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M-3 - 日本大学理工学部

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M-3 - 日本大学理工学部
平成 22 年度 日本大学理工学部 学術講演会論文集
M-3
発振回路における回路側インピーダンスの特性測定
に関する基礎的検討
A basic study on characteristic measurement of circuit side impedance in oscillation circuit
○望月雄大1, 今池健 2、作田幸憲 2、関根好文 2
*Takehiro Mochizuki1, Takeshi Imaike2, Yukinori Sakuta2,Yoshifumi Sekine2
Abstract: This paper examines the measuring of the load impedance of the Colpitts-type crystal oscillator circuit, negative
resistance and load capacity, with a network analyzer.
1.まえがき
VCC
従来から水晶発振回路の設計では,水晶振動子の接
Rb2
続端子から回路側をみたときの負性抵抗と負荷容量を
A
評価することが行われており,種々の測定法が検討さ
Cc
Tr
れてきた[1].
近年の計測技術の進歩の中で,ネットワークアナラ
Cb
X’tal
イザ(以降,NA と略す)が主要な測定器となってい
る.また,水晶振動子についても GHz 帯にも及ぶ振動
Rb1
B
Ca
Re
子が作製されるようになり,この周波数帯でも回路側
インピーダンスの特性を評価したいという要求が起こ
Figure 1 Examined Colpitts-type crystal oscillator
ることが想定される.
circuit
そこで,本稿では,基礎的検討として 10MHz 帯のコ
ルピッツ型水晶発振回路について NA によるインピー
ダンス特性測定を検討したので報告する.
v
A
B
i
2.本論
図 1 に,検討に用いたコルピッツ型水晶発回路を示
す.今回の検討では,Rb1=Rb2=10[kΩ],Re=2[kΩ],
g mv 1
Cb
v1
Ca
Ca=Cb=100[pF],Cc=0.01[μF],VCC=3[V],Tr:2SC1815
とした.
まず,コルピッツ型発振回路の特徴を知るために簡
Figure 2 Equivalent circuit in Figure 1
単な解析を行った.
図 2 にそのときの等価回路を示す.図 2 は回路内の
式(1)からわかるように実数部はマイナスの値を持ち,
抵抗値,トランジスタの入力インピーダンスが回路内
ω2 に反比例した特性を持つ負性抵抗 RL,虚数部は Ca,
のコンデンサ Ca,Cb のインピーダンスに比べて十分
Cb の直列合成インピーダンスで負荷容量 CL で表すこ
に大きいものとして簡略化した回路を示している.
とができる.
図 2 の等価回路より,回路側のインピーダンスを算
RL = −
出すると次式のように導くことができる.
Z≡
g
v
1 1
1
=− 2 m +
+
(
)
i
ω C a C b jω C a C b
(1)
CL =
但し、 g m はトランジスタの相互コンダクタンス
1:日大理工・院・電子 2:日大理工・教員・子情
1049
gm
ω C a Cb
2
C a Cb
C a + Cb
(2)
(3)
平成 22 年度 日本大学理工学部 学術講演会論文集
Z0
200
a
+
0
_
RL [Ω]
Z
VS
b
Vs:信 号 源
-200
80
-20d B m
-400
60
10d B m
0d B m
-20d B m
-800
Z:回 路側インピーダンス
100
0d B m
-600
B
120
RL
10d B m
40
CL
20
-1000
Z0:特 性 インピーダンス a:入 射 波 b:反 射波
CL [pF]
A
0
6
8
Figure 3 Block diagram of measurement system
10
12
f [MHz]
14
Figure 4 Frequency response of circuit side impedance
50
して,NA により回路側のインピーダンス特性の評価
120
0
図 3 にそのときの本研究で使用しているネットワ
ークアナライザを用いた反射法による測定ブロック
図を示す[2].A-B 端子から左側が特性インピーダンス
RL [Ω]
を行った.
100
RL
-50
CL
-100
80
60
-150
40
しており,右側の Z は回路側インピーダンスを示して
-200
20
いる.
-250
-50
0
Z0=50[Ω]を含めたネットワークアナライザ部分を表
このとき,反射係数 S11 は次式のように表される.
S11 ≡
b Z − Z0
=
a Z + Z0
(4)
-40
-30
-20
-10
CL [pF]
図 1 の A-B 端子からカップリングコンデンサを介
0
10
Pin [dBm]
Figure 5 Input level characteristic of circuit side
Impedance
式(4)より,反射係数 S11 から RL,CL が算出できる
図 4 に回路側インピーダンスの周波数特性の一例
3.まとめ
今回,NA を用いて発振回路のインピーダンス特性
を示す.コルピッツ型水晶発振回路の負性抵抗は,式
を評価した.その結果,10MHz の周波数範囲で NA に
ことがわかる.
2
(1),(2)からω に反比例することがわかる.このこと
よる回路側インピーダンス特性の評価が可能であるこ
から各入力レベルにおいて,10MHz の負性抵抗値を
とがわかった.
基準にその前後の周波数での負性抵抗値を調べたと
2
今後の課題として,入力パワーの電流レベルへの換
ころ,グラフの範囲内でω に反比例していることが
算,より高周波数帯への適用について検討する予定で
確認できた.
ある.
また,一般的に,水晶発振回路は定常発振時に大振
幅動作することが知られており,トランジスタの非線
4. 参考文献
形性が強く影響することから,入力レベルに対する回
[1] 例えば,Standard method for the determination of the
路側インピーダンスへの影響について調べた.
load resonance frequency(fL) and the effective load
図 5 はその測定結果の一例であり,横軸は 10MHz
における入力パワーを示している.図を見ると,入力
パワーが大きくなるにしたがって,負性抵抗の大きさ
capacitance(CLeff) using automatic network analyzer
techniques and error correction., IEC 60444-11 Ed.1
[2] 酒井裕、作田幸憲,関根好文:“ネットワークアナラ
が小さくなっていく傾向にあることがわかる.また,
イザによる水晶振動子の特性評価に関する一検討”,
負荷容量は 50pF 近傍であまり変化しないことがわか
電気学会計測研究会,IM-09-59 (2009)
る.
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