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フューチャーサーチ - ポジティブイノベーションセンター

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フューチャーサーチ - ポジティブイノベーションセンター
ポジティブイノベーションセンター勉強会資料
フューチャーサーチ
マインドエコー 香取一昭
アジェンダ
◇ 解説
30分
- ホールシステム・アプローチとフューチャーサーチ
- フューチャーサーチの概要
◇ 演習1 タイムライン
1時間半
◇ 演習2 マインドマップ
1時間
◇解説
- フューチャーサーチの理論的背景
- フューチャーサーチのファシリテーション
30分
ホールシステム・アプローチと
フューチャーサーチ
ホールシステム・アプローチとは
1980年代に主に米国で開発され、できるだけ
多くの関係者が一堂に集まり、特定のテーマ
について話し合うことで、将来の目指したい姿、
行動計画をつくる大規模な会話の手法の総
称です。代表的な手法は以下の4つが挙げら
れます。
フューチャー・サーチ
OST
(オープンスペース
テクノロジー)
ワールドカフェ
AI
(アプリシエイティブ
インクワイアリ)
ホールシステム・アプローチの各手法の特徴
AI
OST
フューチャーサーチ
ワールドカフェ
カフェのようにリラックスした
定義 ありのままの姿を肯定的に 参加者の自己組織化能力を 関係者を一堂に集めて、広い リラックスできる環境の中で
受け入れて未来の可能性を 最大限に発揮させて、行動 視点から過去と現在をとらえ テーマに集中した話し合いを
探求し実現していく
計画を引き出す
直し共通の価値を発見し理想 重ねることにより多様なアイデ
的な未来を思い描く
ィアを結びつけ深い相互理解
や新しい知識を生み出す
開発
者
デビッド・クーパーライダー
ダイアナ・ホイットニー
所用
時間
3泊4日
(AIサミットの場合)
参加
者数
何人でも可
ハリソン・オーエン
半日~2日半
数名〜千数百名
マーヴィン・ワイスボード
サンドラ・ジャノフ
2泊3日
64名
・ 指示待ち状態を脱して、 ・自分の組織の立ち位置を
行動計画が自発的に創ら 時間的に把握している
れている。
・ 様々な立場や考え方の
・強みや価値観に基づいた
ゴー ビジョンが構築され、共有 ・ 行動計画を実行してい 違いを超えて価値やビジョ
ンを共有している。
くチームができている
ルイ されている。
メー
・ビジョンを実現するための
・ビジョンを実現するための ・改善などの提案や意見
ジ
実行チームが結成され、行 を言いやすい組織風土が 実行チームが結成され、行
動計画が明確化されている
動計画が明確化されてい
醸成されている
る
・強みや価値観を共有して
いる。
アニタ・ブラウン
デビッド・アイザックス
最低1時間半〜
2時間あれば実施可能
16名以上何人でも
・ メンバーの相互理解
が深まっている
・ ワールド・カフェを開催
する前には思い浮かばな
かった新しいアイディアが
生れている
・ メンバー同士、日ごろ
の職場でもコミュニケー
ションが取り易くなってい
る
出所:香取一昭・大川恒「ホールシステム・アプローチ」日経新聞出版社
ホールシステム•アプローチの標準プロセス
ホールシス
テム•アプ
ローチの標
準プロセス
全体性を感じ取る
(立ち位置の確認・
状況認識の共有)
未来の
可能性を
思い描く
(ミッション、
ビジョン、バ
リューの作成
/共有)
Discovery
AI
フューチャー・
サーチ
ワールドカフェ
OST
実現に向けた
検討項目の
洗い出し
(基本戦略の
作成/共有)
行動計画作成
実行チーム編
成
(AIインタビュー
ポジティブコア・マップ)
Dream
Design
Destiny
(インプロなど)
(挑戦的宣言文)
(実行チーム)
•タイムライン(年表)
•マインドマップ
•「誇りに思うこと」
「残念に思うこと」
寸劇など
コモングランド
実行チームの
編成
ワールドカフェ
OST
フューチャーサーチの概要
フューチャーサーチとは
特定の課題に関連するすべてのステークホルダー
が参加して、
過去、現在、および未来の様々な視点からダイアロ
グを行い、
参加者全員が合意できる共通の価値(コモングラン
ド)を見いだし
将来のビジョンを描き、それを実現するための行動
計画と実行チームを編成するプロセス。
フューチャーサーチの特徴
◇ 結果(アクション)を生み出すことに重点を置いている
◇ 重要なステークホルダーを必ず集めることに最大限の時間と労力を向けて
いる
◇ 合意できるものに焦点を当てる(合意できないものは横において進める)
(合意をさせるのは、コモングランドの選定のみ)
◇ 個人ワーク、グループ・ワーク(ステークホルダーごとのグループと、
ミックスグループ)、全体討論を積み上げていくことにより、全体性を感じ
取れる設計になっている。
◇ 「理想的な未来のシナリオ」を描くところでは、寸劇、詩、物語など多様な
表現方法が奨励される。
また、「現在を探究する」で「トレンド」を出すところでは、マインドマップを
使い、「アクションプランの作成」ではOST的な手法を使うなど、他の手法
を積極的に取り込んでいる。
フューチャーサーチのプロセス
現在
過去
(外的)
年表
アウト
プット
検討
単位
・グローバル
・ローカル
・個人
・個人
・ミックスチーム
初日
未来
コモングラウンド
アクションプラン
理想的な
未来のシナリオ
コモングラウンド
・ 短期的・長期的プラン
・ アクションプラン
実行チーム
・ミックスグループ
・全体
(内的)
マインド
マップ
「誇りに思
うこと」と
「残念に思
うこと」
・全体
・個人
・ステー
クホル
ダー
・ステー
クホル
ダー
睡眠
二日目
睡眠
・自発的チーム
・ステークホルダー
三日目
4つの原理(1)
◇ ホール・システムを一堂に集める
・ 全体像を把握するためには、多様な視点が必要
・ 参加者ができるだけ多くの新しい関係を築くことができる
ようにして実行されるアクションプランを作りやすくする
・ 参加者数は64人が最適
◇ 部分に働きかける前に、全体象(whole elephant)を
探求する
(グローバルに考え、ローカルに行動する)
・ オープンシステム
・ 外部トレンド
・ ステークホルダーが多い方が良い
4つの原理(2)
◇ 将来とコモングラウンド(共通の価値)に焦点を当てる
(過去の問題や対立ではなく)
・ 対立や違いがあることは認めるが、それに取り組む
ことはしない。
◇ 自律的に運営し、行動に責任を取る
・
・
・
・
ディスカッション・リーダー(司会、進行役)
レコーダー(記録係)
レポーター(報告者、発表者)
タイムキーパー(時間管理係)
企画段階で説明することと決めること
(1) フューチャーサーチの歴史、理論、原理など
(2) フューチャーサーチを実施する目的
(3) 開催日、開催場所
(4) フューチャーサーチで扱う課題、対象とするシステムの範囲
(5) 実施するタスクの内容
(6) 参加要請をするステークホルダー
(7) 時間枠(過去何年までさかのぼるか、将来を何年さきまでとするか)
(8) 理想的な未来のシナリオに何を盛り込むか
(9) 成果を誰がどのように文書化し、どのように伝達するか(参加しなかった人への
伝え方も含む)
(10)
フューチャーサーチ終了後に何が起こることを期待するか?
ステークホルダーを選定する基準
◇ 実行に移すための権限や
資源を持っている人
こういう人々が集まれば、参加者が
実現したいと考えるプロジェクトは
必ず実行に移せる。
◇ 専門知識や必要な情報を
持っている人
◇ 結果から影響を受ける人
課題に関連するステークホルダー
が必ずフューチャーサーチに参加
するようにすることがフューチャー
サーチを成功させるための鍵を
握っている
ミックスグループとステークホルダー・グループ
ミックスグループ
による話し合い
A
B
A
テーブル1
A
E
C
B
E
D
D
B
A
A
A
D
テーブル4
A
C
C
B
E
D
B C
B
C D
D
E
CE
E
テーブル5
テーブル2
B
D
D
テーブル3
A
テーブル5
C
D
テーブル1
C
テーブル3
A
C
E
テーブル4
D
B
テーブル2
A
B
E
C
ステークホルダー・グループ
による話し合い
B
E
E
演習1 (タイムライン)
今回検討すること
本日のフューチャーサーチ演習では次の状況を想定します。
<テーマ>
社内コミュニケーションの未来
<視野に入れる時間の幅>
現在、過去ともに25年
世界
日本
<ステークホルダー>
個人
???
Copyright 2010 Mindechoe
過去15年の年表を作りましょう
過去25年に何が起こったのかを思い出してみましょう。
<世界の出来事、日本の出来事>
現在私たちが置かれている状況との関連で重要だと考える過去
の出来事としては何がありますか?
<個人の出来事>
世界
あなたにとって重要な過去の出来事は
何ですか?
日本
個人
Copyright 2010 Mindechoe
年表から何が読み取れるでしょうか?
年表から何が読み取れるかを、グループで話し合って
下さい。
今、私たちが経験していることとの関係ではどのような
ことが言えるのでしょうか?
◇ グループごとに担当する年表について話し合ってください。
◇ 話し合った結果のポイントを模造紙に記入してください。
◇ 20分後に発表していただきます。
Copyright 2010 Mindechoe
演習2 (マインドマップ)
マインドマップで現在を探求する(1)
私たちの未来に影響を与えるトレンド(現在のできごと)
目的 : 私たちが今後のアクションを考えるために、考慮すべき
トレンドをできるだけ広く洗い出し、世界について全体像を
描き、共有します。
方法 : 未来に影響すると考えられる、現在のトレンド(社会、経済、
技術、政治、環境など)のマインドマップを参加者全員で
作成します。
マインドマップで現在を探求する(2)
マインドマップ作成時の基本原則
1. トレンドとは動きの方向を示すものです。何が起こっているのかを客観的に
観察し、判断や分析はしないようにしましょう。
これは問題のリストではありません。
2. この作業は全員で行うブレインストーミングです。判断や評価はしないで
ください。
3. トレンドを提示した人が、それをマインドマップのどこに書くのか決めます。
4. 反対のトレンドを挙げてもかまいません。
5. 具体的な事例を挙げてください。たとえば誰(何)が、そのような観察を
させることになったのかを話してください。
(例:「携帯電話の増加」は「コミュニケーションの利便性の向上」の具体例
です)
解説
◇ フューチャーサーチの理論的背景
◇ フューチャーサーチのファシリテーション
フューチャーサーチの理論的背景など
フューチャーサーチ開発の歴史
1982年
1987年
1992年
1991年
1993年
1995年
1999年
2000年
2007年
2009年
フューチャーサーチの最初のデザインが完成
初めて「フューチャーサーチ」という言葉を使用
(「Productive Workplace」(Weisbord)
共有する価値に基づいてアクションプランを作成するための原理と実践の
方法を集大成した
( 「Discovering Common Ground」(Weisbord et al)」
ジル・レビン(アルバート・アインシュタイン医科大学ケイプコッド研究所
ディレクタ)からプレゼンテーションの依頼があり、初めてフューチャー
サーチを教えた(100名が参加)
このワークショップの受講者がフューチャーサーチを実施し始めた。
1999年までに世界中でワークショップを開催し、2,000人を越える
参加者に教えた。
「サーチネット」設立、リソーセス・フォア・ヒューマン・ディベロップメント・
インクと提携関係に入り、地域コミュニティのプロジェクトの取り組みを
強化した。
「Future Search」初版発行
「サーチネット」を「フューチャーサーチ・ネットワーク」と改称。
「Future Search」第二版発行
サンドラ・ジャノフ氏を招き、南山大学教員養成GP主催によるフューチャー
サーチのワークショップが日本ではじめて開催された。
「Future Search」の日本語訳が出版予定(5月)
オープンシステムの概念
フューチャーサーチにおける
「システム」の概念
◇ システムとは、共通の目的に
向かって、共に取り組んで
いる、機関やコミュニティ、組
織、または、人々のグループ
である。
ローカルシステム
「私たちの町」
教育機関
(組織や課題)
歴史
能力
価値
ホールシステム
住宅問題
◇ フューチャーサーチでは、
直接的に検討対象としている
システムよりも範囲を広げた
「ホールシステム」を想定し
ホールシステムを構成する
すべてのステークホルダーが
参加することを最も重視して
いる。
成功の条件
1. ホールシステムを一堂に会させる
2. ローカルなアクションをとる前に「全体象(Whole elephant)」と取り組む
3. 「問題と対立」に注目するのではなく、「コモングラウンドと未来」に焦点を当てる
4. 小グループでの自己管理による話し合い
5. 全日程への完全な参加
6. 快適な話合いの環境
7. 3日間の日程(言い換えれば「睡眠を2回とる」ということ)
8. フューチャーサーチ終了後の活動について責任を公にする
失敗の条件
1. 参加者が少なすぎる場合(標準は64名であり、それを下回る場合
は25名以上が望ましい)
2. 各段階での参加者全員による話し合いを省略してしまう
3. ステークホルダーの多様性が十分でない場合
4. 1日半の作業を1日に短縮してしまう
5. 基調講演やプレゼンテーションを行う場合
6. 過去や現在抱える問題を前向きに評価するのではなく、嘆き悲し
むことに関心が向けられてしまう。
7. 解消されない対立を蒸し返し、与えられたタスクに取り組むことを
回避する場合
8. リーダーがフューチャーサーチの結果としてでてきた取り組みをし
ない、もしくは自分のビジョンを語る場として使おうとする
9. コンサルタントが、グループのニーズを診断し、解決策を講じ、研
修の時間として使おうとする場合
フューチャーサーチの理論的背景
サーチ・カンファレンス
エメリー、トリスト
ホールシステムを一堂に会させる
未来に焦点を当てる
理想的な未来が実現したかのようにイメージする
コミュニティ・フューチャー・カンファレンス
リピット、シンドラー・レインマン
ローカルの前にグローバル
参加者が自己管理してアクションプランを作成
オープンシステムと乱気流のような環境
フューチャーサーチ
フューチャーサーチの理論的背景
ダイアログ成立の条件
アッシュ
グループ・ダイナミックス
ビオン
創造性を発揮させる方法
フリッツ、ブザン
Current Reality, Mind map
コミットメントを公にすることの効果
リピット、リンダマン、
シンドラー・レインマン
4つの部屋のあるアパート
クラエス・ジャンセン
フューチャーサーチのファシリテーション
何もせずに、そこにいるだけでよい
Don’t Just Do Something, Stand There!
ファシリテーターの主な役割
◇ 全体プロセスと時間枠、現在の立ち位置を常に確認しながら進める
◇ 参加者が自己管理し、責任をもって取り組むように促す
◇ 参加者が自分たちで決めるまでは、成果の不確実性や、そのことで
生じる不快感に耐える
◇ 時間が許す限り、発言したい人は全員発言してもらう
◇ 異論のある人が、「異なる見解を持っているのは自分ひとりだけでは
ない」ということを認識できるようにする(参加者を孤立させない)
◇ 合意できないものは横に置いて、合意できるものにフォーカスする。
クラエス・ジャンセンの
4つの部屋があるアパート
満足の部屋
Contentment
否認の部屋
Denial
再生の部屋
Renewal
混乱の部屋
Confusion
ジェットコースターに乗る
頂上からの景色
(理想的な未来)
乗車する
(過去を振り返る)
現実的な選択について
ダイアログする
(共通の未来)
素直に認める
(「誇りに思うこと」と
「申し訳なく思うこと」)
谷底に落ちる
(現在のマインドマップ)
アクション
ジェットコースターをファシリテーションする
フューチャー・サーチのダイナミックス
ファシリテーターの役割
乗車する
(過去を振り返る)
タスクや時間、すべてのアイデアを認める
ことについての共通認識を確立する
谷底に落ちる
(現在のマインドマップ)
その場を支配している雰囲気に身を任せ
る
素直に認める
(「誇りに思うこと」と「申し訳なく思うこと」)
参加者が自分事として責任をもつよう
促す
頂上からの景色
(理想的な未来)
お互いの肩を叩いていい気分に浸ること
はしない。まだ終わったわけではないのだ
から。
現実的な選択についてダイアログする
(共通の未来)
古いやり方を繰り返すのか、それとも新し
いアクション・プランに向かって動き出す
のかの選択肢があることを指摘する。
参考資料など
http://www.futuresearch.net/
毎日がワールドカフェ
http://www.facebook.com/everydayworldcafe
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