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特集1 拡大するアジア海上混載サービス

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特集1 拡大するアジア海上混載サービス
特集 1
拡大するアジア海上混載サービス
サービス差別化に各社が苦心
採算性で市場選別の動きも
アジア域内コンテナ荷動きの拡大を受け、アジア海上混載サービスの拡充が進んでい
る。主要港から主要仕向地向けではデーリーサービスも決して珍しくなくなっている。し
かし、新商品を開発しても、他社の追随により陳腐化も早く、各社ともサービス差別化に
は苦心しているようだ。また、海外パートナーとの力関係の変化からキックバックの負担
が増すなど、航路によっては採算性が急激に悪化している。このため、一部航路から撤退
する業者が出るなど、市場選別の動きも出ている。市場規模に魅力を感じた外資が営業
を強化するなど、プレーヤーの顔ぶれにも変化が出てきた。マーケットの今を追う。
(神子真人、寺西伸二、岬 洋平)
CARGO SEPTEMBER 2008
9
拡大するアジア海上混載サービス
しかし、その他の航路については、増勢
マーケット編
のトレンドがみて取れる。
人口 6200 万人
を提供しようにも、実際に船社が配船して
いないポートペア(港と港の組み合わせ)
コンソリデーション
(MCC)が有効だろう。
の提供は出来ない。また、船社起用の条
てきた。地方港展開といえばセイノーロジ
もあり、
「一定量のボリュームなら、FCLの
件を聞くと、コスト競争力、スケジュールの
ックスが 1 9 C FS と群を抜いているが、
方が都合の良いタイミングで出せる」と考
安定性もさることながら、やはり高速トラン
N Y K ロジスティクスが今春から富山、福
える荷主もあり、混載需要への追い風は
ジット・タイム
(T /T)
を重視する声が多か
井、石川、さらに 8 月から門司・博多発を
日本インターナショナルフレイトフォワーダ
ない。しかし、JIFFA実績を見ると、米国
った。同じ仕向地に配船する船社は多く
開始するなど、徐々にではあるが、地方
ーズ協会(J I F F A)がまとめた国際複合輸
(22 %減)、カナダ(10.7 %減)、欧州(2 %
ても、T / T を重視して船社選定を行う
港サービスが定着しつつある。サービス
送の2007年度輸出混載実績(表1)
を見る
減)
に比して、アジア向け混載荷動きは決
と、どうしても同業他社と似たような起用
頻度では主要港が圧倒的に有利で、短
と、韓国(7 . 3%増)
、タイ
(9.8%増)
、ベトナ
して悪くない。輸出品目としては自動車部
船社になるという。高速 RORO船/フェリ
T / T が当たり前のアジア混載ではトラ
ム
(1 9 . 5%増)
、インドネシア
(10.4%増)
、フ
品や電子部品、化学品などが好調。化学
ー、H DS
(ホットデリバリーサービス)
を利
ンシップは受け入れられにくいが、タイミン
ィリピン
(5 . 1 %増)
と、アジア向けは大きく
品も最終用途としてはタイヤ、ダッシュボー
用したサービスなども開始当初は独自性
グさえ合えば最寄港 CFS 利用は荷主にと
実績を伸ばしている。香港、シンガポール、
ド自動車部品として使われており広義の自
を出せるが、徐々に追随され、陳腐化し
って利便性が高い。今後の各社の動きが
てしまう。
注目される。
中国向けは 1 ∼ 2 %の減少となっている
動車関連が牽引しているといってもいい。
が、大幅な減少は無く、アジア向け混載荷
一方で、採算性については、関係者の多
動きは総じて堅調だったといえるだろう。
くが「厳しい状況」と表情を曇らせる。
それでは、コンテナ貨物自体の動きはど
うだったか。表 2 は、I A DA
(アジア域内
上海、香港、釜山、シンガポールなど主
要仕向地向けでは週 3 便∼ 5 便と多頻度
コンプライアンス上の問題も
化が進んでいる。しかし、
「デーリー(週 5
差別化困難
航路協議協定)
のデータをベースにしたも
韓国
2006 年
159,615
輸 出
2007 年
142,544
中国(華北・華東)
469,568
中国(華南)
176,327
香港
台湾
(単位= TEU)
増減率
▲ 10.7%
2006 年
197,915
輸 入
2007 年
173,175
498,617
6.2%
890,529
896,971
0.7%
225,995
28.2%
315,443
472,215
49.7%
327,750
300,331
▲ 8.4%
224,190
181,419
▲ 19.1%
188,589
175,291
▲ 7.1%
89,673
85,037
▲ 5.2%
フィリピン
84,906
91,707
8.0%
100,577
96,332
▲ 4.2%
カンボジア
4,890
5,284
8.1%
861
770
▲ 10.6%
また、日本側での CFS 拡充の動きも出
アジア海上輸送は運賃水準が低いこと
けんいん
表 2 主要船社による日本/アジア間取扱量
特集 1
増減率
▲ 12.5%
ベトナム
61,600
81,200
31.8%
75,693
84,849
12.1%
タイ
233,098
253,413
8.7%
325,917
312,298
▲ 4.2%
マレーシア
97,790
101,756
4.1%
99,978
89,093
▲ 10.9%
シンガポール
92,114
95,579
3.8%
52,922
51,463
▲ 2.8%
インドネシア
88,832
122,908
38.4%
159,811
166,064
3.9%
1,985,079
2,094,625
5.5%
2,533,509
2,609,686
3.0%
合 計
(IADA 統計から本紙まとめ)
CIF 契約で発生するため、日本側輸入荷
集荷を基本とし、代理店を通じた営業は
主が船積みをコントロールする FOB 契約
行っていないという。また、代理店との連
などに切り替えれば問題は解消する。し
携により輸入混載を手掛ける業者でも日
かし、インセンティブという収入を失うこと
本側荷主と連携し、不要なチャージ類は
便)サービスにしたとしても、船社によって
キックバックの拡大も、採算性悪化の要
になる中国側輸入者は簡単には応じな
受けないことを徹底している社もあるとい
途中の寄港地も異なる。前日に出した便
因になっている。日本が輸入超過の貿易
い。また、関係者によると、インセンティブ
う。日本側の発言力が相対的に低下して
の。アジア域内航路で存在感を増してき
採算性の悪化要因の1つとして、サービ
より、翌日便が早く着くケースもある」
(混
構造となって以降、海外パートナーとの力
や日本側からのキックバックが会社ではな
いるとはいえ、理不尽な要求は受け入れ
た中国船社など加盟していない船社も多
スの差別化が難しく、運賃勝負に追い込
載大手)
という。混載貨物は多頻度・小口
関係は「貨物を送る」海外側の力が徐々
く担当者個人が受け取っているケースも
ない強い姿勢を示すことも重要だろう。
いため、実際の荷動きの 6 ∼ 7 割程度で
まれる局面が多いことが挙げられる。
出荷の需要が強いため、同一週内にバッ
に強くなってきている。輸入貨物のキック
あるという。
クアップサービスがあるというのは、荷主
バック
(一定量の貨物を送った側が、貨物
日本側混載業者は中国代理店から指示
は、と関係者はみている。非 IADA 船社
混載サービスは利用運送業であるため、
外資大手も本格参入
の多い日韓航路、日中航路は、実勢の半
船舶というアセットを持つ船社のサービス
にとっては使い勝手が良いのは確か。しか
を受ける側に要求するコミッション)の増額
された額に自社の利益分を上乗せしたチ
分以下の数字しかカウントされていない。
を利用することになるが、独自のサービス
し、週 3 便以上になると現地 CFS 着が同
要求に、なかなかあらがえなくなっている
ャージを「D / O フィー」
「システムチャー
米国向けでは内陸ネットワークや厳しい
じというケースも出てくるため、デーリーサ
のが現状だ。
ジ」などの名目で輸入荷主に課徴してい
規制に対するノウハウ、欧州向けなら各国
輸入で特に問題が大きくなっているの
るが、必ずしも自社利益分を上乗せでき
にまたがる代理店網などが要求されるこ
は、中国発輸入混載サービスだ。海上運
るケースばかりではなく、
「中国輸入混載
とから、欧米向けで自社バンを立てられ
表 1 JIFFA の国際複合輸送・輸出混載実績推移
仕向地
2006 年度
シェア
(単位:千㌧)
2007 年度
シェア
対 06 年度比
ービスも決定的な決め手にはならないよ
うだ。
中国
485
14.46%
475
14.22%
97.94%
米国
600
17.88%
468
14.01%
78.00%
北米、欧州向けなどと比べて、T / T そ
賃・チャージの金額がゼロという
「ゼロ運
貨物は、受ければ受けるほど赤字が拡大
る混載業者は大手物流業者や欧州系メガ
欧州
443
13.20%
434
12.99%
97.97%
香港
431
12.85%
429
12.84%
99.54%
のものが短いため、トラック&トレース
(貨
賃」
、さらには中国の集荷代理店が輸出荷
する」
(アジア混載大手)状況だという。
フォワーダーなど、顔ぶれが限られてきて
韓国
244
7.27%
262
7.84%
107.38%
物動静追跡)
などの需要もさほど高くない。
主やコローダーにインセンティブ(船積み奨
乱れたマーケット環境に嫌気した日本
いる。しかし、欧州、北米など基幹航路と
台湾
254
7.57%
251
7.51%
98.82%
そのような難しい環境で、いかにサービス
励金)
を払う
「マイナス運賃」が横行してい
側混載業者には、中国輸入混載から撤退
プレーヤーが大きく異なることも、アジア
タイ
204
6.08%
224
6.71%
109.80%
中南米
49
1.46%
48
1.44%
97.96%
に優位性を持たせるか。1 つには仕向地
る。さらに日本側のローカルチャージの金
する動きが出てきている。今や中国は日
混載の特徴だ。自営ネットワークを展開で
ベトナム
41
1.22%
49
1.47%
119.51%
の充実がある。シンガポール、香港など主
額まで指定。輸入者から貨物リリース時
本の最大の貿易相手。特に中国航路の輸
きない企業でも、グローブリンク、オリエン
要仕向地は各社がしのぎを削る激戦区だ
にチャージを徴収している。中国側はイン
入貨物は年間 200 万 TEU 超と、最大のト
トスター、パシフィックスターといったアジ
が、インドネシア、フィリピンなどは業者に
センティブにより集荷を拡大することで、日
レードとなっている。マーケットの規模を
アの大手 N V O C C、中国なら天津コンソ
マレーシア
83
2.47%
77
2.31%
92.77%
シンガポール
210
6.26%
204
6.11%
97.14%
中近東
34
1.01%
52
1.56%
152.94%
インドネシア
48
1.43%
53
1.59%
110.42%
よって対応がまちまち。また、日本からの
本側からのキックバックを増額し、本来の
理解しながらも同航路と距離を置く動き
リ、韓国なら M O L AXといった有力パー
カナダ
56
1.67%
50
1.50%
89.29%
フィリピン
39
1.16%
41
1.23%
105.13%
直行便が充実してきたベトナム向け、さら
運賃収入は輸入者から徴収するチャージ
が出るのは、採算性もさることながら、
「真
トナーと提携することで、日本側での営業
オセアニア
53
1.58%
97
2.90%
183.02%
に混載需要が少しずつ増え始めたインド
で収益を補っている。つまり、海上運賃を
っ当ではない商売に加担したくない」
「コ
力さえあれば事業を拡大することが出来
その他アジア
16
0.48%
24
0.72%
150.00%
向けなどは、各社が次のターゲットとして
負担するべき輸出者は船積みにより収益
ンプライアンス上問題があり、安易に受け
る。この結果、内外トランスライン、セイノ
CIS
22
0.66%
21
0.63%
95.45%
インド
31
0.92%
41
1.23%
132.26%
狙っている。仕向地が拡散するインド向け
を上げ、日本側の輸入荷主、さらには混載
られない」というのが、日本側の混載業者
ーロジックス、NYKロジスティクスジャパン
アフリカ
12
0.36%
40
1.20%
333.33%
は、シンガポールなどハブ港で他地域から
業者が運賃を肩代わりしていることになる
の本音だろう。海外に現地法人を置く業
(旧JIT)
、
トランスコンテナなど混載大手だ
3355
100.00%
3340
100.00%
99.55%
の混載貨物と再混載するマルチカントリー
のだ。これらは中国側が船積権を持つ
界大手は、中国輸入混載については自営
けではなく、信永海運、マリーンスターな
合 計
10
CARGO SEPTEMBER 2008
CARGO SEPTEMBER 2008
11
拡大するアジア海上混載サービス
どアジアに強い大手、さらには韓国航路、
ットワークを構築しており、アジアハブとな
とジェイアイティー(J I T)が合併し、新生
負った貨物は、集荷状況などにかかわら
アジア各地や欧州、インドへのトランシップ
中国航路といった近海航路に特化した中
る香港、シンガポール、ポートケランからア
また、アジア発輸入混載サービスの拡
N LJとして再スタートを切った。NVOCC
ず、必ず指定された便で輸送する」と語
貨物に加え、電子機器などの取り扱いが
堅 N V O CCも存在感を強めている。一方
フリカなどの遠隔地を含む世界各地へ、高
充にも注力している。同社の日本発着混
事業は、混載輸送で豊富な取扱量があっ
る。ブッキングの停止なども行わず、貨物
多く、香港や台湾、中東向けでも取り扱い
で、欧米向けでは有力な混載プレーヤー
品質な輸送サービスの提供が可能だ。
載取扱高は輸出入がほぼバランスしてい
た旧 JITの NVOCC部門が継続して担当。
を断らない姿勢を貫くことで、顧客の信頼
があるという。また、昨年から開始したベ
日本法人は設立当初から、欧州向け混
るが、輸出サービスの拡充が一巡したた
熟練したスタッフによるサービス体制はそ
を獲得していくという。また、関西発アジ
トナム・ホーチミン向けも順調に取扱量を
載を主力としてきたが、近年はアジア向け
め、輸入貨物の開拓に軸足を移す。アジ
のままに、集荷営業の強化やサービス内
ア向けサービスの強化も進めており、大阪
伸ばしているが、このほど、ハイフォン向け
しかし、後述するが、混載最大手イーシ
が取扱量で欧州向けに並ぶまでに成長
ア発輸入混載は、シンガポール、ポートケ
容の充実を図っている。
支店では「アジア・コンソリチーム」を設
でも直行便サービスを開始。ハイフォン向
ーユーラインがアジア混載を欧州向けに
し、全体の 4 割以上を占めている。仕向
ラン、パシールグダン、釜山、香港、中国
置。全営業スタッフを挙げて、アジア向け
けは、これまでもシンガポールトランシップ
次ぐ新たな事業の柱としているのに加え、
地は、アジアの主要地域を網羅しており、
(華南)からの定期サービスを提供してい
台湾、香港、シンガポール、ベトナム、フィ
混載貨物に特化して集荷営業を強化して
で提供してきたが、トランジットタイムの短
DHLグローバルフォワーディングも、アジア
各地へ直行便を提供している。また、日本
るが、08年 9 月からバンコク発関東、関西
リピン、タイ、インドネシア、インドの各主要
いる。ウェブ・ブッキングの利用率は全体
縮などサービスレベルの向上を図った。
混載市場への本格参入への意志を固めて
側では、東京、横浜、大阪、神戸、名古屋
向けサービスを開始。一般的に利用され
港。シンガポールでは MCC サービスも提
で 6 ∼ 7 割と高水準に達しており、今後は
今後、自動車部品などの集荷を拡大して
いる。収益面では厳しい環境にあるが、
に加え、門司、博多、新潟、清水、広島に
ているバンコク港(P A T)のCFSではなく、
供中で、東南アジア諸国のほか、アラブ首
次期 NACCS への対応など機能面での強
いく。
アジア域内の荷動きは依然として好調で
もCFS を構え、地方港発でもサービスを
ラッカバン CFS を利用する。PAT はコス
長国連邦、南アフリカ、豪州などへの輸送
化や利便性の向上を図る予定だ。
あることから、外資企業にとっても見逃せ
提供中だ。地方港発では、釜山向けの
トが安く、混載サービスの頻度も高いが、
も可能だ。日本側の CFS は東京、横浜、
に注力する方針で、料金と比較して良質
ないマーケットとなってきているようだ。
MCCを展開しているが、今後は香港向け
バン詰めが屋外で行われるため、カーゴ
名古屋、大阪、神戸に加え、08 年春から
なサービスと顧客対応を提供することで、
サービスの開始も検討する。同社は、名
ダメージが発生しやすい。ラッカバン CFS
富山、福井、石川の地方 3 港からもベトナ
古屋発貨物の集荷も好調で、特に主力と
を利用することで、高品質のサービス提供
ムなど一部地域をのぞきウィークリー・サー
なる釜山、香港、上海、シンガポール向け
を狙う。さらに年内をめどに、ムンバイ近
ビスを開始。さらに、9 月からは門司・博
では、京浜、阪神発に劣らないサービス
郊のナバシェバ港発の輸入混載サービス
多発でも香港、シンガポール、バンコク向
コスモトランスライン
(CTL、大阪市、岡
ービスと比べても極めて少ない」
(輸出営
頻度を用意している。
も開始する方針。インド発混載貨物には、
け直行便を開始するなど、地方港発サー
村和佳社長)東京支店の07年度の輸出混
業・業務課)
という。また、ウェブ・ブッキン
であるメガフォワーダーなどの名前はあま
り聞こえてこない。
以下、主要各社の動向、サービス体制
を追う。
サービス編
イーシーユーラインジャパン
韓国・釜山向けに注力
コスモトランスライン
07 年度、取扱量 5 割増
東京支店では、今後も混載貨物の集荷
他社との差別化を図る。特に、輸送品質
は委託先の海貨業者が丁寧な積み付けを
行っているため、
「貨物ダメージは他社サ
主要仕向地のうち、直近では韓国・釜山
従来から MCC により不定期で対応してき
ビスの拡充を進めている。門司・博多発
載貨物取扱量は、06 年度比 5 割強の伸び
グの利用率は 5 割程度で、電話やメール
たが、業界初の定期混載サービスとして確
では、釜山経由での輸送が一般的だが、3
を記録。今後は、3年以内に現在の 2.5 倍
によるブッキングも依然多い。
「顧客がいか
締役統括本部長は「08 年 2 月に現地代理
立させる。
仕向地に直行便を仕立てることで、リード
の取扱量を目指して、サービスの強化を
にストレスなくブッキングできるかが大事。
タイムなどの面で競争力の高いサービスを
進めている。
ウェブ・ブッキングはポイントを付与するな
店を変更して以降、取扱量が急激に伸び
ている。今後も、釜山向けには特に注力
していく」と語る。釜山向けは東京発で週
上 混 載 最 大 手 ECU ライン( Ecu Line
3 便、名古屋、阪神発で週 2 便を提供する
N.V.)の日本法人イーシーユーラインジャパ
ほか、地方港発でも引き受けが可能。釜
ン(東京、長谷川政幸社長)
。ECU ライン
山向けは、中国・煙台やウラジオストック、
は基盤を置く欧州を中心に、世界中でネ
チリなどの仕向地への転送もあるが、ロー
CARGO SEPTEMBER 2008
アジア向け混載の主な仕向地は、韓国、
向けの伸びが著しい。同社の有田一登取
ベルギー・アントワープに本拠を置く海
12
カル貨物の割合が大きいという。
特集 1
NYK ロジスティックス
提供している。
京浜発アジア向け直行便の仕向地は、
ど利用を促進しているが、今後も顧客ご
0 7 年度輸出混載取扱量は、0 6 年度比
中国(大連・天津・上海・青島・香港)
、台
20%増となる約 20 万㌧を記録。特に、韓
湾(基隆・高雄・台中)
、韓国(釜山)
、ベト
国・釜山向けが取扱量を伸ばしており、大
ナム
(ハイフォン・ホーチミン)
、フィリピン
(マ
NYK ロジスティックスジャパン(東京、深
阪港発で週5便を提供中のホットデリバリ
ニラ)、シンガポール、マレーシア(ポート
津正彦社長、NLJ)
は、07年10月に旧 NLJ
ーサービス
(HDS)が好調だ。HDSは東京
ケラン)、タイ
(バンコク)
、インドネシア(ジ
CFS での引き受けも可能で、大阪港まで
ャカルタ)。香港、上海、釜山向けは週 3
横持ち後、フェリー輸送する。韓国向け
便、天津、シンガポール、バンコク向けは
信永海運(東京、服部信彦社長)
は、78
は、HDSのほかに東京発で週8 便、横浜、
週 2便で提供しており、その他仕向地は週
年設立の老舗で、08年で創立30周年を迎
神戸、名古屋発で週 3 便など豊富な便数
1 便となっている。マレーシア向けは、ポ
える。アジア向け混載では、大手NVOCC
があり、アジア向けサービスのメーン航路
ートケラン経由でペナンへの輸送も可能。
のフェイマス・パシフィック
(F P S)
をパート
になりつつあるという。提携する現地代理
関西発では、ベトナム向けなど直行便サー
ナーとすることで、アジア域内はじめ世界
店には、日本人スタッフを派遣。日韓のス
ビスを提供していない仕向地もある。
各地へ混載サービスを提供。仕向地、便
釜山向け HDS が好調
タッフが共同できめ細やかなサービスを提
仕向地別では、中国・天津、シンガポー
供し、現地でも質の高いハンドリング体制
ル向けの伸びが大きい。電子部品などの
を整えている。
取り扱いが好調な天津向けは、大手メー
とにきめ細かく対応していく」
(同)
という。
信永海運
アジア向け、月平均 1 万 8000 ㌧
数とも充実したサービスメニューで豊富な
取扱量を誇る。
日本側 CFSは東京、横浜、大阪、神戸。
アジア向け混載事業での取り組みにつ
カーの電子部品などを中心に取り扱って
関西での集荷や顧客対応は、F PSとの合
いて、NVOCC 事業本部の青木登久枝欧
おり、物量の増加に伴って今年初めから
弁会社、フェイマスパシフィック信永(本
米アジア戦略チーム長は「顧客から請け
週 2 便に増便した。シンガポール向けは、
社=大阪市、FPS信永)が担っている。直
CARGO SEPTEMBER 2008
13
拡大するアジア海上混載サービス
行サービスの仕向地は、中国、香港、台
龍)、タイ
(バンコク)、ベトナム(ホーチミ
ている。特に新潟や門司、博多などで好
08 年から本格的にアジア向け混載サービ
え。京浜発週 2 便で提供中の香港向け混
ウェブブッキングは、毎年改良を重ねて
ン)
、アラブ首長国連邦(ドバイ)の 11カ国
調に推移しており、07 年の韓国向け輸出
スの強化に乗り出した。同社は、欧米向
載は、すでに相当量の物量があり、既存
ア、フィリピン、ベトナムの主要港を網羅。
おり、08 年 8 月から新バージョンに切り替
15港向けで提供中。日本側のCFSは、東
混載取扱量は 50 %増と大幅な伸びを記
けの混載サービスでは豊富な仕向地と物
顧客のアジア向け輸送の需要は高いと見
主要仕向地となる、中国・上海、香港、台
える。従来のブッキングやスケジュール検
京、横浜、大阪、神戸、名古屋。名古屋発
録 。今 後 の 取 扱 量 拡 大 を に ら み 、
量を誇るが、アジア向けはこれまで、京浜
込んでいる。
湾・基隆向けでは、京浜発でデイリーサー
索といった基本機能に加え、過去のブッキ
はインド、ベトナム、マレーシアと中国の一
MOLAXとの共同出資で釜山新港に自社
や大阪などから香港向けのみを提供。
ビスを提供するなど、各仕向地へ豊富な
ングデータを呼び出せる履歴やヒストリー
部仕向地で直行便の提供はないが、他港
CFSの建設も予定している。新CFS は 09
MCC で、アジア各地への輸送が可能だっ
香港、上海。日本側CFSは、東京、横浜、
スケジュールを組むことで顧客の利便性
といった機能を追加。より利便性の高いシ
への転送で引き受けが可能だ。
年度中にも完成する見込みだ。
たが、特にトランジットタイムの面で他社サ
名古屋、神戸、大阪、博多。上海向けは、
を高めている。また、シンガポール経由で
ステムに改良することで、現在の利用率
ービスに見劣りしていた。
東京、横浜、大阪の 3 港で受け付けてお
インドなど西アジア地域へも早くから混載
80 %をさらに高めたい考えだ。
湾、シンガポール、マレーシア、インドネシ
ネージャー)
と説明する。
特集 1
サービスを提供。インドは今後、ベトナムと
あわせて注力していく地域になるという。
信永海運の輸出混載取扱量は、月間平
均 1 万 8000 ㌧で、近年は前年比が増加を
続けている。このうち、関東発が 1万 2000
セイノーロジックス
地方港サービスなど独自戦略
現在、提供中のアジア混載の仕向地は、
07 年の輸出混載取扱量は 06 年比 26 %
また、アジア向けの全航路で危険品の
増となり、主にインドやベトナム向けなどで
取り扱いが可能なこともセイノーロジックス
しかし、07 年半ばごろ、全社的にシン
物量を伸ばしたほか、開始から 2 年が経
の特色の 1 つだ。同業他社では、航路に
ガポールを中心としたアジア域内輸送を
で開始する。黒川本部長は「現時点では、
過した中国向けも順調に拡大している。
よって取り扱いの可否にバラつきがあるこ
強化する方針が掲げられると、日本発サ
当たり前のサービスを始めたに過ぎない
欧米向け混載貨物輸
とが多く、顧客利便性の面で大きな差別
ービスの拡充にも着手。08 年 3 月から京
が、日本発アジア向け混載に本格的に取
送を得意とするセイノ
化要因となっている。
浜・大阪発で上海向けを開始すると、9 月
り組むのは、欧米系ではおそらく初めて。
り、シンガポール向けは当初、東京発のみ
ーロジックスだが、
「近
カーゴトレースは、06年から釜山経由で
には東京発でシンガポール向けを追加す
NVOCC事業者として、日本に根ざした形
㌧、関西発が 6000㌧となっており、関西発
セイノーロジックス
(横浜市、渡辺景吾社
年はアジア向け貨物
も開始したため、すべての仕向地で利用
るなど、アジアの主要地域へ仕向地の拡
でサービスを提供していきたい」と語り、
の物量をさらに拡大したい考え。信永海
長)
は、アジア向け輸出混載で仕向地の拡
の増加が顕著で取扱
が可能。ウェブ・ブッキングの利用率は6∼
大を急いでいる。今後は、08 年内にマレ
日系顧客の獲得にも積極的に打って出る
運の長島啓浩ジェネラルマネージャーは
充など、サービスの強化を進めている。今
量全体の内訳はアジ
7 割程度で、利用促進のためのポイント・
ーシア向けを追加する考えで、アジア向け
考えだ。今後の仕向地としては、インドネ
「物量が増えるほど、サービスの質が低下
年に入ってから名古屋発ジャカルタ向け、
ア 1.2 対北米 1 対欧州
サービスを実施している。高岡室長は「ウ
混載市場に本格参入
シアやタイ、ベトナム向けなどを検討する。
する怖れがある」とし、営業スタッフの増
東京・名古屋発仁川向けを開始するなど、
1 の割合になりつつあ
ェブ・ブッキングを利用することで貨物の
する構えだ。海上事
また、船社選定では、アジア向けのみ独自
加を図るなど対策を講じている。現在の
直行便スケジュールを拡充。アジア向けの
る」
(高岡進太郎経営企画室長)
という。
到着時にはメールで連絡がもらえるなど、
業本部の黒川政人本
のポリシーを適用する。同社は、欧米向け
人員体制は、東京本社が約70 人、大阪の
デリバリーポイントは現在、26カ国 97 カ所
高い利便性がある」
とし、顧客の利用を促
部長は「これまでは、
海上輸送では、全社的に特定船社の起用
FPS 信永が 28人。船社 B /L などの書類
に拡大している。日本からの直行便は、
港18港19CFSから釜山経由で世界350カ
している。
欧米向けを重視する
を推奨しているが、アジア向けに限っては
作成業務は中国のバックオフィスが担って
中国(香港、大連、青島、新港、上海)
、イ
所への混載輸送が可能な地方港サービス
傾向にあったが、今
この基準を適用せず、もっとも質の高いサ
いるが、
「日本では 3人でやる仕事を、8人
ンド(チェンナイ、ナバシェバ)、インドネシ
がある。韓国物流大手MOLAXとの提携
後はアジア向けサー
でやらせている。コストの削減よりも、サ
ア
(ジャカルタ)
、韓国(釜山)
、マレーシア
で釜山経由による MCC を提供しており、
ービスの質を高めるための施策」
(長島マ
(ポートケラン)、シンガポール、台湾(九
アジア向けでも多くの国・地域をカバーし
高岡室長
セイノーロジックスの特色としては、地方
DHL グローバル
フォワーディングジャパン
アジア海上混載に本格参入
14
CARGO SEPTEMBER 2008
ビスの強化に注力す
黒川部長
ービスを提供できる船社を起用する。黒
川本部長は、
「アジア向けでは、何よりも
る。アジア向けは、これまでも毎年 2 ケタ
足の速さが要求される。輸送品質は当然
成長を続けてきたが、新サービス開始で
考慮の上で、仕向地ごとに最も速い船社
大幅増を狙う」
と語り、現在は仕向地別で
を起用する」と語る。
DHL グローバルフォワーディングジャパ
1 割未満に止まっているアジア向け貨物の
08 年春には、以前から準備を進めてき
ン
(東京、チャールス・カウフマン社長)
は、
割合を、早期に 3割程度まで拡大したい考
たウェブ・ブッキングの日本語版を開始。
CARGO SEPTEMBER 2008
15
拡大するアジア海上混載サービス
ウェブ・ブッキングはこれまで、英語版での
向地の直行便化を進めており、2 月に台
提供はしてきたものの日系顧客の利用が
湾・基隆、フィリピン・マニラ、インドネシア・
アジアでは、重点地域となるタイ、シン
伸びなかった。現在の利用率は20 %ほど
ジャカルタ向けを直行便に切り替えた。昨
ガポール、フィリピン、ベトナムに現地法人
だが、今後はこの割合を 50 %まで引き上
年 9 月から開始したベトナム・ハイフォン向
を設置しており、各法人では日本人スタッ
げたい考えで、09 年春からポイント・サー
け直行便も好調で、名古屋港だけで毎月
ビスを開始するなど利用促進を図る。
100 ㌧ほどの取り扱いがあるという。
トランスコンテナ
東南アジア向けで集荷好調
トランスコンテナ(TCL、東京)の 07年度
戸、名古屋。
に輸入営業課を新設
ループとは、年 1回契約更新のアジア版サ
したが、専任スタッフ
ービス・コントラクトを締結する。
の増強も計画。
特集 1
同社の特徴は絶大なサービスルートだ
けでない。情報システムの整備にも積極
同社の成長戦略はアジアだけでなく、
的だ。北米内陸輸送やシンガポール、釜
今期(1 ∼ 1 2 月)の
グローバル展開を推進するため、
「シン
山経由で積み替え船の発着などの貨物ト
フが貨物の管理・取り扱いに当たってい
全体の取扱混載貨物
ガポール、香港、釜山といったハブ港を軸
レース情報を提供。また、ウェブブッキン
る。ベトナムではホーチミンに事務所を置
量目標は 9 3 万㌧(輸
としたハブ&スポーク展開」
(大川氏)
。確
グ率は今上期約 77%に達した。浅野氏は
取扱量の伸びは、フ
いているが、今後、日本人1人を追加派遣
出 66.7 万㌧、輸入 26.3
実・迅速な物流サービスを提供するため、
「今後はトレース情報の対象拡大が想定さ
ィリピンやインドネシア、
し、日本人 2人体制でカバーする。ハブ港
万㌧)。前期実績比で
完全独資の現地法人 7 社中 6 社までをハ
れるが、ほぼ所期目標の 8 割に」と話す。
ベトナム向けが大きい。
として重要な香港では、グループの郵船航
輸出が 5.1 %増、輸入が 4.7 %増を想定。
ブ港があるアジアに持つ。例えば、現法
T C L の曲渕洋雄社長
空サービス現地法人をパートナーに起用
輸入には一部コ・ロードを含むが、年間
があり、リ・コンソリ拠点とするシンガポー
は
「東南アジア航路は、
し、自社現地法人を置く地域同様、日本
100万㌧達成が射程内となった。アジア混
ル港の活用で「アジア域内間や欧米向け
中国航路などに比べ
人が貨物の管理を行う体制を整えている。
載の今期目標は輸出 55.8 万㌧(前期実績
輸送の拡大を図っている」
と説明する梅谷
53.1 万㌧)
、輸入 21.5 万㌧(同 20.8 万㌧)。
氏。ハブ港の活用と同社グループのネット
全混載貨物に占めるアジア貨物量比率は
ワークが強みと言える。シンガポールでは
日本通運(東京、川合正矩社長)
は、
“ア
8割強。アジア、欧米ともに伸びる格好で、
昨年 7 月、自営 CFSを開設。
「高品質サー
ローインターナショナル”のブランド名で海
この比率に大きな変動はない。
ビスに加えて在庫機能もあり、顧客には好
上混載事業を展開。アジア向け混載でも、
評」
と両氏。
世界各地をカバーする自社ネットワークの
大川取締役
アジア向け輸出混載貨物取扱量は06年度
れば規模は小さいが、
比 4 %増の 11 万㌧強。香港、タイ、シンガ
今後、電気関係や自動
ポールを中心に、台湾以南の東南アジア
車部品などの増加も見込まれるため、さら
地域を主な仕向地としている。また、日本
に集荷を強化する」と語る。ベトナム向け
側出し港では、名古屋発貨物の伸長が大
では、ホーチミン、ハイフォンの 2カ所へサ
きく、サービスの強化も推進中。これまで
ービスを提供中だが、近年は北部のハイ
メガ・コンソリデーターとして快走中の内
南アジアが 1 9 . 3 万㌧(前年同期比 3 . 6 %
シンガポール経由で提供してきた仕向地に
フォン向けが取扱量で上回っているとい
外トランスライン
(大阪市、戸田徹社長)
。ア
増)
、中国が5.8万㌧(同 8.5%増)
、インド・
ついては、すでに台湾向けなどを直行便
う。上記仕向地以外でも、マレーシアや台
ジア向け混載を最大の事業基盤として、
中近東などの西アジアが1.4万㌧(同 7.7%
化した。
曲淵社長
内外トランスライン
絶大な路便・短 T / T サービスが強み
アジア向け輸出混載の今上期実績は東
湾向けを提供するほか、シンガポール経由
多頻度・直行便サービスを売り物に急成
増)
。アジアサービスは 110航路、週258便
欧州向け混載で存在感を示す TCL だ
で豪州やインド、西アジア、中東向け貨物
長しているが、ここに来て輸出混載だけで
(直行便)
にも上る。出荷拠点は 5 大港や
が、取扱量ではアジア向け貨物が上回っ
の輸送も可能だ。中国や韓国向けでも引
なく、総合フレイトフォワーダーを目指し、
仙台、清水、広島、門司、博多の 5港のほ
ており、アジア混載市場の重要度が高まっ
き受けが可能だが、積極的な集荷は台湾
「C Y 貨物を含め輸出入のあらゆる貨物の
ている。集荷が好調な名古屋発では、こ
以南の東南アジア地域向けに注力してい
取り込みを図る戦略を推進中」
(大川友子
れまでシンガポール経由で提供してきた仕
る。日本側 CFSは、東京、横浜、大阪、神
取締役)だ。本社、東京本部、名古屋支店
アジア展開の拡充では「ベトナムやフィ
リピンの現法設立も視野に」と梅谷氏。
日本通運
中国、インド向け軸に再強化
活用で仕向地、便数で充実したスケジュ
ールを提供し、豊富な物量を誇る。各国
か、インランドデポ 3 カ所(四日市、諏訪、
細島)の計 13 拠点。
「顧客ニーズに即し、短 T / T(輸送日
数)のサービス展開が当社の強み」
と強調
する梅谷卓甫執行役員。一例が日系メー
カーの進出が活発なベトナム・ハイフォン
向け直行便。また、最近の日本発ではベ
トナムだけでなく、
「インドや、物量的には
まだ少ないがヤンゴン
向けも増加」
と梅谷氏。
関東、関西発直行サ
ービスのナバシェバ、
チェンナイ向けについ
て、営業開発部の浅野
友晴課長は「名古屋発
便は今後の検討課題」
浅野課長
という。
起用船社は「短 T / T や運賃水準など
のサービス内容を前提としたスペース確
保力」
(大川氏)が選定基準。邦船 3 社グ
16
CARGO SEPTEMBER 2008
CARGO SEPTEMBER 2008
17
拡大するアジア海上混載サービス
に自社オペレーションの倉庫施設と日本
貨物の積載効率向上などコンテナ 1 本単
際営業第一部複合輸送課の多賀鉄也課長
向けをはじめとする混載集荷の強化は重
人スタッフを置くため、高品質なサービス
位でのコスト削減を進めるという。
は、
「危険品を取り扱えると、顧客の利便
点課題の 1 つになっている。
を提供できる点が大きな強みだ。また、08
性向上につながるため、一般混載事業の
年 9 月には、混載事業はじめ NVOCC 事
付帯サービスとして提供している」
と語る。
スケジュールを組んでおり、主力となるの
日本側の自社 CFSでは 1m ほどの小口貨
は自社混載便を仕立てている中国・上海、
物もしばしば見られることから、その他の
業のさらなる強化を図るべく、国際複合輸
日 新
アジア向け混載では、主要各国向けで
マリーンスター
混載集荷、採算性重視
特集 1
司)
と提携し、東京、横浜、神戸発を週 3
便、大阪、名古屋発を週 2 便と豊富な便
数をそろえている。
混載貨物の月間平均取扱量は約 2 万
マリーンスター(大阪市)は 02 年 2 月に
2000㌧。うち輸出は約1 万㌧で、一部豪州
台湾・基隆、香港、タイ・バンコク、シンガポ
設立。海上混載サービスを主力とし、特に
や中東向けを扱うものの、大半をアジア向
一般貨物に付帯した形での輸送需要が高
ール。香港向けのみ週 2便、その他は週1
アジア向けで充実したスケジュールと豊富
けが占める。マリーンスターの山口絢史社
日新(横浜市、筒井雅洋社長)の 07 年
い。また、
「危険品に限らず、貨物を積み
便で提供している。自社混載便は今後、
な物量を誇る。アジア向けでは、主要地
長は「07 年度から売上高や取扱量の拡大
度アジア向け輸出混載取扱量は、月間平
付ける際には、何工程かごとに作業時の
マレーシアやベトナム向けなどで仕向地の
域を網羅するほか、姉妹会社マリーンコン
を最優先する戦略を改め、採算性を重視
アジア向け混載の仕向地は、中国や韓
均2000㌧強。このうち、主力となる中国向
写真を撮影している」
(多賀課長)
とし、ダ
拡大も検討するが、VWT は世界各地の
コードを通じて中東・ドバイ向け直行便を
した戦略に切り替えた。インセンティブが
国、東南アジア諸国など 10 カ国 24 カ所。
けは約 1200 ㌧で、06 年比 10 %強の増加
メージ発生時など、積み付け作業に問題
代理店と提携関係を結んでいるため、各
提供するなど、特色あるサービスを展開。
高騰する中国発輸入貨物の受け入れをや
関東、関西出しを中心にアジア地域の主
となった。日新の中国向け貨物は近年、
がなかったか確認できるようにしている。
国主要都市への輸送が可能だ。日本側の
ドバイ経由でサウジアラビア・ジッダなど
めたほか、輸出でも不採算貨物の選別を
要港を網羅し、特に上海や釜山向けでは
増加の一途をたどっており、中国での事業
輸送品質面では、営業、現場スタッフ間で
CFSは東京、横浜、神戸。東京 CFSは、9
中東地域の主要港への輸送も可能で、同
進めている」
と語る。輸出混載市場では、
東京港発週 3 便など豊富な便数を提供す
基盤の強固さをうかがわせる。また、中国
意見交換の場を設けており、貨物の積載
月から大井海貨 3 号(ジャパンバンライン
地域向けでは業界首位の豊富な取り扱い
競争の激化から料金水準の低下が加速し
るほか、ベトナムやインド向けでも複数仕
発では、家電製品などの部品を米国やそ
効率やサービスレベルの向上に向けた話
ズ)
に変更し、サービスレベルの向上を図
がある。
ているが、マリーンスターでは適正な料金
向地を用意している。日本側 C F S は東
の他地域に輸出する3 国間輸送の割合も
し合いを定期的に行っているという。
った。なお、神戸からは香港向けのみ、週
京、横浜、名古屋、大阪、神戸、門司、博
増加傾向にあるという。
送の専門部署「複合輸送部」を新設。欧
米・アジア各地向けはもとより、インド、中
国、ロシアなど新興市場向け輸送商品の
強化を掲げている。
中国向け中心に取扱量増
3
輸出用 CFS は東京、横浜、名古屋、大
1便を提供しており、関西発貨物の集荷は
で集荷を進めることで、利益率の維持に
(香港、上海、大連、新港)、台湾(基隆、
努めている。また「あくまで NVOCC 専業
高雄)、韓国(釜山)、シンガポール、マレ
者として、ニュートラルな立場でやってい
ーシア
(ポートケラン)
、タイ
(バンコク)
イン
く」
(山口社長)
とし、今後も通関など付帯
業務へ進出する考えはない。
多。地方港発では、博多発で釜山向けデ
中国向けサービスは、主力の香港、上
阪、神戸。名古屋発は、愛知日新が輸出
イリー混載サービス、門司、博多発で上海
海向けで京浜、阪神港から豊富な便数を
入業務を担当しており、総量は少ないもの
VWT は、世界各国に現地法人を構え
スーパーエクスプレス
(S S E)利用による高
提供。特に、京浜発ではいずれも週 3 便
の輸出貨物は増加傾向にある。また、福
ているため、貨物の取り扱いには各仕向
ドネシア
(ジャカルタ)
、フィリピン
(マニラ)
、
速小口貨物サービスを提供している。さら
と充実したスケジュールで物量を伸ばし
岡では九州日新が上海発の輸入混載貨物
地で日本人が当たっている。また、現地で
ベトナム
(ホーチミン)
と、アジア地域の主
に、シンガポールでは、現地物流大手の
ている。華南地域向けでは、香港でデバ
を取り扱っており、将来的には輸出サービ
のロジスティクス業務への対応も可能で、
要港を網羅。東京、横浜、名古屋、神戸、
別集荷割合は、関西 2.5 に対して関東 1と
C WTと提携。アフリカや中東はじめ特色
ン後、黄埔、湛江など珠江デルタ26 ポイ
スの開始も検討する。今後のアジア向け
特に香港、バンコク、シンガポールでは大
大阪の各 CFS から、それぞれ週 1 ∼ 3 便
いう割合。現状では関西の貨物量が多い
のある仕向地への輸送も可能だ。アジア
ントへバージ輸送も可能で、仕向地までス
混載の事業方針としては、
「当面は既存サ
規模な倉庫スペースを利用して、在庫管
を提供している。主力となる香港向けで
が、今後は関東での取扱量が関西を上回
向けサ ービスの主な取り扱い貨物は、
ルーレートを設定して提供している。また、
ービスの集荷拡大に注力する」
(多賀課
理や現地配送などのサービスを提供して
は、NVOCC 大手、アワーズ・シッピング・
るよう、東京での集荷を強化していく。こ
CKD を含む自動車部品や各種サービス
新港、大連、青島といった華北港や厦門
長)
とし、すでに提供中の各仕向地で集荷
いる。プロダクトマネージメント課の矢吹洋
エージェンシーズ(富裕船務代理有限公
の目標の達成に向け、東京支店では経験
パーツ、電気機器などが多く、一部引っ越
向けも週 1∼ 2 便を仕立てており、主に大
拡大を図る。
一課長は、
「顧客は、海上輸送で一貫した
し貨物も取り扱う。海運事業部複合輸送
阪港発で繊維などを多く取り扱っている。
担当によると、
「アローインターナショナル
東南アジア向けでは、タイ
(バンコク、レ
ブランドの混載商品は高い輸送品質が絶
ムチャバン)やインドネシア
(ジャカルタ)向
対条件になる」
という。
けで小幅ながら物量を伸ばしている。自動
07年のアジア向け輸出混載貨物取扱量
車や2輪車の部品などの取り扱いが増えて
は前年比横ばいの伸びで、混載貨物市場
いるという。東南アジア向けではほかに、
全体の状況を反映する結果となった。日
シンガポール、マレーシア
(ポートケラン)
、
本通運では、08年を改めて混載貨物に注
関西事業部が担当している。
アジア向けサービスの仕向地は、中国
サービスを求める傾向にある。特に、ロジ
バンテックワールド
トランスポート
海上事業部再編で混載強化
スティクス関連の需要が高く、主要仕向地
の現地倉庫では、在庫管理システムを導
入し、顧客ごとにカスタマイズして運用し
ている」と語る。
07 年のアジア向け輸出貨物(FCL を含
バンテックワールドトランスポート
(VWT、
む)は、件数ベースで 06 年比 11 %増、容
フィリピン(マニラ、スービック)に加え、06
東京、木村弘社長)
は、08年 7月に海上事
積ベースで 43 %増。オーバーサイズ貨物
力する年に位置付け、集荷拡大、サービ
年末からベトナム向けでも直行便を開始。
業部を再編。従来の体制を改め、部内で
を多く取り扱ったため、容積ベースでの増
スの充実を図っている。0 9 年 4 月には、
ホーチミン、ハイフォンの 2 港向けで提供
横断的な営業活動や顧客対応ができるよ
加が著しい。また、VWT全体の輸出貨物
NVOCC 商品を専門的に販売・提供する
し、大阪発を中心に物量を伸ばしている。
う、組織変更した。また、商品開発や購買
取扱実績に占めるアジア向けの割合は、
機能(部門)の設置も視野に入れる。今
一部仕向地では、04 年から危険品も受
の取りまとめを行うプロダクトマネージメン
件数ベースで 70%、容積ベースで 43%と
後、アジア向け混載輸送で特に注力する
け付けており、京浜、大阪港発で上海、香
ト課を新たに設置するなど、これまでにな
なっており、小口貨物が多いことがうかが
地域としては中国、インドを挙げ、市場の
港、ホーチミン向けを提供している。香港
い新たな試みを実施。この背景には、グル
える。取扱品目を見ると、売上高ベース
動向を見ながら仕向地や便数を拡充する
向けでは危険品の専門業者を起用してい
ープ全体で海上輸送事業を強化する方針
で自動車部品が 6 割、電子部品など電気
考え。また、混載輸送の採算性も追求し、
るため、危険品倉庫の利用も可能だ。国
が掲げられていることがあり、特にアジア
関連が 3 割を占めている。
18
CARGO SEPTEMBER 2008
マリーンスターの輸出混載貨物の地域
CARGO SEPTEMBER 2008
19
者採用を行うなど事業基盤の強化を進め
は、中国、韓国、台湾、タイ、シンガポー
関東でも横浜港発で、中国(上海、香
ている。これまでは、創業時の幹部をの
ル、マレーシア、インドネシア、ベトナム、イ
港)、台湾(基隆、高雄)
、韓国(釜山)
、タ
ぞいて経験者を一切採用せず、生え抜き
ンド、フィリピンの各主要港。近年は、07年
イ
(ラッカバン、レムチャバン)
、マレーシア
の人材を育てることで組織の結束を図っ
9 月にインド向け、今年 2 月にベトナム・ハ
(ポートケラン)向けを提供しており、8 月
てきたが、今後は経験者も採用対象として
イフォン向けを開始するなど、主に新興国
からはシンガポール向け直行便を開始す
いく。ウェブ・ブッキングは 2 年前から開始
向けで仕向地を増加させている。東京営
るなど、サービスメニューを強化してい
しているが、
「スタッフには、今後もフェー
業所長の小林公洋所長は「今後も、インド
る。小林所長は「横浜港発でも、将来的
ス・トゥ・フェースによる営業姿勢を大切に
など新興国向けで新サービスを検討する
にはベトナムやインドなど、すでに関西発
してほしいと」
(山口社長)
という。
が、危険品を取り扱える現地業者は限ら
で提供中の仕向地を中心にサービスを開
れており、優良なパートナーの選定が最重
始したい。関東と関西では輸送ニーズが
要課題になる」
と語る。当面は、既存サー
異なる面もあるため、新サービスの開始
ビスの強化に注力しながら、中国向けな
は市場動向を見極めながら検討する」と
どで仕向地の拡大を検討する考えだ。
いう。
丸一海運
危険品混載で物量拡大
関西発貨物は、丸一海運の危険品サー
07年度のアジア向け混載貨物の取扱量
ビスの最重要拠点ともいえる、大阪港化学
は、0 6 年比 1 2 %増の約 2 万 5 5 0 0 ㌧。香
主に関西発アジア向けで危険品混載輸送
品センターで取り扱う。総面積2 万3000㎡
港、上海向けが主力で、2港が全取扱量の
を手掛けている。大阪市では危険品専用
の敷地に消防法など各種法令をクリアし
うち大きなシェアを占める。これに台湾や
倉庫を備えた自社 CFS を運営するほか、
た危険品専用上屋を構え、貨物の取り扱
タイ向けが続いており、その他東南アジア
今年 2 月には、岡山県倉敷市の水島港後
いには、国家資格を持つ危険物のエキス
向けでも物量を伸ばしつつある。危険品
背地に新危険品倉庫を開業。通関、保管
パートがあたる。このため、貨物はCFSへ
の引き受け可能クラスは、IMO クラス 2 .1
を含めた危険品の一貫輸送に独自のノウ
の直搬入が可能で、横持ち費用がかから
(引火性高圧ガス)、2 .2(非引火性非毒性
ハウを持つ。アジアの各地域で、危険品の
ないなど、危険品輸送時の物流コスト削減
高圧ガス)、3(引火性液体)、4.1(可燃性
取り扱いに長けた現地業者をパートナー
にも効果がある。また、危険品の輸送経
物質)
、6 .1
(毒物)
、8(腐食性物質)
、9(有
に起用しており、豊富な仕向地と輸送品質
験が少ない顧客の相談にも応じており、専
害性物質)で、アジア向けではクラス 3 に
の高さが強みだ。
門業者として、顧客が安心して危険物の輸
該当する塗料や接着剤などの取り扱いが
送を任せられる環境を整えている。
多い。
丸一海運(大阪市、樋口幸雄社長)
は、
関西発アジア向け混載の主な仕向地
20
CARGO SEPTEMBER 2008
Fly UP