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包括的核実験禁止条約(CTBT) の検証制度について

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包括的核実験禁止条約(CTBT) の検証制度について
包括的核実験禁止条約(CTBT)
の検証制度について
1
(財)日本国際問題研究所
軍縮・不拡散促進センター
企画部長/主任研究員 江原功雄
CONTENT
1.
CTBTについて
2.
CTBTの核実験検証制度
3.
CTBT事務局
4.
CTBT国内運用体制と国内データ・センター(NDC)
2
1.CTBT(COMPREHENSIVE NUCLEAR-TEST-BAN TREATY)
について
歴 史 的 経 緯(1)
1958
 1963



1974
1970
米国による最初の原爆実験
ソ連の最初の原爆実験
国連放射線影響科学委員会(UNSCEAR)
の設置 (Falloutの急激な増加)
国連総会で核実験禁止決議
部分的核実験禁止条約(PTBT)発効
→ これまでに550回以上の大気中での核実験
Fallout 世界平均:0.15 mSv/年・人
地下核実験制限条約(TTBT)署名
→ 150 kt以下に制限
NPT発効(日本は1976年に批准)
3
1945
 1949
 1955

歴 史 的 経 緯(2)




1994
1995
1996

1997


日本「包括的核実験禁止」決議共同提案
地下核実験制限条約(TTBT)発効
CTBTの交渉開始に関する国連決議採択
ジュネーブ軍縮委員会(CD)でCTBTに関
する協議を開始
P5、核実験停止とCTBT早期成立を表明
NPT運用検討会議(NPT無期限延長)
CTBT国連総会で採択、署名開放
→ 2000回以上の核爆発実験が行われた
CTBTO準備委員会暫定事務局開設
4

1977
1990
1993
1994
2000回以上の核実験
5
1.CTBTについて

CTBTとは、…核兵器の開発・改良を行うためには核実験の実施が必要
となりますので、宇宙空間、大気圏内、水中及び地下といったあらゆ
る環境における核兵器の実験的爆発を全て禁じ、そのような核兵器の
拡散/高度化を防止する目的でできた核軍縮・不拡散上、極めて重要
な意義を有する条約です。

この条約では、…その発効時に国際監視制度などの検証措置が有効に
機能するよう要請していますので、1996年9月の国連総会における条約
採択を契機に、条約署名国をメンバーとするCTBT機関準備委員会を設
立し、検証体制の整備が現在進められています。

条約の発効時期は未定ですが、…現在の予算規模(約1億ドル/年)を
維持し、国際監視制度(IMS)の整備が進めつつ、2011年央時点で、世
界337か所のうち254か所(約80%)の観測所・実験室網が核実験監視
のために暫定運用を行なっており、ウィーンにある国際データセン
ター(IDC)へのデータ送信、また、IDCから署名国へのデータ配布も定
常的に行なわれています。

日本国内にも、…条約議定書に10ヵ所の施設を設置することとなって
おり、全ての施設が、核実験監視のための技術基準を満足しCTBT機関 6
準備委員会の認証を受けて暫定運用を行なっています。
1.CTBTについて: CTBTの現状
(2011年9月28日現在)
 署名国:182カ国
 批准国:155カ国
 日本:
1996年9月、署名(署名開放と同時)
1997年6月、国会承認
7月、批准
 発効要件となる44カ国のうち、35カ国が批准


未署名国(3) :インド、パキスタン、北朝鮮
未批准国(6) :中国、エジプト、インドネシア、イラン、
イスラエル、米国
7
1.CTBTについて:署名国数、批准国数の推移
(2011年9月28日 現在)
200
175
150
149
151
155
160
165
166
170
174
176
177
137
120
125
177
141
89
182
148 153
155
署名国
97
批准国
発効要件国
69
75
144
182
181
126
108
100
178
51
50
31
26
25
0
8
26
13
31
32
33
33
34
34
35
35
35
35
30
8
2
1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011
2.CTBTの核実験検証制度:
CTBT検証制度の設計指針
 地球上のあらゆる場所における核爆発も高い確
率で検知可能なこと





大気中、水中、地下
高検知確率:90~95%以上
最近実施された核実験か?
位置精度:1000km2以内
検出限界: 1 kt(TNT換算)以上
 各締約国が条約遵守について評価できるように
データを提供する

平等性、適時性
9
2.CTBTの核実験検証制度:
CTBT検証制度の3本柱
 IMS(International
Nomitoring System):
国際監視制度
 IDC(International
Data Center):
国際データセンター
 OSI(On-site
現地査察
Inspection):
10
2.CTBTの核実験の検証制:
国際監視制度(IMS)

世界中に337カ所の施設




地震波:主要観測所50、補助観測所120
放射性核種:80(観測所)+16(実験施設)
水中音波 :11
微気圧振動:60

技術事務局(IDCを含む)による支援

世界的通信基盤(GCI)によるネットワーク

IMSはホスト国が所有、運用
11
IMS国際監視システム
12
目的 : 各加盟国が条約遵守に係わる判断を行う支援システムとして、地球規模での
定常的なデータ収集と各加盟国への平等かつ適時なデータ配布を行うこと
IMSネットワーク整備状況(設置数)
(設置数は認証済み及び試験中の観測所の合計)(CONT.3)
目標数
2007
2008
2009
2010
2011
主要観測所
50
42
44
44
45
46
補助観測所
120
99
106
106
108
111
微気圧振動観測所
60
39
41
42
42
44
水中音波観測所
11
11
11
11
10
11
粒子観測
所
80
58
62
63
63
64
実験施設
16
10
10
10
10
10
337
259
274
276
278
286
(40)
(17)
(26)
(26)
(30)
地震波
放射性核
種
合計
(放射性希ガス観測所)
(CTBT後に設置を決定)
(20)
13
世界337カ所の観測所ネットワーク(Cont.4)
14
2.CTBTの核実験の検証制度 :
国際データデンター(IDC)

IMSから得られたデータは、ウィーンのIDCで収集。

各締約国に平等かつ適時に配信。

条約遵守に係わる判断は、IDCを経由して受け取る
IMSデータ及び各国の独自情報により、各締約国が行
う。
15
16
2.CTBTの核実験の検証制度 :
現地査察(OSI)

締約国が執行理事会に発議する



IDCから受領するデータ及び独自のデータ(NTM)に基づき
各締約国が判断し発議する
執行理事国51ヶ国のうち、30ヶ国以上の賛成により実施
査察官は最大40名、査察区域は1000M平方キロ以内、最大
130日間。

1カ国による発議

濫用禁止規定
17
2.CTBTの核実験の検証制度 :
現地査察(OSI)
18
(2008年カザフスタンでの統合野外演習)
CTBT検証制度のしくみ(まとめ)
CTBT機関技術事務局
国際データセンター(IDC)
データ送信
(24hr/365days)
執行理事会(51ヶ国)
国際監視制度(IMS)
地震波
(50+120 カ所)
放射性核種(80+16 カ所)
水中音波 (11 カ所)
微気圧振動(60 カ所)
30ヶ国以上の
賛成で実施
現地査察(OSI)
OSI発議
条約締約国
締 約 国 会 議
各締約国へ
データ配信
国内データ
センター
(NDC)
各締約国ではIMSデータ
の解析評価等に基づき検
証を行い、必要に応じ現地
査察(OSI)の発議を行う
19
条約遵守に係わる検証は
各締約国の責任
3.CTBT事務局:CTBTO準備委員会に係わる関係図
CTBTO準備委員会
日本政府
外務省
全権大使・代表団派遣
国際約束・分担金
国問研軍縮センター
委託
文科省
CTBTO準備委員会プレナリー
最高意志決定機関
指針
報告
原子力機構
日本気象協会
勧告
作業部会A
PTS
気象庁
諮問
各種
専門家
会合
-行財政・協定-
作業部会B
-検証関連-
諮問委員会20
3.CTBT事務局:
事務局長室 6人
暫定技術事務局(PTS) 組織図(2010年1月1日現在)
職員:262名(うち専門職は169名)
Mr. Gizowski
(ポーランド)
内部監査室 4人
Ms.kusuma (インドネシア)
事務局長
評 価 室 5人
Mr.Toth (ハンガリー)
Ms. Alamo (スペイン)
行財政局
法務・対外関係局
現地査察局
国際データセンター局
国際監視制度局
Mr.Sequeira (米)
Mr.Li (中)
Mr. Kvok (ロシア
ロシア))
Mr.Zerbo (ブルキナファソ
ブルキナファソ))
Mr.Guendel (コスタリカ
コスタリカ))
46人
46
人
35人
35
人
22人
22
人
86人
86
人
58人
58
人
財 務 課
法 務 課
プロジェクト調整室
施設支援課
Mr.Soper (英)
Ms.Tabassi
(イラン)
訓練運用課
Mr.Melamud
(イスラエル)
Mr. Coyne (米)
調 達 課
対外関係課
Mr.Gronnerod
(ノールウェイ)
人 事 課
Ms. Mekonnen
(エチオピア)
総 務 課
Mr.Erenstein
(蘭)
Mr. Du Preez
(南ア)
広 報 課
Ms.Thunborg
(スウェーデン)
国際協力課
Mr.Kim (韓)
会議支援課
Mr.Deyanov
(ブルガリア)
文 書 課
Ms.Deng (中)
ロジ支援課
Mr.Balczo
(ハンガリー)
装置実施課
Mr.Arndt (独)
ネットワーク/データ
システム運用課
Mr.Araujo (コロンビア)
ソフトウェア応用課
Mr. Given (米)
監視解析課
Mr. Spiliopoulos
(豪)
支援/品質管理
/訓練課
Mr. Carter (米)
Ms.Brely (加)
ネットワーク/システ
ム支援課
Mr.Solomons
(ガーナ)
技術開発課
Mr.Grenard (仏)
21
CTBTの現状と課題


発効問題:オバマ政権のCTBTに対する積極姿勢
CTBT条約執行のための詳細運用マニュアル交渉、特に、現
地査察運用マニュアルをめぐる攻防戦

特定国の否定的な姿勢

各国NDCの課題:


各種データの統合と総合分析
平和貢献の強化:福島原発事故におけるIAEA、WHOへのデ
22
ータの提供
4.CTBT国内運用体制と国内データ・セン
ター(NDC): 国内データセンター(NDC)

CTBT第三条:4項
「締約国は、この条約に基づく自国の義務を履行するため、国内当局を
指定し及び、この条約が自国について効力を生じた時は、その指定又
は設置について機関に通報する。国内当局は、機関及び他の締約国と
の連絡のための国内の連絡先となる。」

機関は、IMSネットワークにより得られたデータを平等かつ
タイムリーにNDCに提供

これに基づき、各締約国が条約遵守状況の評価を行う
→ NDCでデータ解析評価
23
4.CTBT国内運用体制と国内データ・センター
(NDC): 国内データセンター(NDC)



平成15年度以降:5カ年計画
平成20年度以降:暫定運用
国内の検証制度の運用と改良








国内観測所からのデータの送受信
国内観測所の維持・管理・改良
データ解析・評価
緊急・異常事態に対する対応と政府への報告
作業部会B交渉会合への参加
各国との協力とCTBT関連の国際会議への参加
OSIに関する調査研究
科学技術、災害監視等への貢献
24
4.CTBT国内運用体制と国内データ・センター(NDC):
我が国のNDC-CTBT国内運用体制
 (財)国問研 軍縮・不拡散促進センター



(財)日本気象協会



国内運用体制の円滑化に係わる調整等
国内運用体制事務局
PS22、AS51~AS55、IS30の施設運用者
連続波形データに係わるNDC-1
(独)日本原子力研究開発機構


RN37、RN38、RL11の施設運用者
放射性核種データに係わるNDC-2
25
(Cont.3)
(独)日本原子力研究開発機構
(Japan Atomic Energy Agency)
26
(参考)CTBTに係わる日本国内の監視観測所及び公認実験施設
日本国内10カ所
AS054
(全て認証済み)
▲:地震監視主要観測所
松代(PS22)
▲ :地震監視補助観測所
大分(AS051)、沖縄(AS52)、
八丈島(AS53)、
PS22
RN38
AS051
RL11
上川朝日(AS54)、父島(AS55)
IS30
●:放射性核種監視観測所
沖縄(RN37)、高崎(RN38)
AS053
●:希ガス観測所
高崎(JPX38) *RN38に併設
★:公認実験施設
原子力機構 東海(RL11)
AS052
RN37
AS055
◆:微気圧振動監視観測所
夷隅(IS30)
27
PS22 - 地震主要監視観測所(松代)
認証済:2004年12月22日
28
AS51~55 - 地震補助監視観測所
認証済:2008年12月
AS51(大分)
AS52(沖縄)
AS53(八丈島)
29
AS54(上川朝日)
AS55(父島)
IS30 - 微気圧振動監視観測所(夷隅)
認証済:2005年3月24日
(③)
Yagi Antenna (AT372)
Radio Telemetry Mast
(With in 30m from vault)
Yagi Antenna (AT372)
※H6 array only
(⑦)
Power Line AC100V
Steel pipe for cable
Wireless IP Router
Power Pole
Meteorological Mast
(Within 3m of the vault)
※H1 array only
(⑥)
Power Suppry Box
GPS Antenna Mast
(②)
Steel pipe for cable
Breaker
Meter
HUB(※H6 array only)
Vault
(④)
Steel pipe for cable
(under the ground)
1.8m
Pipe Array(①)
Steel pipe for cable
(under the ground) (⑩)
Lightning
Protection
(⑧)
Earth cable
(⑪)
Security Fence
(⑤)
abo
ut
Gravel
(⑨)
20 m
Gat
ew
18
ay
m
t2
ou
ab
0m
30
(RN38)高崎放射性核種監視観測所)
避雷針
大気吸入口
認証済:2004年2月6日
気象センサー
排気防音設備
VSAT
粒子観測装置: RASA
希ガス観測装置: SAUNA-II
31
(RN37)沖縄放射性核種監視観測所
認証済:2007年2月22日
粒子観測装置:RASA
32
全自動放射性粒子モニタリング装置(RASA)
吸気 / 排気ダクト
ドアセンサー
侵入検知パネル
粒子捕集部
Ge検出器 / 遮蔽体
校正用線源
コンピュータ
MCA
システム制御装置
GPS受信器
侵入検知装置
33
希ガス観測装置(SAUNA-II)
冷却用ファン
大気吸入口
PLC
試料捕集オーブン A
SOH監視装置
SOH用PC
Xe処理装置(XPU)
UPS
検出器 (2台)
試料捕集オーブン B
捕集制御装置(SCU)
34
プロセスオーブン
ガスクロマトグラフ
メインPC
(RL11)東海公認実験施設室内
認証済:2006年11月16日
35
Fly UP