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Petrobras の新5 ヵ年計画 - JOGMEC 石油・天然ガス資源情報

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Petrobras の新5 ヵ年計画 - JOGMEC 石油・天然ガス資源情報
更新日:2014/4/10
調査部:舩木弥和子
ブラジル:Petrobras の新 5 ヵ年計画、生産目標達成に黄信号?
(Petrobras ホームページ他)
1.2 月 26 日、Petrobras は 2030 年までの戦略計画(2030 Strategic Plan)と 2014~2018 年の 5 ヵ年計画
(Business and Management Plan(BMP)2014-2018)を発表した。2030 年までの戦略計画では、2020~
2030 年の平均生産量について、Petrobras のブラジル国内生産量を 370 万 b/d、ブラジル国外をあわ
せた Petrobras の生産量を 400 万 b/d、ブラジル全体を 520 万 b/d とするとしている。BMP2014-2018
では、5 年間に 2,206 億ドルを投じ、石油生産量を 2014 年は 2013 年(193 万 b/d)比 6.5~8.5%増に、
2018 年には 320 万 b/d に、2020 年には 420 万 b/d に増加させるとしている。5 ヵ年計画の投資額は、
年々増加する傾向にあったが、今回は 7%削減された。投資額が削減される中、探鉱・生産部門への
投資額は 1,539 億ドルと前 5 ヵ年計画より 4%増額され、その 60%がプレソルトに向けられる。
2.メインテナンスや成熟油田の設備入れ替え等は終了、深海対応のリグ数やパイプの敷設船も増加し、
新技術を導入したライザーの取り付けにも慣れがみられるようになり、Petrobras の石油生産伸び悩み
の原因とされた要因が取り除かれつつある。BMP2014-2018 や 2030 年までの戦略計画で設定された
生産目標をどの程度達成できるかについての意見は分かれるものの、2014 年に Petrobras の生産量
が増加に転じるという点については専門家の意見は一致しているようだ。しかし、2014 年に入っても新
規プロジェクトでの火災や事故が続いており、ローカルコンテンツや技術者や熟練した労働者の不足
等の問題を含め、今後の動向を注目していく必要がある。
1. Petrobras の 2030 年までの戦略計画と 2014~2018 年の 5 ヵ年計画
2月26日、Petrobrasは2030年までの戦略計画(2030 Strategic Plan)と2014-2018年の5ヵ年計画(BMP
2014-2018)を発表した。
Petrobras は BMP2014-2018 で、5 年間の投資予定額を 2013 年に策定した 5 ヵ年計画BMP2013-2017
の 2,367 億ドルから 2,206 億ドルに削減した。これまで、Petrobras は、毎年発表する 5 ヵ年計画の中で、
投資額を年々増加させていた。2010 年以降は、増加額はごくわずかになってはいたものの、それでも投
資額を増やしていた Petrobras が、今回 7%投資額を削減したのは、Petrobras の財務状況の厳しさを表
していると見る向きもある。
-1Global Disclaimer(免責事項)
本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま
れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの
投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責
任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
Petrobras5 カ年計画投資額推移
(2014-2018 Business and Management Plan より作成)
投資額が全体として削減される中、探鉱・生産部門の投資額は 1,539 億ドルと前 5 ヵ年計画より 4%増
額された。Petrobras は、これまでの 5 カ年計画でも探鉱・生産部門重視の姿勢を示し、投資額ばかりで
なく、総投資額に占める探鉱・生産部門の割合も 2010 年の 5 か年計画以降、53%、57%、60%、62.3%
と増加させてきていたが、今回の BMP2014-2018 では、総投資額の 70%を探鉱・生産部門に投じるとし
ている。
ここ数年、年々削減される傾向にあった国外へ
の投資額は 97 億ドルで、前 5 ヵ年計画比 90%増
と大幅な増加となっている。国外への投資額の
92%は探鉱・生産に投じられる計画で、米国の
Saint Malo、Cascade、Chinook、Lucius、アルゼン
チンの Medanito、Entre Lomas、ボリビアの San
Alberto、San Antonio、ナイジェリアの Egina 等の
プロジェクトを中心に投資が行われる計画だ。
一方、下流、バイオ、流通、エンジニアリング・
技術・機材等の部門への投資額は、前 5 ヵ年計画
と同様に削減されることとなったが、特に下流部
門への投資額は 648 億ドルから 387 億ドルへと
40%も削減されている。
Petrobras5 カ年計画 BMP2014-2018 投資額内訳
(出所:2014-2018 Business and Management Plan )
-2-
Global Disclaimer(免責事項)
本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま
れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの
投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責
任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
探鉱・生産部門の投資額の内訳をみてみると、その 73%が生産・開発に、15%が探鉱に、12%がイン
フラストラクチャー他に投じられる計画とされている。生産・開発、探鉱投資の 60%がプレソルト(Transfer
of Rights(2010 年に新たに発行した株式と引き換えに政府より権益を取得したサントス盆地プレソルトの
Franco 等の鉱区)、Libra 油田を含む)に向けられる。
探鉱・生産部門の投資額の内訳
(出所:2014-2018 Business and Management Plan )
Petrobras によれば、2014 年に 5 基、2015 年に 1 基、2016 年に 7 基の新生産ユニットが操業を始める。
また、現在 11 隻となっているパイプの敷設船(PLSV : Pipe Lay Support Vessel)が 2014 年中に 8 隻追加
される予定となっている。2014 年の生産量については、2013 年比 6.5~8.5%増とされているが、2020 年
までの生産目標について変更は行われず、2020 年には石油と NGL の生産量を 420 万b/d、これに天然
ガスを加えた生産量を 520 万 boe/d とする計画である。
Petrobras BMP2014-2018 生産目標
(出所:2014-2018 Business and Management Plan )
-3Global Disclaimer(免責事項)
本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま
れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの
投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責
任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
なお、この BMP2014-2018 の中で Petrobras は、2013 年 1 月から 2014 年 2 月までの 14 か月間に 46
油田(24 油田が沖合(うち 15 油田はプレソルト)、22 油田が陸上)を発見、成功率はブラジル全体で 75%、
プレソルト 100%であったとしている。
Petrobras は、2030 年までの戦略計画では、部門別に以下のような戦略を示した。
Petrobras の戦略
探鉱・開発
2020~2030 年のブラジル国内、国外をあわせた石油生産量を平均で 400
万 b/d とするために、探鉱権益を取得する。
精製・輸送・販売・石化 ブラジル国内市場に石油製品を供給するため、精製能力を 390 万 b/d に引
き上げる。
流通
国内の石油、ガス等の市場での優位な立場を維持するため、付加価値をつ
け Petrobras ブランドへの好感度を高める。
天然ガ ス 、 エ ネ ル ギ 天然ガスチェーン事業を整備、確立し、プレソルトやブラジル陸上で生産さ
ー、ガス化学
れるガスを販売する。
バイオフュエル
国内市場でのガソリンやディーゼルの需要と合わせ、引き続きバイオフュエ
ル、エタノール、バイオディーゼルの生産を増加させる。
国際
中南米、アフリカ、米国を中心に探鉱・開発を進める。
(Petrobras 2030 Strategic Plan より作成)
探鉱・生産部門では、他の機関によるブラジルの石油生産見通しと比較する形で、2020~2030 年の
生産見通しを紹介している。これによると、2020年から2030年までを平均したブラジルの石油生産量を、
DOE は 500 万 b/d、WoodMackenzie は 490 万 b/d、IHS-CERA は 440 万 b/d とみているが、Petrobras
は 520 万 b/d とし、これらの機関よりも生産量は増加するとの見方を示している。
ブラジルの生産見通し(Petrobras と他機関の比較)
(出所:Petrobras 2030 Strategic Plan)
-4Global Disclaimer(免責事項)
本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま
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投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責
任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
Petrobras の生産量については、2013-2020 年のブラジル国内の平均生産量を 290 万b/d、2020-2030
年の平均生産量をブラジル国内のみで 370 万 b/d、国外をあわせると 400 万 b/d としている。
ブラジル及び Petrobras の生産見通し
(出所:Petrobras 2030 Strategic Plan)
この生産目標を達成するため、Petrobras は、①ブラジルでの油田の発見、評価を進め可採年数 12 年
を保つ、②リスクを選択、分散し、ブラジルでの探鉱を進める、③ブラジル陸上でガスの探鉱を進める、
④コンセッション契約を締結している生産中の鉱区の回収率を最大にする、⑤プレソルトエリアの開発を
促進することを戦略として掲げている。
ブラジルの石油製品の需要については 2020-2030 年の平均で 340 万 b/d と予測、これに対応するた
め Petrobras は精製能力を 2030 年までに 390 万 b/d に引き上げるとしている。そして、2015 年にはブラ
ジルの石油生産量と石油製品消費量が一致し、2020 年には精製処理量と石油製品消費量が一致すると
している。
この 2030年までの戦略計画を策定するにあたり、Petrobrasは 2020 年までの前戦略計画との相違点を
明らかにしている。
2020 年までの戦略計画は、プレソルトで Lula 油田が発見された翌年の 2007 年に策定されており、プ
レソルトの油田からの生産増が期待されてはいたものの、当時 Petrobras はプレソルトの油田の開発に関
しまだ十分な知見や経験を持ち合わせていなかった。ブラジルの探鉱・開発に関する契約形態はコンセ
ッション契約のみで、ポストソルトとプレソルトを開発するために必要な機材をブラジル国内の造船産業
でどの程度供給できるかも不確かであった。2007 年から 2011 年のブラジル国内の石油製品に対する需
要は年に 2.8%の割合で増加すると考えられており、エタノールの供給が増加すると期待されていた。
-5Global Disclaimer(免責事項)
本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま
れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの
投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責
任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
現在、Petrobras はプレソルトで 10 基の生産設備を用いて生産を行っており、コストを最適化する段階
に至っている。契約形態はコンセッション契約に加え、Transfer of Rights、PS 契約と 3 種類になり、ローカ
ルコンテンツも現実のものとなってきた。ブラジル国内の石油製品に対する需要は、2014-2018 年には
年に 2.5%、2019-2030 年には 2.2%の割合で増加する見通しとなっており、エタノールの供給拡大への
期待は低減している。
世界の情勢も、2008 年のリーマンショック後、経済成長に対する期待が減退し、石油需要の成長見通
しも減速した。米国で非在来型の生産が増加したことから、上昇を続けていた油価は中期的に安定する
と考えられるようになり、米国は 2019 年にはガスを自給、2030 年には石油輸入量を 790 万 b/d から 360
万 b/d に削減できるとの見通しとなった。
2. Petrobras の戦略計画と 5 ヵ年計画の実現の見通し
このようなブラジル及び世界の状況の変化を背景に策定された Petrobras の BMP2014-2018 と 2030
年までの戦略計画であるが、Petrobras はこれを実現できるのだろうか。
Petrobras によると、2006~2012 年の同社の新規プロジェクトの生産開始の遅れは、ブラジル以外の企
業に発注した水深 2,000m 以深で掘削できるリグの完成が遅延し、リグ数が不足していたためとされてい
る。Petrobras は、2006 年時点では 2 基しかなかった水深 2,000m 以深で掘削できる深海対応のリグが、
2011 年には 26 基に増加し、今後 5 年間は 40 基の深海対応リグを利用可能であるとし、リグの不足という
問題はなくなったとしている。
Petrobras 所有の掘削リグ数
(出所:PETROBRAS AT A GLANCE)
-6Global Disclaimer(免責事項)
本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま
れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの
投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責
任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
2013 年の石油生産量の伸び悩みについて、Petrobras は 1980 年代以降生産を開始した成熟油田の
操業効率を高めるため設備の入れ替え等を行ったことやメインテナンスによるものとしている。Petrobras
は、メインテナンスは 2013 年で終了するとしており、また、操業効率についても今後は改善がみられると
予測している。
2013 年下半期については、これらの要因に加え、BC-20 鉱区 PapaTerra 油田の P-63 プラットフォー
ムの生産開始の遅れや BMS-9 鉱区 Sapinhoa 油田の FPSO Cidade de Sao Paulo の生産の伸び悩みが、
同社の生産量に影響を与えた。P-63 プラットフォームについては、海底のサンゴ礁の確認が遅れたた
め、海底での手配に変更が生じ、生産開始が遅れたという。また、FPSO Cidade de Sao Paulo は予定通り
生産を開始したが、ブイ付自立ライザー(BSR : buoyancy supported riser)の納入、設置の遅れが、生産
増に影響した。BSR の納入、設置が遅れた理由として、悪天候、初めて利用する技術であったこと、アジ
アでの機材製造の遅れ、コントラクターSubsea7 のブラジル工場の環境ライセンス取得に時間がかかった
ことなどが挙げられている。1 基目の BSR については手間取ったものの、2 基目はスムーズに導入が進
み、2014 年 2 月 18 日に 1 基目の BSR を用いて SPS-77A 井、4 月 3 日に 2 基目の BSR を利用して
7-SPH-04-SPS 井の生産が始まっており、生産量はそれぞれ、3.6 万 b/d、2.6 万 b/d となっている。
さらに、Petrobras は、2010~2011 年にブラジル国内で契約できる PLSV の数が限られていたため、坑
井と生産設備をつなぐ作業に遅れが生じ、これが 2013 年下半期の同社の生産量に影響を及ぼしたとし
ている。
Petrobras は、2006~2011 年には平均、年間で 5 基のプラットフォームの生産を開始したが、2013~
2016 年は平均、年間で 4 基のプラットフォームの生産を開始する計画だ。メインテナンスや成熟油田の
設備入れ替え等も終了、深海対応のリグ数も増加し、3 基目の BSR は 1 基目の 1/3 の時間で 3 月 9 日に
BM-S-11 鉱区 Lula NE 油田の FPSO Cidade de Paraty に設置された。現在、PLSV は 11 隻あるが、2014
年中に 8 隻の PLSV が新たに稼働を始める予定だ。
このように 2014 年以降の生産増を期待させる情報が伝えられている。Petrobras は、2014 年の生産量
を 2013 年より 6.5~8.5%増やし 207.5 万 b/d 程度とする計画であるが、この生産目標達成についてアナ
リストやコンサルタントはどのような見方をしているのだろうか。
Brazilian Center for Infrastructure は、政府が国内の石油製品価格引き上げを認めないために、
Petrobras は引き続き苦闘を続けるが、2014 年には 2013 年比 5%程度の増産を達成できるとしている。
GBM のアナリストは、プロジェクトの進展次第ではあるが、Petrobras は 2013 年比 5.7%程度生産量を増
やすとしている。Wood Mackenzie のアナリストは、Petrobras が開発を進めているプロジェクトは技術力を
必要とし、陸からも遠く、深海に位置しており、ローカルコンテンツに従って技術者、熟練した労働者やリ
グ等の資機材を確保するのは難しいが、2013~2014 年に多くの新規プロジェクトが立ち上がるので、
-7Global Disclaimer(免責事項)
本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま
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Petrobras は対前年比 7.5%増という生産目標を達成できるとしている。しかし、技術者やサービスの不足
から中長期的には生産目標達成は難しく、2018 年に 320 万 b/d、2020 年に 420 万 b/d を生産すること
はできないだろうとしている1。Bain & Company は、2014 年の生産増は対前年比 5~10%で、2020 年に
は生産量は 400 万 b/d を超えるだろうとの見方をしている2。
しかし、2014 年に入っても、Petrobras の生産増にマイナスの影響を与えかねない動向が伝えられて
いる。Roncador 油田の P-62 プラットフォームは 1 月に同油田に到着後、ディーゼル発電機で火災が発
生し、安全が確認できるまで生産ができない状態である。また、同油田の P-55 プラットフォームに接続が
予定されていたパイプ(2.3km、約 200 万ドル)を Saipem が 3 月に大西洋に落としてしまうという事故も発
生している。
こうした事故によるプロジェクトの遅れは、Petrobras がローカルコンテンツを守ろうとしたり、コスト削減
を図ろうとしたり、生産を早めようとしたりした結果ではないかとの見方もある。
ローカルコンテンツについて、Petrobras は、国営石油会社としての立場と責任から、ライセンスラウン
ド時に定められた比率を上回る目標を自らに課している。1997年8月に新石油法が施行されたのに伴い、
Petrobras は保有を希望する 433 鉱区を鉱山エネルギー省に申請、同社の投資能力に見合うと判断され
た 397 鉱区を保有することとなった(ラウンド 0)が、この際にはローカルコンテンツが設定されなかった。
しかし、Petrobras はこの際に取得した鉱区についても、独自にローカルコンテンツの目標を設定してい
る。
また、Baleia Ana、Baleia Franca、Cachalote、Jubarte 油田のプレソルト、ポストソルトの生産を行う P-58
プラットフォームについては、BMP2012-16 では 2014 年 1 月生産開始予定とされていたものを、
BMP2013-17 では生産開始時期を 2013 年 11 月 30 日に早め、結局、生産開始目標を達成できず、2014
年 3 月に生産を始めている。
このように、Petrobras は、自ら高いハードルを設定しすぎて、結局、達成できなかったり、それを達成
するために負担過多になってしまったりしているところがあるのではないだろうか。
加えて懸念されるのが、技術者や熟練した労働者の不足である。Petrobras は 2002~2012 年に
32,000 人を新規雇用しているが、2015 年までにプレソルトの探鉱・開発だけでさらに 46,000 人の雇用が
必要となり、技術者や熟練労働者不足が探鉱・開発に影響を与える可能性がある3。ブラジル以外から人
材を集めたり、給与水準を引き上げたりすることも必要となる模様だ。
今後数年の Petrobras の動向は、プレソルトを含むブラジルの探鉱・開発・生産の行方に大きな影響を
与えると考えられ、引き続き注目していく必要がある。
1
2
3
Platt’s Oilgram News 2014/3/25
BNamericas 2014/3/22
BNamericas 2014/3/6
-8-
Global Disclaimer(免責事項)
本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま
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投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責
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2013~2014 年生産開始(予定)の Petrobras の生産設備
鉱区
油田
生産設備
BM-S-9
Sapinhoá Pilot
Cidade de Sao Paulo
MV23
BM-S-40
Baúna
Cidade de Itajaí
BM-S-11
Lula NE Pilot
Cidade de Paraty
BC-20
PapaTerra
P-63
Roncador
RoncadorⅢ
P-55
Baleia Azul Norte
Parque Baleias
P-58
Roncador
Roncador Ⅳ
P-62
BC-20
PapaTerra
P-61
BM-S-9
Sapinhoá Norte
Cidade de Ilhabela
BM-S-11
Iracema Sul
Cidade de
Mangaratiba
生産設備メーカー
船体
トップサイド等
ローカルコンテンツ
ライセンスラウンド
生産開始予定
BMP2013-17
生産開始
生産能力
2013/1/5
2013/1/5
12 万 b/d、
5MMm3/d
Cosco Shipyard(中国)
Schahin/Modec(Brasfels)
30%
Petrobras 目標 65%
Round 2 (2000 年)
2013/2/16
2013/2/16
8 万 b/d、
2MMm3/d
2013/5/28
2013/6/6
12 万 b/d、
5MMm3/d
Jurong(シンガポール)
Odebrecht 、Teekay
(シンガポール)
Keppel Shipyard
(シンガポール)
QGOG/SBM(Brasfels)
2013/7/15
2013/11/12
Cosco Shipyard(中国)
Quip(Rio Grande)
2013/9/30
2013/12/31
14 万 b/d、
1MMm3/d
*
18 万 b/d、
6MMm3/d
60%
Petrobras 目標 81%
Round 5(2003 年)
30%
Petrobras 目標 65%
Round 2 (2000 年)
義務なし
Petrobras 目標 65%
Round 0
EAS(ブラジル)
Quip(Rio Grande)
義務なし
Petrobras 目標 65%
Round 0
2013/11/30
2014/3/17
18 万 b/d、
6MMm3/d
義務なし
Petrobras 目標 63%
Round 0
2014/3
―
18 万 b/d、
6MMm3/d
Queiróz Galvão
(Rio Grande)
Queiróz Galvão
(Rio Grande)
CamargoCorrêa/IESA(EAS)
CamargoCorrêa/IESA(EAS)
2013/12/31
―
Floatec(Brasfels)
Floatec(Brasfels)
義務なし
Petrobras 目標 65%
Round 0
2014/9
―
14 万 b/d、
1MMm3/d
*
15 万 b/d、
6MMm3/d
QGOG/SBM(中国)
QGOG/SBM
(SBM/BRASA)
2014/11
―
30%
Petrobras 目標 65%
Round 2 (2000 年)
30%
Petrobras 目標 65%
Round 2 (2000 年)
BMP2014-18
2014 1Q
2014 2Q
2014 2Q
2014 3Q
2014 4Q
15 万 b/d
Cosco Shipyard(中国)
義務なし
Petrobras 目標 63%
Round 0
(PETROBRAS AT A GLANCE 他をもとに作成)
*P-61 と P-63 をあわせた生産能力
Brasfels 造船所:シンガポール Keppel が Rio de Janeiro 州 Angra dos Reis に 2000 年に造った造船所。
Rio Grande 造船所:Rio Grande do Sul 州の造船所。2005 年より QUIP(Queiróz Galvão、UTC Engenharia、IESA)、
2010 年からは Ecovix /Engevix が参画。
EAS (Estaleiro Atlântico Sul):ブラジルの大手ゼネコン2社を株主とし,ブラジル国立経済社会開発銀行の融資のも
とに設立された造船会社。ペルナンブコ州イポジュカで 2008 年ごろ稼働を開始。
-9Global Disclaimer(免責事項)
本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま
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ブラジル主要鉱区図
(各種資料より作成)
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本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま
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投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責
任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
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