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2007年IEEE強誘電体応用国際会議(略称:ISAF2007)
The Murata Science Foundation 2007年IEEE強誘電体応用国際会議(略称:ISAF2007) 2007 IEEE International Symposium on the Applications of Ferroelectrics A62107 開催日 平成19年5月27日~平成19年5月31日(5日間) 開催地 奈良県奈良市・奈良県新公会堂 申請者 奈良先端科学技術大学院大学 教授 塩 嵜 忠 今回のISAF2007では19カ国から約340名の 会議の概要と成果 参加(国内180名、韓国27、米国23、台湾17、 2007年I E E E強誘電体応用国際会議(英文 ドイツ13など)があり、うち73名が学生の参 名:2007 IEEE International Symposium on 加者でした。また論文投稿別に見ますと、全 the Applications of Ferroelectrics) (略称: 体で305の論文投稿のうち、国内138、韓国 ISAF2007)を本年5月27日∼31日に奈良県新 33、中国33、台湾27、米国21であり、予想を 公会堂(奈良県・奈良市)を会場として開催 上回る参加があり活発な討論が行われました。 いたしましたので、その概要についてご報告 なお本会議の成果は後日プロシーディング集 させていただきます。 として、IEEEの書籍(CDROM形式)として I E E E I n t e r n a t i o n a l S y m p o s i u m o n t h e 刊行される予定です。 Applications of Ferroelectrics(以下ISAF) また、今回ISAF2007が開催された奈良県新 は、IEEE傘下のUltrasonics, Ferroelectrics and 公会堂は広大な奈良公園と接しており、大き Control Society(UFFC-S)の主催により、強 な瓦葺の屋根が特徴の日本の伝統を踏まえた 誘電体材料に関する物理、プロセス、デバイ 建造物で、近くには東大寺や興福寺、春日大 ス応用に関する国際的な総合的討議の場とし 社など日本を代表する寺社が多数点在してい て、主に米国を中心に最近では隔年で行なわ ます。そのため海外から来られた多くの参加 れてきましたが、IEEEの方針により本年より 者には日本の伝統的な美しさを堪能していた 毎年開催になりました。そこで、毎年開催の だけたことと存じます。 第1回目として、過去にISAFの開催実績(2002 さて、次に今回の会議の概況について述べ 年にIFFF2002として強誘電体関係の3会議に てまいります。 よる合同開催)のある日本でISAFを開催する 今回の会議では、本会議(発表・討論)に ことになった次第です。また日本が電子セラ 先立って 5 月 2 7 日に、国内外の著名な研究 ミックスや強誘電体の半導体集積回路応用の 者による講義(チュートリアル)を企画い 最先端国の一つであり、その日本で会議を開 たしました。講師には、米国ペンシルバニア 催することで強誘電体の最先端技術に関する 州立大学のTom Shorut教授やSusan Trolier- より活発な討論が交わされることが期待され McKinstry 教授、スイスEPFLのPaul Muralt教 たということも理由にあげられると思います。 授、千葉大学の橋本研也教授、村田製作所の ─ 581 ─ Annual Report No.21 2007 田村博氏、山梨大学の和田智志准教授をお招 んで各セッション会場に分かれ、講演を行い きし、各講師の持ち時間90分で最新の強誘電 ました。また夕刻よりポスターセッションを 体の研究・開発についてお話いただきました。 会場2階のレセプションホールとギャラリーを 講義は強誘電体の基礎と応用のテーマ別にそ 利用して実施いたしました。なお本ISAFでの れらを同時進行し、受講者はどちらの講義で 初めての試みとして優れた講演をした学生に も自由に受講できるようにいたしました。受 対し学生賞を送ることといましたが、その判 講者は30名ほどでしたが、中にはこの講義の 定はポスターセッションでの発表によること みに参加を希望される方が出るなど非常に好 にいたしましたので、本セッションの発表が 評だったと思います。 それを兼ねていることになります。 また一般の参加受付もチュートリアル受付 ポスターセッション終了後、ウェルカム 終了後から行いましたが、登録を済ませた参 パーティーとして、日本庭園を利用したパー 加者を対象に夕刻より会場の奈良県新公会堂 ティーを開催いたしました。初日にはまだ会 の日本庭園を利用して、簡単なレセプション 場に到着していない参加者も多かったため、 を催しました。当日は晴天にも恵まれ、出席 本日のパーティーではより多くの方々に参加 者には日本の庭園の持つ美しさを堪能してい 者していただくことができ、相互の親睦をは ただけたことと思います。 かることができました。また、会議では時間 このような初日の行事に引き続き、翌28日 の不十分であった討論もこの場を利用して行 より3日間の日程で奈良県新公会堂を会場と われており、多くの有意義な意見交換が交わ して、講演を行いました。発表は4つのプレナ されたものと考えております。 リー講演と40の招待講演、127の口頭発表な 29日の会議では、事務局からの事務連絡に らびに134のポスターセッションでの発表を 引き続き、松下電器産業株式会社半導体デバ 行いました。このうち招待講演と口頭発表は イス研究センターゼネラルマネージャーの嶋 テーマ別に4つのパラレルセッションに分け 田恭博氏による FeRAM : Next Generation ての発表となりました。各テーマの主な題目 Challenges and Future Directions と題した は「Thin film」「Piezoelectrics」「FeRAMs」 プレナリー講演をいただきました。本日より 「Fundamental」「Dielectrics」 「Optics」です。 F e R A M関連のセッションがスタートするこ また会場には企業展示も行われその傍らには ともあり、最新の動向を交えた講演は多くの ドリンクコーナーを用意しましたので、参加 方々に興味深い内容であったと考えます。そ 者は会議の合間の息抜きにドリンクを飲みな の後、休憩を挟んで、前日同様、各セッショ がら、企業からの出展物の見学や商談などが ンに分かれての講演を行いました。また夕刻 行われていました。 より前日と同様、ポスターセッション(学生 28日の会議では、G e n e r a l C h a i rによる開 賞の判定を含む)を実施いたしました。 会の辞の後、株式会社半導体エネルギー研 ポスターセッション終了後、イベントとして 究所 代表取締役社長の山崎俊平氏より1時 会場内の能楽堂を利用しての雅楽の公演を行 間のプレナリー講演を H i s t o r y a n d F u t u r e いました。あでやかな衣装を身に着けた踊り Perspective of Nonvolatile Memory と題して 手と日本の伝統的な音楽による公演は、海外 発表いただきました。そのあと小休止をはさ の方々ばかりではなく、現代の私たち日本人 ─ 582 ─ The Murata Science Foundation にとっても新鮮であり、参加者には日本の伝 次の通りです。T. Koyama(Ryukoku Univ., 統芸能を堪能していただけたことと存じます。 Japan)、T. L. Burnett(Univ. Leeds, UK)、 その後、会場をホテル日航奈良に移してバ A. Bartasyte(LMGP/INPG, Vilnius Univ., ンケットを行いました。こちらは別途参加費 France)、M. Spreitzer(Jožef Stefan Institute, が必要なパーティーでしたが、150名近い参 Slovenia) 。 加者がありました。会場では主催者による今 上述の表彰のあと、G e n e r a l C h a i rから閉 回の会議の概算の参加者数などの報告や次回 会の辞があり、本会議を閉会いたしました。 運営委員による次回開催地の紹介などがあり、 その後参加希望者によるフェアウェルパー 和やかな雰囲気で歓談が進みました。また ティーを行い、次回I S A F2008での再会を祈 BGMとして弦楽四重奏の生演奏も企画し、出 念して会議を終了いたしました。 席者からは好評をいただきました。 以上が本会議の概略ですが、そのオプショ 3 0 日の会議では事務連絡に引き続き、英 ン企画として翌31日に希望者による法隆寺と 国ケンブリッジ大学の J a m e s F. S c o t t 教授 シャープ株式会社の天理工場内の歴史館の による F e r r o e l e c t r i c T h i n - F i l m D e v i c e s : 見学を行いました。参加者は日本の伝統的な Failure Mechanisms and New Prototype 建造物である伝統的な木造建築の美と、鉱 nano-Structures と題したプレナリー講演の 石ラジオから最先端の液晶テレビに至るテク あと、各セッションに分かれての講演を行 ノロジーの進歩を堪能していました。中でも いました。また午後3時半からは全員が再度 多くの見学者が鉱石ラジオが最初の強誘電体 一つの会場に集合し、大阪大学の柳田敏雄 の電子デバイス応用であったことを再認識し 教授により Single Molecule Nanobiology 感銘を受けていたようです。本見学ツアーを for Elucidating the Mechanism Involved in 午後4時にJ R奈良駅で解散し、これをもって Utilizing Fluctuations by Biosystems という ISAF2007の全ての日程を終了いたしました。 題目でプレナリー講演をいただきました。柳 最後になりましたが、この度は本会議に助 田先生のご講演はバイオメカニズムに関する 成金をいただきましてありがとうございました。 お話でしたが、強誘電体との相違点や意外な いただきました助成金は10月に発行予定の会 類似点に参加者の多くの関心が向いていたと 議のプロシーディングの作成に使用させてい 存じます。 ただく予定です。またご助成をいただきまし 最後に、前日までに集計された学生賞応募 た企業・財団のお名前は、会議当日配布いた 者の中から上位4名を選出し、彼らにGeneral しましたプログラムに掲載させていただいてお Chairからの賞状とIEEEからのトロフィー並 ります。1部同封させていただきますので、お びに賞金が授与されました。4名の受賞者は 納めいただければ幸いです。 ─ 583 ─