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第2章 市原市の現状と課題(PDF:255KB)

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第2章 市原市の現状と課題(PDF:255KB)
第2章 市原市の現状と課題
1.前プランにおける考え方
2001(平成 13)年に策定した前プランは、世界の多様な文化を受容する活力
ある地域社会の実現をめざし、国際交流推進体制の確立、海外との新たな交流
の展開、外国人との共生社会の実現など、国際化の進展に的確に対応する施策
を示したものでした。
本市は、この前プランに基づき、国際化時代に対応した人づくり、民間主導
型国際交流やネットワークの整備、姉妹都市モビール市との交流やその他海外
都市とのスポーツなどの交流、国際消防救助隊※による国際協力、外国人市民が
暮らしやすい環境整備、外国人市民の地域社会への参加などに取り組んできま
した。
しかしながら、前プランでの「国際交流」と「外国人(外国)支援」を中心
とする国際化施策だけでは、日本と外国、日本人と外国人といった、いわゆる
内と外という二分法的な考え方から抜け出すことができませんでした。
外国人の増加と定住化が進む今日、在住外国人がともに市民として、国籍や
民族の違いを乗り越え、地域社会に暮らすという視点や認識を持つことが重要
になってきています。
たとえ外国人市民に支援が必要であっても、その在り様は、あくまでも、と
もに地域社会を作っていくパートナーに向けて行なわれるものであり、この多
文化共生という視点に立った新たな施策の展開が求められています。
■ 外国人市民 ■
本市に居住する外国籍の市民を、まちづくりを進めるかけがえのない一員と
考え、「外国人市民」という言葉を使用します。
さらに、外国籍の市民だけでなく、外国文化を背景にもつ日本国籍の人も視
野に入れて使用します。
­5­
2.外国人登録者数の状況
本市の外国人登録者数は、2006(平成 18)年 12 月 31 日現在、5,214 人(51
カ国)であり、この 10 年間で、1.5 倍に増加しています。また、市内総人口の
1.86%を占め、県平均の 1.67%(平成 17 年 12 月末)を上回る数字となってい
ます。
気候も温暖で就労場所があり、都内へのアクセスも容易という立地からも、
本市では今後も、外国人市民が増加していくものと考えています。
なお、全国の外国人登録者数も増加し続けており、2005(平成 17)年末には、
はじめて 200 万人を突破し、この数は約 201 万 2 千人となっています。2004 年
(平成 16 年)末に比べ、3 万 7,808 人(1.9%)、10 年前の 1995(平成 7)年末
に比べ、64 万 9,184 人(47.7%)の増となっています。(法務省「平成 18 年度
在留外国人統計」)
- 全国・千葉県・市原市の比較 –
全 国
外国人登録者数
1995 年
(平成 7 年)
2005 年
(平成 17 年)
総人口
比率
外国人登録者数
市 原 市
総人口
比率
外国人登録者数
総人口
比率
1,362,371
1.08 %
58,507
1.01 %
3,182
1.15 %
2,011,555
1.57 %
101,372
1.67 %
5,047
1.80 %
増加率
上位5ヶ国
千 葉 県
47.7 %
73.3 %
58.6 %
韓国・朝鮮
29.8 %
中国
31.4 %
フィリピン
29.7 %
中国
25.8 %
韓国・朝鮮
18.0 %
韓国・朝鮮
16.3 %
ブラジル
15.0 %
フィリピン
16.3 %
中国
13.0 %
フィリピン
9.3 %
ブラジル
6.5 %
ブラジル
12.8 %
アメリカ
2.5 %
タイ
5.1 %
ペルー
2006 年
7.2 %
5,214
平成18年12月末
1.86 %
<2005(平成 17)年>
千葉県は全国で第 7 位(全国外国人登録者総数のうち占める割合 4.8%)
①東京 17.3% ②大阪 10.5% ③愛知 9.7% ④神奈川 7.5% ⑤埼玉 5.2% ⑥兵庫 5.0%
市原市は県内で第 6 位(千葉県内外国人登録者総数のうち占める割合 5.2%)
①千葉市 18.6% ②市川市 11.9% ③松戸市 9.5% ④船橋市 9.4% ⑤柏市 5.2%
­6­
その他
市原市外国人登録者数推移
人
6000
イギリス
5000
アメリカ
タイ
4000
ペルー
3000
中国
2000
フィリピン
ブラジル
1000
韓国・朝
鮮
S5
6
S5
7
S5
8
S5
9
S6
0
S6
1
S6
2
S6
3
H
1
H
2
H
3
H
4
H
5
H
6
H
7
H
8
H
9
H
10
H
11
H
12
H
13
H
14
H
15
H
16
H
17
H
18
0
- 本市における在留資格別外国人登録者数の推移–
在留資格
教授
H18.07.31
H8.08.31
在留資格
2
芸術
宗教
11
12
報道
H8.08.31
短期滞在
159
149
留学
113
11
就学
31
21
研修
121
73
家族滞在
73
68
特定活動
136
7
永住者
1,062
171
投資・経営
6
医療
2
研究
1
4
教育
5
16
日本人の配偶者等
1,086
1,253
技術
37
27
永住者の配偶者等
32
4
人文知識・国際業務
57
22
平和条約関連国籍離脱者の
企業内転勤
19
13
定住者
901
639
興行
59
88
法 126-2-6
技能
34
31
在留の資格なし
543
177
1
4
その他
286
42
449
553
未取得
文化活動
特別永住者
1
H18.07.31
42
合
­7­
計
5,226
3,428
また、本市は、外国人登録者数の増加に伴い、国籍(出身地)が、ここ 10 年
間で 40 ヶ国から 50 ヶ国に増えていることから、多様な文化を持った人々が移
り住んできていることが分かります。
国籍別で見ると、1 位はフィリピン、2 位は韓国・朝鮮、続く 3 位は、ブラジ
ルとなっています。特にフィリピン国籍の外国人市民が多い市として、全国第 5
位(法務省「平成 18 年度在留外国人統計」)に位置しています。
在留資格別で見ると、
「永住者」※「日本人の配偶者等」※などの増加により定
住化が進んでおり、また在留資格のない外国人市民の占める割合が多くなって
います。他に、在留資格がなく外国人登録もしていない外国人も居住しており、
今後はその実態の把握と、日本人配偶者を持つ外国人女性の人権にも配慮する
施策の展開が求められています。
3.外国人市民の生活実態
外国人市民の意識や生活状況を把握して、本プランの基礎資料とするため、
2006(平成 18)年 12 月に、外国人市民1を対象にしたアンケートを実施しまし
た。
このアンケートの中で、
「暮らしの情報は、どこから手に入れますか。」との問
いに、「日本人の知人・友人」とする答えが最も多く、「テレビ・ラジオ・イン
ターネット」、「外国籍の知人・友人」、「家族」の順となっています。
また、
「どのような情報が必要ですか。」との問いに、
「仕事の情報」とする答
えが最も多く、
「医療・保健・福祉の情報」、「教育の情報」、
「子育ての情報」の
順となっています。
次に、市原市の印象についてとの問いに、
「近所の人々」
「環境(ゴミ・騒音)」
については、良い印象を持っているが、「仕事」、「情報」、「交通」については、
あまり良い印象を持っていないとする答えが多くありました。
更に、「日本人と交流することを望んでいますか。」との問いに、約 9 割の人
が「仲良くしたい」とし、その回答者のほとんどは「日本語を学ぶ必要がある。」
と答えています。
このアンケート結果に加え、外国人市民の意見を聞く中で、必要とする情報
の提供が行われてないことや提供している情報がうまく伝わっていないこと、
就労や社会保障などの面で不安定な立場にあることなど、外国人市民の生活の
一面もうかがい知ることができます。
1
市原市国際交流協会主催の日本語教室受講生及び市内大学の留学生の協力により実施
­8­
4.外国人市民をめぐる意識
急速な情報通信技術や交通網の発達により、国境を越えた人・物・情報の移
動は活発になり、今日では、本市の街中で外国人を見かけることは珍しいこと
ではなくなり、以前は海外に出かけなければ出会うことのなかった外国文化に
身近に接することが出来るようになりました。
にもかかわらず、
「市民アンケート」では、外国人市民が地域社会に参画して
いると感じている市民の割合は 15.5%とかなり低くなっています。
さらに、文化や習慣の違いから、日常生活の中で摩擦が生じる場合も少なく
ありません。また、異文化に対する偏見や認識不足、外見の違いによる差別意
識がなくなっていないという現実もあります。
外国人市民が地域社会に多く参画することにより、市民は、外国人市民の経
験・能力・技術・文化に直接触れることができ、新たな刺激や活力を得ること
ができます。
国籍や民族、文化や習慣の違いを認め合い、ともに市原に暮らす多文化共生
意識を育て、外国人市民も地域の一員として社会へ参画できるしくみを作って
いくことが必要になっています。
また、外国人市民が日常生活の情報を入手し相談する相手に、国籍を問わず
知人・友人をあげており、身近で相談できる相手として市民リーダーなどが求
められています。
5.外国人市民の支援
コミュニケーションに必要な日本語能力が不足していることや市民生活や生
活支援サービスなどの必要な情報が伝わっていないことなどにより、外国人市
民が生活する上で、多くの障害があります。
学校教育では、就学年齢に達しているにもかかわらず、小中学校に在籍して
いない不就学、学習困難などの問題も発生しています。
外国人市民が抱えている日常生活のトラブル、在留資格、結婚・離婚、労働
などの問題は、複雑で多岐にわたって存在し、その悩みを伝え、解決に向け相
談をする体制は十分でないという状況もあります。
このことから、外国人市民のコミュニケーション能力を高めていくことや、
多言語による生活全般に関する情報を提供していくことなどが重要になってい
ます。
なお、外国人市民の児童生徒が、未来への希望を持ち、その力を最大限発揮
­9­
できるよう、就学案内や就学援助制度の情報が提供され、日本語習得の支援や
学習指導などが求められています。
また、外国人市民が必要な情報や支援を受けることができ、多くの市民が多
文化共生や異文化についての関心を持てる場の創設が求められています。
6.国際化
本市の姉妹都市交流は、青少年を中心に、地域の国際化や相手国との相互理
解に大きく貢献してきました。また、国際交流団体による他の海外都市とのス
ポーツ交流等も活発に行われ、多くの市民が異文化に触れ、また本市の文化を
紹介することができました。
今後も国際化が進むことから、より広い分野での市民レベルの交流を展開し、
民間交流団体の活動を促進していく必要があります。
なお、多くの市民に、外国語教育や異文化理解の教育を通して、自らをとり
まく文化をよく知り、多様な文化を尊重しつつも、自分の考えをしっかりと主
張することができる国際人としての能力を身につけることが求められています。
また、地球的視野からの環境保全活動が叫ばれている中、本市企業が持って
いる最新の省エネルギーや環境技術をインターネットで世界に発信するなど、
新たな国際協力を推進していく必要があります。
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