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ドアに関する事故の分析とスライドドアのテスト [PDF

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ドアに関する事故の分析とスライドドアのテスト [PDF
目
次
1.目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
2.ドアに関する事故の分析 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
1) ドアに挟む事故の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
2) 主な事例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
3) 事故の傾向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
4) スライドドアに関する事故(40 件)の傾向・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
3.スライドドアに関するテスト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
1) テスト実施期間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
2) テスト対象銘柄・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
3) 概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
4) テスト結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
5)主なテスト結果一覧 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20
4.消費者へのアドバイス ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21
1) 病院情報から ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21
2) テスト結果から ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21
5.業界への要望 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22
6.テスト方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23
参考資料1・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25
参考資料2・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27
1.目的
国民生活センター危害情報システム※1では、全国 20 の協力病院から商品等に関連し
て発生したと思われる受診情報(以下、病院情報)を収集しているが、自動車に関連す
る事故は、毎年度、上位 4~6 位を占めており、2000 年 4 月から 2005 年 10 月末まで
に、協力病院から寄せられた自動車に関連する事故※2は 1,629 件であった。
このうち、自動車のドアや窓等で身体を挟んだ事故は 826 件と約半数を占め、非常
に多い。この中で、圧倒的多数を占めているのがドアにより挟んだというもの 755 件
(91.4%)である。事故の大半は不注意に起因するものであり、多くは軽症だが、なかに
は重い症状のもの、治療期間が長くかかるものなども見受けられた。
一方、自動車のドアのなかでも、開口部が大きく乗降が簡便であることや、ヒンジド
アのように外側に開ける構造ではないため、狭い場所での乗り降りができることから、
乗車定員が多く子供がいる家族向けに人気が高いミニバン※3にスライドドアが多く採
用されている。しかし、ヒンジドアに比べ重く、大きいため身体の一部を挟んだときは
重篤な事故となるケースもあり、病院情報にも「5 歳児が他人の閉めたスライドドアに
頭を挟まれ、頭部打撲・頭部挫傷を負った」、「車のスライドドアに指を挟んで骨折し
た」などの重篤な事例がみられる。また、ドアに挟んだときの衝撃力がどの程度か調査
した情報がほとんどないのが実態である。
そこで、病院情報からドアでの事故についての分析を行うとともに、スライドドアに
ついて商品テストを実施し、スライドドアに挟まれたときの衝撃力や、最近装備する車
種が多くなっているパワースライドドアに挟まれたときの衝撃力、挟み込み防止機能の
有効性についても調べて消費者へ情報提供する。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
※1
商品やサービス等により生命や身体に危害を受けたり、そのおそれがあった情報を全国の危害情報
収集協力病院及び消費生活センターからオンラインで収集し、それを分析し、消費者被害の未然防
止・拡大防止のために役立てることを目的として作られたシステムである。
※2 危害情報システムでは、自動車による「交通事故」は収集していない。
※3 ミニバンとは 6~8 人の多人数乗車を前提に開発された車で、
一部を除き 3 列シートを採用している。
ワンボックス型からステーションワゴン型まで様々なサイズ・タイプがある。
1
2.ドアに関する事故の分析
1)ドアに挟む事故の概要
(1) 10 歳未満、特に 2 歳に多発
被害者の年代別でみると、ドアでの事故(755 件)のうち 10 歳未満が最も多く 344
件で全体の 45.6%を占めていた(図 1a)。
80
69
70
55
60
n=755
344
44
104
91
49
50
44 47 34 47
件
数40
48
37
35
30
20
0%
10歳未満
20%
10歳代
20歳代
40%
30歳代
60%
40歳代
80%
50歳代
100%
60歳代
21
12
11
10
70歳以上
7
0
0歳 1歳 2歳 3歳
a)年代別構成比
4歳 5歳 6歳 7歳 8歳 9歳
b)10 歳未満の事故件数(n=344)
図 1.年代別構成比と 10 歳未満の事故件数
これをさらに細かくみると 2 歳で急激に増え、それを中心として 1 歳から 6 歳に
事故が多く発生していた(図 1b)。その他の年代は、20 歳代が 104 件、30 歳代が
91 件でやや多かった。
(2) 年齢が上がるほど女性の事故が増える
被害者の性別は、男性 361 件(47.8%) 、女性 394 件(52.2%)で、女性のほうがや
や多かった。さらに年代別に分析すると、10 歳未満では男性のほうが割合が高く、
年代が上がるにしたがって女性の割合が高くなる傾向にあった(図 2)。
9
70歳以上(n=47)
38
60歳代(n=34)
13
21
50歳代(n=47)
18
29
24
40歳代(n=44)
20
30歳代(n=91)
46
45
20歳代(n=104)
54
50
17
10歳代(n=44)
27
180
10歳未満(n=344)
0%
20%
男
女
164
40%
60%
図 2.年代別性別構成
2
80%
100%
(3) 多くが打撲傷・挫傷
どのようなけがをしたかという危害内容について最も多かったのは、「打撲傷・挫
傷」595 件で、全体の 78.8%を占める。次いで「骨折」73 件(9.7%)、「刺傷・切傷」54 件
(7.2%)が続いている(図 3)。なお、「切断」も 2 件(0.3%)ある。
図 3.危害内容別構成
(4) 腕・手、特に手指への危害が最多、ただし 0 歳児のみは脚部に危害を受けている
危害を受けた部位についてみたところ、最も多かったのは「腕・手」711 件で、全体
の 94.2%を占めていた。これらをより細かく分けると、「手指」が圧倒的に多く 658
件、次いで「手掌・手背(手首)」が 49 件であった。次いで脚部 30 件(4.0%)、頭部
11 件(1.5%)などとなっている。
さらに年齢ごとの差をみると、0 歳児のみ、腕・手での事故(4 件、33.3%)より脚
部の事故(7 件、58.3%)が多く、他の年齢に比べ特異であった(図 4)。この脚部
7 件のうち、足首から先が 4 件と多かった。
全体
711
10歳以上
30 14
393
13 5
9歳
7
0
8歳
11
0
7歳
20
0 1
36
6歳
10
46
5歳
11
46
4歳
0 3
53
3歳
11
62
2歳
5
2
33
1歳
2 0
4
0歳
0%
7
20%
40%
腕・手
60%
脚部
その他
図 4.年齢ごとにみた危害部位別構成
3
1
80%
100%
(5) 10 歳未満より 10 歳以上のほうが危害程度が重い
危害程度をみると、最も多かったのは、入院を要さない「軽症」694 件で、全体の
91.9%を占めている。その他は生命に危険はないが、入院を要する状態である「中等
症」61 件(8.1%)であった。
さらに年代ごとにみると、10 歳未満は中等症の割合が 4.1%だったのに対し、10
歳以上の同割合は 11.4%と 7.3 ポイント高くなった。
危害部位ごとの軽症の割合では、「体幹」と「脚部」はすべてが軽症だった。「腕・手」
は 8.4%が中等症、「頭部」は 12.5%が中等症であった。
図 5.危害程度別構成
(6) 10 歳未満より 10 歳以上のほうが治療見込み期間が長い
事故 755 件中、治療見込み期間がわかるものが 689 件あった。このうち、「1 週間
未満」が 498 件(72.3%)、これに対して「1 週間以上」が 191 件(27.7%)であった。
さらに年代ごとにみると、10 歳未満は「1 週間以上」の割合が 15.8%だったのに
対し、10 歳以上の同割合は 38.1%と 22.3 ポイント高くなった。
図 6.治療見込み期間別構成
4
(7) ドアを閉めるときの状況
事故 755 件中、誰がドアを閉めたかわからない事例が大半で、他人が閉めたこと
が判明している事例は 34 件あった。これについて被害者の年代をみると、10 歳未満
が 26 件(76.5%)と多かった。ドアでの事故に占める 10 歳未満の割合(45.6%)に比
べてこの割合は高い。他人に閉められて挟んだ事故のうち、被害者の多くは子どもで
あるといえる。
その他、自分で閉めたときにうっかり挟んだという事例もあった。また、「ドア
が勝手に閉まった」「風で閉まった」という事例もあった。
2)主な事例※4
(1) 重い症状の事例
・ 車のドアを閉めたときに頭部を挟み、頭部裂傷(2 歳
女児)。
・ 車から降りるとき、ドアを自分で閉めて手を挟み、左第1指基節骨骨折(6 歳
女
児)。
・ 車のドアで左第 2 指を挟み挫傷。消毒後ギブスをはめる。1 ヶ月ぐらいつけておく
ように言われた。左第 2 指末節亀裂骨折(30 歳代
男性)。
・ 左手を車のドアで挟み、左第 4 指末節骨骨折(60 歳代
男性)。
(2) 他人が閉めたとき
・ 子どもを抱いたまま、親が車の後部ドアを閉めた際、前のドアとの間に手を出して
いるのに気付かず閉めたので、前と後ろのドアの間に左親指が挟まり、捻挫(0 歳
女児)。
・ ベビーカーに乗せていて、ドアを閉めたら足の趾を挟んだ(0 歳
女児)。
・ 車のドアが開いていて、ドアの蝶番の辺りを持っていた。ドアを閉めたときに左手
を挟んで打撲(1歳
男児)。
(3) 勝手に閉まった
・ 自動車のドアが自然に閉まり左指を挟み打撲した(9 歳
男児)。
・ 車から出る途中、風でドアが閉まり左足を挟んだ(20 歳代
女性)。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
※4
ここに掲げた事例はヒンジドア、スライドドアの区別が不明である。
5
3)事故の傾向
(1) 事故は 10 歳未満の子どもに多い。軽症ではあっても心配して病院を受診する保護
者が多いことが考えられる。特に 2 歳を中心に多発している。10 歳以上の事故件
数は 10 歳未満の事故件数に比べて少ないが、その一方で、10 歳以上の危害程度は
重い割合が高く、また治療見込み期間が長い割合が高かった。
(2) 手指を中心とした腕・手の事故が多い。しかし、0 歳のみは脚部の危害が多い。0
歳児は自分でドアの開閉をすることは通常考えられず、他人がドアの操作をした
ときに事故に遭っていると思われることから、挟む部分は手より、むしろ脚部、
特に足首から先のほうが多いという結果になった。
(3) ついうっかりしての事故が多いが、閉める際に大きな力が必要なドアがあること
も要因と思われる。一方で、風の力や坂道などで勝手にドアが閉まって事故に遭
うケースもあった。
4)スライドドアに関する事故(40 件)の傾向
(1) 事故の傾向
ドアでの事故 755 件のうち、スライドドアと特定できたもの 40 件についても分析
したところ、スライドドアに関する事故は、10 歳未満の事故が多いこと(21 件:
52.5%)や、手指を挟まれる事例が多いこと(31 件:77.5%)など、ドア全体の傾
向と同様であった。しかし、危害内容をみると「骨折」が 6 件(15.0%)と多く、治療
見込み期間が分かるもの 36 件のうち、「1 週間未満」の 24 件(66.7%)に対し、「1
週間以上」が 12 件(33.3%)と 1/3 を占めており、ドア全体よりもけがの程度が重篤
となる傾向が見られた。
(2) 主な事例
・ 他人が閉めていた車のスライドドアに頭が挟まれてしまった。頭部打撲・頭部挫傷
(5 歳
男児)。
・ 自動車のスライドドアに左第 2 指、第 3 指を挟んだ。左第 2 指開放骨折(70 歳代
男
性)。
・ スライド式の車のドアを閉めようとしたとき、息子が手を置いていたのに気づいた
が止める間もなく、指を挟んでしまった。すべての車にゆっくりドアが閉まる装備
があればよい(2 歳
男児)。
・ ワンボックスカーの後部スライドドアを急勾配の坂道で開けて作業中に、急にドア
が閉まり親指を挟んで打撲した。ドアが重いため、かなりの力で挟まった(30 歳代
男性)。
6
3.スライドドアに関するテスト
1)テスト実施期間
検 体 入 手:2005 年 8~11 月
テスト期間:2005 年 8~11 月
2)テスト対象銘柄
テストはスライドドアを有する車種 14 銘柄について行った。テスト対象銘柄を表 1
に、外観を写真 1 に示す。各銘柄を排気量・乗車定員・スライドドアの形状から、軽(2
銘柄)、コンパクト A(1 銘柄)、コンパクト B[スライドドアの形状が特殊なもの](1 銘柄)、
ミニバン小(2 銘柄)、ミニバン中(4 銘柄)、ミニバン大(4 銘柄)の 6 クラスに分類した。
各銘柄のスライドドアに関係する機能・装備について表 2 に示す。
表 1.テスト対象銘柄
検体
No.
銘柄名
製造または
販売会社名
型式
年式
(年/月)
排気量
(CC)
乗車
定員
(人)
①
サンバー
富士重工業㈱
LE-TV1
17/7
660
4
②
ハイゼット
ダイハツ工業㈱
LE-S200V
15/10
660
4
コンパクト A
ラウム
トヨタ自動車㈱
UA-NCZ20
15/6
1500
5
左側センターピラーレス
コンパクト B
ポルテ
トヨタ自動車㈱
CBA-NNP10
16/9
1300
5
左ドアのみ大型スライ
ドドアを装備(右ド
アはヒンジドア)
①
シエンタ
トヨタ自動車㈱
CBA-NCP81G
17/4
1500
7
②
モビリオ
本田技研工業㈱
LA-GB1
14/11
1500
7
①
アイシス
トヨタ自動車㈱
CBA-ZNM10G
16/10
1800
7
②
ステップワゴン
本田技研工業㈱
DBA-RG1
17/7
2000
8
③
セレナ
日産自動車㈱
CBA-NC25
17/6
2000
8
④
プレマシー
マツダ㈱
DBA-CREW
17/3
2000
7
①
アルファード
トヨタ自動車㈱
TA-MNH10W
17/7
3000
8
②
エリシオン
本田技研工業㈱
DBA-RR2
16/11
2400
8
③
エルグランド
日産自動車㈱
CBA-E51
17/7
3500
8
④
MPV
マツダ㈱
GH-LW3W
15/7
2300
7
クラス
特徴
軽
ミニバン
小
ミニバン
中
ミニバン
大
*:このテスト結果は、テストのために入手した商品のみに関するものである。
7
左側センターピラーレス
両側パワースライドドア
軽
①(サンバー)
②(ハイゼット)
コ
ン
パ
ク
ト
A
(ラウム)
コ
ン
パ
ク
ト
B
(ポルテ)
ミ
ニ
バ
ン
小
ミ
ニ
バ
ン
中
ミ
ニ
バ
ン
大
*右のドアはヒンジドア
①(シエンタ)
②(モビリオ)
①(アイシス)
②(ステップワゴン)
③(セレナ)
④(プレマシー)
①(アルファード)
②(エリシオン)
③(エルグランド)
④(MPV)
写真 1.各銘柄の外観
8
表 2.スライドドアに関係する機能・装備
クラス
検体No.
①
軽
②
コンパクトA
コンパクトB
①
ミニバン小
②
①
②
ミニバン中
③
④
①
②
ミニバン大
③
④
挟み込み
挟み込み
防止機能①
オートクロージャー
防止機能②
(センサー有)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
ドア
パワースライド
ドア
右
左
右
左
-
-
-
-
右
-
左
右
左
○
右
左
右
左
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
○
○
-
-
右
左
右
左
右
左
右
左
-
○
-
○
-
○
○
○
-
○
-
○
-
○
-
-
-
○
-
○
-
○
○
○
-
○
○
○
○
○
○
○
右
左
右
左
右
左
右
左
-
○
-
○
-
○
-
-
-
○
-
○
-
○
-
-
-
○
-
○
-
○
-
-
○
○
○
○
○
○
○
○
○
-
-
-
○
○
○
右ドア(運転席側)はヒンジドア
○
○
○
リモコン
(パワースライドドアを操
作できるもの)
-
-
○
○
-
-
○
○
○
○
○
○
○
-
○:装備あり -:装備なし
パワースライドドア:電動でスライドドアを開閉する機能で、運転席のスイッチやリモコンで操作できる。
運転席にある電源スイッチで ON⇔OFF でき、エンジンが停止していても使用できる。
挟み込み防止機能:スライドドアに障害物を挟み込むことを防止する装置で、障害物を検知するとスライ
ドドアを反転させ挟み込みを防止する。検知方式から防止機能①と防止機能②に分類される。
防止機能①:ドア前端部のゴム製のセンサー(14 頁 写真 3)に障害物が接触すると作動するもので、防止機
能②と併せて 8 銘柄に装備。(25 頁 参考資料 1 参照)
防止機能②:上記の防止機能①のセンサーに接触しないような挟まれ方をした場合、モーターの負荷が大
きくなり、それを検知し作動するもので、パワースライドドアを装備する 9 銘柄すべてに装備。(25 頁 参
考資料 1 参照)
オートクロージャー:半ドアを防止する機能で、スライドドアが一定の位置まで閉まると自動的に作動し、
スライドドアをロック状態まで閉める。パワースライドドアのように ON⇔OFF することはできないが、
エンジンが停止していても作動する。(25 頁 参考資料 1 参照)
リモコン:離れた位置からパワースライドドアを開閉できる。
9
3)概要
自動車のスライドドアについて、挟まれたときの衝撃力を調べるとともに、最近装
備する車種が多くなったパワースライドドアについても、挟まれたときの衝撃力や挟
み込み防止機能の有効性などを調べた。
●スライドドアに挟まれたときの衝撃力は、ヒンジドアに挟まれたときの 2 倍以上と大
きく、重篤なけがを負う危険性があった
人が普通に閉めたスライドドアに挟まれたときの衝撃力は約 90~230kgf と非常に
大きく、ヒンジドア(約 60~100kgf)の 2 倍以上で、
重篤なけがを負う危険性があった。
●坂道でのスライドドアの開閉にはかなりの力が必要で、誤って手を放したときスライ
ドドアに挟まれる衝撃力は非常に大きく、重篤なけがを負う危険性があった
坂道(傾斜 5 度)でスライドドアを開けるための力は、平地の約 2 倍の力が必要であ
った。一部の銘柄では約 8~10kgf にもなり、非力な人ではドアを開け切れずに放して
しまう可能性があった。また、スライドドアが自然に閉まり、挟まれたときの衝撃力
は約 110~290kgf(各クラスの平均)と非常に大きく、重篤なけがを負う危険性があっ
た。
●パワースライドドアに挟まれると、人が閉めたときより小さい衝撃力で挟み込み防止
機能が作動したが、挟まれ方によっては作動しないことがあった
パワースライドドアに挟まれると、人が閉めたときよりも小さい約 5~37kgf(各ク
ラスの平均)の衝撃力で挟み込み防止機能が作動した。しかし、指先が挟まれた場合や
指を曲げるように挟まれた場合には挟み込み防止機能が作動せず、オートクロージャ
ーにより、強制的にドアが閉められて挟まれる危険性があった。
●リモコンによるスライドドアの開閉は便利であるが、車の周辺の状況が確認できない
ほど離れた位置から操作することも可能なため注意が必要であった
パワースライドドアはリモコンでも操作できるが、車両から 60m も離れた位置から
スライドドアを開閉できる銘柄もあり、周辺や車内の様子が分からないため思わぬ事
故につながる危険性があった。
●夜間、後続車にスライドドアが開いていることを知らせる反射板の装備状況はまちま
ちで、左右のドアとも装着されていない銘柄がみられた
スライドドアはヒンジドアのように外側に大きく開かないため、特に夜間はドアが
開いていることが後続車から分かりにくい。スライドドアを開けると後端部に反射板
が装備されていたのは 8 銘柄で、そのうち左右両側とも装備されていたのは 2 銘柄で
あった。6 銘柄は、左右どちらにも装備されていなかった。
10
4)テスト結果
(1) スライドドアに挟まれたときの衝撃力
スライドドアに挟まれたときの衝撃力は、ヒンジドアに挟まれたときの 2 倍以上
と大きく、重篤なけがを負う危険性があった
病院情報には「スライドドアに指を挟み骨折した」という重篤な事故がみられる。
そこで、平坦な場所に停車した車両のスライドドアを男性のモニター3 名が思い切り
閉めるのではなく、普通に閉めたときの衝撃力がどの程度なのかを調べた。また、ヒ
ンジドアに挟まれた場合の衝撃力も同様に調べた。
その結果、人が普通に閉めたスライドドアに挟まれたときの衝撃力は、クラスや
銘柄により差はあるものの、92~231kgf※5 と非常に強い力が加わることが分かった
(図 7 参照)。この値は、ヒンジドアに挟まれたときの衝撃力 56~95kgfの 2 倍以上の
大きさで、病院情報の事故事例にあるように重篤な事故を引き起こす危険性があった。
なお、「ドアプロジェクトシンポジウム資料」※6によると、子供の頭では約 100kgf、
大人の頭では約 200kgfの衝撃力が加わると破壊するとしている。
140
93
軽
コンパクトA
166
131
コンパクトB
231
131
ミニバン小
98
ミニバン中
102
186
226
92
ミニバン大
ヒンジドア
0
56
95
50
100
150
衝撃力(kgf)
200
250
300
図 7.スライドドアに挟まれたときの衝撃力
(普通に閉めたときの各クラスの幅)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
※5
※6
kgf:質量 1kg の重さを支えるのに必要な力が 1kgf。
2004 年 3 月に、東京六本木ヒルズ森タワーの回転ドアに挟まれた子供が死亡した事故が発端となり、
工学院大学教授・東京大学名誉教授の畑村洋太郎先生が「ドアプロジェクト」を結成し、事故のあった回
転ドアを含むあらゆるドアの危険性を検証した。
11
(2) 坂道でスライドドアを使用する場合の危険性
病院情報には「坂道で作業中、急にドアが閉まり親指を挟んだ」という事故がみら
れる。そこで、坂道でスライドドアを使用した場合どのような状況になるか調べた。
①
坂道でスライドドアを開けるのに必要な力
5 度の下り坂でスライドドアを開けようとすると非常に大きな力が必要となり、
非力な人では開け切れずに、スライドドアが自然に閉まる可能性があった
坂道でスライドドアを開けるためには平地よりも力が必要になる。そこで、5
度の下り坂でスライドドアを開けるときの力を測定し、平地の場合と比較した。
その結果、平地では 2.2~5.1kgf(各クラスの平均)の力でスライドドアを開ける
ことができるが、5 度の下り坂では 4.0~9.4kgf の力が必要となり、平地の約 2 倍
の力が必要であった(図 8 参照)。また、一部の銘柄(平地:約 4kgf、5 度:約 7kgf)で
女性 6 名のモニターにスライドドアの開閉を行ってもらったところ、全員から「片
手で操作するには重い」と回答があり、「開け切れずロックできない」との意見もあ
った。これらのことから、非力な人ではスライドドアを完全に開け切ることがで
きずに、ドアが自然に動き出し勢いよく閉まってしまう可能性が考えられた。
写真 2.5 度の坂道の停車した車両
2.2
軽
4.0
2.5
コンパクトA
5.0
5.1
コンパクトB
9.4
ミニバン小
4.9
3.6
ミニバン中
6.7
4.3
ミニバン大
0.0
平地
5度
2.4
8.0
1.0
2.0
3.0
4.0
5.0
力(kgf)
6.0
7.0
8.0
図 8.スライドドアを開けるのに必要な力
(各クラスの平均)
12
9.0
10.0
②
坂道でスライドドアが自然に閉まったときの衝撃力
5 度の下り坂でスライドドアが自然に閉まったときの衝撃力は、平地で人が閉
めたときと比べほとんどが大きく、挟まれた場合に重篤なけがを負う危険性があ
った
非力な人が下り坂でスライドドアを開けようとして完全に開き切れずに手を放
した場合、自然に動き出し勢いよく閉まることが考えられる。そこで、5 度の下り
坂でスライドドアがほぼ全開の位置から自然に閉まったときの衝撃力を調べた。
その結果、5 度の坂道で自然に閉まったスライドドアに挟まれたときの衝撃力は、
各クラスの平均で 110~288kgf(図 9 参照)と、コンパクト A を除きモニターが平地
で閉めたスライドドアに挟まれたときの衝撃力を上回っており、身体の一部を挟
まれたりすると重篤なけがを負う危険性があった。
なお、コンパクト A で自然に閉まったときの衝撃力が小さかったのは、ドアが
スライドする幅が最も短く(20 頁 主なテスト結果一覧参照)、勢いがつかなかった
ことが原因と考えられる。
122
軽
コンパクトA
142
149
110
231
コンパクトB
115
ミニバン小
176
159
ミニバン大
0
50
100
平地
5度
151
133
ミニバン中
288
150
200
衝 撃 力 (kgf)
226
250
300
350
図 9.5 度の坂道でスライドドアが自然に閉まった衝撃力と平地で人が閉めた衝撃力
(各クラスの平均)
③
坂道でパワースライドドアの電源を切ったときの状況確認
下り坂でパワースライドドアの作動中に電源スイッチを切ると、ドアが停止す
るなど安全なものがあったが、自然に動き出し勢いよく閉まるものもみられた
電動でスライドドアの開閉を行うパワースライドドアは、非力な人でも簡便に
使用でき、実際に 5 度の坂道で使用しても問題はみられなかった。しかし、パワ
ースライドドアの作動中でも運転席にある電源スイッチを切ると手動で使用する
ことができるため、下り坂でパワースライドドアを開閉中に電源スイッチを切る
ようなことがあると、自然に動き出し勢いよく閉まることが考えられる。そこで、
5 度の下り坂でパワースライドドアの開閉中に電源スイッチを切って状況を調べ
13
た。
その結果、電源スイッチを切るとその位置でドアが停止する銘柄、また断続的
に減速しながら閉まるなど安全性が高い銘柄があった一方で、電源を切った位置
から自然に動き出し勢いよく閉まる銘柄もあった。なお、自然に閉まる銘柄の取
扱説明書には「傾斜地で電源スイッチを OFF にすると不意に動き出すおそれがあ
るので十分注意すること」等の注意書きがみられた(表 3 参照)。
表 3.下り坂でパワースライドドアの開閉中に電源スイッチを切ったときの状況確認
検体
No.
コンパクト A
コンパクト B
①
②
ミニバン中
③
クラス
④
ミニバン大
①
②
③
ドア
電源を切ったときのスライドドアの状況
左
左
左
左
左
右
左
左
左
左
電源を切った位置から自然に動き出し勢いよく閉まる
電源を切った位置から自然に動き出し勢いよく閉まる
電源を切った位置から自然に動き出し勢いよく閉まる
電源を切った位置で停止
電源を切った位置から断続的に減速しながら閉まる
電源を切った位置で停止するが、停止しない場合もあった
電源を切った位置で停止するが、停止しない場合もあった
電源を切った位置から自然に動き出し勢いよく閉まる
電源を切った位置で停止
電源を切った位置から断続的に減速しながら閉まる
(3) パワースライドドアの安全性
電動で開閉できるパワースライドドアを装備した 9 銘柄には、誤って身体の一部
を挟んだ場合などにドアを反転させて挟み込みを防止する機能(挟み込み防止機能)
が装備されており、次の 2 種類が確認された。また、パワースライドドアを装備した
すべての銘柄にオートクロージャーが装備されていた。
パワースライドドア:電動でスライドドアを開閉する機能で、運転席のスイッチやリモコンで操作
できる。運転席にある電源スイッチで ON⇔OFF でき、エンジンが停止していても使用できる。
挟み込み防止機能:スライドドアに障害物を挟み込むことを防止する装置で、障害物を検知すると
スライドドアを反転させ挟み込みを防止する。検知方式から防止機能①と防止機能②に分類される。
防止機能①:ドア前端部のゴム製のセンサー(写真 3)に障害物が接触すると作動するもので、防止
機能②と併せて 8 銘柄に装備。(25 頁 参考資料 1 参照)
防止機能②:上記の防止機能①のセンサーに接触しないような挟まれ方をした場合、モーターの負
荷が大きくなり、それを検知し作動するもので、パワースライドドアを装備する 9 銘柄すべてに装
備。(25 頁 参考資料 1 参照)
オートクロージャー:半ドアを防止する機能で、スライドドアが一定の位置まで閉まると自動的に
作動し、スライドドアをロック状態まで閉める。パワースライドドアのように ON⇔OFF すること
はできないが、エンジンが停止していても作動する。(25 頁 参考資料 1 参照)
写真 3.防止機能①のセンサー
14
①
パワースライドドアに挟まれたときの衝撃力
パワースライドドアに挟まれたときの衝撃力は人が閉めた場合よりも小さく、
挟み込み防止機能が作動しスライドドアは反転した
パワースライドドアを装備した 9 銘柄について、ドアに挟まれたときに防止機
能①、防止機能②が作動するときの衝撃力を調べた。
その結果、防止機能①が作動するときの衝撃力は、各クラスの平均で 5~10kgf、
防止機能②が作動するときの衝撃力は 15~37kgf となり、モニターがスライドド
アを手動で閉めたときの衝撃力 133~231kgf と比較すると非常に小さかった(図
10 参照)。特に防止機能①は、センサー部を指先で押す程度の力でスライドドアが
反転した。
しかし、防止機能②が作動するときの衝撃力は約 15kgf(コンパクト A)と小さな
ものがある一方で、これと比べて約 50kgf(ミニバン大③)と大きい銘柄もみられた
(20 頁 主なテスト結果一覧参照)。なお、防止機能②は、防止機能①に比べ障害物
の検知に若干時間がかかった。
149
6
コンパクトA
15
231
5
コンパクトB
手動
22
防止機能①
(センサー有)
防止機能②
133
6
ミニバン中
25
159
10
ミニバン大
37
0
50
100
150
200
250
衝撃力(kgf)
図 10.スライドドアに挟まれたときの衝撃力の比較
(パワースライドドアを装備した 9 銘柄の各クラスの平均と手動で閉めた各クラスの平均)
②
挟み込み防止機能の作動確認
挟み込み防止機能は 5~6mm の小さな障害物も検知して挟み込みを防止するが、
状況によっては機能が作動せずに挟まれることがあった
パワースライドドアのドアノブ付近に車外から直径 5~20mm の金属製丸棒の
先端 50mm を挟んだ場合と幼児ダミー人形の弾力性のある指(3 歳児モデル
(根元):直径 12mm)を挟んだ場合に挟み込み防止機能が作動するか調べた。
15
中指
その結果、金属製の丸棒を挟んだ場合には防止機能①のセンサーが作動し挟み
込まれることはなかった。また、幼児ダミーの指を挟んだ場合は、センサーに接
触すれば挟み込み防止機能が働き挟まれることはなかったが、センサーに接触し
にくい挟まれ方をすると挟み込み防止機能が作動しないことがあった。これは、
各車両の構造や、指がドアに押されて変形することでオートクロージャーが作動
する間隔 (7~14mm、20 頁 主なテスト結果一覧参照)より細くなること、さらに
以下に示すような状況などが原因と考えられる。
・ 指先が挟まれた状況(状況①)
指先が挟まれたような場合、センサーに接触せず挟み込み防止機能①が作動
しないことがあった(図 11 参照)。特にセンサーと外板とが離れている箇所では、
深く挟まれた。(写真 4 参照)
状況①
ピラー
(指先が挟ま
れた状況)
ヒンジドア
車外
センサー
スライドドア
閉まる方向
指先だけ挟まれるような場合、センサーに接触しないことが 指が押されオートクロージャーの作動する間隔よりも細くな
ある
ると、オートクロージャーにより強制的にドアが閉まる
図 11.指先が挟まれた状況の検証
a)センサーと外板の距離が離れている箇所
b)挟まれたダミー人形の指
写真 4.センサーと外板の距離が離れている箇所及び指が挟まれた例
・ 指を曲げるように挟まれた状況(状況②)
センサーと外板が離れている箇所などで指が曲がるように挟まれるとセンサー
に接触しにくく、挟み込み防止機能①が作動しないことがあった(図 12 参照)。実
際、試験中にけがはなかったものの不注意で指が挟まれることがあった。
16
状況②
ピラー
(指を曲
げるよう
に挟まれ
た状況)
センサー
ヒンジドア
スライドドア
車外
閉まる方向
センサーと外板の距離が離れている箇所などで指を曲げる センサーを避けるように曲げられつつ指が押され、オートク
ように挟まれるとセンサーに接触しにくい
ロージャーの作動する間隔よりも細くなり挟まれる
図 12.指を曲げるように挟まれた状況の検証
③
リモコン操作によるパワースライドドアの開閉
銘柄によっては車両の周辺の安全が確認できないほど離れた位置からパワース
ライドドアを開閉することができた
パワースライドドアは、ドアノブや運転席のスイッチだけでなく、リモコン操
作により離れた位置から開閉することができる。そこで、平坦な場所において車
両の前後左右方向からリモコンを操作し、スライドドアを開閉できる距離を測定
した。
測定の結果を表 4 に示す。リモコンにより開閉できる距離は各銘柄とも方向(前
後左右)によって異なり、操作距離が最も長いもので 60m、最も短いもので 13m
離れた位置からスライドドアを開閉することができた。
離れた位置からでは車両の周辺や車内の様子が分からないため、このような状
況でパワースライドドアを操作することは思わぬ事故につながる可能性がある。
特に、操作者の位置から反対側のパワースライドドアを開閉するような場合は、
周囲の状況が十分に確認できないため、遠距離からの開閉を行うのは危険である。
表 4.リモコン操作によりスライドドアを開閉できる距離(単位:m)
検体
No.
コンパクト A
コンパクト B
①
②
ミニバン中
③
クラス
④
ミニバン大
①
②
③
前
後
左
右
23
21
18
27
28
26
26
23
32
24
22
13
19
33
23
23
23
19
26
16
25
25
28
32
60
27
27
25
31
24
22
21
31
35
60
29
29
36
32
20
17
(4) スライドドア開放時の後続車からの視認性
夜間、後続車にスライドドアが開いていることを知らせるための反射板の装備状
況はまちまちで、左右のドアとも装備されていない銘柄がみられた
スライドドアは外側に大きく開かないことが特徴であるが、ドアが開いているこ
とが後続車から分かりにくく、特に夜間に急に降りてきた乗員との事故につながるこ
とも考えられる。従来スライドドアは歩道側(左側)にのみ装備されていたが、最近は
車道側(右側)にも装備されてきている。ヒンジドアには反射板やランプなどで、後続
車にドアが開いていることを知らせる装備もあることから、スライドドアについても
同様の装備があるかを調べた。
スライドドアを開くと、後端部に反射板(写真 5)を装備している銘柄がみられ、そ
の装備状況を表 5 に示す。右側に装備されていたものは 8 銘柄で、そのうちで両側に
装備されていたものは 2 銘柄であった。なお、両側とも装備されていないものが 6
銘柄あった。
夜間の後続車からの反射板の見え方(写真 6)は、反射板がない側よりも見えやすい
が、反射板自体が小さいため、バンパー部の反射板よりも見えにくかった。
写真 5.スライドドア後端の反射板
写真 6.夜間の見え方
(30m 離れた後続車から)
18
表 5.反射板の装備状況
検体
No.
①
軽
②
コンパクト A
コンパクト B
①
ミニバン小
②
①
②
ミニバン中
③
④
①
②
ミニバン大
③
④
クラス
○:装備あり
左ドア
-
-
-
-
-
-
○
-
-
-
-
-
-
○
-:装備なし
19
右ドア
-
-
○
- 注
○
-
○
-
○
○
○
-
○
○
注:右ドアはヒンジドア
5)主なテスト結果一覧
スライドドアに関係する装備
クラス
検体No.
銘柄名
ド
ア
スライドドアの大きさ(mm)
リモコン
挟み込み 挟み込み
パワースライ
オートクロージ (パワースライド
防止機能 防止機能
ドアを操作
ドドア
ャー
できるも
①
②
幅
高さ
1055
1335
859
5
10
-
140
56
2.1
3.9
176
-
-
-
-
1055
1335
856
6
10
-
137
58
2.3
3.9
161
-
-
-
-
995
1454
779
5
0
-
93
2.6
4.4
107
-
-
-
-
1.8
3.8
124
-
-
-
-
1.9
4.0
129
-
-
-
-
3.1
5.9
91
6
15
25
17
の)
①
サンバー
軽
②
コンパクト A
コンパクト B
①
ハイゼット
ラウム
ポルテ 注1
シエンタ
20
ミニバン小
②
モビリオ
①
アイシス
②
ステップワゴン
③
セレナ
④
プレマシー
①
アルファード
②
エリシオン
③
エルグランド
ミニバン中
ミニバン大
④
MPV
右
-
-
-
-
左
-
-
-
-
右
-
-
-
-
左
-
-
-
-
右
-
-
-
-
左
○
○
○
○
右
左
○
○
○
○
右
-
-
-
○
左
-
-
-
○
右
-
-
-
-
左
-
-
-
-
右
-
-
-
-
左
○
○
○
○
右
-
-
-
○
左
○
○
○
○
右
-
-
-
○
左
○
○
○
○
右
○
-
○
○
左
○
-
○
○
右
-
-
-
○
左
○
○
○
○
右
-
-
-
○
左
○
○
○
○
右
-
-
-
○
左
○
○
○
○
右
-
-
-
○
-
-
○
左 -
○:装備あり
-:装備なし
注1 右側はヒンジドア
注2 ドアノブ付近のスライドドアの外板の隙間
-
-
○
○
-
-
○
○
○
○
○
○
○
-
パワースライドドアに挟ま
スライドドア
スライド幅 スライドドアの隙間(mm)
挟み込み防止センサー
ヒンジドアに スライドドアを開けるの 5 度坂道で れたときの衝撃力
に挟まれ
(mm)
注2
に必要な力(kgf)
(mm) 注3
挟まれた
スライドドア
オートクロージャ
(kgf)
たときの
ときの衝
が自然に
ーの作動間
衝撃力
隔(mm)
撃力(kgf)
閉まった
(kgf)
〔モニター3名 平地 5 度の坂道 ときの衝 防止機能 防止機能 センサー 外板から
注2
通常
車外
車内
〔モニター3名
①
②
の高さ
の距離
の平均値〕
撃力(kgf)
の平均値〕
998
1456
784
5
0
-
116
1060
1235
641
5
7
-
131
1060
1235
646
6
7
11
166
69
62
1380
1470
1070
5
15
9
231
5.1
9.4
288
5
22
4
5
1155
1380
666
6
4
9
99
71
2.0
4.7
157
-
-
-
-
1155
1380
664
6
4
9
98
73
2.1
4.9
127
-
-
-
-
1003
1326
668
5
8
-
131
92
2.6
5.2
150
-
-
-
-
1010
1335
665
6
10
-
131
95
2.7
4.8
170
-
-
-
-
1270
1350
780
5
7
-
119
67
1.9
4.6
134
-
-
-
-
1222
1340
780
4
7
10
137
3.5
7.4
156
10
27
25
18
1148
1425
785
6
10
10
186
69
3.3
6.5
213
-
-
-
-
1147
1416
780
6
10
10
160
71
4.6
7.8
225
2
36
12
16
1158
1495
846
5
9
9
130
79
3.1
6.3
250
-
-
-
-
1158
1495
847
5
9
10
124
78
4.0
7.7
221
6
22
19
16
1160
1315
779
6
7
9
104
61
4.3
6.7
109
-
22
-
-
1170
1312
775
6
7
9
102
67
4.0
6.5
96
-
17
-
-
1308
1610
874
4
9
8
159
79
2.9
7.1
259
-
-
-
-
1310
1613
876
5
8
8
92
77
4.3
8.7
223
11
37
16
13
1180
1450
815
9
10
13
226
75
4.3
8.6
308
-
-
-
-
1180
1445
822
10
11
14
155
86
8.4
12.2
179
5
24
14
18
1178
1597
909
8
12
12
123
60
2.9
6.4
225
-
-
-
-
65
1175
1595
918
7
12
11
108
4.2
7.6
166
13
50
17
29
1145
1369
677
6
25
7
195
3.6
6.5
228
-
-
-
-
1145
1374
676
5
25
8
210
3.7
6.6
218
-
-
-
-
注3 26 頁 図14 参照
4.消費者へのアドバイス
1)病院情報から
(1) 子どもの事故が多いが、これは保護者の不注意で起こることも多いようなので、
特に小さい子どもを自動車に乗せてドアを閉めるときは子どもが手や足などをド
ア部分に出していないかを確認すること。子どもがいたずらしてドアの開閉を行
うことが考えられるなら、車内からドアを開けられないチャイルドロックをかけ
るとよい。
(2) 大半が軽症とはいえ、年齢が上がるにつれ危害程度が重くなり、治療に時間がか
かるようになる。特にけがの多い手指の爪を中心とした部分は細かい組織で治療
も難しく、後遺症があると日常生活に影響も考えられる。ドアの開閉動作はあわ
てず、気をつけて行うこと。
(3) 風の力や坂道などで予期せずにドアが閉まることで危害を受けているケースもあ
る。強風や坂道などでドアに力がかかる状態で無理してドアの開閉を行わないこ
と。
(4) 万一けがをした場合、出血しているなら患部をハンカチなどで軽く押さえ止血す
る。輪ゴムやヒモなどできつく縛ったりしないこと。内出血を起こしている場合
は冷やすこと。いずれも大きなけがであれば病院を受診すること。
2)テスト結果から
(1) スライドドアに挟まれたときの衝撃力は、ヒンジドアに比べ 2 倍以上と非常に大
きく、重篤な事故も発生しているので操作するときには注意が必要
テストした結果、人が閉めたスライドドアに挟まれたときの衝撃力は、大きなも
のは 200kgf を超えヒンジドアに比べ 2 倍以上となる。また、病院情報には、「車の
スライドドアに、指を挟んで骨折した」など重篤な事故が発生しているので、スライ
ドドアを閉める際には、ドアの周辺、特に子供の行動に注意を払って操作する必要が
ある。
(2) 坂道でのスライドドアの開閉にはかなりの力が必要で、誤って手を放しスライド
ドアに挟まれると重篤な事故となるので、操作は慎重に行うこと
坂道でスライドドアを開閉するとスライドドアの重量がかかってくるため、平地
で開閉する場合よりも力が必要となる。重くなったスライドドアを開け切れず手を放
してしまうと、勢いよく閉まり大きなけがを負う可能性がある。また、パワースライ
ドドアであっても作動中に電源スイッチを切るとスライドドアが自然に閉まる銘柄
21
もみられたことから、車を坂道に停車した場合には、より慎重にスライドドアを操作
する必要がある。
(3) パワースライドドアを操作するときには周辺の状況を確認してから行うこと
パワースライドドアには挟み込みを防止する機能が装備されていたが、挟まれ方
によっては作動しないことがあったので、開閉の際には慎重に操作する必要がある。
また、運転席のスイッチやリモコンでも開閉が可能であるが、安全のためドアの周辺
が確認できる位置で行うとともに、同乗者に声をかけるなどして、挟み込み事故を避
ける注意が必要である。
(4) スライドドアが開いていることを示す反射板が装備されていないこともあるため、
乗車している人はもちろんのこと、車両で走行している人は十分に注意する必要
がある
スライドドアは外側に大きく開かないために、夜間では後続車からドアが開いて
いるのが分かりにくく、乗員が降りてきた場合事故につながる可能性があることから、
ドアの後端部に反射板が装備されている銘柄もみられた。しかし、全く装備されてい
ない銘柄もあったことから、乗車している人もちろんのこと、、車両で走行している
人は十分に注意する必要がある。
5.業界への要望
1)パワースライドドアの挟み込み防止機能は、作動するときの衝撃力が大きいもの
や、状況によっては作動しないこともあったので、より安全なものとなるよう改
善を要望する
パワースライドドアには挟み込み防止機能が装備されているため、挟まれたときの
衝撃力は人が閉めたときよりも小さかった。しかし、一部の銘柄の衝撃力は約 50kgf
と他に比べ大きかったので、できるだけ小さくするよう改善を要望する。また、指先
を挟み込んだときなどに挟み込み防止機能が作動しない状況も確認されたので、より
安全なものとなるよう改善を要望する。
2)リモコン操作ではかなり遠くからパワースライドドアの開閉ができたが、安全の
観点から改善を要望する
パワースライドドアはリモコンを操作することで、13~60m 離れた位置からスラ
イドドアを開閉することができたり、操作者の反対側のスライドドアを開閉すること
もできた。このように、周辺の安全が確認できない状態でもスライドドアを開閉でき
ることは安全の観点から問題があると考えられることから、改善を要望する。
22
6.テスト方法
1)スライドドアに挟まれたときの衝撃力
スライドドアに挟まれたときの衝撃力を、車体側に設置したロードセル(荷重計)で
測定した。男性 3 名(30~40 歳代)のモニターがスライドドアを普通に閉め、車体側(ピ
ラー等)に設置したロードセル(図 13a)に、ドア側に設置した当て板(図 13b)が衝突した
ときの衝撃荷重を衝撃力として求めた。なお、衝撃力は 3 名の平均値とした。ロード
セルに当て板が接触したときのスライドドアの隙間(=挟まれ幅(前ドア後端部とスラ
イドドア前端部との隙間))は約 50mm とし、左右それぞれのドアについて行い、パワ
ースライドドアを有する 9 銘柄については、パワースライドドアの電源を切り、手動
で操作した。
また、12 銘柄(20 頁 主なテスト結果一覧参照)については、ヒンジドアに挟まれた
ときの衝撃力も測定した。測定は、車体側にロードセル、ヒンジドア側に当て板を取
り付け、モニター3 名が普通に閉めたときの値を求めた。
40mm
40mm
5mm
10mm
ゴム板
木製の板
50mm
~
10
アルミ製治具 当て板
5mm
10mm
10mm
25mm
21mm
50mm
50mm
50mm
a)ロードセル
b)当て板
図 13.ロードセル(荷重計)及び当て板
2)坂道でスライドドアを使用する場合の危険性
(1) 坂道でスライドドアを開けるのに必要な力
平地及び 5 度の下り坂に停車した車両のスライドドアの前端にプッシュプルゲー
ジを取り付け、ドアを開ける方向と平行になるように一定の速度(約 10cm/s)でプッシ
ュプルゲージを引き、スライドドアを開けるのに必要な力を測定した。なお、測定は
ドアが 15cm 開いた状態から約 50cm 開くまでとし、パワースライドドアを有する 9
銘柄については、パワースライドドアの電源スイッチを切り、手動で開けるのに必要
23
な力を測定した。なお、一部の銘柄(平地:約 4kgf、5 度:約 7kgf)については、女性 6
名(年齢 20~30 歳代)でスライドドアの開閉のモニターテストを行った。
(2) 坂道でスライドドアが自然に閉まったときの衝撃力
5 度の下り坂に停車した車両について、スライドドアを全開位置からロックをはず
し、自然に閉まったときの衝撃力を前述した方法で測定した。左右のドアそれぞれに
ついて測定し、パワースライドドアを有する 9 銘柄は、パワースライドドアの電源ス
イッチを切り手動で操作できる状態で行った。
(3) 坂道でパワースライドドアの電源を切ったときの状況確認
5 度の下り坂に停車した車両について、運転席からの操作でパワースライドドアの
開閉中に、パワースライドドアの電源スイッチを切ったときの状況を調べた。
3)パワースライドドアの安全性
(1) パワースライドドアに挟まれたときの衝撃力
パワースライドドアを装備する 9 銘柄について、パワースライドドアに挟まれた
ときの衝撃力(挟み込み防止機能が作動するときの衝撃力)を調べた。
防止機能①については、ドアノブ付近の防止機能①のセンサーと接触する位置、
防止機能②については、「1」スライドドアに挟まれたときの衝撃力」と同じ位置で測定
した。防止機能①の測定では当て板を使用せず、ロードセルとセンサーが直接接触す
るように行った。
(2) 挟み込み防止機能の作動確認
パワースライドドアを装備する 9 銘柄について、直径 5~20mm の金属製の丸棒
の先端(50mm)を車外及び車内のドアノブ付近に挟み、挟み込み防止機能の作動を確
認した。また、柔軟な構造を持つ幼児ダミーの指(3 歳児モデル
中指の長さ:約 43mm、
直径:約 12mm(根元))についても、ドアノブ付近やセンサーと外板が離れている箇
所に挟み、挟み込み防止機能の作動を調べた。
(3) リモコン操作によるパワースライドドアの開閉
平坦な場所に停車した車両の前後左右方向から、リモコンでパワースライドドア
を操作できる距離を測定した。リモコンは新品の電池を使用し、地上から約 1m の高
さで車両に向けて操作した。
4)スライドドア開放時の後続車からの視認性
スライドドア後端に反射板を装備しているかを調べた。さらに、夜間にヘッドライ
トを点灯した 30m 後方の車両から反射板の視認性を調べた。
24
参考資料 1
スライドドアに関する装備の解説
1)スライドドア
スライドドア(写真 7a)は、ドアが車体に沿ってスライドすることで開閉を行い、全
開・全閉の位置でロックできるタイプのドアで、開口部が広く乗り降りが簡便で、ヒン
ジドア(写真 7b)のように外側に開かないため狭い場所で開閉できるという特徴がある。
a)左側(スライドドア)
b)右側(ヒンジドア)
写真 7.スライドドアとヒンジドア(コンパクト B)
2)パワースライドドア
電動でスライドドアを開閉する機能で、運転席の操作ボタン(写真 8)、リモコン、ド
アノブで操作できる。この機能はエンジンが停止した状態でも作動し、運転席にある
パワースライドドアの電源スイッチを操作することで ON⇔OFF でき、OFF の状態で
は手動で開閉できる。
パワースライドドア
電源スイッチ
左パワースライドドア
操作ボタン
右パワースライドドア
操作ボタン
写真 8.運転席のパワースライドドアの電源スイッチ及び操作スイッチ
3)挟み込み防止機能
スライドドアに障害物を挟み込むことを防止する装置で、障害物を検知するとスラ
イドドアを反転させ挟み込みを防止する。検知方式から防止機能①と防止機能②に分
類される。
25
(1) 防止機能①:ドア前端部のゴム製のセンサー(14 頁 写真 3)に障害物が接触すると
作動するもので、防止機能②と併せて 8 銘柄に装備。
(2) 防止機能②:上記の防止機能①のセンサーに接触しないような挟まれ方をした場
合、モーターの負荷が大きくなり、それを検知し作動するもので、パワースライ
ドドアを装備する 9 銘柄すべてに装備。
スライドド
アが完全に
閉まってい
る状態
車内
ピラー
センサーの高さ
スライドドア
ヒンジドア
スライドドア
外板からの距離
車外
センサー
防止機能①
について
障害物
閉まる方向
センサーに接触する位置に障害物があった場合
障害物
防止機能②
について
外板に挟まれるより先にセンサーに接触し反転する
閉まる方向
ドアの隙間がオートクロージャーの作動間隔より広ければモータ
ーの負荷を感知して反転する
センサーに接触しない位置に障害物があった場合
図 14.挟み込み防止機能の解説
4)オートクロージャー
半ドアを防止する機能で、スライドドアが一定の位置まで閉まると自動的に作動し、
スライドドアをロック状態まで閉める。パワースライドドアのように ON⇔OFF する
ことはできないが、エンジンが停止していても作動する。
5)リモコン
離れた位置からパワースライドドアを開閉できる。
26
参考資料 2
ドアでの事故に関する医学的見解(鳥取県立中央病院
整形外科医長
山本清司氏)
1)手指のけが、子どものけがが多い
ドアにより手指を挟む事故は、特に乳幼児などの子どもに集中している。ただし、
子どもの場合は組織の柔軟性が高いことから危害程度は小さく、また保護者が万一の
ことを心配して受診するケースも多い。その一方で、年齢が上がると関節や腱などが
硬くなり、反射神経などの動きも落ちることから、重い症状となる傾向にある。
また、治癒能力については、子どもは細胞分裂も早いため治癒能力は高いが、高齢
者の治癒能力は子どもに比べて低くなる。
手指の中でも、指先が指根元より圧倒的に多く、さらに爪側から挟むケースが多い。
その位置、深さによって危害程度が変わり、治療方針や後遺症の有無も違ってくる。
2)手指を挟んだ際の損傷、治療方法(手指の断面イメージは図 15 参照)
そうしょう
最も多いのは、爪の周辺を挟むケースである。爪の下にある爪 床 の根元には、細胞
そ う ぼ
分裂を起こして爪を作る爪母という組織がある。挟んだことによって爪がはがれたり
はがれそうになった場合、爪床が外気に触れると空気中のばい菌などに暴露され化膿
しやすくなるため、爪の縫合を行い、爪床が外気にさらされないよう治療する。爪の
下にある爪床、また爪母までダメージを受けた場合はそれもきれいに縫合する必要が
あり治療は難しい。爪や爪床の下にある末節骨が折れた場合は、指先から針金を通し
て骨を固定する。
骨の下にある脂肪と末梢神経、毛細血管からなる層は、非常に細い毛細血管が豊富
にあるため、損傷を受けると激しく出血することもある。この場合は添え木による固
定や止血薬で止血を行い、自然治癒を待つ。
また、第 1 関節を中心に挟むケースも多い。この付近に損傷を受けた場合、皮膚及
び伸筋腱が切れることもあり、この場合も縫合処置を行う。さらに損傷の深度が深く
骨や関節に及ぶことがある。
これらの治療には局所麻酔により 30 分から 1 時間程度の手術が行われることが多
い。
伸筋腱
図 15 手指の断面
27
3)部位別後遺症
爪はダメージを受けると変形が起こりやすい組織である。爪床、爪母の損傷で縫合
処置を行う場合、きれいに縫合しないと、爪に段差ができるおそれがある。最悪の場
合は一生段差ができたままということもある。
また、末節骨は、他の骨に比べ、くっつきにくい性質があり、この場合いつまでも
痛みが残るということもある。
末梢神経の損傷が残った場合も、いつまでも痛いという後遺症が残ることもある。
伸筋腱が切れたときにあまり痛みがない場合もあるが、その際に治療をせず放置し
ておくと、指先が折れ曲がったままになることもある。
4)けがをした場合の応急処置
出血した場合は、その部分をハンカチや指などで軽く押さえる。健康であれば 3~4
分で止血される。輪ゴムやヒモなどできつく縛り、血を止めようとすると、ひどい場合
30 分から 1 時間で阻血(血流が一時的に阻まれること)状態となり、最悪の場合壊死
に至るので決してこのように止血しないこと。
また、体外に出血はしていなくても、色が変わるなど内出血の可能性がある場合は、
冷やすと痛みが和らぐ。この場合、氷などをハンカチなどでくるんで患部を冷やすこ
と。
いずれも大きなけがであれば至急病院を受診すること。
5)医師からの見解
特に乳幼児などの子どもの事故を多く診察している。これらの子どもの事故は、保
護者などドアの開閉をする人が不注意なことも多いと思われる。ドアの開閉について
は、特に子どもの乗り降りの際に子どもの身体など挟まないよう注意が必要であろう。
また、自動車のドアを閉めるのには、ある程度の力が必要であるが、ドアを閉める
力が大きければ大きいほど、損傷は大きくなると思われる。
<title>自動車のドアに挟まれる事故−ドアに関する事故の分析とスライドドアのテスト−(全文)</title>
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