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DNA切断研究のための新検査法を開発(米国)【PDF:71KB】

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DNA切断研究のための新検査法を開発(米国)【PDF:71KB】
NEDO海外レポート
NO.950, 2005. 2. 23
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海外レポート950号目次 http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/950/
【産業技術】ライフサイエンス
DNA 切 断 研 究 の た め の 新 検 査 法 を 開 発 ( 米 国 )
ノースキャロライナ大学(UNC)チャペル・ヒル校の研究者達が新しい顕微鏡検査法
を開発した。この検査法は遺伝子で満ちた複雑な構造体である生体細胞の染色体にダ
メージを与える DNA 切断の可視化を初めて可能にした。
開発された検査法は、染色体損傷に関する理解と、自然に、あるいは治療によって
修復されるプロセスの理解を深めるために役立つ新しい検査法となる可能性があり、
本研究の成功は大変興味深いものである、とケリー・S・ブルーム UNC 生物学教授は語
った。染色体損傷は少なくとも何百もの致命的な、あるいは消耗性疾患の原因となる。
「複雑な二重鎖構造のらせん状分子である DNA 鎖の片方、あるいは両方ともに切
断が起こると染色体は分割されないことを、私達はこの研究を進める中で発見した。
DNA 損傷部分にタンパク質が速急に補強され、染色体を無傷に留めるというプロセス
は仮説として考えられていたが、これまで実証されていなかった。私達はこのような
特別なタンパク質のいくつかも同定した」と、ブルーム教授は述べた。
ヒト細胞は、体内の無数の仕事を行うタンパク質を作り出す膨大な量の DNA を含
有している、とブルーム教授。「実際に細胞内の DNA を全て取り出して伸ばしたとし
たら、地球・太陽間を往復する程の長さになる。ものすごいことだ。」
本研究報告は Current Biology 誌最新号に掲載される(2004 年 12 月 16 日現在)。ブ
ルーム教授以外の論文執筆者は、元国立環境健康科学研究所(NIEHS)分子遺伝学研究
室、現ジョージア工科大学のキリル・ロバチェフ氏、UNC 生物学専攻大学院 1 年のエ
リック・ヴィトリオールと南カリフォルニア大学生物学専攻大学院 1 年のジェニファ
ー・ステンプル、NIEHS のマイケル・A・レズニック博士。本研究に従事している時、
ヴィトリオールとステンプルは UNC 人文科学部の学部生であった。
「これが、染色体切断と DNA 切断を区別する初めての論文である。染色体切断は
遺伝子の配置が入れ替わる染色体転座によって起こる多くの疾病において重要とな
る」とブルーム教授は述べた。
ブルーム教授によれば、染色体異常は枯葉剤等の DNA を損傷する化学物質への曝
露や、日光や放射線を過剰に浴びた場合などに一般的に起こる。また、なんらかの方
法で中断された複製が原因となり染色体異常が起こり、白血病、リンパ腫、肉腫、上
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NEDO海外レポート
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皮腫瘍といった病気を引き起こす可能性がある。
「DNA 修復の失敗によって染色体異常は大幅に増加するだろう。二重鎖切断の誘
発・修復に関する分子事象については膨大な情報があるが、染色体転座・欠失を招く染
色体の切断・再連結を引き起こす事象については少しも理解されていない」とブルーム
教授。
教授は染色体転座を、間違って再配線された回路や、うっかり静脈を動脈に接合し
てしまった外科医に例えた。
「私達の新しいシステムによって、生体細胞の DNA 二重鎖分断部分の末端が可視
化される。タンパク質複合体 RMX が DNA の切断端をつかみ、損傷した染色体にとっ
て破壊的となる力に拮抗することを私達は明らかにした」と、ブルーム教授は語った。
一連の研究は米国立衛生研究所と米国エネルギー省からの助成金によって支援され
た。ブルーム教授は人文科学学部教授であり、ラインベルガー総合癌センターのメン
バーでもある。
以上
翻訳:御原 幸子
(出典: http://www.unc.edu/news/archives/dec04/bloom121604.html
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