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5. サマースクール編
Ⅴ. サマースクール編 ここでは、日本人 Wharton 生が主に通うサマースクールについてご紹介します。WG2009 の日本人 では、9 名が SIIBS に通いました(WG2008 は日本人が 7 名)。 Summer Institute of International Business Student (SIIBS) (Univ. of Pennsylvania) ア) 名称・組織 SIIBS はシーブスと発音します。ペンシルベニア大学の一般の英語教育機関である English Language Program (ELP) が全米のビジネススクール進学者向けに夏期間だけ特別に開講している講座で、2008 年度で 19 年目になります。以下、2007 年度の事例を元にご説明します。 イ) 申込・連絡先 Summer Institute for International Business Students, English Language Programs Tel: (215)-898-8681 Fax: (215)-898-2684 http://www.sas.upenn.edu/elp/programs/business/siibs/summer_business.php 申込はホームページからDownloadできます。 ウ) 参加者 2007年度参加者は約40名でした。学生の出身地は日本、韓国、中国が大多数を占め、そのほかスペイン、 アンドラ、ブラジル、台湾などでした。進学先別ではウォートンが約半数強、その他コーネル、エモリー、INSEAD やその他ヨーロッパ、カナダの各校でした。 エ) プログラム概要 期間は、7 月初めから 4 週間で、午前8時半から午後 12 時 30 分または午後 3 時 30 分までの授業となり ます(詳細はホームページ参照)。上記の約 40 人が 3 クラスに分かれての授業となりました。SIIBS 終了後、数 日の休みを経て Pre-Term に突入することになります。 (i) 入学直後 2007年度は初日に一人1-2分で自己紹介をした後、簡単なビジネス雑誌記事(インテルの不祥事について の記事でした)を読んで、それについてライティングとグループでのディスカッションを行いました。学生の実力を測 り、それをベースにクラス分け、プログラム期間中の指導に反映するという趣旨らしいのですが、試験の結果が指 導方法にどのように反映されているかは我々にはわかりませんでした(指導教官側としてはこの当日のテスト以 外にTOEFLのスコアなども考慮しているとのことです)。また、ペンカード(学生証磁気カード)が同日に発行され、 数日内に図書館等へのアクセス等が可能になります。また、初日にはキャンパス・ツアーやウェルカム・ランチなど も行われました。 58 (ii) 月曜日から金曜日 午前中はPower Reading(8:30~9:20)とCore(9:40~12:10)の2クラスがあります。Power Readingの授業 では、Jim Collinsの「Good to Great (邦題ビジョナリーカンパニー2)」を使い、毎回少ない時間で如何に大量の 文章を読解するかを訓練します。授業中に15ページ程度のReadingを行ってディスカッション、もしくは一つの章を 複数人で手分けして読んできて、その内容についてのディスカッションを行うという内容でした(要は、Readingア サインメントの分担の練習)。Coreの授業では、個人発表(Impromptu Speakingを含む)、グループでの発表、ケ ースディスカッションなどを繰り返し行います。Writing面では簡潔且つ的確な文章を書く演習、講義(後述)のサマ リーを書く演習、ビジネススクールで必要なケースライティングの手法等が主なテーマです。2007年については、 Power Reading、Coreの各クラスにつき講師が一人ずつ付きました。 午後(1:30~3:30)は、毎日ではありませんが、ウォートンの教授等をゲストスピーカーとして招き、ストラテジ ー、マネジメント、マーケティング等の講義を受けます。ビジネスとは直接関係のない領域もありますが、講義の内 容に関する学生の評判は総じて高かったと思います。Speakingクラス受講者は講義で質問することを要求され、 また、ゲストスピーカーを紹介する役割が割り振られます。Readingクラス受講者は講義のサマリーを書く役割が 割り振られます。 授業で使う教材、Good to GreatやSK-IIはMGMTの授業で、Rohm & Haasはマーケティングの授業で実際 の本学期に使用しますので、ここで読んで内容を理解しておくと後で非常に楽ができます。 また、通常の授業に加えて、フィラデルフィア近隣の企業訪問も用意されていました。2007年度はCenter City にある化学品メーカーのRohm & Haasを訪問しました。いずれの会社でも、経営幹部から直に話を聞くこと ができ、生徒からの評判は良かったようです。訪問時にはビジネスカジュアルもしくはスーツを着ることが要求され ますので、いずれかの服装は用意しておきましょう。 Programの最後にはTeam(3~4名)毎にプレゼンテーション(発表20分+Q&A10分程度)を行う機会があり ます。準備は大変ですが、meetingを通してTeammateと仲良くなれるよい機会です。 (iii) オプショナル企画 SIIBSの先生・スタッフがプライベートな時間を返上してアテンドしてくれます。またこういう企画をしてほしいと リクエストすると対応してくれるようです。2007年度はPhillies(Philadelphiaに本拠を置くメジャーリーグチーム)観 戦ツアーと地元商工会議所主催のバーベキューパーティへの参加、Washingtonへの日帰りツアーが企画されま した。商工会議所パーディでは少なくとも3組の人々に話しかけるようにとの宿題が付いていました。 (iv) 学費、滞在費 学費は総額3,500ドル程度。教材として別途教科書とバルクパック(教材のコピーを束ねた冊子で、本学期に 入ってからいやという程、目にすることになります)を購入することが必要です。また受講期間をカバーする健康保 険に加入することが必要ですが(ウォートンの保険は8月からしかカバーしない)、日本で当該期間の旅行者傷害 保険に入っておけば代替できるようです(そのほうがやや安い)。 (v) 参加して良かった点、悪かった点、雑感 以下は、これまでにSIIBSに参加した人々からのコメントですので参考にして下さい。 59 長所 生活のセットアップにじっくりと時間を使うことが出来るし、フィラデルフィアに「慣れる」為の助走期間 としては最適だと思う。特に海外生活がはじめての人には、助走期間はあったほうが望ましい。また、 家族連れの人は、この時期に家族と一緒にフィラデルフィアを回っておいて、自分が勉強で忙しくなっ ても家族だけでなんとか生活が出来るようにしておくのは一考ではないか。 学校のインフラに早めに慣れることができる(Pre-Termが始まると必要手続きの学校における窓口 が非常に混雑したり、時間そのものの余裕がなくなったりする)。 Whartonの同級生、Wharton以外の学校への進学者とのネットワークを築くことができる。 Case Studyを中心とした、Pre-MBAを少し体験できる(但し、SIIBSでのレベルは本プログラムと大 きく異なる)。 アメリカ式の授業に慣れるという意味では非常に価値のあるプログラムであると思う。海外経験があ まりない人には、本プログラムが始まってから受けるカルチャーショックの緩衝材となる。 ケースの読み方と書き方はかなり時間をかけてやる。実際のケースとはアプローチの仕方が少し違 うようだが、それなりに参考になった。 Whartonに進学するアジア系を中心とした友人ができる。Wharton進学後にできる友人よりもなんと なくお互いに親近感があるのでネットワークとしては貴重。参加したアジア人ウォートン学生と仲 良くなれた(韓国、中国、タイ)。 英語で発言する、もしくはプレゼンする機会が今までなかった人に抵抗なく練習できる場所。英語で 議論する訓練になる。 通常の英会話学校では余りやる機会の無い、英語でのプレゼンテーションを行い、それに関するフィ ードバックを受けることが出来るのは効果的だと思う。 フィラデルフィアでの学生生活立ち上げには最適のプログラム。学校の施設(校舎や図書館)を使う 練習になるし、学校周辺の事情も良く分かった。センターシティーの土地勘と生活リズム、及び 生活セットアップの時間的ゆとりを得られた。 短所 アジア系が多い為、ネイティブと英語でコミュニケーションをする時間が比較的少ない。 先生によってレベルの差が大きい。 おそらくプログラム自体は良いのかもしれないが、短時間で消化しようとするため、正直消化不良。 費用対効果はあまり良くない。授業の時間が少ない上に、クラス当たりの人数も比較的多い。カリキ ュラムはバラエティに富んでいる点は工夫されているともいえるが見方を変えるとどれも中途半端。 まじめにやると時間を結構とられるので、遊んだり、セットアップに専念したりしたい人にはややハー ド。 当然の事ながら、1ヶ月弱という短期間で英語が上達する訳ではない。特に、会話に関しては一人当 たりの「エアータイム」が限られるし、英語の不得意な人にとっては気後れしがちになってしまう。よっ て、単純に会話力の向上という観点からは、フィラデルフィアに来てからでも別途マンツーマンの英会 話教室に通うのも手だったのではないかと反省している。 空調が効き過ぎている為に教室が異常に寒く、体調を壊した(本プログラムも同様)。 真面目にやると、宿題・チームプロジェクトの準備等に結構忙しく、深夜まで掛かる事もあった。又、 周りも結構真面目に取り組んでいるので、手を抜ける雰囲気でもなく、当初想い描いていたほどの 60 「パラダイス」では無かったというのが個人的な感想。 時間的拘束が比較的長いにも関わらず、課題の量が多く(先生達はこれでも減らしたと主張していた が)、深夜まで課題に追われることが何度かあった。全般的に詰め込み過ぎで消化不良は否めない。 詰め込み勉強で、やっつけ感がある(消化不良)。 雑感 課題の量は多いものの、成績は単に講師による手書きの評価書のみで、学位にも関係ないので、こ の時期はサマースクールを最優先させる必要はなし。Coordinator に事前に連絡しておけば、授業 や課外活動を休んでも問題なし。むしろ生活の立ち上げを最優先させるべき。 課題の量が多く、まじめにこなそうとすると結構大変。ただ、課題をせずに行っても、謝れば先生達 は何も言わなかったし、それで卒業させないということもなかった。 電車・バスの利用方法など、当たり前だけど知らないと困ることを教えてほしかった。 もともとサマースクールで飛躍的に英語がうまくなるなどということはあまり期待できません。SIIBSは生活セットア ップ、骨休め、英会話の練習、ビジネススクールに対する準備、友達づくりなどバランスよくこの時期に進めたい人 に向いています。 オ) このサマースクールを人に勧めますか? 基本的にSpeakingとかWritingとかスキルを学びに来るというスタンスの人には、不満が残ると思う。 英会話的な練習はほとんどなく、如何に授業中に発言をするか、如何に大量の読み物を読みこなす か、ということにのみ焦点があてられている。一方、ネットワーキング、アメリカの授業の雰囲気に慣 れる、英語での議論・プレゼンに慣れる等、経験を積みに来るというスタンスの人にはSIIBSに来る 意味はあると思う。個人的にはそれなりに良かったが、あえて言えばもう少し手を抜けば良かったか もしれない。 会社が費用を負担してくれるのであれば、敢えて履修しないという選択はしないと思う。但し、過大な 期待は禁物であり、費用対効果を考えれば私費であれば敢えて履修する必要は無いと個人的には 感じた。他のサマースクールとの比較感は経験した事が無いため分からないが、「英語力向上」とい う観点から見ればそんなに大差はないような気もするので、会社がお金を出してくれるのなら個人的 には薦める。但し、英語力に自信の無い方はこの時期~Pre Term時期に別途英会話教室に通うこ とも一考ではないか。もう一度やり直せるなら、個人的にはそうしたい(注:実際に語学学校に通った 他の生徒の話によると、語学学校の場合は生徒の年齢・経験・学力レベルのばらつきが大きい場合 もあり、その点について充分検討が必要とのこと)。 海外生活の経験のないWharton生には、推薦したい。生活のセットアップと並行して受講が可能であ るという点と英語の授業の雰囲気に慣れることができる点は大きなメリット。生活セットアップと新しい 環境への適応には思いの他時間をとられた。 勧めるかという点で僕は何気にあのシーブス期間が思い出に残っています。家族もいない気軽な中 で準備に専念していろいろとフィラデルフィアの街を知ることもできてそういう意味では良い助走期間 でした。なーにも物がない中で意味もなく夜中までWrite Up書いていたころが懐かしいです。 61