概要
薬剤注入型の床構成
ラグスクリューボルト
150
85
コンクリートスラブ
900
耐火集成材心材
難燃処理層 60(75)
外装無処理層 10
85
70
450
70
図 2.3-10 床(薬剤注入型)の仮定断面
39
モルタル型の床構成
ラグスクリューボルト
150
コンクリートスラブ
900
耐火集成材心材
燃え止まり層 25
燃えしろ層 60
85
450
85
85
図 2.3-11 床(モルタル型)の仮定断面
表 2.3-14 柱・はりの心材断面等
部位
心材断面等
柱
階
H
心材
4
中通り
3
中通り
2
中通り
1
中通り
4
外通り
3
外通り
2
外通り
1
外通り
B
燃え止まり層
(薬剤注入型の場合、難燃処理層
及び外装無処理層をいい、モルタ
ル型の場合、燃え止まり層及び燃
えしろ層をいう。以下同様。)
薬剤注入型の心材は杉集成材、
モルタル型の心材はカラマツ集成
材。
算定値はカラマツ集成材による値。
梁
H
心材
B
燃え止まり層
心材断面
(H×B)
長期軸力
(kN)
許容軸力
(kN)
300
300×450
750
650
1,000
550×450
1,670
1,350
170
300×450
750
380
590
450×450
1,350
800
スパン
(mm)
心材断面
(H×B)
振動数
(心材のみ)
9,000
900×450
6.6Hz
振動数については燃え止まり層の材料特性及び
コンクリートスラブとの接合特性に基づく詳細な
検討が必要である。
薬剤注入型は心材断面を 210×530 以上とする認
定を、モルタル型は心材断面を 300×100~1,050×
450 とする認定をそれぞれ取得している。
今回の設定断面はいずれの認定範囲にも含まれ
ている。
40
(b)桁行方向の梁を配置せずに9m×3.6mスパンとした場合と、桁行方向梁を配置して9
m×6mスパンとした場合の柱断面の比較
表 2.3-15 柱・はりの心材断面等
部位
柱 (9m×3.6mスパン)
H
心材
仮定断面等
階
4
中通り
3
中通り
B
燃え止まり層
2
中通り
1
中通り
4
外通り
3
外通り
2
外通り
1
外通り
柱
(9m×6mスパン)
階
H
心材
B
燃え止まり層
4
中通り
3
中通り
2
中通り
1
中通り
4
外通り
3
外通り
2
外通り
1
外通り
41
心材断面
(H×B)
長期軸力
(kN)
許容軸力
(kN)
420
450×450
1,350
900
1,380
650×450
1,950
1,860
160
300×450
750
360
560
450×450
1,350
760
心材断面
(H×B)
長期軸力
(kN)
許容軸力
(kN)
700
550×450
1,650
1,500
2,300
950×500
3,200
3,100
270
300×450
750
600
950
450×450
1,350
1,270
(c)桁行方向の梁を配置せずに9m×3.6mスパンとした場合と桁行方向梁を配置して9
m×6mスパンとした場合の耐火集成材の部材数及び材積の比較
表 2.3-16 耐火集成材の部材数及び材積の比較
部材数(本)
材積(m3)
燃え止まり層含む。
直交梁なし
9m×3.6mスパン
85
335
直交梁あり
9m×6mスパン
119
490
柱は2層通し柱として計上
9m×3.6mスパン
450×900
450×450
3.6m
3.6m
3.6m
3.6m
3.6m
3.6m
9.0m
450×650
8.0m
450×450
3.6m
図 2.3-12 9m×3.6mスパンとした場合
9m×6mスパン
450×450
8.0m
450×900
450×450
6m
6m
6m
6m
図 2.3-13 9m×3.6mスパンとした場合
42
9.0m
500×950
(4)検討結果の概要
(a)偏心率
構造計算ルート2であるため、偏心率を 0.15 以下としなければならない。
検討結果は下表 2.3-17 のとおりである。
表 2.3-17 偏心率
方向
X
Y
偏心距離
(m)
偏心率
偏心距離
(m)
偏心率
4
1.04
0.04
0.91
0.05
3
0.78
0.04
0.51
0.03
2
0.63
0.03
0.59
0.03
1
0.70
0.03
1.52
0.08
階数
(b)剛性率
構造計算ルート2であるため、剛性率を 0.6 以上としなければならない。
検討結果は下表 2.3-18 のとおりである。
表 2.3-18 剛性率
方向
階数
X
Y
層間変形角
剛性率
層間変形角
剛性率
4
1/5,796 rad.
0.95
1/10,105 rad.
1.18
3
1/5,479 rad.
0.90
1/7,921 rad.
0.93
2
1/6,062 rad.
1.00
1/8,668 rad.
1.01
1
1/7,028 rad.
1.15
1/7,497 rad.
0.88
43
2.3.2.3 設備計画の検討
設備計画の概要は、表 2.3–19 のとおりである。
表 2.3-19 設備概要
階数
地上4階
延べ面積
約2,900㎡
事務室照度(LX)
コア部鉄筋コンクリート造、
その他が木造の4階平面混構造
750
照明設備
照明器具形式
コンセント
設備
Hf型埋込ルーバ(L5)付き蛍光灯
配線方式
電線管
事務室コンセント数(個/㎡)
1個/8㎥
・大部屋照明器具は、上部から吊り下げ
・(*注)はり現しのためはりと直角方向の
配線ルートの確保が必要
(*注)
非常用照明設備
電源別置
受電電圧(V)
受電容量(kVA)
6,000
一般負荷
318(0.12×2,900)
局部空気調和
-
その他
7(エレベーター)
受変電
設備
配電盤形式
キュービクル
操作方法
手動式
変圧器種類
油入
自家発電設備(KVA)
17.5
太陽光発電設備(kW)
10
火災報知等設備
・1階鉄筋コンクリート造部の電気室に設置
・1階鉄筋コンクリート造部に発電機室を設置
・屋内消火栓の非常用電源
・燃料は小出槽で対応
・鉄筋コンクリート造部の屋上に設置
設置面積80㎡、重量3t(本体1t+架台2t)
CP 型
(*注)
(*注)
警報設備
通信設備
・
電話交換
設備
電話設備
防犯設備
電線管
電話用管路
電線管
電話交換機回線数
75
電話交換機種別
テレビ共同受信設備
(*注)
電子ボタン電話機
UHF BS・110°CS
親時計精度
水晶式
親時計形式
壁掛け
全館放送出力(W)
240
(*注)
電気時計設備
拡声設備
(*注)
方式
空気調和
空気調和
・
換気設備
系統数(系統)
(*注)
マルチパッケージ形空調機+外気処理用
パッケージ形空調機
・室外機はRC造部の屋上に設置
(室内機 大部屋:床吹形、小部屋:天井
・大部屋室内機は各階の屋内機置場に設置
露出形)
・OAダクトと小部屋冷媒管の横引きは、
廊下下り天井を利用
・大部屋は床吹対応のOA床(H=有効200mm)
マルチ 4系統
(各階系統、外気処理PAC共)
フィルター
折込み形(中性能)
自動制御
省エネルギー対策
始動時外気取入制御
換気
給排風機系統
各階トイレ、湯沸室、更衣室等
上水
増圧直結給水方式
給水量
80㍑/人・日
(*注)
給水
給排水
・
衛生設備
衛生器具
従来工法
給湯
飲用給湯設備
電気式
排水
方式
合流式
・便所は鉄筋コンクリート造部に設置
・4階の床面積が600㎡以上となる場合に必要
水源(ピット)、消火ポンプ、消火栓箱各
・消火ポンプは1階RC造部の機械室に設置、
階2個(背面耐火)
水源はピット
屋内消火栓
消火設備
エレベー
ター設備
・給水ポンプは1階RC造部の機械室に設置
種別
機械室なし、交流可変電圧可変周波数制御
新バリアフリー対応
積載量(㎏)
900kg(13人乗)
速度(m/分)
45m/min
乗用
台数(台)
シャフト寸法 2,150×2,150mm
オーバーヘッド H=3,200mm
ピット深さ H=1,350mm
1台
44
特徴:木造建築設計として配慮が必要な事項
(*注)梁現しのため、梁と直角方向の配線ルートの確保が必要
(2)空調方式の検討
空調方式は木のはりを現しとするため、事務室は空調機がなく天井がきれいに見える
床吹出し方式、会議室の小割りの部屋は個別に制御可能な天井吹出し方式を採用する。
タイプA、Cは木造(メンブレン型)で照明等の天井設備を設置するため、開口制限上、
2重天井とすることから空調機も一緒に2重天井内に納める。
表 2.3–20
空調方式の比較
はりを隠す
はりを見せる
天井吹出し方式
床吹出し方式
壁吹出し方式
天井吹出し方式
空調システム
特 徴
・冷媒管及びドレン管 ・2重床内をチャン ・下がり天井が必要 ・冷媒管及びドレン
が上階の2重床内
バーとして使用す
となるが、空調機
管は同一階を通る
を通るため、部分改
るため、気密性が
はふところ内に隠
ため、改修が容易
修を行う場合は手
必要となる。
ぺいされる。
である。
間がかかる
・従来の OA フロア床 ・ダクト接続をした ・空調機及び配管は
・空調機及び配管が一
H=100mm に対し、床
場合は、空調機の
隠ぺいされ見栄え
部露出となり見栄
吹き出し方式の場
設置位置の自由度
が良い。
えが劣る。
合 H=200mm が必要
が大きい。
・空調機器スペース、 ・到達距離に制限が
及び床の防塵塗装
あるため、部屋の
が必要
奥行が長い場合な
どは、2面からの
吹出しが必要とな
る場合がある。
タイプB
タイプB
タイプC
個別に制御する必
要があるため会議
室に採用
木質はりの天井をき
れいに見せるため事
務室に採用
2重天井内に
45
納める
2.3.1.4 設計図
(1)外部仕上表
外部仕上げは、表 2.3–21 のとおりである。
表 2.3–21 外部仕上表
46
(2)内部仕上表
内部仕上げは、表 2.3–22 のとおりである。
表 2.3–22 内部仕上表
47
48
49
2.3.3
タイプC
2.3.3.1 施設概要
3階建ての木造(メンブレン型)、延べ面積 1,500 ㎡タイプの事務所用途の耐火建築物。
【外観パース】
50
51
2.3.3 タイプ C
2.3.3.1 施設概要
3階建ての木造(メンブレン型)、延べ面積 1,500 ㎡タイプの事務所用途の耐火建築物。
【外観パース】
図 2.3–14 外観
【内観パース】
【内観パース】
図 2.3–15 事務室
52
2.3.3.2 構造計画の検討
(1)構造概要
木造軸組構法3階建て
構造計算ルート2
(2)構造計画
(a)主要構造部材の部材断面
・プレカット工場で製作された住宅向けの一般流通部材を利用することでコストに配慮
した。
・主要構造部材に用いる平角の製材は、原則として、長さ6m以下で幅 120mm×せい 240mm
以下を使用する(ただし、事務スペースにおける独立柱は除く)。
・主要構造部材に用いる集成材は、原則として、長さ6m以下で幅 120mm×せい 450mm
以下の中断面集成材を使用する。
(b)水平抵抗要素の配置計画
・水平抵抗要素には、事務所空間のフレキシビリティを確保するため、高耐力壁(実績
のある構造用合板壁)を積極的に採用する。
・耐力壁は、1~3階ともに、外壁及び階段室を含むサイドコアに優先的に配置する。
・概算地震力と必要壁長は、表 2.3 - 23 の通りである。
表 2.3-23 概算地震力と必要壁量
階数
地震力
(kN)
必要壁長
(m)
3
550
52
2
980
46
1
1,260
59
*1
*2
*1:必要壁長は、耐力壁の壁倍率を 13 倍相当として算定し、負担せん断力のばらつ
きに対応するため 1.2 倍程度の余裕を見込んだ値としている。
*2:3 階の必要壁長は、耐力壁の壁倍率を 6.5 倍相当として算定している。また、必
要壁長は設備荷重 0.5kN/m2 を見込んで算定した。
*3:タイプ A の各階床面積 413m2 に対して、タイプ C の各階床面積 503m2 であるため
必要壁長は 1.2 倍程度となる。
53
<壁量充足率>
X 方向:55.0/52.0=1.05
Y 方向:57.0/52.0=1.09
3階平面図
<壁量充足率>
X 方向:55.0/46.0=1.19
Y 方向:57.0/46.0=1.23
2階平面図
<壁量充足率>
X 方向:61.0/59.0=1.03
Y 方向:65.0/59.0=1.10
1階平面図
<耐力壁>
:高耐力壁(6.5 倍相当)
:高耐力壁(13.0 倍相当)
図 2.3-16 各階耐力壁の配置図
54
(c)高耐力壁
・耐火被覆材の重量増加により必要壁長が多くなるため、壁倍率7倍相当を超える高耐
力(実績のある両面 13 倍相当)の合板耐力壁(「木造軸組工法の許容応力度設計 2008
年版」日本住宅・木材技術センターによる詳細計算法により耐力を算定する)を用い
「β割増」を 1.0 として設計する。
・柱の水平荷重時軸力が大きくなるため、柱及び接合金物の選択にも注意する。
(d)ウォールガーダー
・腰壁をウォールガーダーとして設計し、境界ばりによる曲げ戻し効果により、柱頭・
柱脚の引張力低減を期待する。さらに、腰壁受け材による柱の座屈拘束効果により柱
の座屈耐力を増加させる。
・耐力壁を筋かい置換モデルにより検討する場合、腰
壁レベルで分割した2段部筋かいに置換する方法
等が必要となる。
・柱と腰壁受け材の接合部には市販のホールダウン
(HD)金物(15kN 用、30kN 用)により引き抜き防
止を図る。
図 2.3-17 2段筋かい置換モデル
柱座屈長さ
<腰壁なし>
境界ばりによる
曲げ戻しモーメント
柱座屈長さ
の低減
柱軸力の低減
<腰壁あり>
図 2.3-18
ウォールガーダーによる効果
55
(3)仮定断面等
(a)断面決定要因の概要
耐火被覆材による重量増加に伴い地震力が大きくなり、必要壁長が多くなる。(一般
的に、通常の木造建物に対して 1.5 倍~2.0 倍程度の固定荷重増加)
耐力壁が高耐力であることにより、耐力壁の取り付く柱断面が短期荷重(圧縮、引き
抜き)で決まる。
(b)耐力壁の仮定断面
高耐力壁の仮定断面は、図 2.3-19 の通りである。
面材張り大壁の詳細計算法による計算結果を表 2.3-24 に示す。計算では片面張りで
7.03 倍相当となるが、設計では余力を確保するため 6.5 倍相当として扱う。両面張りで
13.0 倍相当となる。
図 2.3-19 耐力壁の仮定断面
表 2.3-24 耐力壁の計算例
<面材 諸条件>
項目
上/下
記号
単位
階高
H
cm
耐力壁 長さ
B
cm
面材 短辺長さ
b
cm
上側
面材 長辺長さ
h
cm
面材 短辺長さ
b
cm
下側
面材 長辺長さ
h
cm
面材厚
t
cm
GB
面材せん断弾性係数
N/cm2
<面材釘 1面せん断データ>
項目
上/下
記号
単位
面材釘のせん断剛性
k
N/cm
面材釘の降伏変位
δv
cm
面材釘の終局変位
δu
cm
面材釘の降伏耐力
⊿Pv
N
<釘配列諸定数>
項目
上/下
記号
単位
釘配列2次モーメント
Ixy
cm2/cm2
上側
釘配列係数
Zxy
cm/cm2
塑性釘配列係数の比
Cxy
釘配列2次モーメント
Ixy
cm2/cm2
下側
釘配列係数
Zxy
cm/cm2
塑性釘配列係数の比
Cxy
<許容せん断耐力の計算>
項目
上/下
記号
単位
面材剛体仮定条件(面材変形が全体変形の0.3以下)
K0
回転剛性
N・cm/rad
K0/150
1/150rad時のモーメント
N・cm
降伏モーメント
My
N・cm
終局モーメント
Mu
N・cm
面材壁の靭性率
μ
構造特性係数
Ds
↓
P1/150
1/150rad時の耐力
kN
降伏耐力
Py
kN
終局耐力と靭性で決まる耐力
0.2Pu/Ds
kN
↓ Pa=min{P1/150、Py、0.2Pu/Ds}
部位
耐力壁
h 上側
(
)
H
h 下側
(
)
B
構造用合板 24mm 片面
(6.5 倍相当) CN75-@100
1,2階は両面張り
(13 倍相当)
3階は片面張り
(6.5 倍相当)
許容せん断耐力
単位長さ当たりの許容せん断耐力
相当壁倍率
56
Pa
Pa
kN
kN/m
値
395
91
91
273
91
91
2.4
39200
値
10130
0.18
2.14
1850
値
4.064
0.095
1.062
2.899
0.092
1.101
値
0.30
896741584
5978277
5755154
6165035
8.57
0.25
15.13
14.57
12.54
12.54
13.78
7.03
(4)引張力について
・耐力壁の耐力に応じて大きな引抜力に抵抗する補強金物として、耐力の高いタイダウ
ン金物や比較的施工が容易な引きボルト接合等を採用する。
・タイダウン金物の使用に際しては、建築主事によっては評価等を求められる場合があ
るが、補強金物としての実績はある。
・タイダウン金物は耐力壁上部を固定し、耐力は最大 280kN のものまで市販されている。
タイダウン金物を構成する部材サイズ等は構造計算に基づいて選択する。なお、実験
により性能を確認しているが認定は取得していない。
・引きボルト接合は、比較的施工が容易でありながら、100kN を超える耐力を確保した
接合が可能である。各部の納まりについては構造計算により決定する。
・ホールダウン(HD)金物は柱脚部を固定し、耐力は告示されたものでは 25kN が最大
で、認定を取得した市販のものには 35kN、50kN、100kN 等がある。
図 2.3-20 引きボルト接合例(100kN 超)
図 2.3–21 タイダウン金物(~280kN 程度)
図 2.3-22 HD 金物例(50kN 級)
図 2.3-23 HD 金物例(100kN 級)
57
(5)柱リスト
C1
C2
C3
3階平面図
C2
C3
2階平面図
C1
C2
C3
1階平面図
図 2.3-24 柱リスト
表 2.3-20 柱リスト
柱リスト
通し柱/管柱
集成材/製材
強度等級
BD[mm]
3F
2F
1F
C1
通し柱
集成材
E105-F300
B
D
120
270
120
270
120
270
C2
管柱
製材(スギ)
-
B
D
120
210
120
240
120
270
C3
通し柱
集成材
E105-F300
B
D
150
150
180
180
180
180
C4
管柱
製材(スギ)
-
B
D
120
120
120
120
120
120
C4:耐力壁内部に 910mm~1000mm 間隔で設置
58
(6)大梁・小梁リスト
R 階平面図
B1
G1
B2
G2
3階平面図
2階平面図
図.2.3-25 大梁・小梁リスト
表 2.3-21 大梁・小梁リスト
大梁リスト
集成材/製材
強度等級
BD[mm]
RF
3F
2F
G1
集成材
E105-F300
B
D
120
450
120
450
120
450
G2
製材(スギ)
-
B
D
120
300
120
300
120
300
59
小梁リスト
集成材/製材
強度等級
BD[mm]
RF
3F
2F
B1
集成材
E105-F300
B
D
120
450
120
450
120
450
B2
製材(スギ)
-
B
D
120
300
120
300
120
300
(7)必要金物耐力
耐力壁が短期許容せん断耐力に達する場合に生じる短期軸力に応じて必要金物を選
定する。
:引きボルト接合 又は タイダウン金物
:100kN 級 HD 金物 又は 50kN 級 HD 金物×2
:35kN 級 HD 金物×2
:35kN 級 HD 金物
通し柱の
ため不要
<X 方向>
通し柱の
ため不要
<Y 方向>
図 2.3-26 必要金物耐力
60
2.3.3.3 設備計画の検討
設備計画の概要は、表 2.3–23 のとおりである。
表 2.3–22 設備概要
タイプC
建物タイプ
設備概要
特徴
階数
地上3階
木造3階建て
延べ面積
約1,500㎡
事務室照度(LX)
750
照明器具形式
Hf型埋込ルーバ(L5)付き蛍光灯
配線方式
電線管
事務室コンセント数(個/㎡)
1個/8㎥
照明設備
コンセント
設備
非常用照明設備
電池内蔵
受電電圧(V)
受電容量(kVA)
6,000
一般負荷
192(0.12×1,600)
局部空気調和
-
その他
7(エレベーター)
受変電
設備
配電盤形式
キュービクル
操作方法
手動式
変圧器種類
油入
自家発電設備(KVA)
-
太陽光発電設備(kW)
10
火災報知等設備
CP 型
防犯設備
電線管
電話用管路
電線管
電話交換機回線数
40
・1階電気室設置
・屋上設置
設置面積80㎥、重量1.2t(本体1t+架台0.2t)
警報設備
通信設備
・
電話交換
設備
電話設備
電話交換機種別
テレビ共同受信設備
電子ボタン電話機
UHF BS・110°CS
親時計精度
水晶式
親時計形式
壁掛け
全館放送出力(W)
120
方式
マルチパッケージ形空調機+外気処理用
パッケージ形空調機
(室内機:天井カセット形)
電気時計設備
拡声設備
・室外機は屋上設置
空気調和
空気調和
・
換気設備
系統数(系統)
マルチ 4系統
(各階系統、外気処理PAC共)
フィルター
折込み形(中性能)
自動制御
省エネルギー対策
始動時外気取入制御
換気
給排風機系統
各階トイレ、湯沸室、更衣室等
上水
増圧直結給水方式
給水量
80㍑/人・日
給水
給排水
・
衛生設備
衛生器具
トイレユニット対応
給湯
飲用給湯設備
電気式
排水
方式
合流式
屋内消火栓
消火設備
エレベー
ター設備
・給水ポンプは1階機械室に設置
・床上配管
-
種別
機械室なし、交流可変電圧可変周波数制御
新バリアフリー対応
積載量(㎏)
900kg(13人乗)
速度(m/分)
45m/min
台数(台)
1台
乗用
61
・木構造の内側に鉄骨柱4本、
シャフト内寸法 2,150×2,150mm
オーバーヘッド H=3,200mm
ピット深さ H=1,250mm
特徴:木造建築設計として配慮が必要な事項
2.3.3.4 設計図
(1)外部仕上表
外部仕上げは、表 2.3–23 のとおりである。
表 2.3-23 外部仕上表
62
(2)内部仕上表
内部仕上げは、次表のとおりである。
表 2.3-24 内部仕上表
63
64
65
66
67
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