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長野式臨床研究会 第 3 回 23 年 5 月 22 日 テーマ「更年期障害」 講師

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長野式臨床研究会 第 3 回 23 年 5 月 22 日 テーマ「更年期障害」 講師
1
長野式臨床研究会
平成 23 年
第 13 期
マスタークラス
大阪セミナーQ&A
第 3 回 23 年 5 月 22 日
テーマ「更年期障害」
講師
長野康司
更年期障害
更年期とは
原因
誘因
症状による
分類
卵巣機能衰退消失の時期である、生殖期(性成熟期)と非生殖期(老年期)の移行期をいう
一般的に 40 代後半から 50 代後半までを指すが、子宮や卵巣手術等で早まる場合もある
一般に言う卵胞ホルモンのエストロゲンの分泌低下だけではなく
卵巣を中心とした各内分泌臓器の老化現象に随伴して起る性機能系、各内分泌系の失調に原
因があり、全身的な自律神経失調が起ってくる。
更年期時期には卵巣以外の内分泌腺にも老化が始まり、精神的ストレスも重なる時期なので、
各種因子が同時に働いて発症させる。
精神神経症状 イライラ、不眠、不安感、抑うつ他
身体症状
のぼせ、頭痛、めまい、嘔気、発汗、腰痛、肩こり他
2
「更年期障害」の所見パターンと臨床的意味とまとめ
『更年期障害』症例①②
症例
タイプ
主訴
現病歴
プロセス
随伴症状
脉状
所
腹診
見
火穴
局所
その他
順証逆証
処置
所見に沿っ
て
②膀胱炎
女性 41歳 主婦(
「新治療法の探求」P355)
心・胆・膀胱の実、胃虚
排尿後の不快感、残尿感
6 ヶ月間排尿違和感→薬物療法でも改善なし
既往歴 20 年前盲腸炎 OP→その後流産 2 回
10 年前 4 ヶ月の胎児を人工中絶→卵管結紮
盲腸 OP→2 回の流産→中絶→不妊治療→早期更
年期になり→免疫力低下→下腹部の弱り→膀胱
炎発症
全身倦怠、嘔気、動悸、食欲不振、顔面やや紅
潮、帯下
細緊数
洪緊数
(交感神経過緊張、卵巣機能低下、冷えも現す) (心肥大もある更年期の脉状)
腹部瘀血著明、腹動もある
下腹部全体に筋性抵抗、特に膀胱部圧痛著明、
肝門脈鬱血陽性、小腹不仁、
日月(+)、心窩部(+)
特記なし
特記なし
胸鎖乳突筋緊張
T1.L4.5.(右に側彎)、T9.(左に側彎)、
足背部やや局所的浮腫
激務な家庭と仕事
脂肪過多、BD140/70
脉は実、腹も実、共に実で「順」
脉は実、腹も実、共に実で「順」
①照海・兪府 20 分(自律神経調節)
復溜(女性 H 分泌促進)
②扁桃処置(基本処置として)
蠡溝(膀胱炎の特効穴)
③腹部瘀血処置(瘀血反応著明)
胆のう点(膀胱実は胃虚になり易い為胃を補す)
④肝門脈鬱血処置(腹部反応による)
関元(洪数に対して)
⑤三陰交・耳垂扁桃点に皮内鍼
環跳(初期の下垂処置)
復溜・蠡溝・胆のう点と中極(膀胱経の募穴)に半
米大 5 壮施灸(自宅施灸も指示)
①更年期障害による全身倦怠
女性 44歳 銀行員(「三十年の軌跡」P263)
更年期に多くのストレスが重なったもの
全身倦怠
3~4 年前から月経量減少、周期遅れ気味
全身倦怠、嘔気、頭鳴り、頚肩こり発症
家庭内トラブル多く、精神的にもイライラ
早期発症更年期の誘因
銀行員(神経を使う)+性格的+家庭内問題
それぞれ重なり誘発されたのではないか
嘔気、頭鳴り、頚肩こり、イライラ
←
経過
ポイント
2 回の治療で症状軽減、3 ヶ月で消失
*著効したのは「蠡溝」
「中極」の膀胱炎処置
*胆のう点(胃経の解谿より上 4 横指の胃経上)
2 回目残尿感消失
4 回目数脉消失、洪ある→関元を小腸兪に変更
5 回目排尿後の違和感、残尿感消失
6 回目(17 日目)自覚症全くないが暫く施灸指示
銀行員(神経を使う)+性格的+家庭内問題か 洪数、洪遅は更年期に度々診られる
ら誘発されたのだから、患者の悩みや不満を 洪数の時は→関元、洪遅に変化→小腸兪に変更
聞くことでも、自律神経の中枢である視床下 日月(+)は胆実→胃虚を伴いやすい(木剋土)→
部に影響させることができる
胆のう点は胃虚を治し、胆実を瀉すことになり、
胆汁分泌も円滑になる
3
症例のポイント①②
症例①
・照海・兪府の 20 分留鍼と時間設定をするときは、この処置が優先的になり、他処置の同
時進行はない。
・
「耳垂扁桃体」は、耳垂の下方中央部にあり、判りにくい場合は、鍼管で押さえ圧痛を確
認するか、ノイロメーター等で電気抵抗の弱い所を探しても良い。
(鍼灸経外奇穴図譜第Ⅱ集より)
症例②
・不妊治療をした後に更年期になっていった。
・「日月」は胆経の募穴、圧痛で「胆実」を現す。
・心窩部の圧痛は「心実」を現す。
・「胆のう点」は「胃虚」を補い、「胆実」を瀉す作用があるので、刺方は「瀉」。
・
「胆のう点」は胃経上(解谿の上4横指)にあるので、胃経を補すことになり、間接的に胆
を瀉していることとなる。
・「胆のう点」を「鍼灸経外奇穴図譜第Ⅳ集」には、「陽陵泉」の下 1.5 寸に取る同名穴が
あるが、潔先生の取る「胆のう点」とは異なる。
・肥満の「洪脉」は簡単には改善されない。
・「洪数」は陽なので「陰」の「関元」を使い、「洪遅」は陰なので「陽」の「小腸兪」を
使う。
『質問 01』更年期のホットフラッシュにもいいですか?
「返答 01」ホットフラッシュも顔面紅潮と同じです。
更年期の治療は時間がかかるので、時間をかけて話したりして、リラックスさ
せながらやっていく。
4
『更年期障害』症例③④
症例
タイプ
主訴
現病歴
既往歴
プロセス
随伴症状
脉状
所
腹診
見
火穴
局所
その他
順証逆証
処置
所見に沿っ
て
経過
ポイント
③血管性頭痛
女性 59歳 主婦(「新治療法の探求」P332)
肝虚肺実
頭痛、特に頭頂部の灼熱痛
2 ヶ月前に頭痛の為 1 ヶ月間入院加療
効果なく来院
4 年前貧血で 20 日間入院
2 年前胃潰瘍で 60 日間入院
更年期→骨盤内血流悪化→卵巣や子宮の変調
→血の道症→頭痛発症
特記なし
細軟数(軟脉は慢性疼痛を現す)
右寸口の沈実(肺実)
右期門軽圧痛(肝虚)
腹壁全般的に軟弱(腹圧低下→内臓下垂)
特記なし
T9 やや左に側彎、
右肩甲骨内縁~T6.7.8.9.まで筋緊張著明
肩甲骨上角付近に硬結
BD100/50
④背部肩腕痛、全身倦怠
女性 56歳 養殖業経営(長野康司症例)
極度なストレスからの血流障害
左背部、両肩~上腕にかけて痛み、重だるさ
肩甲骨内縁~上腕にかけての痛み
左第 3.4.指、右第 3.4.5.指にかけシビレ
随伴症も多く更年期の薬服用中も効果なし
閉経 48 歳
経営者→極度に気遣い→更年期も合わさり→自
律神経失調→気滞→血流障害→疼痛、倦怠
寝付き悪く、夜咳き込む、両下肢だるい、坐骨
神経痛、頭痛もち
弱短やや緊(非常に弱く疲労困憊の脉状)
腹部全体が硬化(抵抗がある)
中注・気海・右天枢(+)
圧痛なし
やや頭部瘀血あり
更年期の薬(エストロゲン製剤、安定剤、自律神
経調整剤、加味逍遥散等)服用
脉状は虚、腹も虚、共に虚で「順」
脉状は虚、腹は実、虚実違い「逆証」
上髎・次髎(骨盤内血流改善に寸 6.③番補鍼) ①強心処置(三陰交・労宮・百会)留鍼(最優先)
②扁桃処置(右天枢(+)の為)
右大敦(肝虚に 1 寸.①番 2 分留鍼)
③瘀血処置(中注(+)に)
肩甲骨上角付近硬結部(硬結緩和に切皮瀉)
④頭部瘀血処置(頭部瘀血ある為)
肩甲骨内縁の筋緊張(筋緊張緩和に切皮瀉)
2 回目大分身体に力入ってきた、やや弱短、腹
2 回目前回で熟睡でき頭痛もない BD110/70
部柔らかい。左魄戸・膏肓に皮内鍼追加
5 回目頭痛再発なし、不安感もない
3 回目 1 ヶ月、間があき、症状・所見再発
7 回目(20 日目)自覚症なし、脉ほぼ正常
4 回目大分楽、左肩痛あり、沈遅になる
肩甲骨周辺緊張消失、BD130/70
下垂処置→小野寺臀点、上・次髎、郄門、気 5 回目 4 回目以降安定剤服用せず、右肩痛、腰
戸、手三里に自宅施灸 1 ヶ月指示
痛、沈遅。扁桃・副腎・帯脈。京門・左魄戸・膏
肓に皮内鍼
1 年後も頭痛再発せず
8 回目(105 日目)全体的にずっとよい、薬なし、
肩こり、腰痛、沈遅、右天枢(+)、他は(-)、
行間(+)。扁桃・副腎・肺実・肝気水・帯脈
遠方の為頻繁に来院できないが、継続加療中
・更年期における頭痛←骨盤部の鬱血や虚血 ・弱短は「疲労困憊・全身倦怠・虚血性心疾患」
が多いので、先に上・次髎を処置をする
の脉状。この脉があれば最優先で強心処置
・骨盤内臓(卵巣・子宮・付属器等)の変調が ・気は発散と凝集を繰り返すと→「気体」→「液
「血の道」として→頭部疾患誘発
体」→「固体」になるといわれる→これが腹
・頭痛や知覚過敏の部位で各疾患との関連が
の塊になったのではないか
わかるので、参考にすると便利である
・腹の塊→瘀血処置で緩解した
瘀血処置→血の流れ良くなり→柔らかくなっ
た
・頭頂部疼痛は「列欠・三陰交」「列欠・陰陵
泉」の補鍼で軽快する
5
症例のポイント③④
症例③
・「軟脉」は慢性疼痛を現している。
・数脉があるのに、骨盤部を先に処置をしたのは、骨盤内臓(卵巣・子宮・付属器等)の変調
が「血の道症」として頭部疾患誘発したので、先に骨盤内の血流を良くして、他の処置
をした。それだけ重要視したわけである。
・頭痛部位に関して、「新治療法の探求」P334 に、各疾患と頭痛及び知覚過敏との関連が
出ている。一つの目安として覚えておくと便利です。
・
「小野寺殿点」は初期の下垂処置として使っていたが、今では「生辺・京門・大腸兪」を使
って効果を挙げている。しかし、「小野寺殿点」でも効果は十分にある。
・「右大敦」は「肝虚」の処置である。「肝経の木穴」は「肝の自穴」でもあるのでそれを
補っていった。
・「列欠」は「四総穴」から取っている。(難経等出典)
「吐腹は三里に留める」
「頭項は列欠に尋ねる」
「腰背は委中に求める」
「面目は合谷に求
める」
・「三陰交」は血の異常を治す。血は「脾経」に関与している。
症例④
・腹全体の硬さは、抵抗感があり、強い反応を現している。
・
「強心処置」は「三陰交」
(「陰陵泉」はなくてもよい)
「労宮」
「百会」に、脉が強くなる
まで留鍼雀啄。
・「T3.4.」は「気」と「血」にとても大事なツボである。
・「弱短」の脉は、非常に弱い脉で、最優先に処置をしなければならない。脉を整えずに、
他の処置をいくらやっても、効き目がない。
・脉が「弱短」から「沈遅」に変わってきたということは、脉が触れだし、体力が少しず
つ出てきたということを現しています。
・「後天の気」は「営気」(血液)と「衛気」(血管外液)を意味するが、「気」も液体と関
与するということである。
気は発散と凝集を繰り返すと、「気体」→「液体」→「固体」になるといわれる。
つまり、腹の硬さは、気の流れが悪く滞っているということがいえるのではないだろう
か。
6
更年期障害の臨床的パターンとキーポイント
脉状
腹診
火穴
その他
特徴
処置
「細緊数」→多く診られる、女性H低下し、血管収縮し、副腎皮質Hも低下している
「細沈遅」や「弱短」→全身的な循環障害、慢性的副腎皮質H低下、慢性症状も現す
「洪」→ときに診られる、自律神経失調が昴じたり、心肥大ある人
「瘀血」や「肝門脈鬱血」を呈していることがある
「腹壁軟弱」→内臓下垂を現し、腹圧が低下している
一様ではない
「胸鎖乳突筋緊張」や「肩甲骨内縁の凝り」も診られる
・更年期は、卵巣機能低下と共に、全身的にも内分泌臓器の乱れが出る
・特に副腎皮質機能低下→交感神経緊張や副腎髄質H及び副甲状腺Hの分泌亢進で様々な
症状を発症する
更年期症の処置は「エストロゲン」の代替分泌能をもつ「副腎皮質」の刺激が重要となる
①照海(復溜)・兪府・天牖・手三里に 15~20 分留鍼(S・U・天・三)
②瘀血あれば瘀血処置(中封・尺沢・膈兪)
③頭部瘀血あれば頭部瘀血処置(百会付近のブヨブヨ部を水平刺雀啄瀉)
④めまいあれば築濱、耳のメマイ点に皮内鍼固定
更年期~老年期以降に起りやすい
足腰の冷え、肩こり、倦怠感、目のかすみ等の更年期障害の原因は「骨盤虚血」
・骨盤虚血処置→大腸兪・腰の腰関・上仙・八髎穴の反応点に灸頭鍼
・閉経前の婦人→三陰交・血海・内関に補鍼、施灸は、三陰交・内関
・閉経婦人の施灸→照海を加える
更年期におけるのぼせ(顔面紅潮)で
・
「洪緊数」太った人→陽陵泉・陰陵泉・居髎・関元
・
「洪緊数」痩せた人→帯脈・気海・関元
・女性ホルモンのエストロゲンは、実は全身に影響を及ぼしている。
・副腎皮質Hが低下すると、交感神経が緊張してくる。
・更年期にはカルシウムが減少してくるので、それを補う為に「副甲状腺H」(上皮小体)
は亢進してくる。これは交感神経緊張も現している。
・「腰の腰関」(L4下)、「上仙」(L5下)は、「照海・三陰交・内関」以外で、副腎を強化
する目的で使う。
・
「メマイ点」は、耳垂の上方中央部よりやや後ろにあり、判りにくい場合は、鍼管で押さ
え圧痛を確認するか、ノイロメーター等で電気抵抗の弱い所を探しても良い。
・「メマイ点」の皮内鍼は、3 ミリを使い、後方に向けて固定する。
・のぼせのある肥満者には、「陽陵泉・居髎」、痩せている場合は「帯脈・気海・関元」。
・「居髎」は、上前腸骨棘と大転子隆起部との中間に取る。
(鍼灸経外奇穴図譜第Ⅱ集より)
7
『質問 02』更年期ののぼせには、この処置だけでいいのですか?
「返答 02」自律神経なのでこの処置でいいです。
中でも、
「居髎」は「東洋医学見聞記」にも、追試して、更年期症、自律神経に
効果があったと出ています。
長野康司治療ノート
症例
主訴
現症
既往歴
所
脉状
腹診
火穴
見 局所他
順証逆証
処置
経過
ポイント
⑤「過換気症候群」 女性 31 歳 無職
呼吸がしにくく、咳、痰もでる
3ヶ月前より呼吸がしにくく、頭がしびれボーッ
となる(職場の上司と折合いが悪い)
安定剤服用、ビール1本焼酎 3 合毎日、タバコ
も2箱
特記なし
弦やや数
左天枢(+)、左中注(+)、右天枢(やや+)
右然谷(やや+)
天牖(+)、アレルギー体質もある
脉、腹共に実で「順」
所見から、
扁桃、瘀血、肝実、アレルギー、自律神経処置
2 回目頭のボーッ消失、安定剤なし
左天枢・左中注(やや+)、術後(-)
3 回目弦数なし、右天枢(やや+)のみ
身体の反応が多いが、反応の消失も早い(心身
症の特徴)
所見が取れると共に、症状もなくなっていった
生活の立て直しの助言も効奏の一環となった
⑥「弾発指」 女性 52歳 OL
右第3指バネ指
4ヶ月前より発症
整形外科で注射等も効果なく来院
約1年前子宮筋腫 OP→その後閉経
平脉
圧痛、冷え、張りは特にない
特記なし
胸鎖乳突筋緊張が目立つ
脉、腹共に大きな変調はなく「順」
扁桃、副腎、横 V 字、帯脈
3 回目少し良いが、朝方悪い
4 回目(10 日目)だんだん屈伸スムーズに
更年期のバネ指
11 カ月前子宮筋腫摘出→その後閉経→ま
もなくバネ指発症
閉経によって全身の内分泌臓器、組織、運
動器官にも影響し、腱鞘炎を助長したのか
もしれない
症例のポイント⑤⑥
症例⑤
・過換気症候群は、心身症の症状で、息が荒くなって、二酸化炭素が出すぎてしまう為に
起るもので、口にビニール袋を当てて、袋の中の空気を使って呼吸すると落ち着くこと
がある。
・不摂生を絵に描いたような生活ぶりなので、生活指導も重要になってくる。
症例⑥
・更年期の時期に発症しているが、更年期症の関与は定かではない。
・バネ指には「横 V 字」「帯脈」は特に効を奏する。
・発症機序はどうあれ、我々はまず症状を取って結果を出さなければならない。
『質問 03』バネ指の横 V 字は何処にやったのですか?
「返答 03」C3.4.5.辺りを、10~15 ㍉と少し深めで雀啄しました。
また、症状が右側なので患側だけにしました。両側やっても構いません。
8
「脉のイメージトレーニング」
頭の中で患者さんを診ている様にイメージしてください。
・症例 1 の「細緊数」
細くて緊張していて早い脉状です。
自律神経失調、更年期症、冷えを現します。
交感神経が緊張していると、副腎皮質Hの分泌が抑制され、更年期はカルシウムが骨か
らとけだしたり、副甲状腺Hが亢進してしまうので骨粗鬆症が多いです。
・症例2の「洪緊数」
「洪脉」は、細くなく、鉛筆みたいに幅広い脉状です。
心肥大、スポーツ選手は大抵この脉状を呈しています。
また「緊数」は、緊張していて早い脉で、熱があることを現しています。
・症例3の「細軟数」
「軟脉」は、緊脉の逆で尖っていなくて丸みをおびています。
慢性症や、自覚しない扁桃の脉状です。
この場合の「数脉」も熱を現すので、症状の「灼熱痛」も、ここに現れています。
・症例4の「弱短」
「弱短」は、非常に弱い脉で、「沈遅」より更に悪い。
「短」は短くポツポツと途切れるような脉、そして「弱」はかなり弱い脉である。
この脉状は、何よりも、まず最優先にしなければならない。
「三陰交・陰陵泉・労宮・百会」
・症例5の「弦やや数」
「弦」は「緊」より「浮・中・沈」まで深く尖っている脉状。
性格的なものや、目の障害、難症疾患、肝胆の実を現し、同時に「脾虚」もある。
・症例6の「平脉」
早くもなく(80 拍以下)、遅くもなく(60 拍以上)、
「浮」でもなく、「沈」でもない。
「浮・中」まで感じるのが「浮脉」、「中・沈」で感じるのが「沈脉」。
「浮・中・沈」まで全てちゃんと触れて「平脉」
「緊」でも「弦」でもなく、柔らかい脉を「平脉」といいます。
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