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2015年度模倣被害調査報告書 調査分析結果の概要(PDF形式:436KB)
2015 年度模倣被害調査報告書 調査分析結果の概要 平成 28 年 3 月 特 許 庁 2015 年 9 月から 11 月にかけて実施した我が国企業・団体 8,069 社への模倣被害に関する アンケート結果(有効回答数 4,090 社、被害企業数 896 社)をもとに、2014 年度(2014 年 4 月~2015 年 3 月)における我が国産業界が受けた国内外での模倣被害の状況について、過去 の被害調査の結果とも比較し取りまとめたところ、調査分析結果の概要は以下のとおり。 1.模倣被害の現状と傾向 2014 年度の模倣被害率は 21.9%であり、前年度被害率から 0.1%減少。模倣被害率の推移 は 2002 年度(28.8%)をピークとして数年低下傾向に、2006 年度から増加に転じた後、2009 年度から減少し、2010 年度以降は増減を繰り返している(図 1)。 企業規模別の被害率を見ると中小企業が前年度比で増加しており、商品分野別では一般機 械・産業機械、運輸・運搬機械が減少したものの、雑貨、電子・電気機器、食品が増加とな った(図 2,3)。 国・地域別の被害傾向では、中国・韓国・台湾等の被害率が依然として高水準にあり、特 に中国での被害率が突出している。引き続きアジア地域における模倣被害の動向に注意が必 要である(図 7,8)。また、複数の権利での被害やインターネット上での被害は横ばいの傾向 にあるが、被害内容は多様化・複雑化している(図 5,6)。 このような状況に対して、模倣被害対策を講じた企業の割合は、前年度から 9.7%増の 51.6%となり、企業規模別でみると、大企業は前年度から 8.0%増の 55.3%、中小企業は前年 度から 11.1%増の 49.0%となった(図 9,10) 。 模倣被害社数及び模倣被害率の推移(図 1) 被害社数 (被害社数) 28.8% 1,200 752 800 15.2% 600 400 27.4% 23.9% 1,000 336 18.3% 22.8% 733 22.0% 23.0% 856 687 580 被害率 24.0% 876 24.9% (被害率) 30% 1,059 1,011 944 926 641 24.6% 21.9% 944 948 21.8% 22.0% 23.4% 896 25% 20% 21.9% 558 15% 385 10% 200 5% 0 0% 1998年度 1999年度 2000年度 2001年度 2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度 2008年度 2009年度 2010年度 2011年度 2012年度 2013年度 2014年度 【N=2212】 【N=2109】 【N=3072】 【N=2015】 【N=2341】 【N=2452】 【N=3116】 【N=3717】 【N=3650】 【N=3721】 【N=4304】 【N=4303】 【N=4324】 【N=4323】 【N=4314】 【N=4090】 (注 1) 模倣被害率 = 模倣被害社数 / 総回答社数 (注 2) 2000 年度の調査は被害社のみを対象としたために模倣被害率は不明 (注 3) 模倣被害企業社数は母数 N(有効回答数)の増減に影響を受けるため、模倣被害の増減傾向を示しているものではない (参考) なお、模倣被害企業社数(被害ありと回答した企業)の「被害ありと回答した企業+被害なしと回答した企業」に対する割合は、 2010 年度は 33.2%、2012 年度は 31.0%、2013 年度は 32.5%、2014 年度は 32.5%。 1 2.企業規模、商品分野、権利別の模倣被害動向 (1)企業規模別被害動向(図 2) 大企業の被害率(2014 年度:25.6%)は、中小企業 (同 19.4%)より高い傾向にある。直 近 5 年間の傾向をみると、大企業では 2010 年度以降は減少、増加を繰り返したが、2014 年度は再び減少となった。中小企業は 2011 年度に増加した後、2012 年度以降は減少傾向 だったが、2014 年度は増加となっている。 (2)商品分野別被害動向(図 3) 2014 年度の被害率は、前年度比で雑貨、電子・電気機器、食品が増加、一般機械・産業 機械、運輸・運搬機械が減少となった。 2010 年度から 2014 年度の増減では、雑貨、電子・電気機器、運輸・運搬機械、食品分 野において被害率が増加、一般機械・産業機械は減少している。 (図 3)商品分野別被害率の推移(複数回答) (図 2)企業規模別の被害率 大企業 28% 26% 24% 中小企業 一般機械・産業機械 全体 電子・電気機器 雑貨 26.3% 25.3% 25.0% 食品 23.4% 21.9% 22.0% 21.8% 44.6%【N=325】 25.6% 21.9% 40% 40.1%【N=314】 38.3%【N=264】 41.8%【N=294】 42.8%【N=283】 22% 31.6%【N=215】 21.6% 20% 18% 運輸・運搬機械 50% 26.9% 30% 19.5% 19.4% 18.7% 19.4% 12% 23.1%【N=441】 17.3%【N=369】 17.9%【N=352】 2011年度 2012年度 15.4%【N=332】 10% 2010年度 【N=4303】 2011年度 【N=4324】 2012年度 【N=4323】 2013年度 【N=4314】 2014年度 【N=4090】 25.0%【N=408】 23.2%【N=581】 24.8%【N=411】 22.7%【N=418】 20% 14% 26.5%【N=592】 26.2%【N=591】 25.8%【N=534】 16% 30.8%【N=224】 29.5%【N=210】 27.5%【N=222】 28.6%【N=206】 23.6%【N=420】 16.8%【N=357】 22.3%【N=569】 17.7%【N=311】 10% 2010年度 2013年度 2014年度 (3)権利別被害動向 知的財産権の権利別では、特許・実用新案、営業秘密・ノウハウは前年度比でやや増加 している。 ただし、何れも被害率に大幅な変化は見受けられない。 (図 4)知的財産権の権利別被害社数の割合(複数回答) 0% 10% 20% 30% 40% 50% 32.1% 30.0% 意匠 32.1% 34.0% 特許・実用新案 18.7% 17.4% 著作物 その他 70% 57.9% 56.4% 商標 営業秘密・ノウハウ 60% 4.7% 4.8% 2013年度【N=948】 2014年度【N=896】 6.9% 6.7% (注)本調査では、特許、実用新案、意匠及び商標の出願合計数の上位 8,069 社を対象としてアンケート調 査を実施しているため、本報告書で記載されている著作権や営業秘密等の知的財産権侵害に関しては、 必ずしも我が国企業の被害状況等の全体的な傾向を示しているものではない 2 また、1 社当たりの被害権利数について、直近の 5 年間で比較したところ、被害企業数 に占める複数の権利で被害に遭っている企業の割合は、2012 年度から減少傾向となってい るが、被害権利の多様化・複雑化は依然として高い水準にある。 (図 5)複数権利被害企業の推移 <参考>被害権利数別の推移 50% 42.0% 40% 38.9% 41.5% 39.0% 38.3% 30% 20% 10% 2010年度 【N=944】 2011年度 【N=1011】 2012年度 【N=944】 2013年度 【N=948】 2014年度 【N=896】 (4)インターネットによる模倣被害動向 インターネット上の模倣被害を受けた企業の割合は 62.3%となり、2010 年度以降、被害 を受けた企業の割合は増加傾向にあり、2012 年度以降は 6 割を超える高い水準にある。 (図 6)インターネットによる模倣被害の状況(単数回答) インターネットによる模倣被害の状況 推移 被害社全体 【N=896】 64% インターネッ ト上での 被害なし 37.7% 62.3% 62.3% 62% 60.5% 60% 58% インターネッ ト上での 被害あり 62.3% 56% 54% 53.6% 53.9% 52% 50% 48% 2010年度 【N=944】 2011年度 【N=1011】 2012年度 【N=944】 2013年度 【N=948】 2014年度 【N=896】 (注)数値は 2014 年度に模倣被害を受けた企業の中で、商標、意匠、特許・実用新案、著作物、その他の知的財産権の何れ かについて、インターネット上で模倣被害を受けた企業の割合を表す 3 3.国・地域別の模倣品・サービスの流通構造 (1)模倣被害地域の分布 (図 7)海外において模倣被害を受けた国・地域 製造、経由、販売提供のいずれかの (被害社率・複数回答) 0% 20% 40% 60% 80% 被害を受けた国・地域別の被害企業の 67.0% 比率(図 7)をみると、前年度に引き 中国 64.1% 19.7% 続き中国での被害社率が最も高く 台湾 18.0% (2014 年度:64.1%)、次いで韓国(同 19.7% 韓国 18.9% 18.9%)、アセアン6カ国(同 18.8%)、 20.4% アセアン6カ国 18.8% 台湾(同 18.0%)と続いている。その 8.9% その他アジア 8.4% 他の地域では、欧州(同 14.7%) 、北 15.4% 欧州 14.7% 米(同 14.1%)となっており、アジ 13.6% 北米 ア地域での模倣被害が引き続き深刻 14.1% 6.1% な状況となっている。 中南米 6.3% 7.5% 7.3% 3.8% 4.2% 4.0% 3.0% 中東 (2)模倣品・サービスの製造・経由・ 販売提供 つぎに製造、経由、販売提供別に模 倣被害のあった国・地域別の模倣被害状 況(図 8)を見ると、中国のみ当該国内 の製造が販売提供を上回っていることが 分かり、中国国内で製造された模倣品・ サービスが世界各国に流通している ことが窺える。模倣品・サービスの製 造国・地域については模倣被害を受け た企業 896 社のうち、546 社が模倣 品・サービスは中国で製造されている と回答しており、依然として中国での 被害が高水準にある。なお、中国で製 造された模倣品・サービスが、中国自 国内で販売提供被害に遭ったと回答 している企業の比率が高いが、韓国、 台湾、アセアン6カ国、欧州などの地 域でも比較的高い。 模倣品・サービスの経由国・地域に ついては中国(被害社数:186 社)を 挙げる企業の回答が最も高く、次いで アセアン6カ国(同 48 社) 、台湾(同 39 社) 、韓国(同 31 社) 、が続く。 ただし、不明との回答も多く(同 156 社)、経由地域の把握は困難であ ることが窺われる。 アフリカ 大洋州 2013年度【N=948】 2014年度【N=896】 ※「アセアン6カ国」には、インドネシア、タイ、マレーシア、 シンガポール、ベトナム、フィリピンが含まれる。 (図 8)海外において模倣被害を受けた国・地域 (被害社数・複数回答) 0 200 中国 39 韓国 31 アセアン6カ国 30 16 454 105 142 120 141 85 151 64 欧州 56 35 北米 48 27 中南米 18 13 51 中東 16 40 53 製造 アフリカ 8 8 経由 大洋州 7 5 不明 4 48 600(社数) 546 186 台湾 他アジア 400 118 111 33 販売提供 26 61 50 156 【N=896】 模倣品・サービスの販売提供国・地域については、中国(同 454 社)の被害社が多く、 次いでアセアン6カ国(同 151 社) 、台湾(同 142 社) 、韓国(同 141 社)等アジアでの被 害が中心となっている。一方で、欧州(同 118 社)、北米(同 111 社)での被害社も多い。 (注 1)模倣被害社数は1社が当該国・地域で複数の模倣被害に遭った場合も、1社としてカウントされて いるため、模倣被害件数を示しているものではない (注 2) 「模倣品・サービスの販売提供国・地域」の回答には、インターネット上で模倣品・サービスが、そ の国・地域で「販売」又は「提供」されている場合を含むため、A 国で作成されたサイト上で模倣 品・サービスが販売されている場合でも、同サイトを通じて、B 国で提供されていることが確認さ れた場合は、B 国での被害としてカウントされている 5 4.企業等における模倣被害対策の動向 (1)模倣被害対策の実施状況 2014 年度の模倣被害対策の実施率(模倣被害対策実施企業/総回答社数)は、前年度比 9.7%増の 51.6%となった(図 9)。対策を講じていると回答した企業数は 2012 年度以降減 少していたが、2014 年度は増加となっている。 また、企業規模別でみても、大企業は前年度比 8.0%増の 55.3%、中小企業は前年度比 11.1% 増の 49.0%となり、ともに増加した。 (図 10) 。 (図 9)模倣被害対策の実施率 被害対策実施社数 (社数) 2400 2000 2111 1870 51.3% 50.9% 1800 60% 2219 2189 2200 割合 1600 43.3% 51.6% 1807 50% 40% 41.9% 1400 1200 30% 1000 800 20% 600 400 10% 200 0 0% 2010年度 【N=4303】 2011年度 【N=4324】 2012年度 【N=4323】 2013年度 【N=4314】 2014年度 【N=4090】 (図 10)企業規模別の模倣被害対策の実施率の推移 70% 60% 54.9% 【N=1884】 57.6% 【N=1761】 48.4% 【N=1853】 47.3% 【N=1844】 50% 40% 48.1% 【N=2427】 47.7% 【N=2370】 30% 20% 大企業 10% 中小企業 55.3% 【N=1739】 49.0% 【N=2288】 39.4% 【N=2460】 37.9% 【N=2446】 0% 2010年度 2011年度 2012年度 6 2013年度 2014年度 (2)模倣被害対策の内容及び国・地域別の対策状況 模倣被害対策の内容は、 「国内外での知的財産権の取得」 (79.5%) とする回答が最も多く、 次いで「専門家(弁理士・弁護士)への相談」 (35.2%) 、 「模倣品の製造業者・販売業者への 警告」 (24.7%)が続いている。 (図 11) 国・地域別の被害対策の状況については、日本を含めアジア諸国の模倣被害率の高い地域 での対策率が高く、日本(69.2%) 、中国(47.2%) 、韓国(26.1%) 、台湾(25.5%)の順 となっている。その他アメリカ(25.8%)、西欧(20.6%)での対策率も高い。今後対策を 強化する地域としては、中国(19.8%)が多くの企業で挙げられており、次いで日本、ア セアン6カ国、韓国、台湾が続き、アジア地域での対策強化を図る傾向が窺われる。 (図 12) (図 11)模倣被害対策の内容及び効果 0% 20% 40% 60% 製造業者の調査 輸入業者の調査 5.8% 卸売業者の調査 7.1% 53.7% 59.7% 62.7% 国内外での知的財産権の取得 警察への取締申請 その他行政機関への取締申請 裁判所への仮処分申請・証拠保全 民事訴訟(損害賠償請求等) 3.8% 70.4% 24.7% 63.8% 3.8% 81.3% 4.8% 80.2% 2.5% 62.3% 6.3% 3.1% マスメディア等を活用した消費者への啓発活動 3.9% 代理店等取引業者と模倣品を扱わない旨の契約を結ぶ 4.2% 72.4% 62.1% 61.0% 69.7% 5.8% 52.0% 35.2% 専門家(弁理士・弁護士)への相談 10.8% 公的機関等の支援施策の活用 その他 75.5% 7.7% 偽造防止技術の利用(偽造防止ラベルの活用等) 自社HP等で模倣品流通の事実を公開、注意を喚起 79.5% 64.8% 模倣品の製造業者・販売業者への警告 税関への取締申請 100% 62.5% 11.0% 小売業者の調査 知的財産に関する担当者の現地派遣・常駐化 80% 18.6% 2.7% 62.6% 47.1% 60.3% 実施している対策 【N=2111】 (複数回答) 効果のある対策 (複数回答) (注 1)実施している対策の割合 各対策を実施している企業数/いずれかの対策を実施している企業数(N=2111) (注 2) 「効果のある対策」の割合は、以下の図に示す各対策を実施した企業のうち、当該対策を効果があったと回答した企 業の割合 製造業者の調査 輸入業者の調査 卸売業者の調査 小売業者の調査 国内外での知的財産権の取得 知的財産に関する担当者の現地派遣・常駐化 模倣品の製造業者・販売業者への警告 税関への取締申請 警察への取締申請 その他行政機関への取締申請 245 66 89 146 1088 57 394 104 65 81 裁判所への仮処分申請・証拠保全 民事訴訟(損害賠償請求等) 偽造防止技術の利用(偽造防止ラベルの活用等) マスメディア等を活用した消費者への啓発活動 代理店等取引業者と模倣品を扱わない旨の契約締結 自社HP等で模倣品流通の事実を公開、注意を喚起 専門家(弁理士・弁護士)への相談 公的機関等の支援施策の活用 その他 7 33 97 41 50 62 64 465 107 35 その他との回答のうち、回答数の多かったものや特徴的な回答は以下のとおり。 ○ システムを利用した違法動画に対する警告送付 ○ 主要市場への定期的な巡回 ○ 当局へのセミナー実施 ○ 現地の弁護士に監視業務を委託 (図 12)国・地域別の被害対策状況及び今後の対応(複数回答) 0% 10% 日本 中国 3.6% 台湾 0.4% 韓国 0.5% アセアン6カ国 0.8% インドネシア 0.2% タイ 0.3% マレーシア 0.2% シンガポール ベトナム フィリピン インド カンボジア ブルネイ ミャンマー ラオス モンゴル その他アジア 西欧 東欧 ロシア トルコ アメリカ カナダ メキシコ ブラジル チリ ペルー コロンビア その他中南米 UAE イラク サウジアラビア その他中東 エジプト ケニア モロッコ ナイジェリア タンザニア 南アフリカ その他アフリカ 大洋州 20% 30% 50% 6.1% 25.5% 26.1% 6.7% 21.5% 9.0% 12.7% 4.3% 14.5% 10.2% 2.8% 11.0% 0.4% 2.7% 10.3% 0.3% 3.7% 7.4% 0.2% 2.0% 9.4% 0.2% 3.8% 1.6% 0.4% 2.3% 0.5% 1.2% 0.2% 2.7% 0.9% 1.6% 0.4% 1.4% 0.3% 1.3% 3.4% 6.4% 0.3% 0.9% 6.1% 0.2% 1.2% 4.1% 0.2% 0.6% 1.5% 4.9% 8.2% 0.1% 1.2% 5.1% 0.0% 1.1% 6.4% 0.2% 1.9% 2.8% 0.3% 2.6% 0.0% 0.4% 2.5% 0.2% 1.3% 0.2% 4.6% 0.1% 1.4% 1.6% 0.2% 3.5% 0.1% 0.9% 1.7% 0.4% 2.4% 0.0% 0.3% 2.7% 0.1% 0.2% 1.5% 0.1% 1.6% 0.0% 1.6% 0.2% 2.7% 0.1% 0.2% 1.0% 0.2% 6.2% 0.1% 0.9% 60% 70% 69.2% 47.2% 19.8% 5.1% 40% 26.1% 12.6% 20.6% 25.8% 【N=2111】 現在対策している 担当者を常駐させている 今後対策強化予定 ※中国は香港を含む 8