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ていねで 子育てっていいね!
特集 1 ていねで 子育てっていいね! 札幌市では2015年をピークに人口が減少すると見込まれていますが、手稲区は既に、一部の地区で人口が減少して きており、今後20年間で、札幌市全体と比較して2倍のスピードで人口減少が進む、最も少子化が顕著に進行する区と 言われています。 こうした中、親子がともに楽しみ、親同士が交流できるイベントを地域住民が企画し、子育て世代を支える取り組み が行われています。また、子育て世代の女性たち自らがネットワークをつくり、手稲のまちを盛り上げようとする動き や、 「絵本」 を切り口に20年にわたり子育て支援に関わる活動を続けている方など、 ユニークな活動が見られます。 ここでは2014年11月26日に開催されたイベント 「まるまるテイネプラス」 に携わった団体を紹介しながら、子育て 支援と地域のまちづくりのあり方を新たな視点で考えていきたいと思います。 クリスマスにちなん だ映画鑑賞や、サ ンタさんからプレゼ トがもらえる「ちび ン っ子クリスマス会」 (星置地区) ンの利用者がゲームを通じて交 地区内にある複数の子育てサロ 流会」 (富丘西宮の沢地区) 流する「子育てサロンふれあい交 糸繰り人形を間近で楽しめる、子どもたちに大好評の「 人 形劇~おたのしみ劇場ガウチョス」(手稲鉄北地 区) まるまるテイネ プラス 手稲区で行われている 子育て支援 イベントの例 11月26日「テイネハッシン」と 「にじいろnetwork」の共同主催イ ベントとして開催。物販、読み聞か せなどのブースが設けられ、会場 は大いに盛り上がった。 売 手作り雑貨やアクセサリーの販 ージ) ブース(詳細は3ペ 楽禅堂の中国茶の ちいさなえほんや ひだまりの読み聞かせブース (詳細は5ページ) 2 注)このインタビューは2014年12月に実施されたものです。 子育てママが連携して情報発信 手稲のまちづくりにも参加 晩秋、手稲駅近くのビルの一角では、女性や子どもたちの笑顔 があふれていました。 ここでは「まるまるテイネプラス」と題した販売系のイベントが開催 されていました。地域に根差した飲食店、小売店の経営者や、自宅で 開業される方々が、店を飛び出し、販売を通して地域の方々と交流で きる場を作りたいという思いから企画したイベントです。稲穂高等支援 学校の生徒たちも職業訓練の一環でお手伝いをしてくれました。参 加者の顔は誇らしげな充実感で輝いていました。それは、単にモノを 作ってお金を得るのではなく、人と人とのつながり、地域の一体感や 賑わいが生まれ、自己実現の機会を得られる場だったからではない でしょうか。 このイベントの中心的役割を果たした「テイネハッシン」の皆さんに もっと詳しくお話を聞いてみることにしました。 2012年7月、手稲に根差した飲食店や小売店などの経営者有志によっ て「手稲を盛り上げる会」 として発足。2013年「テイネハッシン」 に改称 した。 きっかけはコミュニティカフェ 手稲を盛り上げる会「テイネハッシン」 は、 2012年7月 から活動を始めました。前年に手稲前田で開店した「鍼 灸カフェ楽禅堂」 (以下「楽禅堂」 という。)の土肥さんと、 星置にあるフランス料理店Quatre Vents(キャトルヴァ ン)の廣中さんを中心に、カフェを訪れた女性たちが、 「もっと手稲を盛り上げたい」 「手稲の特産品を発信した い」 と意気投合したのがきっかけ。偶然にも、イラストデ ザインができる人、勤務先で営業や広報を手がける人、 保育士の資格がある人などが集まり、販売系イベント 「まるまるテイネ」の企画運営と、 「 ていねこそだてマッ プ」 作成を2本柱に活動を続けています。 ていねこそだてマップ 「ていねこそだてマップ」は、 2012年9月に1号が発行 され、現在まで3号発行されています。自然に溢れ、公園 も充実している手稲に移り住み、手稲区は子育てしやす いまちと感じた自身の経験をもとに、 「子育てするなら手 稲においで」 をコンセプトとし、子どもを連れて行きやす いお店などの情報を発信するために発行されました。掲 載店は必ず自分たちで見て決めるのがこだわりで、 デザ インも自ら行っています。その他トイレトレーニングや幼 稚園の入園準備のような、子育て中の悩みを特集した 番外編 ていねこそだてマップ 持ち運びしやすいよう手帳やお財布に入れやすいサイズ に仕上がっている 「ていねこそだてマップ」。最新号は2013 年12月発行の第3号。2014年は「トイレトレーニング」 「幼 児園入園準備」 を特集した番外編を発行した。 下記「まいぷれ手稲」のホームページからバックナンバー のダウンロードが可能。 まいぷれ手稲ホームページ http://teine-sapporo.mypl.net/kosodate_support/ 3 土肥 由佳さん 楽禅堂のカフェを担当する傍ら、廣中さんと 「手 稲を盛り上げる会」 を立ち上げた。 「テイネハッシンは、会員以外の多くの方々の協 力を得て活動が広がっています。楽禅堂のお客様 同士が交流する様子を見て、今後は多世代が交流 できる場所作りやイベントを企画し、地域を盛り上 げたいと思っています」。 「ていねこそだてマップ番外編」も合わせる と累計1万部発行というから驚きです。 「こ のマップが手稲区のお母さんたちのお財布 からいつも出てくるようになれば」 という夢 がかなう日も遠くない将来なのではと期待 させます。 鄭 あゆみさん 楽禅堂に来店し、 ていねこそだてマップを知って 以来ファンに。勤務先の自動車学校の託児室を利 用するママにマップを知ってもらいたいと思い、 マップ作成の手伝いを始め、主に広報を担当して いる。 「マップを利用し、子どもを連れておでかけを楽 しむママが増えると嬉しいです」。 そしてこれから テイネハッシンの活動を始めて約2年。規 約や代表のあり方などを見直していく過渡 期にあると土肥さんは言います。今後もゆ るやかなネットワークを維持し、イベントや 小林 舞さん 楽禅堂で開催された母親向けワークショップで 土肥さんと知り合い、ていねこそだてマップの作 成に携わる。元保育士で、現在ベビーシッターとし て働いている経験を活かし、 テイネハッシンのイベ ントでは託児室で保育関係のリーダーを担当。 「マップを配って、お母さんたちに喜んでもらえ たのがとても嬉しかったです」。 事業ごとに必要なスキルを持つ人材を集め ながら、楽しく子育てのできる手稲のまちづ くりをしていくことを目指します。 島田 はるかさん 鍼の施術のため楽禅堂に来店したのがきっかけ で、 まずカフェメニューのイラストを作成。好評につ き、ていねこそだてマップのデザイン担当となる。 テイネハッシンの制作物デザイナーとしてイベント ではポップ作成も手がける。 「楽禅堂に来て、 自分ができることを活かしてくれ る人に出会えて感謝しています」 。 鍼灸café 楽禅堂 ▲鍼灸師の土肥彰太郎さん(左) とテイネハッシンメンバー 鍼灸治療院とカフェという ユニークなスタイルで2011 年オープン。カフェメニュー には中国茶や点心などが揃 い 、店 内では鍼 灸 師 の 土肥 彰太郎さんによる健康相談 やワークショップも行われる。 地域住民が気軽に集えるコ ミュニティカフェでもある。 4 前田中央 小学校 石狩 手稲 通 休 ・祝・第三月曜日 住 札幌市手稲区前田9条10丁目3-6 ☎011-685-8828 日 □ □ 営 鍼灸 :月~金9:00~18:00・土9:00~13:00 カフェ:月~金11:30~15:00 □ ※鍼灸・カフェ完全予約制 楽禅堂 新川 前田 通 中央 通 ザ・ビッグエクスプレス 絵本を通して命の大切さを伝える 子育て支援も積極的に展開 「まるまるテイネプラス」の一角に設けられた「絵本コーナー」。 そこには、身ぶり手ぶりを交えながら、1冊1冊の絵本への思い を熱く語っている男性の姿がありました。 新発寒で「ちいさなえほんや ひだまり」を営む青田さんに、 絵本と子どもとの関わりについてお話を伺いました。 一軒家へのこだわり 「ちいさなえほんや ひだまり」 ( 以下「ひだまり」 とい う。)は、新発寒の閑静な住宅街にひっそりとあります。 「絵本を読むには、都会の騒々しい環境よりも、静かで 集中できる場所がいい。そうしたら、たまたま1軒家が 見つかってね」。ゆったりとした環境でじっくり絵本を選 んでほしいと、店内には交流スペースが設けられていま 青田 正徳さん す。 この場所に座りながら2~3時間絵本を読んでいく 15年勤務した後、1994年喫茶店の一角で「ちいさなえほんや お客さんもいて、 ときには青田さんが店内で読み聞か せをすることもあります。 1952年、遠軽町生まれ。高校卒業後、児童書販売代理店に勤務。 あ・うん」を開業。翌年「ちいさなえほんや ひだまり」と改称し、 1996年新発寒に店舗を移転。 新発寒に店を構えて18年、今では、 「 ひだまり」で本 を買ってもらった子どもが成長し、結婚して自分の子 どもを連れてくるなど、親子3代の常連さんもいるそ うです。 店を飛び出して 青田さんの活動は店内に留まりません。北海道新聞で の連載、コープさっぽろ 「えほんがトドック」の選書、講演 会活動など精力的に活動しています。対象も子育て世代 ばかりではなく、お孫さんを育てる 「イクジイ」や、高校生 など様々です。 店内にはドイツ製の シュタイナー教育の 木 製 玩 具や 人 形 な どもあり、お子さん 連れでもゆっくりと お気に入りの一冊を 探すことができる。 講演会に参加してくれた高校生から「自分で読んで 泣かなかった絵本であっても、人に読んでもらうと泣け る。耳から声として聴いているうちに、絵本の内容を想 像して自分だったらどのようにするだろう?と考えたり する」 という感想をもらったり、子育て中のお母さんか らは「積極的に読み聞かせをするようになり、時間の使 い方が変わった」 という話を聞いたりと、講演会活動で 絵本の素晴らしさを伝えられる手応えを感じているよう です。 ▲講演会の様子 5 イクジイへのメッセージ 青田さん自身4人のお孫さんがいる 「イクジイ」 で あり、お孫さんにも絵本の読み聞かせをしていま す。 「今になってこんな楽しみが残っていたという発 見があった」 と言うほど、孫育てを楽しんでいます。 「孫育ては遊びの延長くらいに考えてみるとよいと 思います。絵本を読んであげるだけで人気者になれ ますよ」。読み聞かせは、その子のペースに合わせて 生の声を届ける 「時間の贈り物」。子どもに愛情が伝 ▲店内で青田さんが読み聞かせをすることもある わり、読み手も幸せを感じられる時間です。 「ひだまり」青田さんのこれから 手稲区内では、小・中・高校で講演会を行ってお り、手稲中学校の広報部が取材に来ることもありま す。地元にとって貴重なお店である 「ひだまり」です が、青田さんの今の悩みは多忙のためお店を開けら れる日が少なく、店内で子育て全般に関わる活動を してみたいという希望がありながら、十分にできな いことだそうです。 喫茶店の一角からはじめ、青田さんが絵本専門店 を開業して20周年。今後は、30周年、40周年に向け て、さまざまな人がお店に集い、活動の輪がますま す広がっていくことを期待しています。 おすすめの絵本 青田さんのおススメはこの2冊。 「まめ」 (かがくのとも絵 本、平山和子著) と 「赤ちゃんのはなし」 ( 福音館のかがくの ほん、 マリー・ホール・エッツ著、坪井郁美訳)。 「まめ」 は豆を植えてからの成長過程から収穫の様子まで を描いたもの。読み聞かせをすると、子どもたちは笑いなが ら聞いています。 「赤ちゃんのはなし」は簡潔な文章と美しい絵で、赤ちゃ ん誕生の過程が描かれた絵本。正確な描写は大人も学ぶこ とが多くあります。 ちいさなえほんや ひだまり ▲毎月発行している絵本通信「ひだまり」。2014 年12月で290号を数える。来店者に無料で配布 しており、希望者には年間費1,300円で郵送も。 玄関で靴を脱ぎ、 自分の家 のようにくつろげる絵本専門 店。畳の部屋ではゴロンと寝 転んでもいいし、おもちゃで 遊んでも構わない。青田さん がセレクトした2500タイト ルから、お気に入りの絵本を ゆっくり探すことができる。 下手 稲通 セイコーマート ←稲 積公 住 □ 札幌市手稲区新発寒3条4丁目3-20 ☎011-695-2120 営 ・土・日・月・祝日のみの営業10:00~19:00 金 □ 6 園駅 ちいさなえほんや ひだまり 函館 札幌宮の沢病院 こじま歯科クリニック 本線 鉄工団 地通