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反円偏波カールアンテナ
法政大学大学院理工学・工学研究科紀要 Vol.55(2014 年 3 月) 法政大学 反円偏波カールアンテナ COUNTER CIRCULARLY-POLARIZED CURL ANTENNA 奥山 祐美子 Yumiko OKUYAMA 指導教員 中野 久松 法政大学大学院工学研究科情報電子工学専攻修士課程 A curl antenna as a circularly polarized (CP) antenna is discussed. The rotational sense of the CP wave is determined by the winding direction of the curl; the curl radiates either a right-handed (RH) CP wave or a left-handed (LH) CP wave. It is not possible for this simple curl to radiate an LH CP wave within a specific frequency band and an RH CP wave within a different frequency band (dual-band counter CP radiation). This paper discusses a new curl antenna that can enable dual-band counter CP radiation. Key Words : curl, dual-band, counter CP radiation 1.はじめに いる. カールアームは 6 つの素辺で構成されている. こ 円偏波を放射するアンテナとしてカールアンテナが検 のアームは, 接地された誘電体基板 (比誘電率 r, 厚さ 討されてきた[1]. 偏波の回転方向はカールの巻方向によ B) 上に印刷されている. 辺の長さを Li (1, 2, …, 6) と定 って決まるため, 1 つのアンテナでは右旋偏波か左旋偏 義する. メタスパイラルアンテナ[2]やメタループアンテ 波のどちらか一方しか放射することができない. すなわ ナ[3]のように, このアンテナアームも多数のストリップ ち従来のカールは, ある周波数帯では左旋円偏波を放射 片に分割されている. それぞれのストリップ片の長さを し, 異なる周波数帯では右旋円偏波を放射する(二重反 p0, ギャップの長さを g とする. 長さ p = 2(p0 + g) 円偏波放射), ということは不可能であった. 本稿では, の反復部分はセルと呼ばれる. セルの構造は図 1 (c) の この二重反円偏波放射を可能にした新アンテナについて ようになっている. セルには負の位相定数 (< 0) を得 議論する. るため, キャパシタンス 2CZ およびインダクタンス LY を使用している. なお, 2CZ および LY の値は文献[4]の 2.構造 方法に従って決定した. 図 1 は給電点を F としたカールアンテナを示して z y Q T P L3 Q (b) 側面図 L2 2C Z LY T GP y L4 F x L1 L6 r L5 GP GP x P (c) ユニットセル (b) 上面図 図 1 反円偏波カールアンテナ 3.放射特性 z 軸からのビーム偏向はあるが, 円偏波を使うほとんど アームの終端 T には, メタカールが漏れ波アンテナと のアプリケーションに著しく影響することはない. 周波 して動作するようにブロッホインピーダンス RB ≒ 80 数 fLGmax における半値幅 (HPBW) は周波数 fRGmax に が接続されている. アンテナ外周 (AAPL = 4L5) が おけるそれに比べて広い. これはメタループアンテナ[3] 1g になる周波数に近づくにつれて, + z 方向の放射は と同様に, 電気的なアンテナサイズ (物理的アンテナサ 円偏波になる. この円偏波は 2 つの異なる周波数帯で イズと動作空間波長の比) が fRGmax におけるそれに比 現れる. この事実は図 2 に示す利得の周波数特性を使 べて小さいためである. 図 4 に示されるように, 50 って描画される. 左旋円偏波利得 GL は N 周波数付近 に 対 す る VSWR は 予 想 通 り , 周 波 数 fLGmax お よ び にある周波数 fLGmax において最大値に達する. 一方, 右 fRGmax 周りにおいて 2 以下となっている. 旋円偏波利得 GR は H 周波数付近にある周波数 RC Z = 0 RfRGmax CZ = 0 G G R = 0.5 R L R C Z C Z = 0.5 において最大値に達する. 文献[2]で定義されるように, { { RC Z = 1 fLG m a x fR G m a x 9 RC Z = 1 周波数 fN および fH は電気的外周 (4L5 / g) が 1 に等 8 しくなるときの低域・高域の周波数である. fN VSWR 5 0 7 fH Gain ( , ) [dBi] 6 GL GR { 4 6 5 4 3 2 2 0 1 2.4 -2 2.6 2.8 -4 図 4 -6 f LG m a x -8 2.4 2.6 3.0 3.2 3.4 Frequ ency [GH z] 3.6 3.8 4.0 VSWR の周波数特性 fR G m a x 4.結論 2.8 3.0 3.2 3.4 Frequ ency [G H z] 3.6 3.8 4.0 二重反円偏波アンテナとして, 新アンテナを提案した. 修士論文では, ストリップ片に装荷されているキャパシ 図 2 利得の周波数特性 タンスとインダンクタンスが持つ損失がアンテナ特性に アンテナ構造は z 軸に対して対称にはなっていない. 与える影響を議論している[5]. 解析で使用された抵抗値 そのため放射パターンは z 軸に対して完全に対称には RCZ, RLY は商業上入手できるキャパシタンスとインダ ならない. 図 3 は周波数 fLGmax および fRGmax の放射パタ クタンスに含まれる損失である. ーンを示している. ER 参考文献 EL ER z EL 30 ° z 0° 60 ° 90 ° x 60 ° 90 ° 90 ° y ER z EL 30 ° 60 ° 30 ° 30 ° 90 ° 90 ° x Circularly-Polarized 0° 60 ° 60 ° Low-profile without a Metamaterial-based Balun Circuit,” Spiral Asia-Pacific 3) H. Nakano, K. Yoshida, J. Miyake, J. Yamauchi : “Counter z 0° “Simplified Singapore, August 2012 (a) fLGmax = 2.675 GHz EL 2) H. Nakano, J. Miyake, T. Sakurada, and J. Yamauchi : Conference on Antennas and Propagation, pp. 63-64, 0 [dB] 0 [dB] Propagat., vol. 41, no. 11, pp. 1570-1575, Nov. 1993 Antenna -10 -10 ER Yamauchi : “A curl antenna,” IEEE Trans. Antennas 30 ° 60 ° 60 ° 90 ° 0° 30 ° 30 ° 1) H. Nakano, S. Okuzawa, K. Ohishi, M. Mimaki, and J. 30 ° 60 ° 90 ° Loop Antenna,” 2013 IEEE International Symposium on Antennas and Propagation, 90 ° y pp. 152-153, Orland, FL, USA, July, 2013 4) 三宅隼也 : “右左手系複合伝送線路,” 法政大学大学 院工学研究科紀要, vol. 54, 2013 年 3 月 -10 -10 0 [dB] 0 [dB] (b) fRGmax = 3.625 GHz 図3 放射パターン 5) H. Nakano, Y. Okuyama, J. Miyake, J. Yamauchi : “Counter Circularly-Polarized Curl Antenna with a Lossy Structure,” 2013 IEEE International Symposium on Antennas and Propagation, pp. 1068-1069, Orland, FL, USA, July, 2013