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第9章 主要投資インセンティブ(奨励ゾーン、奨励業種等)

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第9章 主要投資インセンティブ(奨励ゾーン、奨励業種等)
第9章 主要投資インセンティブ(奨励ゾーン、奨励業種等)
BOI は、タイ企業のみならず、外国企業のタイへの投資を奨励、促進するため、様々な
奨励制度を設けて、タイに投資する企業に特典を付与している。
図表 9-1 タイの投資奨励制度の枠組み
制
度
特
典
○奨励ゾーン制度
○税制上の特典
第 1 から第 3 までの 3 つのゾーンに区分
①法人所得税の減免
第 3 ゾーン特別地区(低開発の 22 県)
②輸入税の減免
○奨励業種制度
○税制によらない特典
「投資奨励業種」を指定
①技術者・専門家・家族の入国、
「特別重要業種」あるいは「特別重要かつ国益をもたらす
業種」を指定
外国人就労許可(手続きの簡素化)
②フィージビリティー・スタディのための外国人の
入国、外国人就労許可(6 ヵ月間)
○特定の政策目的達成のための奨励制度
③外貨の海外への送金保証
①持続的発展のための奨励
④奨励事業実施のための土地所有の許可
②地域統括本部設置の奨励
③技術革新・向上(Skill, Technology & Innovation)を促
進するための特別奨励
(出所)BOI 資料より作成
投資奨励制度には、3 つの特徴がある。その第 1 は、産業の地方分散、地方産業の振興、
地域間の所得格差の解消を目的とし、1987 年以来導入されている、奨励ゾーン制度である。
これは、全国を 3 つのゾーンに分け、バンコク首都圏を離れるに従って特典を厚くするも
のである。この制度に基づいて BOI の認可を受けた企業が受けられる特典には、法人所得
税または輸入税の減免などの税制上の特典のほか、土地所有の許可、外国人の入国・労働
許可に関する便宜供与などの税制面以外の特典もある。
第 2 は、企業の立地する奨励ゾーンにかかわらず、特定の産業や産業集積を促進するた
めに、業種に応じて特典を付与する奨励業種制度である。これは、タイ産業の高度化、雇
用の促進に役立つ業種に投資した企業に対し、様々な特典を与えている。具体的には、129
の「投資奨励業種」を指定するとともに、その中からさらに「特別重要業種」あるいは「特
別重要かつ国益をもたらす業種」を選定して、その事業に投資する企業に対してさらに特
典を追加している。
47
さらに、第 3 の特典として、最近では、特定の政策目的を達成するための手段として、
投資企業に対してよりきめ細かに配慮を加えた新たな投資奨励措置が導入されてきている。
例えば、①持続的発展のための投資奨励政策、②地域統括本部設置の奨励措置(2002 年 8
月導入)、③一層の技術革新・向上を促進するための特別奨励措置(2004 年 3 月導入)、な
どの奨励策があり、これらの奨励措置に基づく認可を受けた企業はより厚い特典を享受で
きることとなる。
一方、BOI の認可を受けた奨励企業に付与される特典についてみると、①法人所得税の
減免(「特別重要業種」の場合は免税限度あり、「特別重要かつ国益をもたらす業種」の場
合は免税限度なし)
、②輸入税の減免などの税制上の特典のほかに、税制によらない特典と
して、①技術者・専門家・家族の入国、外国人労働許可(手続きの簡素化及び緩和された
条件による許可)、②フィージビリティー・スタディのための外国人の入国、外国人労働許
可(6 ヵ月間)、③外貨の海外への送金保証、④奨励事業実施のための土地所有の許可(外
資 49%以上でも可)等もある。後者の税制によらない特典は立地、業種あるいは条件を問
わず、全ての BOI 奨励認可事業に付与される。
なお、以上のような投資奨励法に基づく特典には、タイ工業団地公社法に基づく工業団
地に入居した場合の特典がさらに加味される場合がある。
図表 9-2 BOI の投資奨励ゾーン
1.投資奨励ゾーン
タイにおける奨励ゾーン制に基づく外国投資
家に対する特典の付与は、地域間格差是正の観
点から、1987 年以来導入されたものであり、現
在は、
基本的には 1993 年の BOI 布告に基づき、
タイ国内を第 1 から第 3 までの 3 つのゾーンに
区分し、首都からより遠い地域に進出する企業
ほどより厚い特典が受けられるように定めてい
る。その後、2000 年 8 月の BOI 布告では、社
会資本の整備状況や所得水準などを勘案して、
第 3 ゾーンに属する低開発の 18 県を特別地区と
してさらに厚い特典を付与するなど、既存の奨
励ゾーン区分の見直しを行った。さらに、2004
第1ゾーン 6都県
年 6 月には、低開発の特別地区を 18 県から 22
第2ゾーン 12県
県に増やしている。
第3ゾーン 36県
ゾーンごとに付与される税制上の特典は図表
9-3 の通りである。ただし、これは原則であり、
業種によっては別の特典が与えられるもの、税制
上の特典が与えられないものもある。具体的には
48
第3ゾーン
特別地区 22県
発給される奨励証書に記載されることとなるが、基本的な考え方は巻末付録 3.「投資奨励対
象業種表」に示されている。
図表 9-3 投資奨励ゾーンとその特典
ゾーンと
区分と県
第1ゾーン
(6県)
機械・設備
輸入税減免
法人所得税減免
バンコク、サムットプラカン、サムットサコン、パトムタニ、ノンタブリ、ナコンパトム
工業団地に立地する場合のみ3年間免税
第2ゾーン
(12県)
第3ゾーン
(1)
(36県)
税率10%以上のものに
ついて50%減税
1年間(延長可能)
サムットソンクラム、ラチャブリ、カンチャナブリ、スパンブリ、アントーン、アユタヤ、サラブリ、
ナコンナヨク、チャチェンサオ、チョンブリ、ラヨン、プーケット
1) 工業団地に立地する場合5年間免税
(条件つきで7年間(注1))
1) 税 率 10% 以 上 の も の に 1年間(延長可能)
ついて50%減税
2) 工業団地外に立地する場合3年間免税
2) 工業団地に立地する場
合、条件に該当すると
きには免税 (注2)
クラビー、カンペンペット、コンケン、チャンタブリ、チャイナート、チュムポン、チェンライ、チェンマイ、トラン、
トラート、ターク、ナンコンラチャシマ、ナコンシータマラート、ナコンサワン、プラチャップキリカン、プラチンブリ、
パンガー、パッタルン、ピチット、ピサヌローク、ペチャブリ、ペチャブーン、ムクダハン、メーホンソン、ラノーン、
ロッブリー、ラムパーン、ランプーン、ルーイ、ソンクラー、サケーオ、シンブリ、スコタイ、スラタニ、ウタラディット、
ウタイタニ
1) 8年間免税
免税
2) 工業団地に立地する場合、
イ)8年間の免税期間終了後5年間は50%減税
(注3)にあたる場合は、第3ゾーン(2)の税優遇
ロ)輸送費、電気代、水道代の2倍までを、利益を生
じた日から10年間、控除することができる
1) 5年間(延長可能)
2) 工業団地内に立地する場合、国内販売
用原材料の輸入税の減免最高75%を5年
間。ただし、国内で生産されず、され
ても輸入品の品質より劣る場合、数量
が充 分に無い 場合 に限 られ る。 レム
チャバン工業団地、ラヨン県の工業地
域を除く。条件あり(注5)
3) 工業団地外に立地する場合、インフラストラクチャー
の設置、建設費の25%を、利益を生じた日から10年の
間に、純利益から通常の減価償却に加えて控除するこ
とができる(注4)
第3ゾーン
(2)
(22県)
輸出製品用原材料
輸入税免税
ガラシン、チャイヤプーム、ナコンパノム、ナラティワート、ナーン、ブリラム、パッタニー、パヤオ、プレー、
マハサラカム、ヤソートン、ヤラー、ローイエット、シーサケート、サコンナコン、サトゥーン、スリン、ノンカイ、
ノーンブアラムプー、アムナートジャラーン、ウボンラチャタニ、ウドンタニ
1) 8年間免税
免税
2) 8年間の免税期間終了後5年間は50%減税
3) 輸送費、電気代、水道代の2倍までを、利益を生じた
日から10年間、控除することができる。
4) インフラストラクチャーの設置、建設費の25%を、利
益を生じた日から10年の間に、純利益から通常の減価
償却に加えて控除することができる (注4)
1) 5年間(延長可能)
2) 工業団地内に立地する場合、国内販売
用原材料の輸入税の減免最高75%を5年
間。ただし、国内で生産されず、され
ても輸入品の品質より劣る場合、数量
が充 分に無い 場合 に限 られ る。 レム
チャバン工業団地、ラヨン県の工業地
域を除く。条件あり(注5)
(注 1) 第 2 ゾーンにある IEAT 管理の工業団地、BOI の認可を受けた工業団地に立地し、2014 年 12 月
31 日までに奨励申請が受理されること。
(注 2) 第 2 ゾーンにある IEAT 管理の工業団地、BOI の認可を受けた工業団地に立地し、2014 年 12 月
31 日までに奨励申請が受理されること。
(注 3) 第 3 ゾーンにある IEAT 管理の工業団地、BOI の認可を受けた工業団地、これらの条件下にある
レムチャバン工業団地、ラヨン県内の工業団地に立地するプロジェクトは、第 3 ゾーン(1)と同じ
恩典を受けることが可能である。ただし、2014 年 12 月 31 日までに奨励申請が受理されること。
(注 4) 10 年間のどの年の利益から控除するのか、あるいは数年に亘って控除が可能である。
(注 5) 第 3 ゾーンにある IEAT 管理の工業団地、BOI の認可を受けた工業団地に立地するプロジェクト
に適応。レムチャバン工業団地、ラヨン県内の工業団地に立地するプロジェクトは対象としない。
2014 年 12 月 31 日までに投資申請が受理されること。
(出所)BOI 資料より作成
49
2000 年 8 月の改正に際して、BOI は、第 2 ゾーンおよび第 3 ゾーンの工業団地、工業地
域に対する支援を強化するため、経過措置を講じた。この経過措置によると、第 2 ゾーン
内の工業団地に立地する場合の特典が拡大されている(法人所得税免税期間の延長(3 年⇒
7 年)
、機械・設備の輸入税免税化など)
。この経過措置は 2004 年末に終わるところであっ
たが、2014 年末まで延長された。この経過措置の恩典を受けるためには、①IEAT 管理の
工業団地、BOI の奨励認可を受けた工業団地、チョンブリ県のレムチャバン工業団地に入
居すること、および②2014 年 12 月 31 日までに奨励申請が受理されること、の 2 つの条件
を満たすことが必要である。
ひとくちメモ (6):
バンコクからの距離
多くの日系企業はバンコクから車で 2 時間以内の、第 1、第 2 ゾーンの工業団地に立地している。しか
しながら、日本人幹部がバンコクから工場へ通勤する場合は、車で片道 1 時間∼1 時間半くらいが限度。
東京ならごく普通の通勤時間だが、タイでは一般道を時速 100km 近くで飛ばしての 1 時間であり、渋滞も
あるので意味が異なる。地域的にはアユタヤ県、チョンブリ県あたりまで。それ以上遠いと運転手の毎日
の負担が大きく、交通事故死亡率が日本の 4 倍というリスクが重くのしかかる。
遠方の工業団地の日本人幹部の中には、家族を学校の関係等でバンコクに残し、普段は工業団地内や近
郊のマンションに住み、週末バンコクへ帰る生活をしている人も多い。週末のバンコク行きがむしろ 1 週
間の生活リズムとなり、また励みとなる場合もある。工業団地の中に幹部用の高級サービスアパートを備
えているところも多く、地方にもコンビニや日本食レストランが増えているので、子供の教育の問題がな
く、多少の不便を我慢できるのであれば、必ずしもバンコクからの通勤にこだわらなくてもよい。ただし
日本人幹部が営業や駐在員的仕事もしなければならない場合は、バンコクから通える工業団地を検討した
方が良いかもしれない。
2.奨励業種
BOI は、2000 年 8 月から運用された投資奨励策において、①投資を通じての経済回復の
スピードアップ、②国際競争力の強化、③地方の発展の加速、④産業連携の基盤形成等に
資するプロジェクトを重視して、それらの活動・産業に最大の特典を付与するとともに、
税特典の効果的な配分に配慮し、奨励業種や各奨励ゾーンにおける特典の見直し等を行な
った。その結果、投資奨励業種として、図表 9-4 左表に掲げた 7 分野 129 業種が指定され
ている(詳細な内訳は巻末付録 3.「投資奨励対象業種表」を参照)。
同時に、BOI は、この 129 業種の中から、特にタイにとって重要とみられる業種を「特
別重要業種」あるいは「特別重要かつ国益をもたらす業種」として、特に厚い特典を付与
して、その業種への参入を奨励している。このうち、「特別重要業種」として指定される業
種の概要は図表 9-4 の右表に掲げた通りであり、個別具体的には、また、
「特別重要かつ国
益をもたらす業種」の詳細については巻末付録 3.「投資奨励対象業種表」を参照されたい。
「特別重要業種」に該当する事業の認可を得た場合に受けられる特典としては、立地場所
にかかわらず、①8 年間の法人所得税免除(免除額に上限あり)および②機械輸入税の免除
が受けられる。さらに、
「特別重要かつ国益をもたらす業種」に該当する事業の認可を受け
50
た場合には、①および②の特典の他に、法人所得税免除の上限を設けないという特典がつ
く。なお、いずれの業種も、その立地場所が上記投資奨励ゾーンによる特典を重畳的に享
受できる。
図表 9-4 投資奨励 7 分野 129 業種と特別重要業種
類
1
2
3
4
5
6
7
(注)
関係業種
具体的業種数
農業および農産品からの製造業
21
鉱山、セラミックス、基本金属
19
軽工業
16
金属製品、機械、運輸機器
20
電子、電気機械産業
9
化学工業、紙およびプラスチック
16
サービス、公共事業
28
合 計
129
1
2
3
4
5
特別重要業種
農水産業およびその製品
技術開発および人的資源開発に係る事業
公共事業、基本的なサービス
環境の保全、環境対策に関係する事業
重点産業(注)
重点産業は、①鋳造、鍛造、金型、治具、一定の工作機械、精密高速機械用切断・洗浄・切削・
研磨・ねじ込み用備品及び資材の製造、②航空機、その部品及び備品の製造、修理・表面処理(鍍
金)、③エネルギーを節約する機械・設備、代替エネルギーを使用する設備及び太陽電池の製造、
④電子機器の設計及びソフトウェア産業、⑤研究・開発、科学実験室及び計測器校正、⑥人材開
発、⑦産業廃棄物処理(汚水有害化学品処理)及びリサイクル事業、並びに、⑧所定の条件を満
たす製造設計事業、デザインセンター、科学技術区、エネルギーサービス会社等である。
(出所)いずれも BOI 資料より作成
3.特定の政策目的達成のための奨励制度
(1) 持続的発展のための投資奨励政策
BOI は、従前の投資奨励策を改め、2010 年から、持続的発展、科学技術分野におけるタ
イ国の国際競争力向上、製造業の質の改善、環境負荷の軽減を促進する目的で、税制上の
特典を付与する持続的発展のための投資奨励政策を採用した(2010 年 4 月 23 日付け BOI
告示№2/2553)。同告示は、①投資奨励の対象産業(省エネルギーおよび代替エネルギー関
連業種、環境にやさしい素材および製品の製造、および高度技術を使用した事業の 3 グル
ープ)
、②省エネルギー、代替エネルギー使用、環境へのインパクト軽減のための投資奨励
措置、③新製品を製造するために技術を改善し生産効率向上を図るための投資奨励措置、
④環境問題解決措置につき、特典を定めている。
特典の具体的内容および特典を享受するための条件は、図表 9-5 に示した通りである。
51
図表 9-5 持続的発展のための投資奨励策における特典及び特典を享受するための条件
1. 対象産業に対する投資奨励政策
特典
条件
・機械輸入税の免除
・法人所得税を8年間免除(免税額に上限なし)。
・法人所得税の免除期間終了後さらに5年間にわたり50%減税。
・輸送費、電気代、水道代の2倍を、収益が生じた日から10年間控除。
・インフラ設置費、建設費の25%を通常の減価償却に加えて控除。
・バンコク以外の全国に立地するプロジェクトが対象。
・申請書を2012年12月31日までにBOI事務局に提出すること。
・プロジェクトは以下のいずれかの業種に該当すること。
1) 省エネルギー及び代替エネルギー関連業種
2) 環境にやさしい素材および製品の製造
3) 高度技術を使用した事業
2. 省エネルギー、代替エネルギーの使用、環境負荷の軽減を促進するための政策
特典
条件
・機械輸入税の免除
・土地代および運転資金を含まない投資金額の70%まで3年間法人所得税を免除。なお、法人
所得税免除の対象は既存事業の収入とする。免除期間は、奨励証書受領後収入が発生した日
から開始する。
・本政策は、BOIの奨励を受けた既存のプロジェクト、BOIの奨励を受けていない既存のプロ
ジェクト(ただし投資奨励対象業種に該当すること)の両方に適用する。
・BOIの奨励を受けたプロジェクトも、法人所得税の減免期間が終了しているか、法人所得税
の免税恩典を受けていないプロジェクトの場合、本政策の申請をすることができる。
・申請者は、省エネルギー、代替エネルギーの導入、あるいはまた以下のいずれかを採用する
ことによる環境負荷の軽減のために、機械を変更するための投資計画を提出すること。
1) 指定の割合でエネルギー消費量を減少させるために近代的な技術を導入するための機械
の能力改善への投資
2) 全体エネルギー消費量と比較して指定の割合で代替エネルギーを使用するための機械の
能力改善への投資
3) 指定の割合で、廃棄物、廃水または排気量を減少させるための機械の改善能力への投資
・申請書を2012年12月31日までにBOI事務局に提出し、奨励証書発給日から3年以内に実施を
完了すること。
・既存プロジェクトによる本政策の申請については、投資額の規模によらず、すべてBOI事務
局において検討される。
3. 新製品製造のための技術改良によって生産効率の向上を促進するための政策
特典
条件
・立地ゾーンに関係なく、機械輸入税を免税。
・新製品の生産から得られる収益に対する法人所得税を3年間免除。ただし、免除額の上限
は、生産ラインの改善に対する投資額とする。
・本政策は、BOIの奨励を受けた既存のプロジェクト、BOIの奨励を受けていない既存のプロ
ジェクトの両方に適用する。
・投資企業は、新製品製造が可能になるよう、既存の生産ラインの改善に投資すること。
・改善後の生産ラインによって製造された新製品は、既存の製品とは違ったもので、異なる名
前を有すること。またその新しい製品は、法人所得税の免除恩典が付与されている投資奨励
対象業種表に含まれること。
・生産ラインの改善には、組立てラインの改善は含まれない。
・申請書に新製品製造の為の技術の改善に対する投資計画を添付し、2012年12月31日までに
BOI事務局に提出すること。
・既存プロジェクトによる本政策の申請については、投資額の規模によらず、すべてBOI事務
局において検討される。
52
4. 環境問題解決措置
特典
条件
・環境負荷を軽減するために機械の改善をする場合に、機械輸入税を免除
・土地代および運転資金を含まない投資金額の70%まで3年間法人所得税を免除。なお、法人
所得税免除の対象は既存事業の収入とする。免除期間は、奨励証書受領後収入が発生した日
から開始する。
・申請者は、環境経営基準および政府が特定する条件を順守し、汚染レベルは法的基準値より
低く、また以下の産業であること。
-石油精製
-天然ガス分離
-電力発電
-化学・石油化学
-鉱物・基礎金属
・本政策は、BOIの奨励を受けた既存のプロジェクト、BOIの奨励を受けていない既存のプロ
ジェクトの両方に適用する。
・プロジェクトは、BOIが定める基準や手法に則って、環境負荷を軽減するものであること。
・申請書は、BOIが定める基準や手法に則った環境負荷軽減計画を含めて、2012年12月31日
までにBOI事務局に提出し、奨励証書発給日から3年以内に実施を完了すること。
・既存プロジェクトによる本政策の申請については、投資額の規模によらず、すべてBOI事務
局において検討される。
(出所)BOI 資料より作成
(2) 地域統括本部設置の奨励
BOI は、2002 年 8 月から、地域統括本部の設置に係る特典制度を導入した。これは、ア
ジア地域にある関係会社6に対して一定のサービスを提供する地域統括本部(ROH)をタイ
国内に誘致する目的で、設けられた特典制度で、それをタイ国内に設置した外国企業に対
して以下に示すような特典を付与する制度である。
① 外国の関連会社、支店へのサービスによる ROH の収益に対し、法人税は 10%とする。
② 海外にある関連会社、支店より得た研究開発のロイヤルティー収入に対し法人税は
10%とする。
③ 借入金の分に限り、海外にある関連会社、支店に貸し付けることによる利息収入に対
し、法人税は 10%とする。
④ 法人税免除対象の ROH から出た配当金に関し、それを受けた、海外の法律に基づき
設立され、タイに事業展開していない法人、合資会社に免税恩典を付与する。
⑤ 国内外にある関連会社、支店より受けた ROH の配当金に法人税を免除する。
⑥ ROH の事業のために購入または譲渡された建物に対し、ROH は受け取った日に 25%
で減価償却を計上し、残り 20 年間で償却することが可能。
⑦ 研究開発を目的とした ROH が輸入する機械に対し、BOI より輸入関税の減免の権利
特典が付与される。
なお、この特典を受けるために求められる ROH の資格、事業内容等の要件は図表 9-6 の
6
25%以上の資本関係、あるいは実質的に支配被支配の関係にある株式会社またはパートナーシ
ップを指す。
53
通りである。
図表 9-6 ROH 設置奨励特典を受けるための要件
①ROHの資格要件
②ROHの事業内容要件
1 毎決算日に1000万バーツ以上の払い込み資本金
1 事業運営・管理のサービス提供
があること
2 技術面のサービス提供
2 最低3カ国以上の海外の関連会社もしくは支店
3 以下の支援サービスの提供
に対するサービス提供(注1)
a 一般事業管理、事業計画、事業提携全般
3 収入源
b 原材料、部品の調達
・ROHのタイ国外の関連会社もしくは支店への
c 製品の分析、開発
事業運営・管理面または技術のサービス
d 技術援助
・ROHの研究開発ロイヤルティー 海外にある関連
e 販売促進
会社もしくは支店より受領したこの類の収入が
f 地域内の人員管理およびその訓練
総収入の50%超を占めること(ROH登録時から
g 財務に関する助言
最初の3年間を除く)。
h 経済、投資に関する分析
・税制上の特典を受ける会計年度内に国税局局長
i 与信業務の統括
の定める原則、方法、条件で申請すること
j その他国税局長が定める支援事業
(注)
2010 年 11 月 6 日に施行された税制優遇策により、3 ヵ国以上の外国の支店、もしくは関連会社
の業務を管理監督するという要件は、開設初年度は 1 ヵ国以上、3 年以内に 2 ヵ国以上、5 年以内
に 3 ヵ国以上という要件に緩和された。
(出所)BOI 資料より作成
ひとくちメモ (7):
在タイ日系企業から進出検討中の中小企業へのアドバイス
「取引先から進出を要請された。まあ行けば何とかなるだろう。
」といった感覚で進出を決める企業があ
るが、決して何とかならないし、かなり痛い目にあう。以下の点をよく検討する必要がある。
・現地での仕事は確実に確保されているか、はじめに取引を確定してから進出するのが定石である。進出
後取引先の急な事情変更で、アテにしていた取引がキャンセルされて途方に暮れた企業もある。
・操業開始後通常 3∼5 年は赤字が続くが、本社側にこれを支える覚悟と体力があるか。
・一度出ると撤退は容易ではない。経営者は現地に骨を埋める覚悟で粘り強く、一方で時宜を逃さない即
断即決も必要。
・何でも新品で揃える必要はない。形から入ってはいけない。本社の中古機械を持ち込み、習熟した技術
で臨む方がよい。
・困ったことはコンサルタント任せにせず、現地進出先輩日系企業に相談するとよい。それも複数の意見
を聞いた方がよい。
・現地で日本人相手にコンサルタント業を営む人が増えてきたが、基本的に職業柄「何でもできます!」
というため、不得意な分野を依頼する結果になることがある。やはり、法律、会計、税務など各分野の
専門家にアドバイスをあおぐ方が、結果的にプラスである。
54
(3) 技術革新・向上(STI)に対する特別奨励措置
BOI は、タイの工業化が一巡したことを踏まえ、一層の技術革新・向上(Skill, Technology
& Innovation、STI)のために以下の奨励策を発足させ、以下の特別な税恩典を付している。
①
法人所得税免税期間の追加
図表 9-7 に掲げた 3 つの技術革新、向上のための対策を講じた場合、奨励ゾーンごとに
与えられる免税期間に、どれか 1 つの対策を達成するごとに当該対策に応じた追加免税
処置が与えられる(ただし、合計して最高 8 年間が限度)。この場合、法人所得税免税
額の限度額は設けられていない。
②
機械輸入税の免税
図表 9-7 に掲げた 3 つの項目の技術革新、向上のための対策のいずれか 1 項目を達成し
た場合、奨励ゾーンに関係なく、どこに立地しても、機械輸入税を全額免除される7。
図表 9-7 STI 特別奨励の対象となる STI 対策(3 ケース)
1
研究開発・デザイン、高度な技術訓練(Advanced Technology Training)および教育・研究機関への
支援に関する各投資もしくは支出、または、技術・人材開発基金(Technology and Human Resources
Development Fund)への寄付を行った場合において、その合計額が、以下の①、②のいずれかを満
たしていれば、1 年間の法人所得税の追加免除期間を享受する。
①投資プロジェクトによる事業開始から 3 年間の売上見込額の 1%以上の場合
②1 億 5,000 万バーツ以上の場合
2
研究開発・デザイン、高度な技術訓練(Advanced Technology Training)および教育・研究機関への
支援に関する各投資もしくは支出、または、技術・人材開発基金(Technology and Human Resources
Development Fund)への寄付を行った場合において、その合計額が、以下の①、②のいずれかを満
たしていれば、2 年間の法人所得税の追加免除期間を享受する。
①投資プロジェクトによる事業開始から 3 年間の売上見込額の 2%以上の場合
②3 億バーツ以上の場合
3
研究開発・デザイン、高度な技術訓練(Advanced Technology Training)および教育・研究機関への
支援に関する各投資もしくは支出、または、技術・人材開発基金(Technology and Human Resources
Development Fund)への寄付を行った場合において、その合計額が、以下の①、②のいずれかを満
たしていれば、3 年間の法人所得税の追加免除期間を享受する。
①投資プロジェクトによる事業開始から 3 年間の売上見込額の 3%以上の場合
②4 億 5,000 万バーツ以上の場合
(出所)BOI 資料より作成
7
通常の場合、第 1 ゾーン、第 2 ゾーンでは、輸入税が 10%を越える場合についてのみ 50%減
税が受けられるに過ぎない(図表 9-3 参照)
。
55
③
STI 8 業種に対する特別奨励特典
上記①、②の特典は、投資奨励対象業種全てに適用されるが、図表 9-8 に掲げる STI
の 8 業種の場合は、業種の性質上 STI と深く関連する事業として位置付けられ、さらに
厚い特典が付与される。すなわち、STI 業種の認可を受けた場合には、奨励ゾーンにか
かわらず、どこに立地しても、8 年間、法人所得税が免除され、かつ免税額の限度額は
設けられていない。しかも、この法人所得税の免除については、自己の製品販売、サー
ビス提供による所得に加え、その技術革新、向上の成果を活用して委託生産した場合の
委託先企業の所得についても、同様の特典が適用される。また、奨励ゾーンに関係なく
機械・設備の輸入税が全額免除される。
図表 9-8 STI 8 業種
1 医療用の器機・器具の製造
2 科学器具の製造
3 航空機製造または修理事業、航空機部品、器具、
機上で使用される器具も含む
4 電子産業関連のデザイン(設計)事業
5 研究開発事業
6 科学試験サービス事業
7 計測校正サービス事業(Calibration)
8 人材開発事業
(出所)BOI 資料より作成
4.奨励企業に付与される各種特典の内容
(1) 税制上の特典
BOI により奨励企業の認可を受けると以下のような税制上の特典が付与される。
①法人所得税の減免
BOI から奨励証書の発給を受けた企業は、所得発生日以降、純益に対する法人所得課税
を 3∼8 年のいずれかの期間で免除される。免除期間は立地する奨励ゾーンにより、また工
業団地に立地するかどうかにより異なるが、3 年から 8 年である(図表 9-3 参照)
。ただし、
2001 年 12 月の改正で、特定重要産業の場合など BOI が重要と判断した案件を除き、法人
所得税の総免税額に限度額が設けられた。すなわち、免税累積額が、土地代、運転資金、
技術提携等による海外への支払いを除いた当初投資金額の 100%未満とされ、奨励ゾーンご
とに与えられた免税期間にかかわらず、累積免税額が、その金額に達した時点で打ち切ら
れることとなった。また、奨励企業の営業権、特許権等から得られる所得については、所
得発生日以降 5 年の間、そして、奨励企業の配当は、法人所得免除期間中、それぞれ奨励
企業の課税所得から控除できることとされている。さらに免除期間中の損失に係る繰越控
除は、免除期間終了後 5 年間認められる。
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②輸入税の減免
BOI が認めた機械・設備および輸出製品用原材料の輸入税は減免される(図表 9-3 参照)
。
生産用機械・設備の輸入税の減免については、第 3 ゾーンに立地した場合には免税とな
り、輸入税は課されないが、第 1 ゾーンおよび第 2 ゾーンに立地した場合には、輸入税が
10%以上の場合にのみ 50%減税されるにとどまる。しかし、既述の「特別重要業種」に該
当する事業、「特別重要かつ国益をもたらす業種」に該当する事業および「技術革新・向上
(STI)特別奨励対象業種」に該当する事業の場合には、立地する奨励ゾーンに関係なく機械
輸入税は全額免税になる。
輸出製品用原材料の輸入税についても、一定期間免税される。その期間は、第 3 ゾーン
に立地した場合 5 年間、第 1 ゾーンおよび第 2 ゾーンに立地した場合には 1 年間である。
現在のところ、いずれも申請により延長が可能である。なお、BOI 認可事業でない場合に
は、税関において輸入税額相当の銀行保証を差し入れて、後日、輸入通関、輸出後この保
証金が返還されるという手続きが必要になるが、BOI 認可事業の場合には、この手続きが
不要となる。これも一種の特典とみなすことができる。
また、この国内販売製品用原材料の輸入税については、第 3 ゾーンの工業団地や BOI の
認可を受けた工業地域に立地する事業で、国内でその製品が生産されず、されても輸入品
の品質より劣る場合および数量が十分にない場合に限って、最高 75%まで減税される措置
があったが、取得条件が改正され、2005 年 1 月 1 日からレムチャバン工業団地及びラヨン
県の工業団地を除き、第 3 ゾーンの工業団地や奨励を受けた工業地域に入居する場合で、
2014 年 12 月 31 日までに投資奨励申請を行った事業にのみ適用されることになっている
(図表 9-4 参照)。
(2) 税制によらない特典
BOI により奨励企業の認可を受けると、上記のような税制上の特典のほかに、次のよう
な特典が付与される。
①技術者・専門家・家族の入国、外国人労働許可手続きの簡素化
タイでは、外国人職業規制法により外国人は外国人労働許可(ワークパーミット)なし
には働くことはできないが、BOI 奨励認可事業の場合(IEAT 管理の工業団地への入居事業
の場合も同様)には、事業活動が円滑に推進できるよう、その事業の推進に当たる外国人
技術者・専門家、あるいはその家族の入国ビザおよび労働許可の取得が、通常の場合に比
べてはるかに容易にできるようになっている。すなわち外国人技術者・専門家・家族の入
国査証、あるいは外国人労働許可の取得あるいは変更に当たっては、迅速な審査、必要書
類の限定など一般より簡素化された手続きと緩和された条件により許可される。また、そ
の申請窓口としてワンストップサービスセンターも設置されている8。
8
同センターによれば、「申請時に必要な書類が揃っていれば、ビザまたは労働許可証の申請・
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②フィージビリティー・スタディのための外国人の入国、外国人就労許可
BOI は、外国人が、事前の投資可能性調査(フィージビリティー・スタディ)を速やか
に実施し、投資活動を円滑に推進できるよう、フィージビリティー・スタディのため投資
奨励法により、外国人の入国については 6 ヵ月間の入国・外国就労許可をとることができ
る。
③奨励事業実施のための土地所有の許可
タイにおいては、土地法により、外国人の持分が 49%以上か、外国人株主数が全株主数
の半数を超える法人の場合には、特別な場合を除き土地所有(所有権登記)はできないが、
BOI 奨励事業の場合(IEAT 管理の工業団地への入居事業の場合も同様)は、外国人の持分
が 50%以上でも所有できる。なお、BOI は、奨励認可外国企業の所有する工場用地とは別
に、①5 ライ以下の事務所用土地(1 ライ=約 1,600 ㎡)
、および②10 ライ以下の管理者ま
たは技術者用住宅用地については、土地所有を許可している。
④外貨の海外への送金保証
BOI の奨励事業の認可を受けた企業は、投資奨励法によって、当該事業に係る、配当金
その他の利益、外国からの借入金およびその利子等に関し、外貨での国外持ち出し、外貨
の国外送金が保証されている。
5.BOI の認可に当たっての基準
BOI の投資奨励事業の認可を受けるためには、次のような条件に添うことが求められる。
① 事業によって発生する付加価値額が 20%以上であること。(ただし、電子製品およ
びその部品製造業、農業および農産品製造業、BOI が特別に認可した事業について
はこの限りではない)。
② 事業開始時点における資本金の中の借入資本金の額は、登録資本金額の 3 倍を上回
らないこと(ただし、拡張の場合は別途審査を要する)
。
③ 原則として近代的な生産方法および新しい機械を使用すること(中古機械を使用す
るときには、公的機関の証明が必要となる。また、10 年を超える中古機械は原則と
して認められないので、BOI と相談すること)。
④ 公害発生や環境に影響を与えるおそれのある事業の場合は、十分な環境汚染防止対
策を講じること。IEAT が管理する工業団地へ入居する場合には、IEAT の団地内事
務所と充分に打ち合わせること。
⑤ 事業のフィージビリティー・スタディを提出すること(投資金額 5 億バーツ以下は
更新、ビザの種類の変更、罰金の支払、再入国の処理などを 3 時間内に行なうことができる」
とのこと。
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不要)
。
⑥ 最低投資額(土地代と運転資金を除く)は 100 万バーツ以上であること
⑦ 土地代、運転資金を除き 1,000 万バーツ以上の投資をする場合、操業開始から 2 年
以内に ISO9000 シリーズ若しくは ISO14000 又はこれらに相当する国際規格の認
定を取得すること(実現できない場合、法人所得税の免税期間が 1 年減少される)。
6.タイ工業団地公社(IEAT)の工業団地の特典
以上の投資奨励法に基づく特典のほか、タイ工業団地公社法に基づく特典として、工業省
に属する国営企業であるタイ工業団地公社(IEAT)が管理、運営する工業団地に立地する
ことにより付与される特典がある。
(1) タイの工業団地
タイには現在約 60 ヵ所の工業団地が建設され、そこでは道路、電気、上下水道、廃棄物
処理、通信等の工場稼動に必要な公共施設のほか、住居、公立および民間の学校、インタ
ーナショナル・スクール、ショッピングセンター、スポーツ施設、銀行およびホテルなど
の施設が整備されている。
図表 9-9 工業団地の種類
○ 開発主体別分類
1
Industrial Estate(1)
IEAT が造成・運営・管理する工業団地
2
Industrial Estate(2)
民間企業が造成し、IEAT が運営・管理する工業団地(これが多い)
3
Industrial Park
民間企業が造成・運営・管理する工業団地
または Industrial Zone
(BOI の投資特典を受けているものもある)
○ 用途別分類
1
General Industrial Zones (GIZ)
工業、サービス業、若しくは工業運営やサービス業に関係する
その他の事業を行うためのエリア
2
IEAT Free Zones
工業、商業、若しくは工業や商業の運営に関係するその他の事
業を行うためのエリア
(出所)IEAT 資料より作成
工業団地は、その開発主体とその用途で区分すると次のような種類に分けられている。開
発主体別にみると、①タイ工業団地公社(IEAT)が造成・運営・管理する工業団地(Industrial
Estate と称されている)
、②民間企業が造成し、IEAT が共同で運営・管理する工業団地(こ
れも Industrial Estate と称されている)、③民間企業が造成・運営・管理する工業団地
(Industrial Park とか Industrial Zone と称されている)
、とがある。③の工業団地について
も、後述のように、BOI の認可を得ている団地であればそれなりの特典が享受できる。
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用途別に分けてみると、次の 2 つがある。①一般の企業が入居する一般工業区(GIZ=
General Industrial Zones)と②自由事業区(IEAT Free Zones)とがある。自由事業区は
かつて輸出加工区(EPZ=Export Processing Zones)との名称であったが、2007 年 12 月
の法律改正により変更されると同時に、輸出関係のみならず商業、その他のサービス業が
入居できるようになった。
IEAT の工業団地には BOI のように奨励対象業種というものはなく、外国企業の場合に
は、タイの工業、技術、産業発展に貢献する企業で、工業団地の環境を阻害するものでな
ければ、原則として工業団地への入居が認められる。そして、IEAT の運営・管理する工業
団地内に入居しようとする外国企業は土地所有権を取得することが可能である。他方、IEAT
の認可を得ていない工業団地に入居しようとする企業は、別途 BOI の事業認可を受けなけ
れば、土地所有権を取得することはできない。
入居する工業団地の選定に当たっては、進出後の事業内容を踏まえつつ、立地条件、BOI
の投資奨励ゾーン区分、租税等の特典の内容、原材料・製品等の輸送ルート・コスト、工
業用水や電力の供給能力、廃棄物処理能力、洪水時の安全性等を考慮して決定する必要が
ある。
(2) 工業団地入居の特典
IEAT の工業団地に立地した場合の特典をまとめると以下のようなものがある。
①外国企業(外国人出資比率 49%を超える場合及び外国人株主数が全株主の半数を超え
る場合)でも土地所有が可能になる。
②外国人技術者・専門家・家族の入国査証、あるいは外国人労働許可証の取得が容易になる
(BOI の場合と同様)。
工業団地に入居する日系企業
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③自由事業区では機械、原材料などに課せられる関税その他の租税が免除される。なお、
IEAT Free Zones には輸出加工区として発足した当初と異なり 100%輸出は義務づけら
れないが、IEAT Free Zones から国内へ移入する時に、移入する品目に課せられる輸入
税、物品税(あれば)、付加価値税などを納付しなければならない。
④建築基準法に基づく建築許可、工場法に基づく工場設立・操業許可、都市計画法に基づ
く許可等、権限が分散している各種許可が、IEAT 事務所、または IEAT 本部(工業団
地内のワンストップサービスセンター9)限りで処理しうる。
工業団地内のフリーゾーン(出入口)
9
工業団地内のワンストップサービスセンターは、BOI が管轄するワンスタートワンストップ投
資センターとは異なり、BOI の管轄下にあるものではない。
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