...

〔日本機械工業連合会会長賞〕 ショーケース用店内温湿度変化 自動最適

by user

on
Category: Documents
9

views

Report

Comments

Transcript

〔日本機械工業連合会会長賞〕 ショーケース用店内温湿度変化 自動最適
〔日本機械工業連合会会長賞〕
ショーケース用店内温湿度変化
自動最適化制御システム(ストアマスター)
サンデン株式会社
群馬県伊勢崎市
1.機器の概要
コンビニエンスストアやスーパーマーケットでは複数のショーケースが一台
の冷凍機で冷却されている。ショーケースの温度制御は個々の温度調節器で行っ
ているため冷凍機の負荷変動が大きい。これまでは一定速の冷凍機が主流であっ
たが負荷変動への対応のため、最近ではインバータ冷凍機が使用され始めている。
しかし、インバータ冷凍機の運転設定は最大負荷時(夏季)に合わせられてお
り、季節による変動が考慮されていない。このため夏季以外では依然として運転
に無駄を生じている。従ってインバータ冷凍機を導入しても十分に省エネ効果を
引き出せなかった。
ストアマスターはショーケースと冷凍機を集中管理・制御する機器である。開
発した自動最適化制御システムは店内に設置した温湿度センサによる温湿度情
報からショーケースに最適な冷凍機運転低圧(目標低圧)をリアルタイムに計算
し、その結果を基にインバータ冷凍機を制御(低圧制御)する。これによりイン
バータ冷凍機の容量制御機能を最大限に活用し、冷凍機動力を20%削減(定速
冷凍機比較)すること
ができる。
加えてガラス扉付き
ショーケースの防露ヒ
ータも、店内温湿度に
よって出力を最適に制
御することで、ヒータ
店内温湿度センサ
Store Master
店舗内温度
湿度情報
目標低圧設定値を指令
庫内温度を送信
冷蔵ショーケース
ショーケース負荷の
変動に合わせ
ストアマスターで
冷凍機を最適に制御する
目標低圧算出
インバータ冷凍機
低圧制御された
冷却運転
消費電力量を50%削
減(従来比)できる。
図1.システム構成図
2.機器の技術的特徴
2-1 インバータ冷凍機の低圧(蒸発温度)制御
従来のインバータ冷凍機は、運転低圧が一定となるような出力制御を行ってい
る。その制御は、設定した低圧圧力(蒸発温度)になるように冷凍機の運転周波
数を変化させる方法である。しかし設定されている低圧圧力は、ショーケースの
最大負荷時の低圧圧力であり、季節等の変動による負荷変動への対応は不十分で
ある。特に冬期等の軽負荷運転時にはCOPの悪い運転になってしまう。
定速冷凍機
低圧圧力
軽負荷時では煩雑にオンオフ運転を繰り返す
(運転再開時の過電流や停止直前に電力を消費)
平均値
インバータ冷凍機
低圧圧力
定速機に比べ平均低圧を上げることができる
(冷媒の特性上から低圧が上がると効率も良くなる)
年間を通して同じ低圧(最大負荷時)で動作する
目標低圧
インバータ冷凍機+低圧制御
低圧圧力
店内温湿度情報から最適な目標低圧値を
リアルタイムに計算し不必要な電力の消費を抑える
目標低圧
(軽負荷時)
目標低圧
(最大負荷時)
図2.各制御における低圧圧力の推移
そこで、ショーケース負荷が店内空気エンタルピーと相関関係にあるというこ
とに着目し、店内温湿度情報とショーケース庫内設定温度から最適な目標低圧値
をリアルタイムに算出し、冷凍機出力を制御することにした。このように制御す
ることで、季節や時間・急激な負荷変動に対応することができ、常に必要最低限
の冷凍能力に容量制御することができるようになる。
冷凍機制御設定 〔MPaG〕
0.36
ストアマスターによる低圧制御
0.32
0.28 省エネ
0.24
0.2
インバータ冷凍機単体制御
0.16
0.12
30
冬期
最大負荷時
中間期
夏期
40
50
60
70
店内温湿度(エンタルピ)〔kJ/kg〕
図3.店内エンタルピと目標低圧
2-2 ガラス扉用の防露ヒータ制御
コンビニエンスストアやスーパーマーケットにはガラス扉付きのショーケー
ス(ウォークインショーケース、リーチインショーケース)がある。このガラス
扉には、中の商品が曇って見えなくならないように透明な防露ヒータが備えられ
ている。従来の防露ヒータ制御には、通電時間を一定にする方式や、露付きセン
サにより露が付いたら通電する方式などがあった。しかし通電時間一定方式では
店内湿度が低くなる冬期においても無駄に通電してしまうという欠点があるし、
露付きセンサ方式では高コストのうえセンサが完全に濡れてしまうと防露ヒー
タが連続通電してしまうという問題があった。そこでインバータ冷凍機の低圧制
御に使用している店内温湿度情報を利用し、ストアマスター内で露点温度を算出、
ガラス扉の表面温度が露点温度と常に同じ温度になるように防露ヒータを制御
することによって必要最低限の電力量とすることができた。
フレーム防露ヒータ
ガラス扉付きショーケース
(ウォークインケース)
ヒートライトガラス
(ガラス防露ヒータ)
図4.ガラス扉付きショーケースの防露ヒータ位置
3.自動最適化制御システムの効果
年間を通した省エネルギー率を当社実験室で確認した結果、従来の定速冷凍機
に対してストアマスターによる冷凍機低圧制御では20%の電力量削減効果を
確認した。また、大手コンビニ2社の実際の店舗において、年間を通したテスト
結果でも同様の削減効果を確認した。ガラス扉用防露ヒータ制御における効果で
は、従来の方式に対して年間でヒータ電力量の50%を削減した。
30000
△20%
25000
20000
15000
2000
1500
10000
△50%
1000
5000
500
0
0
従来
従来
低圧制御
図5.冷凍機消費電力
防露ヒータ制御
図6.防露ヒータ消費電力
4.経済性
ストアマスターは、ショーケースの温度集中管理や記憶機能、機器異常時の警
報発報機能や履歴管理機能を有しているため、従来の警報表示盤等の周辺機器が
不要となる。このためストアマスターの導入費用や、定速冷凍機からインバータ
冷凍機への変更に伴うイニシャルコストの差額分はランニングコストの低減効
果により2年程度で回収可能となっている。
5.実績と計画
ストアマスターは、2003年12月の発売から大手コンビニエンスストアに
採用され、1年間で約700店に導入された。
今後更に、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなど複数のショーケー
スが設置されている店舗に展開していく計画である。
Fly UP